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農地転用の事業計画書の書き方|申請書の記載事項と目的別の様式、資金証明・被害防除の要点

農地転用の事業計画書の書き方|申請書の記載事項と目的別の様式、資金証明・被害防除の要点

農地転用の事業計画書は、農地法施行規則が許可申請書に書くよう求めている「転用の事由の詳細」「事業又は施設の概要」「資金計画」「被害の防除施設の概要」を、審査する側が判断できる細かさまで書き出す書類です。施行規則の条文に「事業計画書」という書類名は出てきません。国は申請書の様式例を示しており、それでは書ききれない部分を、都道府県や農業委員会が転用目的ごとの事業計画書の様式で補わせています。

この記事では、条文が求める記載事項と許可基準の対応を先に押さえ、そのうえで国の様式例と福岡県の様式に沿って、各欄の書き方、資金計画書と被害防除計画書、住宅・資材置場・太陽光など目的別の違い、許可後の報告と計画変更までを順に説明します。

まとめ:農地転用の事業計画書の要点

  • 事業計画書は、農地法施行規則31条が定める申請書の記載事項(転用の事由・事業の概要・資金計画・被害防除)を詳しく書く書類で、様式は申請先の都道府県や農業委員会が配っています。
  • 許可基準は4条申請では農地法4条6項、5条申請では同法5条2項に定められており、事業計画書は主に「資力及び信用」「遅滞なく用途に供する見込み」「他法令の許認可の見込み」「面積の妥当性」「周辺農地への被害」に答えます。
  • 資金計画は見積額の合計を自己資金・借入金・補助金で賄えることを数字で示し、融資証明書や預貯金の残高が分かる書面など客観的な書類で裏付けます。申請者の申出だけでは足りません。
  • 5条申請(売買・賃借を伴う転用)は当事者の連署で出し、資力の証明や法人の登記書類は権利を取得する側(転用する側)のものを付けます。
  • 市街化区域内の農地は許可でなく届出で済み、届出書に資金計画や資力の証明は求められていません。
  • 許可には、許可の日から3か月後とその後1年ごとに工事の進捗を報告する条件が付きます。計画に反する転用は許可の取消しや原状回復命令の対象となり得ます。無許可転用、不正な許可取得、原状回復命令等への違反は罰則(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金)の対象です。

事業計画書の根拠となる条文と審査で見られる項目

農地を農地以外にする許可(4条)、売買や賃借で権利を得て転用する許可(5条)のどちらも、申請書の記載事項と添付書類は農地法施行規則で決まっています。事業計画書は、この記載事項を申請書の欄だけでは書ききれない部分まで広げたものと考えると、何を書くべきかがぶれません。

申請書の記載事項(規則31条) 事業計画書で書く内容 対応する許可基準
3号 転用の事由の詳細 用途・申請理由・代替地の検討 4条6項1号・2号(立地)
4号 転用の時期・事業又は施設の概要 土地利用計画・工程・他法令 4条6項3号(確実性)
5号 事業の資金計画 見積額と資金調達の内訳 4条6項3号(資力・信用)
6号 被害の防除施設の概要 排水・土砂流出・日照通風 4条6項4号(周辺営農)
7号 その他参考となるべき事項 他法令の許認可の進捗 規則47条2号・2号の2

出典:農地法施行規則(e-Gov法令検索)/農地法(e-Gov法令検索)

表の許可基準は4条申請のものです。5条申請の許可基準は農地法5条2項にあり、1号から5号までは4条6項と同じ構成で、6号により一時的な利用のために所有権を取得する申請は許可されません。

4条6項3号は、資力・信用が認められない場合や、転用の妨げとなる権利者の同意がない場合など、申請した農地の全てを申請どおりの用途に使うことが「確実と認められない」ときは許可できないと定めています。その具体的な事由を挙げているのが施行規則47条で、許可後遅滞なく用途に供する見込みがないこと(1号)、必要な他法令の許認可がされる見込みがないこと(2号)、農地の面積が事業の目的からみて適正と認められないこと(4号)、宅地の造成だけを目的とすること(5号)などが並びます。事業計画書の各欄は、この一つひとつに当てはまらないと示すために書くものです。

