エステサロンの事業計画書は、日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業計画書の記入欄に沿って作るのが近道です。計画書には創業の動機、経歴、取引先、必要資金まで具体的に書きますが、この記事では特に、売上の根拠と、返済・生活費を払ったあとに手元資金が残るかどうかに重点を置きます。テナントで1人開業する設例を使い、開業資金の内訳、施術時間から出す売上予測、公庫の経営指標での検算、コース契約の資金管理までを順に組み立てます。
まとめ:エステサロンの事業計画書で押さえる要点
- 個人開業の資金調達は、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金が第一候補です。融資限度額は7,200万円で、自己資金を創業資金の10分の1以上とする要件は2024年度に撤廃されています。
- 売上は「客単価×ベッド数×1日の施術枠×稼働率×営業日数」で組みます。エステは1回の施術が長いので、施術時間と準備時間から1日の枠数を先に出します。
- 公庫の経営指標(2025年度調査)では、エステティック業105社の損益分岐点比率は平均113.8%で、営業利益率の平均はマイナス6.9%です。従業者1〜4人の規模では損益分岐点比率が119.6%まで上がります。
- 本記事の設例(家賃15万円・ベッド1台・借入500万円を7年返済・生活費月25万円)では、税金と社会保険料を別途見込む前の必要売上は月約65万円で、施術件数は1日平均約2.04件です。実際の資金繰りには、税金等の支出を加えて再計算する必要があります。
- エステの契約は、期間が1か月を超え、入会金や購入が必要な関連商品の代金等を含む契約総額が5万円を超えると、原則として特定商取引法の特定継続的役務提供の対象になります。中途解約では受け取れる額に上限があるため、コース代金を受け取った月の売上に全額を入れない資金計画にします。
- HIFU(高密度焦点式超音波)の施術や、光・レーザーを照射して毛乳頭などを破壊する脱毛は医行為です。メニュー表と計画書に入れると、計画の前提そのものが審査で問われます。
エステサロンの事業計画書を公庫の創業計画書で作る理由
個人でエステサロンを開く際の融資候補には、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を使います。対象は新たに事業を始める人と事業開始後おおむね7年以内の人で、融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)です。女性、35歳未満、55歳以上の人は特別利率Aの対象になります。制度ページの注記には「創業計画書のご提出等をいただき、事業計画の内容を確認させていただきます」とあり、計画書の中身がそのまま審査の材料になります。
自己資金については、旧制度の無担保・無保証人の融資で求められた「創業資金総額の1/10以上の自己資金」という要件が、2024年度の制度改正でなくなりました。とはいえ、自己資金ゼロで計画が通りやすくなったわけではありません。金額に加え、どのように準備した資金かを説明できるようにしておきます。
公庫が各種書式ダウンロードページで配布している創業計画書は、次の10欄でできています。様式の冒頭には「この書類に代えて、お客さまご自身が作成された計画書をご提出いただいても結構です」とありますが、自作する場合もこの10欄の中身はすべて埋めておくと面談で詰まりません。
| 記入欄 | エステサロンで書く中身 |
|---|---|
| 1 創業の動機 | 勤務経験から見えた需要と出店地 |
| 2 経営者の略歴等 | 施術歴・担当顧客数・指名数 |
| 3 取扱商品・サービス | メニュー別の単価と売上シェア・物販 |
| 4 従業員 | 3か月以上継続雇用する予定の人数 |
| 5 取引先・取引関係等 | 化粧品・消耗品の仕入先と支払条件 |
| 6 関連企業 | 本人・配偶者が経営する企業 |
| 7 お借入の状況 | 住宅・車・カードを含む全借入 |
| 8 必要な資金と調達方法 | 保証金・内装・ベッドと運転資金 |
| 9 事業の見通し(月平均) | 創業当初と軌道に乗った後の収支 |
| 10 自由記述欄 | アピールポイント・悩み |
エステティックサロン専用の記入例は公庫にありません。いちばん近いのは美容業(美容室)の記入例で、施術者の勤務歴、固定客数、近隣の競合店数、設備の見積先まで具体的に書き込まれています。エクセルで様式どおりのシートを組みたい場合は「事業計画書をエクセルで作る方法|公庫の様式に沿ったシート構成と売上・返済の計算式【2026年版】」が使えます。
