マーケティングフレームワークは、市場や顧客を決まった観点に分けて考えるための型です。3C・SWOT・STP・4Pの名前を知っていても、「どれを、どの順番で使うか」で手が止まりがちです。本記事は代表的な27種を5つの目的で一覧にし、用途・提唱者・使う順番をまとめます。提唱者と初出は原典や起源を調べた研究で確かめられた範囲で書き、通説とずれていた箇所は明記しました。
まとめ:5つの目的別の選び方と3C→SWOT→STP→4Pの使用順序
- マーケティングフレームワークは目的で5つに分けると選びやすい。環境分析(PEST・3C・ファイブフォース・SWOT・VRIO・バリューチェーン)、戦略立案(STP・4P・4C・7P・アンゾフ・PPM)、顧客理解(AIDMA・AISAS・DECAX・カスタマージャーニー・ジョブ理論・RFM・コホート)、目標と改善(SMART・KPIツリー・ファネル・AARRR・PDCA・OODA)、思考整理(MECE・ロジックツリー)。
- 使う順番の基本形はPEST・3C→SWOT→STP→4P/4C。外部から内部へ、分析から施策へ進む。4Pから埋めても表は完成するが、狙う相手が決まっていないので戦略にならない。
- 市場調査・市場分析には環境分析の型、デジタルマーケティングの改善にはファネル・AARRR・KPIツリーを使う。
- 通説と原典がずれている型がある。4Cの初出は1990年10月1日のAdvertising Age誌で、第1のCは「Consumer wants and needs」。SMARTのAは原典では「Assignable(担当者を決められる)」。
- 枠を埋めた時点では何も決まっていない。各枠から「だから何をするか」を1つ書けて初めて意思決定の材料になる。
マーケティングフレームワークの意味と、使うメリット・限界
フレームワークは「どの観点で見るか」を先に決めてくれる道具です。3Cなら顧客・競合・自社と見る軸が固定されているため、検討の抜けが減り、チームが同じ枠で議論できます。戦略は型を使って導く「誰に何をどう届けるか」の方針、手法は方針を実行するやり方で、フレームワークはそのどちらでもありません。施策側の全体像はマーケティング手法一覧|種類の分け方・目的別の選び方、用語の意味はマーケティング用語一覧|意味・読み方と計算式を分野別に解説で補えます。
限界は2つあります。1つは作られた時代の前提を持ち込むことで、ファイブフォースは1979年、PPMは1970年、4Pは1960年の型です。もう1つは型に入らない事実が見えなくなることで、PPMの2軸は事業間の相互依存を、SWOTの4枠は時間軸を表せません。
目的別マーケティングフレームワーク一覧表:27種の用途と提唱者
まず全体像です。「提唱者・初出」列は原典・提唱元の資料・起源を調べた研究で確かめたものを書き、原典を確認できなかったものは「とされる」、提唱者が定まらないものは「諸説」としました。個別の説明は次章以降にあります。
| 目的 | フレームワーク | 使う場面 | 提唱者・初出 |
|---|---|---|---|
| 環境分析 | PEST分析 | 法規制・景気・人口・技術の変化を読む | 諸説 |
| 環境分析 | 3C分析 | 顧客・競合・自社の重なりを探す | 大前研一 |
| 環境分析 | ファイブフォース分析 | 業界が儲かる構造かを見る | M.ポーター/HBR 1979年 |
| 環境分析 | SWOT分析・クロスSWOT | 内部と外部を掛け合わせる | R.F.スチュワート(SRI) |
| 環境分析 | VRIO分析 | 強みが模倣されにくいかを判定 | J.バーニー/1991・1995年 |
| 環境分析 | バリューチェーン分析 | 自社のどの活動が価値を生むか | M.ポーター/1985年 |
| 戦略立案 | STP | 狙う市場と立ち位置を決める | P.コトラーが体系化 |
| 戦略立案 | 4P | 製品・価格・流通・販促を組む | E.J.マッカーシー/1960年 |
| 戦略立案 | 4C | 4Pを買い手の側から点検する | R.ラウターボーン/1990年 |
