予約型広告は、掲載金額・期間・掲載面や配信量を出稿前に決めてから買う広告です。日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の用語集は「リザベーション広告」という別名も挙げています。入札で単価が動き、広告費が配信後に確定する運用型広告とは、費用と条件が決まるタイミングが逆になります。
予約型を「営業担当と人手で交渉する広告」と覚えると誤ります。電通などの統計は、配信プラットフォームを通じて固定価格で自動取引される広告も予約型に数えています。2025年の予約型は3,042億円で、インターネット広告媒体費の9.2%でした。この記事では、定義の境界、運用型との違い、保証の種類、媒体ごとの買い方、使うべき場面と避けるべき場面を順に整理します。
まとめ:予約型広告の要点
- 予約型広告は「掲載金額、期間、出稿内容(掲載面、配信量、掲載内容等)が、あらかじめ定められている広告」(JIAA用語集)です。純広告とほぼ同じ商品を指します。
- 運用型との違いは、条件と費用が配信前に決まるか、配信後に確定するかです。予約型を優先配信する媒体もありますが、配信順位は媒体の仕様や競合設定によって異なります。
- 保証の単位は期間・インプレッション・枠の占有に分かれます。期間保証型で示される想定インプレッションは保証されません。
- 2025年の予約型は3,042億円(前年比109.1%)です。ディスプレイの予約型は前年比98.8%と減り、動画の予約型は120.0%と伸びました。
- 発売日や掲載面そのものに価値がある出稿に向きます。獲得単価を見ながら予算配分を頻繁に変える出稿や、訴求案を短い間隔で差し替える検証には向きません。
予約型広告の定義:JIAA用語集と電通「日本の広告費」の基準
JIAAのインターネット広告基礎用語集は、予約型広告を「掲載金額、期間、出稿内容(掲載面、配信量、掲載内容等)が、あらかじめ定められている広告。リザベーション広告ともいう。」と定義しています。同じ用語集で「純広(じゅんこう)」は「広告主が媒体社から特定の広告枠を購入して掲載する広告。純広告の略。」です。純広告は「枠を買う」点に、予約型は「条件を事前に決める」点に着目した呼び名で、実務では同じ商品を指すことがほとんどです。配信システムの側では、購入者のために在庫を予約して配信を保証する取引を「保証型」と呼びます。Google アド マネージャーのヘルプは保証型キャンペーンを「予約済み広告在庫」、非保証型を「広告枠の予約なし」と整理しています。ただし、電通の統計上の予約型と、Google アド マネージャーの保証型は分類基準が異なります。固定価格でも広告枠を予約しない優先取引があるため、同義ではありません。
電通の統計が予約型に数える取引の範囲
「日本の広告費」のインターネット広告媒体費を分析した「2025年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(CARTA HOLDINGS・電通・電通デジタル・セプテーニの4社、2026年3月5日発表)は、予約型広告を次のように定義しています。
純広告やタイアップ広告として、代理店・メディアレップ経由、もしくは直接広告主に販売されたもの、およびデジタル・プラットフォーム(ツール)やアド ネットワークを通じて非入札方式(固定価格)で取引されるもの
後半の「非入札方式(固定価格)」が境界線です。媒体社と広告主が固定単価で在庫を取引し、配信だけをシステムで自動化するプログラマティック広告の一部(JIAAの用語でいうプログラマティックダイレクト)も予約型に入ります。JIAAはプログラマティックダイレクトを「プログラマティックな予約型純広告取引」と説明し、「オークション(RTB)を介さず」「在庫や単価が保証される」と書いています。判定の基準は人が交渉したかどうかではなく、価格を入札で決めたかどうかです。
予約型と運用型の違い:条件と費用が決まるタイミング
JIAAは運用型広告を「掲載・配信条件等が随時変更(運用)可能で、広告費が事後に確定する広告取引手法」と定義しています。予約型と並べると、違いは次の表のとおりです。
