確定申告で確定した税金を納め遅れると、遅れた日数に応じて延滞税が上乗せされます。令和8年中の期間に対応する割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。令和4年から令和7年まで4年続いた年2.4%と年8.7%から上がりました。この記事では、国税庁の「延滞税の割合」「延滞税の計算方法」と国税通則法の条文をもとに、割合の決まり方、起算日、実額の計算、3段階の端数処理、1年を超えたときに計算期間が短くなる特例、法人税と地方税の延滞金で計算が変わる点まで順に確認します。
まとめ:延滞税の計算で外せない7点
- 令和8年1月1日から12月31日までの期間に対応する延滞税は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以後が年9.1%です。
- 起算日は法定納期限の翌日です。ただし割合の切替基準になる「納期限」は別の概念で、期限後申告と修正申告では申告書を提出した日を指します。
- 所得税の法定納期限は毎年3月15日とは限りません。令和7年分は令和8年3月16日、個人事業者の消費税及び地方消費税は令和8年3月31日です。
- 計算の基礎となる本税は1万円未満を切り捨て(国税通則法118条3項)、算出した延滞税は100円未満を切り捨て、全額が1,000円未満なら納付は不要です(同法119条4項)。
- 期限内申告の後、1年を超えてから修正申告や更正があった場合は、原則として、法定申告期限から1年を経過する日の翌日から、修正申告書の提出日または更正通知書の発出日までが計算期間から外れます(同法61条1項1号)。
- 振替納税は正常に引き落とされれば納期限に納付したものとみなされますが(同法34条の2第2項)、残高不足で引き落とせなければ法定納期限の翌日まで遡って延滞税がつきます。
- 住民税や個人事業税の延滞金も令和8年は年2.8%と年9.1%ですが、低い割合が使えるのは納期限の翌日から1か月までで、国税より1か月早く切り替わります。
令和8年の延滞税の割合と計算式
延滞税の額は「本税 × 割合 × 日数 ÷ 365」で計算します。割合は納期限からの経過期間で2段階に分かれるため、期間を2つに区切ってそれぞれ計算し、合計します。税務大学校の講本「国税通則法」は、閏年を含む期間でも算式の「365日」を366日とはしないこと、延滞税は複利計算をせず、計算の基礎となる本税と併せて納付すること(国税通則法60条3項)を示しています。
令和8年は年2.8%と年9.1%(令和3年からの推移)
国税庁「延滞税の割合」が公表している各年の割合は次のとおりです。延滞税特例基準割合の列は、同ページの算定式から逆算した値です。
| 適用期間 | 納期限の翌日から2か月以内 | 2か月を経過した日の翌日以後 | 延滞税特例基準割合 |
|---|---|---|---|
| 令和3年 | 年2.5% | 年8.8% | 年1.5% |
| 令和4年 | 年2.4% | 年8.7% | 年1.4% |
| 令和5年 | 年2.4% | 年8.7% | 年1.4% |
| 令和6年 | 年2.4% | 年8.7% | 年1.4% |
| 令和7年 | 年2.4% | 年8.7% | 年1.4% |
| 令和8年 | 年2.8% | 年9.1% | 年1.8% |
割合は暦年で切り替わります。滞納期間が年をまたぐときは、令和7年に対応する部分を年2.4%と年8.7%で、令和8年に対応する部分を年2.8%と年9.1%で、それぞれ日数按分して足します。令和7年分の所得税を令和8年の夏まで放置した場合、計算期間はすべて令和8年に入るので2.8%と9.1%だけで足ります。
割合を決める延滞税特例基準割合の仕組み
本則の割合は、納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日までが年7.3%、それ以降が年14.6%です(国税通則法60条2項)。実際にはこれと特例の割合を比べ、低いほうが適用されます。国税庁は特例を「年『7.3%』と『延滞税特例基準割合+1%』のいずれか低い割合」「年『14.6%』と『延滞税特例基準割合+7.3%』のいずれか低い割合」と説明しています。この特例を定めているのは通則法本体ではなく租税特別措置法94条1項です。根拠条文を探すときは通則法60条だけを見ても見つかりません。
