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財務分析の指標一覧:5つの視点の30指標と計算式、中小企業庁と公庫で定義が違う指標の見分け方【2026年版】

財務分析の指標一覧:5つの視点の30指標と計算式、中小企業庁と公庫で定義が違う指標の見分け方【2026年版】

財務分析の指標は、収益性・効率性・安全性・生産性・成長性の5つの視点に分けると、30前後に整理できます。本記事では、それぞれの計算式と見方を一覧にし、中小企業庁と日本政策金融公庫でROEや付加価値額の定義が違う点を、公表されている算出式から比べました。売上高5億円の製造業の設例での計算結果と、毎月追う指標の選び方まで扱います。

まとめ:財務分析の指標は5つの視点で選び、計算式の定義を比べる相手の統計に合わせる

財務分析の指標は、収益性8・効率性5・安全性8・生産性5・成長性3に損益分岐点比率を加えた30指標で、決算書から読み取れる経営の状態をほぼ押さえられます。ただし、指標名が同じであっても、計算式は出典ごとに異なるものです。中小企業庁の自己資本当期純利益率(ROE)は当期純利益を、公庫の自己資本経常利益率は経常利益を分子に置くため、同じ会社でも値が4ポイント以上ずれることがあります。

実務の順序は、比べる相手の統計を決め、その算出式で自社の値を計算することから始まります。毎月追う指標は6つ程度に絞り、月次の数値は直近12か月の累計で年換算して比べます。部門や拠点ごとに指標を出す段階で、表計算から会計データの自動算出に移すのが妥当です。

財務分析の指標とは何か、5つの視点と計算の前に決める分母と期間の前提

財務分析の指標は、決算書の2つの数字を割り算して比率や期間にしたものです。財務分析そのものの定義や手順、業種別の平均値は財務分析の5つの視点とやり方を中小企業の統計と設例で解説した記事で扱っています。ここでは指標を計算する前に揃えておく前提を整理します。

収益性・効率性・安全性・生産性・成長性、5つの視点が答える経営の問い

5つの視点は、それぞれ別の問いに答えます。収益性は「売上や資本に対してどれだけ利益が出ているか」、効率性は「資産がどれだけ速く売上に変わっているか」を見ます。安全性は「支払いに困らないか、借入に頼りすぎていないか」、生産性は「人や設備がどれだけ付加価値を生んでいるか」、成長性は「前期より規模が伸びているか」の問いです。

実務で迷ったら、最初に収益性と安全性を見ます。利益が出ていて資金繰りに不安がなければ、効率性・生産性・成長性は改善の余地を探す段階で使えば足ります。

期末残高か期首期末の平均か、計算の前に決める分母の取り方と月商の定義

同じ指標でも、分母の取り方で値が変わります。貸借対照表の数字は決算日1日分の残高なので、期末残高を使うか、期首と期末の平均を使うかを先に決めておくことが必要です。日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査の算出式は、総資本や流動資産は期末の値を使い、商品回転期間と棚卸資産回転期間だけ「(期首棚卸資産+期末棚卸資産)÷2」と平均を取っています。

回転期間の分母になる月商についても、あらかじめ定義が必要です。公庫は「売上高を12(カ月)で除した値」と定め、売上高には原則として消費税を含めています。税抜で記帳している会社が公庫の値と比べると、売掛金回転期間が1割前後長く出ます。

時系列で比べるだけなら、どちらの取り方でも構いません。途中で変えると、指標の動きが経営の変化か計算方法の変化か区別できなくなります。

収益性と効率性の指標一覧、ROEから回転期間まで13指標の計算式と見方

収益性と効率性の指標は、損益計算書の利益と、貸借対照表の資産・資本を組み合わせて計算します。計算式は主に公庫と中小企業庁の公表式に沿っています。

収益性の8指標、売上高利益率と資本利益率で計算式と読み方が違う理由

収益性の指標は、分母が売上高か資本かで2系統に分かれます。売上高利益率は「1円売るごとにいくら残るか」、資本利益率は「預かった資本でいくら稼いだか」を示します。

指標 計算式 見方
売上高総利益率 売上総利益÷売上高×100 商品・サービスの稼ぐ力
売上高営業利益率 営業利益÷売上高×100 本業の稼ぐ力
売上高経常利益率 経常利益÷売上高×100 金利負担込みの稼ぐ力
売上高経常利益率(償却前) (経常利益+減価償却費)÷売上高×100 設備の多い業種で比べる
売上高当期純利益率 当期純利益÷売上高×100 税と特別損益の後の利益
総資本経常利益率(ROA) 経常利益÷総資本×100 資産全体の稼ぐ力
自己資本当期純利益率(ROE) 当期純利益÷純資産×100 株主資本の稼ぐ力
自己資本経常利益率 経常利益÷自己資本×100 公庫が採るROEの代替

