個人事業主やフリーランスが源泉徴収と関わる場面は2つあります。取引先から報酬を受け取るときに10.21%を差し引かれる場面と、自分が人を雇ったり税理士に報酬を払ったりして差し引く側に回る場面です。この記事では、所得税法204条・205条の条文と国税庁タックスアンサー(No.2795・No.2793など、令和8年4月1日現在)をもとに、どの仕事が対象か、いくら引かれるか、確定申告でどう精算するか、いつから自分に納付義務が生じるかを順に整理します。
まとめ:個人事業主の源泉徴収で押さえる要点
- 源泉徴収されるのは所得税法204条1項に列挙された報酬だけです。原稿料・デザイン料・講演料・士業報酬などが該当し、システム開発やプログラミング、建設の請負代金は列挙にありません。
- 原稿料・デザイン料・講演料・士業報酬などの税額は、1回の支払が100万円以下なら10.21%、100万円を超える部分は20.42%です。100万円の判定は年間合計ではなく1回の支払ごとに行います。司法書士・外交員・ホステスなどの報酬は一定額を控除してから計算します。
- 請求書で報酬と消費税を分けて書けば、支払者は税抜額を源泉徴収の対象として計算できます。インボイス制度の開始後もこの扱いは変わっていません。
- 差し引かれた税額は所得税の前払いです。確定申告書の第一表「源泉徴収税額」欄(令和7年分様式では㊾)に記入して精算し、経費や控除が多ければ還付されます。
- 給与を払っていない個人事業主は、外注先に報酬を払っても源泉徴収をしません(所得税法204条2項2号)。例外はバー等を経営する個人がホステス等に払う報酬です。1人でも人を雇うと義務が生じ、原則翌月10日までに納付します。
- 令和9年分から防衛特別所得税が加わりますが、合計税率は変わらないため10.21%・20.42%の計算方法はそのままです。
以下、受け取る側の論点を先に、支払う側の論点を後に説明します。
個人事業主が源泉徴収と関わる2つの立場
源泉徴収は、報酬や給与を支払う人が所得税をあらかじめ差し引いて国に納める仕組みです。国税庁No.2110は、支払者が会社でも個人でも源泉徴収義務者になると説明したうえで、例外として「給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金については、源泉徴収をする必要はありません」と明記しています。
| 立場 | 主な場面 | やること | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 受け取る側 | 法人から原稿料・デザイン料を受け取る | 差引後の入金を確認し確定申告で精算 | 所法204条1項・205条 |
| 支払う側(給与なし) | 外注先・税理士に報酬を払う | 源泉徴収しない | 所法204条2項2号 |
| 支払う側(給与あり) | 従業員の給与・税理士報酬を払う | 差し引いて翌月10日までに納付 | 所法183条・204条 |
従業員も青色事業専従者もいなければ、立場は1行目と2行目だけです。1人でも給与を払い始めた時点で、3行目の立場に切り替わります。
源泉徴収の対象になる報酬と対象外の仕事
所得税法204条1項に列挙された報酬の範囲
対象は条文の列挙で決まります。個人事業主に関係が深いのは次の号です。
| 号 | 主な報酬(施行令320条を含む) |
|---|---|
| 1号 | 原稿・さし絵・作曲・デザイン・講演料・翻訳・通訳・校正・脚本・写真(印刷物掲載用)・技芸や知識の教授 |
| 2号 | 弁護士・税理士・司法書士・社会保険労務士・建築士・技術士・企業診断員(経営指導を含む)など |
| 4号 | プロスポーツ選手・モデル・外交員・集金人など |
| 5号 | 映画・演劇・音楽などの出演、演出、撮影、編集など |
| 6号 | ホステス・バンケットコンパニオンなど |
デザインの範囲は所得税基本通達204-7が9区分で示しています。工業デザイン、グラフィックデザイン(広告・ポスター・包装紙等)、パッケージデザイン、インテリアデザイン、服飾デザインなどです。名目が謝金・取材費・車代でも、実態が原稿料や講演料と同じなら対象になると国税庁No.2795は説明しています。
