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賞与支払届の提出期限と提出先:5日以内の手続き、書き方、賞与不支給報告書と電子申請の出し方

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賞与支払届は、社会保険の被保険者に賞与を払ったとき、事業主が支払日から5日以内に日本年金機構へ出す届出です。この届出で標準賞与額が決まり、賞与にかかる保険料と将来の年金額の計算に使われます。支払予定月として登録している月に誰にも賞与を払わなかった場合は、支払届の代わりに賞与不支給報告書の提出が必要です。この記事では、提出期限と提出先、健康保険組合に加入している場合の窓口、返戻の多い記入不備、不支給報告書と支払予定月の変更、電子申請の義務化の範囲を日本年金機構の一次情報で整理し、提出もれを給与システムの出力と月次のチェックで防ぐ方法まで解説します。

まとめ:賞与支払届は支払日から5日以内、払わない予定月は不支給報告書で届け出る

賞与を払ったら、支払日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届」を事務センターか管轄の年金事務所へ出します。健康保険組合に加入している事業所は、組合にも別途届出が必要です。年4回以上払う賞与は報酬として扱うため届出の対象外ですが、退職月や育休中に払った保険料のかからない賞与は対象に含まれます。

支払予定月に誰にも払わなかった月は、賞与不支給報告書を出します。予定月そのものが変わるなら、同じ報告書で変更後の月を届け出ます。資本金1億円超の法人は電子申請が義務です。

実務で最も多い失敗は、記入ミスよりも出し忘れです。日本年金機構の事業所調査では、指導内容の43.6%が賞与支払届の出しもれでした。給与システムから届出データを出し、支給実績と予定月を毎月突き合わせる運用にすると、出し忘れと不支給報告の漏れを同時に拾えます。

賞与支払届とは:標準賞与額を決める届出と、提出が必要な賞与・不要な支給の区分

賞与支払届は、賞与の額を保険者に知らせ、標準賞与額を決めてもらうための届出です。まず、何のために出すのか、どの支給が対象になるのかを押さえます。

届出で決まるのは標準賞与額:1,000円未満を切り捨てた額が保険料と年金の基礎

日本年金機構の手続き説明(PDF)では、この届書の内容で保険料と年金の計算の基礎になる標準賞与額が決まると説明しています。標準賞与額は、賞与の支給額から1,000円未満を切り捨てた額です。月々の保険料のように保険料額表は使わず、標準賞与額に保険料率を直接かけて計算します。

届出を出さないと、保険料が請求されないだけでは済みません。その賞与が従業員の厚生年金の記録に載らず、将来の年金額が少なく計算されます。保険料の計算式と上限の管理は賞与の社会保険料と標準賞与額の上限を扱う記事で解説しています。

提出が必要な賞与と不要な支給:年3回以下の賞与は届出、年4回以上は報酬で届出不要

社会保険でいう賞与は、名称を問わず労働の対償として年3回以下で支給するものです。夏冬の賞与だけでなく、決算賞与や寸志も対象になります。年4回以上払われるものは標準報酬月額の対象になるため、賞与支払届は出しません。どの支給を賞与として扱うかの区分は、賞与の定義と給与システムの支給区分を扱う記事で整理しています。

見落としやすいのは、保険料がかからない賞与も届出の対象になる点です。前述の説明PDFは、育児休業等で保険料が免除される期間に払った賞与と、資格喪失月に払った賞与も支払届が必要で、その標準賞与額は年度の累計に含まれるとしています。保険料が0円だから出さなくてよい、という判断は誤りです。

賞与支払届の提出期限と提出先:支払日から5日以内、健康保険組合なら組合にも提出

期限と窓口は、加入している健康保険の種類で変わります。協会けんぽの事業所と健保組合の事業所では、出す先の数が違います。

支払日から5日以内の期限と、期限に遅れたときに2年で時効になる保険料

提出期限は賞与を支払った日から5日以内です(日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」)。12月10日に払ったなら、12月15日が目安になります。月末払いの会社では翌月の初旬にかかるため、月をまたいでも忘れない仕組みが要ります。

期限に遅れても、出さずに済ませる選択肢はありません。気づいた時点ですぐに出します。厚生年金保険法第92条で保険料を徴収する権利は2年で時効になるため、2年を過ぎた賞与は保険料を納められなくなります。その後に年金記録を直すには、保険料を賞与から天引きしていたことが確認できる等の条件を満たす別の手続きが必要です。

