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労災保険とは?加入義務と給付・請求の流れを人事データの設計目線で解説

労災保険とは?加入義務と給付・請求の流れを人事データの設計目線で解説

労災保険は、労働者を1人でも雇っている事業に強制的に適用され、保険料は全額が事業主負担です。実務で手が止まるのは制度の理解ではなく、事故が起きたあとに請求書へ書く数字を社内のどこから持ってくるかという段階でしょう。2025年1月には労働者死傷病報告の電子申請が義務化され、事業の種類や被災者の職種、傷病名と部位が自由記載からコード選択へ変わりました。この記事では加入判断と保険料の計算、8種類の給付と請求様式、時効の起算日を確認したうえで、給付基礎日額の算定に要る賃金台帳と暦日数、休業日の持ち方、副業社員と業務委託先の扱いまでを、人事・勤怠システムの設定項目に置き換えます。

まとめ:全事業者が加入対象で2025年から報告は電子申請が原則

結論から言えば、加入判断で迷う余地はほとんどありません。農林水産の一部を除き、労働者を1人でも雇えば保険関係は成立し、パートでもアルバイトでも対象です。保険料は全額が事業主負担で、給与から控除する処理は発生しません。令和8年度の労災保険率は令和7年度と同じで、オフィスワーク中心の事業が入る業種番号94「その他の各種事業」は1000分の3です。

変わったのは報告と請求の手続きの側です。2025年1月1日から労働者死傷病報告の電子申請が義務化され、事業の種類は日本標準産業分類の細分類、被災者の職種は日本標準職業分類の小分類、傷病名と部位や国籍・在留資格も選択式になりました。令和8年度の年度更新からは、電子申請が義務付けられている法人に紙の申告書が届きません。

システム側で先に手を打つべき箇所は、申請画面の作り込みではありません。賃金の締め日と直前3か月の支払実績、休業日と一部労働の有無、報告時に選ぶコード値。この3つが社内データで再現できるなら、請求書の作成は入力支援サービスとe-Govで足ります。ここが揃っていなければ、労災が起きるたびに給与担当者が紙の台帳をさかのぼることになります。

労災保険の適用範囲と、パート・役員・業務委託で分かれる加入判断

加入対象かどうかの判断は、雇用形態ではなく「労働者を使用しているか」で決まります。健康保険や厚生年金のような労働時間の要件はなく、週1日の勤務でも対象に入ります。

労働者を1人でも雇えば成立する適用事業と、保険料の全額事業主負担

労災保険は、農林水産の事業の一部を除き、労働者を1人でも雇っていれば適用事業となる制度です。事業主は保険関係の成立手続を行い、労働保険料を納付します。ここでいう労働者に雇用形態の区別はなく、正社員も契約社員もパートもアルバイトも、日雇いも含めて全員が対象です。

混同しやすいのが雇用保険です。雇用保険には週の所定労働時間による加入要件があり、短時間の勤務者が外れます(週20時間・31日以上の判定と適用除外は雇用保険の加入条件で解説しています)。労災保険にその線引きはありません。人事システムで「社会保険の加入区分」と同じフラグを使って労災の対象者を管理していると、短時間勤務者を集計から落とす事故が起きます。労災の対象は在籍する労働者全員で、判定フラグを持つ必要のない領域だと割り切った方が安全です。

役員・同居の親族・出向者・外国人労働者で分かれる労働者性の判定

判断が分かれるのは、雇用契約の外側にいる人たちです。法人の代表者や役員は原則として労働者ではないため、労災保険の給付対象から外れます。例外は、業務執行権を持たず労働者と同様の業務に従事して賃金を受けている役員で、その部分については労働者として扱われます。同居の親族も原則は対象外。事業主と同居していない親族や、他の労働者と同一の就業実態にある場合は判断が変わります。

出向者は、指揮命令を受けて働いている先の事業で保険関係を見ます。在籍出向で給与の一部を出向元が払っていても、適用は原則として出向先です。海外の事業場へ派遣される場合は国内の保険関係で守られず、特別加入という別の手続きに移ります。