| 項目 | 予約型広告 | 運用型広告 |
|---|---|---|
| 価格の決まり方 | 固定価格(事前) | 入札(配信ごと) |
| 費用が確定する時点 | 申込時 | 配信後 |
| 掲載面 | 契約した掲載面・配信範囲 | 配信先指定・自動配信など |
| 配信中の条件変更 | 事前に決めた条件で配信 | 随時変更できる |
| 主な買い方 | 代理店・レップ経由、直販 | 管理画面(セルフサーブ) |
| 代表例 | ポータルのトップ枠、タイアップ | 検索連動型、SNS広告 |
運用型広告の種類と主要プラットフォームの比較は運用型広告の種類の解説記事にまとめています。
配信の優先順位:保証型の枠が先に配信される仕組み
媒体社が使う配信サーバーでは、予約型の枠に高い優先度が割り当てられます。Google アド マネージャーのヘルプでは、保証型の「スポンサーシップ」が優先度4、「標準」が6・8・10、非保証型の「ネットワーク」「バルク」「価格優先」とAd Exchangeが12です。数字が小さいほど先に配信されます。LINEヤフーもディスプレイ広告(予約型)を「運用型広告よりも優先的に配信される」と説明しています。
ただし例外があります。同じヘルプは、ダイナミック アロケーションが有効で非保証型の広告がリアルタイムに競合できる場合を除外しています。予約型が常に全インプレッションを先取りするわけではありません。また、媒体が売れる保証量は過去の実績から予測した在庫の範囲に限られます。アド マネージャーも、スポンサーシップの「獲得可能なインプレッション数」は過去のデータに基づく予測だと明記しています。
保証の種類:期間保証・インプレッション保証・枠の占有
予約型の「保証」が何を保証するかは、メニューごとに違います。見積もりを比べる前に、保証の単位をそろえます。
| 方式 | 保証されるもの | 保証されないもの | 料金の単位 |
|---|---|---|---|
| 期間保証型 | 指定期間の掲載 | 表示回数(想定値) | 期間ごとの定額 |
| インプレッション保証型 | 配信回数 | 毎回同じ位置での表示 | インプレッション単価 |
| 枠の占有(テイクオーバー等) | 契約対象の枠・表示機会の独占 | クリック数 | 日単位など |
期間保証型:想定インプレッションは参考値
JIAAによると、期間保証型は「特定の広告枠での掲載期間を保証する広告」で、1週間または1カ月単位が中心です。媒体資料に載る想定インプレッション数は「あらかじめ提示されるが、保証はされない」と明記されています。想定値で割った単価を、インプレッション保証型の単価と同じ物差しで比べてはいけません。媒体資料の実例と実効CPMでの比べ方は期間保証型広告の解説記事で扱っています。
インプレッション保証型:配信回数とビューアブル基準
インプレッション保証型は「広告の配信回数(インプレッション数)を保証する広告」で、JIAAは「同一の広告枠に複数の広告をローテーション掲載する場合が多い」と補足しています。広告が視認可能な状態で表示された面積や時間などの基準を満たす、ビューアブルインプレッションで保証するメニューもあります。LINEヤフーの予約型の「vimps購入型」がその例です。判定基準はビューアブルインプレッションの記事、CPMでの料金の仕組みはインプレッション保証型広告の記事を参照してください。
枠の占有:スポンサーシップとテイクオーバー
アド マネージャーの「スポンサーシップ」は、一致するリクエストの何%に配信するかを目標にする保証型の設定で、ヘルプは「購入者がページまたはサイトでのテイクオーバー広告を希望している場合」の直接販売に使うと説明しています。目標を100%にし、同じ条件を狙うスポンサーシップが他になければ、その広告だけが配信されます。Xのタイムラインテイクオーバーも、公式に「1日単位の独占型広告パッケージ」「事前予約可能 + 定額制」と説明される予約型の商品です。[話題を検索]タブの最上部を24時間独占するスポットライトテイクオーバーも「事前予約可能 + 一律料金」で売られています。なお、クリック数を保証する純広告もあり、運用型のクリック課金との違いはクリック保証型広告の記事で整理しています。
