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デュポン分解(デュポンシステム)とは?ROEを3要素に分ける計算式とキーエンス・トヨタの分析事例

デュポン分解(デュポンシステム)とは?ROEを3要素に分ける計算式とキーエンス・トヨタの分析事例

デュポン分解とは、ROE(自己資本利益率)を「売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ」の3つに分け、その会社が利益率・資産の回し方・借入のどれでROEを稼いでいるかを読む分析手法です。デュポンシステム、デュポン分析、デュポンモデル、デュポン方式はすべて同じ手法の呼び名です。この記事では計算式に加え、決算短信の数字から3要素を出す手順を、キーエンスとトヨタ自動車の2026年3月期の実績で示します。

まとめ:デュポン分解の要点

  • 計算式は ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ。3つを掛けると「当期純利益 ÷ 自己資本」に戻る。
  • 前の2つを掛けたものがROA(総資産利益率)なので、ROE = ROA × 財務レバレッジとも書ける。
  • 2026年3月期は、キーエンスが利益率38.1%・レバレッジ1.06倍でROE13.5%、トヨタが利益率7.6%・レバレッジ2.63倍でROE10.1%。ROEの水準に加え、それを支える3要素の構成も異なる。
  • 決算短信のROEは自己資本の期首と期末の平均で割っている。期末だけで割ると値がずれる(キーエンスは13.5%が12.8%になる)。
  • 伊藤レポートの日米欧比較では、日本企業のROEが低い主な原因は回転率やレバレッジではなく売上高利益率だった。

まず計算式を確認し、決算短信の数値でROEを再現します。

デュポン分解・デュポンシステムの意味と由来

ROEは「株主が出した資本に対して、どれだけ最終利益を上げたか」を示す1つの数字です。ROEが10%と分かっても、利益率が高いからなのか、少ない資産で大きな売上を上げているからなのか、借入で資産を膨らませているからなのかは分かりません。デュポン分解は、この3つを分けて見るための式です。

呼び名は文献によって違い、日本語では「デュポン・システム」「デュポン分析」「デュポン分解」など複数の訳し方があります。英語では DuPont analysis、DuPont model と呼びます。中国語では「杜邦分析」です。中身は同じなので、どの名前で調べても同じ式にたどり着きます。

由来は1914年のデュポン社のROI式

デュポン社の資料を所蔵するHagley Museum and Libraryの解説によると、考案者のF・ドナルドソン・ブラウンは爆薬部門の営業担当として入社したのち、1914年に財務部の副財務担当として、利益・運転資本・工場などへの投資を1つの指標にまとめた「return on investment(投資利益率)」の式を作りました。デュポン社はこの指標を全事業部の主要な業績指標とし、ブラウンは1918年に財務担当役員、1921年にはゼネラル・モーターズ(GM)の財務担当副社長へ移っています。

このときの式は「利益率 × 回転率 = 投資利益率」という2要素の形で、いまのROAに近いものでした。これに財務レバレッジを掛けてROEまで分ける3要素の形が、現在「デュポン分解」と呼ばれているものです。考案年は解説記事によって1919年や1920年代と書かれることがありますが、1919年はデュポン社が経営委員会向けに、事業ごとの売上・利益・資産・ROIを示す大型チャートの専用の部屋を設けた年で、式そのものの考案は1914年です。

ROEを3要素に分解する計算式

3つの分数を掛けると、売上高と総資産が分子と分母で打ち消し合い、「当期純利益 ÷ 自己資本」=ROEだけが残ります。

ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
    =(当期純利益 ÷ 売上高)×(売上高 ÷ 総資産)×(総資産 ÷ 自己資本)

ROA = 売上高純利益率 × 総資産回転率 = 当期純利益 ÷ 総資産
ROE = ROA × 財務レバレッジ

覚えるときは、分母と分子が「売上高 → 総資産 → 自己資本」と鎖のようにつながる順番で並べると崩れません。左の分母が、次の分数の分子になります。

売上高純利益率:売上のうち最終利益に残る割合

当期純利益 ÷ 売上高で、収益性を表します。値上げできる製品力、原価や販管費の水準、支払利息や税金まで含めた最終的な稼ぐ力が出ます。後で見るキーエンスは38.1%、トヨタは7.6%で、5倍の差があります。

