会計

社会福祉法人の財務諸表とは?資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表の読み方と3表のつながり、作成から公表まで【2026年版】

社会福祉法人の財務諸表とは?資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表の読み方と3表のつながり、作成から公表まで【2026年版】

社会福祉法人の財務諸表は、法令上は「計算書類」と呼ばれ、資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表の3つで構成されます。株式会社の決算書と似た名前の書類もありますが、支払資金という独自の資金概念や、補助金で建てた施設の減価償却を打ち消す科目があり、企業会計の感覚のまま読むと黒字・赤字の判断を誤りかねません。本記事では社会福祉法人会計基準の条文に沿って、各計算書の区分と差額の意味、3表をつなぐ残高、設例で見る資金と損益のずれ、毎年6月30日までの届出と公表の流れ、会計システムで作るべき法人の条件までを整理します。

企業会計の財務諸表全体(損益計算書・キャッシュフロー計算書を含む4つの計算書)の基本は財務諸表とは?4つの計算書の種類と財務三表のつながりで解説しています。本記事はその社会福祉法人版にあたります。

まとめ:社会福祉法人の財務諸表を読む順番と3表をつなぐ2つの残高

社会福祉法人の財務諸表は、資金収支計算書で支払資金の増減を、事業活動計算書で純資産の増減を、貸借対照表で年度末の資産・負債・純資産を示します。読む順番は、サービス活動増減差額で本業の採算、事業活動資金収支差額で資金の裏付け、貸借対照表で積立金と借入金の残高、の流れが実務的です。

3表は2つの残高でつながっています。当期末支払資金残高は貸借対照表の流動資産と流動負債の差(一部科目を除く)と、次期繰越活動増減差額は純資産の同名の区分と一致するのが正しい姿です。この2点が合わない計算書類は、どこかで集計を誤っています。

作成と所轄庁への届出の期限は6月30日。監事監査・理事会承認・定時評議員会承認を経て届け出た計算書類は、財務諸表等電子開示システムで公表されます。予算対比と内部取引の相殺を毎年手で組み直している複数拠点の法人は、会計システムで区分別の計算書類を出す段階にあります。

社会福祉法人の財務諸表を構成する計算書類と会計基準省令が定める作成範囲

社会福祉法人の会計は、社会福祉法第45条の23が委任する厚生労働省令、すなわち社会福祉法人会計基準(平成28年厚生労働省令第79号)に従います。会社法の計算書類とは根拠法も様式も別体系です。

貸借対照表と収支計算書2種を計算書類と呼ぶ会計基準第一条の定義と範囲

社会福祉法人会計基準第1条は、計算書類を「貸借対照表及び収支計算書」と定義しています。収支計算書の中身は第7条の2で資金収支計算書と事業活動計算書の2つと定められているため、計算書類は実質3種類の計算書の集合です。一般に「社会福祉法人の財務諸表」と呼ばれるのはこの3つを指し、電子開示システムの名称にも「財務諸表等」という語が使われています。

計算書類とは別に、附属明細書と財産目録の作成も第1条で義務づけられています。財産目録の金額は貸借対照表と同一です(第33条)。

法人単位と拠点区分で作り分ける理由と事業区分・サービス区分の位置づけ

第10条は、計算書類の作成にあたり事業区分と拠点区分を設けること、拠点区分の中にサービス区分を設けることを義務づけています。事業区分は社会福祉事業・公益事業・収益事業の3つで、拠点区分は特別養護老人ホームや保育所といった施設・事業所の単位で設けるのが一般的です。

この区分があるため、3つの計算書はそれぞれ「法人単位」「内訳表」「事業区分内訳表」「拠点区分」の4段階で作られます。省略規定による作成種類の判定表と附属明細書19本の作成単位は社会福祉法人の会計ソフト選定|区分設計と請求・給与連携から決める判断軸で整理しています。読む側として押さえたいのは、法人単位の数字が拠点間の繰入金や貸付金を相殺消去した後の値だという点です(第11条)。拠点区分の計算書を単純に足しても法人単位とは一致しません。

資金収支計算書の3区分と支払資金の範囲で読む社会福祉法人のお金の動き

資金収支計算書は、当該会計年度の「全ての支払資金の増加及び減少の状況」を表示する書類です(第12条)。企業会計のキャッシュフロー計算書に近い位置にありますが、対象となる資金の範囲が違います。

