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キャンプ場・グランピングの事業計画書の書き方|旅館業の要否、季節別の収支計画と公庫融資

キャンプ場・グランピングの事業計画書の書き方|旅館業の要否、季節別の収支計画と公庫融資

キャンプ場やグランピング施設の事業計画書は、最初に「どの形態で泊めるか」を決めないと書き始められません。利用者が持参したテントを張る区画貸しと、事業者が常設テントやキャビンを用意するグランピングとでは、旅館業の許可の要否も、建築基準法や消防法の扱いも、必要な資金の桁も変わるからです。この記事では、施設形態ごとの許認可、土地の許可、棟数×稼働率×単価で組む季節別の売上計画、冬の資金繰り、日本政策金融公庫の創業計画書の書き方を、一次情報をもとに順に整理します。

まとめ:キャンプ場・グランピングの事業計画書の要点

  • 利用者が移動式テントを張る区画貸しは旅館業に当たらない一方、事業者が設けた固定式テントやバンガローに泊めると旅館業になる(自治体の公式Q&A)。計画書の冒頭で形態と許可の種類を書く。
  • 常設テントやトレーラーハウスが建築物かどうかは、特定行政庁が構造・設置状況・使用の継続性で判断する。建築物への該当、建築確認の要否、消防設備の要否を別々に確認し、必要なものの費用を投資額に入れる。
  • 農地は原則として農地法の転用許可(市街化区域内は事前届出)、地域森林計画の対象民有林で1ヘクタール超を造成するなら林地開発許可が要る。許可の期間が開業月を決める。
  • 売上は「棟数(区画数)×営業日数×稼働率×単価」を繁忙期・中間期・閑散期に分けて組む。年間稼働率は観光庁の簡易宿所29.6%(2025年)と比べて根拠を示す。
  • 冬が閑散期になる立地では、固定費と返済を売上で賄えない月が続く。その資金不足の累計を、自己資金と借入を組み合わせた運転資金で手当てする。
  • 公庫の新規開業資金は上限7,200万円だが、特別利率は原則として土地にかかる資金を除く。補助金は後払いなので、つなぎ資金まで計画に書く。

施設形態で変わる許可と計画書の前提

区画貸しキャンプ場とグランピングの旅館業法上の違い

旅館業法上の旅館業は「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」で、宿泊とは「寝具を使用して施設を利用すること」と厚生労働省の旅館業法の概要で定義されています。キャンプ場にこれを当てはめた例として、小樽市の宿泊税Q&A(Q36)は、移動式のテントを客が設置して泊まる場合は旅館業に該当せず、固定式のテントやバンガローなど事業者が設けた施設に泊める場合は旅館業に該当すると回答しています。

形態 旅館業の許可 建築物の扱い 投資の中心
区画貸し(持参テント) 該当しない 管理棟・トイレ棟のみ 造成・水回り・駐車場
常設テント・ドーム 該当する 特定行政庁が個別判断 宿泊棟・空調・給排水
バンガロー・キャビン 該当する 建築物 宿泊棟の建築費
トレーラーハウス 該当する 移動性で判断が分かれる 車両と設置工事

区画貸しと常設テントを併設する場合は、常設テント部分だけが旅館業の許可の対象になります。許可の種別は、施設の構造と営業形態で「旅館・ホテル営業」か「簡易宿所営業」かが決まるため、計画段階で保健所に図面を持ち込んで確認してください。種別ごとの客室面積の基準はホテル・ゲストハウス開業の事業計画書の書き方|稼働率とADRの根拠、融資と許認可の要点で整理しています。

常設テントとトレーラーハウスの建築基準法・消防法上の扱い

グランピングのテントを建築物とみなすかについて全国一律の基準はありません。東京都は令和5年第1回都議会定例会の文書質問への答弁で、容易に撤去できる一時的な小規模テントは建築物として扱わない一方、グランピング施設は特定行政庁が構造や使用の継続性などで建築物に該当するかを判断すると答えています。トレーラーハウスも、国土交通省の道の駅の高付加価値コンテナに関するガイドラインが示すとおり、「随時かつ任意に移動できるもの」に限って建築物に当たらないとされ、その判断も特定行政庁が設置状況に応じて行います。車輪を外したり、給排水を固定配管でつないだりすれば、建築物と判断される可能性が高まります。

