SGE(Search Generative Experience)は、Googleが2023年に試験提供した「生成AIを組み込んだ検索」の名前です。日本語では「生成 AI による検索体験」と呼ばれていました。検索結果の上部にAIの要約を出す仕組みは、2024年5月に「AI Overviews」(日本語の画面では「AIによる概要」)として正式な機能になりました。そのため、2026年の今、SGEという名前のサービスは提供されていません。
この記事では、SGEがいつ始まりどう名前を変えたかを年表で整理します。続いて、当時の機能と表示例、現在のAIによる概要・AIモードとの違い、「SGEを使いたい」ときに今どこを触ればよいか、そして「SGE対策」という言葉の今の扱いを解説します。日付と仕様は、Googleの公式ブログ、ヘルプ、検索セントラルの記述で確認しています。
まとめ:SGEとは「AIによる概要」の試験版の名前
- SGEは試験提供の名前:Search Labs(登録制の実験の場)で2023年5月に米国で始まり、日本語版は2023年8月30日に始まりました。
- 正式版はAIによる概要(AI Overviews):2024年5月14日に米国の全ユーザーへ提供が始まり、日本では2024年8月に提供されました。
- 会話で掘り下げる機能はAIモードへ:SGEの「追加で聞く」から入る会話モードに近い体験は、2025年に始まったAIモードが担っています。日本語版の提供開始は2025年9月9日です。
- 今SGEを「使う」には:Search Labsへの登録は不要で、対応する地域・言語で通常どおり検索すると、Googleが有用と判断した場合にAIによる概要が表示されます。対話で質問を重ねたいときは検索結果の[AI モード]タブを使います。
- 「SGE対策」は今「AIによる概要・AIモードへの対策」のこと:Googleは特別な最適化は不要としています。2026年8月31日からは、Search Consoleの設定でサイトを生成AI機能から除外することもできます。
SGE(Search Generative Experience)の意味と試験提供の位置づけ
SGEは、Googleが検索に生成AIを組み込む最初の段階として公開した実験の名前です。2023年5月10日の発表では、生成AIの検索機能を「Search Labs」で試せるようにし、その最初の実験を「SGE(Search Generative Experience)」と呼ぶと説明していました。Search Labsは、検索の新しい機能を登録した人だけが先に試せる仕組みです。Googleの日本語ブログは、SGEが「PaLM2 や さらに進化した MUM など複数の大規模言語モデル」をもとにしていると説明していました。
SGEで検索すると、いくつかの質問では、結果ページの上部に生成AIがまとめた要約が表示されました。要約には根拠になったWebページへのリンクが付き、その下に追加の質問の候補が並びます。従来の検索では、ユーザーが複数のページを開いて自分で情報をつなぎ合わせていました。SGEは、その手間の一部を検索側が肩代わりする設計でした。
日本語の呼び方と表記ゆれ
Googleの日本語ブログでは「生成 AI による検索体験 (SGE)」と表記していました。検索では「SGE」「Google SGE」「Search Generative Experience」が同じものを指します。後継の機能は英語で「AI Overview(複数形はAI Overviews)」、日本語の画面では「AIによる概要」と表示されます。名称と表記ゆれの詳細はAIによる概要(AI Overview)の解説記事で整理しています。
SGEの年表:試験提供からAIによる概要・AIモードまで
SGEは約1年の試験期間を経て、正式な機能へ移りました。日付はいずれもGoogleの公式発表の掲載日です(米国の発表は米国の日付)。
| 時期 | 出来事 | 対象 |
|---|---|---|
| 2023年5月10日 | Google I/OでSGEを発表、Search Labsの登録受付を開始 | 米国・英語のみ |
| 2023年5月25日 | 米国の登録者へSGEの利用を順次開放 | 米国(Search Labs登録者) |
| 2023年8月30日 | SGE日本語版の試験運用を開始 | 日本(Search Labs登録者) |
| 2023年11月8日 | 英語版SGEを120超の国と地域へ拡大し、4言語を追加 | Search Labs登録者 |
| 2024年5月14日 | AI Overviewsとして米国の全ユーザーへ提供開始 | 米国 |
| 2024年8月15日 | AI Overviewsを日本など6か国へ拡大 | 日本・英国・インドなど |
| 2024年10月28日 | AI Overviewsを100超の国と地域へ順次拡大 | 世界 |