事業活動・施設整備等・その他の活動に分かれる収支と3つの差額の意味

第15条は資金収支計算書を3つの収支に区分し、第16条がそれぞれの中身と差額の名称を定めています。

区分 主な中身 差額の名称
事業活動による収支 介護保険収入・人件費支出など 事業活動資金収支差額
施設整備等による収支 固定資産取得・設備借入の返済 施設整備等資金収支差額
その他の活動による収支 長期運営資金の借入・積立資産 その他の活動資金収支差額

3つの差額の合計が当期資金収支差額合計で、これに前期末支払資金残高を足したものが当期末支払資金残高です。最初に見るのは事業活動資金収支差額。ここがマイナスなら、日々の運営そのもので資金が減っています。施設整備等資金収支差額は建替えや大規模修繕の年に大きくマイナスになるのが普通で、単年の値より、補助金収入と借入金収入で賄えているかを見ます。

未収金を含み引当金を除く支払資金の定義と企業のキャッシュフロー計算書の差

第13条は、支払資金を「流動資産及び流動負債」とし、その差額を支払資金残高と定めています。ただし1年以内に期限が来るため固定から振り替えた債権・債務、引当金、貯蔵品以外の棚卸資産は除かれます。現金預金だけでなく事業未収金や事業未払金も支払資金に入る点が、現金同等物だけを扱う企業のキャッシュフロー計算書との最大の違いです。

実務への影響ははっきりしています。介護報酬はサービス提供月の翌月に国保連へ請求し、入金はさらにその翌月になりますが、3月分の報酬が未収のままでも資金収支計算書上は収入として計上されます。資金収支計算書が黒字でも、預金残高が薄い時期はありうるということです。月末の資金繰りまで見たいなら、支払資金残高の内訳から現金預金だけを抜き出して確認します。

法人単位と拠点区分の資金収支計算書だけに求められる予算額との対比欄

第16条第5項は、法人単位資金収支計算書と拠点区分資金収支計算書に、決算額を予算額と対比して記載するよう求めています。第6項により、決算と予算に著しい差異がある勘定科目は備考欄に理由を書きます。3つの計算書のうち予算対比の欄を持つのは資金収支計算書だけです。

このため資金収支計算書は、期首に理事会で承認した予算がどれだけ守られたかの報告書という性格も持ちます。予算は事業計画とセットで組まれるので、社会福祉法人の事業計画書の書き方と予算・理事会承認の流れで決めた収支見込みが、ここで決算額と突き合わされるわけです。

事業活動計算書の4つの部と国庫補助金等特別積立金取崩額の読み方のコツ

事業活動計算書は「全ての純資産の増減の内容」を表示する書類で(第19条)、企業会計の損益計算書にあたります。減価償却費や引当金繰入のように資金の出入りを伴わない費用も載ります。

サービス活動増減差額から次期繰越活動増減差額までの段階利益の構造

第21条は事業活動計算書を「サービス活動増減の部」「サービス活動外増減の部」「特別増減の部」「繰越活動増減差額の部」の4つに分けています。第22条に沿って差額を並べると、次の順に積み上がります。

  1. サービス活動増減差額:介護・保育などの本業の収益から費用を引いた額
  2. 経常増減差額:1に受取利息や支払利息などの経常的な収益・費用を加減した額
  3. 当期活動増減差額:2に寄附金・施設整備補助金の収益や固定資産売却損益などの特別増減差額を加えた額
  4. 次期繰越活動増減差額:3に前期繰越活動増減差額を足し、積立金の積立て・取崩しなどを加減した額

企業の営業利益・経常利益・当期純利益と対応させると理解が早くなります。本業の採算はサービス活動増減差額、借入金の利息負担まで含めた実力は経常増減差額で見ます。当期活動増減差額は、施設整備の補助金を受けた年に一時的に膨らむため、単年の比較には使いにくい値です。

減価償却費を打ち消す国庫補助金等特別積立金取崩額が黒字幅に与える影響

社会福祉法人の事業活動計算書で最も誤読されやすいのが、サービス活動費用の欄に控除項目として入る「国庫補助金等特別積立金取崩額」です。国や自治体の補助金で建てた施設は、補助金相当額を純資産の国庫補助金等特別積立金に積み、減価償却に合わせて毎年取り崩します(第6条第2項、第22条第1項)。

取崩額は減価償却費を打ち消す方向に働くので、補助金比率の高い施設ほど減価償却費の負担が小さく見えます。たとえば年間の減価償却費が3,000万円、取崩額が1,200万円なら、費用として効いているのは差し引き1,800万円だけです。建替え時期が近い法人を評価するときは、取崩額を除いた減価償却費の総額で採算を見直すと、自己資金で施設を更新できる体力があるかどうかが分かります。