4条申請と5条申請で変わる提出者と添付書類

自分の農地を自分で転用する4条申請では、申請者本人が事業計画と資金を説明します。5条申請は権利を移す当事者の連署で申請書を出すのが原則で(規則57条の4第1項)、資力及び信用を証する書面は権利を取得しようとする側のものを添付し、その者が法人の場合は、定款若しくは寄附行為の写し又は法人の登記事項証明書を添付します(同条2項1号)。売主・貸主の資金計画を書くのではなく、転用して事業を行う買主・借主の計画を書くということです。国の様式例でも、5条の申請書(様式例第4号の2)には「権利を設定し又は移転しようとする理由の詳細」と、権利の種類・時期・存続期間などの「契約の内容」の欄が加わります。

土地の所有者以外が耕作している場合や地上権などが設定されている場合は、その権利者の同意書も必要です(規則30条1項5号)。同意が得られていないこと自体が4条6項3号の不許可事由に当たるため、事業計画書の内容より先に確認しておきます。

市街化区域の転用届出の記載事項と添付書類

市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会に届け出れば許可は不要です(農地法4条1項7号・5条1項6号)。届出書の記載事項は届出者・土地・所有者と耕作者・転用の目的と時期と事業の概要・被害防除施設の概要で(規則27条)、添付書類は土地の位置を示す地図と登記事項証明書が中心です(規則26条)。許可申請と違って、資金計画や資力を証する書面は条文上求められていません。

農水省の事務処理要領は、農業委員会が受理または不受理の通知書を、遅くとも届出書の到達から2週間以内に届出者へ届くよう処理するとし、受理通知書の交付があるまでは転用行為に着手しないよう指導するとしています。市街化調整区域や都市計画区域外の農地は原則として許可申請が必要で、資金計画と資力の証明を求められます。別紙の事業計画書の要否は、転用目的と申請先の指定によります。どちらに当たるかは申請書の「市街化区域・市街化調整区域・その他の区域の別」欄で最初に書くので、都市計画図で先に確認してください。

事業計画書の各欄の書き方(国の様式例と福岡県の様式に沿って)

国の事務処理要領が示す4条の申請書(様式例第4号の1)は、「転用計画」欄に転用事由の詳細、事業の操業期間、工事計画(第1期・第2期ごとの棟数・建築面積・所要面積)を書き、続く別の欄に資金調達についての計画、被害防除施設の概要、その他参考となるべき事項を書かせる構成です。京都市の申請書もこの構成をそのまま使っています。

これに加えて、福岡県は事業計画書を転用目的ごとに9種類(建売住宅・共同住宅等/工場・事業所・倉庫/資材置場・露天作業場・駐車場/店舗/有料駐車場・貸倉庫等/社会福祉施設等/農業用施設/植林/太陽光発電設備)に分けて公開しています。様式は違っても、書く内容は次の4つに集約されます。

転用目的と土地利用計画の面積内訳

福岡県の様式は、転用敷地の総面積を「うち農地面積」と「その他」に分けたうえで、住宅用地・駐車場・道路水路・緑地などの用途別面積を書かせ、合計欄を置いています。用途別面積の合計が転用敷地総面積と一致しない、申請書の面積と土地利用計画図の面積がずれている、といった数字の食い違いは、規則47条4号の「面積が事業の目的からみて適正」かを判断する前提が崩れるため、補正の対象になります。

建物を建てる場合は、建物ごとに建築面積と延面積、棟数を書き、建ぺい率も記入します。駐車場なら台数、資材置場なら置く資材の種類と量が面積の根拠になります。面積は「将来使うかもしれない分」まで含めず、計画する施設と通路・緑地で説明できる範囲にとどめます。

工事計画と供用開始の時期

国の様式例の記載要領は、工事計画が長期にわたる場合は「できる限り工事計画を6か月単位で区分して記載」するよう求めています。福岡県の様式も、造成工事の着工、建設工事の着工、完了予定、営業や供用の開始を年月で書かせます。審査側が見ているのは、許可後に遅滞なく用途に供するか(規則47条1号)です。