経営コンサルタントは、施行令320条2項の「企業診断員(企業経営の改善及び向上のための指導を行う者を含む。)」に当たる場合に2号の対象です。セミナー講師料は1号の講演料や「知識の教授」として扱われます。
列挙にない仕事:システム開発・建設の請負・物品販売
列挙にない報酬は、受け取る側が個人でも源泉徴収されません。プログラミングやシステム開発、アプリ開発の業務委託料、大工・左官など一人親方の請負代金、商品の販売代金は204条1項にも施行令320条にもありません。看護師やエンジニアの業務委託報酬が源泉徴収されないのも同じ理由です。
Web制作は業務内容ごとに判定します。通達204-7の9区分は「次のようなものがある」という例示なので、Webサイトの名称が無いことは対象外の根拠になりません。画面デザインの部分はデザインの報酬に当たり得て、コーディングやシステム開発の部分は列挙にありません。一括で受ける契約では、見積書と請求書でデザイン料とコーディング料を分けて書いておくと、取引先が対象額を判定できます。
一人親方は、仕事の実態が雇用(指揮命令を受け、時間で拘束される)に近いと判断されると、請負ではなく給与として扱われ、給与の源泉徴収の対象になります(所法204条2項1号)。報酬の名目より契約の実態で決まります。
源泉徴収税額の計算:10.21%と100万円超の20.42%
原稿料・デザイン料等の源泉徴収税額の計算式と金額別早見表
所得税法205条1号の税率は10%(1回の支払が100万円を超える部分は20%)です。これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わり、国税庁No.2795の計算式は次のとおりです。1円未満の端数は切り捨てます。
| 1回の支払額(税抜) | 計算 | 源泉徴収税額 | 手取り |
|---|---|---|---|
| 50,000円 | 50,000×10.21% | 5,105円 | 44,895円 |
| 100,000円 | 100,000×10.21% | 10,210円 | 89,790円 |
| 333,333円 | 333,333×10.21% | 34,033円 | 299,300円 |
| 1,000,000円 | 1,000,000×10.21% | 102,100円 | 897,900円 |
| 1,500,000円 | (1,500,000−1,000,000)×20.42%+102,100 | 204,200円 | 1,295,800円 |
手取りの欄は消費税を加える前の金額です。100万円の判定は「同一人に対し一回に支払われる金額」(205条1号)で行うため、毎月30万円の報酬を12回受け取って年360万円になっても、すべて10.21%です。逆に、半年分の150万円をまとめて1回で支払う契約にすると、50万円分に20.42%がかかります。最終的な所得税は確定申告で精算されるので年税額は変わりませんが、入金時点の手取りは減ります。
司法書士・土地家屋調査士の報酬は同一人への1回の支払につき1万円を控除した残額に10.21%を掛けます(国税庁No.2801)。外交員報酬は月12万円を控除しますが、同じ月に給与も支払う場合は12万円からその給与の額を引いた額しか控除できず、給与が12万円以上なら控除額は0円です(国税庁No.2804)。いずれも205条2号の計算です。計算体系の全体は給与・賞与・報酬ごとに異なる源泉所得税の計算体系で比較しています。
消費税込みと税抜きの判定:請求書の区分記載による税抜計算
報酬に消費税が含まれている場合、原則は税込額が源泉徴収の対象です。ただし国税庁No.2795は「請求書等において報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません」とし、注記で「インボイス制度開始後も、上記の取扱いは変更ありません」と明記しています(平成元年直法6-1)。
報酬10万円・消費税1万円を区分して書き、支払者が税抜額で計算すれば、源泉徴収税額は10,210円です。税込11万円の1行だけだと11,231円になり、1,021円多く差し引かれます。国税庁の示す条件は請求書での区分記載で、適格請求書発行事業者の登録の有無は条件に入っていません。
交通費・宿泊費の扱い:実費請求は対象・支払者の直接払いは対象外
