小売業の事業計画書は、日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業計画書の10欄を埋めれば形になります。公庫は計画の適正さと事業を遂行する能力を見ます。小売業は扱う商品によって粗利率が20%台から60%台まで開き、在庫と入金のずれで黒字でも資金が足りなくなることがあります。この記事では、公庫の2025年度の経営指標と公式の記入例を使って、売上・粗利率・運転資金の3つの数字に根拠を付ける手順に絞って説明します。
まとめ:小売業の事業計画書で数字を置く順番
- 様式は公庫の創業計画書(記入欄10)が基準です。自作の計画書でも代わりに出せますが、10欄の内容は網羅しておきます。
- 売上は「客単価×1日の客数×営業日数」で積み上げ、客数の根拠を商圏の人口や競合の状況で示します。
- 粗利率は業種で大きく違います。公庫の2025年度経営指標の中央値は、書籍・雑誌20.6%、小売業全体36.1%、菓子(製造小売)65.3%です。自分の業種の行を探して、勤務経験の数字と並べます。
- 運転資金は「売上債権+在庫-買掛金」で見積もります。キャッシュレス売上の入金待ちと在庫が重なり、仕入れが現金払いだと必要額が大きく膨らみます。
- 損益分岐点売上高(利益ゼロの売上)に加えて、借入の返済元金と生活費まで賄える必要売上高を別に出します。公庫の調査対象の小売業1,712社では、損益分岐点比率の中央値が101.4%で、利益の余裕は薄い業種です。
- 古物・酒類・たばこ・医薬品は許可や免許が必要です。食品は、食肉・鮮魚を店で扱うか、包装済みで仕入れたまま売るかなど、取り扱い方で許可・届出の要否が変わります。取得状況を計画書の許認可欄に書きます。
公庫の創業計画書の10欄と小売業で書く内容
公庫の各種書式ダウンロードのページにある創業計画書は、記入欄が10に分かれています。様式には「この書類に代えて、お客さまご自身が作成された計画書をご提出いただいても結構です」とあり、ExcelやWordで作った計画書でも出せます。その場合も、次の10欄に当たる内容は入れておきます。
| 欄 | 小売業で書く内容 |
|---|---|
| 1 創業の動機 | なぜこの商品を、この場所で売るのか |
| 2 経営者の略歴等 | 販売・仕入れ・店長の経験年数、許認可 |
| 3 取扱商品・サービス | 商品構成と価格帯、売上シェア、客単価、営業日数 |
| 4 従業員 | 常勤役員・従業員の数と、うち家族・パートの人数 |
| 5 取引先・取引関係等 | 販売先の現金・キャッシュレス比率、仕入先と支払条件 |
| 6 関連企業 | 本人や配偶者が経営する会社 |
| 7 お借入の状況 | 住宅・車・カードを含む個人の借入 |
| 8 必要な資金と調達方法 | 内装・什器・保証金、商品仕入、自己資金と借入 |
| 9 事業の見通し(月平均) | 売上・原価・人件費・家賃・利息と計算根拠 |
| 10 自由記述欄 | アピールポイント、悩み、希望するアドバイス |
公庫が公開している業種別の記入例のうち、小売業は婦人服・子供服小売業の記入例です。婦人服約50点・子供服約30点を揃え、客単価7,500円、月26日営業という設定で、必要資金895万円を自己資金295万円と公庫からの借入600万円で賄う計画になっています。欄ごとの読み方はアパレル業の事業計画書の書き方で詳しく扱っています。1枚に収める場合の書き方は事業計画書を1枚(A4)で書く方法を参照してください。
小売業で見落としやすいのは5欄の取引条件です。記入例では販売先を「一般個人(現金)70%・即金」「一般個人(クレジット・電子マネー)30%・末日締め翌月末回収」、仕入先2社をどちらも「末日締め翌月末支払」と書いています。この条件が、後で説明する運転資金の計算の前提になります。
小売業の売上計画の積算式(客単価×客数×営業日数)
売上の式と客数の根拠
公庫の記入例は、売上を「7,500円(平均単価)×10人/日×26日=195万円」と計算しています。1年後の売上は「創業当初の1.2倍(勤務時の経験から)」として234万円です。この式で最も根拠を問われやすいのは「1日10人」のような客数の仮定です。次のような材料を、使えるだけ組み合わせて示します。
- 勤務先の店舗の実績(同じ商圏・同じ価格帯なら最も強い根拠)