提出先は事務センターか管轄の年金事務所、健保組合の事業所は組合にも別に届け出る

協会けんぽに加入している事業所は、事務センターか管轄の年金事務所に1通出せば、健康保険と厚生年金の両方の届出になります。届書の名称が「健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届」になっているのはこのためです。

健康保険組合に加入している事業所は、厚生年金分を年金機構へ、健康保険分を組合へ、それぞれ届け出ます。たとえば東京都情報サービス産業健康保険組合(TJK)は、賞与等を払った日から5日以内に組合へ届出書類を出すよう案内しています。様式や電子申請の受付方法は組合ごとに違うため、組合のサイトで確認してください。

提出方法は電子申請・CD/DVD・郵送・窓口の4種類、資本金1億円超の法人は電子申請

年金機構への提出方法は、電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参の4つです。紙で出すときは、届書を被保険者整理番号の順に並べます。

資本金・出資金などが1億円を超える法人、相互会社、投資法人、特定目的会社は、令和2年4月から電子申請が義務になっています。対象の手続きは算定基礎届、月額変更届、賞与支払届の3つです。e-Govの使い方はe-Gov電子申請の基本を扱う記事、労務システムから申請するときの外部連携APIやGビズIDの要件は労務管理システムの電子申請対応を扱う記事にまとめています。

賞与支払届の書き方:返戻が多い支払年月日と賞与額の欄から埋める記入の手順

様式は日本年金機構の届書ページからPDFとExcelで入手できます。支払予定月を登録している事業所には、予定月の前月に届書が送られてきます。以前は届書に添えていた総括表は、令和3年3月で廃止されました。

記入する項目の一覧:事業所整理記号から賞与額の通貨・現物・合計までの埋め方

紙の届書とe-Govの入力画面は、ほぼ同じ項目で構成されています。e-Govの入力例をもとに、主な欄の埋め方を表にしました。

欄 書く内容 間違えやすい点
事業所整理記号 都道府県コード・郡市区符号・事業所記号 事業所番号と取り違えない
被保険者整理番号・氏名 資格取得時に払い出された番号と氏名 氏名の姓名間は全角スペース1文字
賞与支払年月日 実際に支払った日 支給予定日ではなく実際の支払日
賞与支払額(通貨) 金銭で払った額 税や保険料を引く前の額
賞与支払額(現物) 現物支給を金銭に換算した額 現物がなければ0と書く
賞与額(合計) 通貨と現物の合計から1,000円未満を切り捨てた額 千円単位で書く
備考 70歳以上被用者・同一月内の賞与合算など 該当する項目を選ぶ

e-Govで入力できる賞与額の合計は、9,999,000円までです。70歳以上で厚生年金の被保険者でない人(70歳以上被用者)に払ったときは、「厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届」の欄を選びます。同じ届書で両方を届け出られます。

返戻が多い2つの記入不備:支払年月日の書き漏れと、450,000円を「450」と書く欄

日本年金機構の不備事例のページが挙げているのは2点です。1つ目は賞与支払年月日の書き漏れで、届書が複数枚になるときも全ページに書く必要があります。支払日が違う賞与を同じ届書で出すときは、各人の支払年月日の欄にも書きます。

2つ目は賞与額の欄です。届書には「賞与支払額」と「賞与額」の両方を記入する必要があります。通貨で450,000円を払った人なら、支払額の通貨欄に450,000円、賞与額の欄に千円未満を切り捨てた「450」と書きます。支払額だけ書いて賞与額を空欄にすると、届書は戻されるため再提出が必要です。

同じ月の2回払い・複数の被保険者期間:合算の備考と累計申出書が要る場面

同じ月に2回以上賞与を払ったときは、その月の賞与を合算して届け出ます。夏の賞与と決算賞与を同じ7月に払うような会社で起きます。上限150万円の判定も合算後の額で行うため、合算の考え方は賞与の社会保険料の記事の上限管理の章をあわせて読んでください。

年度の途中で転職してきた人など、同じ年度に複数の被保険者期間がある人は、標準賞与額の年度累計が573万円を超えると本人の申出で「健康保険 標準賞与額累計申出書」を添えます。この申出書は電子申請では出せません。電子申請に一本化した会社でも、この1枚だけは紙で出す運用を残しておきます。