延滞税特例基準割合は、同庁の定義では「各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合」です。令和8年の2.8%から1%を引くと延滞税特例基準割合は年1.8%、告示された金利は年0.8%となります。同じ告示金利に年0.5%を加算する利子税特例基準割合が、令和7年の0.9%から令和8年は1.3%へ上がっていることとも一致します。
つまり延滞税の割合は財務大臣の告示次第で毎年動きます。令和8年が2.8%だからといって令和9年も同じとは限らず、前年11月30日までの告示を確認するまで翌年の割合は確定しません。資金繰りの計画に「延滞税は年2.4%」といった数年前の数字を使い回さないでください。
延滞税の起算日と割合切替の基準となる納期限
延滞税の計算では、起算日と割合の切替基準になる「納期限」を区別する必要があります。起算日は法定納期限の翌日で固定ですが、年2.8%と年9.1%の切替基準になる納期限は申告の種類によって動きます。
所得税・消費税・贈与税・相続税の法定納期限
国税庁「延滞税の計算方法」が注記している直近3年分の法定納期限は次のとおりです。3月15日が土曜日・日曜日・祝日等に当たる年は、国税通則法10条2項等により、これらの休日が明けた日が期限になります。
| 税目 | 令和5年分 | 令和6年分 | 令和7年分 |
|---|---|---|---|
| 所得税及び復興特別所得税 | 令和6年3月15日 | 令和7年3月17日 | 令和8年3月16日 |
| 個人事業者の消費税及び地方消費税 | 令和6年4月1日 | 令和7年3月31日 | 令和8年3月31日 |
贈与税の申告と納付の期限は、相続税法28条1項と33条により翌年2月1日から3月15日までです。令和7年分は所得税と同じく令和8年3月16日になります。相続税は相続税法27条1項で、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内と定められており、申告する人ごとに日付が異なります。予定納税の所得税も延滞税の対象です(国税通則法60条1項4号)。納期限と減額申請の期日は個人事業主の予定納税の記事で確認してください。
法人税の法定納期限と申告期限延長中の利子税
法人税の確定申告書は各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出し、納付も同じ期限までです(法人税法74条1項・77条)。3月31日決算の法人の通常の納期限は5月31日ですが、土日・祝日等に当たる場合は翌開庁日になります。令和8年は5月31日が日曜日のため、通常の納期限は6月1日で、延滞税の起算日は6月2日です。計算式、令和8年の年2.8%と年9.1%、端数処理、除算期間の扱いは個人の所得税と同じです。
計算が変わるのは、定款の定め等による申告期限の延長の特例を受けている法人です。定時総会が2か月以内に招集されない常況にあることなどを理由に申告期限を延ばせますが、延長された期間の分には延滞税ではなく利子税がかかります。国税庁「延滞税の割合」は、法人税法75条の2に係る利子税の割合を令和8年は年1.3%としています。利子税の計算期間には延滞税は課されません(国税通則法64条2項)。年2.8%より低いものの無利息ではないので、本来の期限までに見込額を納めておけば、その納付分には利子税が生じません。
期限後申告・修正申告の提出日を基準とする割合の切替
国税通則法60条2項ただし書は、低いほうの割合が適用される期間を「納期限までの期間又は納期限の翌日から二月を経過する日までの期間」と定めています。この納期限について国税庁は、期限内に申告された場合は法定納期限、期限後申告または修正申告の場合は申告書を提出した日、更正・決定の場合は更正通知書を発した日から1月後の日、と整理しています。同法35条2項1号が、期限後申告書と修正申告書について「その期限後申告書又は修正申告書を提出した日」を納期限と定めていることに対応します。
ここを押さえると結論が変わります。3年前の申告漏れを今年になって修正申告した場合でも、申告書を提出したその日に本税を納めれば、法定納期限の翌日から提出日までのうち、除算期間を除いた計算対象期間には低いほうの割合、つまり令和8年中なら年2.8%で計算されます。年9.1%が登場するのは、提出日から2か月を過ぎてもなお納めないときです。「法定納期限から2か月を過ぎたら9.1%」という説明は、期限後申告や修正申告にはそのまま当てはまりません。修正申告そのものの手続きは修正申告の仕組みを解説した記事にまとめています。