- 出店予定地の前の通行量を時間帯別に数えた結果と、入店率の仮定
- 商圏内の人口・世帯数と、そのうち来店する割合の仮定
- 予約や事前登録、ネット販売の先行実績の件数
客単価は、3欄の価格帯と売上シェアから組み立てます。記入例の価格帯は婦人服3,000円〜20,000円、子供服2,000円〜15,000円、アクセサリー500円〜です。記入例は客単価7,500円の内訳までは示していません。1点あたりの平均価格と、1人あたりの購入点数を分けて書くと、根拠が伝わりやすくなります。
店舗とネット販売の売上式と経費の違い
店舗とネットで売る場合は、売上の式を分けます。ネット販売は「訪問数×購入率×客単価」で積み上げます。たとえば月間訪問数5,000、購入率2%、客単価5,000円と仮定すれば、5,000×2%×5,000円=月50万円です。経費にはモールの手数料、送料、梱包資材、決済手数料、広告費を入れ、返品率も想定します。併売なら店舗の家賃や内装費はそのまま残り、ネット専業なら店舗費用の代わりに在庫の保管場所の家賃がかかることがあります。1つの式にまとめると、どちらの数字が崩れたときに計画が狂うのかが読めなくなります。
公庫の経営指標で見る小売業の業種別粗利率(2025年度中央値)
原価率(粗利率)は、勤務経験の数字に加えて、公庫の2025年度小企業の経営指標調査(卸売・小売業)と並べて示すと根拠が強くなります。主な小売業の中央値は次のとおりです。
| 業種 | 社数 | 粗利率 | 営業利益率 | 人件費率 | 損益分岐点比率 | 商品回転期間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 小売業(全体) | 1,712 | 36.1% | 0.1% | 16.8% | 101.4% | 0.7か月 |
| 書籍・雑誌(古書籍を除く) | 14 | 20.6% | 0.3% | 12.0% | 103.9% | 1.7か月 |
| 酒 | 28 | 26.0% | -0.8% | 11.4% | 104.0% | 1.0か月 |
| 各種食料品 | 12 | 28.7% | -1.6% | 16.9% | 104.8% | 0.3か月 |
| スポーツ用品 | 42 | 35.3% | -1.1% | 14.4% | 104.9% | 2.5か月 |
| その他の小売業 | 630 | 38.0% | 0.1% | 19.1% | 102.1% | 0.6か月 |
| 中古品(骨とう品を除く) | 77 | 40.3% | 1.0% | 13.9% | 98.0% | 0.7か月 |
| 婦人・子供服 | 83 | 42.9% | -0.1% | 19.2% | 101.6% | 1.4か月 |
| 洋品雑貨・小間物 | 20 | 45.4% | -3.0% | 16.0% | 106.6% | 2.7か月 |
| 花・植木 | 38 | 49.1% | -1.3% | 27.4% | 104.7% | 0.2か月 |
| 化粧品 | 18 | 52.5% | 0.7% | 21.3% | 100.3% | 0.6か月 |
| パン(製造小売) | 27 | 62.2% | 0.1% | 40.1% | 102.4% | 0.1か月 |
| 菓子(製造小売) | 70 | 65.3% | -0.6% | 37.7% | 102.4% | 0.2か月 |
表に載せた業種の中央値で見ると、仕入れて売る業種は書籍・雑誌の20.6%から化粧品の52.5%まで、製造小売のパン・菓子は60%台です。業種の中央値なので、個々の店の粗利率はこの上下に散らばります。ただし、パンや菓子の製造小売は人件費率も40%前後に上がり、営業利益率は仕入れ販売と大差ありません。粗利率が高い業種を選べば儲かるわけではない、という点を計画書の経費欄で示せるかが分かれ目です。粗利率と値入率の違いや売価の逆算は粗利計算の方法で整理しています。
経営指標を計画書に使うときの注意
この調査の対象は、公庫が2025年4〜12月に融資した従業者50人未満の法人企業で、決算期は2024年7月以降です。個人事業は含まれません。人件費は「役員報酬、退職金、福利厚生費を含めた額」なので、個人事業で事業主の取り分を人件費に入れない計画と比べると、人件費率は指標の方が高く出ます。社数が十数社の業種は値が振れやすい点にも気をつけてください。
