ワインバーの事業計画書は、日本政策金融公庫の創業計画書の記入欄に沿って書くと、融資面談で聞かれる項目を漏れなく押さえられます。ほかの飲食店と違うのは、ワインをボトルで仕入れてグラスで売るために原価率が開栓ロスで動くことと、銘柄を増やすほど在庫に資金が寝ることです。
この記事では、公庫の経営指標のどの業種と比べればよいかを確かめたうえで、席数と回転数から売上を組み、グラスワインの原価率と在庫額を設例で計算します。返済と生活費まで賄える1日の客数、ボトルの持ち帰り販売に要る免許もまとめました。
まとめ:ワインバーの事業計画書で押さえる要点
- 日本政策金融公庫へ出すなら、配布されている創業計画書の記入欄に沿って書きます。売上は公庫の計算方法にある「客単価×席数×回転数」で、時間帯ごとに組みます。
- 日本標準産業分類では、オーセンティックバーやダイニングバーは「酒場、ビヤホール」に入ります。公庫の2025年度経営指標でこの業種の売上高総利益率は平均67.8%(原価率に直すと約32%)でした。
- グラスワインの原価率は、1本から何杯売れたかで決まります。設例では7杯売れれば30%、5杯で止まると42%でした。開栓ロスを見込んだ原価率で計画を組みます。
- ワインリストの銘柄数は在庫額に直結します。経営指標の商品回転期間(在庫が月商の何か月分か)は、酒場,ビヤホールの平均で0.2か月です。月商200万円なら40万円で、食材を含む在庫と比べる参考値になります。
- 目標は損益分岐点ではなく、借入の元金返済と生活費まで賄える客数です。設例では1日約16人が必要で、客単価が4,000円から3,200円に下がると約20人に増え、計画の余裕が消えました。
- 未開栓のボトルを持ち帰り用に売るなら、酒類小売業免許が要ります。店内で飲ませるだけなら販売業免許は不要です。
ワインバーの事業計画書と公庫様式の記入項目
個人でワインバーを開く場合、資金調達の第一候補は日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金です。融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、いずれも据置期間は5年以内です。対象は適正な事業計画を策定している人に限られ、創業計画書の提出などで計画の内容を確認すると明記されています。
創業計画書は公庫の各種書式ダウンロードページで配布されており、自分で作った計画書での代替も認められています。自作する場合も、記入欄と同じ項目を入れておくと面談で照合しやすくなります。
| 記入欄 | ワインバーで書く中身 |
|---|---|
| 1 創業の動機 | 経験から見えた需要と立地 |
| 2 経営者の略歴等 | 飲食店・酒販店での勤務年数と担当業務 |
| 3 取扱商品・サービス | グラス・ボトル・フードの単価と売上シェア |
| 4 従業員 | 3か月以上雇用予定の人数 |
| 5 取引先・取引関係等 | インポーター・酒販店と支払条件 |
| 6 関連企業 | 本人・法人代表者・配偶者の経営企業 |
| 7 お借入の状況 | 住宅・車・カードなどの残高 |
| 8 必要な資金と調達方法 | 設備資金・運転資金(初回仕入れを含む) |
| 9 事業の見通し(月平均) | 売上・原価・経費・利益と根拠 |
| 10 自由記述欄 | 許認可の予定日・アピール点 |
公庫の創業計画書の記入例は、ワイン・ビール・オリジナルカクテルなど200種類のドリンクを出す洋風居酒屋です。売上は「4,500円×25席×0.6回転×18日=121万円」のように昼・平日夜・週末夜に分けて計算し、原価率35%には「勤務時の経験から」と根拠を添えています。ワインバーでも同じ形で、数字ごとに出どころを書きます。
経営者略歴欄に書くワインと店舗運営の経験
公庫の2025年度新規開業実態調査では、開業者のうち現在の事業に関連する仕事の経験(斯業経験)がある人は81.1%、その平均年数は15.3年でした。ワインバーの略歴欄では、ソムリエなどの資格名よりも、何年間どの店で、仕入れ・ワインリストの選定・在庫管理・シフト管理のどれを担当していたかが計画の数字の裏付けになります。資格は営業に必須ではありません。
