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個人事業主のふるさと納税上限額早見表|令和8年分を事業所得50万円刻み・家族構成別に計算

個人事業主のふるさと納税上限額早見表|令和8年分を事業所得50万円刻み・家族構成別に計算

個人事業主(自営業・フリーランス)のふるさと納税の上限額は、住民税の所得割額と、地方税法が定める割合表で決まります。この記事の早見表は、令和8年中(2026年1月〜12月)の寄附について、事業所得200万円から2,000万円までを条文どおりに計算したものです。社会保険料の額と家族構成で引き分けられるようにしています。令和8年分は基礎控除が最大104万円に上がった影響で、所得によっては上限額が前年より下がるため、その所得帯も示します。

まとめ:個人事業主のふるさと納税上限額の要点

  • 上限額は「住民税所得割額 × 20% ÷ 割合表の割合 + 2,000円」で決まります。割合は地方税法37条の2第11項・314条の7第11項の表を附則5条の6で読み替えたもので、令和20年度分までは84.895%・79.79%・69.58%・66.517%・56.307%・49.16%・44.055%のいずれかです。
  • 独身・社会保険料60万円なら、事業所得300万円で47,821円、500万円で115,394円、700万円で172,882円、1,000万円で270,953円が上限です。
  • 配偶者控除や16歳以上の子の扶養控除があると上限額は下がります。中学生以下の子は扶養控除の対象外なので、上限額に影響しません。
  • 令和8年分の所得税の基礎控除は、合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円です。住民税の基礎控除は43万円のままです。
  • 基礎控除の引上げで割合表の区分が下がり、令和7年中の寄附より上限額が減る所得帯があります。社会保険料60万円・独身なら事業所得459万円〜489万円で最大14,105円減ります。
  • 個人事業主は確定申告で寄附金控除を受けます。確定申告をするとワンストップ特例は使えません。

事業所得別のふるさと納税上限額早見表(令和8年分・独身)

まず結論の数字です。以下は令和8年中の寄附について、独身・扶養親族なし・ほかの税額控除なしの個人事業主を前提に、地方税法の条文どおりに計算した上限額です。事業所得は青色申告特別控除を差し引いた後の金額です。指定都市に住む人も、道府県民税と市町村民税の税率の配分が変わるだけで合計は同じなので、この表をそのまま使えます。

社会保険料控除の列を2水準に分けたのは、ここが会社員との最大の相違点だからです。左は国民年金保険料だけを納めた場合(国民健康保険料を世帯主の親が納めている場合などの下限)、右は国民健康保険料を含めて年60万円を納めた場合です。国民年金保険料は年度単位で改定されるため、令和8年中に納める額は1月から3月が令和7年度の月額17,510円、4月から12月が令和8年度の月額17,920円で、合計213,810円になります。

事業所得 所得税の基礎控除 社保21万3,810円の上限額 社保60万円の上限額
200万円 104万円 33,356円 24,262円
250万円 104万円 45,135円 36,042円
300万円 104万円 56,914円 47,821円
350万円 104万円 72,961円 59,600円
400万円 104万円 85,494円 75,818円
450万円 104万円 98,027円 88,351円
500万円 67万円 126,489円 115,394円
550万円 67万円 140,861円 129,766円
600万円 67万円 155,233円 144,138円
650万円 67万円 169,605円 158,510円
700万円 62万円 183,977円 172,882円
750万円 62万円 198,349円 187,254円
800万円 62万円 222,424円 201,626円
850万円 62万円 237,458円 225,852円
900万円 62万円 252,492円 240,886円
950万円 62万円 267,526円 255,920円
1,000万円 62万円 333,433円 270,953円

同じ事業所得400万円でも、社会保険料が21万3,810円か60万円かで上限額は85,494円と75,818円に分かれます。差は9,676円です。国民健康保険料は自治体の料率と前年の所得で決まるので、表の2列のあいだに入る人は、確定申告書第一表の社会保険料控除の額で後述の5ステップに当てはめてください。国民健康保険料を控除に入れる扱いは国民健康保険料は確定申告・年末調整で全額控除|令和8年分の書き方と証明書不要の理由で整理しています。