ここに書いた時期は、許可後の進捗管理の基準にもなります。事務処理要領は、事業計画の着手時期から3か月以上たっても着手していない場合、事業期間の中間時点で進捗がおおむね3割以上遅れている場合、完了時期から3か月以上たっても完了していない場合に、許可権者が文書で指導し、従わなければ勧告するとしています。着工時期は、他法令の許可や融資実行の時期と矛盾しないように組んでください。

他法令の手続きの進捗

福岡県の住宅用の様式は、都市計画法・森林法・国土利用計画法・環境保全条例などの手続きについて「申請済/未申請/申請不要」を選ばせています。国の様式例の記載要領は、申請地が市街化調整区域内にある場合、開発許可(都市計画法29条)や建築許可(同法43条1項)が要るかどうかと該当する条項号を「その他参考となるべき事項」欄に書くよう指示しています。

これは規則47条2号(他法令の処分がされる見込みがない)と2号の2(法令で義務付けられた行政庁との協議を現に行っている)に対応する欄です。事務処理要領も、開発許可が必要な案件は開発許可権者と調整したうえで、農地転用許可と開発許可を同時にすることが望ましいとしています。両方の担当課へ並行して相談し、日程を合わせて進めます。

申請理由と代替地の検討

福岡県の資材置場・駐車場用の様式には「事業拡張のため現在地が手狭」「現在地から移転」「新規に開業」などから申請理由を選ぶ欄と、既存の敷地の所在・面積・活用状況を書く欄があります。今の敷地で足りない理由を数字で示せないと、転用の必要性そのものが説明できません。

第2種農地など一部の農地では、周辺の他の土地で事業の目的を達成できるなら許可されません(農地法4条6項2号)。福岡県が「代替地検討表」を用意しているのはこのためで、候補地ごとに形状・交通の利便性・周辺環境・農業用施設への影響などを並べ、申請地を選んだ理由を総合判断欄に書きます。

資金計画書と資力・信用の証明

規則30条1項4号は、資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力及び信用があることを証する書面の添付を求めています。農水省の運用通知は、この書面は資金計画の額の多寡によらず必要で、資力及び信用を客観的に裏付けるものでなければならず、申請者の申出によるものは適当でないとしています。事務処理要領が例に挙げる書面は次のとおりです。

  • 金融機関等が発行した融資を行うことを証する書面など、融資を受けられることが分かる書面
  • 預貯金通帳、金融機関等が発行した預貯金の残高証明書など、残高が分かる書面(申請者、またはその者と住居か生計を一にする親族のものに限る)
  • 源泉徴収票など所得の金額が分かる書面、青色申告書・財務諸表など財務の状況が分かる書面

出典:農林水産省「農地法に係る事務処理要領」(農地転用抜粋・令和8年9月30日現在)/同「農地法の運用について」(農地転用抜粋)

実際にどの書面を受け付けるかは申請先の運用で決まります。福岡県の資金計画書(例)は、左側に費用見積額(土地代・造成費・建設費用・駐車場や資材置場の整地費など)、右側に資金計画(自己資金・金融機関融資・個人借入れ・公的資金)を並べ、自己資金には預金残高証明書か有価証券の写し、融資には融資証明書、補助金には交付申請書や予算書・議決書の写しを対応させる形式で、資金計画書・資金証明書は原則として原本、見積書は全ての申請に原則添付としています。

書き方のポイントは、資金の合計が見積額の合計を下回らないことと、見積書・資金計画書・事業計画書の金額が一致していることの2点です。借入で賄う場合、金融機関の融資証明書は審査を経て発行されるため、融資の相談を農地転用の申請より先に始める必要があります。事業そのものの収支計画の書き方は、融資審査で評価される太陽光発電事業計画書の役割と作成が必要な背景や建設業の事業計画書が融資審査と許可申請で果たす役割と作成目的でも扱っています。

