6月中旬に税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」が届き、身に覚えのない数十万円の請求に見えて驚く個人事業主は少なくありません。これは追徴でも間違いでもなく、前年の確定申告の結果から自動的に計算される所得税の前払いです。放置すれば延滞税が付き、逆に事情によっては申請ひとつで減らせます。
この記事では、令和8年分の予定納税について、対象になる基準額の考え方、令和8年に固有の日程、令和8年度税制改正で生じた落とし穴、減額申請の期限、納付方法ごとの手数料、そして帳簿と確定申告での処理までを、国税庁の資料と条文に当たって整理します。消費税の中間申告は別制度のため、判定基準や納期は個人事業主の消費税の引き落とし日を参照してください。
まとめ|令和8年分の予定納税で先に押さえる6つの数字
| 項目 | 令和8年分の数値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象になる基準額 | 予定納税基準額15万円以上 | 所得税法104条1項 |
| 1回あたりの納付額 | 基準額の3分の1(100円未満切捨て) | 所得税法104条3項 |
| 通知書の到達 | 6月15日まで | 所得税法106条1項 |
| 第1期の納付 | 7月1日〜7月31日(振替は7月31日) | 国税庁「令和8年分 予定納税について」 |
| 第2期の納付 | 11月2日〜11月30日(振替は11月30日) | 同上 |
| 減額申請の期限 | 7月15日(水)/11月16日(月) | 同上 |
令和8年分でとくに事故が起きやすいのは、第2期の納付開始が11月1日ではなく11月2日である点と、11月の減額申請期限が11月15日ではなく11月16日である点です。どちらも期日が日曜に当たったための繰下げで、前年までの記事や社内メモをそのまま使うとずれます。さらに令和8年度税制改正の基礎控除の引上げは予定納税額に一切反映されていないため、税額が下がるはずだと考えて納付を止めると延滞税の対象になります。以下、順に見ていきます。
予定納税の対象者と予定納税基準額15万円のライン
前年分の申告納税額が15万円以上なら第1期・第2期に3分の1ずつ
予定納税は、所得税法104条1項が「予定納税基準額が十五万円以上である場合には、第一期(その年七月一日から同月三十一日までの期間)及び第二期(その年十一月一日から同月三十日までの期間)において、それぞれその予定納税基準額の三分の一に相当する金額の所得税を国に納付しなければならない」と定める強制的な制度です。任意の前払いではないため、通知書が届いた時点で納付義務が発生していると考えてください。
3分の1を計算したときに100円未満の端数が出た場合は切り捨てます(同条3項)。たとえば予定納税基準額が50万円なら、3分の1は166,666円ではなく166,600円です。第1期・第2期でそれぞれ166,600円、合計333,200円を先に納め、残る166,800円分は翌年の確定申告で精算します。切り捨てた端数は消えるわけではなく、確定申告時の差引きで戻ってくる形になります。
基準額が前年の申告納税額と一致しない3つのケース
予定納税基準額は、原則として本年5月15日時点で確定している前年分の申告納税額と同じ金額です。ただし国税庁「令和8年分 予定納税について」は、次の3つに該当する場合、通知書の「予定納税基準額の計算の基礎」欄で計算し直した金額が基準額になると説明しています。
- 前年分の所得に、山林所得や退職所得などの分離課税の所得(上場株式等の配当所得等を除く)、譲渡所得、一時所得、雑所得、平均課税を受けた臨時所得が含まれている場合
- 前年分の確定申告で外国税額控除の適用を受けている場合
- 前年分の確定申告で災害減免法に基づく所得税の軽減免除の適用を受けている場合
実務で効いてくるのは1つ目です。所得税法104条1項1号は、譲渡所得・一時所得・雑所得・雑所得に該当しない臨時所得を「なかつたものとみなして計算した額」とすると定めています。前年に事業用車両を売った、生命保険の一時金を受け取ったといった一過性の所得で税額が膨らんでいても、その分は基準額から除かれます。前年の申告納税額が20万円あるのに通知書が来なかった、という場合はここを疑ってください。なお同項2号により、前年に源泉徴収された所得税額も差し引かれます。報酬から10.21%を源泉徴収されている業種では、申告納税額そのものが小さくなるため15万円に届かないことが珍しくありません。
予定納税が始まる所得の目安は課税総所得金額244万5,000円