貸借対照表の純資産4区分と支払資金残高から見る社会福祉法人の財政状態

貸借対照表は会計年度末時点の資産・負債・純資産の状態を表示します(第25条)。資産と負債をそれぞれ流動と固定に分ける点は企業と同じで、違いが出るのは純資産の部です。

基本金・国庫補助金等特別積立金・その他の積立金・次期繰越活動増減差額

第26条第2項は純資産の部を4つに区分しています。株式会社の資本金や利益剰余金とは性格が異なるため、意味を対応させて読みます。

区分 計上する額 読み方
基本金 事業開始時等の寄附金 原則として取り崩さない元手
国庫補助金等特別積立金 施設整備の補助金 減価償却に合わせて減る
その他の積立金 理事会議決による積立て 建替えや修繕への備え
次期繰越活動増減差額 事業活動計算書の累積 自由度の高い蓄え

その他の積立金は、理事会の議決に基づいて次期繰越活動増減差額から積み立てる額です(第6条第3項)。積立金に見合う預金を「積立資産」として資産側に別建てで持つ運用が一般的で、積立金の額に対して積立資産が大きく不足していれば、計画どおりの施設更新は難しいと判断できます。

流動資産と流動負債の差から支払資金残高を再計算して資金収支計算書と照合

3表の整合を確かめる手順は単純です。貸借対照表の流動資産から、1年以内に回収期限が来るため固定資産から振り替えた債権と、貯蔵品を除く棚卸資産を差し引きます。流動負債からは、1年以内返済予定の設備資金借入金などの振替分と引当金を差し引きます。両者の差が、資金収支計算書の当期末支払資金残高と一致するはずです。

もう1つは純資産です。事業活動計算書の末尾にある次期繰越活動増減差額が、貸借対照表の純資産の部の同名の行と一致するかを見ます。この2か所の一致は、手集計で計算書類を作っている法人ほど崩れやすい箇所です。外部の計算書類を読むときも、最初にこの2点を確かめておくと、以降の分析を誤った数字の上に積まずに済みます。

設例で追う資金収支計算書と事業活動計算書の差額が生まれる3つの原因

2つの収支計算書の差は、言葉で説明されるより数字で追ったほうが早く掴めます。以下は説明用に単純化した架空の数値です。

黒字4,200万円でも支払資金の増加が1,100万円にとどまる特養の設例

特別養護老人ホームを1拠点で運営する法人を想定します。年間の介護保険事業収益が5億円、人件費が3億2,000万円(うち賞与引当金繰入400万円)、事業費・事務費が1億2,000万円、減価償却費が3,000万円、国庫補助金等特別積立金取崩額が1,200万円。この年に設備を2,500万円で購入し、設備資金借入金を1,800万円返済し、修繕のための積立資産に1,000万円を積み立てたとします。

項目(単位:万円) 事業活動計算書 資金収支計算書
介護保険事業収益・収入 50,000 50,000
人件費・人件費支出 △32,000 △31,600
事業費・事務費 △12,000 △12,000
減価償却費 △3,000 計上なし
国庫補助金等特別積立金取崩額 1,200 計上なし
本業の差額 4,200 6,400
固定資産取得・借入金返済 計上なし △4,300
積立資産への積立て 計上なし △1,000
年間の増加額 4,200 1,100

表中の「本業の差額」はサービス活動増減差額と事業活動資金収支差額、「年間の増加額」は当期資金収支差額合計です。本業では事業活動計算書の4,200万円より資金収支計算書の6,400万円のほうが大きいのに、設備投資・借入金返済・積立てを差し引くと支払資金の増加は1,100万円にとどまります。

減価償却費・引当金繰入・設備投資と借入金返済で差額を説明する順番

差額の説明は、本業の部分と本業の外の部分に分けると理事会でも伝わりやすくなります。本業の部分の差2,200万円(6,400万円-4,200万円)は、資金の出ない費用で説明が付きます。減価償却費3,000万円から国庫補助金等特別積立金取崩額1,200万円を引いた1,800万円と、支払資金の範囲から外れる賞与引当金繰入400万円の合計です。

本業の外では、事業活動計算書に一切出てこない固定資産の取得と借入金元金の返済が、資金収支計算書の施設整備等による収支で4,300万円の減少として現れます。黒字なのに預金が増えない、という理事の疑問の大半はこの2段階で説明できます。逆に、この順で分解しても説明できない差が残る場合は、区分間の繰入金の相殺漏れや、固定資産と経費の振り分け誤りを疑う合図です。

