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不動産の減価償却|建物の耐用年数と計算例、中古の簡便法と売却時の取得費

不動産の減価償却|建物の耐用年数と計算例、中古の簡便法と売却時の取得費

賃貸などの業務に使う不動産では、建物・建物附属設備・構築物の減価償却費を必要経費にできます。土地は減価償却の対象外です。平成19年4月1日以後に取得した建物は定額法で償却するため、計算は「建物の取得価額×耐用年数に応じた償却率×使った月数÷12」の一本に収まります。たとえば新築の鉄筋コンクリート造マンションで建物部分が2,400万円なら、1年分は52万8,000円です。

見落とされやすいのは出口側です。売却するときは、建物の取得費から所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。自宅として住んでいた建物でも差し引きます。この記事では、構造別の耐用年数と償却率、中古物件の簡便法、売却時の取得費の計算を、耐用年数省令と国税庁タックスアンサーの数値で順に確認します。

まとめ

  • 減価償却できるのは建物・建物附属設備・構築物で、土地はできません。平成10年4月1日以後に取得した建物は旧定額法または定額法、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備と構築物は定額法です。
  • 住宅用の法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造47年(償却率0.022)、重量鉄骨造34年(0.030)、木造22年(0.046)です。年の中途で貸し始めた年は月割りにします。
  • 中古物件は簡便法で耐用年数を短くできます。法定耐用年数を全部経過した木造は22年×20%=4.4年の端数を切り捨てて4年、償却率は0.250です。
  • 購入後の工事は、20万円未満かおおむね3年以内の周期の修理なら修繕費として支出した年の経費にでき、価値を高める部分は資本的支出として本体と同じ耐用年数の別資産で償却します。貸室の家具・家電は10万円未満・20万円未満・40万円未満(青色申告者の特例・2026年4月以後の取得分)で処理が変わります。
  • 売却時は、建物の取得価額から減価償却費相当額を引いた額が取得費になります。賃貸用は必要経費に算入される償却費の累計額を使い、計上漏れ分も含めます。自宅は取得価額×0.9×耐用年数の1.5倍に対応する旧定額法の償却率×経過年数で計算します。
  • 減価償却は売却時の取得費を減らすため、譲渡所得を増やす要因になります。売却時にも課税される場合には課税の繰延べという側面があり、得になるかどうかは「毎年の限界税率」と「売却時の税率(長期20.315%・短期39.63%)」の差で決まります。

不動産で減価償却できる資産と償却方法の決まり

減価償却の対象は、時の経過で価値が減る資産です。国税庁タックスアンサーNo.2100は「土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません」としています。土地建物を一括で買ったときは、代金を土地と建物に按分して建物部分だけを償却します。按分の考え方と根拠条文は土地は減価償却できない理由と根拠条文、建物との按分で詳しく扱っています。

取得時期による建物・附属設備の償却方法の区分

No.2100には「平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は、旧定額法または定額法のみとなり、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物の償却方法は定額法となります」とあります。いま賃貸物件を買う人にとって、建物まわりで定率法を選ぶ余地はありません。法人も同じで、平成28年4月以後に取得した建物附属設備を定率法で償却することはできません。

平成10年4月1日から平成19年3月31日までに取得した建物は旧定額法です。平成10年3月31日以前の取得分には、旧定率法を適用しているものもあります。旧定額法は「取得価額×0.9×旧定額法の償却率」で計算し、取得価額の95%に達した後は、翌年から5年間で1円まで均等に償却します。

個人の減価償却義務と計上漏れの訂正

個人の不動産所得では、償却費は計上するかどうかを選べず、毎年計算した額が必要経費になります(所得税法49条)。計上し忘れた年があっても、売却時の取得費からはその年の分も差し引きます。No.3261は「仮に毎年の減価償却費の額を必要経費としていない部分があったとしても、毎年の減価償却費の額を合計することに変わりはありません」と明記しています。計上漏れで税金を納め過ぎていた場合は、原則として法定申告期限から5年以内に更正の請求ができます。還付の有無は訂正後の税額等によります。

