リスティング広告のクリック率(CTR)は、広告が表示された回数のうち何回クリックされたかを示す割合です。計算は単純ですが、指名検索と一般検索を混ぜて平均すると数字が大きく動き、他社の平均と比べても自社の良し悪しは判断できません。この記事では、クリック率の計算方法と品質スコアの推定クリック率との関係、自社の区分ごとに目安を決める方法、掲載位置の影響の切り分け方、広告文とサイトリンクでクリック率を上げる手順を、Google広告ヘルプの記載をもとに整理しました。高単価のBtoB商材でクリック率をあえて下げてよい場面も示します。
まとめ:リスティング広告のクリック率の見方と上げ方・判断基準の結論
クリック率はクリック数を表示回数で割って求めます。目安は業界平均ではなく、指名検索と一般検索、パソコンとスマートフォン、掲載位置という自社の区分ごとに過去の実績から決めてください。区分を混ぜた平均は、構成が変わるだけで上下します。
Google広告では、実際のクリック率がキーワードの推定クリック率に影響し、推定クリック率は品質スコアの要素の1つです。品質スコアそのものはオークションに使われない診断値なので、スコアを目標にせず、平均より下の要素を見つける道具として扱います。
上げ方の順番は、表示される検索語句の見直し、広告文の見出しとサイトリンクの充実、そのうえで必要なら入札、です。ただし高単価のBtoBでは、価格や対象企業を見出しに書いてクリック率を下げたほうが、商談につながらないクリックの費用を減らせる場面があります。クリック率は中間の指標であり、最終的な判定は商談単価で行います。
リスティング広告のクリック率の計算方法と品質スコアに効く仕組み
クリック率を正しく読むには、何を分母にしているかと、その数字が広告の評価にどうつながるかを先に押さえておく必要があります。仕組みと費用の全体像はリスティング広告の仕組みと費用・運用の始め方で解説しています。
クリック数を表示回数で割るクリック率の計算式と集計単位の決め方
Google広告ヘルプ「クリック率とは」は、クリック率を表示された広告がクリックされた割合と定義し、「クリック数 ÷ 表示回数」で求めると説明しています。表示回数100回でクリック5回なら5%です。
注意したいのは集計の単位です。アカウント全体のクリック率は、指名検索のように高く出る区分の表示回数が増えるだけで上がります。広告文を1文字も変えていないのに数字が改善して見える、という状態です。比べるときは、キャンペーン・広告グループ・キーワードのどの単位で、どの期間を見ているかを揃えます。同じヘルプは、クリック率が宣伝内容や掲載先のネットワークに左右されるとも書いています。検索ネットワークとディスプレイネットワークの数字は合算しません。
推定クリック率と品質スコアの関係と完全一致の検索で評価される理由
同じヘルプには、クリック率が「キーワードの推定クリック率」にも影響すると書かれています。Google広告ヘルプ「検索キャンペーンの品質スコアについて」によると、品質スコアは推定クリック率・広告の関連性・ランディングページの利便性の3要素から1〜10で示され、各要素は「平均より上」「平均的」「平均より下」で表示されます。比較の相手は、過去90日間に同じ検索語句で広告が表示された他の広告主です。
もう1つの要点は、品質スコアが完全一致の検索での実績に基づくことです。部分一致で幅広い語句に表示されてクリック率が下がっていても、そのキーワードの品質スコアは完全一致の検索で評価されます。管理画面のクリック率と推定クリック率の評価が食い違うときは、この違いを疑ってください。
クリック率が広告ランクとクリック単価に影響する経路と誤解しやすい点
品質スコアのヘルプは、品質スコアが広告オークションの評価材料にはならない診断ツールだと明記しています。スコアの数字を上げても、それだけで掲載位置やクリック単価は変わりません。
一方でGoogle広告ヘルプ「広告ランク: 定義」は、広告ランクの算出に入札単価と並んで広告とランディングページの品質が使われ、関連性の高い広告は競合より入札単価が低くても上位に掲載される場合があると説明しています。つまり、クリックされやすい広告であること自体はオークションで評価され、品質スコアはその状態を後から確認するための表示です。クリック単価が決まる仕組みはCPC(クリック単価)の計算式とクリック課金の仕組みで詳しく扱っています。
リスティング広告のクリック率の目安を他社平均でなく自社の区分で決める方法
「クリック率の平均は何%か」は検索の多い問いですが、他社の平均と比べて分かることは多くありません。自社の数字の中で、比べられる単位を作ることから始めます。
指名検索と一般検索、デバイス別に分けてクリック率の基準値を持つ手順