消防法でも同じ方向です。東京消防庁の運用基準は、キャンプ場などの指定敷地内に組み立てた布製の家屋(グランピングのテント等)を、規制の緩い「簡易的なテント等」としては扱わないと明記しています。建築物に該当しても、区域や規模によって建築確認の要否は変わり、消防設備の要否も別に決まります。計画書では、建築確認を要する前提と要しない前提の2通りで工期と費用を見積もり、特定行政庁と消防署の事前相談の結果で片方に絞った経緯を書いておくと、審査側の疑問に先回りできます。

土地の許可が開業月を決める:農地転用・開発許可・林地開発

キャンプ場の候補地は農地や山林になりやすく、土地の許可が取れるまで造成に着手できません。計画書の工程表は、許可の取得時期から逆算して組みます。

最後の点は棟数の計画に直結します。調整区域で宿泊棟を何十棟も並べる計画は、この「必要最小限」と衝突しやすいからです。候補地が調整区域なら、棟数を決める前に自治体の開発許可担当へ相談し、その回答を計画書の前提条件として書いてください。

棟数×稼働率×単価で組む季節別の売上計画

グランピング5棟の売上試算(設例)

キャンプ場・グランピングは繁忙期と閑散期の差が大きく、年間平均の稼働率1本で売上を出すと、月ごとの資金不足が見えなくなります。季節を3つに分け、「棟数×日数×稼働率×1棟1泊の単価」で計算します。以下は5棟・通年営業の計算例で、特定地域の相場ではありません。

区分 日数 販売可能棟泊 稼働率 販売棟泊 単価 売上
繁忙期(7・8月、大型連休) 70日 350 80% 280 38,000円 1,064万円
中間期(繁忙期・閑散期以外) 175日 875 40% 350 30,000円 1,050万円
閑散期(12〜3月) 120日 600 20% 120 24,000円 288万円
年間 365日 1,825 41.1% 750 32,027円 2,402万円

単価は宿泊料だけにし、夕食やBBQセット、薪、アクティビティの売上は別の行に分けます。混ぜると1棟あたりの単価が高く見え、稼働率と単価のどちらに無理があるのかを審査側が検証できなくなります。

稼働率の前提を公的統計で検証する方法

設例の年間稼働率41.1%は、観光庁宿泊旅行統計調査の2025年確定値の客室稼働率と比べると、簡易宿所29.6%と旅館38.2%を上回り、リゾートホテル56.9%を下回る水準です。グランピングを簡易宿所で許可する計画なら、全国平均を上回る理由(都市圏からの距離、温泉や湖などの立地、予約サイトでの競合棟数)を1行ずつ書く必要があります。

区画貸しのキャンプ場では、日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書2026」概要が参考になります。2025年のキャンプ場の稼働率は16.3%で2020年と同水準でした。一方、施設数は2019年の1,269か所から2025年の1,570か所へ約24%増えており、同協会は、施設数が2020年水準のままなら稼働率は20.2%になる計算だとし、横ばいに見える稼働率の裏で1施設あたりの集客環境は変化していると指摘しています。稼働率が同じでも、施設数の増加分だけ競合が増えている点を計画書の前提に入れてください。この稼働率は観光庁の客室稼働率と定義が同じではないため、比較では出典ごとに分けて書いてください。

屋外施設は雨天や台風の予報でキャンセルが出ます。キャンセル規定(何日前から何%)と、悪天候時に返金する範囲を決め、その条件で繁忙期の稼働率を何ポイント下げて見込んだかを書きます。冬季休業にするなら閑散期の日数を営業日数から外し、その期間の固定費は休業中も発生する前提で資金計画に残します。

初期投資と冬の資金繰りの見積もり

グランピング5棟の初期投資の内訳(設例)

費目 金額(仮定) 実計画で取る資料
造成・園路・駐車場 400万円 土木業者の見積
電気引込・給排水・浄化槽 700万円 電力会社・設備業者の見積
宿泊棟(テント・デッキ・空調)5棟 1,500万円 メーカー見積(1棟300万円)
管理棟・トイレ・シャワー棟 700万円 建築業者の見積
寝具・家具・BBQ設備 200万円 仕入先の見積
予約サイト・Web・開業前広告 100万円 制作会社の見積
設計・測量・許可申請の外注 100万円 設計事務所・行政書士の見積
運転資金 400万円 月別の資金繰り表
合計 4,100万円 自己資金1,100万円+借入3,000万円