| 2025年3月5日 | AIモードを実験として公開 | 米国(Labs) |
| 2025年5月20日 | AIモードを米国の全ユーザーへ提供開始 | 米国 |
| 2025年9月9日 | AIモードの日本語提供を開始 | 日本 |
2023年11月の拡大で追加された4言語は、スペイン語・ポルトガル語・韓国語・インドネシア語です。同じ発表では、日本とインドがすでに提供国だったことにも触れています。2024年8月の拡大先は、英国・インド・日本・インドネシア・メキシコ・ブラジルの6か国です。日本時間では8月16日の発表になります。
SGEからAI Overviewsへ名前が変わった経緯
2024年5月14日のGoogle I/Oで、Googleは「AI Overviewsは、Search Labsでの実験を通じてすでに数十億回使われた」と説明しました。そのうえで、同日から米国の全ユーザーへの提供を始めました。つまり、SGEで試されていた要約表示が、登録なしで誰でも見られる正式な機能になり、名前もAI Overviewsに変わったという流れです。この発表では、回答の生成にGoogleが検索向けに調整した「カスタムGeminiモデル」を使うことも示されました。同じ日に、Google検索セントラルも英語版のドキュメント更新履歴で、AI Overviewsのページを追加した理由を「検索のAI OverviewsがSGEを置き換えるため」と記しています。
日本語版SGEの試験提供は2023年8月に始まり、AIによる概要の日本での正式提供は2024年8月に始まりました。2024年8月の拡大以降は、日本語の検索でも登録なしでAIによる概要が表示されています。
SGEの主な機能と表示例
SGEにはいくつかの機能がありました。正式版に引き継がれたものと、別の機能へ移ったものがあります。2023年の公式発表に書かれていた機能は次の4つです。
AIによる要約(AI-powered snapshot)
SGEの中心は、検索結果の上部に表示されるAIの要約です。英語の発表では「AI-powered snapshot」と呼ばれていました。Googleの日本語ブログ(生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介、2023年8月30日)は「残暑見舞いはいつ頃送る?」を例にしています。通常なら質問を細かく分け、複数の情報源から答えを集めて自分で組み立てる必要がありました。SGEでは、考慮すべき重要な情報の概要を生成AIが作って表示しました。
要約はすべての検索で出るわけではなく、質問の種類に応じて、関連する質問に対してのみ起動すると説明されていました。表示を切り替えると、それぞれの文章がどのサイトの情報に裏付けられているかを確認できました。
追加の質問と会話モード
要約の下には、追加で質問できる候補が表示されました。日本語ブログの例では「残暑見舞いに何を送ったら喜ばれますか?」「残暑見舞いのマナーは?」が並んでいます。候補か「追加で聞く」をタップすると、新しい会話モードに移ります。質問から質問へ文脈が引き継がれるので、話題を絞り込みながら調べ続けられました。
買い物の情報整理
商品を検索すると、検討すべき点と条件に合う商品の一覧が要約として表示されました。説明にはレビュー、評価、価格、商品画像が含まれていました。2023年5月の発表によると、この機能はGoogleの「Shopping Graph」を土台にしていました。Shopping Graphには350億件を超える商品情報が登録されていると説明されています。
広告の表示位置
SGEでも、検索広告はページの専用の広告枠に表示されました。広告には「スポンサー」と表示し、検索結果と区別できるようにすると説明されていました。
そのほかの実験機能
SGEの期間中には、Search Labsで次のような関連機能も試されました。いずれも米国を中心とした実験です。
- SGE while browsing(2023年8月15日〜):Googleアプリで閲覧中のWeb記事について、要点の一覧と該当箇所へのリンクを表示する実験
- コーディング支援(2023年8月15日〜):生成されたコードの理解やデバッグを助ける表示の追加
- 画像の生成(2023年10月12日〜):検索結果の中で画像を生成する実験(米国・英語・18歳以上の参加者が対象)
閲覧中の記事を要約する機能については、Google検索セントラルの2025年3月27日の更新履歴に「AI while browsing」が利用できなくなったと記されています。この日付は文書を削除した日で、提供を終えた日そのものとは限りません。
当時の表示例(画面の並び)
公式ブログの説明をもとに、SGEの結果ページを上から並べると次のようになります。
- 検索窓の下に、生成AIの要約(質問によっては表示されない)
- 要約の根拠になったWebページへのリンク
- 追加の質問の候補と「追加で聞く」(タップで会話モードへ)