毎会計年度終了後3月以内の作成から財務諸表等電子開示システムでの公表まで

社会福祉法人の会計年度は4月1日に始まり翌年3月31日に終わると社会福祉法第45条の23第2項が定めています。決算日が全法人で同じなので、届出期限も全国一律で6月30日になります。

監事監査・理事会承認・定時評議員会承認・6月30日届出までの法定スケジュール

社会福祉法が定める手続きを順に並べると、次のとおりです。

  1. 計算書類・事業報告・附属明細書を会計年度終了後3か月以内に作成(第45条の27第2項)
  2. 監事の監査を受ける。会計監査人設置法人は計算書類について会計監査人の監査も受ける(第45条の28第1項・第2項)
  3. 監査を受けた計算書類等について理事会の承認を受ける(第45条の28第3項)
  4. 定時評議員会の日の2週間前から計算書類等を主たる事務所に5年間備え置く(第45条の32第1項)
  5. 定時評議員会で計算書類の承認を受ける(第45条の30第2項)
  6. 計算書類等と財産目録等を会計年度終了後3か月以内に所轄庁へ届け出る(第59条)

6月30日の届出から逆算すると、定時評議員会は6月中、理事会の承認はその2週間以上前に済ませる必要があります。監事監査はさらに前に置くため、決算の締めが5月にずれ込むと全工程が圧迫されます。計算書類と附属明細書の保存期間は作成から10年間です(第45条の27第4項)。

収益30億円超または負債60億円超で会計監査人が必要になる特定社会福祉法人

社会福祉法第37条は、事業規模が政令の基準を超える「特定社会福祉法人」に会計監査人の設置を義務づけています。社会福祉法施行令第13条の3が定める基準は、最終会計年度の経常的な収益の額が30億円を超えること、または貸借対照表の負債の部の合計額が60億円を超えることのいずれかです。

会計監査人設置法人では、計算書類が法令と定款に従って正しく表示されている要件を満たす場合、定時評議員会では承認ではなく報告で足ります(第45条の31)。収益が30億円に近づいてきた法人は、仕訳から計算書類までを辿れる帳簿の仕組みを先に整えておくと、初年度の監査工数を抑えられます。

電子開示システムで他法人の計算書類を取り出して比較するときの注意点

所轄庁に届け出た計算書類は、独立行政法人福祉医療機構が運営する社会福祉法人の現況報告書等情報検索で公表されます。公表対象は現況報告書・計算書類・社会福祉充実計画で、届出から7〜10日程度で掲載されるとWAM NETは案内しています。同業法人と自法人を比べる材料になる公開データです。

比べるときは、法人単位の数字だけで並べないことです。特養中心の法人と保育所中心の法人では人件費率も施設の償却負担も違うため、拠点区分の計算書で同じ種別の施設どうしを比べます。サービス活動増減差額をサービス活動収益で割った比率を見るなら、国庫補助金等特別積立金取崩額を除いた値も並べると、補助金の多寡による見かけの差を外せます。

表計算で回る法人と会計システムで財務諸表を作るべき法人を分ける判断基準

社会福祉法人の計算書類は、様式が省令で決まっている分、どこまで自動で出せるかが作成工数を直接左右します。ここでは規模と症状で線を引きます。

拠点1か所で予算対比と内部取引が少ない法人で表計算の集計が成り立つ条件

表計算での集計が成り立つのは、拠点区分が1つで内訳表を省略でき、区分間の繰入金や貸付金がほぼ発生せず、予算の補正が年1回程度の法人です。この条件なら作る計算書は法人単位と拠点区分の各3表で、拠点区分の注記も第29条第4項ただし書により省略できます。仕訳は市販の会計ソフトで入力し、計算書類への組み替えだけを表計算で行う運用でも、決算期の負荷は1〜2人で吸収できる範囲です。

この規模でスクラッチの会計システムを作るのは過剰で、会計基準対応の市販パッケージで足ります。典型的な失敗は、組み替えシートを担当者1人しか保守できず、異動した年に計算書類の整合が崩れる例です。

