個人事業主の国民健康保険料は、前年の「総所得金額等」から基礎控除43万円を引いた額に料率を掛け、加入者の人数分の均等割を足して決まります。売上でも手取りでもありません。令和8年度は子ども・子育て支援納付金分が加わって4区分になり、世帯の年間上限は113万円に上がりました。ここでは東京23区のうち20区が使う令和8年度の統一料率で、所得別の年額と月額、所得が少ない年に軽減が効いた後の実額、上限に届く所得、そして実際に負担を下げられる手段を数字で示します。
まとめ
- 令和8年度の国民健康保険料は医療分・後期高齢者支援金分・介護分・子ども・子育て支援納付金分の4区分で、世帯の年間上限は113万円です(令和8年政令第2号)。
- 計算の出発点は前年の総所得金額等です。申告分離課税所得や繰越控除などがなければ確定申告書第一表の所得金額等の「合計」欄を目安にし、合計所得金額2,400万円以下の場合は基礎控除43万円を引きます。所得税の基礎控除が104万円に上がっても、国保の43万円は変わっていません。
- 東京23区の20区では、単身・40歳未満で総所得金額等300万円なら年338,979円、500万円なら年550,579円です。40〜64歳は介護分が加わって年419,230円、年679,430円になります。
- 前年の軽減判定所得が43万円以下で、所得の申告が済んでいる単身・40歳未満の事業主は、均等割が7割軽減され、年およそ2万円(月あたり1,677円)です。ゼロにはなりません。
- 国民健康保険料は必要経費にできず、事業用口座から払ったときの勘定科目は事業主貸です。iDeCoや小規模企業共済の掛金も国保料を下げません。国保料に効くのは必要経費と青色申告特別控除です。
令和8年度に4区分へ変わった国民健康保険料の骨格
子ども・子育て支援納付金分の新設による賦課限度額113万円への引き上げ
令和8年1月15日に公布された「国民健康保険法施行令及び国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令の一部を改正する政令」(令和8年政令第2号)により、令和8年4月1日から国民健康保険料の区分が4つになりました。賦課限度額は医療分が66万円から67万円へ1万円上がり、後期高齢者支援金分26万円と介護分17万円は据え置き、新設の子ども・子育て支援納付金賦課額(自治体によっては子ども・子育て支援金分と表記)3万円が加わって合計113万円です。令和7年度の109万円から4万円の引き上げです。
この上限は世帯単位で、区分ごとに別々にかかります。医療分だけが上限に届き、支援金分は上限未満という状態は普通に起こります。国保は前年の所得を料率に直接反映する一方、会社員の健康保険は標準報酬月額の等級や標準賞与額に基づいて計算されます。会社員の健康保険料も、算定基礎が上がれば上限まで増えます。
売上ではなく総所得金額等から基礎控除43万円を引いた算定基礎額
所得割は「算定基礎額」に料率を掛けて計算します。新宿区の保険料の計算方法では、算定基礎額を「令和7年中の総所得金額等から基礎控除額43万円(合計所得金額が2,400万円以下の場合)を差し引いた金額」とし、マイナスなら0円として扱います。同区の早見表は確定申告書第一表の⑫「合計」欄を確認先として示していますが、申告分離課税所得や繰越控除がある場合は、その内容も反映して総所得金額等を確認する必要があります。
合計欄は所得控除を引く前の数字なので、扶養控除も生命保険料控除も社会保険料控除もまだ引かれていません。売上400万円・経費200万円・青色申告特別控除65万円なら、総所得金額等は135万円、算定基礎額は92万円です。売上400万円がそのまま基礎になるわけではありません。
令和7年分から所得税の基礎控除は段階的に引き上げられ、令和8年分は合計所得金額489万円以下で104万円です(詳しくは「基礎控除と給与所得控除の違い|令和8年分は104万円と74万円で年収178万円まで所得税ゼロ」)。ただし国保の算定基礎額で引く43万円は、所得税ではなく住民税の基礎控除(地方税法314条の2第2項)の額で、こちらは改正されていません。「基礎控除が上がったので国保料も下がる」とはならない点に注意してください。
算定基礎額は住民税の課税内容をもとに市区町村が計算します。所得が無い年でも申告をしていないと軽減の判定ができないため、収入ゼロの年でも住民税の申告は必要です。住民税側の計算は「住民税はいくら?年収別早見表と市町村民税所得割額の確認方法【令和8年度】」で扱っています。
