マーケティングファネルとは?4つの型と使い分け・指標の置き方
マーケティングファネルは、見込み客が認知から購入へ進む過程を段階に分け、各段階で人数が絞られていく様子を漏斗(ファネル)に見立てたモデルです。ただし「ファネル」と呼ばれるものは1種類ではなく、購買までを描く型、購買後の推奨まで含める型、可視化できない検討行動を扱う型があり、どれを使うかで打つ施策が変わります。この記事では4つの型を整理し、自社がどれを使うべきかの判断基準と、段階ごとの指標の置き方までを扱います。
まとめ:どの型を使うかで施策が変わる
先に結論を出します。単発購入で完結する商材ならパーチェスファネル、継続利用や紹介が売上を左右するならダブルファネルです。BtoBで商談化までの検討期間が長く、問い合わせ前の行動が見えないなら、ダークファネルの考え方を足す必要があります。
指標は段階ごとに置きますが、各段階で分母が変わる点に注意してください。「認知10万人・検討5,000人・購入250人」を一律のコンバージョン率で語ると、どこがボトルネックか見えなくなります。段階間の遷移率を個別に見るのが実務的です。
そしてファネルは万能ではありません。購買行動が線形でない商材、指名検索が流入の大半を占めるブランド、比較検討が発生しない低単価商材では、段階に分けること自体が実態に合いません。無理に当てはめると、施策の優先順位を誤ります。
ファネルの4つの型
「マーケティングファネル」と一口に言っても、描く範囲が異なる型があります。まずこの区別を押さえてください。
| 型 | 描く範囲 | 向く商材 |
|---|---|---|
| パーチェスファネル | 認知 → 興味 → 比較 → 購入 | 単発購入で完結するもの |
| インフルエンスファネル | 購入 → 継続 → 紹介・発信 | 口コミが効くもの |
| ダブルファネル | 上記2つを接続 | 継続利用型・サブスク |
| ダークファネル | 可視化できない検討行動 | BtoB・高額商材 |
パーチェスファネル|最も基本的な型
認知から購入までを絞り込みの過程として描く、最も古くからある型です。上から入った見込み客が段階ごとに減っていくため、逆三角形で図示されます。段階の呼び方はAIDMAやAISASなど複数のモデルがありますが、「認知・興味・比較検討・購入」の4段階で考えれば実務上は足ります。細かく分けるほど段階間の遷移率が測りにくくなるためです。
この型の限界は、購入した時点で終わることです。継続課金や再購入が売上の柱になっている事業では、最も重要な部分が図から抜け落ちます。
インフルエンスファネル|購入後を描く
購入後の継続利用、そして他者への推奨や発信までを描く型です。パーチェスファネルとは逆に、下へ行くほど人数が増える正三角形で図示されます。1人の顧客が発信することで新しい認知が生まれるためです。
ダブルファネル|購入前後をつなぐ
パーチェスファネルとインフルエンスファネルを上下につないだ砂時計型のモデルです。購入を終点ではなく通過点として扱うため、サブスクリプションや継続利用型のサービスに適します。解約率が事業の成否を決める商材では、この型でなければ実態を表せません。各段階の設計はダブルファネルとは?7ステージの定義とKPI、図の誤りで詳しく扱っています。
ダークファネル|見えない検討を扱う
BtoBでは、問い合わせに至る前の情報収集が計測できない場所で進みます。社内チャット、比較サイト、SNSのクローズドなコミュニティ、口頭での推薦などです。これらは流入計測に現れないため、「最後にクリックされたチャネル」だけを見て予算配分すると実際の貢献を見誤ります。この領域の捕捉方法はダークファネルとは?可視化できないBtoB購買行動と、コンテンツで捕捉する対策で扱っています。
どの型を使うか|3つの判断基準
型の選択は好みではなく、事業の構造で決まります。
- 売上の継続性:初回購入で売上のほとんどが立つならパーチェス、継続課金や再購入が積み上がるならダブル。LTVを見る事業なら後者以外の選択肢はありません。
- 検討期間の長さ:検討が数か月に及び、複数人の合意が必要なBtoBでは、ダークファネルの前提を組み込まないと施策が「問い合わせフォームの改善」に偏ります。