「年収いくらから予定納税の対象になるのか」は検索でよく問われますが、判定に使うのは年収でも売上でもなく前年分の申告納税額です。逆算すると境界はきれいな数字になります。課税総所得金額が244万5,000円のとき、所得税額は244万5,000円×10%−97,500円=147,000円、これに復興特別所得税2.1%を加えると150,087円となり、100円未満を切り捨てて申告納税額はちょうど15万円です。源泉徴収された税額がなければ、ここが予定納税に入るラインになります。
これを事業所得に引き直すと、たとえば令和7年分の所得控除が基礎控除68万円と社会保険料控除60万円の合計128万円だけという前提なら、事業所得はおよそ372万5,000円です。青色申告特別控除65万円を差し引く前の利益なら437万5,000円前後になります。令和7年分の基礎控除は合計所得金額に応じて95万円・88万円・68万円・63万円・58万円と段階的に変わるため(国税庁タックスアンサーNo.1199)、扶養控除や生命保険料控除の有無で境界は数十万円単位で動きます。目安として押さえ、実際の判定は前年の確定申告書控えの申告納税額欄で行ってください。所得税額そのものの組み立ては個人事業主が確定申告前に把握すべき所得税の課税構造で整理しています。
令和8年分の通知書・納期限・振替日カレンダー
通知書は6月15日までに送付、確認方法は4通り
所得税法106条1項は、税務署長がその年5月15日の現況で予定納税基準額を計算し、6月15日までに書面で通知すると定めています。国税庁タックスアンサーNo.2040は「その年の6月15日までに、書面またはe-Taxによる通知で通知されます」としており、e-Taxで電子通知を選んでいる場合は紙が届きません。
手元に通知書がない状態で金額を確認したいときは、次の順で当たるのが早いです。第一に、e-Taxのメッセージボックス。第二に、前年分の確定申告書の控えにある申告納税額欄。第三に、翌年1月に届く「確定申告についてのお知らせ」に記載される予定納税額。それでも判然としない場合は所轄税務署に整理番号を伝えて照会します。通知書には「予定納税基準額」「第1期分」「第2期分」「合計」の各金額と、振替納税を利用している場合は振替先の金融機関名が記載されています。
令和8年分の納期限は7月31日と11月30日、第2期の納付開始は11月2日
| 区分 | 第1期分 | 第2期分 |
|---|---|---|
| 振替納税を利用 | 令和8年7月31日に引落 | 令和8年11月30日に引落 |
| 振替納税を利用しない | 令和8年7月1日〜7月31日 | 令和8年11月2日〜11月30日 |
| 減額申請の期限 | 令和8年7月15日(水) | 令和8年11月16日(月) |
| 判定の基準日 | 令和8年6月30日の現況 | 令和8年10月31日の現況 |
第2期の納付開始が11月2日になっているのは、条文上の起算日である11月1日が令和8年は日曜日だからです。同じ理由で11月の減額申請期限も11月15日ではなく11月16日(月)に繰り下がっています。国税庁の説明書はこの繰下げ後の日付で案内しており、条文の「十一月一日から同月三十日まで」「その年十一月十五日まで」をそのまま転記した情報とは1日ずれます。振替納税では領収証書が発行されないため、引落しの確認は通帳の記帳か口座明細で行ってください。
通知書が届かないときに疑う4つの原因と、申請期限が自動延長される規定
6月中旬を過ぎても届かない場合、原因はおおむね4つに絞れます。予定納税基準額が15万円未満だった、前述の3つの再計算事由で基準額が下がった、e-Taxの電子通知を選んでいて書面が来ない、転居後に納税地の異動届出書を出しておらず旧所轄から発送されている、のいずれかです。届かないこと自体は納付義務の消滅を意味しません。基準額が15万円以上なら納付義務は残るため、税務署への確認を先送りにしないでください。
ここで知っておく価値が高いのが所得税法111条3項です。所得税法106条1項の通知に係る書面がその年6月15日までに発せられなかった場合、減額申請の期限は「その通知に係る書面が発せられた日から起算して一月を経過した日まで延期される」と定められています。通知が遅れたせいで7月15日を過ぎてしまった、という状況では期限は自動的に延びます。通知書の発送日付を必ず控えておいてください。なお同項が併記する10月15日の基準は、所得税法109条1項の特別農業所得者に対する通知に対応するものです。特別農業所得者は所得税法107条1項により基準額の2分の1を第2期に1回だけ納める別扱いで、本記事が前提とする一般の個人事業主には当てはまりません。
令和8年分だけの落とし穴|基礎控除の引上げは予定納税に反映されない
