損益分岐点比率は、損益分岐点売上高が実際の売上高の何%にあたるかを示す率で、売上があと何%落ちると赤字になるかを読むための指標です。この記事では、計算式と売上高2億円の卸売会社の設例、日本政策金融公庫の2025年度調査と中小企業白書にある業種別・規模別の実数、安全余裕率と経営安全率の関係を整理します。統計の値と自社の比率を同じ物差しで比べる手順、賞与月に単月の比率が跳ねる問題、月次の管理会計ダッシュボードに載せるときの条件まで扱います。
まとめ:損益分岐点比率は同じ算式の同業値と比べ、安全余裕率で売上の下振れに備える
損益分岐点比率は「固定費÷限界利益」で出せます。80%なら売上が20%落ちるまで黒字を保てる計算で、1からこの比率を引いた値が安全余裕率です。
目安の数字を見るときの落とし穴は、算式と集計の母集団で値が大きく変わることです。日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査では、黒字かつ自己資本プラスの企業に絞った平均でも、主要な業種で92.1〜98.6%が並びます。「80%以下なら優良」という一般的な線を、従業者50人未満の会社がそのまま目標に置くと、届かない数字を追うことになります。
進め方の順番ははっきりしています。まず公庫と同じ算式で自社の比率を出し、同業の黒字企業の平均と比べる。社内の判断には科目ごとに固定費と変動費を分けた式を使い、目標は過去に経験した最大の売上減少率から逆算する。月次で追うなら単月ではなく12か月移動合計で見て、部門が複数あるなら会計データの固変区分を仕組みに載せます。
損益分岐点比率の意味と計算式、売上が何%落ちると赤字になるかを読む指標
損益分岐点比率は、利益がゼロになる売上高が、いまの売上高に対してどこにあるかを示します。比率が低いほど、売上が落ちても赤字になりにくい会社です。
損益分岐点比率の計算式は2通り、固定費÷限界利益で出すと1回で済む
基本の式は「損益分岐点売上高÷実際の売上高×100」です。損益分岐点売上高は「固定費÷限界利益率」なので、代入して整理すると「固定費÷限界利益×100」になり、損益分岐点売上高を経由せずに比率だけを出せます。限界利益は売上高から変動費を引いた額を指します。
| 計算式 | 向いている場面 |
|---|---|
| 損益分岐点売上高÷売上高×100 | 損益分岐点売上高を先に出している |
| 固定費÷限界利益×100 | 比率だけを毎月出したい |
| 100%-安全余裕率 | 安全余裕率から逆算する |
損益分岐点売上高そのものの求め方や、決算書の科目を固定費と変動費に分ける手順は、損益分岐点の5つの計算式と決算書からの求め方を解説した記事で扱っています。中小企業基盤整備機構のJ-Net21の損益分岐点に関するQ&Aも、損益分岐点売上高を固定費÷限界利益率で示しています。この記事は、出した比率をどう読み、何と比べるかに絞った内容です。
売上高2億円の卸売会社で損益分岐点比率と安全余裕率を計算する設例
売上高20,000万円、経常利益520万円の卸売会社を例にします。損益計算書の科目を、固定費と変動費に分けた結果は次のとおりです。
| 項目 | 金額(万円) | 区分 |
|---|---|---|
| 売上高 | 20,000 | - |
| 売上原価 | 15,000 | 変動費 |
| 販管費のうち運賃・販売手数料 | 800 | 変動費 |
| 販管費のうち人件費・家賃など | 3,600 | 固定費 |
| 支払利息 | 100 | 固定費 |
| 受取利息等 | 20 | 固定費から差し引く |
| 経常利益 | 520 | - |
変動費は15,800万円で変動費率79%、限界利益は4,200万円で限界利益率21%になります。固定費は3,600万円に支払利息100万円を足し、受取利息等20万円を引いた3,680万円です。
損益分岐点売上高は3,680÷0.21で約17,524万円、損益分岐点比率は3,680÷4,200で約87.6%、安全余裕率は100%-87.6%で約12.4%です。この会社は、売上高が12%あまり、金額にして約2,476万円落ちると経常利益がゼロになります。パートの人件費や水道光熱費のように判定が分かれる科目の扱いは、変動費の一覧と、判定が分かれる科目の分け方を解説した記事にまとめています。
安全余裕率と経営安全率は同じ指標、経常利益÷限界利益でも求められる
安全余裕率は、書籍や会計ソフトによって「経営安全率」「安全率」とも呼ばれますが、中身は同じで「(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高」です。J-Net21は安全余裕率を、売上高が減少してもどれくらいまでなら損失が生じないかを示す比率と説明しています。