月にいくら分のワインを発注していたか、グラスワインを何銘柄回していたかまで書ければ、後の章で置く原価率や在庫額が経験に基づく数字だと伝わります。
取扱商品欄のグラス・ボトル・フードの売上シェア
ワインバーの客単価は、グラスで何杯飲むか、ボトルで頼むか、フードを何品頼むかの組み合わせで決まります。取扱商品欄には、グラスワイン・ボトルワイン・フードそれぞれの価格帯と売上シェアを書きます。次章の設例では客単価4,000円のうちグラスワイン2,500円(62.5%)、フード1,500円(37.5%)で、ボトル注文は計算に含めません。
フードのシェアを高く置くなら、厨房の人数と調理工程で処理できる品数かを確認します。逆にチーズや生ハムなど切って盛るだけのメニューに絞るなら、少人数で回せる根拠になり、人件費の計画と話がつながります。
ワインバーの売上予測と席数・時間帯別の回転数
公庫の売上高等の計算方法は、飲食店営業を含むサービス業の売上を「客単価×設備単位数(席数)×回転数」で求めるとしています。ワインバーは1人の滞在が長いため、回転数を高く置くほど根拠を問われます。
この設例では、回転数を「時間帯の長さ÷平均滞在時間」とし、席の埋まり方(稼働率)を別に掛けます。10坪・カウンター8席とテーブル8席の計16席・18時から24時営業・月25日営業の店です。
| 時間帯 | 席数 | 回転数 | 埋まり方 | 客数 |
|---|---|---|---|---|
| 18〜21時 | 16席 | 1.5回転 | 40% | 9.6人 |
| 21〜24時 | 16席 | 1.5回転 | 45% | 10.8人 |
| 1日合計 | – | – | – | 約20人 |
3時間に1.5回転は、1人あたり約2時間の滞在を想定した数字です。客単価は、グラスワイン平均1,000円を2.5杯、フード750円を2品で4,000円と置きます。月商は4,000円×20人×25日=200万円です。
公庫の坪売上・従業者1人当たり売上による検算
積み上げた月商は、公庫の小企業の経営指標調査で検算します。比べる業種は「酒場,ビヤホール」です。根拠は次章で説明します。2025年度調査(調査対象212社)の店舗面積3.3㎡当たり年間売上高は、平均2,535千円、中央値1,865千円でした。
公庫の店舗面積は、事務所・倉庫・厨房等を除いた面積です。設例の10坪のうち厨房とバックヤードを除いた客席部分を8坪(約26㎡)とすると、平均で月約169万円、中央値で月約124万円、黒字企業平均で月約227万円です。設例の200万円は平均を上回り、黒字企業の水準に近い計画です。平均を上回る計画にするなら、近隣の競合店の混み具合や駅からの距離など、その売上を見込む理由を自由記述欄に書きます。
同じ調査の従業者1人当たり年間売上高は平均7,934千円、黒字かつ自己資本プラス企業の平均で9,579千円です。設例を事業主とアルバイトの2人で回すと、1人当たり年1,200万円になり、黒字企業の平均も上回ります。少人数で回す計画ほどこの指標が高く出るので、切って盛るだけのフードに絞るなど、2人で20人をさばける理由を添えます。
ワインバーが当てはまる経営指標の業種と原価率の目安
公庫の経営指標には「酒場,ビヤホール」と「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の両方があり、どちらと比べるかで原価率の目安が10ポイント以上変わります。この調査は原則として2002年10月適用の日本標準産業分類で業種を分けているため、ここでは現行の日本標準産業分類(令和5年7月改定)の定義を、どちらの行に近いかを判断する手がかりに使います。細分類7651「酒場、ビヤホール」は「主として酒類及び料理(簡易な食事を含む)又は酒類のみをその場所で飲食させる事業所」で、事例にダイニングバーとオーセンティックバーが挙がっています。