被害防除計画書の書き方

4条6項4号は、土砂の流出や崩壊、農業用用排水施設の機能への支障など、周辺の農地の営農条件に支障を生ずるおそれがある転用を許可しないと定めています。福岡県は被害防除計画書を4区分(住宅・公共施設等/工場・店舗・事務所等/倉庫・資材置場・駐車場・太陽光発電設備等/農業用施設・畜舎)で用意しており、倉庫・資材置場等の様式で書く項目は次の5つです。

  • 排水計画:雨水(溜桝・調整池・水路放流・自然流下)、汚水と生活雑排水の処理方法
  • 用地造成に伴う措置:土留め・擁壁・法面保護・緩衝地・防護柵
  • 近傍農地の日照・通風・通作への配慮:緑地や緩衝地の幅、建物の高さ
  • 近傍の人家への騒音対策:防音壁・植樹など
  • 被害補償:被害の訴えがあれば転用者が話し合いで解決する旨

様式は「該当するものを選んで内容を書く」形ですが、選んだ対策の位置と排水の経路を建物配置計画図・土地利用計画図に図示するよう求めています。農業用水路へ排水する場合は、水路管理者との協議や水利関係者の同意の要否を確認します。土地改良区の意見書は、申請農地がその地区内にある場合に必要です。ただし、意見を求めて30日を経過しても得られない場合は、その事由を記載した書面を添付します。なお、一般住宅・農家住宅・植林などは、被害防除施設の概要を申請書へ記載すれば別紙の計画書は不要とする扱いです(福岡県の必要書類一覧)。

住宅・資材置場・太陽光など転用目的別の記載と追加書類

目的が変わると、事業計画書で面積や必要性の根拠にする数字が変わります。福岡県の様式から、目的ごとに固有の欄を抜き出すと次のとおりです。

転用目的 事業計画書の固有の欄 追加で求められる書類の例
建売・共同住宅等 建物ごとの面積・戸数・建ぺい率、給水計画 工程表(建売住宅)
資材置場・駐車場 作業機械と車両の台数、資材の量、既存敷地 許可後は利用状況の写真
太陽光発電設備 最大出力(1枚の出力×枚数)、パネル面積 FIT・FIP認定通知の写し等
営農型太陽光発電 一時転用の期間と下部の営農計画 営農計画書・撤去費用の誓約書等

出典:福岡県「農地転用許可申請書類」

太陽光発電設備(地上設置)の事業の見込み

福岡県の太陽光用の事業計画書は、パネルの最大出力を「1枚あたり出力×枚数」、パネル面積を「1枚の寸法×枚数」で書かせ、メーカー・品番は別添、キュービクルとパワーコンディショナーの位置は図面で示す形式です。事業の見込みとして、FIT・FIP制度の認定を受ける場合は事業計画認定の通知の写し(または認定申請を出したことが確認できる書類)、認定を受けない場合は売電契約書の写しと、系統連系が確認できる書面または受付印のある系統連系の申込書の写しを添付します。

売電先と系統接続の見通しが書面で示せないと、規則47条1号の「遅滞なく用途に供する見込み」を満たしているとは言えません。設備の規模からパネル枚数、必要面積までが一本の計算でつながるように書きます。

営農型太陽光発電(一時転用)の追加書類

農地に支柱を立ててパネルを設置し、下で営農を続ける営農型太陽光発電は、支柱部分の一時転用の許可になります。施行規則30条2項は、通常の添付書類に加えて、設備の設計図、下部の農地での栽培計画や収支の見込みを書いた営農計画、営農への影響の見込みとその根拠、撤去費用を設置者が負担することを証する書面、毎年の栽培実績書と収支報告書を提出する誓約書を求めています。

営農への影響の根拠は、市町村内の生産量・品質のデータ、農作物に知見を有する者の意見、先行して下部の農地で耕作する者の栽培実績のいずれかで示します(同項3号)。ただし、市町村内で栽培されていない作物や生産に時間を要する作物では、知見者の意見に加え、市町村内での試験栽培の実績書又は栽培理由書が必要です。発電の収支だけでなく、下の農地で何をどれだけ作るかが審査の中心になる点が、地上設置の太陽光と大きく違います。