旅費や宿泊費も、報酬と一緒に受け取ると原則として源泉徴収の対象に含まれます。対象から外れるのは、所得税基本通達204-4の条件を満たす場合だけです。支払者が交通機関やホテルへ直接支払い、かつ金額が通常必要な範囲内であることが条件です。
出張を伴う講演やコンサルで交通費を立て替えて実費請求すると、その実費にも10.21%がかかります。差し引かれた分は確定申告で精算されるので最終的な損はありませんが、手取りを減らしたくなければ、チケットや宿を取引先が直接手配する形を契約時に決めておきます。
令和9年分からの防衛特別所得税と10.21%の内訳
令和8年度税制改正で防衛特別所得税(所得税額の1%)が創設され、復興特別所得税は2.1%から1.1%に下がります。適用は令和9年(2027年)1月1日以後に生ずる所得からです。国税庁No.2110は「改正前と改正後とで、防衛特別所得税および復興特別所得税の合計税率に変更はありませんので、改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません」と説明しています。
つまり請求書の源泉徴収税額は令和9年以降も10.21%・20.42%のまま計算します。変わるのは内訳と名称で、復興特別所得税の課税期間は令和29年12月31日まで延長されました。個人事業主の申告書側の計算は個人事業主の復興特別所得税で扱っています。
請求書の書き方:源泉徴収税額の記載例
源泉徴収の対象になる仕事では、請求書に源泉徴収税額と差引請求額を書いておくと、取引先の計算と入金額の確認が一致します。報酬10万円(税抜)、消費税10%、交通費なしの例です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| デザイン料(税抜) | 100,000円 |
| 消費税(10%) | 10,000円 |
| 合計(税込) | 110,000円 |
| 源泉徴収税額(100,000円×10.21%) | −10,210円 |
| 差引ご請求額 | 99,790円 |
適格請求書発行事業者は、登録番号・税率ごとの対価の額と消費税額などの記載事項を満たしたうえで、源泉徴収の行を追加します。源泉徴収は消費税の記載事項ではないので、インボイスの要件には影響しません。インボイスの記載事項は適格請求書(インボイス)とはで確認できます。
取引先が満額を振り込んできたときは、まず理由を分けて考えます。仕事が204条1項の対象外、または取引先が給与を払っていない個人なら、源泉徴収されないのが正しい扱いで、全額を収入に計上して確定申告で所得税を納めれば済みます。対象の報酬なのに差し引かれていなかった場合は徴収漏れで、源泉徴収の義務と不納付加算税は支払者側にあり、受け取った側に罰則はありません。確定申告の源泉徴収税額欄には実際に差し引かれた額を書き、差し引かれていない額を書き込まないでください。取引先が後から源泉徴収税額を納付した場合、所得税法222条により、取引先はその金額を受け取った側に請求できます。
確定申告での精算:差し引かれた源泉徴収税額の扱い
第一表・第二表への記入と支払調書の要否
差し引かれた源泉徴収税額は、確定申告で年間の所得税から控除します。令和7年分の確定申告の手引き(p48)では、第一表の㊾欄に「所得税額等の源泉徴収税額の合計額」を、第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」欄に支払者ごとの収入金額と源泉徴収税額を記入します。
収入に計上するのは源泉徴収される前の金額です。入金額99,790円ではなく報酬10万円(税込経理なら11万円)を売上に計上し、差し引かれた10,210円は事業主貸などで処理します。入金額だけを売上にすると売上が10,210円少なく計上され、帳簿に源泉徴収税額の記録も残らないため、申告書の源泉徴収税額欄への記入漏れにもつながります。
支払調書は確定申告に添付する必要がありません。支払調書は支払者が税務署に提出する書類(所法225条)で、受け取る側へ交付する義務は法律にありません。原稿料や士業報酬などは、同一人への年間支払が5万円以下なら税務署への提出も不要です(施行規則84条2項4号。外交員報酬などは50万円以下)。届かない取引先があっても、通帳の入金記録と請求書の控えから支払者ごとの報酬額と源泉徴収税額を集計すれば申告できます。支払調書の提出範囲は法定調書とはに一覧があります。