事業所得1,000万円超と国民健康保険料の上限

事業所得が1,000万円を超えると、社会保険料60万円の前提は現実から離れます。国民健康保険料には賦課限度額があり、令和8年度は基礎賦課額67万円、後期高齢者支援金等賦課額26万円、介護納付金賦課額17万円、子ども・子育て支援納付金賦課額3万円の合計113万円です(国民健康保険法施行令29条の7)。40歳以上65歳未満で4区分とも上限に達し、国民年金21万3,810円と合わせて134万3,810円を納めた場合の上限額を並べます。

事業所得 社保60万円の上限額 社保134万3,810円の上限額 割合(右列)
1,000万円 270,953円 248,583円 66.517%
1,200万円 390,761円 364,335円 56.307%
1,500万円 497,320円 470,893円 56.307%
2,000万円 772,748円 742,480円 49.16%

保険料が74万3,810円増えると、上限額は2万2千円から3万円ほど下がります。どの所得で上限に達するかは自治体の料率で変わるので、高所得の年は実際の納付額で計算し直してください。国民健康保険料の額の目安は個人事業主の国民健康保険はいくら?令和8年度の所得別早見表と安くする方法にあります。

家族構成別のふるさと納税上限額早見表(配偶者・高校生・大学生)

配偶者控除や扶養控除が加わると、住民税の課税総所得金額が下がって所得割額が減るため、上限額は下がります。社会保険料60万円を共通の前提にして、家族構成別に計算すると次のとおりです。配偶者と子には所得がない前提で、高校生は16歳以上19歳未満の一般の扶養親族、大学生は19歳以上23歳未満の特定扶養親族として扱っています(年齢はその年の12月31日現在)。

事業所得 独身・共働き 共働き+高校生 夫婦 夫婦+高校生 夫婦+大学生
300万円 47,821円 39,458円 39,458円 31,094円 26,736円
400万円 75,818円 67,547円 67,547円 55,831円 52,533円
500万円 115,394円 105,909円 105,909円 84,341円 81,333円
600万円 144,138円 134,653円 134,653円 125,167円 121,718円
700万円 172,882円 163,396円 163,396円 153,911円 150,462円
800万円 201,626円 192,140円 192,140円 182,655円 179,206円
900万円 240,886円 230,964円 230,964円 221,041円 207,949円
1,000万円 270,953円 261,031円 267,646円 257,724円 254,116円
1,200万円 390,761円 379,040円 390,761円 379,040円 374,777円

「共働き+高校生」と「夫婦」の列が事業所得900万円まで一致するのは、住民税の配偶者控除と一般の扶養控除がどちらも33万円で、調整控除に使う人的控除差もどちらも5万円だからです(地方税法314条の2・314条の6)。事業所得が900万円を超えると配偶者控除は22万円・11万円と段階的に縮み、1,000万円を超えるとなくなります。1,200万円の行で「夫婦」が独身と同じ額になるのはこのためです。

中学生以下(その年の12月31日に16歳未満)の子は扶養控除の対象外なので、何人いても上限額は子なしの列と同じです。大学生の列が高校生より低いのは、特定扶養親族の住民税の扶養控除が45万円と大きいからです。配偶者や子にアルバイト収入がある場合、令和8年分の所得税で扶養親族や同一生計配偶者になれるのは合計所得金額62万円以下の人です(国税庁タックスアンサーNo.1180)。給与収入だけなら136万円以下にあたります(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」令和8年4月)。扶養と配偶者控除の線引きは扶養控除と配偶者控除の違い|令和8年分は年収136万円が共通ラインで確認できます。

会社員向け・総務省の早見表が個人事業主に合わない理由

会社員向けの年収別早見表は、給与収入から給与所得控除を引き、社会保険料を給与収入から推計して作られています。個人事業主には給与所得控除がなく、国民年金は所得に関係なく定額、国民健康保険料は自治体ごとに料率と上限額が違います。低所得層では会社員より社会保険料が重く、高所得層では国保の賦課限度額に当たって軽くなるので、ずれの向きが所得帯で逆になります。青色申告特別控除・小規模企業共済等掛金控除・事業専従者給与も、会社員向けの表には織り込まれていません。

総務省ポータルに載っているのは計算式だけ

総務省の名前で早見表を探しても、所得別の表は見つかりません。総務省ふるさと納税ポータル「税金の控除について」に載っているのは、所得税・住民税の基本分・特例分の3つの計算式で、所得別の早見表はありません。以前に公開されていた給与収入別の目安表のPDF(main_content/000408217.pdf)は、2026年10月18日に確認した時点で開けなくなっています。同ポータルのよくある質問も、上限額は「お住まいの市区町村の住民税を担当する部署にお問い合わせください」と案内するにとどまります。