総資産回転率:資産に対する売上高の割合

売上高 ÷ 総資産で、単位は「回」です。在庫や設備を多く抱える製造業は低く、資産の軽い小売やサービス業は高く出ます。現預金を厚く持つ会社も、その分だけ総資産が増えて回転率が下がります。業種別の水準や改善策は総資産回転率の計算式と業種別平均の記事にまとめています。

財務レバレッジ:自己資本に対する総資産の倍率

総資産 ÷ 自己資本で、同じ時点・同じ範囲の数値を使った自己資本比率の逆数です。平均残高で計算する場合は、平均自己資本 ÷ 平均総資産の逆数になります。自己資本比率50%なら2倍、25%なら4倍で、安全性の指標を裏返したものと考えると分かりやすいでしょう。借入で総資産が増えると財務レバレッジは上がりますが、それだけでROEが上がるわけではありません。調達資金から得る利益と利息負担によってROEへの影響は変わります。

ROAと財務レバレッジによる2段階の分析

前の2つの積は純利益ベースのROA、最後の1つは資本構成を表します。ただし、このROAには本業以外の損益・利息・税金も含まれるため、事業部門の評価には利益の定義を別途そろえます。伊藤レポートには、持株会社がROEを対外目標に掲げ、事業会社にはROA(利益率と回転率)を目標として渡し、財務レバレッジは持株会社が責任を持つという役割分担の事例が紹介されています。ROEをいきなり3つに割るより、「ROAは事業の責任、レバレッジは財務の責任」と2段で読むと、誰が何を改善すべきかが決めやすくなります。ROAそのものの目安はROA(総資産利益率)の目安と計算式の記事を参照してください。

決算短信の数字でデュポン分解する手順

キーエンスとトヨタの例では、必要な数字は決算短信の冒頭のサマリー情報で確認できます。掲載位置や科目名は会社によって異なります。見る場所と、分母の取り方に注意します。決算短信の読み方自体は決算短信の記載項目と見方の記事で詳しく説明しています。

日本基準とIFRSの計算対象科目の対応

日本基準とIFRS(国際財務報告基準)では同じ数字でも科目名が違います。IFRSの会社を日本基準の名前で探すと見つからないので、次の対応で読み替えます。

3要素で使う数字 日本基準の科目名 IFRSの科目名(例:トヨタ)
売上高 売上高 営業収益・売上収益
当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益 親会社の所有者に帰属する当期利益
総資産 総資産 資産合計
自己資本 自己資本(参考欄) 親会社の所有者に帰属する持分
ROE 自己資本当期純利益率 親会社所有者帰属持分当期利益率

自己資本は「純資産合計」とは限りません。東証の決算短信作成要領では、純資産合計から株式引受権・新株予約権・非支配株主持分を除いた額とされ、決算短信では連結財政状態の下の「(参考)自己資本」に載っています。子会社に少数株主がいる会社では純資産と自己資本の差が大きくなるので、必ず参考欄の数字を使います。

平均総資産・平均自己資本を使う計算手順

決算短信のROEは、1年間の利益を、期首と期末の自己資本の平均で割って出しています。利益は1年分の流れ、自己資本や総資産はある時点の残高なので、期中の平均に合わせるためです。デュポン分解で決算短信のROEと一致させたいなら、総資産も自己資本も期首と期末の平均を使います。

表計算ソフトでは、1〜4行目のA列に「売上高」「当期純利益」「総資産」「自己資本」を置き、B列に期首(前期末)の残高、C列に当期の数字(売上高と利益は1年間の実績、総資産と自己資本は期末残高)を入れます。D列に次の式を入れると、D8が決算短信のROEと一致します(D5とD8はパーセント表示にします)。

D3(平均総資産)       =(B3+C3)/2
D4(平均自己資本)     =(B4+C4)/2
D5(売上高純利益率)   =C2/C1
D6(総資産回転率)     =C1/D3
D7(財務レバレッジ)   =D3/D4
D8(ROE)              =D5*D6*D7