法人は償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額までを損金に算入する仕組みです。法人税法上は限度額より少ない償却も認められますが、会計上は中小企業の会計に関する指針が「経営状況により任意に行うことなく」耐用年数にわたって規則的に償却するとしており、赤字の年に償却を止めて利益を調整する処理は会計の原則に沿いません。個人には、そもそも償却額を選ぶ余地がありません。

取得価額に入れるものと、必要経費に回すもの

建物の取得価額は、購入代金に、建物部分に対応する仲介手数料などの購入のための費用を加えた額です。一方、個人が業務に使用する土地・建物の不動産取得税と登録免許税は、取得価額に入れず必要経費に算入します。算入時期は原則として、申告や賦課決定等で納付義務が具体的に確定した年です(No.2215)。土地を含めた付随費用の線引きは個人事業主の土地購入で経費にできる費用と勘定科目にまとめています。

建物の構造別の法定耐用年数と定額法の償却率

耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一で、構造と用途の組み合わせごとに決まっています。同じ鉄筋コンクリート造でも、住宅用は47年、事務所用は50年、店舗用は39年です。賃貸住宅は住宅用の行を見ます。建物以外の器具備品や車両も含めた別表の引き方は減価償却の耐用年数とは?国税庁の耐用年数表と別表第一〜第三の引き方にまとめています。

構造(住宅用) 法定耐用年数 定額法の償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47年 0.022
れんが造・石造・ブロック造 38年 0.027
金属造(骨格材の肉厚4mm超) 34年 0.030
金属造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下) 27年 0.038
金属造(骨格材の肉厚3mm以下) 19年 0.053
木造・合成樹脂造 22年 0.046
木骨モルタル造 20年 0.050

償却率は同省令の別表第八(平成19年4月1日以後に取得した資産の定額法の償却率表)の値です。重量鉄骨と軽量鉄骨という呼び方は法令にはなく、区分の基準は骨格材の肉厚です。軽量鉄骨のアパートは3mm以下か3mm超4mm以下かで耐用年数が8年違うため、建築確認の資料や仕様書で肉厚を確かめます。

建物附属設備の耐用年数と区分の根拠資料

建物と一体に見える設備のうち、別表第一の「建物附属設備」に当たるものは別の耐用年数で償却できます。電気設備(照明設備を含み、蓄電池電源設備を除く)と給排水・衛生設備・ガス設備は15年(償却率0.067)、冷凍機に直結する電動機の出力が22kW以下の冷暖房設備は13年(0.077)、エレベーターは17年(0.059)です。鉄筋コンクリート造の47年に比べると、早く経費にできます。

分けられるのは、金額の内訳を根拠資料で示せる場合です。新築では工事請負契約の見積明細、中古では売買契約書の内訳などが根拠資料になります。契約書に内訳がなくても、物件固有の客観的資料による合理的な按分を検討できます。中古物件の附属設備を区分する場合、物件固有の資料を使わず、一般的な設備割合だけで按分する方法は避けてください。

減価償却費の計算方法と金額別の計算例

定額法の計算式は、No.2106の「取得価額×定額法の償却率」です。年の中途で業務に使い始めた年は、この金額を12で割り、その年に業務に使った月数を掛けます。使用期間の1か月未満の端数は1か月に切り上げます。1円まで償却でき、最後の年は帳簿価額1円を残して止めます。

新築マンションと新築木造アパートの年間償却費

4,000万円の新築区分マンション(鉄筋コンクリート造)を買い、契約書上の建物価格が2,400万円、土地が1,600万円だったとします。償却するのは建物の2,400万円だけです。

2,400万円 × 0.022 = 528,000円(1年分)
9月に貸し始めた年:528,000円 × 4 ÷ 12 = 176,000円

「4,000万円のマンションの減価償却はいくらか」という問いの答えは、土地と建物の内訳で変わります。建物本体の取得価額を4,000万円、耐用年数を47年として通年償却するなら年88万円です。同じ購入総額でも、土地の割合が大きいほど建物本体の償却費は小さくなります。

建物価格2,000万円の新築木造アパートなら、2,000万円×0.046=92万円です。同じ2,000万円でも鉄筋コンクリート造なら44万円で、構造の違いだけで毎年の経費が2倍以上変わります。

