TOFU(トーフ)は「Top of the Funnel」の略で、見込み客を漏斗(ファネル)に見立てたときの最上部、つまりまだ自社も商品も知らない人に最初の接点をつくる段階を指します。この記事では、TOFU・MOFU・BOFUの違いを表で整理したうえで、TOFUで打つ施策、追うべきKPI、そしてAI Overviewの表示で用語解説記事のクリックが減っている今、TOFUの成果をどう評価し直すかまでを説明します。
まとめ:TOFUの定義と施策・KPIの要点
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 意味 | Top of the Funnel=ファネル最上部の認知段階 |
| 読み方 | TOFU=トーフ、MOFU=モーフ、BOFU=ボーフ |
| 対象 | 課題に気づき始めたが、自社をまだ知らない人 |
| 主な施策 | 検索向けの記事、SNS・短尺動画・図解、認知向け広告 |
| 主なKPI | 検索表示回数、新規ユーザー、指名検索の推移 |
| MOFUとの境界 | 「課題を調べる」から「解決手段を比べる」へ移った時点 |
| 見直す点 | AI要約でクリックが減るため、セッション数だけで評価しない |
TOFUの役割は、売ることではなく「後で思い出してもらえる接点」を増やすことです。成果は受注ではなく、次の段階(MOFU)へどれだけ人を渡せたかで測ります。以下、定義、施策、KPI、評価の見直しの順に説明します。
TOFU・MOFU・BOFUの意味と読み方
TOFU・MOFU・BOFUは、購買までの道のりを漏斗に見立てたマーケティングファネルを、上・中・下の3層に分けた呼び方です。読み方はそれぞれトーフ、モーフ、ボーフで、「トップファネル」「ミドルファネル」「ボトムファネル」とも呼びます。広告の文脈で使う「アッパーファネル」はTOFUとほぼ同じ認知・興味の層を、「ローワーファネル」はBOFUに近い購入直前の層を指します。
漏斗の比喩そのものは古く、William W. Townsendが1924年刊の『Bond Salesmanship』で、広く一般的な事実を漏斗で絞り込み、特定の1件を好意的に検討してもらう販売の流れとして説明しています。ファネルの型(パーチェス、ダブル、ダークなど)の違いはマーケティングファネルの4つの型と使い分けで扱っているので、この記事では3層の中の最上部に絞ります。
TOFU・MOFU・BOFUの違いを比較表で整理
インバウンドマーケティングの用語を広めたHubSpotは、TOFUを「課題を認識し始めた認知段階」、MOFUを「選択肢を調べて比べる段階」、BOFUを「意思決定とコンバージョンを後押しする段階」と説明しています。各段階のコンテンツ例も同社の整理に沿うと次のとおりです。
| 段階 | 買い手の状態 | コンテンツ例 | KPIの例 |
|---|---|---|---|
| TOFU | 課題に気づき始めた | ブログ記事、SNS投稿、短尺動画、インフォグラフィック | 表示回数、新規ユーザー |
| MOFU | 解決手段を比べている | 詳しいガイド、導入事例、製品比較表 | 資料請求、MQL数 |
| BOFU | 購入先を決めようとしている | 料金ページ、顧客の声、競合比較、デモ動画 | 商談数、受注率 |
同じ「導入事例」でも、課題の一般論として読ませればTOFU寄り、自社製品の効果を示せばMOFU寄りになります。段階はコンテンツの形式ではなく、読み手が何を知りたがっているかで決まります。
TOFUとMOFUの境界の決め方
TOFUとMOFUの線引きで迷ったら、読み手の検索語を見ます。「〇〇とは」「〇〇 原因」のように課題や用語そのものを調べている人はTOFU、「〇〇 ツール 比較」「〇〇 システム 導入」のように解決手段を探し始めた人はMOFUです。勤怠管理システムを例にすると、検索語は次のように分かれます。
| 段階 | 検索語の例 | 読み手が知りたいこと |
|---|---|---|
| TOFU | 36協定 上限/残業時間 計算 | 課題そのものの中身 |
| MOFU | 勤怠管理システム 比較/勤怠管理 システム 導入 | 解決手段の選び方 |