式を変形すると「経常利益÷限界利益」にもなります。設例なら520÷4,200で約12.4%となり、損益分岐点比率から引き算した値と一致します。限界利益のうち何割が利益として残っているかを見る式なので、月次の試算表から直接計算できるのが利点です。
損益分岐点比率と安全余裕率は、足すと必ず100%になる関係です。どちらか一方を追えば足り、社内には「あと何%落ちたら赤字か」がそのまま伝わる安全余裕率、金融機関や統計との比較には損益分岐点比率と、相手に合わせて見せ方を変えます。
損益分岐点比率の業種別の目安、公庫2025年度調査と中小企業白書の実数
自社の比率が高いのか低いのかは、同じ業種・同じ規模の値と比べて初めて判断できます。公的な数字は2種類あり、それぞれ読み方が違います。
日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査にみる業種別の損益分岐点比率
業種別の数字を公的に出している代表が、日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査です。国民生活事業が融資した従業者50人未満の法人企業の決算書を集計し、対象業種を隔年で入れ替えて公表しています。2025年度調査(2026年8月公表)は情報通信業や卸売・小売業、飲食店・宿泊業など7業種、2024年度調査は建設業と製造業が対象です。
| 業種 | 平均値 | 黒字・自己資本プラス平均 | 中央値 |
|---|---|---|---|
| 情報通信業 | 106.3% | 92.1% | 99.3% |
| うち受託開発ソフトウェア業 | 104.6% | 91.8% | 99.1% |
| 運輸業 | 114.2% | 96.1% | 101.5% |
| 卸売業 | 106.8% | 93.7% | 99.8% |
| 小売業 | 108.1% | 96.5% | 101.4% |
| 飲食店,宿泊業 | 104.0% | 95.6% | 101.0% |
| 医療,福祉 | 103.2% | 95.4% | 100.2% |
| 教育,学習支援業 | 107.6% | 95.2% | 100.2% |
| サービス業 | 106.4% | 92.8% | 99.8% |
| 建設業(2024年度) | 114.6% | 93.4% | 100.7% |
| 製造業(2024年度) | 124.8% | 98.6% | 104.7% |
数値は2025年度調査の業種別PDF(情報通信業・運輸業・卸売・小売業・飲食店,宿泊業・医療,福祉・教育,学習支援業・サービス業)と、2024年度調査の建設業・製造業から取りました。サービス業は「他に分類されないもの」の区分です。
読むべき列は「黒字・自己資本プラス平均」です。全体の平均値は赤字企業を含むため、どの業種も100%を超えています。中央値もほぼ100%前後で、小企業の半数近くが損益分岐点のすぐそばで経営している実態が見えます。
中小企業白書2021の規模別の値、大企業60.0%と小規模企業92.7%の差
規模による差は、中小企業庁の2021年版中小企業白書「中小企業の財務基盤・収益構造と財務分析の重要性」が示しています。2019年度時点で大企業の損益分岐点比率は60.0%まで改善した一方、中規模企業は85.1%、小規模企業は92.7%で、白書は大企業との格差が大きくなっていると述べています。
業種別では、宿泊業・飲食サービス業で比率が高く、卸売業や建設業で低いという傾向が同じ節に書かれています。公庫の2025年度調査とは対象年度も集計方法も違うため、白書の業種別の数字と公庫の数字を1つの表に混ぜて比べるのは避けます。
同じ節には、損益分岐点売上高などの財務指標を計算している企業ほど損益分岐点比率が低いという集計も載っています。比率を定期的に出している会社ほど、売上の下振れに強い構造を持っているという結果です。
「80%以下が目安」を自社の目標にそのまま置けない理由と、使える場面
解説記事の多くは「80%以下なら優良、90%超は要注意」といった線を示します。この80%は、白書の2019年度の値でいえば中規模企業の平均85.1%より低い水準です。従業者50人未満の小企業なら、公庫の黒字企業平均(92.1〜98.6%)より12ポイント以上良い位置にあたります。
80%を掲げてよいのは、売上総利益率が70%を超える業種(公庫の受託開発ソフトウェア業は73.2%)のように売上が伸びたときに比率が下がりやすく、すでに90%を切っている会社です。飲食店や運輸業のように黒字企業の平均でも96%前後の業種で、いきなり80%を目標にすると、固定費を削る余地を超えた計画になります。この場合は同業の黒字企業平均を1つ目の目標にし、その先は後述する売上減少率からの逆算で決めます。