| 戦略立案 | 7P | サービス業で人・プロセスを足す | ブームス&ビトナーとされる |
| 戦略立案 | アンゾフの成長マトリクス | 成長の方向を4つから選ぶ | I.アンゾフ/HBR 1957年 |
| 戦略立案 | PPM | 複数事業へ資金を配分する | BCG/1970年 |
| 顧客理解 | AIDMA | マス広告時代の購買段階 | 諸説 |
| 顧客理解 | AISAS | 検索と共有を含む購買段階 | 電通/2004年から |
| 顧客理解 | DECAX | コンテンツ起点の購買段階 | 電通報 2015年12月 |
| 顧客理解 | カスタマージャーニー | 接点ごとの行動と感情を描く | 諸説 |
| 顧客理解 | ジョブ理論 | 顧客が片づけたい用事から考える | C.クリステンセンら |
| 顧客理解 | RFM分析 | 購買履歴で顧客を分ける | 諸説 |
| 顧客理解 | コホート分析 | 開始時期ごとの継続を比べる | 諸説 |
| 目標と改善 | SMART | 目標の書き方を点検する | G.T.ドラン/1981年 |
| 目標と改善 | KGI・KPIツリー | 最終目標を中間指標に分ける | 諸説 |
| 目標と改善 | マーケティングファネル | 段階ごとの人数の減り方を見る | 諸説 |
| 目標と改善 | AARRR | 獲得から収益までの5指標 | D.マクルーア |
| 目標と改善 | PDCA | 計画と検証を繰り返す | 日本の品質管理で普及 |
| 目標と改善 | OODA | 状況の変化に合わせて判断する | J.ボイド(米空軍) |
| 思考整理 | MECE | 漏れと重複のない分け方 | B.ミント(略語化) |
| 思考整理 | ロジックツリー | 課題や指標を木の形に分解 | 諸説 |
同じ「分析」でも、PESTは社会全体、3Cは市場、ファイブフォースは業界、VRIOとバリューチェーンは自社の中身と、見る対象が違います。型の名前より先に「使う場面」の列から選ぶと迷いません。
市場と競争環境を分析するフレームワーク(市場調査・市場分析で使う型)
戦略を決める前の現状把握を受け持つ型で、ここが印象で埋まっていると後段のSTPと4Pは根拠を失います。調査の設計(定量・定性の選び方、サンプルの集め方)はマーケティングリサーチとは?市場調査との違い・手法の選び方と進め方で扱っています。
PEST分析と3C分析:マクロ環境から市場の全体像へ
PESTは政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の4つで、自社では動かせない環境の変化を洗い出します。中期計画や新規参入の判断に向き、各枠は公的統計で埋めると説得力が変わります。技術・社会の枠なら総務省の情報通信白書(令和7年版)の数値を時点と定義つきで置き、自社への影響を1行添えると、印象で埋めた資料から抜け出せます。手順と具体例はPEST分析とは?4要素・やり方・具体例と注意点にまとめています。
3Cは経営コンサルタントの大前研一氏が示した、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つで市場を捉える型です。「顧客が求め、競合が満たせず、自社が提供できる」重なりを探します。各Cで何を調べるかは3C分析とは?3つの視点と進め方、戦略に落とすまでの判断基準を解説を参照してください。
ファイブフォース分析:5つの力による業界収益性の評価
マイケル・ポーターが1979年のハーバード・ビジネス・レビュー誌の論文How Competitive Forces Shape Strategyで示した型で、既存企業間の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力の5つで業界の収益性を評価します。個社の優劣ではなく「その業界で利益が残るか」を見る点が3Cと違います。5つを均等に採点するより、自社の利益を最も削っている力を1つ特定すると打ち手につながります。評価基準はファイブフォース分析とは?5つの力の評価基準とやり方・業界別の具体例で確認できます。