外国人労働者は在留資格の有無にかかわらず労働者として扱われ、給付の対象です。2025年1月の様式改正で死傷病報告に国籍・地域と在留資格の選択欄が入ったため、これらを人事マスタに持っているかどうかが報告作成の速度を分けます。従業員マスタの設計から見直す場合は、人事システムの機能と選び方をまとめた記事で管理項目の全体像を確認してください。

業種番号で決まる労災保険率と、年度更新で確定させる保険料の計算

保険料は賃金総額に業種ごとの労災保険率を掛けて算出します。率は事業の危険度に応じて設定され、業種間で35倍の開きがあります。

最高88から最低2.5まで開く業種別料率と情報サービス業の3.0

厚生労働省の令和8年度の労災保険率に関するページでは、令和8年度の労災保険率、特別加入保険料率、労務費率がいずれも令和7年度から変更されていないと示されています。適用されているのは令和6年4月1日施行の労災保険率表で、単位は1000分の1です。主な業種の率は次のとおりです。

業種番号 事業の種類 労災保険率
21 金属鉱業・石炭鉱業等 88
90 船舶所有者の事業 42
35 建築事業 9.5
94 その他の各種事業 3
98 卸売業・小売業・飲食店等 3
97 通信業・放送業・出版業等 2.5
99 金融業・保険業・不動産業 2.5

自社がどの業種番号に入るかは、厚生労働省告示の労災保険率適用事業細目表で確認します。ソフトウェア業や情報処理・提供サービス業は細目9436「情報サービス業」として業種番号94に属し、率は1000分の3。年間賃金総額3億円のIT企業なら労災保険料は年90万円です。全54業種の料率と、賃金総額に入れる手当・一般拠出金の計算は、労災保険料率の業種別一覧と計算方法を扱った記事で詳しく整理しています。率が低い業種ほど労災を想定しておらず、発生したときに手続きを誰も知らない状態に陥りがちだという点は押さえておいてください。

6月1日から7月10日までの年度更新と概算・確定保険料の二段構え

労働保険料は、年度のはじめに見込額で申告・納付し、年度末に実績で精算する二段構えです。この手続きを年度更新と呼びます。厚生労働省の労働保険年度更新に係るお知らせによれば、令和8年度の申告・納付期間は6月1日から7月10日までです。前年度の実績で確定保険料を計算し、同時に新年度の概算保険料を申告します。

ここで実務が変わった点が1つあります。電子申請が義務付けられている法人については、令和8年度の年度更新から紙の申告書の送付がなくなり、代わりに電子申請に必要な情報を記載した通知書等が送られるようになりました。資本金1億円超の法人などが対象です。紙が届くのを待って作業を始める運用だった企業は、社内の年間スケジュールから見直す必要があります。

申告に使う賃金総額は通勤手当や賞与を含み、役員報酬や退職金を除きます。含める支給項目の定義が担当者の記憶に依存しているなら、支給項目マスタへ労働保険の算入区分を持たせてください。

8種類の保険給付と、時効2年・5年で分かれる請求書様式の対応関係

労災保険の給付は8種類あり、それぞれ請求様式が別にあります。業務災害と通勤災害でも様式が分かれるため、何を出すのかの特定から実務が始まります。

療養・休業から遺族給付まで、給付の種類ごとに異なる請求様式の番号

厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーに、給付ごとの請求書が様式番号で並んでいます。労災指定病院で治療を受けたときは様式第5号を病院経由で提出し、指定外の病院で立て替えたときは様式第7号(1)。休業は様式第8号です。通勤災害は様式第16号の3、第16号の5(1)、第16号の6という別系統になります。

場面 業務災害 通勤災害
指定病院で療養 様式第5号 様式第16号の3
療養費を立替払い 様式第7号(1) 様式第16号の5(1)
休業4日以上 様式第8号 様式第16号の6
障害が残った 様式第10号 様式第16号の7
死亡(年金) 様式第12号 様式第16号の8

金額も種類ごとに定められています。厚生労働省の労災保険給付の概要によれば、休業(補償)等給付は休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%、これに休業特別支給金20%が上乗せされます。葬祭料等は330,000円に給付基礎日額30日分を加えた額(60日分に満たない場合は60日分)、遺族特別支給金は一律300万円です。