振替納税の引落し不能時における延滞税の起算日
振替納税の振替日は法定納期限より後に設定されますが、国税通則法34条の2第2項が「その納付の日が納期限後である場合においても、その納付は納期限においてされたものとみなして、延納及び延滞税に関する規定を適用する」と定めているため、正常に引き落とされれば延滞税は生じません。逆に残高不足で引き落とせなければ、このみなし規定が働かず、法定納期限の翌日から延滞税が発生します。振替日の前日までに口座残高を用意しておくことが、そのまま延滞税の回避になります。振替日の具体的な日付は消費税の引き落とし日をまとめた記事を参照してください。
本税253,400円に対する令和8年の延滞税計算例
期限内申告を済ませた令和7年分の所得税253,400円を、法定納期限の令和8年3月16日までに納めず、令和8年6月30日に全額納付した場合で実際に計算します。
納期限から2か月以内と経過後の日数・税額
起算日は3月17日です。納期限が3月16日なので、その翌日から2か月を経過する日は5月16日になります。計算の基礎となる本税は1万円未満を切り捨てて250,000円です。
| 区分 | 期間 | 日数 | 割合 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2か月以内 | 3月17日から5月16日 | 61日 | 年2.8% | 250,000 × 2.8% × 61 ÷ 365 | 1,169円 |
| 2か月経過後 | 5月17日から6月30日 | 45日 | 年9.1% | 250,000 × 9.1% × 45 ÷ 365 | 2,804円 |
| 合計 | 3月17日から6月30日 | 106日 | 2段階 | 上の2行の合計 | 3,900円 |
2つの期間の金額はそれぞれ1円未満を切り捨ててから足します。1,169円と2,804円の合計3,973円から100円未満を切り捨て、納付額は3,900円です。同じ条件を令和7年の割合(年2.4%と年8.7%)で計算すると、各期間の1円未満を切り捨てた1,002円と2,681円の合計は3,683円で、100円未満を切り捨てた納付額は3,600円です。割合の改定によって、同じ滞納でも300円増えています。
1万円未満・1円未満・1,000円未満の3段階の切捨て
端数処理は、計算の基礎税額、各期間の計算額、合算後の確定額について行います。各期間の計算額に生じた1円未満の端数は、租税特別措置法96条2項により切り捨てます。基礎税額は国税通則法118条3項で、「附帯税の額を計算する場合において、その計算の基礎となる税額に一万円未満の端数があるとき、又はその税額の全額が一万円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる」と定めています。本税が9,800円なら基礎が全額切り捨てられ、何日遅れても延滞税は発生しません。
合算後の確定額は同法119条4項で、「附帯税の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満(加算税に係るものについては、五千円未満)であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる」と定めています。算出額が1,000円未満なら納付は不要です。上の例で本税が同じ250,000円でも滞納が10日なら、250,000 × 2.8% × 10 ÷ 365 で191円となり、1,000円未満なので納付は生じません。加算税の切捨てラインが5,000円未満である点は延滞税と異なるので、同じ基準だと思い込まないでください。
国税庁の計算ツールが対応していない場合
国税庁は延滞税の計算方法のページに、所得税と個人事業者の消費税及び地方消費税の延滞税を自動計算する画面を用意しています。ただし同ページは対応範囲を次のように限定しています。
- 令和7年分、令和6年分および令和5年分の期限内申告、期限後申告、修正申告に対応
- 申告した本税額を一度に納付する場合に限り対応
- 修正申告は、期限内に確定申告された後に提出されるものに限り対応
- 修正申告等において重加算税が課された場合は対応していない
- 更正・決定については対応していない
