預り金とは、会社が従業員や取引先から一時的に預かり、後で税務署・市区町村・年金事務所などへ納めるか本人へ返すお金を記録する勘定科目です。給与から天引きした源泉所得税・住民税・社会保険料と、税理士や弁護士への報酬から差し引いた源泉所得税が代表例にあたります。この記事では、預り金が負債になる理由、立替金・仮受金との違い、月給30万円の給与天引きから納付までの仕訳例を整理しました。後半では、3種類の納付期限と納期の特例、預り金の残高がマイナスになる原因と月末の照合手順、決算で残った残高の内訳書、給与計算と会計をつないで照合の手間をなくす判断までを扱います。
まとめ:預り金は納付まで預かる負債、補助科目ごとに毎月ゼロへ戻るかを見る
預り金は、会社のお金ではなく他人に納めるべきお金を一時的に持っている状態なので、負債の勘定科目で記録します。給与の支払いで貸方に計上し、税務署や市区町村、年金事務所へ納めた時点で借方に立てて取り崩します。
実務で押さえることは2つです。1つは、源泉所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料を補助科目で分け、それぞれの納付期限で残高がゼロに戻るかを毎月確かめること。もう1つは、源泉所得税と住民税を翌月10日、社会保険料を翌月末日という期限に遅れずに納めることです。源泉所得税の納付が遅れると、原則10%の不納付加算税がかかります。
従業員が30人程度までなら、給与ソフトの仕訳データを会計ソフトに取り込み、月末に補助科目ごとの残高を照合する運用で回ります。拠点ごとに給与を締めている会社や、照合のずれを毎月探している会社は、給与計算と会計の仕訳連携を仕組みで固めたほうが手間は減ります。
預り金の意味と勘定科目、従業員や取引先から一時的に預かるお金の扱い
預り金は「納める先が決まっているお金を、納めるまで手元に置いている」状態の記録です。どんな場面で発生し、帳簿でどう扱うかを先に押さえます。
預り金とは納付・返還までの一時保管、給与天引きと報酬の源泉徴収が典型
預り金が最も多く発生するのは給与の支払いです。会社は給与から源泉所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を差し引き、残りを従業員に振り込みます。差し引いた金額は、税務署や市区町村などへ納めるまで会社の口座に残ります。この「預かっているだけのお金」を記録するのが預り金です。
給与以外では、税理士・弁護士・デザイナーなど個人への報酬から差し引く源泉所得税、社員から集める社員旅行の積立金や財形貯蓄の天引き分、取引先から受け取る入札保証金なども預り金で処理します。共通するのは、受け取ったお金をいずれ別の誰かへ渡す義務があり、会社の収益にはならないことです。
預り金は流動負債、源泉所得税・住民税・社会保険料を補助科目で分ける理由
預り金は負債の勘定科目です。増えたら貸方、納付や返還で減ったら借方に記録します。給与の預り金は翌月10日や翌月末日に納付するため、決算書での表示先は、1年以内に支払う流動負債の区分です。帳簿の勘定科目と決算書の表示科目の関係は、勘定科目の5分類と補助科目・表示科目の違いを整理した記事で詳しく扱っています。
預り金は補助科目で分けておくべき科目の代表です。源泉所得税と住民税は翌月10日、社会保険料は翌月末日と納付先も期限も異なるので、1本の預り金にまとめると、どの納付が済んでいないのかを残高から読み取れません。補助科目は「源泉所得税」「住民税」「社会保険料」「雇用保険料」の4つを最低限とし、報酬の源泉徴収がある会社は「報酬源泉」を分けると、後述の納期の特例や照合で迷わなくなります。
立替金・仮受金・前受金・預り保証金との違い、お金の向きと返す相手で分ける
預り金と取り違えやすい科目は4つあります。違いは「お金を受け取ったのか払ったのか」と「最後に誰へ渡すのか」で見分けます。
| 勘定科目 | 区分 | お金の向き | 最後の行き先 | 典型例 |
|---|---|---|---|---|
| 預り金 | 負債 | 受け取った | 税務署・市区町村・本人など第三者 | 給与から天引きした住民税 |
| 立替金 | 資産 | 先に払った | 相手から回収する | 社員の私的な費用を会社が一時負担 |
| 仮受金 | 負債 | 受け取った | 内容が分かり次第、売掛金などへ振替 | 取引先名の分からない入金 |
| 前受金 | 負債 | 受け取った | 商品やサービスの提供で売上へ振替 | 受注時に受け取った手付金 |