- その下に従来の検索結果(広告はページ内の専用枠に表示され、位置は要約の下に限らない)
利用できたのは、パソコンのChromeとスマートフォンのGoogleアプリ(Android・iOS)です。どちらもSearch Labsへの登録が必要でした。
SGEとAIによる概要・AIモードの違い
SGEとAIによる概要の違いは、試験提供か正式機能かという位置づけと、利用条件にあります。一言でいうと、AIによる概要は「SGEの要約表示を正式な機能にしたもの」です。会話で掘り下げる役割は、その後に始まったAIモードが受け持っています。3つを並べると次のとおりです。
| 比較項目 | SGE | AIによる概要 | AIモード |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 試験提供(実験) | 検索の正式な機能 | 検索の正式な機能 |
| 提供期間 | 2023年5月〜2024年5月 | 2024年5月〜 | 2025年5月〜(米国) |
| 日本語の提供 | 2023年8月30日 | 2024年8月 | 2025年9月9日 |
| 利用の条件 | Search Labsへの登録 | 登録不要(自動表示) | 登録不要(タブで切替) |
| 表示の形 | 結果上部の要約+会話モード | 結果上部の要約 | 対話形式の回答画面 |
| 追加の質問 | 会話モードで可能 | AIモードへ移って続ける | 文脈を引き継いで可能 |
違いを読むときの要点は2つです。1つ目は、使う人の条件が変わったことです。SGEは登録した人だけが見られましたが、AIによる概要は条件に合う検索で誰にでも表示されます。2つ目は、役割が2つに分かれたことです。要約を見るのはAIによる概要、質問を重ねて調べるのはAIモードという分担になりました。Googleのヘルプ(英語版)によると、AIによる概要とAIモードに対応する地域・言語のモバイル端末では、概要の「Show more」で詳細を開き、「Ask anything」欄に追加の質問を入れると、元の検索の文脈を引き継いだままAIモードで会話を続けられます。
回答の作り方も更新されています。2025年3月の発表で、Googleは、AIモードが「クエリファンアウト」という手法を使うと説明しました。これは、質問をサブトピックに分け、複数の検索を同時に実行してから回答をまとめる手法です。検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」でも、AIによる概要とAIモードはこの手法を使う場合があると書かれています。2025年5月には、Gemini 2.5のカスタム版を米国のAIモードとAIによる概要に導入すると発表されました。AIモードの機能と使い方はGoogle AIモードの解説記事で詳しく扱っています。
現在のSGE相当機能の利用手順
SGEを試したくてSearch Labsを探す人もいますが、今は登録する必要がありません。目的別に、現在の機能での使い方をまとめます。
AIによる概要の表示条件と通常検索での利用
AIによる概要は、Googleで普段どおり検索するだけで、条件に合う質問なら結果の上部に表示されます。オンにする設定はありません。表示されない場合は、Googleがその検索での表示を有用と判断していない可能性があります。利用地域・言語や、[ウェブ]フィルタを選んでいないかも確認してください。表示される条件と非表示にする方法はAIによる概要の解説記事にまとめています。
AIモードへの切り替えと追加質問
SGEの会話モードのように質問を重ねたい場合は、AIモードを使います。2025年9月9日の発表によると、AIモードは検索結果ページの[AI モード]タブから使えます。パソコンとスマートフォンのブラウザ、AndroidとiOSのGoogleアプリに対応しています。AIモードの初期ユーザーは、従来の検索の2倍から3倍の長さの質問をしていたとも紹介されています。
Search Labsで試せる新しい実験
Search Labs自体は今も labs.google.com/search で提供されています。ただし、ここで試せるのは、正式提供前の新しい実験です。SGEの要約表示はすでに正式機能になっているので、Search LabsでSGEを有効にするという手順は今はありません。
SGEのメリットとデメリット
SGEの要約表示による利点と誤回答のリスクは、AIによる概要にも共通します。追加質問を重ねる利点は、現在のAIモードに対応するものとして整理します。
利用者にとってのメリットと注意点
利用者にとっての一番のメリットは、複数のページを開かなくても要点を短時間でつかめることです。SGEでは続けて質問もでき、旅行の計画や商品の比較のように条件が多い調べものに向いていました。今はこの使い方をAIモードが受け持っています。