賞与不支給報告書:登録した支払予定月に誰にも払わなかった月の届出と予定月の変更

令和3年4月の見直しで総括表が廃止され、代わりに新設されたのが賞与不支給報告書です。支払届を出さない月にも届出が要る場面があります。

報告書が要る条件:予定月に被保険者と70歳以上被用者の全員へ払わなかったとき

賞与不支給報告書は、日本年金機構に登録している賞与支払予定月に、被保険者と70歳以上被用者のいずれにも賞与を払わなかったときに出します。この場合、賞与支払届は出しません。

1人でも払ったなら、その人の支払届を出せば足り、不支給報告書は要りません。支払予定月を登録していない事業所は、払わなかった月に報告書を出す必要もありません。予定月を登録している事業所には予定月の前月に届書と報告書が送られるため、それが登録の有無を知る目安になります。

提出の時期と支払予定月の変更:報告書の欄に変更後の月を書き、予定がなければ00

年金機構の案内には、支払届のような「何日以内」という日数の定めは書かれていません。不支給報告書の記入例(PDF)には、支払予定月に提出がなければ後日提出勧奨のお知らせが送られると書かれています。予定月が過ぎたら、その月のうちに出す運用にしておくと勧奨を受けずに済みます。

同じ報告書で支払予定月を変更することも可能です。記入例では、今後の支払月が登録済みの予定月と違う場合に変更前と変更後の予定月を並べて書く方法と、賞与を払う予定がなくなったときに変更後の予定月にすべて「00」と書く方法が示されています。予定月を新たに登録したいときは、事業所関係変更(訂正)届の賞与支払予定月の欄で届け出ます。

予定月と実際の支給月がずれた年:予定月に不支給報告書、払った月に支払届の2通

業績の確定が遅れて、6月予定の賞与を7月に払うことがあります。この場合、TJKの案内では、予定月には不支給報告書を、実際に払った月には賞与支払届を出すよう求めています。この場合に提出する届出は、合わせて2通です。

毎年7月に払うのが常態なら、不支給報告書の変更欄で予定月を7月に直しておきます。直さずにいると、毎年6月に不支給報告書を出す手間が続きます。

賞与支払届の出しもれを防ぐ運用:事業所調査で指導内容の43.6%を占めた届出もれ

記入不備は返戻で気づけますが、出し忘れは誰も知らせてくれません。ここでは、出しもれの実態と、給与システムを使った防ぎ方を示します。

平成22年度の事業所調査:6,033事業所の約2割が指導、最多は賞与支払届の出しもれ

日本年金機構が公表した平成22年度の事業所調査の結果では、31の年金事務所、6,033事業所のサンプルのうち約2割の事業所に、届出もれや届出内容の誤りについて指導していました。指導内容の内訳で最も多かったのが賞与支払届の出しもれで43.6%、次いで資格取得届関係が36.1%、月額変更届の出しもれが17.8%です。

15年以上前の調査ですが、届出の仕組み自体は当時と変わっていません。賞与は年に2回ほどしか発生せず、担当者が手順を覚えきれないまま次の支給を迎えます。そのうえ5日という期限は短く、給与の月次処理と重なります。出しもれが最多になるのは、個人の注意力より運用の設計の問題です。

給与システムから届出データを出す流れ:届書作成プログラムとCSV添付方式の電子申請

賞与計算を給与システムで行っている会社なら、届出の元データはすでにシステムの中にあります。日本年金機構のCSVファイル添付方式は、賞与支払届を対象の届書に含めています。流れは次のとおりです。

  1. 給与システムで賞与計算を確定し、支払日と支給額を固める
  2. 保険料がかからない退職月・育休中の人も含めて、届出対象者のCSVを出力する
  3. 年金機構の届書作成プログラムでCSVを読み込み、エラーチェックを通す
  4. e-Govから電子申請し、到達と審査結果を確認する
  5. 健保組合の事業所は、組合が指定する方法で健康保険分を届け出る

2の段階で、保険料が0円の人を出力対象から外している給与システムがあります。保険料の計算対象と届出の対象は一致しないため、出力条件を一度確認してください。支給額の決定から届出までの工程の全体は賞与計算の手順を扱う記事で解説しています。

