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消費税の割戻し計算とは?計算式と積上げ計算との違い・有利になる条件

消費税の割戻し計算とは?計算式と積上げ計算との違い・有利になる条件

消費税の割戻し計算は、税込の売上や仕入を課税期間分まとめて合計し、そこから消費税額を逆算する方法です。インボイス制度が始まった2023年10月以降、売上税額は割戻し計算が原則、仕入税額は積上げ計算が原則と、売り手と買い手で原則が逆になりました。どちらを選ぶかで納付額が数万円単位で変わる事業者もいれば、1円も変わらない事業者もいます。税額差は、レシートや請求書の枚数・金額・適用税率・端数処理の方法に加え、課税標準額の千円未満の端数によって変わります。ここでは計算式と計算例、組み合わせの制限、端数処理、2026年10月から70%に下がった免税事業者からの仕入れの経過措置、2027年4月から予定されている飲食料品の税率1%への引下げ案で式がどう変わるかまでを順に整理します。

まとめ:割戻し計算と積上げ計算の要点

  • 割戻し計算は税込合計に100/110(軽減税率は100/108)を掛けて税抜に戻し、7.8%(軽減6.24%)を掛ける方法です。仕入側は税込合計に7.8/110(軽減6.24/108)を掛けます。
  • 積上げ計算はインボイスに記載した(受け取った)消費税額を合計し、78/100を掛ける方法です。
  • 売上は割戻しが原則、仕入は積上げが原則です。売上を積上げにした事業者は、仕入を割戻しにできません。
  • 税額差には、請求書ごとの1円未満の端数処理に加え、割戻し計算での課税標準額の千円未満切捨ても影響します。税額の端数を切り捨てたレシートを大量に出す事業者では、売上の積上げが有利になりやすくなります。各請求書の税額にも税率ごとの税抜売上合計の千円未満にも端数がなければ、両方式の売上税額は一致します。
  • 免税事業者からの仕入れは2026年10月1日から支払対価に含まれる税相当額の70%だけが控除対象です。
  • 飲食料品を2027年4月から2年間1%にする法案が成立すれば、食品の割戻しは100/101と0.78%に変わり、1%対象の税込合計が101円未満のレシートでは端数処理前の消費税額等が1円未満になります。現行の計算ルールをそのまま適用すると仮定した場合、こうした少額取引では端数処理が売上税額に占める影響が大きくなります。

「割り戻す」の意味と税込金額から税抜・消費税額を出す式

割り戻す(わりもどす)とは、税込金額から税抜金額を逆算することです。経理の現場では「割り返す」とも言い、意味は同じです。税込金額に税率を掛けて引くのでは正しい税抜金額になりません。税込1,100円に10%を掛けると110円ですが、実際の消費税は100円です。税込金額は「税抜×1.1」なので、1.1で割って戻す必要があります。

10%と軽減8%の割り戻し式と金額別の計算例

標準税率10%なら税込金額×100/110(÷1.1)が税抜金額、税込金額×10/110が消費税等の額です。軽減税率8%は100/108と8/108に置き換えます。消費税等のうち国に納める消費税(国税)の部分だけを出すときは、7.8/110(軽減は6.24/108)を掛けます。逆に、端数処理前の国税額から税抜金額へ戻すときは、標準税率分には100/7.8、軽減税率8%分には100/6.24を、国税の額から地方消費税を含む消費税等の額を出すときは100/78を掛けます。

税込金額 税率 税抜金額 消費税等 うち国税
300円 10% 272.72…円 27.27…円 21.27…円
330円 10% 300円 30円 23.4円
3,630円 10% 3,300円 330円 257.4円
19,800円 10% 18,000円 1,800円 1,404円
1,080円 8% 1,000円 80円 62.4円