中央値は「真ん中の企業の値」であって、目標値でも上限でもありません。自分の計画の粗利率が中央値から大きく離れるなら、その理由(自社ブランド比率が高い、仕入れ先が元勤務先で掛け率が有利など)を書き添えます。値引きと売れ残りの処分も計算に入れます。定価ベースの原価率のまま置くと、粗利は実際より高く出ます。
在庫・入金サイト・仕入れの支払条件から出す小売業の運転資金
小売業の運転資金は、仕入代金を払ってから売上の現金が入るまでの立替分です。必要額の目安は、所要運転資金=売上債権(まだ入金されていない売上)+在庫-買掛金(まだ払っていない仕入代金)で出せます。ここでは次の条件の店を設例にします。
- 計画月商250万円、粗利率36%(小売業全体の中央値36.1%を丸めた値)なので売上原価は月160万円
- 売上の半分がクレジットカード・電子マネーで、月末締め翌月末入金
- 在庫は月商の0.7か月分(小売業全体の商品回転期間の中央値)
月商×商品回転期間による在庫額の概算
公庫の指標の商品回転期間は「(期首棚卸資産+期末棚卸資産)÷2」を月商で割った値です。在庫が月商の何か月分あるかを示すので、計画月商に掛ければ、帳簿上の取得原価で見た平均在庫額の概算になります。設例では250万円×0.7か月=175万円です。既存企業の平均なので、開業時の初期仕入額は品目ごとの数量と仕入単価を積み上げて確かめ、この概算と大きく離れていないかを見ます。業種で差が大きく、商品回転期間の中央値は花・植木0.2か月、婦人・子供服1.4か月、スポーツ用品2.5か月、洋品雑貨・小間物2.7か月です。サイズや色をそろえる業種ほど、開業時に積む在庫が重くなります。
掛け仕入れと現金仕入れの月末残高の比較(設例)
キャッシュレス売上は月125万円(250万円×50%)が翌月末まで入りません。仕入代金を月末締め翌月末払いにできれば、1か月分の原価160万円の支払いを後ろへずらせます。
| 項目 | 掛け仕入れ(翌月末払い) | 仕入れは現金払い |
|---|---|---|
| 売上債権(キャッシュレス1か月分) | 125万円 | 125万円 |
| 在庫(月商の0.7か月分) | 175万円 | 175万円 |
| 買掛金(原価1か月分) | -160万円 | 0円 |
| 所要運転資金 | 140万円 | 300万円 |
この表は、月末に前月分の入金と支払いを済ませた後の残高です。現金仕入れでは、翌月末の入金の直前にキャッシュレス売上が2か月分(250万円)たまり、在庫と合わせて約425万円を立て替える時点があります。140万円・300万円は開業時の必要資金の確定額ではなく、支払条件による差をつかむための目安として使ってください。
開業したばかりの店は、仕入先から掛け取引を断られて前払いや現金払いを求められることがあります。仕入先との条件が決まっていないうちは、現金払いの側で資金を見積もる方が安全です。決まっている条件は5欄の取引先欄に書き、運転資金の計算と一致させます。在庫と売上の動きを日々つかむ仕組みは、店舗数や品目が増えた段階で販売・在庫・会計を一元管理する基幹システム開発を検討する材料になります。
売上が計画を下回る場合の資金の上乗せ
所要運転資金は、売上が計画どおりのときの立替分にすぎません。公庫の2025年度新規開業実態調査では、予想月商を100%以上達成した企業は58.7%で、残りの約4割は開業時の予想に届いていません。売上が計画の8割で推移した場合に、何か月で手元資金が尽きるかを月次の資金繰り表で試算し、その不足分を運転資金に上乗せします。資金繰り表の組み方はエクセルで事業計画書を作成する手順で、シート構成ごとに説明しています。
損益分岐点売上高と、生活費・返済を賄う必要売上高
損益分岐点売上高は、一般に「固定費÷限界利益率(1-変動費率)」で出します。商品原価のほかに決済手数料や送料など売上に比例する費用があるなら、その比率も変動費率に入れます。公庫の指標の損益分岐点比率は、営業経費と支払利息の合計を売上総利益で割って求めており、商品原価だけを変動費とみなす簡便な方法です。ここでも簡単のため、商品原価だけを変動費とし、粗利率で割ります。設例の店の月の経費を家賃20万円、パート人件費20万円、光熱費・通信費・リース料など15万円、支払利息2万円の計57万円とすると、57万円÷36%=約158万円が赤字にならない売上です。