一方、細分類7661「バー、キャバレー、ナイトクラブ」は「客に遊興飲食させる事業所」で、オーセンティックバーは不適合事例として7651に振り分けられています。接待や遊興を伴わずにワインと料理を出す店は、酒場,ビヤホールの数字と比べるのが筋です。
| 指標(2025年度) | 酒場,ビヤホール 平均 | 同 黒字企業平均 | バー等 平均 |
|---|---|---|---|
| 調査対象数 | 212社 | 74社 | 73社 |
| 売上高総利益率 | 67.8% | 69.4% | 79.8% |
| 人件費対売上高比率 | 32.2% | 30.0% | 30.4% |
| 諸経費対売上高比率 | 32.9% | 30.7% | 39.4% |
| 売上高営業利益率 | -1.8% | 4.4% | -1.1% |
| 3.3㎡当たり売上高(年) | 2,535千円 | 3,398千円 | 2,480千円 |
出典:日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」飲食店・宿泊業(2025年度)。バー等は遊興飲食店のうち、スナックを除く「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の行です。黒字企業平均は「黒字かつ自己資本プラス企業平均」です。
調査対象は公庫融資先のうち従業者50人未満の法人企業で、人件費には役員報酬・退職金・福利厚生費が含まれます。事業主の取り分を人件費に入れない個人店の計画とは、人件費率と利益率をそのまま比べられません。原価率は比べられます。ワインバーで原価率を20%前後に置くと、バー等の行に寄せた数字になり、ワインを中心に出す店では根拠を問われます。
グラスワインの開栓ロスを織り込んだ原価率の計算
グラスワインの原価率は、ボトル1本から何杯を売り切れたかで変わります。750mlのボトルを1杯100mlで出せば7杯、120mlなら6杯です。開栓後に売り切れずに捨てた分や、試飲・注ぎすぎで減った分は、売れた杯の原価に乗ります。仕入値2,100円のボトルを1杯1,000円で出す場合の原価率は次のとおりです。
| 1本から売れた杯数 | 売上 | 原価率 |
|---|---|---|
| 7杯(100mlずつ・残量50mlは売上に含めない) | 7,000円 | 30.0% |
| 6杯 | 6,000円 | 35.0% |
| 5杯 | 5,000円 | 42.0% |
設例ではグラスワインの原価率を6杯で計算した35%、フードを30%と置きます。客単価4,000円のうちグラスワインが2,500円、フードが1,500円なので、全体の原価率は(2,500円×35%+1,500円×30%)÷4,000円で約33%です。酒場,ビヤホールの平均(約32%)とほぼ同じ水準になります。
ボトルで注文されれば開栓ロスは出ませんが、原価率は値付けで決まります。仕入値の3倍で売れば33%、2.5倍なら40%です。グラスの銘柄数を増やすほど同時に開いているボトルが増え、売り切れない杯が出やすくなります。開業当初はグラスの銘柄を絞り、1本を何日で売り切れているかを記録してから増やすと、計画の原価率と実績のずれを早く見つけられます。
ワインリストの銘柄数と在庫に寝る資金
ワインバーの運転資金で見落とされやすいのが、セラーに置くワインの在庫です。公庫の経営指標の利用の手引き(sme_findings2_01.pdf)では、商品回転期間を「(期首棚卸資産+期末棚卸資産)÷2÷月商」で求めます。2025年度の酒場,ビヤホールは平均0.2か月、黒字企業平均で0.1か月でした。月商200万円に当てはめると、平均で40万円、黒字企業平均で20万円の在庫です。
| ワインリストの構成 | 在庫本数 | 在庫額 | 月商200万円比 |
|---|---|---|---|
| グラス10銘柄×3本+ボトル50銘柄×2本 | 130本 | 約27万円 | 0.14か月 |