自宅を賃貸に回したときの未償却残高

住んでいた家を賃貸に出すと、その日から減価償却が始まります。ただし、転用時の未償却残高は、取得価額から住んでいた期間の減価の額を差し引いて求めます(No.2108)。転用後に定額法を使う場合、毎年の償却費の計算基礎はこの残高ではなく、原則として当初の取得価額です。減価の額は、法定耐用年数の1.5倍の年数に対応する旧定額法の償却率で計算し、期間の6か月以上の端数は1年、6か月未満は切り捨てます。

木造の自宅(建物3,000万円)に10年住んでから賃貸に転用
住んでいた期間の減価の額:3,000万円 × 0.9 × 0.031 × 10年 = 837万円
転用した日の未償却残高:3,000万円 - 837万円 = 2,163万円

転用後の償却方法は、転用した日ではなく取得した日で決まります。平成19年4月1日以後に取得した建物なら定額法です。

確定申告書類の「減価償却費の計算」欄の記入項目

青色申告決算書(不動産所得用)・収支内訳書(不動産所得用)には「減価償却費の計算」欄があり、資産ごとに取得年月、取得価額、償却方法、耐用年数、償却率、本年中の償却期間(月数)、本年分の償却費を記入します。2年目以降は前年の未償却残高を引き継ぐので、初年度に取得価額と耐用年数を誤ると、売却するまで誤りが続きます。

中古物件の耐用年数を簡便法で計算する手順

中古の建物は、法定耐用年数ではなく残りの使用可能期間で償却できます(耐用年数省令3条)。見積もりが難しい場合に使えるのが簡便法で、No.2108(所得税)とNo.5404(法人税)は次の2つの式を示しています。

  • 法定耐用年数の全部を経過した資産:法定耐用年数×20%
  • 法定耐用年数の一部を経過した資産:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

算出した年数の1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年にします。

築年数別の耐用年数と償却率

物件 計算 耐用年数 償却率
木造・築25年 22年×20%=4.4年 4年 0.250
軽量鉄骨(3mm以下)・築30年 19年×20%=3.8年 3年 0.334
RC造・築20年 (47-20)+20×20%=31年 31年 0.033
RC造・築50年 47年×20%=9.4年 9年 0.112

築50年の鉄筋コンクリート造アパートも減価償却できます。耐用年数を超えた建物でも、取得価額が付いていれば償却の対象で、簡便法で9年になります。築25年の木造アパートを建物の取得価額1,200万円で買い、簡便法で4年とした場合、通年の償却費は300万円です。初年度は月割りとし、最終年は帳簿価額1円を残すよう調整します。

簡便法を使えない2つの場面

1つ目は大規模な改修をした場合です。事業に使うための資本的支出がその中古資産の取得価額の50%を超えると簡便法は使えず、さらに再取得価額(同じ新品を取得する場合の価額)の50%を超えると法定耐用年数によります。リフォーム済みで売られた物件を買い、さらに大きく手を入れる場合は確認が必要です。

2つ目は、最初の年に算定しなかった場合です。耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-1を受けたNo.5404の注記には、中古資産の耐用年数の算定は事業の用に供した事業年度においてすることができ、その事業年度に算定しなかったときはその後の事業年度において算定することはできない、とあります。初年度に法定耐用年数のまま申告すると、翌年から短くすることはできません。

国外中古建物の減価償却による損失と通算制限

令和3年以後の各年分では、国外中古建物の不動産所得に損失が出た場合、簡便法などで計算した減価償却費に相当する部分は生じなかったものとみなされます(租税特別措置法41条の4の3、No.1391)。給与所得との損益通算だけでなく、国内物件の黒字との通算もできません。海外の築古物件で4年償却の赤字を作り、給与の税金を減らす手法は、この改正で使えなくなりました。

購入後の修繕・設備交換を経費にするか資産にするかの判定

賃貸物件は買った後も、退去ごとの原状回復、外壁や屋上の改修、家具・家電の入れ替えと支出が続きます。全額をその年の経費にできるのか、資産に計上して減価償却するのかで、毎年の不動産所得と売却時の取得費の両方が変わります。名目が「修繕」かどうかでは決まりません。No.1379は「修繕や改良という名目によるのではなく、その実質によって判定します」としています。