- 確定申告において申告・納期限を延長された場合は対応していない
上記の対応条件を満たさない場合や、対応していないケースに該当する場合は、このツールでは延滞税額を確認できません。法人税や地方税もこのツールの対象外です。とくに分割で納めた場合は、国税通則法62条1項により納付の日の翌日以後は基礎となる税額がその分減るため、納付のたびに期間を区切って計算し直す必要があります。分割納付や更正・決定を受けたケースでは、税務署に金額を確認するのが確実です。
住民税・個人事業税など地方税の延滞金の計算
住民税や個人事業税を納め遅れたときにかかるのは、延滞税ではなく地方税の延滞金です。式は国税と同じ「税額 × 割合 × 日数 ÷ 365」で、令和8年の割合の数字も同じですが、割合を切り替える時期と端数処理の基準が違います。国税の延滞税の感覚で見積もると、金額を小さく見積もってしまいます。
低い割合が1か月で切れる延滞金の計算例
市町村民税の延滞金は地方税法326条1項が定め、同法附則3条の2第1項が同項を名指しして、延滞金特例基準割合(平均貸付割合に年1%を加算した割合)に年1%または年7.3%を足す方式に置き換えています。国税と同じ告示金利を使うため、大田区の説明のとおり令和8年は「0.8パーセント+1パーセント+1パーセント=2.8パーセント」と年9.1%です。違うのは低い割合の期間で、326条1項は「当該納期限の翌日から一月を経過する日」までとしています。県税の個人事業税も同じで、千葉県は令和8年中の割合を、納期限の翌日から1か月を経過する日までは年2.8%、その後は年9.1%と案内しています。
納期限が令和8年8月31日の地方税300,000円を10月30日に納めた場合で比べます。延滞金は9月1日から9月30日までの30日が年2.8%で690円、10月1日から10月30日までの30日が年9.1%で2,243円となり(各期間で1円未満切捨て)、合計2,933円から100円未満を切り捨てて2,900円です。同じ税額と日付を国税の延滞税として計算すると、60日がすべて2か月以内に入るので年2.8%だけの1,380円、切り捨てて1,300円にとどまります。遅れが1か月を超えると、地方税のほうが早く高い割合に入ると考えてください。
延滞金の端数処理は1,000円と2,000円が基準
端数処理の基準も国税と異なります。千葉県の延滞金の案内は、延滞金の計算の基礎となる税額に1,000円未満の端数があれば切り捨て、税額の全額が2,000円未満なら延滞金はかからないとしています。算出した延滞金は100円未満を切り捨て、1,000円未満ならかかりません。国税の延滞税は基礎税額を1万円未満で切り捨てるので、本税9,800円の国税には延滞税がかからない一方、同じ9,800円の地方税は9,000円を基礎に延滞金を計算します。
また、地方税の納期限の延長があった場合、本来の納期限の翌日から延長された納期限までは、国税の利子税特例基準割合と比べる仕組みで令和8年は年1.3%になると同県は案内しています。個人事業税そのものの税率や控除の計算は個人事業税がかからない業種と計算を解説した記事にまとめています。
1年を超えてからの修正申告で外れる除算期間
何年も前の申告を修正すると、その全期間に延滞税がかかると考えてしまいがちですが、国税通則法61条には計算期間を短くする特例(除算期間)があります。
61条1項が計算期間から控除する期間
1号は、期限内申告書が提出されている国税について、法定申告期限から1年を経過する日後に修正申告書が提出され、または更正通知書が発せられたときに、「その法定申告期限から一年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間」を控除すると定めています。2号は期限後申告書が提出されている場合の規定で、起点がその期限後申告書の提出があった日の翌日から起算して1年を経過する日になります。
令和5年分を令和8年に修正申告した例で見ると、延滞税がかかるのは法定納期限の翌日からおよそ1年分と、修正申告書を提出した日の翌日以降の期間だけです。期限内申告済みの令和5年分所得税なら、原則として令和7年3月16日から令和8年の修正申告書提出日までが除算期間です。提出日によって期間が変わるため、一律に約2年とはなりません。
特定修正申告書・特定更正に係る除算期間の適用除外