損益分岐点売上高は利益がゼロになる売上で、個人で開業する場合、この売上では暮らせません。公庫の記入例にも「所得税等の税金や借入金の返済元金はここから支払われます」「個人営業の場合、事業主分の人件費はここに含まれます」と注記があり、利益から返済元金と生活費を払う前提になっています。返済元金を月7万円、生活費を月25万円とすると、資金面で必要な売上高は(57万円+7万円+25万円)÷36%=約247万円です。設例の計画月商250万円は、この必要売上高をわずかに上回るだけです。損益分岐点売上高とは別の数字として、計画書では両方を示します。所得税や住民税、国民健康保険料の分はさらに上乗せになります。
公庫の指標で、調査対象の小売業1,712社の損益分岐点比率の中央値は101.4%、営業利益率の中央値は0.1%でした。中央値が100%を上回っているので、この調査対象の少なくとも半数は、営業経費と支払利息を粗利で賄えていない状態です。計画書では、売上が1割落ちたときに利益がどうなるかまで書いておくと、審査担当者の質問に先回りできます。損益分岐点比率の読み方と業種別の目安は損益分岐点比率とはで解説しています。
小売業の商圏人口と競合店の調べ方
jSTAT MAPによる商圏人口・世帯数の集計
「駅前で人通りが多い」だけでは客数の根拠になりません。総務省統計局のjSTAT MAPでは、地点を中心にした円・多角形・徒歩などの到達圏を分析エリアとして登録し、リッチレポート機能でそのエリアの主要な統計データを自動集計できます(総務省統計局の紹介資料)。店舗から半径500m・1km・2kmの人口を年齢層別に出し、商品のターゲット層がどれだけ住んでいるかを示します。徒歩客が中心の業種は狭い円、車で来る業種は広い円で見ます。調べ方の全体像は商圏調査のやり方、競合店との距離と売場面積から来店確率を出す方法はハフモデルの計算式で扱っています。
「競合・市場など」欄に書く競合店の数と違い
公庫の記入例は3欄の「競合・市場など」に「近隣に同業者は5店舗あるが、親子向けお揃いの服を取り揃えている店は少なく、差別化できる」と書いています。競合店の数と売場の特徴は、統計ではなく現地を歩いて確かめます。そのうえで、自店が選ばれる理由を1行で言える状態にしてから書きます。同じ商圏に大型店やチェーン店がある場合は、価格で競わない理由(品揃えの専門性、接客、取り寄せ対応など)を具体的に書きます。
小売業で取扱商品ごとに必要な許認可
許認可は、創業計画書では2欄(経営者の略歴等)の「許認可(許可・届出等)」に書きます。申請中なら申請中と明記します。主な商品と根拠は次のとおりです。
| 商品 | 必要な手続 | 根拠 |
|---|---|---|
| 中古品(古着・中古家電など) | 公安委員会の許可 | 古物営業法3条 |
| 酒類 | 税務署長の販売業免許(販売場ごと) | 酒税法9条 |
| たばこ | 財務大臣の小売販売業の許可(営業所ごと) | たばこ事業法22条 |
| 医薬品 | 薬局開設または医薬品の販売業の許可 | 医薬品医療機器等法24条 |
| 食肉・鮮魚介類(店で扱うもの) | 都道府県知事の営業許可 | 食品衛生法55条・施行令35条 |
| パン・菓子を店で製造して売る | 菓子製造業の営業許可 | 食品衛生法55条・施行令35条 |
| 許可業種に当たらない食品の販売 | 都道府県知事への営業届出(免除あり) | 食品衛生法57条・施行令35条の2 |
食品は例外の範囲に注意が要ります。食肉や鮮魚介類でも、容器包装に入った状態で仕入れてそのまま売るだけなら、許可業種から外れます(食品衛生法施行令35条)。常温で保存しても品質が劣化して危害が生じるおそれのない包装食品だけを売る場合は、営業届出も不要です(同令35条の2)。冷蔵・冷凍の包装食品を売るなら届出が必要になります。中古品は、自分で海外から買い付けた物を売るだけなら古物商許可が要らない場合もあるので、扱い方を決めてから管轄の警察署に確認します。
業種別の小売業の事業計画書で論点が変わるところ
10欄の構成は同じでも、業種によって数字の置き方と法令の論点が変わります。自分の業種に近い記事で細部を確認してください。
- 雑貨店・セレクトショップ:仕入先の分散と商品の入れ替えが論点です(雑貨屋の事業計画書)。