給与収入欄しかないシミュレーターでの入力

年収入力欄しかないシミュレーターに事業所得をそのまま入れると、ツールが給与所得控除を差し引いてしまい、所得を二重に減らします。事業所得400万円を年収欄に入れると、令和8年分の給与所得控除124万円(収入×20% + 44万円)が引かれ、276万円の所得として計算されます。詳細版の入力画面に切り替えて「事業所得」または「給与所得控除後の金額」の欄を探し、そこへ青色申告特別控除後の事業所得を入れてください。切り替えられないツールでは、社会保険料の推計も給与所得者の前提のままなので、この記事の早見表か5ステップの手計算を使うほうが確実です。

法人役員は会社員向けの表を使える

法人を設立して役員報酬を受け取っている経営者は、税務上は給与所得者です(役員報酬は所得税法28条の給与所得)。会社員向けの早見表がそのまま使え、ほかに確定申告が必要な事情がなければワンストップ特例も利用できます。会社の経費でふるさと納税をする場合の処理はふるさと納税の勘定科目と仕訳|個人事業主は事業主貸、法人は寄附金を参照してください。

住民税所得割額から上限額を出す5ステップ

個人事業主の上限額は、次の順序で機械的に求められます。会社員と違って源泉徴収票が存在しないため、確定申告書の数字を使います。

ステップ1:事業所得の確定

売上から必要経費を引き、さらに青色申告特別控除を差し引いた金額が事業所得です。青色申告特別控除は55万円、一定の要件を満たす場合は65万円、要件を満たさない青色申告者は10万円です(租税特別措置法25条の2)。65万円の適用には、55万円の要件に加えて、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿の要件で保存するか、確定申告書と貸借対照表・損益計算書を申告期限までにe-Taxで送信することが必要です(国税庁タックスアンサーNo.2072)。

ステップ2:所得控除の差し引きと2種類の課税総所得金額

所得税と住民税では基礎控除の額が違うため、課税総所得金額を2つ計算します。令和8年分の所得税の基礎控除は、所得税法86条1項1号の62万円に租税特別措置法41条の16の2第1項1号の加算を足した額です。

合計所得金額 所得税の基礎控除(令和8年分) 住民税の基礎控除
489万円以下 104万円(62万円 + 42万円) 43万円
489万円超 655万円以下 67万円(62万円 + 5万円) 43万円
655万円超 2,350万円以下 62万円 43万円
2,350万円超 2,400万円以下 48万円 43万円

社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除などは、この基礎控除と合わせて差し引きます。国民年金基金の掛金は社会保険料控除、iDeCoと小規模企業共済の掛金は小規模企業共済等掛金控除と、記入欄が分かれる点に注意してください。所得控除の全体像は個人事業主の経費と控除の違い|1万円で減る税金と令和8年分の所得控除16種で確認できます。

ステップ3:住民税の所得割額の計算

住民税の課税総所得金額に10%(道府県民税4%、市町村民税6%)を掛け、そこから調整控除を引いた額が所得割額です。調整控除は、合計課税所得金額が200万円を超える場合、人的控除差の合計額から「合計課税所得金額 − 200万円」を引いた額(5万円を下回るときは5万円)に、市町村民税3%と道府県民税2%を掛けて求めます(地方税法314条の6第2号)。扶養親族のいない人は、課税所得が200万円を超えていれば常に2,500円になります。

ここで求めた所得割額は、ふるさと納税以外の税額控除を引く前の金額です。また森林環境税の1,000円は所得割ではないので、20%の計算基礎には入りません。所得割額そのものの調べ方は住民税はいくら?年収別早見表と市町村民税所得割額の確認方法【令和8年度】で扱っています。

ステップ4:割合表の判定額と自分の割合

住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を引いた金額が、割合表を引くときの判定額です。人的控除差調整額は、調整控除で使う人的控除差の合計額に、「所得税の基礎控除の額 − 48万円」(マイナスなら0)を足した額と定められています。令和8年分は基礎控除が104万円の人なら56万円が加算され、扶養親族のいない人の人的控除差調整額は5万円 + 56万円 = 61万円になります。

ステップ5:上限額の算出

特例控除額は所得割額の20%が上限です。したがって自己負担2,000円で収まる寄附額の上限は「所得割額 × 20% ÷ 割合 + 2,000円」で求まります。事業所得400万円・社会保険料控除60万円・独身の例で通してみます。