税込300円のように割り切れない金額では、1円未満の端数が残ります。レシートに印字する消費税額を27円にするか28円にするかは、端数を切り捨てるか切り上げるかという売り手の選択で決まります。この1円未満の扱いは、割戻し計算と積上げ計算の税額差の主な要因です。売上側では、課税標準額の千円未満切捨ても差に影響します。国税7.8%と地方消費税2.2%の内訳については消費税10%の内訳と国税・地方税の割合で条文から整理しています。

消費税法の「割戻し」とリベートの関係

同じ「割戻し」という言葉が、消費税法では別の意味でも使われます。消費税法第38条第1項は、売上について「返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをした」場合を「売上げに係る対価の返還等」と呼び、返還した税込価額に110分の7.8(軽減税率は108分の6.24)を掛けた額を売上の消費税額から控除すると定めています。ここでの割戻しは、一定期間の取引量に応じて取引先へ代金の一部を返すリベートのことです。

リベートを支払った側は売上の消費税額を減らせますが、受け取った側は仕入の消費税額が減ります(仕入れに係る対価の返還等)。税額計算の方式としての「割戻し計算」とは別物なので、会計ソフトの勘定科目や税区分を選ぶときに混同しないようにしてください。

売上税額の計算:割戻し計算が原則・積上げ計算は特例

売上の消費税額は、税率ごとに区分した課税標準額に税率を掛けて計算するのが原則です(消費税法第45条第1項第2号)。税込売上から課税標準額を出す工程が割戻しにあたります。

割戻し計算の式と年間売上での計算例

計算は次の順に進めます。税込売上を税率ごとに合計し、100/110または100/108を掛けて課税標準額を出します。課税標準額は1,000円未満を切り捨て(国税通則法第118条第1項)、標準税率分に7.8%、軽減税率分に6.24%を掛けます。国税庁の個人事業者向け申告の手引き「消費税の税額計算」(令和7年分)の設例も、税込の課税売上高に100/108・100/110を掛け、1,000円未満を切り捨てた額を申告書の付表へ転記する順で説明しています。

工程 標準税率10% 軽減税率8%
税込売上の合計 23,456,789円 5,432,100円
×100/110・×100/108 21,324,353円 5,029,722円
課税標準額(千円未満切捨て) 21,324,000円 5,029,000円
×7.8%・×6.24% 1,663,272円 313,809円

売上の消費税額(国税)は合計1,977,081円です。税率の区分を間違えると、ここで掛ける率そのものが変わります。テイクアウトとイートインが混在する飲食店や、食品と日用品を両方売る小売店では、レジの税率設定が誤っていると割戻し計算の入口の数字から狂います。

積上げ計算の式と税額を書かないレシートの扱い

積上げ計算は、交付した適格請求書(インボイス)や適格簡易請求書(レシート)の写しを保存している場合に使える特例です(消費税法第45条第5項)。国税庁のタックスアンサーNo.6383(令和8年4月1日現在法令等)も、割戻し計算を原則、積上げ計算を特例として並べています。消費税法施行令第62条第1項は、交付した書類に「記載した」消費税額等の合計に100分の78を掛けた額を売上の消費税額とすると定めています。

注意したいのは、適格簡易請求書には消費税額等と適用税率のどちらか一方を書けばよい点です。国税庁の消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂)は、適用税率だけを記載して交付した場合は税率ごとの消費税額等の記載がないため積上げ計算はできない、と明記しています。積上げ計算を選ぶなら、レジや請求書発行システムで税額を印字する設定になっているかを先に確認します。仕入側は扱いが異なり、税額の記載がない適格簡易請求書を受け取った場合も、請求書に記載すべき税額の計算方法(消費税法施行令第70条の10)に準じて算出した額を積み上げられます(同施行令第46条第1項第2号)。

もう1つの落とし穴が、課税期間をまたぐ締め請求書です。3月決算の会社が3月21日から4月20日分をまとめて1枚の請求書にすると、そこに書いた税額には翌期の分が混ざるため、そのままでは積上げ計算の基礎にできません。同Q&Aは、期をまたぐ期間の取引だけを割戻し計算にし、残りを積上げ計算にする使い分けを認めています。