一方で、要約が正しいとは限りません。GoogleはSGEの発表の時点で、生成AIと大規模言語モデル(LLM)には既知の制限があり、検索が常に正しく機能するとは限らないと書いていました。数値、法令、医療のように誤りが損失につながる情報は、要約に付いたリンクから元のページを開いて確かめる必要があります。
サイト運営者にとってのデメリット
サイト運営者にとっての懸念は、要約で用が済んでサイトへのクリックが減ることです。Googleは2024年5月の発表で、AI Overviewsに含まれるリンクは、同じページが通常の検索結果に出た場合よりクリックが多いと説明していました。一方、Pew Research Centerは、AIの要約がある検索ページとない検索ページで、リンクがクリックされた訪問の割合を比較しています。Googleの説明とは比較対象と指標が異なるため、直接反証する調査としては扱えません。
Pewの調査(2025年7月22日公表)は、米国の成人900人の2025年3月の閲覧データを分析したものです。AIの要約が出た検索ページでは、通常の検索結果のリンクがクリックされたのは訪問の8%でした。要約が出なかったページでは15%です。要約の中のリンクがクリックされたのは1%で、検索ページ訪問後に閲覧セッションを終了した割合は26%(要約なしは16%)でした。この調査では、ブラウザを5秒以上離れた場合をセッション終了と定義しています。検索だけで用が済む「ゼロクリック」の広がりはゼロクリック検索の解説記事で扱っています。
「SGE対策」の現在の対象とGoogle公式の掲載条件
この記事では、旧称の「SGE対策」を、現在のAIによる概要やAIモードへの掲載を目指す取り組みとして整理します。SGEという画面はもう無いので、SGE専用の対策も存在しません。
出発点になるのは、Google検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」というガイドです。このガイドは、通常のSEOのベストプラクティスがAIによる概要やAIモードでも引き続き有効だとしています。そのうえで、これらの機能にコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もないと明記しています。2026年9月に更新された検索セントラルの生成AI検索向けの最適化ガイドも、llms.txtのような特別なファイルやマークアップは不要としています。表示されるには、ページがインデックスに登録され、検索結果でスニペットを表示でき、検索の技術要件を満たしていることが前提です。さらに、Search Consoleの[検索の生成 AI]設定でサイトを掲載対象から除外していないことも確認します。この設定は2026年8月31日から全世界で提供され、初期設定は掲載対象に含める設定です。
その前提の上で、引用されやすい記事の構造や、サーチコンソールでの効果の測り方を手順にまとめたのがAI Overview対策の解説記事です。生成AIによる検索全般への最適化はAIO・GEOとも呼ばれ、AIO(AI検索最適化)やGEO(生成エンジン最適化)の記事で用語の違いを説明しています。
よくある質問
SGEは今も使えますか?
SGEという名前の試験提供は終わっています。SGEの要約表示は、2024年5月に「AI Overviews(AIによる概要)」として正式な機能になりました。日本では2024年8月から、登録なしでAIによる概要が表示されています。
SGEとAI Overview(AIによる概要)は同じものですか?
AIによる概要は、SGEの要約表示を正式な機能にしたものです。ただし、すべてが同じではありません。SGEはSearch Labsに登録した人向けの実験で、会話モードも含んでいました。AIによる概要は誰にでも表示される要約で、質問を重ねる体験はAIモードに分かれています。
SGEの日本語版はいつ始まりましたか?
2023年8月30日に、日本語版の試験運用がSearch Labsで始まりました。利用できたのは、パソコンのChromeとスマートフォンのGoogleアプリです。
Search LabsでSGEをオンにする方法はありますか?
いいえ、今はありません。SGEの機能はすでに正式提供されているため、Search Labsで有効にする必要はありません。要約は、対応する地域・言語で検索し、Googleが有用と判断した場合に表示されます。対話で調べたいときは検索結果の[AI モード]タブを使います。
SGE対策として特別な設定は必要ですか?
Googleは、AIによる概要やAIモードのための特別な最適化は不要としています。インデックス登録とスニペット表示などの技術要件を満たし、Search Consoleの[検索の生成 AI]設定で除外されていないページが対象になります。初期設定では掲載対象に含まれますが、条件を満たしても掲載は保証されません。そのうえで、質問に結論から答える構成や、一次情報を示した記述を整えるのが基本です。