公庫の2025年度新規開業実態調査では、全業種の開業費用は平均975万円・中央値600万円です。設例の4,100万円はその約4倍にあたり、土地を買う計画ならさらに増えます。インフラ費は敷地の奥まで電気と水を引く距離で大きく変わるので、電力会社や設備業者から引込経路を確定した見積を取り、計画書に添付してください。

損益分岐点の稼働率と冬の資金不足の累計

設例の費用を、売上に比例する変動費(清掃・リネン・アメニティ・予約サイト手数料・決済手数料・光熱費の従量分)を売上の25%、固定費を年900万円(パート人件費600万円・地代120万円・保険や通信・広告・修繕180万円)と置きます。借入3,000万円は15年返済で元金が年200万円、利息は年2%と置いて初年度約60万円です。

  • 会計上の損益分岐点:(固定費900万円+減価償却費250万円+利息60万円)÷0.75=売上約1,613万円=稼働率27.6%
  • 返済と生活費まで賄う水準:(固定費900万円+利息60万円+元金200万円+事業主の生活費300万円)÷0.75=売上約1,947万円=稼働率33.3%

個人で開業する場合、公庫の創業計画書の人件費には事業主分を含めません。事業主の生活費は利益から出すので、返済と生活費を足した2本目の水準を、達成すべき稼働率の目安として書きます。設例ではこれが33.3%で、簡易宿所の全国平均29.6%を上回っています。全国平均並みの29.6%で計算すると、返済後に残るのは約138万円で、置いた生活費300万円に届きません。この33.3%は税金や社会保険料を差し引く前の目安なので、実計画ではそれらの支出を加えて計算し直してください。計算式の詳細は損益分岐点の計算方法:5つの計算式と決算書からの求め方、エクセルの式と複数商品の計算例【2026年版】にまとめています。

年間で黒字でも、冬は資金が減り続けます。閑散期の売上288万円は月72万円、変動費を引いた残りは月54万円です。固定費・利息・元金・生活費の月額約122万円に対して毎月約68万円が足りず、4か月で約270万円が出ていきます。設例の運転資金400万円は、この冬の不足約270万円に、開業前のスタッフ研修や営業準備の人件費など約130万円を足した額です(開業前広告の100万円は初期投資の表に別計上しており、重複させていません)。月別の入出金は資金繰り表の作り方:エクセルで組む5手順と入金予定日の計算式、自動化の判断【2026年版】の手順で12か月分を作り、計画書に添付してください。

公庫の創業計画書の書き方(キャンプ場・グランピング版)

日本政策金融公庫の創業計画書は記入欄が1〜10あり、自作の計画書で代えることも、詳しい資料を併せて出すこともできます。キャンプ場・グランピングで差がつくのは次の4欄です(番号は様式の記入欄)。

  • 2 経営者の略歴等:宿泊業・アウトドア事業の勤務経験と資格(防火管理者、食品衛生責任者)を具体的に書きます。この欄の「許認可(許可・届出等)」に、旅館業・飲食店営業の申請状況を書きます。食材を調理して出すなら食品衛生法の飲食店営業の許可が要ります。
  • 3 取扱商品・サービス:宿泊料・食事・物販の売上シェアを分けて書きます。
  • 8 必要な資金と調達方法:上の内訳表の費目ごとに見積先を書き、見積書を添付します。
  • 9 事業の見通し(月平均):創業当初と軌道に乗った後の月平均を書く欄です。季節変動が大きいので、年間を12で割った値を記入し、季節別の売上表と月別の資金繰り表を参考資料として付けます。

融資制度は新規開業・スタートアップ支援資金が中心で、融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)です。女性や35歳未満・55歳以上の方などが対象の特別利率は、原則として土地にかかる資金を除くと明記されています。特別利率を見込む場合は、土地代とそれ以外の資金を分けて利率を当て、返済額を計算してください。様式の欄ごとの書き方は事業計画書を1枚(A4)で書く方法|公庫の創業計画書10項目の埋め方と数字の根拠でも解説しています。