基準値は、性質の違う検索を分けて、それぞれ過去3か月程度の実績から置きます。分ける軸は次の4つで足ります。
| 分ける軸 | 分ける理由 |
|---|---|
| 指名検索と一般検索 | 指名は数倍高く出やすい |
| パソコンとスマートフォン | 表示面積と広告の数が違う |
| 比較語と課題語 | 検討段階で反応が変わる |
| 上部と最上部の表示 | 位置だけで率が動く |
たとえば、一般検索のスマートフォンで最上部に表示された回数だけを集めれば、広告文の差し替え前後を同じ条件で比べられます。基準値は「この区分で過去3か月の中央値が何%」という形で記録し、毎月更新してください。架空の例ですが、指名が12%、一般が3%のアカウントで指名の表示回数が倍になれば、広告文に変化がなくても全体の数字は大きく上がります。区分を分けずに目標を置くと、この種の見かけの改善を成果と誤認します。
海外調査の業界平均を目標値にしない理由と参考にしてよい使い方
国内の解説記事で引用される業界別の平均値は、海外の広告ツール会社が自社顧客のアカウントを集計したものが中心です。集計対象は英語圏の広告主が多く、指名と一般の比率や掲載位置も公開されていません。調査年によって数値が入れ替わる点も、目標値に向かない理由です。
参考にしてよいのは、業界の間の相対的な差を知る用途に限られます。旅行やエンターテインメントのように一般の消費者が気軽に押す業界と、法人向けの高単価商材とでは、クリック率の水準が大きく異なる、という程度の理解です。自社の目標は、前の見出しで作った区分ごとの基準値に対して何ポイント上げるか、で置いてください。
上部と最上部のインプレッション率で掲載位置の影響を切り分ける方法
クリック率は掲載位置に強く左右されます。広告文を変えた月に、たまたま競合が入札を下げて自社の表示位置が上がれば、クリック率は広告文と無関係に上がるのです。
Google広告ヘルプ「検索結果ページにおける上部インプレッションと最上部インプレッションに関する指標」は、上部インプレッション率を上部広告の1つとして表示された割合、最上部インプレッション率を上部広告の中で最初に表示された割合と定義しています。同じページは、これらが他の広告との相対的な順位ではなく、検索結果ページで実際に表示された位置を表すとも説明しています。
広告文の効果を判定するときは、変更の前後でこの2つの率が大きく変わっていないかを先に確かめます。最上部の割合が10ポイント以上動いていれば、クリック率の変化は位置の影響を含んでいると見て、広告文の判定を保留します。
クリック率が低いリスティング広告の原因を管理画面の数値で見分ける手順
クリック率が低いときの原因は、表示される検索語句、広告文、掲載位置のどれかに分かれます。管理画面の数値で順に絞り込めば、当てずっぽうの書き換えを避けられます。
推定クリック率が平均より下のキーワードから原因を絞り込む確認の順番
キーワードのレポートに品質スコアと3要素の列を追加し、推定クリック率が「平均より下」のキーワードを抜き出します。確認は次の順で進めます。
- 広告の関連性も「平均より下」なら、キーワードと広告文の対応がずれている
- 関連性は平均的以上なら、訴求の中身が競合より弱い
- 最上部インプレッション率が低いなら、位置の影響が大きい
- どれも当てはまらないなら、表示される検索語句を確かめる
1つ目は広告グループの括り方の問題で、広告文の手直しより先に、同じ広告文で答えられる語句のまとまりにグループを組み直します。2つ目が広告文の書き方の問題で、次の章の手順が効きます。推定クリック率は過去90日の比較なので、変更の効果がステータスに表れるまでには時間がかかる点も覚えておいてください。
表示回数が多くクリックが少ない検索語句を見つけて広告の対象を見直す
Google広告ヘルプ「検索語句レポートについて」のとおり、検索語句レポートでは、登録したキーワードではなく実際に検索された語句ごとの表示回数とクリック数を確認できます。クリック率が低いキャンペーンでは、表示回数の上位に、意図の違う語句が混ざっていることが少なくありません。
受託開発の会社が「システム開発」で出稿すると、「システム開発 求人」「システム開発 資格」のような語句に表示され、クリックされないまま表示回数だけが積み上がります。こうした語句は除外キーワードに登録して、そもそも表示しないのが先です。広告文を磨いても、求人を探している人は押しません。除外とマッチタイプの設計手順はリスティング広告のキーワードとマッチタイプ・除外の設計手順で解説しています。
広告文とアセットでリスティング広告のクリック率を上げる具体的な手順
表示される語句が整ったら、広告文とアセットに手を入れます。Google広告の検索広告は、見出しと説明文を組み合わせて表示するレスポンシブ検索広告が基本の形式です。