エステサロンの開業資金の内訳と「必要な資金」欄の書き方
開業資金の水準は、公的な設例と全業種の調査値で当たりをつけ、最後は自分の見積書で確定させます。
テナント型の開業資金:J-Net21の66平米モデルは920万円
中小企業基盤整備機構のJ-Net21「エステティックサロン」(2019年11月26日掲載)は、面積66平米程度の賃貸店舗で開業する場合の必要資金を次のように示しています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| サロン等賃貸保証料 | 100万円 |
| 内装工事費等 | 300万円 |
| 什器・備品類 | 300万円 |
| 広告宣伝費 | 100万円 |
| 研修・教育費 | 100万円 |
| その他 | 20万円 |
| 合計 | 920万円 |
同ページは保証金を家賃の6か月から1年分としています。スタッフを雇う前提の規模なので、研修・教育費が100万円入っている点が1人開業との違いです。全業種で見ると、公庫の2025年度新規開業実態調査では開業費用の平均値が975万円、中央値が600万円でした。
自宅・マンション型で変わる費目
自宅で開く場合は保証金と内装工事が小さくなる一方、別の確認事項が増えます。賃貸マンションなら賃貸借契約と管理規約で事業利用が認められているか、分譲マンションなら管理規約の用途制限を確かめ、その確認結果を計画書に一行書きます。来店型の施術を規約違反で止められると、売上計画が根元から崩れるためです。設備費は、施術ベッド、タオルウォーマー、スチーマーなどの見積書を取り、品名と見積先を「必要な資金」欄に並べます。
本記事の設例:テナント1人開業で600万円
以下の章では、この設例で数字をつなげます。金額・原価率・減価償却費は説明用の仮定で、借入500万円は年利2.5%・7年間の元金均等返済・据置なしとします。実際は物件の見積書、資産の償却条件、融資条件に置き換えてください。
| 区分 | 内訳 | 金額 |
|---|---|---|
| 設備資金 | 保証金(家賃15万円×6か月) | 90万円 |
| 設備資金 | 内装工事(給排水・電気容量の増設を含む) | 250万円 |
| 設備資金 | 施術ベッド・美容機器・備品 | 150万円 |
| 運転資金 | 開業前の広告・予約サイト掲載 | 30万円 |
| 運転資金 | 家賃と諸経費の約3か月分・初回仕入 | 80万円 |
| 調達 | 自己資金100万円・公庫500万円 | 600万円 |
運転資金は「何か月分」と丸めず、開業後に売上が予測に届かない期間の家賃・諸経費・返済額・生活費を積み上げて出します。設例の80万円は、家賃15万円と諸経費11万円の3か月分78万円に初回仕入2万円を加えた額です。返済元金と利息は含んでいないため、売上がない期間を3か月見込むなら、後述の仮定ではさらに約21万円と生活費・税金等の資金が必要です。
創業計画書の記入欄ごとの書き方(エステサロン版)
創業の動機と経営者の略歴:担当顧客数・指名数による経験の具体化
2025年度新規開業実態調査では、開業者のうち現在の事業に関連する仕事の経験(斯業経験)がある人が81.1%でした。経験があること自体は差になりません。差がつくのは、その経験が売上の根拠になっているかどうかです。「エステサロン勤務10年」ではなく、「フェイシャル中心に勤務8年、うち店長3年。月の担当施術数は平均80件、指名客は約60人」のように、施術の量と固定客の数を書きます。公庫の美容業の記入例も「現勤務先で固定客約200人あり」と、固定客を売上見込みの根拠に使っています。
取扱商品・サービス:メニュー別の売上シェアと医行為の除外
取扱商品の欄は3行まで書けて、それぞれ売上シェアを記入します。エステなら「フェイシャル(60分 9,000円)」「ボディ・痩身(90分 15,000円)」「化粧品販売」のように分け、施術と物販の比率を出しておくと、後で売上原価の計算に使えます。
メニューを決める段階で、医師免許がなければ行えない施術を外します。厚生労働省の「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)は、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する例として、脱毛行為等(平成13年医政医発第105号)、いわゆるアートメイク、HIFU施術(令和6年6月7日 医政医発0607第1号)を挙げています。「リフトアップ」の名目でHIFUを置いたメニュー表は、融資以前に事業の前提が成り立ちません。脱毛を主力にするなら「脱毛サロンの事業計画書の書き方|公庫の創業計画書の記入例と施術件数から組む収支計画【2026年版】」で線引きを確認してください。