| 預り保証金 | 負債 | 受け取った | 契約終了時に預けた本人へ返す | テナントから受け取った敷金 |
実務で迷うのは立替金です。預り金は受け取ったお金を後で納めるのに対し、立替金は会社が先に払ったお金を後で回収します。お金が動く順序が逆です。立替金と似た仮払金の扱いは仮払金の仕訳と立替金・前払金との違いを整理した記事で比べています。預り保証金は契約期間が1年を超えることが多いため、返還時期によって固定負債に表示する点も、給与の預り金と異なります。
預り金の仕訳例、月給30万円の給与天引きから納付まで4つの場面
ここでは、11月25日に月給30万円の社員1人へ給与を普通預金から振り込んだ例で仕訳を示します。控除額は仕訳の流れを示すための仮の値です。
給与支給時の仕訳、社会保険料・雇用保険料・源泉所得税・住民税を預かる
総支給30万円から、健康保険料14,970円、厚生年金保険料27,450円、雇用保険料1,500円、源泉所得税6,000円、住民税12,000円の合計61,920円を差し引き、238,080円を振り込みました。仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料手当 | 300,000 | 普通預金 | 238,080 |
| 預り金(社会保険料) | 42,420 | ||
| 預り金(雇用保険料) | 1,500 | ||
| 預り金(源泉所得税) | 6,000 | ||
| 預り金(住民税) | 12,000 |
借方の給料手当として計上するのは、控除前の総支給額です。手取り額で計上すると、預り金が帳簿に出てこないうえ、源泉徴収簿や法定調書の支払金額と会計の人件費が一致しなくなります。控除額そのものの計算方法は、給与・賞与・報酬の源泉所得税の計算式をまとめた記事で扱っています。
源泉所得税と住民税の納付時の仕訳、翌月10日に預り金を取り崩す
11月分の給与から預かった源泉所得税6,000円と住民税12,000円は、12月10日までに納めます。納付書や電子納税で普通預金から払ったら、借方に預り金(源泉所得税)6,000円と預り金(住民税)12,000円、貸方に普通預金18,000円を立てます。
源泉所得税は税務署へ、住民税は従業員が1月1日に住んでいた市区町村へと、納め先が違います。社員が複数の市区町村に住んでいれば、住民税は市区町村ごとに納付書が分かれます。補助科目の残高が12,000円減ったか、市区町村別の納付額の合計と一致するかを確かめてから月を締めてください。
社会保険料の納付時の仕訳、前月分を控除し会社負担分は法定福利費で計上
健康保険料と厚生年金保険料は、控除する月と納める月の対応に注意が要ります。日本年金機構の厚生年金保険料等の納付の案内は、当月に支払う給料から前月の標準報酬月額にかかる保険料を差し引くことができ、納付期限は納付対象月の翌月末日と説明しています。11月25日の給与から差し引いた42,420円は10月分の保険料で、11月30日に口座振替で納める分に対応する金額です。
口座から引き落とされるのは、従業員負担分と会社負担分の合計です。会社負担分を42,420円とすると、借方に預り金(社会保険料)42,420円と法定福利費42,420円、貸方に普通預金84,840円を立てます。よくある誤りは、引落額の全額を預り金で落とすことです。この処理では預り金が会社負担分だけマイナスになり、法定福利費も計上されません。折半した保険料の端数処理によって従業員分と会社分が1円ずれることもあるので、法定福利費は引落額から預り金を差し引いた差額で計上するのが確実です。保険料の計算と端数処理は標準報酬月額と料率から社会保険料を計算する記事で解説しています。
税理士報酬の源泉徴収の仕訳、税抜10万円の報酬から1万210円を預かる
個人の税理士や弁護士に報酬を払うときも、差し引いた源泉所得税の記録先は預り金です。国税庁のNo.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金では、1回の支払金額が100万円以下なら10.21%、100万円を超える部分は20.42%で計算すると定められています。請求書で報酬額と消費税等の額が区分されていれば、報酬額だけを源泉徴収の対象にできます。
税抜10万円・消費税1万円の請求なら、源泉所得税は10万円×10.21%=10,210円です。仕訳は、借方に支払報酬100,000円と仮払消費税等10,000円、貸方に預り金(報酬源泉)10,210円と普通預金99,790円になります。法人に払う報酬は原則として源泉徴収の対象外なので、相手が個人か法人かを取引先マスタで持っておくと、源泉徴収の漏れを防げます。