令和8年度税制改正による基礎控除の引上げは、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。所得税は下がる方向なのだから予定納税も減るはずだ、と考えるのは自然ですが、実務はそうなっていません。国税庁「令和8年分 予定納税について」は冒頭で「令和8年度税制改正における基礎控除の見直しについては、予定納税額の計算上、考慮されていません。基礎控除の見直しは、確定申告の際に考慮され、最終的な年間の所得税額において精算されます」と明記しています。
さらに厄介なのは減額申請でも同じ扱いになる点です。減額申請の申告納税見積額は、原則として「その年の税制改正があった場合には、改正後の税法を基として計算」します。ところが国税庁の手続案内は、基礎控除の見直しだけは例外として「申告納税見積額の計算上、考慮されませんので、(4)の所得控除額が前年分と比較して増加する場合には含まれません」と釘を刺しています。つまり令和8年分については、基礎控除が上がったことを理由に減額申請を出しても認められません。差額は令和9年に行う確定申告での還付という形で戻ります。予定納税額が実感より重く感じられても、それは令和8年分に限っては仕様どおりです。
予定納税額の減額申請|令和8年分の期限は7月15日と11月16日
申請できる場合と、認められない典型パターン
減額申請は、本年分の申告納税見積額が通知された予定納税基準額を下回ると見込まれるときに使えます。国税庁が挙げる代表的な事由は、廃業・休業・失業をした場合、業況不振などで本年分の所得が前年分より明らかに少なくなると見込まれる場合、災害や盗難・横領で事業用資産や山林に損害を受けた場合、そして所得控除額や税額控除額が前年より増える場合の4つです。
4つ目は具体的で、雑損控除を受けられる、医療費控除を新たに受けるか前年より増える、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除を新たに受けるか対象者が増えた、社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除が増えたか寄附金控除を受けられる、住宅借入金等特別控除などの税額控除を新たに受けるか控除額が増えた、といったケースが列挙されています。一方で認められないのが、前節で述べた基礎控除の引上げを理由とする申請です。ここは前年比較の増加要因に含めないと明示されています。
提出期限・添付書類・承認までの流れ
7月の減額申請は令和8年6月30日の現況で申告納税見積額を計算し、令和8年7月15日(水)までに提出します。11月の減額申請は10月31日の現況で計算し、令和8年11月16日(月)までです。第1期分と第2期分をまとめて減らすなら7月、第2期分だけなら11月と使い分けます。提出は「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書」を作成し、e-Taxまたは書面で納税地の所轄税務署長に提出します。
添付書類の要件は所得税法112条2項が定めており、「取引の記録等に基づいて同項の申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類」を添付しなければなりません。実務では、申請時点までの月次試算表や損益計算書、年内の見込みを織り込んだ収支計算書を添えます。数字の根拠を示さない申請は却下されやすいと考えてください。申請後、税務署は承認・一部承認・却下のいずれかを決定して書面で通知します。e-Taxで提出し電子交付を希望した場合は、承認通知書等もe-Taxで受け取れます。
災害減免法による減額申請の3要件と2か月の期限
通常の減額申請とは別枠で、災害減免法による減額申請があります。要件は3つすべてを満たすことです。7月1日以後の震災・風水害・火災などの災害により住宅や家財に損害を受けたこと、その損害額(保険金などで補塡される金額を除く)が住宅や家財の価額(時価)の2分の1以上であること、本年分の所得金額が1,000万円以下であると見込まれること。期限は7月15日でも11月16日でもなく、災害を受けた日から2か月以内です。7月の申請期限を過ぎた後の被災でも使えるのが、この枠の実務上の価値になります。
納付方法の選び方と令和8年の手数料・延滞税
振替納税・ダイレクト納付・クレジットカード・コンビニの比較
| 納付方法 | 手数料 | 領収証書 | 金額の上限 |
|---|---|---|---|
| 振替納税 | 不要 | 発行されない | なし |
| ダイレクト納付 | 不要 | 発行されない | 金融機関により異なる |
| クレジットカード | 1万円ごとに99円(税込) | 発行されない | 1回1,000万円未満 |
| コンビニ(バーコード付納付書) | 不要 | 発行される | 30万円以下 |