労使折半のある協会けんぽとの負担差
協会けんぽ東京支部の令和8年3月分からの健康保険料率は9.85%で、令和7年度の9.91%から0.06ポイント下がりました。介護保険料率は全国一律1.62%、子ども・子育て支援金率は0.23%です。これらは事業主と被保険者で折半するため、会社員本人の負担は健康保険分でおよそ4.9%です。
国民健康保険は、23区の統一料率で所得割が医療分7.51%、支援金分2.80%、子ども・子育て支援納付金分0.27%の合計10.58%(40〜64歳は介護分2.43%が加わって13.01%)を全額自己負担します。加えて加入者1人あたりの均等割が年67,073円(40〜64歳は84,873円)かかります。協会けんぽは標準報酬月額に、国保は総所得金額等から43万円を引いた額に掛けるので、率だけを並べて何倍とは言えません。構造的な差は、折半の相手がいないこと、所得ゼロでも均等割が発生すること、そして傷病手当金が無いことの3点です。国民健康保険法58条2項は傷病手当金を条例で定める任意給付としており、病気で働けない期間の所得補償は自分で用意する必要があります。
所得別の国民健康保険料早見表(東京23区・令和8年度)
単身世帯の年額と月額(総所得金額等50万円刻み)
23区の統一料率で、単身世帯の年間保険料を総所得金額等ごとに計算した結果です。新宿区の令和8年度 国民健康保険料 概算早見表(総所得金額等)の数値と全行一致します。
| 総所得金額等 | 40歳未満・65〜74歳 年額 | 40〜64歳 年額 | 40歳未満・65〜74歳 月あたり | 40〜64歳 月あたり |
|---|---|---|---|---|
| 0円〜43万円 | 67,073円 | 84,873円 | 5,589円 | 7,073円 |
| 50万円 | 74,479円 | 93,980円 | 6,207円 | 7,832円 |
| 100万円 | 127,379円 | 159,030円 | 10,615円 | 13,253円 |
| 150万円 | 180,279円 | 224,080円 | 15,023円 | 18,673円 |
| 200万円 | 233,179円 | 289,130円 | 19,432円 | 24,094円 |
| 250万円 | 286,079円 | 354,180円 | 23,840円 | 29,515円 |
| 300万円 | 338,979円 | 419,230円 | 28,248円 | 34,936円 |
| 350万円 | 391,879円 | 484,280円 | 32,657円 | 40,357円 |
| 400万円 | 444,779円 | 549,330円 | 37,065円 | 45,778円 |
| 450万円 | 497,679円 | 614,380円 | 41,473円 | 51,198円 |
| 500万円 | 550,579円 | 679,430円 | 45,882円 | 56,619円 |
| 550万円 | 603,479円 | 744,480円 | 50,290円 | 62,040円 |
| 600万円 | 656,379円 | 809,530円 | 54,698円 | 67,461円 |
| 650万円 | 709,279円 | 874,580円 | 59,107円 | 72,882円 |
| 700万円 | 762,179円 | 932,179円 | 63,515円 | 77,682円 |
| 750万円 | 815,079円 | 985,079円 | 67,923円 | 82,090円 |
| 800万円 | 867,979円 | 1,037,979円 | 72,332円 | 86,498円 |
| 850万円 | 920,879円 | 1,090,879円 | 76,740円 | 90,907円 |
| 900万円 | 952,572円 | 1,122,572円 | 79,381円 | 93,548円 |
| 950万円 | 956,362円 | 1,126,362円 | 79,697円 | 93,864円 |
| 1,000万円 | 957,712円 | 1,127,712円 | 79,809円 | 93,976円 |