2025年の予約型広告の市場規模と伸びている領域
先の4社の詳細分析によると、2025年のインターネット広告媒体費は3兆3,093億円で、取引手法別の内訳は次のとおりです。
| 取引手法 | 2025年 | 前年比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 運用型広告 | 2兆9,352億円 | 112.5% | 88.7% |
| 予約型広告 | 3,042億円 | 109.1% | 9.2% |
| 成果報酬型広告 | 699億円 | 96.1% | 2.1% |
構成比は1割に満たないものの、予約型は2024年の2,789億円(前年比105.4%)から2年続けて伸びています。中身を広告種別で見ると、ディスプレイ広告の予約型は前年比98.8%と減り、ビデオ(動画)広告の予約型は前年比120.0%と大きく伸びました。予約型の成長を支えているのは、バナー枠ではなく動画の枠です。動画広告全体では、取引の84.6%を運用型が占めています。
主要媒体の予約型メニューと買い方(2026年10月時点)
予約型は、媒体ごとに買える窓口が決まっています。管理画面から誰でも申し込める運用型と違い、広告会社やメディアレップを通す媒体が多い点に注意します。媒体社の枠を広告会社に販売する役割はメディアレップの記事で解説しています。
LINEヤフー ディスプレイ広告(予約型):販売は取り扱い契約のある代理店経由
LINEヤフーのディスプレイ広告(予約型)には、LINE Talk Head View、LINE NEWS Top Ad、Yahoo! JAPAN トップページ ブランドパネル、トップページ トピックスPRなどがあります。購入タイプは2系統です。
- vimps購入型:掲載期間を3日〜31日で設定し、予算に合わせて配信金額を決める。ターゲティングを設定できる
- 枠購入型・vimps購入型(リーチ固定):1日の配信でリーチを最大化する
申し込みは、ディスプレイ広告(予約型)の取り扱い契約を結んだセールスパートナー(広告会社・代理店)を通します。LINE Talk Head View は1日で約7,500万ビューアブルリーチ(同社調べの1 Day オールリーチ実績)とされ、ブランドリフト調査やサーチリフト調査も実施できます。
TVer:運用型の「TVer広告」と放送局が売る予約型
TVerでは、同じ配信面に売り手が2系統あります。株式会社TVerの2026年5月のプレスリリース「TVer Sales AWARD 2025」は、「TVer広告」を「株式会社TVerがセールスする運用型の広告商品」とし、「TVer上で配信されている広告については、「TVer広告」のほか在京在阪の放送局がセールスを行う予約型広告もあります」と注記しています。買う窓口も分かれ、TVer広告はTVer(広告会社が入稿から配信、レポーティングまで行えるセルフサーブ機能あり)、予約型は各放送局です。
ニュースサイト・専門媒体:媒体資料の純広告とタイアップ
ニュースサイトや業界専門媒体は、媒体資料に期間保証やインプレッション保証のメニューと、記事体のタイアップを並べるのが一般的です。JIAAはタイアップ広告を「媒体社が広告を記事調に制作編集する広告コンテンツ」と定義しており、電通の統計でも予約型に含まれます。タイアップは掲載期間ではなくページビュー数を保証する形で売られることもあるため、保証の単位を必ず確認します。
予約型広告を使うべき場面と避けるべき場面
予約型は、発売日に合わせた掲載や、契約した配信量の確保、媒体独自の広告表現を優先する場合に選びます。逆に、成果を見ながら予算を動かしたい出稿では、その確実さが足かせになります。判断は次の基準で行います。
使うべき場面
- 発売日・イベント初日・決算発表など、日付をずらせない告知。1日単位の枠やテイクオーバーで露出を集中できる