療養と休業は2年、障害と遺族は5年で切れる請求権の時効の起算日

請求権の時効は、給付の種類で年数も起算日も違います。厚生労働省の請求期限に関する案内では、療養は費用を支出した日ごとにその翌日から2年、休業は賃金を受けない日ごとに翌日から2年、葬祭料等は死亡日の翌日から2年、介護は介護を受けた月の翌月1日から2年とされています。5年になるのは、障害(補償)等給付が治癒(症状固定)した日の翌日から、遺族年金と一時金が死亡日の翌日から。二次健康診断等給付だけは一次健康診断の受診日から3か月以内です。傷病(補償)等年金は労働基準監督署長の職権で移行するため、請求時効という考え方がありません。

注意が要るのは、休業給付の時効が「日ごと」に発生する点です。長期休業で請求を後回しにすると、古い日から順に時効が到来します。休業が1か月を超える見込みになった時点で、月単位の請求へ切り替えてください。

2025年1月に義務化された死傷病報告の電子申請と改正後の報告事項

労働災害で労働者が死亡または休業したとき、事業者は労働基準監督署へ労働者死傷病報告を提出します。この報告の様式と提出方法が、2025年1月1日から変わりました。

産業分類・職業分類・傷病部位がコード選択に変わった5つの報告項目

厚生労働省の改正内容を示すリーフレットによれば、災害発生状況をより的確に把握することを目的として、報告事項が次のように改正されました。従来は自由記載だった項目が、選択式に変わったのが要点です。

  • 事業の種類:日本標準産業分類の細分類項目から選択
  • 被災者の職種:日本標準職業分類の小分類項目から選択
  • 傷病名及び傷病部位:該当するコードから選択(例:負傷>切断、頭部>鼻)
  • 災害発生状況及び原因:記入欄が5分割
  • 国籍・地域及び在留資格:該当するものを選択

報告の根拠は労働安全衛生規則第97条です。略図の扱いも変わり、イラスト等はデータで添付します。手書きしたものを携帯電話で撮影して添付する方法も認められています。従前の様式第23号および第24号は使用できません。

人事データの側で影響が出るのは分類コードです。事業の種類は産業分類の細分類、つまり4桁レベルまで確定させる必要があり、事業所ごとに業態が異なる企業ほど事前の整理が効きます。職種も職業分類の小分類で選ぶため、社内の職種マスタが「営業」「技術」という粗い粒度のままだと、報告のたびに個別判断が発生します。

電子申請が原則になった7つの手続と、書面が残る当面の経過措置

電子申請が義務化されたのは死傷病報告だけではありません。厚生労働省の案内では、産業医等の選任報告、定期健康診断結果報告、ストレスチェックの結果等報告、歯科・有機溶剤等の健康診断結果報告、じん肺健康管理実施状況報告、寄宿舎内の災害報告が同時に対象となりました。

経過措置として、パソコン端末を所持していない等の事情で電子申請が困難な場合は、当分の間、書面による報告も可能とされています。これは端末を持たない事業者への配慮であり、社内に手続きが定着していないことを理由に書面を選び続ける根拠にはなりません。

実際の申請には、厚生労働省のポータルサイト労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービスが使えます。帳票の作成・印刷に加えて、画面から入力した情報をe-Govを介して直接電子申請でき、入力内容は端末に保存して再利用できます。

勤怠・賃金データから休業補償給付の請求書を組み立てる社内フロー

請求書の様式が分かっても、記入する数字が社内で再現できなければ提出できません。ここが労災対応で最も時間を取られる工程です。

平均賃金の算定に要る直近3か月の賃金台帳と暦日数の突き合わせ

給付額の基礎になるのは給付基礎日額で、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額です。厚生労働省の資料では、事故が発生した日または疾病の発生が確定した日、賃金締切日が定められているときはその直前の賃金締切日を起点に、直前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った額と定義されています。

ここに落とし穴が3つあります。割るのが労働日数ではなく暦日数であること。賞与や臨時の賃金を総額から除くこと。起点が事故発生日ではなく直前の賃金締切日であること。給与システムから「直近3か月の支給額合計」をそのまま持ってくると、賞与を含んだ額や締め日をまたいだ額になり、算定をやり直すことになります。