還付額の試算:年360万円の報酬を10.21%で差し引かれた場合
原稿料・デザイン料などの源泉徴収税額は経費や所得控除を考えずに報酬の10.21%で計算されるため、経費や所得控除が多い人ほど払いすぎになります。次の試算は、報酬がすべて1回100万円以下のデザイン料で、ほかの所得と予定納税がなく、複式簿記で記帳し貸借対照表・損益計算書を添付して期限内にe-Taxで申告する(青色申告特別控除65万円)前提です。基礎控除は令和8年分の104万円(合計所得金額489万円以下)を使います。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 報酬(税抜・毎月30万円×12回) | 3,600,000円 |
| 差し引かれた源泉徴収税額 | 367,560円 |
| 必要経費 | 1,200,000円 |
| 青色申告特別控除(前提は下記) | 650,000円 |
| 事業所得 | 1,750,000円 |
| 社会保険料控除(仮定) | 400,000円 |
| 基礎控除 | 1,040,000円 |
| 課税所得金額 | 310,000円 |
| 所得税+復興特別所得税(310,000円×5%×1.021) | 15,825円 |
| 還付される税金 | 351,735円 |
この条件では、差し引かれた367,560円のうち351,735円が戻ります。反対に、経費が少なく所得が大きい人は、源泉徴収税額を超える所得税を3月15日までに納めます。還付の手続きと時期は払いすぎた税金の還付、申告書全体の作り方は個人事業主の確定申告のやり方で説明しています。
個人事業主が源泉徴収を「する側」になる条件と手続き
給与を払っていない個人事業主の源泉徴収免除とホステス等の例外
所得税法204条2項2号は、1号〜5号・7号・8号の報酬のうち「給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われるもの」を源泉徴収の対象から外しています。従業員のいない個人事業主がデザイナーや税理士に報酬を払っても、源泉徴収はしません。国税庁No.2110も、給与所得者が確定申告のために税理士へ報酬を払う例を挙げて、源泉徴収は不要としています。ただし6号のホステス等への報酬は2項2号の除外に入っておらず、バー等を経営する個人は給与を払っていなくても源泉徴収します(204条2項3号・国税庁No.2793)。
注意したいのは所得税基本通達204-5です。「実際に徴収して納付する税額がない者も含まれる」とされており、月額表で税額0円のアルバイトを1人雇っているだけでも、個人のデザイナー・ライター・税理士など204条1項の報酬を受ける人へ払う分は源泉徴収が必要になります。対象外の仕事の代金や法人への支払は、雇用の有無にかかわらず源泉徴収しません。判定は「報酬、料金等を支払うべき日の現況」で行います。常時2人以下の家事使用人だけに給与を払う個人は、給与の源泉徴収義務自体がありません(所法184条)。
人を雇ったときの開設届出と翌月10日の納付
個人事業主が初めて従業員や青色事業専従者に給与を払うときは、「給与支払事務所等の開設届出書」を事実があった日から1か月以内に所轄の税務署へ提出します(所法230条)。そのうえで、給与から差し引いた所得税と、税理士などへの報酬から差し引いた所得税を、支払った月の翌月10日までに所得税徴収高計算書を添えて納付します。e-Taxで送信して口座から納めることもできます。
国税庁No.2110の注記によると、給与を支払う人は、その月に納める税額がない場合でも所得税徴収高計算書を提出するものとされています。家族に給与を払う場合の届出は専従者給与とはで扱っています。
納期の特例:7月10日と翌年1月20日の年2回
給与の支払を受ける人が常時10人未満なら、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を出すと、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納められます(所法216条)。申請した月の翌月末日までに却下の通知がなければ承認されたものとみなされ、申請した月の翌月に支払う給与等から適用されます。国税庁No.2505の例では、2月に申請すると2月支給分は通常どおり3月10日、3〜6月支給分は7月10日にまとめて納めます。