このように売上では、取引先ごと・期間ごとに割戻し計算と積上げ計算を併用できます。ただし併用した場合は売上を積上げ計算したものとして扱われ、仕入税額に割戻し計算を使えなくなります(消費税法基本通達15-2-1の2)。

仕入税額の計算:積上げ計算が原則・割戻し計算は特例

仕入側は原則と特例が売上と逆になります。受け取ったインボイスの税額を積み上げるのが原則で、割戻し計算は特例です。

請求書等積上げ計算と帳簿積上げ計算

請求書等積上げ計算は、受け取ったインボイスに記載された消費税額等のうち課税仕入れにかかる部分を合計し、100分の78を掛ける方法です(消費税法施行令第46条第1項)。毎月の締め請求書のように、1枚にまとまった税額をそのまま拾えるので転記の手間が少なく済みます。

帳簿積上げ計算は、課税仕入れのたびに支払対価に110分の10(軽減税率は108分の8)を掛けた仮払消費税額等を帳簿に計上し、その合計に100分の78を掛ける方法です。国税庁のタックスアンサーNo.6391は、このときの1円未満の端数を「切捨てまたは四捨五入」すると説明しています。切り上げは選べません。

仕入の割戻し計算の式と使える条件

仕入の割戻し計算は、税率ごとに合計した税込の課税仕入れに110分の7.8(軽減税率は108分の6.24)を掛ける方法です。税込仕入12,345,678円(標準税率)と3,210,000円(軽減税率)なら、875,420円と185,466円で、仕入の消費税額(国税)は1,060,886円になります。売上側と違って税抜金額への割り戻しと千円未満の切捨てを挟まず、税込金額に直接7.8/110を掛ける点に注意してください。

この方法を使えるのは、売上税額を割戻し計算している事業者だけです。以下の納付額の例は、仕入税額を全額控除でき、返品等の調整や中間納付がない場合を前提とします。前章の売上計算例と組み合わせると、差引税額は1,977,081円−1,060,886円=916,195円で、100円未満を切り捨てて916,100円が納める消費税(国税)、地方消費税はその22/78で100円未満を切り捨てた258,300円になります。

売上と仕入の計算方式の組み合わせ制限

4通りの組み合わせのうち、認められないのは「売上を積上げ・仕入を割戻し」の1通りだけです。

売上税額 仕入税額 可否
割戻し(原則) 積上げ(原則) 可
割戻し(原則) 割戻し(特例) 可
積上げ(特例) 積上げ(原則) 可
積上げ(特例) 割戻し(特例) 不可
割戻しと積上げの併用 積上げのみ 可

売上を切り捨てた税額で積み上げ、仕入は端数込みの税込合計から割り戻すと、両方の端数を自分に有利な側へ寄せられてしまいます。この制限はそれを防ぐためのものです。仕入側では、請求書等積上げと帳簿積上げの併用はできますが、積上げと割戻しの併用はできません(消費税法基本通達11-1-9)。売り手は取引先ごとに使い分けられ、買い手は一本化が必要という非対称な作りです。

端数処理のタイミング:インボイス1枚・課税標準額・納付税額

次の表では、インボイス・課税標準額・納付税額の端数処理を整理します。このほか、課税期間ごとの売上税額や仕入税額を算出した際にも、1円未満の端数を切り捨てます。

場面 単位 ルール 根拠
インボイスの消費税額等 1円未満 1枚につき税率ごとに1回 消令70条の10
課税標準額 1,000円未満 切捨て 国税通則法118条1項
確定した税額 100円未満 切捨て 国税通則法119条1項

インボイスの端数処理は、税率ごとに合計した税抜価額に10%(8%)、または税込価額に10/110(8/108)を掛けた後に1回だけ行います(消費税法施行令第70条の10)。切捨て・切上げ・四捨五入のどれを選ぶかは売り手の任意ですが、商品1つごとに端数処理をしてその合計を書くことは認められていません。1枚に10品目並ぶ請求書で品目ごとに切り捨てると、最大10回分の端数が消えてしまうためです。