| グラス10銘柄×3本+ボトル150銘柄×2本 | 330本 | 約69万円 | 0.35か月 |
表の在庫額はワインだけを平均仕入値2,100円で計算した一時点の金額です。公庫の商品回転期間と比べる際は、食材や貯蔵品等も含め、期首・期末の平均棚卸資産額にそろえます。銘柄を150に増やすと、在庫に寝る資金は経営指標の平均(40万円)の約1.7倍になります。熟成させてから出すボトルや高価格帯の銘柄を持てば、その差はさらに広がります。銘柄数は店のコンセプトそのものですが、計画書では「開業時は何銘柄で始め、売れ行きを見て何か月後に増やすか」を書き、増やす分の仕入れ資金を運転資金に入れておきます。
国税庁のお酒に関するQ&Aは、酒類の仕入れや販売について帳簿に記帳する必要がある点は、販売業免許を受けて販売する場合も酒場等で提供する場合も同じだとしています。銘柄ごとの仕入れと出庫を記録しておけば、税務上の記帳と在庫の把握を一度に済ませられます。食材を含めた在庫の付け方は飲食店の在庫管理システムとは?食材・原価・ロス管理と発注連携の機能・選び方を解説で扱っています。複数店舗に広げて銘柄別の在庫をPOSや発注と連動させる段階になったら、在庫管理システムの開発で店の運用に合わせた仕組みを作る選択肢もあります。
返済・生活費を含む必要客数の逆算
損益分岐点は「赤字にならない売上」ですが、個人の店では借入の元金返済と自分の生活費も利益から出します。目標にするのはそこまで含めた売上です。設例の月商200万円で、減価償却費を省いた簡易収支を組むと次のようになります。以下の利益と損益分岐点は減価償却前の値です。
| 項目 | 月額 | 置き方 |
|---|---|---|
| 売上高 | 200.0万円 | 20人×4,000円×25日 |
| 売上原価 | 66.0万円 | 原価率33% |
| 人件費 | 20.0万円 | アルバイト1人・事業主分除く |
| 家賃 | 22.0万円 | 売上の11% |
| その他経費 | 22.0万円 | 水道光熱・グラス破損・決済手数料等 |
| 支払利息 | 1.3万円 | 800万円×年2.0%÷12 |
| 利益 | 68.7万円 | – |
| 元金返済 | 約9.5万円 | 800万円÷84回(据置なし) |
| 生活費 | 30.0万円 | – |
支払利息は公庫の計算方法どおり「借入金残高×金利(年利)÷12か月」で出しています。年2.0%は設例の仮置きなので、実際の計画では申込時の利率に置き換えます。
人件費・家賃・その他経費・支払利息の計65.3万円を固定費、原価率33%を変動費率とすると、損益分岐点売上高は65.3万円÷(1−0.33)で月約97万円、1日約10人です。元金返済と生活費を加えた必要売上は、(65.3+9.5+30)万円÷0.67で月約156万円、1日約16人になります。計画の20人に対して余裕は4人ほどです。この試算には事業主の税金・社会保険料を含めていないので、実際にはその支払いに備える月額を分子に足して計算し直します。計算式の考え方は損益分岐点比率とは?計算式と業種別の目安、安全余裕率の見方と月次で追う方法【2026年版】で詳しく扱っています。
客単価の下振れと開栓ロスによる必要客数の変化
中小機構のJ-Net21が公開しているワインバーの業種別開業ガイドの収支試算は、客単価を開業直後の3,500円から1年目後半に3,200円へ下げています。店が知られるにつれて1杯だけ飲む客や2軒目・3軒目に使う客が増える、という理由です。
設例で客単価が4,000円から3,200円に下がると、必要売上の月156万円を割る客数は1日約20人になり、計画の余裕はなくなります。開栓ロスで原価率が33%から37.5%に上がった場合は、必要売上が月約168万円、1日約17人です。この設例では、原価率より客単価の下振れのほうが返済余力を大きく削ります。面談の前に、客単価を2割下げた数字でも返済が続くか、続かないなら席数・営業日・家賃のどれで埋めるかを決めておきます。
