Geminiのマーケティング活用|業務別プロンプト例とGem・AI関数の使い分け【2026年版】
Geminiをマーケティング業務に取り入れようとすると、最初につまずくのは「どこに何を書けばいいのか」です。Google Workspaceのサイドパネル、Geminiアプリ、スプレッドシートのAI関数、Gem。入り口ごとに使える機能もエディション条件も違い、同じプロンプトを書いても返ってくるものが変わります。ここでは2026年8月時点の公式情報をもとに、入り口の使い分け、コピーして使える業務別のプロンプト例、繰り返す作業をGemで固定化する手順、そして任せると事故になる領域まで整理しました。
まとめ
マーケティング業務でGeminiを使うなら、押さえる順番は次のとおりです。
- 入り口は3つ。Google Workspaceのサイドパネル(既存ファイルの文脈を読ませる)、Geminiアプリ(調査と長い思考)、スプレッドシートのAI関数(大量データの一括処理)。目的で選び分けます。
- 2025年1月にGeminiアドオンは購入不可となり、AI機能はBusiness・Enterprise各エディションに含まれる形へ変わりました。追加契約は不要です。ただしBusiness StarterとEnterprise Starterでは、ドキュメントとスプレッドシートのAI機能が公式比較表で利用不可とされています。
- 出力の質を決めるのはプロンプトの長さではありません。Google Workspaceの公式ガイドが挙げるペルソナ・タスク・コンテキスト・形式の4要素に、禁止事項などの制約を足した書き方が実務では扱いやすくなります。
- 週次で繰り返す作業は、その都度プロンプトを打ち直さずGemに指示として保存します。担当者ごとの出力のばらつきが消えるためです。
- スプレッドシートのAI関数は1回の生成が先頭350セル単位で、取り消しもできません。数万行の一括処理を業務フローの前提に組み込むと破綻します。
以下、入り口の違いと料金の前提から順に見ていきます。
マーケティングで使うGeminiの入り口と料金の前提
2024年頃の解説記事には「Google WorkspaceにGeminiをインストールして連携させる」という手順が残っていますが、現在この作業は存在しません。2025年1月、Gemini Business – Legacy、Gemini Enterprise – Legacy、AI Meetings and Messaging、AI Securityの各アドオンは購入できなくなり、AI機能はWorkspaceの各エディションに含まれる形へ変わりました。すでにアドオンを購入していた場合も、2025年1月31日以降はアドオン分が課金されないと公式に案内されています。管理者が有効化していれば、追加費用なしで使い始められる状態です。
Google Workspaceのサイドパネル|開いているファイルを文脈にする使い方
Gmail、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、ドライブ、ChatにGeminiのサイドパネルが用意されています。GmailとドキュメントにはさらにGeminiによる文書作成サポート、Meetには自動メモ生成があります。サイドパネルの価値は、開いているファイルやスレッドの中身をそのまま文脈として渡せる点にあるでしょう。過去の提案書を開いた状態で「この構成を流用して、対象を製造業の情シス部門に置き換えた目次を作って」と指示すれば、ファイルを貼り直す手間が消えます。既存資産の再利用が多いマーケティング資料では、この入り口の出番が最も多くなります。
Geminiアプリの調査機能とDeep Researchのプラン条件
gemini.google.comのGeminiアプリも、Workspaceの標準搭載分に含まれます。長い思考が必要な調査や、複数ソースを突き合わせる作業はこちらの領分です。Deep Researchを使うと、Google検索を既定のソースとして自動でリサーチが進み、公式ヘルプによれば通常5分から10分ほどでレポートが完成します(複雑なレポートではさらに時間がかかる場合があります)。GmailやGoogleドライブをソースに追加でき、手元のファイルやNotebookLMのノートブックを読ませることも可能です。