この表は均等割の軽減(7割・5割・2割)を適用する前の金額です。総所得金額等がおおむね100万円以下の単身者は軽減の対象になり、実際の請求額はこれより下がります。軽減後の金額は次の章に載せています。未就学児の均等割は申請不要で5割減額され、子ども・子育て支援納付金分の均等割は18歳未満の子どもについて全額軽減されます。ただし、この表は単身世帯の金額です。子どものいる世帯は家族分を加算して計算するため、軽減があっても表より低くなるとは限りません。
年10回払いで1回の請求額は月あたりの1.2倍
「月いくら」を知りたいときに注意したいのが、保険料は12か月で割って請求されないことです。新宿区の国民健康保険のお知らせ(令和8年4月15日発行)によれば、令和8年度の納入通知書は6月中旬に発送され、6月納期から翌年3月納期までの年10回払いです。早見表も「1納期につき1.2か月相当分の保険料が含まれます」と注記しています。
単身・40歳未満で総所得金額等300万円なら、月あたりは28,248円でも1回の納付額はおよそ33,900円です。500万円なら月あたり45,882円に対して1回およそ55,100円になります。4月と5月には請求が来ないぶん、6月以降の支払いが重く感じられるのはこのためです。口座振替やスマートフォン決済アプリの請求書払いでも納められます。
売上400万円・経費率50%・青色申告特別控除65万円のケース
「年収」が売上を指すのか所得を指すのかで、答えは倍以上変わります。売上400万円、必要経費200万円、青色申告特別控除65万円の個人事業主を単身・40歳未満とすると、総所得金額等は135万円、算定基礎額は92万円です。医療分116,692円、支援金分43,360円、子ども・子育て支援納付金分4,357円で、年164,409円、月あたり13,701円になります。
同じ売上・同じ経費で青色申告特別控除を受けなかった場合、総所得金額等は200万円で保険料は年233,179円です。差額の68,770円が、控除65万円が国保料だけにもたらす削減額で、所得税と住民税の軽減はこれとは別に発生します。売上から手取りまでを通しで追うなら「年収400万円の個人事業主の税金はいくら?手取り303万円と会社員との14万円差」を併せて確認してください。
4人世帯で均等割が積み上がる構造
国民健康保険には扶養という考え方がありません。配偶者や子どもも被保険者として1人ずつ均等割がかかります。夫が40代で所得500万円、妻が40代で所得なし、子ども2人が小中学生という4人世帯では、医療分533,607円、支援金分198,360円、介護分146,651円、子ども・子育て支援納付金分16,085円で年894,703円、月あたり74,559円です。単身の679,430円より年215,273円多いものの、増えたのはすべて均等割の頭数分で、所得割は単身のときと1円も変わりません。
23区の統一料率と独自料率を採る3区
国民健康保険料は市区町村が条例で料率を定めます。東京23区は統一保険料率方式を採っており、東京都保健医療局「令和8年度 特別区国民健康保険料一覧表」(令和8年4月1日現在)では、23区のうち20区が上表と同じ料率です。独自料率なのは次の3区だけです。
| 区 | 医療分 均等割/所得割 | 支援金分 均等割/所得割 | 介護分 均等割/所得割 |
|---|---|---|---|
| 統一料率(20区) | 47,600円/7.51% | 17,600円/2.80% | 17,800円/2.43% |
| 中野区 | 47,100円/8.03% | 17,400円/2.94% | 17,700円/2.53% |
| 目黒区 | 47,600円/7.51% | 17,600円/2.80% | 17,800円/2.35% |
| 江戸川区 | 48,900円/7.83% | 17,400円/2.84% | 17,400円/2.45% |
総所得金額等500万円の単身・40歳未満で計算すると、統一料率の20区が550,579円、江戸川区が568,128円、中野区が580,041円で、中野区と20区の差は年29,462円です。23区の中でも年度で中身は動いており、令和7年度から令和8年度にかけて医療分の所得割率は7.71%から7.51%へ下がった一方、均等割は47,300円から47,600円へ、支援金分の所得割率は2.69%から2.80%へ上がりました。同じ500万円の単身・40歳未満で、令和7年度の539,380円から年11,199円の増加です。