公庫と同じ算式で自社の損益分岐点比率を出し直し、同業と同じ物差しで比べる手順
統計の数字と自社の比率を並べる前に、算式をそろえる必要があります。ここを飛ばすと、実力より良く見えたり悪く見えたりします。
公庫の算式は売上原価をすべて変動費、営業経費と支払利息を固定費とみなす
公庫の小企業の経営指標調査 利用の手引きは、損益分岐点比率を「(営業経費+支払利息割引料)÷売上総利益×100」で算出すると明記しています。売上原価を変動費、販管費(営業経費)と支払利息を固定費とみなす簡便法です。決算書の数字だけで誰でも同じ値を出せる代わりに、科目ごとの固変分解は行いません。
そのため、販管費に運賃や販売手数料が多い会社や、売上原価に工場の人件費・減価償却費が多い製造業では、自社で固変分解した比率と公庫式の比率がずれます。統計と比べるときは公庫式、社内で値上げや固定費削減の効き方を試算するときは固変分解の式と、2本立てで持つのが確実です。
設例の卸売会社を公庫式で計算し直すと87.6%が90.0%に変わる
先の卸売会社を公庫式で計算すると、(販管費4,400万円+支払利息100万円)÷売上総利益5,000万円で90.0%になります。固変分解で出した87.6%より2.4ポイント高いのは、変動費である運賃・販売手数料800万円を固定費側に入れ、受取利息等20万円を差し引いていないためです。
この90.0%を公庫の卸売業と比べると、黒字・自己資本プラス平均の93.7%より3.7ポイント低く、中央値の99.8%とは約10ポイントの差があります。同じ物差しで測れば、この会社は同業の黒字企業の平均より売上減少に強い側にいると判断できます。87.6%のまま93.7%と比べると、差を6.1ポイントと大きく見積もる結果になるので注意が必要です。
公庫の数値が高めに出る2つの理由、受取利息と代表者の報酬の扱い
公庫自身が、損益分岐点比率の算出では受取利息等の営業外収益の内訳を加味できないなど調査項目に限界があり、黒字かつ自己資本プラス企業の平均でも100%を超える業種があると注記しています。営業外収益で黒字を確保している会社ほど、公庫式の比率は実態より高く出ます。
もう1つは役員報酬です。手引きは、小企業では人件費や借入金に占める代表者や家族の割合が高く、算出された指標が実態を完全に反映するとは限らないとしています。代表者の報酬を多めに取っている会社は固定費が膨らんで比率が上がるため、比較する前に役員報酬を同業並みに置き換えた試算も1本作っておくと、判断を誤りにくくなります。
損益分岐点比率の水準別の読み方と、経営レバレッジで見る利益の振れ幅
比率の数字が同じでも、次に打つ手は水準によって変わります。売上の変化が利益にどれだけ響くかも、同じ比率から読み取れます。
比率70%・90%・100%超の3つの水準で、先に打つ手を分ける基準
下の表は、公庫の業種別の値と設例の計算をもとに、水準ごとの優先順位を整理したものです。
| 損益分岐点比率 | 赤字になる売上減少 | 先に打つ手 |
|---|---|---|
| 70%以下 | 30%超 | 比率より成長投資を優先 |
| 70〜90% | 10〜30% | 限界利益率の維持と値引きの抑制 |
| 90〜100% | 10%未満 | 固定費の見直しに先に着手 |
| 100%超 | すでに経常赤字 | 不足分の増収か固定費の削減 |
公庫の手引きは、比率90%の企業は売上が10%以上減ると利益を確保できず、70%の企業は30%未満の減少なら利益を確保できると説明しています。100%を超えているときは経常損失が出ており、(損益分岐点比率-100%)相当の売上高の増加がなければ損失は解消されない、とも書いています。110%なら、売上をあと10%増やしてようやく収支がゼロです。
経営レバレッジ係数は安全余裕率の逆数、売上1%減で経常利益が8%減る
損益分岐点比率が高い会社ほど、売上の小さな変化で利益が大きく振れます。この振れ幅を示すのが経営レバレッジ係数で、「限界利益÷経常利益」、つまり安全余裕率の逆数にあたります。
設例では4,200÷520で約8.1倍となり、売上高が1%減ると経常利益は約8.1%減ります。売上が5%減れば限界利益は210万円減り、経常利益は520万円から310万円へ約4割落ちる計算です。87.6%という比率だけでは伝わりにくい危うさも、係数にすると社内で共有しやすくなります。
自社の目標比率は、過去に経験した最大の売上減少率から逆算する