期末の値だけで割ると、資本が増えている会社ほどROEが低く出ます。キーエンスの2026年3月期は、平均で割ると13.5%で決算短信と一致しますが、期末の自己資本だけで割ると12.8%になります。他社と比べるときは、全社で同じ取り方にそろえることが大切です。

自社の数字を毎月追う場合は、まず利益の対象期間と残高の基準日をそろえます。部門数が多く、毎月の転記や照合に時間がかかる場合は、会計データの自動集計を検討できます。部門別やセグメント別に3要素を出す設計まで含めるなら、会計・経理システムの開発で集計の粒度から決めておくと後で困りません。

分析事例:キーエンスとトヨタ自動車の3要素比較

実在企業の数字で分解すると、デュポン分解の使い道がはっきりします。キーエンスの2026年3月期決算短信(日本基準)とトヨタ自動車の2026年3月期決算短信(IFRS)の数字を、上の手順で計算しました(単位は百万円、総資産と自己資本は期首と期末の平均)。

項目 キーエンス トヨタ自動車
売上高(営業収益) 1,169,289 50,684,952
当期純利益(親会社帰属) 445,185 3,848,098
平均総資産 3,479,940 99,561,841
平均自己資本 3,290,012 37,921,840
売上高純利益率 38.1% 7.6%
総資産回転率 0.34回 0.51回
財務レバレッジ 1.06倍 2.63倍
ROE(3要素の積) 13.5% 10.1%
決算短信のROE 13.5% 10.1%

キーエンスは自己資本比率94.6%で、借入にほぼ頼っていません。財務レバレッジは1.06倍しかなく、総資産回転率も0.34回と低めです。それでもROEが13.5%あるのは、売上高純利益率が38.1%と極端に高いからです。決算短信によると総資産の増加は主に有価証券の増加(2,567億円)によるもので、稼いだ利益を資産として積み上げるほど回転率は下がります。この比較では、高い純利益率がROEを支え、財務レバレッジへの依存が小さい会社と読めます。

トヨタは利益率7.6%、回転率0.51回で、ROAに直すと3.9%です。これを財務レバレッジ2.63倍が押し上げてROE10.1%にしています。連結には自動車ローンやリースを扱う金融事業も含まれるため、製造業としてはレバレッジが高めに出やすくなります。前期の2025年3月期は、両社のROEがキーエンス13.5%、トヨタ13.6%とほぼ並んでいました。ROEの数字だけを見ると同じ水準の会社に見えますが、純利益率が1ポイント下がったときのROEの低下幅は「総資産回転率 × 財務レバレッジ」に比例します。2026年3月期の値ではキーエンスが約0.36、トヨタが約1.34で、同じ利益率の悪化でもトヨタのROEは約4倍大きく動きます。2026年3月期のトヨタは、決算短信によると米国の関税政策による営業利益への減益影響が1兆3,800億円あり、ROEは13.6%から10.1%に下がりました。

この比較から分かるのは、ROEの高さよりも、どの要素で作っているかのほうが、その会社の弱点を表すということです。利益率型の会社は値下げ圧力や競合の出現に、レバレッジ型の会社は金利上昇や減益に弱くなります。

伊藤レポートの日米欧比較と日本企業の低ROEの要因

デュポン分解が日本で広く知られるようになったきっかけの1つが、経済産業省の伊藤レポート(2014年8月)です。報告書は紙面37ページの図3で、日米欧の主要企業のROEを3要素に分けて比べています。2012年暦年の決算をもとに、TOPIX500、S&P500、Bloomberg European 500の構成企業(金融・不動産を除く)を対象にした数字です。

地域(全産業) ROE 売上高利益率 回転率 レバレッジ
日本 5.3% 3.8% 0.96 2.51
米国 22.6% 10.5% 0.96 2.69
欧州 15.0% 8.9% 0.87 2.86

表の数値は対象企業のデータを要素ごとに集計したもので、3要素を掛け合わせても表のROEとは一致しません。それでも要素ごとの差の大きさは読み取れます。回転率は日米で同じ0.96、レバレッジも2.5〜2.9倍の範囲に収まっています。差が大きいのは売上高利益率だけで、日本は米国の3分の1強です。報告書はこの結果から「日本企業の低ROEは売上高利益率、つまり事業の収益力の低さによるところが大きい」と結論づけています。借入を増やしてROEを上げるべきだという主張に対する、データでの反論にもなっています。この報告書全体の内容は伊藤レポートの原典から3.0までを整理した記事で解説しています。