| 金融機関・税務署の窓口 | 不要 | 発行される | なし |
第1期分については、納付書以外の方法で納付している人を除き、通知書に納付書が同封されます。予定納税額が30万円以下であれば、同封のバーコード付納付書でコンビニ納付が可能です。第2期分の納付書は、クレジットカード納付など納付書以外の方法で納付している人とダイレクト納付の届出を提出している人を除き、後日あらためて送付されます。ダイレクト納付を届け出ている場合は確定申告用の納付書も送られてこないため、窓口納付に切り替えたいときは税務署への請求が必要です。納付書そのものの書き方や税目番号は国税納付書の書き方・税目番号一覧と入手方法にまとめています。
クレジットカード納付の決済手数料は1万円ごとに99円
国税のクレジットカード納付は「国税クレジットカードお支払サイト」経由で納付受託者に立替払いを委託する仕組みで、決済手数料は納付税額1円〜10,000円が99円(税込)、10,001円〜20,000円が198円、20,001円〜30,000円が297円と、10,000円を超えるごとに99円ずつ加算されます。実質負担率はおよそ0.99%です。以前の83円刻み(0.83%)で計算している解説がまだ残っているので、シミュレーションは同サイトの計算機能で行ってください。
還元率1.0%以上のカードでなければ手数料負けします。第1期分16万6,600円をカード納付すると手数料は1,683円で、還元率1.0%のカードなら獲得ポイントは1,666円相当ですから、この時点で赤字です。手数料も領収証書もない振替納税かダイレクト納付を基本線にし、カードは資金繰りを1か月後ろにずらす必要がある場合の選択肢と位置づけるのが妥当です。なお納付手続が完了すると取消しはできず、納税の猶予等も受けられなくなります。
令和8年の延滞税は年2.8%と年9.1%、15万円を5か月遅らせた場合の実額
国税通則法60条1項4号は「予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき」を延滞税の発生事由として明記しています。確定申告の本税と同じ扱いです。令和8年1月1日から12月31日までの期間に対応する割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です。令和4年から令和7年までの年2.4%・年8.7%から引き上がっている点に注意してください。
第1期分15万円を納期限の令和8年7月31日に納めず、12月28日に納付した場合で計算します。8月1日から9月30日までの61日は年2.8%で701円、10月1日から12月28日までの89日は年9.1%で3,328円です。端数処理前の金額で足し上げると4,030円となり、100円未満を切り捨てて延滞税は4,000円になります。一方、同じ15万円を14日遅れで納めた場合の延滞税は161円で、国税通則法119条4項により全額が1,000円未満のときは切り捨てられるため納付額は0円になります。数日の遅れなら実害は出ませんが、2か月を超えると税率が3倍以上に跳ね上がる設計です。延滞税の起算日や計算期間の特例は確定申告の期限超過で生じる延滞税の発生条件で詳しく扱っています。資金繰りが厳しく期限内納付が難しい場合は、放置せず税金が払えない個人事業主が最初に確認すべき納付状況を確認したうえで、納期限前に税務署の徴収担当へ相談してください。
予定納税の仕訳と確定申告での精算
予定納税は必要経費にならないため事業主貸で処理する
所得税法45条1項2号は、所得税の額は不動産所得・事業所得・山林所得・雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しないと定めています。予定納税は所得税そのものの前払いですから、租税公課で処理すると誤りです。事業用口座から引き落とされた場合は、借方に事業主貸、貸方に普通預金を計上します。第1期分16万6,600円なら「事業主貸 166,600 / 普通預金 166,600」の1本だけです。摘要に「令和8年分予定納税第1期」と書いておくと、翌年の申告時に合計額を拾うのが楽になります。
プライベート口座から納付したなら、事業の帳簿には何も記帳しません。仕訳を起こす必要があるのは事業用の資金が動いたときだけです。復興特別所得税も所得税と一体で課される国税ですから、区分せずまとめて事業主貸で構いません。制度の位置づけは復興特別所得税の仕組みと対象者を参照してください。租税公課として経費になる税金とならない税金の線引きは租税公課の定義と対象範囲で整理しています。
確定申告書第一表の「予定納税額」欄への記入と、書き忘れのリスク