SWOT・VRIO・バリューチェーン:自社の強みと競争優位の検証
SWOTは内部の強み(Strength)・弱み(Weakness)と外部の機会(Opportunity)・脅威(Threat)を4象限に並べる型です。並べただけでは現状メモで、「強み×機会で攻める」と掛け合わせるクロスSWOTまで進めると戦略の選択肢が出ます。起源は長く諸説ありましたが、2023年に学術誌Long Range Planningに載ったThe origins of SWOT analysisは、米国の研究機関SRIのロバート・フランクリン・スチュワートを考案者と位置づけています。やり方はSWOT分析とは?目的・4要素とやり方、クロスSWOTの具体例まで解説、判断が割れやすい機会の切り出し方はSWOT分析の機会(Opportunity)とは?意味・具体例・見つけ方と4要素の使い方にあります。
SWOTのSに「技術力が高い」と書いて議論が止まるなら、残り2つの型で強みを検証します。VRIOは経営学者ジェイ・バーニーの型で、1991年の論文で論じた価値・希少性・模倣困難性・代替可能性の4指標を、1995年の論文で価値(Value)・希少性(Rarity)・模倣困難性(Imitability)・組織(Organization)の4つの問いに組み直したものです。その強みが持続的な優位になるかを判定します(VRIO分析とは?4つの視点・やり方・判定基準と事例)。バリューチェーンはポーターが1985年の著書『競争優位の戦略』で示した型で、事業を主活動と支援活動に分け、どの活動が価値を生みコストを食っているかを見ます。ハーバード・ビジネス・スクールの研究機関は、これを企業を戦略的に関連する活動に分解する道具と説明しています。9つの活動の分け方はバリューチェーン分析とは?9分類とやり方・コスト配分の実務で扱っています。
戦略を組み立てるフレームワーク(誰に何をどう届けるか)
現状把握の結果から、狙う相手、提供する価値、施策の中身、資源の配分先を決める型です。
STP:市場の細分化・標的の選定・立ち位置の決定
STPはフィリップ・コトラーが体系化した3段階で、セグメンテーション(市場を分ける)→ターゲティング(狙う層を選ぶ)→ポジショニング(競合と違う立ち位置を決める)の順に進めます。ここで決めた立ち位置が4Pの前提になります。やり方と企業事例はSTP分析とは?やり方3ステップと企業事例をわかりやすく解説を参照してください。
4P・4C・7P:売り手と買い手の両面からの施策設計とサービス業への拡張
4Pは製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販促(Promotion)の組み合わせで施策を設計する型で、E.J.マッカーシーが1960年の教科書『Basic Marketing』で4つにまとめたとされます。これを買い手の側から言い換えたのが、ロバート・ラウターボーンの4Cです。
4Cは1993年提唱と書かれることがありますが、原典はAdvertising Age誌1990年10月1日号26ページのコラム「New marketing litany; Four P’s passe; C-words take over」です。第1のCも、日本語の解説で多い「Customer Value(顧客価値)」ではなく、原文は「Consumer wants and needs(消費者の欲求とニーズ)」で、残りは「cost to satisfy」「convenience to buy」「communication」です。原文はハンバーガーを例に、買い手のコストには代金のほか、店まで運転する時間や肉を食べる後ろめたさまで含まれると説明しています。4Pの施策を4Cで点検すると、売り手の都合で決めた価格や流通が見つかります。4要素の詳細は4P分析とは?マーケティングミックス4要素の意味とやり方、3C・STPとの順番と4C分析とは?原典の4つのCと4P・3C・SWOTとの違い、業種別の使い方にあります。