支給実績と支払予定月を突き合わせる月次チェック:出し忘れと不支給報告を同時に拾う

出しもれを防ぐには、毎月の締めで2つのデータを突き合わせます。1つは給与システムの賞与の支給実績、もう1つは年金機構に登録した支払予定月です。

支給実績があるのに支払届の提出記録がない月は、出しもれです。予定月なのに支給実績も不支給報告書の記録もない月は、報告もれになります。この2つの判定は、支給実績・予定月・提出記録の3つの項目を月単位で並べるだけで作成可能です。電子申請の到達番号を提出記録として残しておくと、年金事務所から問い合わせがあったときの確認にも使えます。

届書作成プログラムと電子申請で足りる会社と、給与システムの改修や個別開発の境界

ここまでの運用を、どこまで既存の仕組みでまかなえるかは会社の条件で決まります。判断を分けるのは、保険者の数と、人の異動の多さです。

協会けんぽだけで賞与が年2回なら、給与ソフトのCSVと届書作成プログラムで足りる

加入先が協会けんぽだけで、賞与が夏と冬の年2回、支払予定月もほぼ固定している会社なら、個別の開発は要りません。市販の給与ソフトから届出用のCSVを出し、届書作成プログラムとe-Govで提出すれば、5日の期限にも十分間に合います。

この規模で追加の投資をするより、前の章の月次チェックを表計算で回し、保険料0円の人が出力から漏れていないかを賞与のたびに確かめる方が、出しもれは確実に減ります。

健保組合が複数ある、転籍や出向が多い会社は、届出データの作り込みを検討する

一方で、グループ会社ごとに加入する健保組合が違う、転籍や出向で年度途中に保険者が変わる人が多い、役員の高額賞与で累計申出書が毎年発生する、といった会社では、市販ソフトの出力だけでは届出が組み上がらないことがあります。保険者ごとに提出先と様式を分け、累計申出書の要否を判定し、紙で出す分を切り出す処理が必要になるためです。

こうした条件が重なるなら、既存の給与計算システムの機能と個別開発の判断軸を確認したうえで、届出データの作成を給与システムの改修や周辺ツールの開発で補う選択肢があります。一創の人事・労務管理システム開発では、給与データからの届出出力や電子申請との連携を含めて相談を受けています。

よくある質問

賞与支払届と賞与不支給報告書について、実務でよく出る質問に答えます。

賞与支払届を5日以内に出せなかったときはどうすればよいですか?

気づいた時点で、すぐに通常の賞与支払届を出してください。遅れたことを理由に別の様式を使う定めは、日本年金機構の案内にはありません。注意したいのは、保険料を徴収する権利が2年で時効になる点です(厚生年金保険法第92条)。2年を過ぎると保険料を納められなくなり、従業員の年金記録を直すには、賞与から保険料を天引きしていたことの確認など、別の手続きが必要になります。

寸志や決算賞与でも賞与支払届は必要ですか?

必要です。社会保険では名称にかかわらず、労働の対償として年3回以下で払うものは賞与として扱います。寸志や決算賞与も、払った日から5日以内に支払届の提出が必要です。1,000円未満は切り捨てるため、999円以下の寸志なら標準賞与額は0円になります。決算賞与を損金に算入する要件や通知の管理は、決算賞与を扱う記事で解説しています。

賞与不支給報告書はいつまでに出しますか?

日本年金機構の案内には、支払届のような「何日以内」という日数の定めがありません。登録した支払予定月に誰にも賞与を払わなかったとき、その予定月について出すものです。提出がないと、後日、年金機構から提出勧奨のお知らせが届きます。予定月の翌月初めまでに出すなど、社内で期限を決めて運用すると漏れを防げます。

退職した人や育休中の人に払った賞与も届け出ますか?

届け出ます。資格喪失月に払った賞与や、育児休業等で保険料が免除されている期間に払った賞与は、保険料がかかりませんが、賞与支払届の対象です。決まった標準賞与額は、健康保険の年度累計にも含まれます。退職日によって保険料がかかるかどうかが変わる判定は、賞与の社会保険料を扱う記事で解説しています。

賞与支払届は社会保険労務士に代わりに出してもらえますか?

出してもらえます。届出の義務は事業主にありますが、社会保険労務士による提出の代行も可能です。e-Govの入力画面にも、社会保険労務士の提出代行者名を入れる欄があります。代行を頼む場合でも、支払日と支給額を確定させて渡すのは会社側の作業です。5日の期限から逆算して、社労士へのデータの受け渡し日を決めておきます。

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