エステティックサロンの営業そのものには許認可がありません(J-Net21も「法に基づく業種ではない」としています)。ただし、まつ毛エクステンションや眉の施術を加えると美容師法の美容所の扱いになるため、併設する場合は「マツエクサロンの事業計画書の書き方|公庫の創業計画書の記入例とベッド数・客単価から組む収支計画【2026年版】」の届出の章も合わせて読んでください。
販売ターゲットと競合:商圏内の店舗数・価格帯の比較
「競合・市場など」の欄には、徒歩・自転車で来られる範囲にある同業の店舗数と、価格帯が重なる店の名前を書きます。公庫の記入例も「近隣に美容室3店舗、理容室1店舗あり。顧客層が被るのは、美容室AとBの2店舗」と、数えた結果を書いています。エステの場合は、同じ価格帯の個人サロンに加え、医療機関の美容皮膚科と、自宅で使う美顔器などのセルフケアも競合として並べ、それらに対して自店が選ばれる理由を「販売ターゲット・販売戦略」の欄に一文で書きます。
事業の見通し:収支項目と計算根拠欄の記入内容
「事業の見通し(月平均)」は、創業当初と軌道に乗った後(○年○月頃)の2列で、売上高・売上原価・経費(人件費・家賃・支払利息・その他)・利益を書きます。欄外の「売上高、売上原価(仕入高)、経費を計算された根拠」には、次章の式と数字をそのまま書き写します。個人営業の場合、人件費の欄に事業主本人の分は含めません。
施術時間とベッド数から組むエステサロンの売上予測
公庫の「売上高の計算方法について」は、飲食店・理容業・美容業などのサービス業の算式を「客単価×設備単位数(席数)×回転数」としています。エステでは回転数をそのまま置かず、施術時間から1日の枠数を出し、そこに稼働率を掛けるほうが審査担当者に伝わります。
設例の前提は、営業時間10〜20時(10時間)、1枠=施術90分+カウンセリング・片付け30分の2時間、ベッド1台、月25日営業、施術の客単価12,000円です。1日の最大枠は5件なので、稼働率を掛けて件数にします。
| 項目 | 創業当初 | 軌道に乗った後 |
|---|---|---|
| 稼働率 | 50% | 60% |
| 1日の施術件数 | 2.5件 | 3件 |
| 月の施術件数 | 62.5件 | 75件 |
| 施術売上(×12,000円) | 75万円 | 90万円 |
| 物販売上 | 5万円 | 6万円 |
| 売上高合計 | 80万円 | 96万円 |
計算の根拠欄には「12,000円×1台×5枠×稼働率50%×25日=75万円」と書き、稼働率50%に相当する月62.5件の根拠として、来店が見込める固定客数と月平均来店回数、新規客の獲得経路と見込件数を添えます。満枠(稼働率100%)で組んだ売上は、予約の空き・キャンセル・施術者の休憩を無視した数字なので、実態より必ず高くなります。
同じ式を2人体制に広げるときは、ベッドを2台にするだけでなく、2人目の人件費を経費に入れ、立ち上がりの稼働率を1人目より低く置きます。増員時には、採用・勤務開始に伴う支出と、追加の売上が入金される時期を月別に確認します。次章の規模別統計は企業間の比較であり、増員前後の資金繰りを示すものではありません。
公庫の経営指標で見るエステティック業の利益構造
自分の数字が業界の実態から外れていないかは、公庫の「小企業の経営指標調査」サービス業で検算します。2025年度調査(2026年8月公表)の対象は、公庫国民生活事業の融資先のうち従業者50人未満の法人で、決算期は2024年7月以降です。エステティック業は105社が集計され、黒字かつ自己資本プラスの企業は47社でした。
| 指標 | 平均 | 中央値 | 黒字かつ自己資本プラス |
|---|---|---|---|
| 売上高総利益率 | 83.0% | 86.0% | 85.3% |
| 人件費対売上高比率 | 38.0% | 36.9% | 31.3% |
| 諸経費対売上高比率 | 44.5% | 40.7% | 44.5% |
| 売上高営業利益率 | -6.9% | 0.6% | 4.5% |
| 損益分岐点比率 | 113.8% | 100.1% | 98.2% |
| 従業者1人当たり売上高 | 1,015.4万円 | 822.7万円 | 1,165.6万円 |