この特例には除外があります。61条1項は、修正申告書のうち「偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者が当該国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知して提出した当該申告書」を特定修正申告書として除き、更正についても同様に特定更正を除いています。条文が判断軸に置いているのは偽りその他不正の行為の有無で、修正申告についてはこれに加えて、調査で更正を予知して提出したかどうかも要件になります。更正のほうには予知の要件がありません。
実務の取扱いは国税庁の法令解釈通達「延滞税の計算期間の特例規定の取扱いについて」(昭和51年6月10日付)が定めています。同通達は、延滞税の計算の基礎となる国税が「重加算税が課されたものである場合」と、通告処分や告発がされたものである場合に特例を適用しないとし、当初は過少申告加算税だったものが取り消されて重加算税が課されたときは当初から適用がないものとして延滞税を徴収するとしています。一方で「偽りその他不正の行為により免れ、又は還付を受けた部分の税額についてだけ適用がないものとして取り扱う」とも定めています。つまり修正申告の一部に重加算税の対象があっても、それ以外の部分の税額には除算期間が残ります。国税庁の計算ツールは重加算税が課された場合に対応していないので、この場合は部分ごとに計算を分けて税務署に確認してください。重加算税そのものの要件は重加算税の判断基準を解説した記事で整理しています。
源泉所得税などに適用される61条3項の除算期間
源泉徴収した所得税を納め忘れていた場合には、別建ての除算があります。国税庁の税務大学校講本は、この控除期間が「源泉徴収等による国税」(源泉所得税と特別徴収に係る国際観光旅客税)にも認められると説明しています。61条3項は、法定納期限から1年を経過する日後に納税告知書が発せられた国税(1号)と、告知を受けずに法定納期限から1年を経過する日後に納付された国税(2号)について、その1年を経過する日の翌日から告知書の発出日または納付の日までの期間を控除すると定めています。ただし書により、法定納期限までに納付しなかったことについて偽りその他不正の行為がある場合は適用されません。2号はさらに、調査があったことで告知があるべきことを予知して納付したときに限って除外されます。
源泉所得税は納期が毎月または年2回と細かく、数年分まとめて未納が判明することがあります。納税告知を受けずに納付し、国税通則法61条3項の適用要件を満たす場合は、各納期分について法定納期限から1年を超える一定期間が計算期間から控除されます。未納に気づいたら、各納期の本税額と納付予定日を整理し、除算期間の適用を税務署に確認してください。
延滞税の負担を抑える納付日の決め方
延滞税は日割りで増えるため、納付日を1日決め直すだけで金額が変わります。判断材料は割合の切替日と猶予制度の2つです。
割合の切替日までの完納・一部納付による負担軽減
年9.1%は年2.8%の3.25倍です。先ほどの例で、6月30日ではなく切替日の5月16日までに完納していれば、延滞税は1,169円から100円未満を切り捨てた1,100円で済み、2,800円少なくなります。納付を45日早めた場合の差額です。なお令和8年5月16日は土曜日なので、金融機関の窓口で納める場合は前営業日の5月15日が実質的な期限になります。その場合の低い割合の期間は60日となり、250,000 × 2.8% × 60 ÷ 365 で1,150円、100円未満を切り捨てて1,100円となり、この例では15日と16日のどちらに納めても延滞税の納付額は同じです。手元資金の都合で全額は無理でも、国税通則法62条1項により一部納付した分は翌日から基礎税額が減るので、切替日までに入れられるだけ入れておく効果はあります。
納税・換価の猶予期間における延滞税の軽減・免除
一時に納めると事業の継続や生活の維持が困難になる場合は、換価の猶予を検討します。納税の猶予は、災害・病気・事業の休廃止・著しい損失など、別の要件に該当するかを確認します。国税通則法63条1項は、換価の猶予や事業の廃止等による納税の猶予をした場合、猶予した期間(納期限の翌日から2か月を経過する日後の期間に限る)に対応する部分の2分の1を免除すると定めています。災害等による納税の猶予や滞納処分の執行の停止をした場合は、その期間に対応する部分が全額免除されます。さらに同条3項は、財産の状況が著しく不良である場合などに、納付が困難と認められる部分を限度として免除できると定めています。