  • 合計所得金額400万円 → 所得税の基礎控除104万円、住民税の基礎控除43万円
  • 住民税の課税総所得金額=400万円 − 43万円 − 60万円=297万円
  • 所得割額=297万円 × 10% − 調整控除2,500円=294,500円
  • 人的控除差調整額=5万円 +(104万円 − 48万円)=61万円
  • 判定額=297万円 − 61万円=236万円 → 割合表の「195万円超330万円以下」で79.79%
  • 上限額=294,500円 × 20% ÷ 79.79% + 2,000円=75,818円(1円未満切捨て)

割合表の正体と、令和8年分の基礎控除引上げで上限額が下がる人

地方税法37条の2第11項と314条の7第11項は、特例控除額を求める割合を表で定めています。本則の表は85%・80%・70%といった素の数字ですが、附則5条の6が平成26年度から令和20年度までの各年度分について、復興特別所得税の分を織り込んだ割合に読み替えています。総務省の解説にある「100% − 10%(基本分) − 所得税の税率」の税率に、復興特別所得税を加えた率を当てはめた値と同じです。

判定額(課税総所得金額 − 人的控除差調整額) 本則の割合 適用される割合 所得税率
195万円以下 85% 84.895% 5%
195万円超 330万円以下 80% 79.79% 10%
330万円超 695万円以下 70% 69.58% 20%
695万円超 900万円以下 67% 66.517% 23%
900万円超 1,800万円以下 57% 56.307% 33%
1,800万円超 4,000万円以下 50% 49.16% 40%
4,000万円超 45% 44.055% 45%
0円未満(山林所得・退職所得がない場合) 90% 90% 0%

判定額に使う人的控除差調整額は、調整控除の人的控除差に「所得税の基礎控除 − 48万円」を足したものです。このため、所得控除が基礎控除・配偶者控除・扶養控除と社会保険料控除のような全額控除だけなら、判定額は所得税の課税総所得金額と一致します。事業所得400万円・社会保険料60万円の例なら、所得税の課税総所得金額は400万円 − 104万円 − 60万円=236万円で、ステップ4の判定額と同じです。生命保険料控除や地震保険料控除は所得税と住民税で上限額が違い、その差は人的控除差調整額に入らないので、これらがある人はその差の分だけ判定額が所得税の課税所得より大きくなります。総務省の解説も、特例分の式の所得税の税率は「個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた所得税の税率」と説明しています。

基礎控除の引上げで上限額が下がる所得帯

判定額が所得税の課税所得に連動するということは、基礎控除が増えれば判定額も同額だけ減るということです。判定額が区分の境界をまたいで下に落ちると割合が上がり、上限額は下がります。住民税の基礎控除43万円は据え置きなので、所得割額のほうは変わりません。

事業所得470万円・社会保険料控除60万円・独身の人で、令和7年中の寄附と令和8年中の寄附を比べます。令和7年分の基礎控除は58万円 + 10万円=68万円(租税特別措置法41条の16の2第1項1号ハ、令和7年12月31日時点)でした。

項目 令和7年中の寄附 令和8年中の寄附
所得税の基礎控除 68万円 104万円
住民税の課税総所得金額 367万円 367万円
住民税所得割額 364,500円 364,500円
人的控除差調整額 25万円 61万円
判定額 342万円 306万円
割合 69.58% 79.79%
上限額 106,771円 93,364円

所得も社会保険料も同じなのに、上限額は13,407円下がります。では、どの所得の人が下がるのか。事業所得を100万円から2,350万円まで1万円刻みで計算し、令和7年中の寄附より上限額が小さくなる範囲を抜き出すと、次の帯に限られました(独身)。

社保60万円の事業所得 最大の減少額 社保21万3,810円の事業所得 最大の減少額
148万〜163万円 769円 117万〜125万円 776円
337万〜359万円 3,821円 305万〜320万円 3,815円
459万〜489万円 14,105円 420万〜455万円 14,275円
814万〜817万円 9,418円 775万〜778万円 9,413円
1,019万〜1,022万円 49,968円 980万〜983万円 49,946円
1,919万〜1,922万円 93,803円 1,880万〜1,883万円 93,782円