割戻し計算と積上げ計算で税額が変わる条件と試算

割戻し計算と積上げ計算の差は、ほぼ1枚ごとに処理した1円未満の端数の累積で決まります。請求書ごとの端数処理による差の目安は「税率ごとの交付枚数×1円×78%」未満ですが、売上税額の比較には課税標準額の千円未満切捨てによる差も加わります。どちらが有利かは、端数がどれだけ発生するかで決まります。

売上側:端数切捨て・多枚数のレシートで生じる税額差

1品ずつ会計するレシート(1枚1品・端数切捨て)を想定して、年間の売上税額(国税)を試算しました。

単価(税込) 枚数 割戻し 積上げ 差
98円(8%) 100,000枚 566,217円 546,000円 20,217円
300円(10%) 20,000枚 425,412円 421,200円 4,212円
1,100円(10%) 20,000枚 1,560,000円 1,560,000円 0円

98円の商品は1枚あたりの税額7.259…円を7円に切り捨てており、その0.259…円が10万枚分積み上がって差になります。地方消費税(国税の22/78)を加えると差はさらに約28%増えます。一方、税込1,100円のように税額がちょうど100円になる単価では、端数が出ないので差はゼロです。価格を税込の切りのよい数字で設定していても、税抜価格に割り切れなければ端数は出ます。

積上げ計算を選ぶべきでないのは、次のような場合です。レシートの端数を切上げや四捨五入にしていると、積上げのほうが税額が多くなることがあります。レジが税率だけを印字していれば、そもそも積み上げる元の数字がありません。また売上を積上げにした時点で仕入の割戻しは使えなくなるため、仕入側で割戻しが有利な事業者はその分を差し引いて比べる必要があります。

仕入側の割戻し計算の有利性と端数処理回数による税額差

仕入先の多くが税額の端数を切り捨てていれば、積み上げた税額は税込合計から割り戻した税額より小さくなります。控除できる仕入税額は大きいほど納付額が減るので、仕入側は割戻し計算のほうが有利になりやすい構造です。

売上は会計ごとにレシートを発行し、仕入は月締めの請求書に集約する事業者なら、仕入側の端数処理回数を売上側より少なくできます。請求書等積上げ計算で、仕入先20社から毎月1枚ずつ、各請求書が単一税率なら年240回の端数処理となり、割戻しとの差の目安は240円×78%未満です。複数税率の請求書や、別の単位で記帳する帳簿積上げ計算では、端数処理の回数が変わります。仕入側の方式は、税額の差よりも、会計ソフトに取り込む請求書データの形式や経理の作業量で選んでかまいません。

免税事業者からの仕入れ(経過措置)の計算と控除割合の推移

インボイスを発行できない免税事業者や消費者からの仕入れは、本来は仕入税額控除の対象外です。経過措置により、一定期間は仕入税額相当額の一定割合を控除できます。令和8年度税制改正で期間と割合が見直され、2026年10月1日から控除割合は80%から70%に下がりました。

期間 控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日 80%
2026年10月1日〜2028年9月30日 70%
2028年10月1日〜2030年9月30日 50%
2030年10月1日〜2031年9月30日 30%
2031年10月1日以降 控除不可

計算は、支払対価に110分の7.8(軽減税率は108分の6.24)を掛け、さらに控除割合を掛けます。免税事業者から標準税率対象の課税仕入れを税込1,100,000円行った場合、仕入時期が2026年9月までなら62,400円、同年10月から2028年9月までなら54,600円が控除できる国税額です。適用割合は支払日ではなく課税仕入れの時期で判断します。国税庁Q&Aの問113-3は、2026年9月21日から提供を受けた役務が10月20日に完了し、10月31日に代金を払う例を挙げ、役務は全部が完了した10月20日が課税仕入れの日になるので70%を使うと説明しています。商品の仕入れなら引渡日ごとに判定し、9月30日までの分は80%、10月1日以後の分は70%です。