資本利益率は、売上高利益率と回転率の掛け算に分解できます。公庫の資料も、総資本経常利益率を「売上高経常利益率×総資本回転率」に分けて説明し、利益率を重視する企業と薄利多売型の企業で中身が違うと述べています。ROEをさらに財務レバレッジまで含めて3つに分ける方法はデュポン分解でROEを3要素に分ける計算式と分析事例を解説した記事にまとめました。

効率性の5指標、回転率と回転期間で資金が寝ている勘定科目を探す

効率性の指標は、資産が売上に変わる速さを測ります。回転率は高いほど、回転期間は短いほど資産が効率よく回っていると読みます。

指標 計算式 単位
総資本回転率 売上高÷総資本 回
売上債権回転期間 (受取手形+売掛金)÷月商 月
棚卸資産回転期間 平均棚卸資産÷月商 月
仕入債務回転期間 (支払手形+買掛金)÷月仕入高 月
有形固定資産回転率 売上高÷有形固定資産 回

回転期間の3つは、資金繰りの悪化を最も早く知らせる指標です。売上債権回転期間が1.5か月から2.0か月に延びれば、月商の半月分の現金が取引先に滞留しているということです。売掛金だけに絞った計算と、約定サイトの長期化と期日超過の滞留への分解は売掛金回転期間の計算式と業種別の目安を解説した記事で扱っています。仕入債務回転期間の分母は月商ではなく月仕入高で、公庫は製造業と建設業では「(原材料仕入高+外注費)÷12」を使うと定めています。総資本回転率の業種差と読み方は総資産回転率の計算式と業種別平均を解説した記事で詳しく扱っています。

安全性・生産性・成長性の指標一覧、流動比率から労働分配率まで17指標の計算式

残る3つの視点は、資金の安全度、人と設備の生み出す付加価値、規模の伸びを測ります。損益分岐点比率は5つの視点のどれにも入らないため、成長性と並べて扱います。

安全性の8指標、短期の支払能力と長期の財務構造を分けて読む計算式

安全性の指標は、1年以内の支払能力を見る短期の指標と、資本の構成を見る長期の指標に分けて読みます。

指標 計算式 区分
流動比率 流動資産÷流動負債×100 短期
当座比率 当座資産÷流動負債×100 短期
借入金回転期間 (短期+長期借入金)÷月商 短期と長期
インタレスト・カバレッジ 事業利益÷支払利息 短期と長期
自己資本比率 純資産÷総資本×100 長期
財務レバレッジ 総資本÷純資産 長期
固定比率 固定資産÷自己資本×100 長期
固定長期適合率 固定資産÷(自己資本+固定負債)×100 長期

当座資産は、公庫の式では「現金・預金+受取手形+売掛金」で、棚卸資産を含みません。在庫が売れなくても払えるかを見るため、流動比率より厳しい物差しになります。事業利益は営業利益に受取利息と受取配当金を足した額です。

固定長期適合率が100%を超えたら、優先して手を打つべき状態です。公庫の解説どおり、固定資産の一部を流動負債でまかなっている状態を意味し、短期借入の借り換えが止まると資金が詰まります。

生産性の5指標、付加価値額の定義によって労働生産性の値が変わる理由

生産性の指標は、付加価値額を中心に組み立てます。付加価値額は、売上高から外部に支払った材料費や外注費を除き、自社で生み出した価値を表す金額です。

指標 計算式 単位
労働生産性 付加価値額÷従業者数 千円
付加価値率 付加価値額÷売上高×100 %
労働分配率 人件費÷付加価値額×100 %
従業者1人当たり売上高 売上高÷従業者数 千円
資本装備率 有形固定資産÷従業者数 千円