帯の外では上限額は変わりません。合計所得金額655万円超の人は基礎控除の増加が58万円から62万円への4万円だけなので、帯の幅も4万円ほどです。ただし帯に入ったときの減少額は大きく、1,000万円前後では約5万円になります。表の帯に近い人は、去年と同じ感覚で寄附せず、令和8年分を計算し直してください。扶養親族がいる人や社会保険料が違う人は、帯の位置がずれます。

割合表の境目で上限額が跳ねる所得

判定額が割合表の区分をまたぐと、割合が一段下がって上限額が不連続に増えます。社会保険料60万円・独身で、事業所得が1万円増えたときの上限額の増え方を見ると、次の4か所で大きく跳ねます。

事業所得 上限額 割合の変化 1万円増での増加
489万円 → 490万円 98,127円 → 112,520円 79.79% → 69.58% 14,393円
817万円 → 818万円 206,512円 → 216,230円 69.58% → 66.517% 9,718円
1,022万円 → 1,023万円 277,568円 → 327,891円 66.517% → 56.307% 50,323円
1,922万円 → 1,923万円 647,212円 → 741,422円 56.307% → 49.16% 94,210円

489万円の境目は令和8年分に固有で、基礎控除が104万円から67万円へ37万円下がるため判定額が一気に上がります。残りの3か所は所得税の課税所得が695万円・900万円・1,800万円を超える位置です。逆にいえば、残り3か所の境目のすぐ上にいる人がiDeCoや小規模企業共済の掛金を1万円増やすと、上限額が約1万円から約9万4千円下がります(489万円の境目は所得控除前の合計所得金額で決まるので、掛金では動きません)。12月に売上や掛金の調整余地がある人は、自分の判定額が境目のどちら側にあるかを先に確かめてください。

令和10年度分以後に加わる特例控除額の定額上限

令和10年度分以後の個人住民税では、特例控除額に所得割額20%とは別の定額上限が加わります。道府県民税77万2,000円(指定都市は38万6,000円)、市町村民税115万8,000円(指定都市は154万4,000円)の合計193万円と、所得割額の20%のいずれか低い額が上限です。193万円に届くのは所得割額が約965万円の水準なので、大多数の個人事業主には影響しません。

シミュレーターと解説記事で上限額が食い違う理由

ポータルサイトのシミュレーターの多くは、特例控除の割合を「90% − 所得税率 × 1.021」で計算しています。1.021は復興特別所得税の加算率で、この式の値は附則5条の6で読み替えた割合と一致します。食い違いが出るのは、本則の85%・80%・70%をそのまま使う解説や手計算のほうです。総務省の解説も「令和19年中の寄附までは、所得税の税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります」と注記しています。

本則の割合で計算すると上限額は少なく出る

割合を大きく取るほど、所得割額の20%を割って出す上限額は小さくなります。社会保険料控除60万円・独身で、本則の割合で計算した額と正しい額を並べます。

事業所得 本則の割合での上限額 読替え後の割合での上限額 差
400万円 75,625円 75,818円 −193円
500万円 114,714円 115,394円 −680円
700万円 171,857円 172,882円 −1,025円
1,000万円 269,014円 270,953円 −1,939円

本則で計算すると数百円から2,000円弱少なく出るので、寄附額を控えめに見積もる分には損はありません。それでもシミュレーターの結果がサイトごとに割れるなら、原因は割合の式ではなく、社会保険料の推計方法と、令和8年分の基礎控除の引上げを反映しているかどうかです。確定申告書の数字で5ステップに当てはめ、千円単位で切り下げて使ってください。

上限ちょうどの寄附で実質負担が2,000円になる計算

3つの控除を合計すると、寄附額から2,000円を引いた額に「所得税率 × 1.021 + 10% +(90% − 所得税率 × 1.021)」を掛けた金額になり、合計はちょうど100%です。事業所得400万円・社会保険料60万円の例で上限額75,818円まで寄附すると、控除額の合計は端数処理を含めて約7万3,800円、実質負担は約2,000円になります。上限を超えた部分は特例分が所得割額の20%で頭打ちになるので、超えた額のうち特例分にあたる割合がそのまま自己負担に上乗せされます(所得税分と住民税の基本分は超えた部分にも効きます)。