その後の動きは、第一生命経済研究所の河谷善夫氏のレポート(2025年12月)が、財務省の法人企業統計を1980年代までさかのぼって分解しています。対象は大企業に近い資本金10億円以上の企業全体です。同レポートによると、バブル前のROEは8%を超えていましたが、それを支えていたのは高い資産回転率とレバレッジで、マージン(売上高に対する利益の比率)は一貫して低かったとされます。足元のマージンは10%程度まで上がったものの、欧米の水準にはまだ届いていないというのが同レポートの見立てです。

デュポン分解を使ったROE改善の考え方

3要素は、そのままROEを上げる打ち手の分類になります。ただし、どれを動かすかで効果の持続性は大きく違います。

動かす要素 主な打ち手 効果の持続性(目安) 副作用
売上高純利益率 値上げ・高付加価値化・原価低減 高い 時間がかかる
総資産回転率 在庫圧縮・遊休資産売却・回収期間短縮 中程度 削りすぎると欠品
財務レバレッジ 借入・自社株買い・増配 低い 財務リスクが増える

東京証券取引所が2023年3月31日に出した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」は、プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場会社がROE8%未満・PBR1倍割れだと指摘したうえで、「自社株買いや増配のみの対応や一過性の対応を期待するものではありません」と書いています。自社株買いは自己資本を減らすため、利益が正で一定ならROEを押し上げます。ただし、実際の効果は取得時期や資金調達費用、その後の利益の変動によって異なります。東証が求めているのは、資本コストを意識した経営資源の配分と、継続的な資本収益性・企業価値の向上です。利益率や回転率の改善に加え、有効な場合には自社株買いや増配も含まれます。デュポン分解で見れば、自社株買いで直接動くのは財務レバレッジだけで、利益率と回転率は変わらないことが確認できます。東証の2026年10月15日公表の集計では、2026年9月末時点でプライム市場の94%(1,455社)、スタンダード市場の57%(886社)が対応を開示しています(検討中を含む)。

現場に落とし込むときは、3要素をさらに細かいKPIに分けます。伊藤レポートの図4(紙面43ページ)は、売上高純利益率を原価率・販管費率・研究開発費などに、総資産回転率を在庫回転日数・売掛金回転日数・稼働率などに分けた木構造を例示しています。在庫回転日数を何日縮めればROEが何ポイント上がるかまで計算できれば、営業や製造の部門にもROEの目標を渡せます。同じ考え方を投下資本で行うのがROICツリーです。

5要素に分ける拡張デュポン分解

売上高純利益率を「税金」「金利」「本業の利益率」に割ると、5要素の拡張デュポン分解になります。利益率が低い原因が本業なのか、借入の利息なのか、税負担なのかを分けたいときに使います。

ROE = 税負担率 × 金利負担率 × 営業利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
(当期純利益は親会社帰属、自己資本は親会社持分に統一)

非支配持分を含む当期利益で税負担率を求める場合:
ROE = 上記5要素の積 × 親会社帰属割合

税負担率   = 当期純利益 ÷ 税引前利益
金利負担率 = 税引前利益 ÷ 営業利益
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高

金利負担率は普通は1より小さくなり、支払利息が重い会社ほど低くなります。ところがトヨタの2026年3月期で計算すると、税引前利益5兆1,530億円 ÷ 営業利益3兆7,662億円 = 1.37と、1を超えます。持分法による投資損益(5,527億円)など、営業利益より下に計上される収益が支払利息などの費用を上回っているためです。税負担率は当期利益3兆9,858億円 ÷ 税引前利益 = 0.77、営業利益率は7.4%でした。

3要素では「利益率7.6%」の1行で終わっていたものが、5要素にすると「本業の利益率は7.4%で、それを持分法投資の利益が補い、税金で2割強が抜けている」と読めます。グループ会社への投資が大きい会社や、借入の多い会社を見るときは5要素版のほうが向いています。なお、トヨタの例は非支配持分を含む当期利益で計算しているため、5要素の積は約10.5%になり、親会社帰属の割合(約96.5%)を掛けて決算短信のROE約10.1%に一致します。