ワインバーの開業資金と立ち上がり期の運転資金
公庫の2025年度新規開業実態調査では、全業種の開業費用は平均975万円、中央値600万円でした。業種を問わない数字なので、ワインバーの必要資金は物件の条件と見積書で決まります。J-Net21のガイドは、都内9坪・カウンター6席で最大20人を収容し、半分以上を立ち飲み席とする家賃25万円の店で、次のように試算しています。
| 区分 | 主な項目 | 金額 |
|---|---|---|
| 物件取得費用 | 保証金・礼金・仲介手数料等 | 225万円 |
| 店舗設備工事 | 内装・厨房設備・看板等 | 650万円 |
| 什器備品 | 調理道具・什器・レジ等 | 110万円 |
| その他 | 人材募集・広告・レジ準備金 | 27万円 |
| 運転資金 | 研修時人件費・開業前家賃・仕入・当面の経費 | 305万円 |
| 合計 | – | 1,317万円 |
同じ試算では、開業直後の3か月は1日6人・月商52.5万円で毎月27.3万円の赤字、次の3か月も毎月約12.1万円の赤字です。黒字になるのは7か月目からで、最初の半年の赤字は合計約118万円になります。この試算の利益には借入の返済が入っていないので、返済と生活費まで含めると、立ち上がり期に必要な資金はさらに膨らみます。
計画書では、開業初月から計画どおりの客数が来る前提を置かないことです。客数が計画に届くまでの月数を決め、その間の仕入れ・家賃・人件費の支払いと赤字分を運転資金として「必要な資金と調達方法」欄に載せます。借入の元金返済と生活費は事業の資金とは分け、手元の自己資金と月々の利益で賄えるかを資金繰り表で確かめます。設備資金は見積書と金額を一致させ、自己資金は通帳で貯めた経緯を説明できるようにしておきます。月別の入出金の追い方は資金繰り表の作り方:エクセルで組む5手順と入金予定日の計算式、自動化の判断【2026年版】を参考にしてください。
ワインバーの許認可・届出と酒類の販売業免許
許認可は自由記述欄か別紙に、手続き名と予定日を並べておきます。ボトルの持ち帰り販売や深夜営業を売上計画に入れるなら、その前提になる手続きも書きます。
| 手続き | 窓口 | 要る場合 |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 保健所 | 全ての店 |
| 食品衛生責任者の選任 | 保健所へ相談・講習は実施団体 | 全ての店 |
| 防火管理者の選任 | 消防署 | 収容人員30人以上 |
| 深夜酒類提供飲食店営業の届出 | 警察署 | 午前0時〜6時に酒を出す |
| 酒類小売業免許 | 税務署 | ボトルを持ち帰り用に売る |
| 食品等輸入届出 | 検疫所 | ワインを自分で輸入する |
防火管理者は、消防法施行令第1条の2第3項第1号ロにより、飲食店で収容人員が30人以上になると選任の対象です。16席の設例なら単独では届きませんが、雑居ビルでは建物全体の収容人員で判定されるため、物件ごとに消防署へ確認します。
酒を出す飲食店(通常主食と認められる食事を常に出す店を除く)が午前0時から6時に営業するには、風営法第33条により公安委員会への届出が要り、同法施行規則第103条第3項で営業開始日の10日前までに出します。都道府県は条例で地域を決めて深夜営業を禁止できるので、物件の用途地域は契約前に確認します。設例のように24時に閉める店なら届出は不要です。
ボトルの持ち帰り販売に要る酒類小売業免許
国税庁の酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達は、酒場や料理店が、営業場以外の場所で飲まれることを予知して酒類を消費者に継続して販売する場合には、酒類の販売業免許が必要だとしています。未開栓のボトルを持ち帰り用に売るワインショップ併設型の計画は、これに当たります。