| BOFU | 製品名 料金/製品名 評判 | 購入先の決め手 |
運用上は「連絡先を得たかどうか」で区切ると判定がぶれません。フォーム入力で個人を特定できた時点から、MOFUのリードとして育成の対象にします。どの行動で次の段階に移すかの基準は、MQLの判定基準のように点数で決めておくと、マーケティングと営業で認識がずれません。
TOFU(トップファネル)を強化する施策とコンテンツの選び方
TOFUの施策は「まだ自社名で検索しない人に、どこで見つけてもらうか」で選びます。購入を迫る内容はこの段階では逆効果で、課題の理解を助ける情報を無料で出すのが基本です。
検索流入を狙う課題語・用語解説の記事
BtoBでTOFUの中心になるのは、業務上の課題語や用語で検索する人に向けた記事です。狙うキーワードは、自社の商品名ではなく、その商品が解決する課題の言葉にします。たとえば勤怠管理システムを売るなら「36協定 上限」「残業時間 計算」が入口になります。
注意したいのは、事業と関係のない話題で流入だけを稼ぐことです。アクセス数は増えても、その読者は将来の顧客になりません。記事テーマを決めるときは「この疑問を持つ人は、半年後に自社商品を検討しうるか」を確かめてください。記事の企画から効果測定までの全体像はコンテンツマーケティングの戦略設計にまとめています。
SNS・短尺動画・インフォグラフィックと広告
検索は「疑問を持った人」にしか届きません。まだ課題を言葉にできていない層には、SNS投稿、短尺動画、図解(インフォグラフィック)で接点をつくります。いずれもHubSpotがTOFU向けに挙げている形式です。
自然投稿で届く範囲が限られる場合は、ディスプレイ広告や動画広告でリーチを買います。TOFUの広告はクリック単価ではなく、表示回数あたりの費用と、配信後に指名検索が増えたかで判断します。TOFUの広告にコンバージョン単価の目標を課すと、入札が購入に近い人へ寄り、認知を広げる目的とずれます。
ホワイトペーパーやウェビナーをTOFUに置く条件
ホワイトペーパーやウェビナーは、フォーム入力と引き換えに提供する形が一般的です。連絡先と引き換えに渡すこうした特典はリードマグネットと呼ばれます。この形はリード獲得(MOFUへの入口)の施策であり、TOFUの認知施策とは目的が違います。
買い手は売り手に接触する前に検討の多くを自分で進めるため(後述の6senseの調査では初回接触は購買プロセスの61%地点)、フォームの奥にある資料はその間に読まれません。TOFUとして使うなら、フォームなしで読める要約版を公開する、ウェビナーのアーカイブを誰でも見られるようにする、といった工夫が必要です。認知を広げたいのか、連絡先を集めたいのかを先に決めてください。フォームを付けて配る場合の設計はホワイトペーパーの作り方と配信の法的要件、集めた後の流れはリードジェネレーションの定義と役割を参照してください。
TOFUのKPIとGA4での計測
TOFUのKPIは「どれだけの人に最初の接点を持てたか」と「そのうち次の段階に進んだ人がいるか」の2層で置きます。前者だけでは集客の質がわからず、後者だけでは数が少なすぎて判断できないからです。
TOFUで追う指標の一覧
| 指標 | 見る場所 | 見る理由 |
|---|---|---|
| 検索の表示回数・掲載順位 | Search Console | クリック前の接点の量 |
| 新規ユーザー数 | GA4 | 初めて来た人の量 |
| エンゲージメント率 | GA4 | 読まれたかどうか |
| SNS・広告のリーチ数 | 各媒体の管理画面 | 検索外の接点の量 |
| 指名検索数 | Search Console | 社名・商品名を覚えた人の量 |
| 次段階への移行数 | GA4のキーイベント | MOFUへ渡せた数 |
この中で最も軽視されやすいのが指名検索数です。TOFUの接触で社名を覚えた人は、後日、社名や商品名で直接検索してきます。TOFU施策の前後で指名検索の表示回数を比べれば、クリックされなかった接触の効果もある程度つかめます。
GA4でTOFUの成果を見る設定