所得が変動する年・赤字の年の寄附額の決め方

赤字の年に控除がゼロになる理由

ふるさと納税の控除は、納めるべき所得税と住民税があって初めて発生します。事業が赤字で課税総所得金額がゼロなら、住民税の所得割額もゼロになり、特例控除の枠もゼロです。寄附そのものはできますが、自己負担は寄附額の全額になります。合計所得金額が住民税の基礎控除43万円と社会保険料控除などの合計以下にとどまり、住民税の課税総所得金額がゼロになった年も同じです。事業所得200万円前後で社会保険料の負担が重い人も、上限額が2万円台にとどまるので、選べる返礼品は限られます。

所得を締めた12月の寄附と年単位の判定

上限額を外さない最も確実な方法は、年内の売上と経費が概ね固まる12月上旬に一度計算し、そこで寄附することです。総務省ふるさと納税ポータルのよくある質問は「税の軽減については、「1月~12月」の年単位となります」と説明しており、控除の対象はその年に行った寄附に限られます。自己負担の2,000円は「1回ごとの寄附について必要となるものではなく、1年間(1月~12月)の寄附金総額に対して必要となるもの」なので、年内に複数回に分けて寄附しても負担は増えません。

ただし、決済手段によって寄附日の扱いが変わることがあり、年末は自治体側の入金処理も混み合います。締切は寄附先の自治体やポータルの年末案内で必ず確認してください。

上限超過分の繰越不可と安全マージンの取り方

上限を超えて寄附した部分は、その年の控除に使えないだけでなく、翌年に繰り越すこともできません。所得の振れ幅が大きい人は、夏までは見込みの上限額より控えめに寄附しておき、12月に所得が固まってから残りを追加する二段構えが現実的です。割合表の境目の近くにいる人ほど、1万円の所得の差で上限額が1万円から9万円ほど動くので、余裕を大きく取ってください。

個人事業主がワンストップ特例を使えない理由

ワンストップ特例の対象は、総務省ふるさと納税ポータル「税金の控除について」が示すとおり「確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合」に限られます。事業所得があって確定申告をする個人事業主は対象外で、申請済みのワンストップ特例も確定申告をすると無効になります。確定申告で寄附金控除を申告すると、所得税分はその年の所得税から還付され、住民税分は翌年度の住民税から減額されます。申告が必要かどうかの線引きはふるさと納税の確定申告のやり方|必要な人の条件・必要書類・e-Taxの入力と還付、申告書全体の書き方は個人事業主の確定申告のやり方|令和8年分の期限と基礎控除104万円で解説しています。

よくある質問

ふるさと納税の限度額はどれが正しいのですか?

条文(附則5条の6の読替え後)どおりの計算は「住民税所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税率 × 1.021)+ 2,000円」で、多くのシミュレーターと同じ式です。結果が割れるのは、社会保険料の推計や令和8年分の基礎控除の反映の違いによるものです。確定申告書の数字で5ステップに当てはめ、千円単位で切り下げて使ってください。

年収400万円の個人事業主はいくらまで寄附できますか?

「年収」が売上なのか事業所得なのかで答えが変わります。青色申告特別控除後の事業所得が400万円・独身なら、社会保険料21万3,810円で85,494円、60万円で75,818円です。売上400万円から経費100万円と青色申告特別控除65万円を引いた事業所得235万円で、国民年金だけを納めている独身の人なら41,601円です。

自分の上限額を確認する方法はありますか?

総務省は、上限額の計算はお住まいの市区町村の住民税担当部署に問い合わせるよう案内しています。手元で確かめるなら、確定申告書第一表の所得金額と所得控除の額から住民税の課税総所得金額を出し、5ステップに当てはめます。前年の住民税決定通知書の所得割額を使う方法もありますが、これは前年の所得に基づく額です。令和8年分は割合表の判定に使う基礎控除も変わっているので、目安にとどめてください。

ふるさと納税の控除はいつ返ってきますか?

所得税分は、寄附した翌年2月〜3月の確定申告で精算されます。個人事業主は納める所得税が寄附金控除の分だけ減る形になることが多く、予定納税などで納め過ぎていれば還付されます。住民税分は寄附した翌年度の住民税から差し引かれ、普通徴収なら6月に届く納税通知書の税額に反映されます。令和8年中の寄附なら、令和9年6月の通知です。

青色申告特別控除65万円を取ると上限額は下がりますか?

下がります。事業所得が65万円減るぶん、住民税の課税総所得金額も所得割額も下がるためです。ただし65万円の控除による所得税と住民税の減税額のほうがふるさと納税の上限額の減少より大きいので、控除を見送る理由にはなりません。

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