23区以外で金額が変わる要因(平等割・保険税方式・限度額)
23区の外では、計算の部品そのものが違うことがあります。大きいのは次の3つです。
- 平等割:1世帯ごとに定額でかかる部分です。23区には無く、大阪府の統一保険料率では医療分33,908円、後期高齢者支援金分10,845円が世帯ごとに加わります。
- 賦課限度額:113万円は政令が定める上限で、自治体はこれより低く設定できます。大阪府の令和8年度は医療分を66万円としており、合計は112万円です。
- 保険料か保険税か:国民健康保険税として課す自治体では、計算の考え方は同じでも、納付の名目や時効・延滞金の根拠法が地方税法になります。
大阪府の令和8年度市町村標準保険料率(所得割は医療分9.50%・後期高齢者支援金分3.06%・子ども分0.28%)で、総所得金額等300万円の単身・40歳未満を試算すると年およそ42万3,000円です。23区の20区の338,979円より8万円以上高くなります。府内の市町村は統一料率なので、大阪府内ならこの水準が目安になります。それ以外の地域では、居住地の市区町村が公開している早見表か試算ページで確認してください。
所得が少ない年の実額と軽減の境目
均等割の7割・5割・2割軽減の判定式
前年の所得が低い世帯は、申請なしで均等割が減額されます。新宿区の保険料の減免のページに載っている令和8年度の基準は次のとおりで、世帯主と被保険者全員の前年中の総所得金額等の合計で判定します。
| 減額割合 | 判定基準(世帯の総所得金額等の合計) | 未就学児 |
|---|---|---|
| 7割 | 43万円+10万円×(給与または年金所得者の数−1)以下 | 8.5割 |
| 5割 | 上記+31万円×加入者数 以下 | 7.5割 |
| 2割 | 上記(7割の基準)+57万円×加入者数 以下 | 6割 |
表の「10万円×(給与または年金所得者の数−1)」は、その人数が2人以上のときだけ加算し、0人・1人なら0円です。加入者数には、後期高齢者医療制度へ移って国保を抜けた同じ世帯の人(特定同一世帯所属者)も含みます。単身の事業主で給与所得も年金所得もない場合、7割軽減は43万円以下、5割軽減は74万円以下、2割軽減は100万円以下です。判定は毎年4月1日時点の世帯の状況で行い、年度の途中で加入した人は加入日で判定します。所得ゼロでも申告をしていないと判定の対象外になり、満額の均等割が請求されます。
軽減後の年額(単身・東京23区の20区)
早見表は軽減前の金額なので、所得が少ない年は実際の請求額と合いません。単身・給与年金所得なしの前提で、軽減後の年額を23区の統一料率から計算すると次のようになります。新宿区の令和8年度 減額基準額早見表にある減額後の月あたり均等割(7割1,677円・5割2,795円・2割4,472円、40〜64歳は2,122円・3,536円・5,658円)と整合します。
| 総所得金額等 | 軽減 | 40歳未満 年額 | 40〜64歳 年額 | 軽減前(早見表) |
|---|---|---|---|---|
| 0円〜43万円 | 7割 | 約20,100円 | 約25,500円 | 67,073円 |
| 60万円 | 5割 | 約51,500円 | 約64,600円 | 85,059円 |
| 70万円 | 5割 | 約62,100円 | 約77,600円 | 95,639円 |
| 80万円 | 2割 | 約92,800円 | 約116,000円 | 106,219円 |
| 100万円 | 2割 | 約114,000円 | 約142,100円 | 127,379円 |
| 110万円 | なし | 137,959円 | 172,040円 | 137,959円 |
軽減前の欄は40歳未満の金額です。所得割は軽減されないので、軽減の効き目は所得が低いほど大きく、0円〜43万円では年およそ4万7,000円下がります。年2万円前後となるのは、前年の総所得金額等が43万円以下で7割軽減に該当する単身・40歳未満の場合です。開業初年度や今年が赤字でも、前年に給与所得などがあれば保険料は高くなることがあります。
1万円の所得差で保険料が2万円変わる軽減の境目