預り金の納付期限と納期の特例、源泉所得税・住民税・社会保険料の期限一覧
預り金の残高が正しくても、納付が遅れればペナルティがかかります。3種類の期限と、小規模な会社が使える納期の特例を整理します。
源泉所得税は翌月10日、常時10人未満なら7月10日と1月20日の年2回で納付
国税庁のNo.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例によると、源泉所得税は給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納めます。給与の支給人員が常時10人未満の会社は、税務署に申請して納期の特例を受けると、1月から6月分を7月10日、7月から12月分を翌年1月20日の年2回にまとめて納付できます。
| 預り金の補助科目 | 原則の期限 | 納期の特例 | 納め先 |
|---|---|---|---|
| 源泉所得税(給与) | 支払月の翌月10日 | 7月10日・翌年1月20日 | 税務署 |
| 住民税 | 徴収月の翌月10日 | 12月10日・6月10日 | 市区町村 |
| 社会保険料 | 納付対象月の翌月末日 | なし | 年金事務所(口座振替) |
納期の特例の対象は、給与・退職手当と、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬から差し引いた源泉所得税に限られます。デザイン料や原稿料の源泉所得税は対象外で、納付期限は翌月10日です。特例を使う会社ほど預り金が最長6か月分たまるので、補助科目で「報酬源泉」を分けておく理由がここにあります。
住民税の特別徴収は6月から翌年5月の12回、税額が切り替わる6月の確認
給与から天引きする住民税(特別徴収)は、市区町村から届く税額決定通知書に従い、6月から翌年5月までの12回に分けて控除します。地方税法第321条の5は、徴収した月の翌月10日までに納入するという定めです。給与の支払いを受ける人が常時10人未満の事業所は、市区町村の承認を受ければ、第321条の5の2の納期の特例により、6月から11月分を12月10日、12月から翌年5月分を翌年6月10日に納められます。
住民税は6月に年度の税額が切り替わります。1回目の6月は端数を含めて2回目以降より金額が大きいことが多く、給与ソフトの控除額を更新し忘れると、預り金の残高と納付書の金額がずれます。6月の給与を確定する前に、全員分の新しい月額が給与ソフトに入っているかを通知書と突き合わせてください。
納付が遅れたときの不納付加算税10%、預り金の残高で納付漏れに気づく方法
源泉所得税を法定納期限までに納めないと、国税通則法第67条により、原則として納付すべき税額の10%の不納付加算税がかかります。税務署から納税の告知を受ける前に自主的に納めた場合は5%に軽減され、法定納期限から1か月以内で一定の要件を満たせば課されません。これとは別に、遅れた日数に応じた延滞税もかかります。
納付漏れに最も早く気づけるのは、預り金の補助科目の残高です。納期の特例を使っていない会社なら、毎月11日時点の預り金(源泉所得税)の残高は、その月に支払った給与の源泉所得税だけになるはずです。前月以前の金額が残っていれば、納付が済んでいないか、納付の仕訳が漏れています。
預り金の残高が合わない原因と照合、マイナス残高と年末調整の還付の扱い
預り金は毎月増えて毎月減る科目なので、残高の動きにずれがあれば何かを誤っています。マイナスになる原因と、月末に照合する手順を示します。
預り金がマイナスになる4つの原因、年末調整の還付と社会保険料の控除月ずれ
負債の預り金は本来マイナスになりません。マイナスになる原因は、多い順に次の4つです。
- 社会保険料の引落額の全額を預り金で落とし、会社負担分を法定福利費に分けていない
- 年末調整の還付額が12月の源泉所得税より多く、還付分を預り金から払い出した
- 給与ソフトが当月分の社会保険料を控除しており、控除月と納付月の対応がずれている
- 月末に退職した社員の最終給与から2か月分の保険料を控除する処理が漏れている
2の年末調整は、マイナスになっても誤りではありません。還付額は翌月以降に納める源泉所得税と相殺されるので、1月や2月の納付で残高が戻ることを確かめれば足ります。戻らない場合に確認するのは、還付の仕訳が二重になっていないかという点です。年末調整の還付と源泉徴収簿をシステムで管理する方法は年末調整システムの比較の観点と個別開発の判断をまとめた記事で扱っています。1と3は仕訳や給与ソフトの設定の誤りなので、気づいた月に修正してください。