許可されない場合は施行規則47条6号に列挙されています。通常の農地・作物では、下部農地の単収が同じ年産の市町村の平均よりおおむね2割以上減るおそれがある場合(遊休農地には別基準があり、市町村内で栽培されていない作物や生産に時間を要する作物は、添付した栽培実績書又は栽培理由書の単収を基準とします)、農作物の品質を著しく劣化させるおそれがある場合、パネルの角度や間隔が生育に必要な日照に影響する場合、支柱の高さ2メートル以上など農業機械で作業できる空間が確保されていない場合、電力系統に連系する計画で、電気事業者と連系の契約を結ぶ見込みがない場合などです。一時転用の期間は通常3年以内で、担い手が下部の農地で営農する場合、遊休農地を活用する場合、第2種・第3種農地を活用する場合は10年以内とされています(農林水産省「営農型太陽光発電設備について」)。ソーラーシェアリングの営農計画の書き方は太陽光発電事業計画書の記事でも触れています。

提出から許可までの流れと期間

申請書は農業委員会を経由して都道府県知事等(指定市町村ではその市町村長)に提出します(農地法4条2項)。農業委員会は申請書の提出があった日の翌日から40日以内に意見を付けて知事等へ送付し、同一事業で30アールを超える転用では都道府県機構(都道府県農業委員会ネットワーク機構)の意見を聴くことになっていて、その場合の送付期限は80日です(農地法4条3項・4項、規則32条)。同一事業で4ヘクタールを超える転用は、知事等があらかじめ農林水産大臣に協議します(農地法附則2項)。

40日・80日は原則的な法令上の送付期限です。規則32条ただし書には特段の事情がある場合の例外があります。事務処理要領が示す標準的な事務処理期間はこれより短く、農業委員会が申請書の受理後3週間(都道府県機構に意見を聴く事案は4週間)、知事等が申請書と意見書の受理後2週間です。ただし多くの農業委員会は毎月の受付締切日と総会の日程を決めていて、締切を1日過ぎると審議が翌月に回るので、実際の日程は申請先で確認してください。

  1. 農業委員会の窓口で事前相談(農地区分・必要書類・締切日の確認)
  2. 他法令(開発許可など)の相談と、融資の申込み
  3. 事業計画書・資金計画書・図面・同意書をそろえて締切日までに提出
  4. 農業委員会の現地調査と総会での審議、意見を付けて知事等へ送付
  5. 知事等の許可、許可書の交付後に着工

事前相談で農地区分を確認しておかないと、農用地区域内の農地や甲種・第1種農地のように原則として許可されない土地で事業計画を作り込んでしまうことがあります。地域計画の区域内では、計画の達成などに支障を及ぼすおそれがある転用も許可されません(農地法4条6項5号)。事業計画書を書き始める前に、区分と申請の可否を確かめるのが最初の作業です。

許可後の進捗報告と計画変更、違反した場合の扱い

農地法4条7項は、転用行為が完了するまでの実施状況を農業委員会経由で知事等に報告することなどを、許可の条件として付けなければならないと定めています。国の処理基準が示す条件は、申請書に記載された事業計画に従って事業の用に供すること、許可の日から3か月後とその後1年ごとに工事の進捗状況を報告し、完了したら遅滞なく報告することです。福岡県の「工事進捗状況報告書・工事完了報告書」では、事業計画に書いた造成や建築の進捗率、今後の計画、遅延している場合の理由、状況写真を報告し、資材置場のように建物を建てない転用は、実際にその用途で使っていることが分かる写真を求めています。さらに、こうした恒久転用では、工事完了の報告があった日から3年間、6か月ごとに事業の実施状況を報告する必要があります。

許可後に転用目的や事業計画を変える場合は、許可権者の承認を受けます。福岡県の「農地転用計画変更承認申請書」は、当初計画と変更計画を事業主・着工完工年月日・建物の棟数・造成面積・建築面積・所要面積ごとに対照し、変更後の被害防除措置と資金計画も書き直す形式です。事業計画書に書いた数字は、許可後もこの対照の起点になります。