- 掲載面そのものに価値がある出稿。ポータルのトップや放送局の番組枠のように、どこに出たかがブランドの評価につながる場合
- 認知の変化を調査で測る出稿。ブランドリフト調査などを組み込めるメニューがある
避けるべき場面
- CPAやROASに応じて予算を頻繁に移す必要がある出稿。キャンセル料や変更制限がある契約では、成果が悪くても未消化予算を別媒体に振り替えにくい
- 訴求軸やクリエイティブがまだ固まっていない段階。先に運用型で複数案を試し、勝った案を予約型に載せる
- 少額の単発出稿。代理店経由が前提の媒体では、窓口の確保と入稿の手間が配信費に対して重くなる
典型的な失敗は、期間保証型の想定インプレッションを保証値と読み違えて費用対効果を見積もることです。実績が想定を下回ると、実績で計算する実効CPMは見積もり時の単価より高くなります。比較は必ず保証された値か、掲載後の実績値で行います。
発注から掲載終了までの流れと見積もりの確認項目
予約型は条件を事前に固めるため、申込前の確認がそのまま成果を左右します。一般的な流れは次のとおりです。
- 媒体資料で枠・料金・想定値・入稿規定を確認する
- 広告会社やメディアレップを通じて、希望期間の空き状況を確認する
- 見積もりの条件をそろえて比較し、申し込む
- 入稿し、媒体社の広告考査を受ける
- 掲載中・掲載後のレポートで、実際のインプレッション数やクリック数を受け取る
見積もりを比べるときは、次の項目を媒体ごとにそろえます。
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 保証の単位 | 期間・imp・vimpで単価の意味が違う |
| 保証値か想定値か | 想定値は未達でも補填されない |
| ローテーションの有無 | 1枠を複数社で回すと表示が分散する |
| 競合排除の有無 | 同業他社と同じ枠に並ぶ場合がある |
| 申込・キャンセルの期限 | 費用は申込時に確定する |
| 入稿締切と考査期間 | 遅れると開始日に間に合わない |
| レポートの指標と計測元 | 媒体計測か第三者計測かで数値が違う |
買い付け全体の進め方や、予約型・運用型・プログラマティックの組み合わせ方はメディアバイイングの記事で解説しています。
よくある質問
予約型広告とは何ですか?
掲載金額・期間・掲載面や配信量を出稿前に決めて買うインターネット広告です。JIAAの用語集ではリザベーション広告とも呼ばれ、入札で単価が決まる運用型広告と対になる取引手法です。
予約型広告は英語で何と言いますか?
JIAAは別名として「リザベーション広告」を挙げており、reservation は「予約」を意味する語です。ただし商品の英語名称は媒体ごとに異なります。配信システムの英語表記では guaranteed(保証型)が使われ、固定価格で自動取引する保証型は Programmatic Guaranteed と呼ばれます。Google アド マネージャーのヘルプでは、プログラマティック保証型取引はスポンサーシップまたは標準の広告申込情報タイプを指すと説明されています。
予約媒体とは何ですか?
JIAAの用語集に「予約媒体」という見出し語はありません。予約型の広告枠を販売している媒体、つまりポータルサイト、ニュースサイト、動画配信サービス、一部のSNSなどを指して使われる言い方です。
予約型広告は運用型広告より高いですか?
一概には比べられません。予約型の価格は期間・インプレッション・ビューアブルインプレッションなど保証の単位がメニューごとに違うため、同じ単位に換算してから比べる必要があります。想定値で計算した単価自体は変わりませんが、実績で計算する実効CPMは、実績が想定を下回ると高くなります。例えば掲載費100万円なら、想定100万回でのCPMは1,000円、実績50万回での実効CPMは2,000円です。
予約型広告は少額でも出稿できますか?
媒体によります。LINEヤフーのvimps購入型は予算に合わせて配信金額を設定でき、期間も3日から選べます。ただし申し込みは取り扱い契約のある広告会社・代理店経由で、管理画面から直接申し込む運用型とは手続きが違います。