翌年の確定申告では、通知書の「合計」欄の金額を確定申告書第一表の「予定納税額(第1期分・第2期分)」欄に記載し、算出した本年分の税額から差し引きます。国税庁の説明書はこの点を最も強い調子で注意しており、「申告がない場合は、納める税金が過大に計算されてしまいます」と警告しています。すでに納めた33万3,200円を書き忘れれば、その額をもう一度納付することになります。
記入するのは第一表だけです。第二表に予定納税額を書く欄はありません。また減額申請が承認された場合は、承認後の金額ではなく実際に納付した金額を記載します。転記元は通知書ではなく納付実績(通帳の引落記録やe-Taxの納付区分番号通知)に合わせるのが安全です。
払いすぎた分の還付と、還付加算金の起算日
予定納税額が本年分の税額を上回れば差額は還付されます。所得税法139条1項が「税務署長は、当該申告書を提出した者に対し、当該金額に相当する予納税額を還付する」と定める法定の還付で、還付申告を別途出す必要はありません。
見落とされがちなのが還付加算金です。同条3項は、計算期間を「還付をすべき予納税額の納付の日(その予納税額がその納期限前に納付された場合には、その納期限)の翌日から」還付の支払決定日までとしています。第1期分なら令和8年7月31日の翌日から起算されるため、翌年春の還付までにおよそ9か月分が付きます。令和8年の還付加算金特例基準割合は1.3%です。ただし同項ただし書により、確定申告書を期限後に提出した場合は、確定申告期限の翌日から提出日までの日数が計算期間から除かれます。期限後申告にすると本税の還付時期が遅れるだけでなく、遅れた期間の還付加算金も付きません。なお国税通則法120条3項により、還付加算金の全額が1,000円未満のときは切り捨てられます。
よくある質問
会社員の副業でも予定納税の通知書は届きますか。
届きます。予定納税基準額の判定は職業ではなく前年分の申告納税額で行うためです。ただし所得税法104条1項2号により、前年に源泉徴収された所得税額は基準額から差し引かれます。給与から源泉徴収されている分と副業報酬から源泉徴収された分が控除されるため、副業所得だけで課税総所得金額244万5,000円相当に届く規模でなければ、15万円のラインに達することは多くありません。判定は前年の確定申告書控えの申告納税額欄で確認してください。
令和8年分は基礎控除が上がるのに、なぜ予定納税額は前年並みなのですか。
令和8年度税制改正の基礎控除の見直しが、予定納税額の計算上考慮されていないためです。国税庁の説明書は「基礎控除の見直しは、確定申告の際に考慮され、最終的な年間の所得税額において精算されます」としています。減額申請の申告納税見積額の計算でも同じく考慮されず、所得控除額が前年より増加した事由にも含まれません。基礎控除の引上げだけを理由にした減額申請は通らないため、差額は令和9年の確定申告で還付を受ける形になります。
予定納税を分割して納めることはできますか。
第1期分・第2期分という2回への分割が制度上の分割そのものであり、各期の金額をさらに任意に分けて納める仕組みはありません。納期限までに全額を納められない見込みなら、まず6月30日または10月31日の現況で減額申請の要件に当たらないかを確認します。要件に当たらず資金が足りない場合は、納期限前に所轄税務署の徴収担当へ相談してください。納期限を過ぎてからの相談では、延滞税の起算はすでに始まっています。
減額申請が却下されたら第2期でもう一度申請できますか。
できます。7月の申請と11月の申請は判定の基準日が異なり、7月は6月30日の現況、11月は10月31日の現況で申告納税見積額を計算します。7月時点では業況の落ち込みを数字で示しきれなかった場合でも、10月末までの実績が積み上がれば認められる余地があります。11月の申請期限は令和8年11月16日(月)です。ただし7月に申請して承認を受けた人が11月に再申請する場合、比較対象は当初の予定納税基準額ではなく、承認された申告納税見積額になります。
廃業した場合、予定納税はどうなりますか。
廃業は減額申請の対象事由として明示されています。廃業後の見込所得で申告納税見積額を計算し、期限までに減額申請書を提出してください。申請しないまま放置すると、通知された金額の納付義務は残ったままです。なお納期限前に出国する場合は扱いが異なり、所得税法115条により、出国後に納期限が到来する予定納税額に相当する所得税を出国の時までに納付しなければなりません。
消費税にも予定納税はありますか。
消費税には中間申告・中間納付という別の制度があり、所得税の予定納税とは判定基準も納期も回数も異なります。両方の対象になる個人事業主は、7月と11月に所得税、それとは別のタイミングで消費税と、年間の資金繰りが二重になります。振替日を含む具体的な日程は個人事業主の消費税の引き落とし日で確認してください。