ただし機能の範囲はプランで分かれます。高速モードでのレポート生成は誰でも利用でき、思考モードはGoogle AI Pro・Google AI Ultra、アニメーションやビジュアルの付与はUltraが条件です。1日に実行できるリサーチ数と同時実行数にも上限があります。なおここでのプラン名はGeminiアプリ側の区分で、法人契約ではGoogle AI Pro・Google AI Ultra for Businessのアドオンが対応します。
エディション別に使える範囲と実質的な下限
日本語版の公式料金ページに掲載されている月額(1ユーザーあたり)と、公式比較表で示されているGemini機能の可否は次のとおりです。
| エディション | 月額 | GmailのGemini | ドキュメントのAI機能 | スプレッドシートのAI関数 |
|---|---|---|---|---|
| Business Starter | 800円 | あり | なし | なし |
| Business Standard | 1,600円 | あり | あり | あり |
| Business Plus | 2,500円 | あり | あり | あり |
| Enterprise Starter | 要問い合わせ | あり | なし | なし |
| Enterprise Standard / Plus | 要問い合わせ | あり | あり | あり |
年間プランを選ぶと16%割引になる旨が同ページに記載されています。注意すべきは2つのStarterです。Business StarterでもGmailの文書作成サポート・校正・返信の候補・要約、ChatのAIによる概要、Google VidsのAI機能、Workspace Studioは使えますが、ドキュメントとスプレッドシートのAI機能は公式比較表で利用不可と示されています。Enterprise Starterも同様で、ドキュメントの文書作成サポートや要約、スプレッドシートのAI関数・拡張版スマートフィル・分析情報の生成が対象外です。マーケティング業務の中心であるドキュメント・スプレッドシートでGeminiを使う想定なら、Business Standard以上が実質的な下限になります。料金と機能の対応は改定されるため、契約前に公式の料金ページと比較表で最新の状態を確認してください。
マーケティングプロンプトの書き方と入力する場所
「プロンプトをどこに書くのか」と「何を書くのか」は別の問題です。順に整理します。
プロンプトを入力する3つの場所
1つ目は各アプリのサイドパネル。ドキュメントやスプレッドシートを開いた状態で右上のGeminiアイコンからパネルを開き、入力欄に書きます。開いているファイルが文脈として扱われます。2つ目はGeminiアプリの入力欄で、ファイルの添付やDeep Researchの起動もここからです。3つ目がGemの「指示」欄。1回きりの依頼はサイドパネルかアプリ、毎回同じ前提を伝えているならGemの指示欄、と分けて考えると迷いません。同じ内容を3回以上打ち込んでいるなら、それはGemに移すべき指示です。
公式のPTCFに制約を足した5要素
プロンプトを長く書けば精度が上がるわけではありません。Google Workspaceの公式プロンプトガイドは、ペルソナ・タスク・コンテキスト・形式(PTCF)の4要素を挙げており、すべてを使う必要はないとも述べています。マーケティング業務では、これに「制約」を足した5要素で書くと出力のばらつきが目に見えて減ります。ペルソナは「BtoB SaaSのマーケティング担当として」のような立ち位置の指定、タスクは何をしてほしいかという依頼そのもの、コンテキストは商材や想定顧客といった判断材料、形式は表・箇条書き・見出し構成といった受け取り方、そして制約は文字数や使ってはいけない表現の指定です。
5要素が抜けたプロンプトの典型が「弊社サービスのキャッチコピーを考えて」でしょう。返ってくるのは業種を問わず通用する無難な一文で、そのまま使えるものにはなりません。同じ依頼を5要素込みで書くと次のようになります。
あなたは製造業向けSaaSのマーケティング担当です。
以下の条件で、展示会ブース用のキャッチコピー案を作成してください。
【商材】中小製造業向けの生産管理クラウド。月額3万円から。導入期間は最短2週間。
【想定顧客】従業員50〜200名の製造業で、生産計画をExcelと紙で管理している工場長。
【目的】展示会ブースの正面パネルで足を止めさせる。
【制約】20文字以内。「DX」「革新」「最適化」は使わない。価格には触れない。
【出力形式】案を5つ、それぞれ何に訴えているかを一行で添えて表形式で。