軽減は基準以下か超えるかで割合が切り替わるため、境目では所得の増え方と保険料の増え方が釣り合いません。単身・40歳未満で計算すると、総所得金額等74万円(5割軽減)は年およそ66,300円、1万円多い75万円(2割軽減)は年およそ87,500円で、所得1万円の差で保険料が約2万1,000円増えます。43万円と44万円の境、100万円と101万円の境でも、それぞれ約1万4,500円の段差があります。40〜64歳ではこの段差がさらに大きくなります。
この段差を意識すべきなのは、所得が基準のすぐ上にある年です。使える手段は2つあります。1つは、年内に必要な備品を購入して事業で使い始め、その年の必要経費に算入できる額を計上することです。もう1つは、青色申告特別控除を10万円から65万円に上げることで、複式簿記での記帳と貸借対照表・損益計算書を添えた期限内申告に加え、e-Taxによる期限内の送信か、届出をしたうえでの優良な電子帳簿の保存が要件です。こうした正当な手段で基準以下に収まれば、所得税と住民税に加えて国保料も下がります。経費の付け替えや架空計上で所得を圧縮するのは論外で、所得が修正されれば保険料も遡って賦課し直されます。経費と控除の効き方の違いは「個人事業主の経費と控除の違い|1万円で減る税金と令和8年分の所得控除16種」で整理しています。
軽減判定における青色専従者給与と事業専従者控除の除外
家族に給与を払っている個人事業主が見落としやすい点です。新宿区は軽減判定の注意事項として、青色事業専従者給与額と事業専従者控除額を必要経費に算入しないこと、事業専従者がその事業から受ける給与所得は無いものとすることを明記しています。専従者給与で所得税上の所得を圧縮していても、軽減の判定は給与を払う前の所得で見られます。申告書上は軽減の基準に届いているのに国保では届かない、という食い違いが起きるので、軽減目当てで専従者給与を設計しても効果はありません。
所得割も期待どおりには下がりません。所得割は世帯の加入者全員の算定基礎額を合算して計算するため、専従者が同じ国保世帯にいれば、その給与所得は世帯の算定基礎額に加わります。専従者への所得の移転によって給与所得控除や本人の基礎控除が働く場合がありますが、算定基礎額は各人について0円を下限とするため、世帯全体の減少額が常に給与所得控除と43万円の合計になるわけではありません。専従者が会社の健康保険に入っているなど別の医療保険にいる場合に限り、専従者給与の全額が世帯の所得割から外れます。
賦課限度額に到達する所得ラインの実額
新宿区は早見表の中で、世帯人数別に「限度額に到達する1人あたりの総所得金額等」を公表しています。令和8年度は次のとおりです(世帯で1人だけが所得を持つ場合)。
| 加入者数 | 医療分(67万円) | 支援金分(26万円) | 介護分(17万円) | 子育て支援分(3万円) |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 8,717,617円 | 9,087,143円 | 6,693,374円 | 10,847,407円 |
| 2人 | 8,083,795円 | 8,458,571円 | 5,960,864円 | 10,153,704円 |
| 3人 | 7,449,973円 | 7,830,000円 | 5,228,354円 | 9,460,000円 |
| 4人 | 6,816,152円 | 7,201,429円 | 4,495,844円 | 8,766,296円 |
| 5人 | 6,182,330円 | 6,572,857円 | 3,763,333円 | 8,072,593円 |
2人以上の行は、加入者全員が介護分の対象(40〜64歳)で、子育て支援分の均等割の対象(18歳以上)でもある場合の金額です。18歳未満の子どもや40歳未満の家族がいる世帯は、その区分の到達ラインが上がります。
40〜64歳の単身事業主が最初に上限へ届くのは、医療分ではなく介護分です。介護分は総所得金額等約669.3万円で上限に届き、医療分は約871.8万円まで増え続けます。世帯人数が増えるほど到達ラインは下がり、所得のある人が1人の5人世帯では、医療分が約618.2万円で上限に達します。上限に届いた区分はそれ以上増えないので、負担率は所得が上がるほど下がります。総所得金額等1,000万円の単身・40歳未満で年957,712円(9.6%)、500万円では550,579円(11.0%)で、率で見ると所得が低い層のほうが重い構造です。