公的統計は人件費や利益を足し上げる加算法で付加価値額を出しますが、足し上げる項目が統計ごとに違い、労働生産性と労働分配率の値が動きます。違いは次の章で比べます。

成長性の3指標と損益分岐点比率、前期比で見る指標と売上減少への耐性

成長性の指標は、当期の値を前期の値で割って伸び率を出します。

  • 売上高増加率:(当期売上高÷前期売上高-1)×100
  • 経常利益増加率:(当期経常利益÷前期経常利益-1)×100
  • 総資産増加率:(当期末総資産÷前期末総資産-1)×100

売上高増加率が総資産増加率を下回る年が続けば、在庫や設備への投資が売上に結びついていないサインです。

損益分岐点比率は、売上がどこまで落ちても赤字にならないかを示す指標です。公庫は「(営業経費+支払利息割引料)÷売上総利益×100」で計算し、90%の企業は売上が10%以上減ると利益を確保できなくなると説明しています。固定費と変動費の分け方や業種別の目安は損益分岐点比率の計算式と業種別の目安を解説した記事で扱っています。

同じ名前でも計算式が違う指標、中小企業庁と日本政策金融公庫の定義の比較

指標を業界平均と比べるとき、最も多い誤りは計算式の取り違えです。中小企業の平均値を公表している2つの統計は、同じ名前の指標でも分子や足し上げる項目が違います。

ROEの分子は当期純利益か経常利益か、設例では9.38%と13.75%に分かれる

中小企業庁の令和7年中小企業実態基本調査の調査の概況(令和6年度決算実績)は、ROEを「当期純利益÷純資産×100」で計算し、全産業の加重平均値を10.92%と公表しています。公庫は自己資本当期純利益率を出さず、「経常利益÷自己資本×100」の自己資本経常利益率を掲載しています。

後の章の設例(純資産1億6,000万円、経常利益2,200万円、当期純利益1,500万円)で計算すると、中小企業庁の式では9.38%、公庫の式では13.75%です。差の4.37ポイントは法人税等と特別損益の分で、経営の良し悪しとは関係ありません。

公庫の式の13.75%を中小企業庁の平均10.92%と並べると、平均を大きく上回ると誤読します。比べる相手の式で計算し直してください。

付加価値額は中小企業庁が経常利益を、公庫が税引前当期純利益を足し上げる

付加価値額の足し上げ方も、2つの統計で違います。

項目 中小企業庁(付加価値額) 公庫(粗付加価値額)
人件費 労務費と販管費の人件費 人件費
減価償却費 含む 含む
支払利息・割引料 含む 含む
賃借料 含む 含まない
租税公課 含む(販管費分) 含まない
利益の段階 経常利益 税引前当期純利益
能力開発費 含む 含まない

中小企業庁の定義は、調査の概況の注1に「売上原価のうち労務費、動産・不動産賃借料、減価償却費」と「販売費及び一般管理費のうち人件費、動産・不動産賃借料、減価償却費、租税公課」などを足すと書かれています。公庫は注記で、粗付加価値額を「人件費、減価償却費、支払利息割引料および税引前当期純利益額を合計した額」と定めています。

賃借料の大きい会社ほど差が開きます。店舗や事務所を借りている小売業・飲食業では、中小企業庁の式の付加価値額が公庫の式より大きく出て、労働分配率は低く見えます。

平均値・中央値・黒字企業の平均、公庫の統計で比べる値を選ぶ基準

公庫の小企業の経営指標調査は、業種ごとに平均値・中央値・「黒字かつ自己資本プラス企業」の平均値の3つを載せています。平均値は対象企業の指標値の単純平均です。中小企業庁の全産業加重平均値は、費目の合計額から計算した値で、作り方が違います。

3つの値の差は小さくありません。公庫が掲載ページの見方として示す食料品製造業の例では、自己資本比率の平均値がマイナス37.8%、中央値がマイナス5.8%、黒字かつ自己資本プラス企業の平均値が17.4%でした。債務超過の企業が平均を大きく引き下げています。

自社が黒字で純資産もプラスなら、比べる相手は黒字かつ自己資本プラス企業の平均値にすべきです。全体の平均値と比べると、実態より良く見えます。なお、公庫の調査は業種を隔年で入れ替えており、情報通信業や卸売・小売業などは2025年度調査(2026年8月公表)、建設業と製造業は2024年度調査(2025年8月公表)が最新です。