制約に禁止語を入れているのは、指定しないと生成AIが好んで使う抽象語で埋まるためです。この禁止語リストを自社用に持っておくと、担当者が変わっても出力の語彙がぶれません。
業務別マーケティングプロンプトのテンプレート
ここからは工程別に、そのまま貼り付けて角括弧の中を差し替えれば動く形で示します。
市場・競合調査で比較軸を先に決める理由
調査はGeminiアプリのDeep Researchに任せると、複数ソースを横断したレポートが通常5分から10分ほどで返ります。重要なのは、何を比較するかをこちらで決めておくこと。軸を指定しないと、各社の公式サイトの文言を並べただけの資料になります。
[市場名]における主要プレイヤー5社を調査し、比較表にまとめてください。
比較軸: 想定顧客の規模、価格帯、導入までの期間、公式サイトで訴求している中心価値、
直近1年の新機能の方向性
条件: 各項目に出典URLを付ける。出典が確認できない項目は「不明」と書き、推測で埋めない。
出力: 比較表のあと、5社の訴求が重なっていない空白領域を2つ挙げる。
「推測で埋めない」の一文を入れる意味は大きく、これがないと出典のない数値がもっともらしく混ざります。返ってきた内容は、そのまま資料に転記せず出典に当たって確認してください。
ペルソナの検討プロセス分解と訴求軸の抽出
ペルソナ生成は生成AIが得意な領域ですが、架空の人物像を細かく作り込んでも実務では使いません。使えるのは、購買に至る過程のどこで何に迷うかを言語化したものです。年齢や趣味ではなく、稟議で説明を求められる項目のように、次のアクションに直結する情報を出させます。
[業種]の[商材]の購買を検討する[役職・部門]について、検討プロセスを分解してください。
出力形式:
1. 課題を認識するきっかけ(社内で何が起きたときか)
2. 情報収集で見る場所と、そこで探している情報
3. 比較検討で他社と迷う点
4. 社内稟議で説明を求められる項目
5. 導入を見送る典型的な理由
条件: 各段階で担当者が実際に口にしそうな一文を添える。一般論ではなく[業種]の事情に寄せる。
ここで出てきた「導入を見送る典型的な理由」は、そのままFAQや比較記事の見出しに転用できます。検討プロセスの各段階に何を用意するかという設計はマーケティングファネルとは?4つの型と使い分け・指標の置き方で扱っている考え方が土台です。
広告コピーとLP見出しの生成|文字数制限の与え方
Gemini(ジェミニ)で広告文を作る場合、制約の書き方が結果を左右します。Google広告のレスポンシブ検索広告は広告見出しが半角30文字、説明文が半角90文字までで、日本語などの全角文字は1文字が半角2文字分としてカウントされます。つまり日本語では見出し15文字・説明文45文字が上限です。文字数を指定しても超過することがあるため、出力後に必ず数えてください。
[商材]のリスティング広告文を作成してください。
【検索キーワード】[キーワード]
【ランディング先】[LPで最初に見せている内容]
【訴求】[競合と違う点を1つだけ]
【制約】見出しは全角15文字以内、説明文は全角45文字以内。
誇大表現(No.1、最安、必ず)は使わない。
【出力形式】見出し5案・説明文3案を表で。各案が想定する検索意図を一行で添える。
レスポンシブ検索広告には最大15の広告見出しと4つの説明文を登録できるため、上の5案・3案は初回投入分と考えてください。効果測定の指標や、薬機法・景品表示法に関わる表現の可否は生成AIの判断に委ねられません。生成は案出しの工程まで、と割り切るのが安全です。
記事構成案の生成とSNS投稿への展開
記事の下書きを丸ごと生成させると、どの段落も同じ密度の平板な文章になります。構成づくりまでを任せ、本文は人が書くほうが結果的に速く済むでしょう。出来上がった構成案はCanvasで開いてGoogleドキュメントへ書き出せるため、そのまま執筆用のファイルに引き継げます。
[キーワード]で検索する読者に向けた記事の構成案を作ってください。
条件:
- 読者が知りたい順に見出しを並べる。網羅性ではなく解決の順序を優先する。
- 各見出しに、そこで必ず答えるべき質問を1つ書く。
- 一般論だけで書ける見出しは除外し、具体的な数値や手順が必要なものを残す。
- 競合記事に共通してある見出しと、どこにもない見出しを分けて示す。
出力: 見出し案(h2・h3)と、各見出しで答える質問の対応表。
同じ構成案からSNS投稿へ展開するときは、記事の要約ではなく、記事のどの一点を切り出すかを指定します。