特例の対象は給与・退職手当と、204条1項2号の税理士・弁護士・司法書士などの報酬に限られます。原稿料やデザイン料から差し引いた所得税は特例の対象外で、国税庁No.2795も「納期の特例の対象とはなりません」と注記しています。外部のライターやデザイナーに毎月発注している事業者は、その分だけ毎月10日に納付が残ります。
納め忘れたときの不納付加算税と延滞税
法定納期限までに納めないと、不納付加算税と延滞税がかかります。不納付加算税は国税通則法67条で次の3段階です。
| 納付の状況 | 不納付加算税 | 根拠 |
|---|---|---|
| 税務署から納税の告知を受けた | 10% | 通則法67条1項 |
| 調査を予知せずに自主納付した | 5% | 同条2項 |
| 納期限から1か月以内に自主納付し、期限内に納める意思があったと認められる | 課されない | 同条3項 |
3項の「意思があった」場合は国税通則法施行令27条の2第2項が定めており、過去1年間に納税の告知を受けたことがなく、期限後の納付もしていないことが条件です。納付が遅れたと気づいたら、1か月以内に自分から納めるのが最も負担の小さい対応です。延滞税の割合と計算は延滞税の計算方法で確認できます。
年明けには、前年中に支払った報酬のうち提出範囲に当たるもの(原稿料・士業報酬などは同一人に年5万円超)の支払調書を、法定調書合計表とともに税務署へ提出します。期限は原則1月31日(所法225条)で、令和8年分は1月31日が日曜日のため令和9年2月1日です。給与の源泉徴収票は、令和9年1月1日以後に提出する令和8年分から、市区町村へ給与支払報告書を出せば税務署へ提出したものとみなされます。書き方は法定調書合計表とはで解説しています。
よくある質問
源泉徴収しなくてよいのはどんな場合ですか?
受け取る側で見ると、仕事が所得税法204条1項の列挙にない場合(システム開発、建設の請負、物品販売など)と、支払者が給与を払っていない個人の場合(204条2項2号。ホステス等への報酬を除く)は源泉徴収されません。交通費・宿泊費も、支払者が交通機関やホテルへ直接支払い、金額が通常必要な範囲内であれば対象外です(所基通204-4)。懸賞の入選賞金や投稿の謝金は、1人に1回5万円以下なら源泉徴収しなくてよいとされています(国税庁No.2795)。
年をまたいで入金された報酬の源泉徴収税額は、どちらの年の申告で差し引きますか?
その報酬を収入に計上した年分の確定申告で差し引きます。所得税法120条1項4号は、控除できる税額を「総所得金額…の計算の基礎となつた各種所得につき源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」と定めています。12月に納品して翌年1月に入金された報酬を前年分の売上に計上したなら、その源泉徴収税額も前年分の申告で控除します。
個人事業主は源泉徴収票をもらえないのですか?
事業所得になる報酬には源泉徴収票は発行されません。源泉徴収票は給与・退職金・公的年金などの支払者が発行する書類で、個人事業主でもアルバイト等の給与を別に受け取っていれば、その給与分は受け取れます(国税庁No.7411)。報酬の場合に支払者が作るのは支払調書ですが、税務署への提出書類であり、受け取る側への交付義務はありません。確定申告には添付不要なので、入金記録と請求書の控えから支払者ごとに金額を集計して記入します。
源泉徴収されていれば確定申告をしなくてよいですか?
個人事業主の報酬は年末調整がないため、源泉徴収だけでは精算が終わりません。10.21%は経費や所得控除を考慮していない概算です。所得税が源泉徴収税額を上回れば不足分を納め、下回れば還付申告で取り戻します。所得税がかからない程度の所得でも、源泉徴収税額がある人は申告しなければ払いすぎた分が戻りません。
一人親方の請負代金も源泉徴収されますか?
建設業の一人親方が請け負う工事の代金は、所得税法204条1項の列挙にないため源泉徴収されません。ただし、元請の指揮命令下で時間給・日給で働くなど実態が雇用に近い場合は、請負代金ではなく給与として扱われ、給与の源泉徴収の対象になります。契約書の名目でなく働き方の実態で判断されます。