目標比率を一般論の80%で決めるより、自社が実際に経験した売上の落ち込みから決める方が、根拠を説明できます。たとえば直近10年で最も大きかった前年比の売上減少が15%なら、安全余裕率15%以上、つまり損益分岐点比率85%以下を目標に置きます。
設例の会社が87.6%から85%へ下げるには、損益分岐点売上高を17,000万円にする必要があります。固定費で調整するなら17,000×21%で3,570万円まで、つまり110万円の削減です。限界利益率で調整するなら3,680÷17,000で約21.6%、変動費率を0.6ポイント下げる計算になり、仕入単価の交渉と固定費の見直しのどちらが現実的かを金額で比べられます。
月次で損益分岐点比率を追うときの落とし穴、賞与月の跳ね上がりと部門別の配賦
年1回の決算で見るだけなら、ここまでの計算で足ります。毎月追い始めると、決算書では見えなかった2つの問題が出てきます。
単月の比率は賞与月に159%まで跳ねる、12か月移動合計で追う方法
設例の会社で、年間固定費3,680万円のうち賞与600万円を7月と12月に300万円ずつ計上しているとします。月の限界利益を平均350万円とすると、賞与のない月の固定費は約257万円で単月の比率は約73%、賞与月は約557万円で約159%です。同じ会社なのに、月によって「優良」と「赤字」の両方に見えてしまいます。
月次で追うときは、直近12か月の限界利益と固定費をそれぞれ合計して比率を出す「12か月移動合計」を使います。毎月1か月分が入れ替わるだけなので季節変動と賞与の影響がならされ、決算時点の比率とつながった推移として読めます。賞与を毎月引当金として月割り計上している会社なら、単月でも大きくは跳ねません。
月次の数字が固まるのが遅いと、12か月移動合計も遅れます。締めの早期化は、月次決算を5営業日で締める手順を解説した記事が参考になります。
部門別の損益分岐点比率は個別固定費だけで出し、共通費は全社で見る
店舗や事業部ごとに比率を出すと、本社の家賃や管理部門の人件費といった共通固定費をどう配るかで結果が変わります。売上高で按分すると、売上の大きい部門ほど多くの共通費を背負い、実際より比率が悪く見えます。
部門の判断に使うのは、部門で直接発生する固定費(部門の人件費、店舗家賃など)だけで出した比率です。限界利益から個別固定費を引いた残りが共通固定費をどれだけ賄っているかを部門ごとに見て、共通費を含めた比率は全社でだけ判断します。管理会計の手法全体の中での位置づけは、管理会計の5つの手法と導入手順を解説した記事で整理しています。
損益分岐点比率を管理会計ダッシュボードに載せる条件と、見送ってよい会社
比率を毎月見る運用を続けられるかどうかは、計算式よりもデータの持ち方で決まります。
ダッシュボードに並べる5つの指標と、勘定科目の固変区分マスタ
損益分岐点比率を毎月1画面で確かめるなら、次の5つを12か月移動合計で並べます。上から順に優先度が高い指標です。
- 損益分岐点比率(固変分解の式)と、統計比較用の公庫式の比率
- 安全余裕率
- 限界利益率
- 固定費の額と前年同月との差
- 経営レバレッジ係数
前提になるのは、勘定科目ごと(必要なら部門ごと)に「固定費・変動費・按分率」を持たせた固変区分マスタです。会計ソフトの科目体系に固変区分の項目が無いまま、毎月エクセルで科目を振り分け直していると、担当者によって区分が変わり推移が比べられなくなります。指標の選び方やデータ連携の方式は、経営ダッシュボードの指標の決め方と構築方式を解説した記事にまとめています。
会計システムで自動化すべき会社と、エクセルで足りる会社の線引き
エクセルで足りるのは、事業が1つで、比率を見るのが決算と中間の年2回程度の会社です。試算表の数字を月1回貼り付け、公庫式と固変分解の式を並べれば十分に回ります。
システムに載せるべきなのは、部門や店舗が3つ以上あって部門別の比率を毎月見たい会社、固変区分を担当者ではなく科目マスタで固定したい会社、安全余裕率が一定の値を割ったら通知する運用にしたい会社です。一創の会計・経理システム開発では、仕訳データを固変区分マスタで集計して比率を出す仕組みを、既存の会計ソフトとの連携を含めて相談できます。
見送るべきなのは、月次の締めに20営業日以上かかっている会社です。数字が固まるのが翌々月では、比率を自動で出しても打ち手が間に合いません。先に締めを早める方が効果は大きく、ダッシュボードはその後に検討します。予算との比較まで含めるなら、予実管理の進め方4ステップを解説した記事も判断材料になります。
よくある質問
損益分岐点比率について、よく調べられている質問に答えます。
損益分岐点比率が100%を超えたら何を意味しますか?