月末に補助科目ごとの残高を給与台帳と照合する手順、残るべき金額の目安
月末に預り金の残高を確かめるときは、「ゼロか」ではなく「残るべき金額と一致するか」を見ます。25日払いの会社なら、月末時点で残るべき金額は次のとおりです。
- 源泉所得税:当月25日の給与から差し引いた額(翌月10日に納付)
- 住民税:当月25日の給与から差し引いた額(翌月10日に納付)
- 社会保険料:ゼロ(当月25日に控除した前月分を当月末に納付済み)
- 雇用保険料:会社の処理方法によって変わる(後述のよくある質問を参照)
この金額を、給与ソフトの賃金台帳または給与明細一覧の控除項目の合計と並べます。一致しない補助科目があれば、その科目の当月の仕訳を1件ずつ確かめます。ずれの多くは、給与の修正支給や退職者の精算を給与ソフトでは処理したのに、会計へ反映していないことが原因です。
決算で預り金が残るときの内訳書、仮受金(前受金・預り金)の内訳書の記載
決算日が給与支払日と納付日の間にあれば、預り金の残高は決算書に残ります。翌月10日に納める源泉所得税と住民税が残るのは正常で、ほかの残高が無いかを決算整理の段階で確かめます。期末の確認作業は決算整理仕訳の主な9項目を一覧にした記事の手順と合わせて進めると漏れません。
法人税の申告では、預り金の期末残高を勘定科目内訳明細書の「仮受金(前受金・預り金)の内訳書」に記載します。国税庁の勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化の資料では、この内訳書の「取引の内容」欄が「摘要」欄に変わり、自由記載になったと説明されています。源泉所得税や住民税の残高なら「12月分源泉所得税・翌月10日納付」のように書けますが、何年も前から動いていない預り金は、摘要に理由を書けません。返還先が分からない古い残高は、決算前に発生時の仕訳までさかのぼって中身を確かめてください。
給与計算と会計の連携で預り金の照合をなくす判断、仕訳連携の要件と範囲
預り金の照合が毎月の負担になるのは、給与計算と会計が別のシステムで、控除項目と補助科目の対応が人の手に頼っているからです。どこまでなら手作業で回り、どこから仕組みにすべきかを条件で示します。
給与ソフトの仕訳エクスポートで足りる会社、従業員30人までの月1回の取込
従業員が30人程度まで、給与の締めが月1回、拠点が1つという会社なら、給与ソフトが出力する仕訳データを会計ソフトに取り込む運用で足ります。多くの給与ソフトにあるのは、控除項目ごとに勘定科目と補助科目を指定して仕訳を出力する機能です。最初に控除項目と補助科目の対応を1度設定し、毎月取り込んだ後に前述の照合を行えば、預り金のずれは月に数件以内に収まります。
税理士事務所に記帳を任せている会社は、給与ソフトの仕訳を事務所の会計ソフトに渡す形式を先に決めておくと、月次の締めが早まります。顧問先の給与と仕訳連携を扱う給与ソフトの選び方は、年末調整・法定調書・仕訳連携から選ぶ税理士事務所向け給与ソフトの記事が参考になります。
給与計算と会計を自動連携すべき条件、控除項目と補助科目の対応表の設計
次のどれかに当てはまる会社は、仕訳データの手作業の取込をやめ、給与計算と会計の連携を仕組みで固めてください。
- 拠点や雇用形態ごとに給与の締めが分かれ、月に3回以上仕訳を取り込んでいる
- 預り金の照合でずれが毎月出て、原因の特定に半日以上かかる
- 部門別の人件費と法定福利費を管理会計で配賦しており、手作業で仕訳を分けている
連携の設計で最初に作るのは、給与の控除項目と会計の補助科目の対応表です。住民税を市区町村別に、社会保険料を健康保険・厚生年金・介護保険に分けるかどうかで補助科目の数が変わり、照合のしやすさが決まります。修正支給や退職精算のように、給与側で後から変更した明細の仕訳を自動で差し替える仕組みも、この段階で決める設計内容です。既製の給与ソフトと会計ソフトの標準連携で足りない部分を、自社の科目体系や部門配賦に合わせて組みたい場合は、当社の会計・経理システム開発でご相談いただけます。給与と会計の連携仕様の整理から、仕訳連携の開発まで請け負っています。
反対に、従業員が10人未満で納期の特例を使っている会社が連携の開発に費用をかけるのは過剰です。年2回の納付前に補助科目の残高を確かめる運用で十分に回ります。
よくある質問
預り金について寄せられる質問を5つ取り上げます。
「預り金」と「預かり金」はどちらの表記が正しいですか?