経過措置の適用には、通常の記載事項に加えて経過措置の対象である旨を記載した帳簿と、区分記載請求書等と同様の事項を記載した請求書等の保存が必要です。国税庁Q&Aの問113は記載例として「80%控除対象」「免」を挙げています。積上げ計算で処理する場合は、課税仕入れのたびに支払対価×7.8/110×控除割合を計算し、1円未満を切捨てか四捨五入します。また2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、1つの免税事業者等からの課税仕入れがその年(法人は事業年度)で税込1億円を超えた場合、超えた部分に経過措置を適用できません。会計ソフトの税区分が「80%控除」のままになっていないか、10月以降の仕訳で確認してください。経過措置の影響を受けやすい買掛金の処理は買掛金とは?未払金との違い・仕訳と2026年10月70%控除への対応で扱っています。

2027年4月からの飲食料品1%案で変わる割戻し計算の式

飲食料品の消費税率を2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、8%から1%に下げる法案が2026年10月9日に国会へ提出され、10月27日時点では衆議院の財務金融委員会で審議中です。以下は成立した場合の内容です。

1%の割戻し式と8%が残る取引

国税庁の飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A(令和8年9月)は、1%の内訳を消費税率0.78%と地方消費税率0.22%相当と説明しています。成立すれば、食品の割戻し計算の係数は次のように置き換わります。

計算 現行の軽減税率8% 引下げ案の1%
売上:税抜への割戻し ×100/108 ×100/101
売上:国税の税率 6.24% 0.78%
仕入:割戻し ×6.24/108 ×0.78/101
仕入:経過措置70% ×6.24/108×70% ×0.78/101×70%

8%がなくなるわけではありません。同Q&Aによると、定期購読契約に基づく週2回以上発行の新聞は8%のままです。2027年1月1日前に結んだ、不特定かつ多数の者へ定期的に継続して供給する契約に基づき、4月1日前に代金を受け取っている部分や、1月1日前に販売条件を示し4月1日前に申込みを受けた通信販売の分も、原則として引渡しが4月以後でも8%が適用されます。ただし、これらの定期供給契約や通信販売でも、税率1%を前提とする契約・販売条件であることが確認できる場合や、そのように契約等を変更した場合は1%が適用されます。引下げ期間中は10%・8%・1%の3区分で税込売上を合計する事業者が出てくるため、レジと会計ソフトに税区分を3つ持てるかが割戻し計算の前提になります。自社開発の販売管理・会計システムを使っている場合は、税区分の追加と端数処理の設定変更を2027年4月までに組み込む必要があり、改修の相談先としては会計・経理システム開発のような業務システムの開発支援があります。

税率1%案・税込98円の仮定試算:端数処理別の売上税額

税率1%では、レシート1枚に載る税額が小さくなり、1円未満の端数の重みが一気に増します。税込98円の食品を1枚1品で10万枚売った場合、割戻し計算では9,800,000円×100/101=9,702,970円、1,000円未満を切り捨てた9,702,000円に0.78%を掛けて、売上税額(国税)は75,675円です。一方、1枚あたりの消費税額等は98円×1/101=0.97…円なので、端数を切り捨てる店のレシートに印字される税額は0円になり、積上げ計算の売上税額も0円になります。切り上げる店なら1枚1円、合計100,000円×78/100=78,000円で、割戻し計算を上回ります。

現行8%の同じ条件では、差は20,217円で割戻し計算の税額の約3.6%でした。1%案では、端数処理の選び方だけで税額がゼロにも割戻し超えにもなる計算です。ただしこれは、現行の端数処理(消費税法施行令第70条の10)と積上げ計算(同第62条)のルールが1%にもそのまま当てはまると仮定した計算です。2026年9月時点のQ&Aは税率・届出・簡易課税の特例の説明が中心で、端数処理と積上げ計算への言及はありません。少額の食品を多く売る小売店は、法律の成立後に出る政省令と国税庁の案内で扱いを確かめてから、2027年4月以後の計算方式とレジの端数設定を決めてください。