見出しの半角30文字の枠に検索語句と具体的な数字を入れる書き方の例
Google広告ヘルプ「レスポンシブ検索広告について」によると、見出しは半角30文字まで、説明文は半角90文字までで、全角1文字は半角2文字分として数えます。日本語の見出しは全角15文字が上限です。同じヘルプは、見出しに少なくとも1つのキーワードを含めるよう勧めています。
15文字の中で検索語句と具体の両方を入れるには、形容詞を削り、数字と固有名詞を残します。架空の会計システム開発の例で比べると次のようになります。
| 書き方 | 見出しの例 |
|---|---|
| 抽象的な訴求 | 高品質なシステム開発 |
| 検索語句を入れる | 会計システムの開発を相談 |
| 数字を足す | 会計システム開発 実績40社 |
| 条件を足す | 会計システム開発 最短3か月 |
「高品質」「安心」のような評価語は、どの会社も書けるため選ぶ理由になりません。実績社数・期間・対応範囲など、自社が事実として示せる数字だけを使います。景品表示法に触れないよう、数字の根拠は社内で説明できる状態にしておいてください。
見出し15個の役割を分けピン留めを必須文言に限るレスポンシブ広告の設計
同じヘルプでは、見出しは3個以上15個まで、説明文は2個以上4個まで登録でき、独自性のある見出しをできるだけ多く指定するよう勧めています。また、広告の有効性が「高い」か「非常に高い」のレスポンシブ検索広告を、広告グループごとに2つ以上用意することも推奨されています。
15個を似た言い回しで埋めると、組み合わせの数が増えても訴求は1種類のままです。キーワードを含む見出しを3〜4個、価格や費用感を3個、実績や事例を3個、納期や対応範囲を3個、行動を促す見出しを2個というように、役割で分けて書きます。見出しの位置を固定するピン留めは表示される候補を減らすため、ヘルプでもほとんどの場合は推奨されていません。法令で必須の表記など、毎回表示しなければならない文言に限ります。
サイトリンクを6個まで用意し全角12文字で料金や事例のページへ誘導する
Google広告ヘルプ「サイトリンク アセットについて」によると、検索キャンペーンのサイトリンクはパソコンで最大6個、モバイルで最大8個表示され、表示には2個以上が必要です。リンクの文字数は日本語で全角12文字までです。同じページには、キャンペーンあたりのサイトリンクを6個に増やした広告主で、コンバージョン単価を同程度に保ったままコンバージョン数が平均3.5%増えたというGoogle内部データ(2025年5月15日〜24日)も示されています。
サイトリンクは広告の表示面積を広げ、検索した人が知りたいページへ直接進む入口になります。「料金の目安」「導入事例」「開発の流れ」「無料相談」のように、問い合わせの前に確かめたい情報のページを並べてください。ただしサイトリンクは毎回表示されるわけではなく、要件を満たさない場合や成果が低いと予測される場合は表示されないと、同じヘルプに書かれています。
入札で掲載位置を上げてクリック率を買う前に確かめる費用の増え方
最上部に出れば、クリック率は上がりやすくなります。ただ、入札単価を上げて位置を買う方法は、クリック率と同時にクリック単価も上がるのが難点です。広告ランクの仕組み上、広告と遷移先の品質を上げれば同じ入札単価でも上位に出られる場合があるため、入札は広告文とサイトリンクを整えた後に回します。
入札を上げる場合も、上げる前の最上部インプレッション率とクリック単価を記録し、2〜4週間後に、クリック率の上昇分がクリック単価の上昇分に見合ったかを比べます。改善の打ち手全体の順番と見直しの頻度はリスティング広告の改善手順と打ち手の優先順位で整理しています。
高単価BtoBの広告でクリック率をあえて下げてよい場面と判断の基準
ここからは、システム開発やWebサイト制作のように受注単価が数百万円以上で、検討に数か月かかる商材に絞った判断です。この領域では、クリック率を上げることが成果を上げることと一致しない場面があります。
価格や対象企業を見出しに書いて冷やかしのクリックを減らす逆の考え方
クリック課金の広告では、商談につながらないクリックにも同じ費用がかかります。「格安」「無料」を見出しに入れればクリック率は上がりますが、予算の小さい個人や情報収集だけの人も押すため、1件の商談にかかる費用はかえって増えます。
受託開発のように最低価格がはっきりしている商材では、「開発費300万円から」「従業員50名以上の企業向け」のように、対象外の人が押さなくなる条件を見出しに書く方が筋の通った選択です。クリック率は下がっても、残ったクリックの中で問い合わせに進む割合が上がります。判定は、変更前後の商談化した件数と広告費で行います。この方法は、クリック率の比較ではなく商談単価の比較で効果を確かめる前提でのみ採用してください。