療養開始後1年6か月を経過すると、年齢階層別の最低・最高限度額が適用され、額の見直しが入ります。

休業日・所定労働時間・一部労働の有無を勤怠データ側で持つ設計

休業(補償)等給付の請求書には、療養のために労働できなかった日を1日ごとに記載します。所定労働日か休日か、一部だけ働いたか、賃金が支払われたか。この4点でその日が支給対象になるかどうかが決まります。勤怠システムに「労災による休業」という休暇コードが無いまま欠勤や有給で処理していると、請求書を作る段階で1日ずつ確認する作業が発生します。

設計として持つべき項目は多くありません。労災休業を示す勤怠区分、その日の所定労働時間、一部労働した場合の実労働時間と支払賃金額。この3つがあれば、様式第8号の記載欄はデータから埋まります。所定労働時間が月ごとに変わるシフト制の職場では、勤務パターンの履歴を残しているかどうかが分かれ目です。シフトの組み方そのものから見直す場合は、シフト表・勤務表の作り方をまとめた記事で運用の型を確認できます。

既存の勤怠システムに労災休業の区分を追加できない場合や、拠点ごとに別のシステムが動いている場合は、勤怠管理システムの開発で打刻データと休暇区分の持ち方から設計し直す選択肢もあります。判断の基準は後述する規模条件です。

副業社員と業務委託先で変わる複数事業労働者・特別加入の管理範囲

雇用の形が1社1雇用に収まらなくなり、給付計算と補償の範囲も変わりました。副業を認めている企業と、業務委託で外部人材を使う企業の両方に影響します。

全就業先の賃金を合算する複数事業労働者と副業申告データの管理

2020年9月1日施行の労働者災害補償保険法の改正で、給付額はすべての就業先の賃金額を合算した額を基礎に決定されるようになりました。改正前は災害が起きた事業場の賃金だけで計算したため、副業先で被災すると補償が実収入とかけ離れる問題がありました。

あわせて、複数業務要因災害という区分が加わっています。1つの事業場だけでは業務上と認められない場合でも、脳・心臓疾患や精神障害については複数の事業場の労働時間や負荷を通算して評価します。副業を認めている企業にとっては、他社での労働時間を把握していない状態が、そのままリスクになる構造です。

実務として持っておくべきは、副業の許可申請と就業先・従事時間の記録です。他社の賃金を合算するのは労働基準監督署ですが、副業の事実を会社が把握していなければ手続きはそこで止まります。申請を紙やメールで受けているなら、就業先名と週の想定時間だけでも構造化データにしておいてください。

保険料率3の特定フリーランス事業と、発注側が持つ委託先台帳の項目

業務委託で働く人は労働者ではないため、発注側の労災保険では補償されません。その隙間を埋めるのが特別加入です。令和6年11月1日からの制度改正により、企業等から業務委託を受けているフリーランスは、業種・職種を問わず特定フリーランス事業として特別加入できるようになりました。消費者のみから業務委託を受けている人は対象外です。加入は都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体へ申し込み、手続は団体が行います。

保険料率も公開されています。特別加入保険料率表では、特定フリーランス事業(特12)が1000分の3、情報処理システムの設計等の作業(特26)も1000分の3です。給付基礎日額を選んで加入する仕組みで、日額10,000円なら年間保険料は概算1万円強にとどまります。

発注側で持つべきなのは、委託先が特別加入しているかどうかの記録です。加入は任意で、発注者に加入させる義務はありません。ただし常駐に近い形で作業してもらう場合、無加入のまま事故が起きれば補償は民事の交渉に移ります。委託先台帳に特別加入の有無と加入団体名の欄を作り、契約更新時に確認してください。発注者側の義務全般はフリーランス法の記事で整理しています。

労災対応をシステム化する判断条件と、Excel運用で足りる規模の線引き

労災対応は、規模によってはシステム化しない方が総コストの低くなる領域です。

年間の労災件数と拠点数から見た、システム化しない方がよい条件

専用機能を作るべきでないのは、年間の死傷病報告が数件以内、拠点が1つか2つ、事務の担当者が固定という企業です。報告は入力支援サービスから電子申請し、請求書は直接入力可の様式で作れば足ります。年に数回の作業のために画面を開発しても、操作を覚え直すコストが上回ります。