設例で30指標を計算、売上高5億円の製造業の決算書から求める手順と結果

ここからは架空の製造業A社の決算書で、30指標を実際に計算します。数値は説明用の設例で、特定の企業のものではありません。

設例の損益計算書と貸借対照表、計算に使う勘定科目と金額の一覧

A社は従業者40人、当期の売上高5億円、前期の売上高4億7,000万円の製造業です。主な数字は次のとおりです(単位は千円)。

損益計算書の項目 金額 貸借対照表の項目 金額
売上高 500,000 流動資産 220,000
売上総利益 125,000 うち現金預金・売掛金 150,000
販売費及び一般管理費 100,000 うち棚卸資産(期首52,000) 60,000
営業利益 25,000 固定資産(うち有形160,000) 180,000
支払利息 4,000 流動負債(うち買掛金40,000) 140,000
経常利益(前期20,000) 22,000 固定負債(長期借入金) 100,000
当期純利益 15,000 純資産 160,000
人件費+労務費 115,000 総資本(総資産) 400,000

減価償却費は製造原価と販管費の合計で15,000千円、短期借入金は60,000千円、原材料仕入高と外注費の合計は240,000千円、営業外収益は1,000千円です。税引前当期純利益は経常利益と同じ22,000千円としました。

設例の計算結果、5つの視点で見えた収益性の強みと借入金・在庫の課題

公庫の算出式を基本に計算した主な結果です。

視点 指標 A社の値
収益性 売上高経常利益率 4.4%
収益性 総資本経常利益率 5.5%
効率性 総資本回転率 1.25回
効率性 棚卸資産回転期間 1.34か月
安全性 流動比率 157.1%
安全性 当座比率 107.1%
安全性 自己資本比率 40.0%
安全性 借入金回転期間 3.84か月
生産性 労働生産性 3,900千円
生産性 労働分配率 73.7%
成長性 売上高増加率 6.38%
その他 損益分岐点比率 83.2%

労働生産性の分子の粗付加価値額は、人件費・労務費115,000千円、減価償却費15,000千円、支払利息4,000千円、税引前当期純利益22,000千円の合計156,000千円です。公庫の労働分配率が分子に人件費と労務費を合わせて置いているため、設例では人件費に製造原価の労務費も含めました。売上高経常利益率4.4%は中小企業庁の全産業平均4.44%とほぼ同じで、自己資本比率40.0%は平均44.93%をやや下回ります。

A社の課題は2つです。借入金が月商の3.84か月分あり、支払利息4,000千円が営業利益の16%を食っています。もう1つは在庫で、棚卸資産が期首52,000千円から期末60,000千円へ15%増え、売上の伸び6.38%を上回りました。収益性の数字だけを見ていると、この2点は見落とします。

指標を増やしすぎる失敗と、経営ダッシュボードで毎月追う指標の選び方

30指標を計算できても、毎月の経営判断で全部を追う必要はありません。年1回の分析と毎月の監視では、使う指標の数も計算方法も変える必要があります。

30指標を全部追う会社が判断を誤る理由と、毎月まず見る6つの指標

指標を増やすほど、毎月どれかは悪化します。30指標を並べた資料では悪化の説明に会議の時間が使われ、手を打つべき1つが埋もれます。総資本経常利益率と売上高経常利益率のように、同じ経常利益の動きを別の角度から見ているだけの指標も多いのが実情です。

毎月追う指標は、視点ごとに1つずつ、6つ程度で足ります。経済産業省のローカルベンチマーク(ロカベン)シートも、売上高増加率・営業利益率・労働生産性・EBITDA有利子負債倍率・営業運転資本回転期間・自己資本比率の6指標で財務面を診断する設計です。シートは2022年度版が最新で、6指標の計算式と評価の付け方はローカルベンチマークの6つの指標と使い方を紹介した記事にまとめています。

残りの指標を使うのは、6指標のどれかが悪化したときに、その原因を探るためです。営業運転資本回転期間が延びたら、売上債権・棚卸資産・仕入債務の3つの回転期間に分けて、どの勘定科目が動いたかを確かめます。毎月の画面に置く指標の決め方は経営ダッシュボードの指標の決め方と構築方式を解説した記事で扱っています。

月次で出すと値が12分の1になる指標、直近12か月累計で年換算する方法

月次の試算表で指標を出すときは、損益計算書の数字が1か月分しかないことに注意が要ります。A社の単月の経常利益が1,800千円なら、総資本経常利益率は0.45%と計算され、年間の5.5%と比べられません。