売上総利益率の平均は83.0%で、対応する売上原価率は17.0%です。利益を削っているのは人件費と諸経費で、損益分岐点比率の中央値が100.1%なので、半数ほどの企業は損益分岐点の売上に届いていません。規模別に見ると、従業者1〜4人(57社)は損益分岐点比率119.6%・営業利益率-8.3%、5〜9人(32社)は111.4%・-8.9%、10〜19人(9社)は97.8%・1.6%でした。損益分岐点比率は、規模が小さいほど高くなっています。
この表は法人の決算書の集計で、代表者の報酬も費用に含まれます。個人の計画書は事業主本人の人件費を入れないので、利益率を直接比べるのではなく、「1人当たり売上高」で検算するのが実用的です。設例の軌道後96万円は年1,152万円で、1〜4人規模の1人当たり売上高の平均1,163.8万円とほぼ同水準です。創業当初の80万円(年960万円)は全体の中央値822.7万円をやや上回るので、固定客の人数という根拠を添える必要がある数字だと分かります。
J-Net21のモデルは東京商工リサーチの標準財務比率を使い、売上総利益率72.5%・営業利益率4.1%(年商1,500万円で営業利益62万円)と置いています。2019年の作成で集計元も異なるため、公庫の2025年度調査と並べるときは出典と年を書き分けてください。
返済と生活費から逆算するエステサロンの必要売上
見通し欄の利益は、そのまま手取りにはなりません。公庫の記入例の注記にあるとおり、所得税等の税金と借入金の返済元金は利益から払います。個人なら、生活費もここから出ます。そこで、毎月出ていく現金を全部足し、それを賄える売上を逆算します。
| 項目(設例・創業当初) | 月額 |
|---|---|
| 売上高 | 80万円 |
| 売上原価(施術消耗品8%・物販原価60%) | 9万円 |
| 家賃 | 15万円 |
| 減価償却費(内装・機器) | 4万円 |
| 支払利息(500万円×年2.5%÷12) | 約1万円 |
| その他経費(光熱・広告・通信・消耗品) | 11万円 |
| 利益 | 40万円 |
| 返済元金(500万円÷84回) | 約6万円 |
| 生活費 | 25万円 |
返済に回せるお金は「利益+減価償却費」で44万円、そこから元金6万円と生活費25万円を引くと13万円が残ります。所得税・住民税と、生活費に含めていない社会保険料はこの13万円から払います。
必要売上は、現金で出ていく固定的な支出を限界利益率で割って求めます。家賃15万円・支払利息1万円・その他経費11万円・元金6万円・生活費25万円の合計は58万円です。売上原価率は9÷80で11.25%なので、限界利益率は88.75%になり、58万円÷0.8875で必要売上は約65.35万円です。税金と社会保険料の月平均額は、58万円に足してから同じく0.8875で割ります。減価償却費は当月の現金支出を伴わないため、現金支出から直接組み立てるこの式には入れません。利益から返済財源を求める場合は、利益の計算で差し引いた減価償却費を足し戻します。
物販の比率を設例と同じと置くと、施術売上は約61万円、件数にして月51件、1日約2件です。1日5枠に対して稼働率約41%が、税金等を含める前の資金収支を均衡させる目安です。創業当初の想定2.5件との差は1日約0.46件で、税金等を加えるとさらに縮まります。この幅の狭さを自覚し、立ち上がりが遅れたときに何を削るか(広告費の配分、生活費の圧縮、運転資金の取り崩し月数)を自由記述欄か別紙に書いておくと、面談での説明が具体になります。
コース契約と物販:特定商取引法と前受金の資金計画
エステのコース契約は、特定商取引法の特定継続的役務提供に当たることがあります。特定商取引法施行令の第24条と別表第四により、「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術」で、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約が対象です。対象になると、契約書面の交付、クーリング・オフ(書面を受け取った日から8日間)、中途解約への対応が必要になります。
中途解約で事業者が受け取れる額には上限があります。施術開始前は2万円、開始後は、提供済みの施術の対価に、2万円か契約残額の10%のいずれか低い額を加えた額までです。1回1万円で精算する10回コース10万円で、3回施術した後に解約され、契約で上限どおりの解約料を定めていたとすると、受け取れる額は最大3万円+7,000円(残額7万円の10%)で、返金額は少なくとも6万3,000円です。
コース代金の入金額と、その月に施術して得た売上は分けて管理します。入金済みでも、未施術分に対応する施術費用や中途解約時の返金に備える資金は、自由に使える余剰資金とは区別します。見通し欄の売上は施術した回数で数え、受け取ったコース代金の未施術分は前受金として残高を管理します。解約時に返金できる現金を常に残しておくことが、コース販売を計画に入れる条件です。