形の無いサービスを売る事業では、4Pに人(People)・プロセス(Process)・物的証拠(Physical Evidence)を足した7Pを使います。ブームスとビトナーが示したとされる拡張で、接客や店内の雰囲気が価値の一部になる飲食・教育などで効きます。
アンゾフの成長マトリクスとPPM:成長の方向と資金の配り方
アンゾフの成長マトリクスは、イゴール・アンゾフが1957年のハーバード・ビジネス・レビュー誌の論文で示した、製品(既存・新規)×市場(既存・新規)の4象限で成長の方向を選ぶ型です。多角化に近いほどリスクが上がります。原典と現在の解説の違いはアンゾフの成長マトリクスとは?4戦略の使い分けと1957年原典との3つの違いで扱っています。
PPMは、ボストン コンサルティング グループ(BCG)創設者のブルース・ヘンダーソンが1970年に示した成長シェアマトリクスを使う型です。市場成長率×相対市場シェアで事業を花形・金のなる木・問題児・負け犬に置き、金のなる木の資金を問題児へ回して花形に育てる流れを設計します。比べる製品や事業単位が1つしかないと配分を比べる相手がなく、使えません。4象限の読み方はPPM分析とは:4象限の意味とやり方・経産省4象限フレームワークとの違いを参照してください。
顧客を理解するフレームワーク(購買行動と顧客データ)
心の動きを段階で捉える購買行動モデルと、購買データで顧客を分ける分析の2系統があります。
AIDMA・AISAS・DECAX:購買行動モデルの使い分け
AIDMAは注意→関心→欲求→記憶→行動の5段階で、マス広告時代のモデルで、提唱者には諸説あります。検索と共有を組み込んだAISASについて、電通は2011年1月31日のSIPS発表のニュースリリースで「2004 年から『AISAS®』という消費行動モデルを提唱しています」と書いています。同じリリースは、新モデルのSIPSをAISASの置き換えでなく深掘りと位置づけています。
DECAXは発見→関係作り→確認→行動→体験と共有の5段階で、消費者がコンテンツを見つけるところから始まります。初出は2015年12月の電通報の鼎談で、考案者自身が「仮説」と断っています。モデル同士の選び分けは購買プロセスとは?5段階モデルと購買行動フレームワークの使い分け、DECAXの原典はDECAX(デキャックス)とは?原典で読む5段階の意味とAISASとの違いで読めます。
カスタマージャーニーとジョブ理論:顧客の道のりと買う理由
カスタマージャーニーは、顧客が認知・検討・購入・利用に至る過程を時系列で並べ、接点ごとの行動・感情・課題を描く型です。購買行動モデルと違い自社の顧客の具体的な道のりを描くので、離脱が起きる接点が見つかります。似た言葉との違いはユーザージャーニーとは?ユーザーフロー・カスタマージャーニーとの違いと5要素で整理しています。
ジョブ理論(Jobs to Be Done)は、クレイトン・クリステンセンらが2016年のハーバード・ビジネス・レビュー誌の論文Know Your Customers’ Jobs to Be Doneで広めた考え方で、顧客は製品を買うのではなく、ある状況で片づけたい用事のために製品を「雇う」と捉えます。ペルソナが「誰が買うか」を描くのに対し、ジョブ理論は「なぜその瞬間に買ったか」を扱います。聞き取りの進め方はジョブ理論とは?顧客が片づけたい用事の捉え方と機能要件への落とし方にあります。
RFM分析とコホート分析:購買履歴による顧客分類と継続状況の比較
RFM分析は、最終購買日(Recency)・購買頻度(Frequency)・購買金額(Monetary)の3指標で顧客をランク分けする型です。「最近買っていないが、以前は頻繁に高額で買っていた顧客」のように、離反しかけている優良顧客を抜き出して先に手を打てます。3指標の区切り方と施策への使い方は顧客セグメンテーションとは?分類軸・RFM分析・事例でわかる進め方で扱っています。