拠点が増えた法人で手集計をやめるべき症状と会計システム化の範囲

次のどれかが起きているなら、計算書類の作成を手集計から切り離す時期です。

  • 拠点区分間・サービス区分間の繰入金を相殺する作業が毎年手作業で、法人単位の数字が締め直しのたびに動く
  • 拠点ごとの予算対比と備考欄の理由記載を、各拠点からの表計算ファイルを集めて手で転記している
  • 当期末支払資金残高と貸借対照表の流動資産・流動負債の差が一致せず、毎年同じ調整に数日を使っている
  • 共通費の配賦基準を変えた年に、拠点区分の計算書をすべて作り直している

この段階では、市販パッケージを中心に据えたうえで、請求・給与システムからの取り込みや区分別の予算実績管理など、パッケージ標準で届かない部分だけを追加開発する構成が費用対効果の面で妥当です。会計基準の様式に沿った出力と、仕訳から計算書類までの追跡を前提にした設計は会計・経理システム開発で相談を受けています。パッケージ選定の観点そのものは社会福祉法人の会計ソフト選定の記事で、配賦や請求連携の比較軸として掘り下げています。

社会福祉法人の財務諸表についてよくある質問と決算・届出実務での判断の目安

社会福祉法人の財務諸表を読む側・作る側から寄せられやすい質問に、会計基準と社会福祉法の条文に沿って回答します。

社会福祉法人の財務諸表はどこで閲覧できますか?

福祉医療機構が運営するWAM NETの「社会福祉法人の現況報告書等情報検索」で、全国の法人の計算書類と現況報告書を閲覧できます。都道府県の地図や住所で絞り込んで法人を探す仕組みです。加えて社会福祉法第45条の32第4項により、主たる事務所に備え置かれた計算書類等は誰でも業務時間内に閲覧を請求でき、法人は正当な理由なく拒めません。

資金収支計算書とキャッシュフロー計算書は同じものですか?

同じではありません。キャッシュフロー計算書が現金及び現金同等物の増減を示すのに対し、資金収支計算書は事業未収金や事業未払金も含む支払資金の増減を示します(会計基準第13条)。介護報酬の未収分も収入に入るため、預金残高の推移とは一致しません。法人単位と拠点区分に予算額との対比欄がある点も、キャッシュフロー計算書にない特徴です。

事業活動計算書が赤字なら資金も不足しているということですか?

必ずしもそうではありません。事業活動計算書には減価償却費や引当金繰入など資金の出ない費用が入るため、償却負担の大きい新築直後の施設では、事業活動計算書が赤字でも事業活動資金収支差額はプラスということが起こります。逆に事業活動計算書が黒字でも、設備投資や借入金返済で支払資金が減る年もあります。判断には資金収支計算書の事業活動資金収支差額と当期末支払資金残高を併せて見てください。企業の財務諸表を横断して読む順番は財務諸表の読み方でも解説しています。

拠点が1つしかない法人も内訳表を作る必要がありますか?

作成を省略できます。社会福祉法人会計基準第7条の2第2項は、拠点区分の数が1である場合、貸借対照表内訳表・事業区分貸借対照表内訳表と、資金収支計算書・事業活動計算書の各内訳表と事業区分内訳表を省略できると定めています。この場合に作るのは、法人単位と拠点区分の3表ずつです。拠点を増やす予定があるなら、増設年度から内訳表が必要になる点を決算日程に織り込んでおきます。

財務諸表の金額を千円単位で作成してもよいですか?

認められていません。社会福祉法人会計基準第2条の3は、計算関係書類と財産目録に記載する金額を一円単位で表示すると定めています。百万円単位や千円単位での表示が認められている株式会社の計算書類や上場会社の財務諸表とは、この点が異なります。企業向けの会計ソフトや集計シートを流用して千円丸めで出力した計算書類は、届出用には使えません。

関連記事

お気に入りに入れた記事の一覧

この記事は以下の記事からリンクされています

資料請求

今日のトレンド記事 直近 24 時間で、いつもより多く読まれている記事

  1. 2026.10.07 テックブログ ファインズの不正アクセスと153万件の予約者情報|予約システムを使う店舗の報告と通知の手順
  2. 2026.10.19 テックブログ コミックシーモア不正アクセスで会員情報流出:再開時期・パスワード再設定と運営側のログ点検
  3. 2026.10.16 テックブログ バーガーキング情報漏洩どうしたらいい?約1,118万件の対象確認・補償・退会とメールの真偽
  4. 2026.10.15 テックブログ 銀のさら不正アクセス:最大650万件の対象確認と窓口、パスワード変更・退会の手順
  5. 2026.10.14 テックブログ ブックオフ不正アクセス:約638万人の対象確認と本物メールの見分け方

RELATED POSTS 関連記事

目次