許可を受けずに転用した場合や、許可の条件に違反した場合、偽りの手段で許可を受けた場合は、知事等が許可の取消し、工事の停止、原状回復などを命じることができます(農地法51条1項)。罰則は、無許可転用や不正手段による許可の取得、原状回復命令への違反に対して3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で(64条)、法人には1億円以下の罰金が科されます(67条1号)。事務処理要領は、事業実施の勧告を受けた者が事業計画の過半の工事を完了しない限り、別の農地転用の申請があっても許可しないことが望ましいとしています。ただし、災害や埋蔵文化財の発見など、申請者の責任によらないやむを得ない事情による遅延は例外です。実現できない日程や資金を書いて許可を得ると、その後の別の申請まで通りにくくなるということです。

自分で作成するか行政書士に依頼するかの判断

他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類を作成することは行政書士の業務で(行政書士法1条の3)、行政書士又は行政書士法人でない者は、他の法律に別段の定めがある場合などを除き、「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得て業として行うことができません(同法19条1項)。申請者本人が自分の事業計画書を作るのは自由なので、判断の基準は手間と案件の難しさです。

費用の目安は、日本行政書士会連合会の令和7年度報酬額統計調査で、農地法4条許可申請の平均が96,893円、5条許可申請が120,186円、4条届出が50,728円、5条届出が54,226円です(日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」)。これらは消費税込み・立替金を含まない報酬額で、事業計画書単体の作成料金ではありません。4条許可の回答は最小8,800円から最大800,000円まで開きがあり、具体的な取扱い内容によって変わります。

市街化区域の届出や、住宅一棟・小規模な駐車場で他法令の手続きがない4条申請なら、農業委員会の事前相談で様式と記載例をもらい、自分で書いても対応できます。一方、開発許可と並行する案件、30アールを超えて都道府県機構の意見聴取が入る案件、営農型太陽光のように営農計画と知見者の意見書まで要る案件は、他法令との日程調整と書類の整合が主な作業になるため、農地転用を扱い慣れた行政書士に任せる価値があります。依頼する範囲の切り分け方は事業計画書の代行で依頼できる作成範囲と任せられない部分の線引きで整理しています。

よくある質問

農地転用の事業計画書に決まった様式はありますか?

全国で統一された事業計画書の様式はありません。国は事務処理要領で申請書の様式例(4条は様式例第4号の1、5条は第4号の2)を示しており、その転用計画欄で書ききれない内容を、都道府県や農業委員会が転用目的ごとの事業計画書の様式で求めています。申請先の様式を使ってください。

住宅一棟の転用でも事業計画書は必要ですか?

自治体によって扱いが分かれます。福岡県の必要書類一覧では、事業計画書は「申請目的等によっては添付」とされ、一般住宅などの被害防除施設の概要は申請書への記載で足りるとしています。申請書の転用計画欄だけで足りる場合もあるので、窓口で確認してください。

資金計画の証明に通帳のコピーは使えますか?

国の事務処理要領は、資力の証明の例として預貯金通帳と残高証明書の両方を挙げています(申請者か、住居または生計を一にする親族のものに限る)。ただし福岡県の資金計画書(例)のように自己資金の証明を預金残高証明書としている自治体もあるので、申請先の指定に合わせてください。借入で賄う部分は、融資証明書など融資を受けられることを客観的に確認できる書面を用意します。

許可後に事業計画を変えたいときはどうしますか?

転用目的や事業計画を変える場合は、着工前に農業委員会へ相談し、許可権者の承認を受けます。承認を受けずに計画と違う用途で使うと、許可の条件違反として原状回復命令などの対象になります。

市街化区域の農地でも事業計画書は必要ですか?

市街化区域内の農地は届出で転用でき、届出書に書くのは転用の目的と時期、事業の概要、被害防除施設の概要です(農地法施行規則27条)。許可申請のような資金計画や資力の証明は条文上求められていません。

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