修繕費と資本的支出を分ける20万円・3年・60万円の基準

通常の維持管理や原状回復のための支出は修繕費で、支出した年の必要経費になります。使用可能期間を延ばす部分や価値を高める部分は資本的支出です。No.1379は資本的支出の例として、建物の避難階段の取付けのように物理的に付け加えた部分と、用途変更のための模様替えなど改造・改装に直接要した金額を挙げています。

判断に迷う支出には、金額と周期による形式基準があります。

  • 1つの修理・改良などの金額が20万円未満か、おおむね3年以内の周期で行われるものは、修繕費として必要経費にできます。
  • 資本的支出か修繕費か明らかでない金額が60万円未満か、その資産の前年末の取得価額のおおむね10%以下なら、修繕費にできます。
  • どちらにも当たらず、資本的支出か修繕費か明らかでない金額には、所得税基本通達37-14の区分の特例があります。その不明額の30%と、その資産の前年末の取得価額の10%のいずれか少ない額を修繕費、残額を資本的支出として、継続して計算・確定申告することが条件です。

たとえば前年末の取得価額が2,400万円の建物で、どちらとも言えない80万円の工事をした場合、60万円は超えますが、2,400万円の10%の240万円以下なので修繕費にできます。どの基準も確定申告で修繕費として計算することが前提で、工事の見積書・請求書の内訳が判断の根拠になります。

資本的支出を本体と同じ耐用年数の別資産として償却する方法

平成19年4月1日以後に行った資本的支出は、原則として、支出をした資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして、支出額を取得価額に償却します(No.2107、所得税法施行令127条)。本体の帳簿価額に足し込むのではなく、別の行を立てて償却する点が実務で間違えやすいところです。

鉄筋コンクリート造の賃貸住宅(耐用年数47年)に、2026年4月に500万円の資本的支出
1年分:5,000,000円 × 0.022 = 110,000円
2026年分(4月から12月の9か月):110,000円 × 9 ÷ 12 = 82,500円

平成19年3月31日以前に取得した建物への資本的支出は、本体の取得価額に加算して旧定額法でまとめて償却する特例も選べます。売却するときは、資本的支出は所得税法38条1項の「設備費及び改良費」として建物の取得費に入り、その分の償却費の累計を差し引きます。修繕費として必要経費に入れた金額は取得費に加えられないため、どちらで処理したかを工事ごとに記録しておくと売却時の計算が崩れません。

家具・家電を10万円・20万円・40万円未満で処理する区分

貸室に置く家具や家電は、取得価額で処理が分かれます(No.2100)。

取得価額 処理 使える人
10万円未満 業務に使った年に全額経費 全員
10万円以上20万円未満 3年間で3分の1ずつ経費(一括償却) 全員
10万円以上40万円未満 全額経費(年300万円まで) 青色申告の中小事業者
上記以外 耐用年数で減価償却 全員

40万円未満の特例は租税特別措置法28条の2で、対象に不動産所得が明記されています。上限が40万円未満になったのは令和8年4月1日以後の取得分で、令和8年3月31日までの取得分は30万円未満で判定します。適用期限は令和11年3月31日の取得分までです。2026年2月に35万円の家電を買った場合は特例の対象外で、同じものを5月に買えば対象です。取得価額は、税込経理なら消費税込み、税抜経理なら税抜きの金額で判定します。

注意したいのは、令和4年4月1日以後に取得した資産で貸付けの用に供したものは、主要な業務として行う貸付けを除き、この3つの処理を使えない点です。賃貸物件の家具・家電がこれに当たるかについて、所得税基本通達49-39の3は、不動産貸付業を営む人がその貸し付ける建物の賃借人に家具、電気機器などを貸し付ける行為を、主要な業務として行われる貸付けの例に挙げています。ただし、同じ行為でも所得税法施行規則34条の2第2項に当たる場合は除かれます。特例の要件と判定単位の細部は少額減価償却資産とは?40万円特例はいつからかで扱っています。