ただし、この2分の1という本則がそのまま働く場面は限られます。租税特別措置法94条2項が63条1項を読み替えており、同項の「期間(当該国税の納期限の翌日から二月を経過する日後の期間に限る。)」は「期間」に、「の二分の一」は猶予特例基準割合で計算した額を超える部分に置き換わるためです。猶予特例基準割合は平均貸付割合に年0.5%を加算した割合で、令和8年は年1.3%です。令和8年の猶予期間は、2か月以内の期間も含めてこの年1.3%で計算した額だけが残ります。申請の要件や必要書類は換価の猶予の申請手順を解説した記事にまとめました。
延滞税の必要経費・損金への算入制限
延滞税を払っても税負担は軽くなりません。所得税法45条1項2号は所得税を、3号は「所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税」を必要経費に算入しないと定めています。延滞税は国税通則法60条4項により「その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税」とされるため、所得税の延滞税は2号、消費税の延滞税は3号で、いずれも必要経費から外れます。地方税の延滞金も同項5号で除かれます。法人の場合は法人税法55条4項1号が「国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税」を損金不算入と定めており、同項2号で地方税の延滞金も原則として除かれます。ただし、地方税の納期限の延長に係る延滞金は損金算入の対象です。帳簿上の扱いと消費税区分は租税公課の一覧をまとめた記事で確認してください。
よくある質問
延滞税は何パーセントですか?
令和8年1月1日から12月31日までの期間に対応する分は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以後が年9.1%です。令和4年から令和7年までは年2.4%と年8.7%でした。割合は暦年ごとに決まるため、滞納が年をまたぐ場合は年で区切り、それぞれの割合で計算して合計します。
延滞税は1年以上経つとどうなりますか?
期限内申告をした後に修正申告や更正があった場合は、国税通則法61条1項1号により、法定申告期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書の提出日または更正通知書の発出日までが計算期間から外れます。一方、期限内に申告したまま納付だけしていない場合は、この除算の対象になりません。延滞税は原則として完納の日まで発生し、1年を過ぎても止まりません。ただし、年9.1%は令和8年中の該当期間の割合であり、年をまたぐ場合は各年の割合で計算します。
延滞税の計算ツールはありますか?
国税庁の「延滞税の計算方法」のページに、所得税と個人事業者の消費税及び地方消費税の延滞税を計算できる画面があります。対応しているのは令和7年分、令和6年分、令和5年分の期限内申告、期限後申告、修正申告で、本税を一度に納付する場合に限られます。重加算税が課された場合、更正・決定の場合、申告や納期限を延長された場合は対応していません。分割納付も対象外です。
延滞税と延滞金は何が違いますか?
延滞税は国税に、延滞金は住民税や個人事業税などの地方税にかかります。令和8年の割合はどちらも年2.8%と年9.1%ですが、延滞金は低い割合の期間が納期限の翌日から1か月までで、国税の2か月より短くなります。基礎税額の切捨ても国税は1万円未満、地方税は1,000円未満と基準が違います。
期限内に申告だけ済ませれば延滞税はかかりませんか?
かかります。国税通則法60条1項1号は、期限内申告書を提出した場合でも納付すべき国税を法定納期限までに完納しないときに延滞税を納付しなければならないと定めています。申告と納付は別の手続きです。なお、期限後申告であっても同法66条9項の要件(調査による決定を予知したものでないこと、期限内申告の意思について全額の期限内納付や過去の加算税等に関する政令上の要件を満たすこと、法定申告期限から1か月を経過する日までに提出したこと)を満たせば無申告加算税は課されませんが、これは加算税の規定であって延滞税には及びません。1か月以内の期限後申告でも延滞税は法定納期限の翌日から計算されます。