国民健康保険料が必要経費にならない理由と正しい処理
事業用口座から払ったときの勘定科目は事業主貸
国民健康保険料は事業のための費用ではなく、事業主個人が負担すべき社会保険料なので、必要経費には算入できません。事業用の口座やレジの現金から納付した場合は、事業のお金を私的に使った扱いになるため、借方に事業主貸、貸方に普通預金または現金を計上します。事業と無関係の個人口座から引き落としているなら、事業の帳簿に記帳する必要はありません。経費として処理すると所得金額が実際より小さくなり、所得税だけでなく国保料の算定基礎額まで過少になります。
社会保険料控除の対象範囲と生計を一にする親族分の扱い
経費にならない代わりに、支払った国民健康保険料は社会保険料控除として全額を所得から差し引けます。国税庁タックスアンサーNo.1130は、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族が負担すべき社会保険料を支払った場合に、その年に実際に支払った金額の全額を控除できるとしています。
取りこぼしやすいのは親族分です。国民健康保険は世帯主あてに世帯分がまとめて請求されるため、世帯主が払っていればその全額が世帯主の控除になります。別居の親の分も、生計を一にしていて子が納付書やスマートフォン決済で直接納めたなら子の控除です。親名義の口座振替のままでは、仕送りをしていても控除は親に帰属します。申告書への書き方は「国民健康保険料は確定申告・年末調整で全額控除|令和8年分の書き方と証明書不要の理由」で詳しく扱っています。
iDeCo・小規模企業共済が国民健康保険料に効かない理由
iDeCoの掛金、小規模企業共済の掛金、社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除、ふるさと納税による寄附金控除は、いずれも国民健康保険料を1円も下げません。国保の算定基礎額は、所得控除を差し引く前の総所得金額等から基礎控除43万円だけを引いた額だからです。新宿区の早見表が参照先として第一表の「合計」欄を指定していることが、そのまま根拠になります。
これらの所得控除は、課税所得がある場合に所得税や住民税の負担を下げる働きがありますが、国保料の算定基礎額は下げません。国保料に効くのは所得金額そのものを小さくするもの、つまり必要経費の適正な計上、青色申告特別控除、事業所得の必要経費になる経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の掛金です。経営セーフティ共済の解約手当金は、掛金を必要経費に算入していた個人事業主の場合、事業所得の収入となり、翌年度の国保料を押し上げることがあります。また、令和6年10月1日以後に解約して再加入した場合、解約日から2年を経過する日までに支出する掛金を必要経費に算入できません。
払えないとき・高すぎるときの減免と滞納の扱い
国民年金のような法定免除・申請免除の制度は、国民健康保険にはありません。あるのは所得に応じた自動の軽減(前章)と、事情を申し出て認めてもらう減免です。
非自発的失業者の給与所得を30%とする軽減措置
会社都合の退職から個人事業を始めた1年目は、前年の給与所得がそのまま保険料に跳ね返ります。離職日時点で65歳未満で、ハローワークから雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の交付を受け、離職理由が該当するコードであれば、届け出により前年の給与所得を100分の30として計算します。軽減期間は離職日の翌日が属する月から、その月が属する年度の翌年度末までです。自動では適用されないので、加入の手続きと同時に届け出てください。加入手続きの期限や任意継続との選択は「国民健康保険の加入・切り替え手続き|14日を過ぎたら・転職で数日空くときの保険料」を参照してください。
産前産後の保険料軽減期間(単胎4か月・多胎6か月)
令和5年11月1日以降に出産予定または出産した被保険者は、出産予定月の前月から出産月の翌々月までの4か月分の所得割額と均等割額が軽減されます。多胎妊娠の場合は出産予定月の3か月前から6か月分です。妊娠85日(4か月)以上の出産が対象で、死産・流産・早産・人工妊娠中絶も含みます。届け出は出産予定日の6か月前から受け付けています。