- 推奨の発生量:口コミやレビューが新規顧客の流入に実際に効いているなら、インフルエンス側を描く価値があります。効いていないなら描いても管理コストが増えるだけです。
迷った場合はパーチェスファネルから始めて、購入後の指標が事業計画に入っているならダブルへ拡張するのが実務的な進め方です。最初から複雑な型を採ると、測定できない段階が残って形骸化します。
段階ごとの指標の置き方
ファネルを描く目的は、どの段階で人が落ちているかを特定することです。そのため指標は段階ごとに、それぞれ異なる分母で置きます。
| 段階 | 置く指標 | 分母 |
|---|---|---|
| 認知 | リーチ数・指名検索数 | ターゲット母集団 |
| 興味 | サイト訪問・資料閲覧 | リーチした人数 |
| 比較検討 | 資料請求・見積依頼 | 訪問者数 |
| 購入 | 成約数・成約率 | 比較検討に入った数 |
よくある失敗は、全体を1つのコンバージョン率でまとめてしまうことです。「サイト訪問1万・成約100・CVR1%」という見方では、興味段階で落ちているのか比較検討段階で落ちているのかが分かりません。遷移率は隣り合う段階の間で個別に測ってください。
認知段階の入口をどう設計するかはトップ・オブ・ファネル(TOFU)とは何か?マーケティングの出発点を解説で、比較検討段階での見込み客獲得はリードジェネレーションとは何か?定義とマーケティングにおける役割で扱っています。
ファネルで考えないほうがよい場面
ファネルは便利な整理の枠ですが、次の条件では実態を歪めます。
- 購買行動が線形でない:比較 → 離脱 → 再検討 → 購入のように行き来する商材では、段階を一方通行の絞り込みとして描くと、離脱を「失注」と誤って扱います。
- 指名検索が流入の大半:既にブランドを知っている人が直接来るなら、認知段階を広げる施策の効果は薄く、投資先を誤ります。
- 比較検討が発生しない:低単価で衝動的に買われる商材では、比較段階の指標がほぼ動かず、管理する意味がありません。
- 売上が既存顧客の継続に依存している:新規獲得のファネルを精緻化しても、解約率が改善しなければ売上は伸びません。この場合はファネルより解約要因の分析が先です。
裏を返せば、検討期間があり、段階ごとに人数が実際に絞られ、各段階を計測できるという3条件がそろったときにファネルは機能します。
よくある質問
マーケティングファネルとは何ですか?
見込み客が商品を認知してから購入に至るまでの過程を段階に分け、段階ごとに人数が絞り込まれていく様子を漏斗に見立てたモデルです。どこで見込み客が離脱しているかを特定し、施策の優先順位を決めるために使います。購入までを描くパーチェスファネルのほか、購入後の継続・推奨まで含めるダブルファネルなどの型があります。
ファネルにはどんな種類がありますか?
主に4つです。購入までを描くパーチェスファネル、購入後の継続や推奨を描くインフルエンスファネル、その両方を接続したダブルファネル、そして計測できない検討行動を扱うダークファネルです。単発購入の商材ならパーチェス、継続利用型ならダブル、BtoBで検討期間が長いならダークファネルの前提を足す、という使い分けになります。
ファネルの各段階にはどんな指標を置きますか?
認知にはリーチ数や指名検索数、興味にはサイト訪問や資料閲覧、比較検討には資料請求や見積依頼、購入には成約数を置きます。重要なのは分母です。段階ごとに分母が変わるため、全体を1つのコンバージョン率でまとめるとボトルネックが見えなくなります。隣り合う段階の遷移率を個別に測ってください。
BtoBでもマーケティングファネルは使えますか?
使えますが、そのままでは足りません。BtoBは検討期間が長く、複数人の合意を経るうえ、問い合わせ前の情報収集が社内チャットや比較サイトなど計測できない場所で進みます。最後にクリックされたチャネルだけで評価すると貢献を見誤るため、ダークファネルの考え方を組み合わせる必要があります。
ファネルが合わない商材はありますか?
あります。購買行動が行き来する商材、指名検索が流入の大半を占めるブランド、比較検討が発生しない低単価商材では、段階に分ける前提そのものが実態に合いません。また売上が既存顧客の継続に依存している場合は、新規獲得のファネルを精緻化するより解約要因の分析を優先すべきです。