勘定科目としては「預り金」と送り仮名を省いた表記が一般的で、法人税の申告で使う勘定科目内訳明細書の様式名「仮受金(前受金・預り金)の内訳書」もこの表記です。ただし、勘定科目名は会社が決めるものなので、「預かり金」と書いても誤りではありません。大切なのは、社内で表記を1つに統一し、毎期同じ科目名を使い続けることです。会計ソフトの科目マスタに両方を登録すると、残高が2つに分かれて照合を誤る原因になります。
預り金に消費税はかかりますか?
かかりません。預り金は他人のお金を一時的に預かっているだけで、商品の販売やサービスの提供の対価ではないため、消費税の課税対象外(不課税)です。給与天引きの源泉所得税や住民税、社員旅行の積立金も同じです。会計ソフトでは、預り金の税区分を「対象外」に設定しておけば、消費税の申告で集計を誤りません。報酬の源泉徴収では、報酬額と消費税等を区分して請求書に記載してもらうと、源泉所得税を報酬額だけで計算できます。
雇用保険料の従業員負担分は預り金と立替金のどちらで処理しますか?
どちらの処理もあり、会社ごとに決めて継続します。雇用保険料を含む労働保険料は、年度の初めに会社が1年分を概算で申告・納付し、従業員負担分はその後の毎月の給与から差し引きます。給与から差し引いた分を立替金の回収として処理する会社があるのは、会社が先に払っているためです。一方、毎月の控除を預り金で受け、年度更新の納付時に取り崩す会社もあります。どちらでも、年度更新の確定額との差額を毎年精算できるように、補助科目を分けておいてください。
社員旅行の積立金や財形貯蓄の天引き分も預り金ですか?
預り金で処理します。社員旅行の積立金は旅行の実施時に旅行代金の支払いへ充てるか、退職時に本人へ返すお金なので、会社の収益にはなりません。財形貯蓄の天引き分は、翌月に金融機関へ払い込むまで預かっているお金です。いずれも給与の源泉所得税などとは期限も返す相手も異なるため、「社員旅行積立金」「財形」のように補助科目を分けます。旅行が中止になった場合や退職者が出た場合に、本人ごとの預り額を出せるようにしておくことが条件です。
個人事業主も預り金の勘定科目を使いますか?
従業員を雇って給与を払っている個人事業主は使います。給与から差し引いた源泉所得税や住民税は、法人と同じく預り金で記録し、納付時に取り崩します。税理士やデザイナーなど個人に報酬を払う場合も、源泉徴収の義務があれば同じ処理です。一方、事業主本人の所得税や住民税は事業の経費でも預り金でもありません。事業用の口座から払ったときは事業主貸で処理する点を取り違えないようにしてください。
関連記事
- 給与計算とは?業務の流れと年間スケジュール・システム化の判断基準を解説:預り金が発生する給与計算の業務の流れと年間スケジュールをまとめています。
- 給与計算システムとは?機能・種類・比較の観点から個別開発の判断まで解説:控除計算と仕訳出力を担う給与計算システムの選び方です。
- 月次決算とは?年次決算との違いと5営業日で締める手順・システム化の判断【2026年版】:預り金の照合を含む、月次の締めの手順を解説しています。
- 会計ソフトの勘定科目:購入費の仕訳と科目マスタ・自動仕訳ルールの設計【2026年版】:預り金の補助科目や税区分を含む科目マスタの設計です。
- 給与明細とは:記載項目の見方と交付義務の根拠、給与計算システムのマスタとの対応:給与明細の控除項目と、預り金の補助科目に対応するマスタの関係を扱っています。