対策は、直近12か月の累計で計算することです。当月を含む過去12か月の損益を足し、その月末の貸借対照表と組み合わせます。毎月1か月分ずつ入れ替わるため、季節変動をならした年換算の値が毎月得られます。

  • 利益率や回転率など損益と残高を組み合わせる指標:直近12か月累計の損益で計算する
  • 回転期間の分母の月商:直近12か月の売上高÷12とし、単月の売上高は使わない
  • 流動比率や自己資本比率など残高だけの指標:月末残高でそのまま計算する
  • 成長性の指標:直近12か月累計を、1年前の同じ12か月累計と比べる

回転期間の分母を単月の売上高にすると、繁忙月には回転期間が短く、閑散月には長く出ます。売掛金の残高は動いていないのに指標だけが上下するため、回収の遅れを見分けられなくなります。

表計算で足りる段階と、会計データからBIで自動算出すべき条件

単一の法人で、毎月の経営会議に6指標を出すだけなら、会計ソフトから試算表を出力して表計算で計算すれば足ります。仕組みを作るより先に、指標の定義を1枚の表に書き出すのが先です。定義を固めたあとに使う市販ソフトの選び方は、財務分析ソフトの4種類と自社構築の判断を解説した記事で比較しています。

定義する項目 A社での決め方の例
計算式の出典 公庫の算出式に合わせる
分子と分母の勘定科目 当座資産は現預金と売掛金
損益の期間 直近12か月の累計
残高の時点 月末残高
消費税の扱い 税抜の売上高を使う

次の条件のどれかに当てはまったら、表計算をやめて会計データから指標を自動算出する仕組みに移す段階です。部門別・拠点別・製品別に指標を出す必要がある、毎月の集計に半日以上かかっている、子会社を含めた連結の数字で見たい、の3つです。この段階で表計算を続けると、勘定科目の割り当てや計算式が担当者ごとにずれ、先に書いた定義の統一が崩れます。

会計データを取り込み、定義どおりに指標を計算してダッシュボードで毎月見られるようにする構築は、一創のBIツール導入支援で相談を受け付けています。逆に、指標を絞り込めていない段階でBIを入れるのは過剰で、誰も見ない画面が増えるだけです。

よくある質問

財務分析の指標について、よく寄せられる質問をまとめました。

財務分析の指標で最初に覚えるべきものはどれですか?

売上高経常利益率と自己資本比率の2つから始めるのが近道です。売上高経常利益率は本業と金利負担を含めた稼ぐ力を、自己資本比率は借入に頼りすぎていないかを示し、中小企業庁の中小企業実態基本調査でも全産業平均(令和6年度決算で4.44%と44.93%)が公表されています。次に流動比率・総資本回転率・労働生産性・売上高増加率を加えれば、5つの視点がそろう形です。

財務分析の指標の目安や業界平均はどこで調べられますか?

無料の公的統計では、中小企業庁の中小企業実態基本調査が6指標を産業大分類別に、日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査が従業者50人未満の企業について30前後の指標を細かい業種別に公表しています。どちらも計算式が公表されているので、自社の値はその式に合わせて計算してください。

ROEとROAはどちらを重視すべきですか?

中小企業ではROAを先に見るのが妥当です。ROEは財務レバレッジを高めると上がるため、借入を増やして自己資本比率が下がった結果、ROEが改善して見えることがあります。ROAは借入も含めた資産全体に対する利益なので、資金の調達方法に左右されにくい指標です。株主への説明が必要な会社や、出資を受けている会社では、ROEも併せて確認します。

赤字の会社でも財務分析の指標は使えますか?

使えますが、読み方に注意が要ります。利益がマイナスだと利益率もマイナスになり、純資産がマイナスの債務超過ではROEの符号が逆転して意味を失うからです。公庫の調査も、分母がゼロやマイナスの企業を一部の指標の集計から除いています。赤字の年は、損益分岐点比率で売上をあと何%増やせば黒字になるかを見ると、打ち手につながります。

財務分析の指標はエクセルで計算できますか?

できます。会計ソフトから貸借対照表と損益計算書を出力し、指標ごとに割り算の式を入れれば計算は可能です。経済産業省のローカルベンチマークシートもExcel形式で配布されています。部門別に出したい場合や毎月の更新に時間がかかる場合は、会計データから自動で集計する仕組みを検討する段階です。

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