上で作成した構成案のうち、[見出し名]の内容をもとにSNS投稿文を作ってください。
【媒体】X(全角140文字以内)とLinkedIn(全角400文字以内)の2本
【切り口】記事の要約ではなく、その見出しで扱う具体的な数値か判断基準を1つだけ提示する
【制約】絵文字は使わない。ハッシュタグは3個以内。煽る表現は使わない。
【出力形式】媒体ごとに2案ずつ。各案の冒頭一行で何に関心を持つ人に届く想定かを添える。
検索エンジンだけでなく生成AIの回答に取り上げられる記事構造についてはAIに引用されるには?生成AIの回答に選ばれる記事構造とサイト対策【2026年時点】で詳しく扱っています。
営業での企業分析と提案資料づくりの分担
営業とマーケティングでは、Geminiに渡す情報の性質が変わります。営業側は個別企業の情報が中心になるため、後述する情報の取り扱いに特に注意が必要です。
商談前の企業分析と仮説づくり
商談準備でありがちなのは、相手企業のサイトを一通り読んで終わることです。仮説を立てるところまでを分担させると準備の質が変わります。次のプロンプトはWeb上の情報を探しに行く指示のため、開いているファイルを前提とするサイドパネルではなく、Geminiアプリで実行してください。調べる範囲が広い場合はDeep Researchを使います。
[企業名]の公開情報をもとに、商談前の仮説を整理してください。
調べる範囲: 公式サイト、採用ページ、プレスリリース、IR資料(上場企業の場合)
出力:
1. 直近1年で会社が力を入れている領域(根拠となる記述と出典URL付き)
2. 採用ページの募集職種から読み取れる組織の課題
3. 当社の[商材]が接点を持てそうな業務と、その根拠
4. 商談で確認すべき質問を3つ
条件: 推測は「推測」と明記して事実と分ける。出典のない断定は書かない。
採用ページを見る指示を入れているのは、募集職種の変化が組織の課題を映しやすいためです。ただし出力はあくまで仮説であり、商談の場で確認する前提で扱ってください。
提案資料と見積書のたたき台作成
ドキュメントのサイドパネルで過去の提案書を開き、構成を流用させる使い方が最も手数を減らします。ゼロから生成させるより、既存資産を下敷きにしたほうが自社の言い回しが保たれるためです。見積書についても、金額そのものではなく、項目立てと但し書きのたたき台づくりに向いています。
[商材]の見積書の項目立てを作成してください。
【提供範囲】[初期構築の内容]、[月額で提供する内容]、[オプション]
【契約形態】[年間契約・月額課金など]
【出力形式】大項目・小項目・単位(人月、ライセンス数など)・備考 の表。金額欄は空欄にする。
【あわせて出すもの】見積書の但し書きとして記載すべき項目(有効期限、範囲外作業の扱い、
追加費用が発生する条件)を箇条書きで。
条件: 単価と数量は入れない。当社が実際に提供していない項目は追加しない。
金額欄を空欄にさせているのは、生成された数値をそのまま社外に出す事故を防ぐためです。単価と数量は自社の基準で入れ直してください。
スプレッドシートのAI関数によるデータ分析
マーケティングのデータ処理で効くのがスプレッドシートのAI関数です。ただし制限を知らないまま使うと、途中までしか処理されていないことに気づかないまま集計してしまいます。
AI関数の構文と公式が挙げる4つの用途
構文は AI("プロンプト", [範囲]) で、範囲は省略できます。=Gemini() と書いても同じように動作します。公式ヘルプが挙げている用途は、テキストの生成、情報の要約、情報の分類、感情の分析の4つ。Google検索からリアルタイムの情報にアクセスすることもできます。一度書いた式をオートフィルで下方向にコピーできるため、行ごとの処理をまとめて回せる点が最大の利点です。
関数が使えないときの原因も公式に列挙されています。対象プランを利用していない場合のほか、管理者設定または言語設定が理由でアクセスできない場合、そしてBox、Dropbox、Egnyteなど他のクラウドストレージプロバイダ経由でスプレッドシートを開いている場合です。メニューに出てこないときは、まずこの3点を確認してください。
自由記述のテキストマイニングと感情分析
顧客アンケートの自由記述欄は、読むだけで工数を取られるうえ集計しにくい代表格でしょう。専用のテキストマイニングツールを導入しなくても、分類軸を先に決めて関数で回せば傾向の把握までが短くなります。
=AI("次の顧客コメントを、価格・機能・サポート・使いやすさ・その他 のいずれか1つに分類し、分類名だけを出力してください。説明は不要です。", A2)