不動産を売却したときに取得費から差し引く減価償却費相当額

土地や建物を売ったときの譲渡所得は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」です。No.3261によると、建物の取得費は購入代金などの合計額そのままではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額になります。計算方法は、その建物を事業(貸付けを含む)に使っていたかどうかで分かれます。

賃貸用建物の取得費から控除する償却累計額

賃貸していた建物は、取得から売却までの毎年の減価償却費を合計して差し引きます。正しく償却を計上した帳簿の未償却残高が取得費の基本になります。ただし、計上漏れは補正し、国外中古建物の特例で生じなかったものとされた損失相当額は、取得費から差し引く償却累計額から除きます。先ほどの建物2,400万円のマンションを丸10年貸して売った場合は、次のとおりです。

減価償却費の累計:528,000円 × 10年 = 5,280,000円
建物の取得費:24,000,000円 - 5,280,000円 = 18,720,000円

中古で4年償却を終えた木造アパートは、未償却残高が1円です。実額による建物の取得費はほぼゼロになります。ただし、譲渡価額の5%を取得費とする概算取得費を選べる場合があり、譲渡所得の計算では譲渡費用も差し引きます。

自宅(非業務用)の減価償却費相当額と1.5倍の耐用年数

自宅として住んでいた建物は減価償却費を経費にしていませんが、売却時には差し引きます。計算式は「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」で、償却率は法定耐用年数の1.5倍の年数に対応する旧定額法の率です。経過年数は6か月以上の端数を1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。差し引く額は建物の取得価額の95%が上限です。

No.3261の表は木造・木骨モルタル造・鉄筋コンクリート造と軽量鉄骨の2区分の5つだけで、れんが造と骨格材の肉厚4mm超の金属造(重量鉄骨)は載っていません。この2つは、国税庁が災害関連情報として公開している非業務用資産の償却率表に、57年・0.018と51年・0.020で載っています。どちらも住宅用の法定耐用年数(38年・34年)を1.5倍して1年未満を切り捨てた年数です。

構造(非業務用) 1.5倍の耐用年数 償却率
(鉄骨)鉄筋コンクリート造 70年 0.015
れんが造・石造・ブロック造 57年 0.018
金属造(骨格材の肉厚4mm超) 51年 0.020
金属造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下) 40年 0.025
金属造(骨格材の肉厚3mm以下) 28年 0.036
木造・合成樹脂造 33年 0.031
木骨モルタル造 30年 0.034

建物3,000万円の木造の自宅に15年住んで売った場合、3,000万円×0.9×0.031×15年=1,255万5,000円を差し引き、建物の取得費は1,744万5,000円です。同じ建物を15年間賃貸していたなら、償却累計は138万円×15年=2,070万円で、取得費は930万円まで下がります。住んでいたか貸していたかで、譲渡所得が814万5,000円変わります。

売却年の1月1日を基準とする所有期間の判定

譲渡所得の税率は所有期間で分かれます。売った年の1月1日時点で5年を超えていれば長期譲渡所得で所得税15%と住民税5%(復興特別所得税を含めて20.315%)、5年以下なら短期譲渡所得で所得税30%と住民税9%(同39.63%)です(No.3202・No.3208・No.3211)。2021年4月に買った物件は、2026年中に売ると短期、2027年1月1日以後に売ると長期です。売却で損失が出たときの扱いは不動産売却で損失が出たときの確定申告で説明しています。

減価償却の節税効果が課税の繰延べにとどまる条件

減価償却は売却時の課税譲渡所得を増やす要因になりますが、過去に減った税金がそのまま徴収される仕組みではありません。毎年の償却費は不動産所得を減らす一方、同じ金額だけ建物の取得費を下げ、売却時の譲渡所得を増やします。節税になるかどうかは、償却で所得を減らした年の限界税率と、売却時の税率の差で判断します。

限界税率と売却時の税率の比較

所得税の税率は課税所得に応じて5%から45%までの7段階です(No.2260)。2026年分の復興特別所得税と標準税率10%の住民税を加えた限界税率を比較します。2027年分以後は防衛特別所得税の創設と復興特別所得税率の引下げがありますが、両者の合計税率は変わりません。表は、償却による所得減少部分が同じ税率区分内に収まり、売却時にその全額に対応する課税譲渡所得が生じ、特例を適用しない場合の税率差です。所得税と住民税の課税所得の違い、資金の時間価値は考慮していません。