経常利益の段階で赤字になっている状態です。公庫の手引きは、100%を超えるときは(損益分岐点比率-100%)相当の売上高の増加がなければ損失が解消されないとしています。120%なら20%の増収が必要です。1年で20%の増収が見込めないなら、固定費の削減で損益分岐点売上高そのものを下げる方が先で、どの固定費から削るかは削減額と売上への影響を並べて決めます。
損益分岐点比率が計算できないのはどんなときですか?
限界利益がゼロかマイナスのとき、つまり変動費が売上高以上にかかっているときです。この場合は売上を増やすほど赤字が広がるため、損益分岐点そのものが存在しません。公庫の調査も、分母がゼロまたはマイナスになる企業はサンプルから除いて集計しています。まず販売価格と仕入単価を見直し、1件売るごとに限界利益が残る状態に戻すところから始めます。
損益分岐点比率は低ければ低いほどよいのですか?
売上減少への耐性という意味では、低いほど安全です。白書によると2019年度の大企業は60.0%でした。ただ、比率を下げるために採用や広告、設備の更新を止め続けると、翌年以降の売上が落ちて比率は元に戻ります。安全余裕率が過去最大の売上減少率を上回っているなら、それ以上の引き下げより、成長のための固定費を優先する判断が合理的です。
飲食店の損益分岐点比率はどのくらいですか?
公庫の2025年度調査では、食堂,レストランの平均値が104.3%、黒字かつ自己資本プラス企業の平均が96.3%、中央値が101.2%でした。黒字の店の平均でも、売上が4%弱落ちると赤字に近づく水準です。家賃や正社員の人件費を売上に合わせて動かしにくい業態なので、まず同業の黒字企業平均である96%前後を下回ることを1つ目の目標に置くのが現実的です。
損益分岐点比率は営業利益と経常利益のどちらで計算しますか?
統計と比べるなら経常利益ベースです。公庫の算式は支払利息を固定費に含めており、経常利益で黒字かどうかを見る設計です。借入の多い会社は、営業利益ベースで計算すると比率が低く出て、実際より安全に見えます。利益の段階ごとの違いと支払利息の位置づけは、経常利益の計算式と営業利益との違いを解説した記事で確認できます。
関連記事
- 営業利益率の目安は?業種別・規模別の平均を最新統計で比べ、自社の目標を決める方法【2026年版】:損益分岐点比率と並べて見る営業利益率の業種別・規模別の平均を比べています。
- 経常利益率とは?計算式と業種別・規模別の目安を最新統計で比べ、予実管理で毎月追う方法【2026年版】:借入の返済額から目標の経常利益率を逆算する方法を解説しています。
- 財務分析とは?5つの視点とやり方を中小企業の最新統計と設例で解説、自社の決算書を読む手順【2026年版】:損益分岐点比率を含む財務指標を、安全性や収益性の視点から読む手順をまとめています。
- 損益計算書の見方とは?5つの利益を上から読む手順と2期比較で利益が減った原因を突き止める方法【2026年版】:比率の計算に使う売上総利益や経常利益を、損益計算書から読み取る手順を解説しています。
- 財務会計と管理会計の違いとは?目的・対象・ルールと使い分け、システム化の判断を解説【2026年版】:損益分岐点比率のような社内向けの指標が、管理会計の側に属する理由を整理しています。