GA4では、レポートの[エンゲージメント]>[ランディング ページ]で、TOFU記事ごとの新規ユーザー数とキーイベント数を見るのが基本です。TOFU記事を入口にしたセッションで、資料請求ページの閲覧やメルマガ登録が起きたかを見れば、次の段階への移行を測れます。
なお、GA4では2024年3月27日から、従来「コンバージョン」と呼んでいた重要なイベントが「キーイベント」に改称されています。「コンバージョン」はGoogle広告の入札最適化などに使うものを指す呼び名に変わったため、TOFUの移行指標は「キーイベント」として設定します。古い解説記事の手順と画面名が合わないときは、この改称が原因です。
AI要約でクリックが減る中でのTOFUの評価の見直し
TOFUの記事は「〇〇とは」のような定義を問う検索語を狙うことが多く、AI要約が表示されやすい種類の検索です。Googleは2024年8月16日に、日本語での「AIによる概要(AI Overviews)」の提供開始を発表しました。
Pew Research Centerが2025年7月22日に公表した分析では、米国成人900人の2025年3月の閲覧記録(Google検索68,879件)で、AI要約が表示された検索で結果のリンクがクリックされた割合は8%、表示されなかった検索では15%でした。同じ分析では、who・what・when・whyなどの疑問詞で始まる検索の60%にAI要約が表示されています。定義を答えるだけのTOFU記事は、上位に表示されてもクリックされにくくなっています。
そのため、TOFUの評価をセッション数だけで行うのはやめるべきです。表示回数と指名検索数を並べて見ること、そして記事の中身を「定義」で終わらせず、自社の実務や判断基準など、要約では伝わらない情報まで書くことが対策になります。定義だけなら、AI要約で読者の疑問は解消されてしまいます。
TOFUを増やしても受注が増えない失敗パターン
TOFUの数字だけが伸びて受注が変わらない場合、原因はたいてい次のどれかです。
- 事業と関係の薄い話題で流入を集めていて、読者が将来の顧客ではない
- TOFU記事からMOFUのコンテンツ(事例、比較、資料)への導線がない
- 買い手が営業に接触する前に比較を終えており、TOFUとBOFUの間が見えていない
3つ目について、6senseの2025年版B2B Buyer Experience Report(約4,000人を調査)では、買い手が初めて売り手に接触する地点は購買プロセスの61%で、2024年版の69%から早まりました。それでも、道のりの半分以上は営業が関与しない場で進んでいます。この見えない検討の扱いはダークファネルの定義と対策で詳しく扱っています。TOFUで接点を持った人が、比較の段階で自社のコンテンツにたどり着けるかを点検してください。
よくある質問
TOFU・MOFU・BOFUの読み方は何ですか?
TOFUはトーフ、MOFUはモーフ、BOFUはボーフと読みます。それぞれTop of the Funnel、Middle of the Funnel、Bottom of the Funnelの頭文字で、トップファネル、ミドルファネル、ボトムファネルとも呼びます。
トップファネルとアッパーファネルは同じ意味ですか?
ほぼ同じ認知・興味の層を指します。アッパーファネルは広告の文脈でよく使われ、認知と興味・関心をまとめて指すことが多い呼び方です。購入直前の層はローワーファネルと呼びます。
BOFUとは何ですか?
BOFU(Bottom of the Funnel)は、購入先を決めようとしている層に向けた最下部の段階です。料金ページ、顧客の声、競合との比較、デモ動画などで意思決定を後押しし、商談数や受注率で成果を測ります。
TOFUとMOFUの違いは何ですか?
TOFUは課題や用語を調べている段階、MOFUは解決手段を比べている段階です。運用上は、フォーム入力などで連絡先を得た時点をMOFUへの移行とすると、判定がぶれません。
TOFU施策の成果はどの指標で判断すればよいですか?
検索の表示回数、新規ユーザー数、指名検索数、そしてMOFUへの移行数(GA4のキーイベント)を組み合わせて判断します。AI要約でクリックが減っているため、セッション数だけで判断すると過小評価になります。