補助金を資金計画に入れるときの注意点

補助金は採択されても入金が事業の実施後になるため、計画書では「補助金が入るまでのつなぎ資金」を自己資金か借入で確保した形にします。開業後の販路開拓で使える小規模事業者持続化補助金<創業型>の第4回公募は、補助上限が原則200万円(インボイス特例の要件を満たすと50万円上乗せ)・補助率2/3で、申請受付は2026年11月5日から12月15日17時まで(予定)です。商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の受付締切は12月4日と早いので注意してください。申請できるのは、認定市区町村の特定創業支援等事業による支援を受けた日と開業日が、どちらも公募締切から過去1年以内の事業者です。公募要領は補助金を後払いと明記しており、対象経費は広報費やウェブサイト関連費など販路開拓の費目です。造成や宿泊棟の建設費の財源にする設計にはしないでください。交付決定前に発注・契約・支払いをした経費も対象外なので、開業前に済ませたい広告やWeb制作を補助金で賄う計画は、発注時期と照らし合わせて組みます。

予約の受け方は投資額と人件費の両方に効きます。予約サイトの手数料を払い続けるか、自社サイトで直接予約を受けるかで変動費率が変わるためです。宿泊管理ソフトの選び方は宿泊管理ソフトの比較6軸と規模別の選び方|失敗パターンと乗り換え判断、自社予約の仕組みを作る場合は予約管理システム開発の支援内容を参考にしてください。

融資面談の前に点検する計画書の欠陥

  • 年間の稼働率1本で売上を出している:季節別に分けていないと、冬の資金不足が計画書から消えます。
  • 旅館業の要否を書いていない:常設テントがあるのに許可の種類と申請状況が空欄なら、開業日そのものが疑われます。
  • インフラ費が概算のまま:電気・水道の引込距離が確定していない見積は、開業後の追加工事で資金が尽きる典型です。
  • 宿泊料と食事の売上を合算している:単価の根拠が検証できず、原価率も読めません。
  • 調整区域・農地・森林の許可の見通しがない:許可が下りなければ造成も建築もできず、借りた設備資金の使い道と開業日を説明できません。
  • 損益分岐の稼働率を書いていない:簡易宿所29.6%やキャンプ場16.3%と比べた位置づけがないと、売上計画の安全余裕が判断できません。

この6点のうち、許可と土地の見通しは数字で補えません。面談の前に保健所・特定行政庁・農業委員会などの事前相談を済ませ、相談日と回答の要旨を計画書に書いておくと、計画の実現性を示す材料になります。

よくある質問

キャンプ場を開業するのに旅館業の許可は必要ですか?

利用者が持参したテントを張る区画貸しだけなら、旅館業に当たらないとする自治体の解釈があります。事業者が常設テントやバンガローを用意して泊める場合は旅館業に当たり、許可が要ります。併設する場合は常設部分が対象です。最終的な判断は所在地の保健所に確認してください。

グランピングの開業費用はいくらかかりますか?

棟数・インフラの引込距離・土地の取得有無で大きく変わります。この記事の設例(5棟・借地)では運転資金込みで4,100万円で、公庫の調査による全業種の開業費用の平均975万円の約4倍です。宿泊棟と給排水の見積を先に取ると総額が固まります。

グランピングの事業計画書で稼働率は何%と書けばいいですか?

決まった正解はなく、根拠を示せる数字を書きます。比較対象は観光庁の2025年の客室稼働率(簡易宿所29.6%、旅館38.2%、リゾートホテル56.9%)です。繁忙期・中間期・閑散期に分けて置き、返済と生活費を賄える損益分岐の稼働率と並べて書きます。

キャンプ場の開業に使える補助金はありますか?

開業後の広報やウェブサイトなどの販路開拓には、小規模事業者持続化補助金<創業型>が使える場合があります。申請には、特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日がどちらも公募締切から過去1年以内であることが必要です。第4回の申請受付は2026年11月5日から12月15日まで(様式4の発行受付は12月4日まで)で、補助金は後払いです。造成や宿泊棟の建設費は対象経費の一覧にありません。

農地や山林にキャンプ場を作ることはできますか?

農地は原則として農地法第4条・第5条の転用許可が必要で、市街化区域内なら農業委員会への事前届出で足ります。地域森林計画の対象民有林で1ヘクタールを超えて造成する場合は林地開発許可が必要です。市街化調整区域では建てられる建物が管理棟などの必要最小限に限られる運用があるため、土地の契約前に各窓口へ相談してください。

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