災害・病気・事業の休廃止による一般減免
災害、解雇、倒産、病気などで生活が著しく困難になり、預貯金など使える資産を活用しても保険料を納められないときは、減免を申請できます。新宿区は、電話などで事前に相談したうえで納付期限までに申請書を出すよう案内しています。事業が赤字でも前年の所得で保険料は決まるので、今年の売上が急に落ちた個人事業主はこの減免の対象になりえます。基準は自治体の条例ごとに違うため、まず窓口に相談してください。
滞納したときの延滞金・差押え・特別療養費
納期限を過ぎると督促が行われ、延滞金がかかる場合があります。新宿区の広報は、特別な事情なく滞納している人には預貯金等の財産調査を行い、予告なく差し押さえ等の滞納処分をすることがあると明記しています。
医療の受け方にも影響します。宮城県の案内によれば、特別な事情がないまま納期限から1年間滞納が続くと「特別療養費の支給に係る事前通知書」が送られ、原則として医療費をいったん全額自己負担する扱いになります(申請で一部負担金を除いた額が払い戻されます)。ただし、18歳に達した後の最初の3月31日までの人などは、この扱いの対象外です。1年6か月続くと保険給付の全部または一部が差し止められることがあります。事業の廃止・休止や著しい損害は国民健康保険法施行令28条の6の「特別な事情」に当たるので、納付相談で事情を説明し、保険料を納付できない特別の事情があると認められれば、この扱いの対象から除かれます。相談しただけで必ず回避できるわけではありません。
国保より安くなる選択肢とその分岐点
国民健康保険組合の定額保険料
業種によっては、市区町村の国民健康保険ではなく国民健康保険組合に加入できます。組合の保険料は所得に連動しない定額であることが多く、所得が高いほど有利です。文芸美術国民健康保険組合の令和8年度の保険料は、組合員が月26,000円、家族が1人あたり月15,700円、40〜64歳の介護保険料が月6,100円、子ども・子育て支援金分が組合員と18歳以上の家族について月600円です。
単身・40歳未満の組合員なら年319,200円です。23区の国民健康保険で同額に達するのは総所得金額等およそ281万円なので、これを超える所得があり、加盟団体に所属できる職種であれば組合のほうが安くなります。加入には所定の団体への所属が前提で、誰でも選べる選択肢ではありません。281万円という分岐点は保険料だけの比較なので、団体の会費や入会金も含めて負担額を確認してください。
退職1年目は任意継続との比較が最優先
退職して独立した年は前年の給与所得が国保料に反映されるため、負担が大きく増えることがあります。この年に比べたいのが任意継続です。退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があり、資格喪失日から20日以内に申し出ることが条件です。令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は32万円で据え置かれ、協会けんぽ東京支部の令和8年度保険料額表では、上限に該当する人の保険料は健康保険料31,520円に子ども・子育て支援金736円を加えて月32,256円、年387,072円です。40〜64歳は介護保険料率1.62%が加わって月37,440円、年449,280円です。
23区の国民健康保険がこの水準に達するのは、単身・40歳未満で総所得金額等およそ345万円、40〜64歳でおよそ323万円です。前年の給与所得がこれを上回るなら任意継続が有利です。任意継続には被扶養者の保険料がかからないため、配偶者や子どもを扶養に入れられるなら、分岐点はさらに低い所得へ動きます。任意継続は最長2年で、独立2年目に所得が下がる見込みなら、途中で国保へ切り替える設計も検討に値します。
法人化・マイクロ法人の固定費比較と分岐点
法人を設立して役員報酬を低く設定し、社会保険に切り替える方法がよく紹介されます。役員報酬を月45,000円にした場合、健康保険の標準報酬月額は最低等級の58,000円で、協会けんぽ東京支部で月5,713円、子ども・子育て支援金が月133円です。厚生年金は標準報酬月額の下限が88,000円なので月16,104円、これに事業主だけが負担する子ども・子育て拠出金(厚生年金の標準報酬月額の0.36%)が月317円加わります。合計は労使を通じて月22,267円、年267,206円で、23区内で資本金等1,000万円以下かつ従業者50人以下なら法人都民税の均等割年70,000円が乗り、固定費は年337,206円です。