デュポン分解の注意点と限界

最も多い読み違いは、財務レバレッジによるかさ上げを見逃すことです。高いROEを見て優良企業と判断する前に、必ず3要素に分けてレバレッジの比重を確認します。そのほかに、次の場面では数字をそのまま使えません。

  • 赤字や債務超過の会社:売上高と平均自己資本が正なら、赤字では利益率もROEもマイナスです。平均自己資本も負の場合、計算上のROEは正になることがあるため、通常の収益性比較には使えません。この場合は3要素の比較ではなく、赤字の原因と資本の回復策を別に見ます。
  • 特別損益が大きい年:固定資産の売却益や減損損失が入ると、当期純利益が本業の実力から離れます。営業利益率を併せて見るか、5要素版で分けます。
  • 業種が違う会社どうし:銀行や商社は財務レバレッジが高く、小売は回転率が高いのが普通です。同業他社や自社の過去と比べてください。
  • 分母の取り方がそろっていない比較:期末値と平均値を混ぜると、それだけで1ポイント近く変わることがあります。

また、デュポン分解は過去の決算を分けて読む道具で、将来の企業価値を測るものではありません。ROEが資本コストを上回っているかどうかの判断には、資本コストとの比較が別に必要です。

ROEの目安とROA・ROICとの使い分け

日本ではROE8%が目安としてよく使われます。出どころは伊藤レポートの紙面6ページで、「最低限8%を上回るROE を達成することに各企業はコミットすべきである」と書かれています。根拠は、グローバルな機関投資家が日本企業に期待する資本コストの平均が7%を超え、ROEが8%を超えれば約9割の投資家の想定を上回るという調査結果です(紙面13ページ)。報告書は8%を「最低限」と位置づけており、達成したらより高い水準を目指すべきとしています。

ROEは資本構成の影響も受けるため、資産全体に対する収益性はROA、事業に投じた資金の効率はROICでも確かめます。当期純利益を使うROAには、利息・税金や一時的な損益の影響も含まれます。3つの指標の計算例と使い分けはROICとROE・ROA・ROIの違いを計算例で比べた記事にまとめています。決算書全体を読む流れの中でデュポン分解をどこに置くかは、財務分析の5つの視点とやり方の記事が参考になります。

よくある質問

デュポン分解・デュポンシステム・デュポン分析の違いは?

違いはありません。どれもROEを3要素(拡張版は5要素)に分けて読む同じ手法の呼び名です。デュポンモデル、デュポン方式、デュポン式という言い方もあります。米デュポン社が1914年に作った業績管理の式に由来し、訳し方が文献によって分かれているだけです。

ROEは何の略で、計算式は?

ROEはReturn on Equityの略で、日本語では自己資本利益率です。計算式は「当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)」で、決算短信では自己資本の期首と期末の平均で割ります。デュポン分解は、この式を売上高純利益率・総資産回転率・財務レバレッジの積に書き直したものです。

ROAの分解はどうなりますか?

ROA(当期純利益 ÷ 総資産)は「売上高純利益率 × 総資産回転率」の2要素に分けられます。デュポン社が最初に使ったのもこの2要素の形でした。ROEはこのROAに財務レバレッジを掛けたものです。

デュポンシステムの覚え方は?

「利益 ÷ 売上」「売上 ÷ 資産」「資産 ÷ 資本」と、前の分数の分母が次の分数の分子になる鎖として覚えます。両端に残る「利益」と「資本」を合わせるとROE(利益 ÷ 資本)です。真ん中の2つを消す前の形を書けば、式を忘れても組み立て直せます。

ROEが高い企業は必ず優良企業ですか?

そうとは限りません。ROAが正で一定なら財務レバレッジの上昇はROEを押し上げますが、実際にはROAも変動します。高ROEの会社でも、自己資本比率や利息負担を確認する必要があります。デュポン分解で、利益率・回転率・レバレッジのどれでROEを作っているかを確認してから判断してください。

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