簡易課税・2割特例・3割特例を使う事業者には別の特例案があります。同Q&Aは、業種区分にかかわらず、飲食料品(1%対象)の売上税額と同額を仕入税額として計上すると説明しています。食品分の納付額はゼロになるので、売上側で割戻しか積上げかを比べる意味は食品以外の売上に限られます。

簡易課税・2割特例・3割特例での売上税額の計算

簡易課税や2割特例でも、売上税額の計算は一般課税と同じです。仕入税額を実額で積み上げる代わりに、売上税額にみなし仕入率を掛けて仕入税額とみなします。そのため仕入側の割戻し・積上げの選択は関係なくなりますが、売上側の割戻し計算と積上げ計算の選択は残ります。売上の積上げで売上税額が下がった場合、端数処理前の納付額の減少幅は、2割特例ではその差額の2割、3割特例では3割です。簡易課税では、適用されるみなし仕入率に応じて減少幅が変わります。

2割特例は、売上税額の8割を仕入税額とみなして納付額を売上税額の2割にする制度で、免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者などが対象です。2026年9月30日を含む課税期間までで終わり、個人事業者は令和8年分が最後になります。令和8年度税制改正により、個人事業者に限って令和9年分と令和10年分は納付額を売上税額の3割とする3割特例が設けられました(基準期間の課税売上高1,000万円以下などが要件)。法人は3割特例を使えません。2割特例と3割特例は、簡易課税と違って事前の届出が要らず、申告書に適用する旨を付記すれば使えます(国税庁Q&A問114・問114-2)。簡易課税とどちらか一方を選ぶ制度なので併用はできず、簡易課税制度選択届出書を出している課税期間でも、申告のときに簡易課税と2割特例・3割特例のどちらで計算するかを選びます。売上1,000万円前後の個人事業主が、2割特例・3割特例と簡易課税のどれで納付額が少なくなるかは個人事業主が売上1000万円を超えたら消費税はいくら?で比較しています。

よくある質問

割戻し計算のやり方は?

売上なら、税率ごとに合計した税込売上に100/110(軽減税率は100/108)を掛け、1,000円未満を切り捨てた額に7.8%(軽減6.24%)を掛けます。仕入なら、税率ごとの税込仕入合計に7.8/110(軽減6.24/108)を掛けます。

積み上げ方式と割戻し方式の違いは何ですか?

割戻し方式は課税期間の税込合計から税額を逆算し、積み上げ方式はインボイスに書かれた税額を1枚ずつ足し上げて78/100を掛けます。税額差には、請求書ごとの1円未満の端数処理と、売上の割戻し計算における課税標準額の千円未満切捨てが影響します。

消費税を税込金額から戻す計算式は?

税抜金額は税込金額×100/110(÷1.1)、消費税額は税込金額×10/110です。軽減税率8%なら100/108と8/108を使います。税込300円なら税抜272.72…円、消費税等は27.27…円です。

消費税の積上げ計算は廃止されたのですか?

廃止されていません。売上税額の積上げ計算は消費税法第45条第5項と施行令第62条に基づく現行の制度で、国税庁のタックスアンサーNo.6383(令和8年4月1日現在法令等)にも掲載されています。売上は取引先ごとに割戻し計算と併用でき、一部でも積上げ計算を使うと仕入税額は積上げ計算に限られます。

消費税の割戻し計算ツールはありますか?

会計ソフトを使う場合は、売上・仕入それぞれの計算方式への対応状況と設定方法を、利用製品の公式ヘルプで確認してください。Excelで確認するなら、A1に課税期間中の標準税率10%対象の税込課税売上合計を入力し、=ROUNDDOWN(ROUNDDOWN(A1*100/110,-3)*0.078,0) と入れると売上税額(国税)が出ます。課税標準額の千円未満切捨てを挟んでから7.8%を掛ける式です。

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