感情の判定も同じ形で、出力を3語に限定すると集計しやすくなります。
=AI("次の顧客コメントの感情を、肯定・中立・否定 のいずれか1語で出力してください。理由は書かないでください。", A2)
出力形式を縛らないと文章で返ってきてピボットテーブルにかけられません。なお「Geminiで列の値を補完する」機能は、公式ヘルプの記載時点で米国内かつ英語でのみ提供されています。日本語環境でこの機能名の操作を前提にした手順を見かけたら、AI関数そのものと混同していないか確認してください。
グラフ・ダッシュボード作成で関数が届かない範囲
AI関数の回答はテキストに限定されており、関数がグラフを描くわけではありません。スプレッドシートのサイドパネルからグラフ作成を依頼する使い方は可能ですが、AI関数とは別の機能です。またAI関数はスプレッドシート全体や、Googleドライブ内の他のファイルにアクセスできません。「このシート全体を見て傾向をまとめて」といった指示は成立せず、渡した範囲だけが処理対象になります。ダッシュボードやガントチャートのように複数シートを横断する成果物は、関数で自動化するのではなく、集計済みの表を作ってからサイドパネルで解釈させる手順が現実的です。
Gemによる定型業務の固定化と指示の書き分け
ここまでのプロンプトは毎回貼り付けて使うこともできますが、週次で回る業務ならGemに保存したほうが確実です。担当者ごとの書き方のばらつきが消え、出力の粒度が揃います。
Gemの作成手順と指示欄に書くべき前提
gemini.google.comを開き、左側の「Gem を表示」(Gemマネージャー)をクリックしてから「Gem を作成」を選びます。名前と指示を入力すると右側にプレビューが表示されるので、想定どおりの返答になるか確認して保存という流れです。指示欄には、毎回同じことを伝えている前提をすべて書き込みます。自社の商材、想定顧客、使ってはいけない表現、出力形式。これらを固定してしまえば、日々のやり取りは「今回の対象は」から始められます。
商材単位で作るGemの設計
作るべきGemは業務の数だけではなく、前提の数だけです。同じ商材を扱う限り前提は共通なので、商材ごとに1つ作り、その中で用途を切り替える形が管理しやすくなります。逆に「広告用」「記事用」「営業資料用」と細かく分けると、商材情報を更新するたび全Gemを直す羽目になるでしょう。指示に書く内容は、商材の基本情報、想定顧客の課題、禁止表現、社内で使っている用語の定義あたりが中心。競合名を挙げて言及の仕方を指定しておくと、比較の書きぶりが担当者間でぶれません。前提を更新したときは、Gemマネージャーから該当のGemを開いて指示欄を直せば、以降のやり取りすべてに反映されます。
Canvasで作れる簡易ツールの範囲
Canvasを使うと、Geminiアプリの中でドキュメント、スライド、コード、そして簡単なアプリを作成・編集できます。作ったものは音声解説やクイズの形式にも変換可能。プレビューのエラーやログを見たいときは、Canvasパネル右上の「コンソールを表示」を開きます。共有は上部の公開リンクをコピーする操作です。マーケティング業務では、コンテンツ案を出す簡易ツールや社内向けの計算フォームといった小さなものを作る用途に収まります。基幹システムと連携する業務ツールを想定する段階になると、Canvasの範囲を超えるでしょう。どこまでを生成AIに任せ、どこから作り込むかの線引きはAIエージェントで業務効率化できる領域と効果の測り方|RPAとの使い分けで整理しています。
Geminiに任せるべきでない業務と失敗パターン
事例の紹介に比べ、どこで失敗するかを扱った情報は多くありません。実務で先に当たるのはこちらです。
AI関数の350セル単位の生成と取り消せない仕様
スプレッドシートのAI関数で最も見落とされているのが、1回の生成で埋まるのは選択した最初の350個のセルまでという制限です。公式ヘルプには、生成が完了するまで待ってから、さらにセルを選択して出力を生成できると書かれています。つまり処理自体は続行できますが、5,000行のアンケートなら待って選び直す操作を十数回繰り返すことになります。短期的および長期的な生成上限も別にあるため、大量処理を業務フローの前提に組み込むのは避けるべきです。行数を確認せずに集計へ進むと、一部データだけの分析結果を全体像として扱ってしまいます。