- アパレル:季節ごとの先行仕入れとセール後の実効原価率で資金繰りが決まります(アパレル業の事業計画書)。
- 書店・古本屋:新刊書店は粗利率20.6%(書籍・雑誌小売業の中央値)から逆算すると必要な売上が大きくなり、古本屋は買取で仕入れるため計算が別になります(本屋・古本屋の事業計画書)。
- リサイクルショップ:仕入れが買取になるため、買取単価の根拠と古物商許可が中心です(リサイクルショップの事業計画書)。
- 中古車販売:1台あたりの仕入額が大きく、在庫資金が計画の大半を占めます(中古車販売業の事業計画書)。
- ネット販売・せどり:仕入れから入金までの日数で運転資金を逆算します(せどりの事業計画書)。
- パン屋・菓子店:製造小売なので焼成能力と人件費が売上の上限を決めます(パン屋の事業計画書、お菓子屋の事業計画書)。
- コンビニ:加盟店の収支は本部との契約で決まるため、本部の売上予測を検証する計画になります(コンビニの事業計画書)。
- 化粧品:小売だけか、輸入・OEMまで行うかで必要な許可が変わります(化粧品業界の事業計画書)。
提出前に見直す小売業の事業計画書の5項目
ここまでの計算を踏まえ、提出前に次の5つを確認します。
- 客数が「見込み」だけで、勤務先の実績・通行量・商圏人口のどれにも結びついていない
- 原価率を定価ベースで置き、値引きと売れ残りの処分を入れていない
- 初期在庫を必要資金に入れていない、またはキャッシュレス売上の入金待ちを見ていない
- 個人開業なのに、利益から返済元金と生活費を払えるかを示していない
- 許可や免許が必要な商品を扱うのに、許認可欄が空欄のまま
反対に、勤務先で同じ商品を扱い、仕入先と取引条件まで決まっている人は、その事実を2欄と5欄に具体的に書くだけで計画の根拠が強くなります。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の要件も「適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」であり、計画の中身と経験の両方が見られます。
よくある質問
小売業の事業計画書はテンプレートを使ってもいいですか?
使えます。公庫の創業計画書はそのままテンプレートとして使え、自作の計画書で代えることも認められています。小売業では、3欄の客単価・営業日数・定休日・営業時間と、5欄の販売先・仕入先の条件を必ず埋めます。スライドで説明する場合は事業計画書をパワーポイントで作る方法も参考になります。
小売業の開業に自己資金はいくら必要ですか?
公庫の新規開業・スタートアップ支援資金には、制度上の自己資金の要件がありません。2023年度まであった「創業資金総額の1/10以上の自己資金」という要件は、2024年度に撤廃されました(公庫の2024年4月の発表資料)。それでも実際の開業では、2025年度新規開業実態調査で自己資金は平均279万円、資金調達額1,219万円の22.9%を占めています。公庫の小売業の記入例では、必要資金895万円のうち295万円が自己資金です。
小売業の開業資金の相場はいくらですか?
業種を問わない数字では、2025年度新規開業実態調査の開業費用が平均975万円、中央値600万円です。小売業は物件の広さと内装、初期在庫で大きく変わります。公庫の記入例(婦人服・子供服小売業)は、内装工事費400万円を含む設備資金620万円と、商品仕入200万円を含む運転資金275万円の合計895万円です。
事業計画書の原価率は何%で書けばいいですか?
勤務先での実績が第一の根拠です。それを公庫の経営指標の自分の業種の行と比べます。2025年度の粗利率の中央値は小売業全体で36.1%なので、原価率に直すと約64%です。記入例の婦人服・子供服店は原価率60%を「勤務時の経験から」と書いています。中央値から外れる場合は、その理由を併記します。
ネットショップだけでも公庫の創業計画書で申し込めますか?
申し込めます。新規開業・スタートアップ支援資金の対象は「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」で、店舗の有無は問われていません。ネット販売では、客数の代わりに訪問数と購入率で売上を組み、モール手数料・送料・広告費を経費に入れます。在庫の保管場所の家賃や、入金までの日数も運転資金に反映させます。