クリック率よりも商談単価で評価すべき条件と広告以外を直すべき場面
次のどれかに当てはまる場合、クリック率をこれ以上上げる作業より、別の箇所を直す方が成果に効きます。
- クリック率は区分の基準値以上なのに、問い合わせ率が低い
- 問い合わせは増えたが、商談に進む割合が下がった
- 問い合わせ後の商談化と受注を記録できていない
1つ目は遷移先ページの問題で、広告の見出しが約束した内容をページの最初の画面で示せているかを見直します。どこから手を付けるかはLPOで最初に触る要素と検証の順序、クリック後の成約率の考え方はCVR(コンバージョン率)の計算式と改善の優先順位で解説しています。2つ目は広告文が集める層がずれたサインで、前の見出しの逆の考え方が当てはまる場面です。3つ目は計測の問題で、商談化を記録する仕組みはリスティング広告の効果の測り方と評価を始める時期で扱っています。
広告文とLP・計測をまとめて見直すときの社内と外部の役割の分け方
見出しやサイトリンクの書き換え、検索語句の除外は、管理画面の操作で完結します。一方で、遷移先ページの改修や、商談化のデータを広告に戻す計測の設計は、サイトやシステムの開発作業です。クリック率の改善が広告の外に及ぶほど、マーケティング担当者だけでは回しにくくなります。
広告文の変更を検証するときは、同じ期間に元の広告と比べる方法が確実です。必要なサンプル数の考え方はABテストの必要サンプル数と検証期間を参考にしてください。運用だけを外部に任せる場合の費用と選び方はWeb広告の運用代行の費用相場と選び方にまとめています。広告文と遷移先ページ、計測をまとめて見直したい場合は、一創のWebマーケティング戦略の支援で、区分ごとの基準値の設計から相談を受け付けています。
運用担当者向けのリスティング広告のクリック率に関するよくある質問
リスティング広告のクリック率について、運用中の担当者から出やすい質問に答えます。
リスティング広告のクリック率の平均はどのくらいですか?
業界・指名か一般か・掲載位置で大きく変わるため、1つの平均値を目安にするのはおすすめしません。国内の記事で引用される業界別の平均は、海外の広告ツール会社が英語圏の顧客アカウントを集計したものが中心で、指名と一般の比率も公開されていません。自社の指名検索と一般検索、パソコンとスマートフォンを分けて、過去3か月の中央値を基準値にし、そこから何ポイント上げるかを目標にしてください。
クリック率が高いのにコンバージョンしないのはなぜですか?
原因は大きく2つです。1つは、広告文が予算や目的の合わない人まで集めている場合です。「無料」「格安」のような訴求はクリック率を上げますが、問い合わせに進まない人のクリックも増えます。もう1つは、遷移先ページが見出しで約束した内容をすぐに示していない場合です。検索語句レポートで実際の語句を確かめ、語句が合っていれば遷移先ページを、合っていなければ広告文と除外キーワードを直します。
クリック率を上げるとクリック単価は下がりますか?
下がる場合はありますが、クリック率の数字がそのまま単価を決めるわけではありません。Google広告では広告ランクの算出に広告と遷移先の品質が使われ、関連性の高い広告は競合より低い入札単価で上位に出られる場合があります。一方で、入札単価を上げて最上部に出た結果としてクリック率が上がった場合は、単価も上がっています。クリック率の変化は、最上部インプレッション率とクリック単価と並べて判断してください。
品質スコアの推定クリック率はどうすれば上がりますか?
推定クリック率は、過去90日間に同じ検索語句で表示された他の広告主と比べた評価で、完全一致の検索での実績に基づきます。上げるには、そのキーワードそのものの検索で押される広告にすることです。見出しにキーワードを含め、価格・実績・納期など具体的な訴求を増やし、サイトリンクを整えます。部分一致で広がった別の語句のクリック率を上げても、そのキーワードの評価には反映されにくい点に注意してください。
クリック率はどのくらいの期間で判断すればよいですか?
広告文の差し替えの効果は、少なくとも2〜4週間、区分ごとに数百回以上の表示が集まってから比べます。表示回数が少ないうちは、数回のクリックの差で率が大きく振れるためです。品質スコアの推定クリック率は過去90日の比較なので、ステータスに反映されるまでさらに時間がかかります。判定の前に、最上部インプレッション率が変更前後で大きく変わっていないかも確かめてください。
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