加えて、AI関数は元に戻すこともやり直すこともできません。公式が案内している代替手段は出力の再生成のみです。誤った範囲に適用しても取り消しが効かないため、本番シートを直接触らず複製で試すのが前提になります。関数の中に関数を入れる埋め込みAI関数もサポートされていません。
数値と事例の裏取りを省いたときに起きること
生成AIは「成約率が20%向上した事例」のような、もっともらしい数値を出典なしで生成します。これを社外資料や記事に転記すると、根拠を問われた時点で説明できません。導入効果を語るなら、自社で計測した数値か、出典を示せる公開事例に限るべきです。プロンプト側で「出典URLを付ける」「確認できない項目は不明と書く」と縛っても、完全には防げません。数値と固有名詞は人が確認する工程を残してください。他社の成果をどう自社に当てはめて読むかは生成AIの導入事例|部門別・業種別の成果と自社へ当てはめる判断手順で扱っています。
顧客情報と機密データの入力範囲
営業の企業分析や顧客アンケートの処理では、扱う情報の性質が変わります。個人情報や取引先の非公開情報を入力してよいかは、契約しているエディションとテナントの設定、そして自社の情報取り扱い規程で決まるものです。管理者はWorkspaceの各サービスについてGemini機能の利用可否を制御できます。どのデータをどの入り口に入れてよいかを先に決めてから展開しないと、現場の判断で機密情報が入力されます。業務ごとに向き不向きを切り分ける進め方は生成AIの業務効率化とは?成果が出る業務・進め方・失敗しない判断基準を解説にまとめています。
よくある質問
Geminiのプロンプトはどこに書きますか?
3か所あります。GmailやドキュメントなどのGoogle Workspaceアプリでは、画面右上のGeminiアイコンから開くサイドパネルの入力欄です。gemini.google.comのGeminiアプリでは画面下部の入力欄で、ファイル添付やDeep Researchの起動もここから行います。繰り返し使う前提条件は、Gemの「指示」欄に保存しましょう。開いているファイルの内容を踏まえてほしいときはサイドパネル、調査や長い思考が必要なときはアプリ、と使い分けます。
Geminiは法人でも追加費用なしで使えますか?
Google Workspaceを契約していれば、2025年1月以降はAI機能がBusiness・Enterprise各エディションに含まれており、Geminiアドオンの追加契約は不要です。ただし公式比較表では、Business StarterとEnterprise Starterでドキュメント・スプレッドシートのAI機能が利用不可とされています。Starterで使えるのはGmailの文書作成サポートや要約、ChatのAIによる概要、Google VidsのAI機能、Workspace Studioなど。管理者側で機能が無効化されている場合も使えないため、社内の管理者に確認してください。
マーケティング用のプロンプトを毎回書かずに再利用するには?
Gemに保存します。gemini.google.comの左側から「Gem を表示」→「Gem を作成」と進み、名前と指示を入力して保存すると、以降はそのGemを選ぶだけで同じ前提が適用されます。商材情報、想定顧客、禁止表現、出力形式のように毎回同じことを書いている部分を指示欄へ移すのが基本。用途別に細かく作るより、商材ごとに1つ作って中で使い分けるほうが更新は楽になります。
Geminiでグラフやダッシュボードは作れますか?
スプレッドシートのサイドパネルからグラフ作成を依頼することはできますが、AI関数で描画することはできません。AI関数の回答はテキストに限定されているためです。またAI関数はスプレッドシート全体や他のファイルにアクセスできないため、複数シートを横断するダッシュボードを関数だけで組むのは不可能です。集計済みの表を用意したうえで、その解釈や説明文をGeminiに任せる進め方が現実的でしょう。
Geminiで社内向けの簡単なツールやアプリは作れますか?
Canvasを使えば、Geminiアプリの中でアプリやコードを作成・編集できます。プロンプトで更新を依頼するか、コードを直接編集する形で進め、コンソールを表示すればエラーやログを確認できます。作ったものは公開リンクで共有可能。社内で使う小さな計算フォームや案出しツールであれば実用範囲ですが、基幹システムとの連携や権限管理が必要な業務ツールは対象外と考えてください。Google Workspace側では、AppSheetのGemini for App Creationも標準搭載の対象に含まれています。