法人側の厚生年金には基礎年金の分が含まれるので、比べる相手は国保料だけでなく、国保料と国民年金保険料(令和8年度は月17,920円・年215,040円)の合計です。法人側の年337,206円から国民年金分を引くと122,166円で、国保料がこれを超えるのは23区の単身・40歳未満で総所得金額等およそ100万円からです。保険料と均等割の合計だけなら、法人側の固定費はかなり低い所得で個人側を下回ります。ただし、この比較には設立費用や税理士報酬が入っておらず、法人に残した利益には法人税等が、役員報酬には所得税・住民税がかかります。所得の変動が大きく数年後に200万円台へ戻る可能性がある場合、法人と個人に分ける事業の実態を作れない場合、事務作業に時間を割けない場合は、保険料の差額が維持費で消えやすいので、保険料だけで判断せず設立・維持費を含めて試算してください。また厚生労働省は、令和8年3月18日付の通知「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」を同年9月14日に一部改正し、個人事業主等が法人へ役員報酬を上回る額の会費等を支払っている場合は、原則として業務の対価としての経常的な支払いとは認めない(=被保険者資格を有さない)取扱いを明確にしています。会費を払って役員になるだけの仕組みでは社会保険に入れません。所得が300万円台に乗ったというだけで法人化に踏み切らず、まず青色申告特別控除の満額適用と経費の適正計上、該当するなら国民健康保険組合を検討してください。法人化で国民年金から厚生年金に切り替わる影響は「個人事業主の年金はいくら?令和8年度は保険料月17,920円・満額70,608円」で整理しています。
よくある質問
個人事業主の国民健康保険料は経費にできますか?
できません。国民健康保険料は事業主個人が負担すべき社会保険料だからです。事業用の口座から払ったときは借方に事業主貸、貸方に普通預金で記帳します。確定申告では社会保険料控除として、その年に実際に支払った金額の全額を所得から差し引けます。
個人事業主の国民健康保険料は月いくらですか?
東京23区の20区で単身・40歳未満なら、総所得金額等200万円で月あたり19,432円、300万円で28,248円、500万円で45,882円です。40〜64歳はそれぞれ24,094円、34,936円、56,619円になります。ただし請求は6月から翌年3月までの年10回なので、1回の納付額は月あたりのおよそ1.2倍です。
年収400万円の個人事業主の国民健康保険料はいくらですか?
売上400万円で必要経費が200万円、青色申告特別控除65万円を適用した単身・40歳未満なら、23区の20区の令和8年度で年164,409円です。総所得金額等が400万円という意味なら年444,779円、40〜64歳なら年549,330円です。計算に使うのは前年の総所得金額等です。申告分離課税所得や繰越控除などがなければ、確定申告書第一表の所得金額等の「合計」欄が目安になります。
赤字や開業1年目で所得がゼロなら国民健康保険料は無料になりますか?
無料にはなりません。保険料は今年ではなく前年の所得で決まるので、今年が赤字でも、前年に給与所得などがあればその額で所得割がかかります。前年の算定基礎額がゼロなら所得割はかかりませんが、加入者ごとの均等割は残ります。前年の総所得金額等が43万円以下なら均等割が7割軽減され、23区の20区の単身・40歳未満で年およそ2万円(月あたり1,677円)、40〜64歳で年およそ2万5,000円(月あたり2,122円)です。この軽減は所得が把握できていることが条件なので、収入ゼロの年でも住民税の申告は済ませてください。
国民健康保険料は世帯収入で決まるのですか?
世帯単位で計算されますが、所得割に合算されるのは国民健康保険に加入している人の所得だけです。同じ世帯に会社の健康保険に入っている家族がいても、その人の所得は所得割に含まれません。ただし均等割の軽減判定では、国保に加入していない世帯主の所得も判定に含まれます。世帯主が会社員で所得がある場合、軽減に該当しなくなることがあります。