投資が見合うのは、報告件数が月次で発生する規模か、拠点が分散していて誰が報告するかが定まらない企業です。製造・建設・運輸で複数現場を持つ場合、災害の発生から報告までの進捗が本社で見えないことが問題になります。作るべきは請求書の作成機能ではなく、発生の受付と進捗の可視化です。請求書は入力支援サービスで作れるため、社内システムの役割は「誰が・いつまでに・どこまで進んだか」に絞ってください。

分岐は労災の件数ではなく関与する人数で決めてください。報告を作る人が1人なら手順書で足り、3人以上が関わるなら記録の受け渡しに仕組みが要ります。

人事マスタへ足す項目と、既存システムに載せない方がよい災害情報

システム化しない場合でも、人事マスタ側で先に整えておく項目があります。国籍・地域と在留資格、日本標準職業分類の小分類に対応する職種コード、事業所ごとの日本標準産業分類の細分類、そして賃金締切日。いずれも死傷病報告や給付基礎日額の算定で必ず参照され、後から集めると時間がかかる情報です。

逆に、既存の人事システムへ安易に載せない方がよい情報もあります。傷病名と傷病部位、災害発生状況の記述、診断書の画像。これらは病歴に相当する機微な情報を含み、通常の人事担当者が閲覧できる領域に置くべきではありません。人事マスタには「労災の発生有無」と「休業期間」だけを持たせ、傷病の内容は閲覧権限を分離した保管先へ置く構成が現実的です。同じ設計判断はハラスメント相談の記録でも要る点を、パワハラ防止法の措置義務を扱った記事で触れています。

労災の記録を人事評価データと同じテーブルに置く設計は避けてください。被災の事実が評価の参照範囲に入ること自体が、報告をためらわせる要因になります。

よくある質問

労災保険の実務で問い合わせの多い論点を5つに絞ります。

アルバイトやパートも労災保険の対象になりますか?

対象です。労災保険は労働者を1人でも雇っていれば適用される制度で、雇用形態や労働時間による加入要件はありません。週1日の勤務でも、雇用契約を結んだ初日から補償の対象に入ります。雇用保険の週20時間のような基準は無いため、社会保険の加入区分と同じ考え方で対象者を絞ると誤ります。日雇いや試用期間中の人も同じ扱いです。

労災保険料は従業員の給与から控除するのですか?

控除しません。労災保険料は全額が事業主負担で、雇用保険のように労使で分け合う仕組みではありません。給与計算システムに従業員側の控除項目を設ける必要もない領域です。負担額は年度中に支払った賃金の総額に業種ごとの労災保険率を掛けて計算し、年1回の年度更新で申告・納付します。令和8年度の期間は6月1日から7月10日までです。

労災と健康保険はどちらを使えばよいですか?

業務中や通勤中のけが・病気には労災保険を使い、健康保険は使えません。労災指定病院であれば様式第5号(通勤災害は様式第16号の3)を病院へ提出することで、窓口での自己負担なしに治療を受けられます。誤って健康保険で受診した場合は、健康保険組合と医療機関に連絡して切り替えの手続きを行ってください。遅れると、いったん医療費の全額を精算し直すことになります。

労災を申請すると翌年の保険料は上がりますか?

すべての企業で上がるわけではありません。労災保険には災害の発生状況に応じて保険料率を増減させるメリット制がありますが、適用は一定の規模要件を満たす事業に限られます。小規模な事業は対象外で、労災を使って直ちに保険料が上がることはありません。保険料を理由に申請を控える運用は、労働者死傷病報告の未提出という別の問題を招きます。

会社が労災の手続きに協力してくれない場合はどうなりますか?

労災保険の給付請求は、被災した労働者本人またはその遺族が行うものです。請求書には事業主の証明欄がありますが、会社が証明を拒んだ場合でも、その理由を記載して労働基準監督署へ提出でき、監督署が事実関係を調査して支給を判断します。事業主側から見れば、証明の拒否は死傷病報告の提出義務とは別に監督署の調査を招く行為です。

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