コホート分析は、初回購入月や登録週など開始時期が同じ顧客を1つの群(コホート)にまとめ、その後の継続率や購入額を群ごとに比べる型です。全体の継続率が横ばいでも、経過期間をそろえて比べて直近の群だけ落ちていれば、その時期に変えた獲得経路や初回体験を掘り下げる手がかりになります。Googleアナリティクス4(GA4)ではコホートデータ探索で作れ、公式ヘルプはコホートを「共通の特性を持つユーザーのグループ」と定義しています。GA4・Amplitude・Mixpanelの違いはコホート分析ツール比較|GA4・Amplitude・Mixpanelの上限と選び方を参照してください。
目標設定と改善のフレームワーク(デジタルマーケティングで使う型)
数値の目標を置いて改善を回す段階の型です。数字が日次で取れるデジタルマーケティングやコンテンツマーケティングでは、この章の型が中心になります。
SMARTとKGI・KPIツリー:目標の書き方の点検と指標の分解
SMARTは目標の書き方を点検する5項目で、初出はジョージ・T・ドランが1981年11月のManagement Review誌に寄せた論文There’s a S.M.A.R.T. way to write management’s goals and objectivesです。原典の5語はSpecific(具体的)・Measurable(測定できる)・Assignable(担当者を決められる)・Realistic(現実的)・Time-related(期限がある)で、Aは現在の解説で多い「Achievable(達成可能)」とは異なります。ドラン自身、すべての目標が5項目を満たす必要はないと書いています(SMARTの法則とは?5つの要素と目標の具体例、原典との違い)。
SMARTで書いた最終目標(KGI)は、KPIツリーで中間指標に分けます。ECの売上なら、同じ期間の「セッション数×購入率(注文数÷セッション数)×平均注文額」のように掛け算で分解すると、どの指標を動かせば最終目標に届くかが見えます。
マーケティングファネルとAARRR:段階別の離脱と成果の測定
マーケティングファネルは、認知から購入までの各段階で人数がどれだけ減るかを漏斗の形で表す型です。BtoB・EC・コンテンツマーケティングでの型の選び方はマーケティングファネルとは?4つの型と使い分け・指標の置き方で比べています。
AARRRは、投資家のデイブ・マクルーアが講演資料「Startup Metrics for Pirates」で示した、獲得(Acquisition)・活性化(Activation)・継続(Retention)・紹介(Referral)・収益(Revenue)の5段階の指標です。「海賊指標」とも呼ばれ、サブスクリプションやアプリのように利用が続いて売上が立つ事業で、詰まっている段階を特定するのに使います。各段階のKPIはAARRR(アー)モデルとは?5段階のKPIとグロースハック活用を解説にあります。
PDCAとOODA:状況に応じた改善サイクルの使い分け
PDCAは計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)を繰り返す型で、日本の品質管理の現場で広まりました。月次の広告運用や定例のメルマガ配信のように、条件が安定していて計画を立てやすい業務に向きます(PDCAサイクルとは?意味・4つのステップと具体例)。
OODAは米空軍のジョン・ボイドが示した観察(Observe)→状況判断(Orient)→意思決定(Decide)→行動(Act)の型で、計画より先に状況の把握を置きます。競合の値下げやSNSでの炎上のように、計画を立て直す前に動く必要がある場面ではOODAが合います。原典での位置づけはOODAループとは?4ステップとPDCAとの違い・原典に基づく実践手順で読めます。
思考を整理するフレームワーク:MECEとロジックツリー
MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)は「漏れなく、重複なく」分ける考え方で、3Cの3視点やSWOTの4枠のように分類に漏れや重複が無いかを点検するときに使います。マッキンゼー出身のバーバラ・ミントは、同社のインタビューで、この考え方を略語にしてアイデアのグループ分けに当てはめたのは自分が最初だと語っています。意味と具体例はMECEとは?意味・読み方と具体例、フレームワークでの使い方にあります。