店頭で売るか、1つの都道府県の消費者だけに売る場合は一般酒類小売業免許です。2都道府県以上の広範な地域の消費者にインターネットやカタログで売る場合は、原則として通信販売酒類小売業免許が必要です。ただし、県境を越えても販売場の近隣商圏への販売なら、一般酒類小売業免許で扱える場合があります。国税庁のQ&Aによれば、免許は販売場ごとに受け、酒類販売管理研修を受けた人の中から酒類販売管理者を選任します。持ち帰り販売の売上を事業の見通しに入れるなら、免許の取得時期と、取得までその売上を見込まない月を計画に書き分けます。
ワインを自分で輸入するときの手続き
インポーターを通さず海外の生産者から直接仕入れる計画なら、税関のカスタムスアンサーを確認します。自分の酒場や料理店で飲ませる目的で輸入する場合、輸入地を管轄する検疫所への食品等輸入届出書の提出が必要で、店内で飲ませるだけなら酒類の販売業免許は要りません。輸入したワインを持ち帰り用やほかの店に売るなら、販売業免許が必要になります。
直輸入は、生産者価格だけでなく輸送費・税金・通関費用を含む1本当たりの調達額で比較します。最低発注量が増える契約なら、国内仕入れとの差額と、追加で必要になる在庫資金を計画に織り込みます。原価率の改善と在庫の増加を、同じ表で並べて示すと面談で説明しやすくなります。
審査で突っ込まれるワインバーの計画の弱点
ワインバーの計画書が面談で崩れるのは、ワインの扱い方と数字がつながっていないときです。次の4つは、出す前に自分で潰せます。
- グラスワインの原価率を、ボトル1本を全量売り切る前提で置いている。開栓ロスを入れた原価率と、何杯売れれば計画どおりかを示します。
- 原価率を経営指標の「バー,キャバレー,ナイトクラブ」に合わせている。オーセンティックバーやダイニングバーは「酒場,ビヤホール」に分類され、原価率の目安は約32%です。
- ワインリストの銘柄数と在庫額が運転資金に入っていない。開業時の仕入れ額と、銘柄を増やす時期と金額を書きます。
- 開業初月から計画どおりの客数を置いている。立ち上がり期の赤字と返済を運転資金で賄えるかを、月別の資金繰りで示します。
飲食店全般の計画書で見られる点は飲食店の事業計画書が創業融資の審査結果を大きく左右する具体的な理由、時間帯別の回転数で売上を組む方法は立ち飲み屋の事業計画書の書き方|公庫の創業計画書の記入例と回転数から組む収支計画【2026年版】、表計算での作り方はエクセルで事業計画書を作成する具体的な手順と必要シートの全体像にまとめています。
よくある質問
ワインバーの事業計画書にテンプレートはありますか?
日本政策金融公庫が創業計画書の様式と、ワインを含む200種類のドリンクを出す洋風居酒屋の記入例を、各種書式ダウンロードページで公開しています。自作の計画書でも代替できますが、記入欄と同じ項目を入れておくと面談で照合しやすくなります。
ワインバーの開業資金はいくら必要ですか?
J-Net21のワインバーの試算は、都内9坪・家賃25万円の店で合計1,317万円(うち運転資金305万円)でした。公庫の2025年度新規開業実態調査では、全業種の開業費用は平均975万円、中央値600万円です。実際の金額は物件の見積書で積み上げます。
ワインバーの原価率の目安はどのくらいですか?
日本標準産業分類でオーセンティックバーやダイニングバーが入る「酒場,ビヤホール」は、公庫の2025年度経営指標で売上高総利益率が平均67.8%、原価率に直すと約32%です。グラスワインはボトル1本から何杯売れたかで原価率が変わるので、開栓ロスを見込んで置きます。
ワインバーでボトルワインを持ち帰り販売するには免許が必要ですか?
必要です。営業場以外で飲まれることを予知して酒類を継続して販売するなら、販売場ごとに酒類小売業免許を受け、酒類販売管理者を選任します。店内で飲ませるだけなら販売業免許は要りません。
ワインバーの経営にソムリエの資格は必要ですか?
営業に必須の資格ではありません。必須なのは飲食店営業許可と食品衛生責任者の選任です。公庫の経営者略歴欄では、勤務先名に加えて担当業務・役職・身につけた技能の記載が求められます。資格名とともに、仕入れや在庫管理を担当した年数と内容を具体的に書きます。