課税所得 限界税率(住民税込み) 長期譲渡20.315%と比べて 短期譲渡39.63%と比べて
195万円未満 約15.1% 損 損
195万〜330万円未満 約20.2% ほぼ同じ 損
330万〜695万円未満 約30.4% 得 損
695万〜900万円未満 約33.5% 得 損
900万〜1,800万円未満 約43.7% 得 得

表の前提では、償却による所得減少部分に所得税率20%以上が適用される場合、限界税率が長期譲渡の税率を上回り、33%以上なら短期譲渡の税率も上回ります。裏返すと、その部分に適用される所得税率が23%以下なら、短期売却時の増税額が保有中の減税額を上回る計算です。保有中の減税額と売却時の増税額を試算できていないなら、短期償却による節税だけを理由に築古物件を選ぶべきではありません。

帳簿の赤字を給与所得と通算するときの制限

不動産所得が赤字になれば、給与所得などの黒字と損益通算できます。ただし、土地を取得するための借入金の利子に相当する部分の赤字は通算の対象外です(No.1391)。土地取得借入金の利子がある場合は、不動産所得の赤字額とその利子額のうち少ない額を、損益通算の対象から除きます。通算の順序と申告書の書き方は損益通算とは?対象の4所得と順序・計算例を参照してください。

償却費が元金返済を下回るデッドクロス

借入金の元金返済は経費になりません。返済が進むと、元利均等返済では利息が減って元金部分が増え、さらに償却期間が終わると減価償却費がなくなります。帳簿上の利益は増えるのに手元の現金は増えず、所得税と住民税の負担だけが重くなる状態がデッドクロスです。4年償却の築古物件では、償却終了後も元金返済が続くと、この差が大きくなります。年の途中に貸し始めた場合は償却が5年目にも残り、返済額によっては償却終了前から元金返済額が償却費を上回ります。元金返済の記帳は借入金返済の勘定科目と仕訳で確認できます。

対処の基本は、償却期間が終わる時期と返済予定表を突き合わせ、その年の手残りを先に計算しておくことです。繰上返済で元金を減らすか、売却時期を長期譲渡になる年以降に合わせるかは、この試算を見てから決めます。

よくある質問

不動産の減価償却は何年ですか?

新築の住宅用建物は、鉄筋コンクリート造47年、重量鉄骨造(骨格材の肉厚4mm超)34年、木造22年です。中古は簡便法で短くなり、法定耐用年数を全部経過した木造は4年、鉄筋コンクリート造は9年です。建物附属設備では、蓄電池電源設備を除く電気設備や給排水設備が15年です。

4,000万円のマンションの減価償却はいくらですか?

土地と建物の内訳で決まります。新築の鉄筋コンクリート造で建物部分が2,400万円なら、2,400万円×0.022=年52万8,000円です。建物本体の取得価額を4,000万円、耐用年数を47年として通年償却する場合は年88万円です。土地部分は償却できません。

築50年のアパートは減価償却できますか?

できます。法定耐用年数を全部経過していても償却の対象です。使用可能期間の見積りが難しく、取得価額の50%を超える資本的支出などの除外条件に当たらなければ、簡便法で耐用年数を出せます。鉄筋コンクリート造なら47年×20%=9.4年で9年、木造なら22年×20%=4.4年で4年です。耐用年数の算定は貸し始めた年にしておく必要があり、翌年以降には算定できません。

平成10年4月以降に取得した建物の償却方法は定額法のみですか?

はい。平成10年4月1日以後に取得した建物は旧定額法または定額法のみで、平成19年4月1日以後の取得なら定額法です。平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備と構築物も定額法になりました。

減価償却費を計上しないで申告することはできますか?

個人はできません。計上しなかった年の分も、売却時には取得費から差し引かれます。計上漏れで税金を納め過ぎていた場合は、原則として法定申告期限から5年以内に更正の請求ができます。還付の有無は訂正後の税額等によります。

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