ロジックツリーは、課題や指標をMECEに枝分かれさせて木の形に分解する型です。「売上が落ちた」を客数と客単価に、客数を新規と既存に分けていくと、手を打つべき枝が絞れます。例題で作り方を練習するならロジックツリーの例題と解答5問が使えます。
マーケティングフレームワークの選び方と使う順番
基本の順番:3C・PEST→SWOT→STP→4P/4C
迷ったら「外部から内部へ、分析から施策へ」と進めます。PESTと3Cで社会と市場を把握し、ファイブフォースとバリューチェーンで業界構造と自社の活動を押さえ、SWOT(クロスSWOT)で戦い方を決めます。続けてSTPで狙う相手と立ち位置を決め、4P/4Cで施策に落とし、最後にSMARTとKPIツリーで目標を置いてPDCAかOODAで回します。3Cは現状の把握、4Pは施策の設計なので、同列には並びません。
判断したいこと別の最初に使う型
毎回すべての型を使う必要はなく、判断したいことから逆算して選びます。
| 判断したいこと | 最初に使う型 |
|---|---|
| 新しい業界に参入するか | ファイブフォース |
| 既存事業をどう立て直すか | 3C+クロスSWOT |
| 自社の強みは本当に強みか | VRIO |
| 新商品の売り方を決める | STP→4P/4C |
| 複数事業の予算配分 | PPM |
| 訴求が顧客に刺さらない | ジョブ理論 |
| 既存顧客の離反を防ぐ | RFM分析+コホート分析 |
| Webやアプリの数字が伸びない | ファネル・AARRR |
型を足す前に、その分析で判断が変わるかを考えてください。判断を変えない分析は工数を食うだけです。
失敗パターン:枠埋めの目的化・型の不適合・施策への未接続
典型的な失敗は、SWOTや3Cの枠を埋めた時点で満足することです。強みを3つ書いたら「そのうち機会と結びつくのはどれか」まで進めないと、戦略の材料になりません。別の失敗は、使ったことのある型だけを繰り返し使い、課題に合わない型で結論を出すことです。比べる製品が1つしかないのにPPMを描く、接客や手順が品質を左右するサービスを4Pだけで設計して人とプロセスを見落とす、といった例がこれに当たります。3つ目は、分析の結論が施策の担当者に渡らず、資料の中で止まることです。分析を施策と予算に結びつける体制づくりまで外部に相談したい場合は、当社のWebマーケティング戦略の支援で、分析から施策の実行までを扱っています。
よくある質問
マーケティングフレームワークは何種類ありますか?
決まった総数はありません。本記事は目的別に27種を挙げました。数より、どの目的に使う型かで整理するほうが選びやすくなります。
3C・4P・SWOTはどの順番で使いますか?
3C(とPEST)で市場を把握し、SWOTで戦い方を決め、STPで狙う相手を絞ってから4Pで施策に落とすのが基本です。4Pを先に埋めると、狙う相手が決まらないまま施策だけが並びます。
市場分析・市場調査で使うフレームワークはどれですか?
社会全体の変化はPEST、市場と競合は3C、業界の収益構造はファイブフォース、自社の立ち位置はSWOTで見ます。アンケートかインタビューか、何人に聞くかといった調査の設計はリサーチ手法の領域です。
デジタルマーケティングで使うフレームワークは何ですか?
戦略を決める段階では3C・STP・4Pなど従来の型がそのまま使えます。違いが出るのは改善の段階で、数字が日次で取れるため、マーケティングファネル・AARRR・KPIツリーで段階ごとの離脱を測り、PDCAかOODAで回す使い方が中心になります。
マーケティングフレームワークを使うデメリットはありますか?
型に入らない事実が見えにくくなることと、作られた時代の前提を持ち込むことです。PPMの2軸は事業間の相互依存を表せず、4Pは売り手が決める要素の分類なので、口コミやSNSでの拡散のように顧客の側で起きる動きは枠の外に置かれます。枠の外に重要な事実が無いかを最後に確かめると、この弱点を抑えられます。