コース契約に伴って販売する化粧品、健康食品、下着、美顔器などの機器は、施行令の別表第五で「関連商品」とされ、コース契約と一緒に解除の対象になり得ます。物販売上をコース契約とセットで見込む場合は、この点を前提に売上を控えめに置きます。回数券やコースの残数、ベッドの予約枠をどう管理するかは「エステサロン予約システムの選び方|回数券・ベッド枠・LINE通知の確認点と自社開発の判断基準」で整理しています。既製の予約サービスでコース残数と前受金の管理まで回らない場合は、予約管理システム開発で自店の運用に合わせて作る方法もあります。
融資面談の前に点検するエステサロンの計画書の欠陥
提出前に、次の5点を自分で崩してみてください。どれか1つでも答えに詰まるなら、計画書を直してから申し込むほうが結果的に早く進みます。
- 稼働率の根拠が「勤務先の実績」だけ:勤務先は集客の仕組みと知名度があっての数字です。開業後に移ってくる固定客の人数と、新規客を何経由で何人集めるかを分けて書きます。
- 満枠で売上を組んでいる:1日の最大枠×営業日数の売上は、キャンセルと空き枠を無視しています。本記事の50%は設例の仮定です。創業当初・軌道に乗った後の稼働率は、見込み客数と来店頻度、新規集客の計画からそれぞれ設定します。
- 生活費が計画に入っていない:個人の見通し欄には事業主の人件費が出てきません。前章の逆算で生活費を足し、それでも資金が残ることを示します。
- 計画書と面談の数字が食い違う:客単価、1日の件数、返済額は面談で口頭で聞かれます。計算の根拠欄に書いた式を自分の言葉で説明できるようにします。
- 医行為や許認可が必要な施術がメニューに混ざっている:HIFUや毛乳頭などを破壊する脱毛は、無資格者が施術するサロンのメニューから除外します。まつ毛エクステンションを併設する場合は、美容師による施術と美容所の開設届・使用前の確認を計画に含めます。
創業計画書の10欄を1枚にまとめる手順は「事業計画書を1枚(A4)で書く方法|公庫の創業計画書10項目の埋め方と数字の根拠」で詳しく扱っています。
よくある質問
エステサロンの開業資金はいくら必要ですか?
J-Net21の設例では、66平米程度の賃貸店舗で920万円(保証料100万円、内装工事費300万円、什器・備品類300万円など)です。全業種の調査値では、公庫の2025年度新規開業実態調査で開業費用の中央値が600万円でした。自宅開業なら保証金と内装工事が小さくなります。最終的には物件の条件と機器の見積書で決まるので、見積書を取ったうえで「必要な資金」欄に品名と見積先を書いてください。
エステサロンの開業に資格や届出は必要ですか?
エステティックサロンの営業に許認可はなく、民間資格も必須ではありません。開業届などの税務の手続きは他の個人事業と同じです。ただし、まつ毛エクステンションを扱えば美容師法の美容所の扱いになり、HIFUの施術や、光・レーザーで毛乳頭などを破壊する脱毛は医行為に当たり、医師免許のないエステティシャンが業として行うことはできません。
自己資金がなくても公庫の融資は受けられますか?
新規開業・スタートアップ支援資金の制度ページに、自己資金の割合を条件とする記載はありません。旧制度の「創業資金総額の1/10以上の自己資金」という要件も2024年度に撤廃されました。ただ、2025年度新規開業実態調査では資金調達額の平均1,219万円のうち自己資金が279万円(22.9%)で、少額でも計画的に貯めた自己資金があるほうが準備の度合いを示せます。
自宅サロンでも事業計画書は必要ですか?
融資を受けないなら提出先はありません。それでも、生活費を含めて毎月いくら売れば暮らせるかの逆算は必要です。自宅サロンは別店舗の賃料を抑えられる場合がありますが、住居の家賃・住宅ローン返済・管理費等の負担は資金計画に残し、住居の賃貸借契約や管理規約で事業利用が認められているかは開業前に確かめておく必要があります。
メンズエステやアロマサロンの事業計画書も同じ書き方でよいですか?
創業計画書の10欄と、施術枠から売上を組む考え方は同じです。メンズエステは施術内容と客単価をメニュー欄で具体的に書き、ヒゲの脱毛では、光を照射して毛乳頭などを破壊する医行為をメニューに入れないことを確認します。アロマトリートメントなど手技のリラクゼーションが中心なら、「整体院・リラクゼーションサロンの事業計画書の書き方|公庫の創業計画書の記入例と施術枠から組む収支計画【2026年版】」の施術枠の組み方がそのまま使えます。