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工事進行基準とは?廃止後の収益認識と原価比例法の計算・仕訳、法人税法63条の要件【2026年】

工事進行基準とは?廃止後の収益認識と原価比例法の計算・仕訳、法人税法63条の要件【2026年】

工事進行基準とは、完成を待たずに工事の進み具合に応じて売上と原価を各期に計上する方法です。会計基準としては、2021年4月1日以後に始まる事業年度から適用された「収益認識に関する会計基準」により廃止され、現在は「一定の期間にわたり充足される履行義務」の進捗度に応じて収益を認識する処理に置き換わっています。この記事では、工事完成基準との違いと廃止の経緯を押さえたうえで、原価比例法の計算式を、途中で見積総原価を改訂する3年工事の設例と仕訳に沿って示す構成です。赤字工事や進捗度を見積もれない工事の例外処理、会計とは別に今も残る法人税法63条の長期大規模工事の要件、工事台帳と原価管理システムの改修点までを、業務システムを受託開発する立場から整理します。

まとめ:工事進行基準は名前が消えても計算は残り、会計と税務の2系統で管理する

会計基準から「工事進行基準」という区分はなくなりました。とはいえ、請負工事の多くは収益認識基準の「一定の期間にわたり充足される履行義務」に該当し、発生原価の割合で進捗度を測る原価比例法で売上を按分する計算は、ほぼそのまま続いています。変わったのは呼び名と、進捗度を見積もれない場合の扱いです。原価回収基準や、ごく短い工事を完成時に一括計上する代替的な取扱いが加わりました。

税務の側には「工事進行基準」の名前が残っています。法人税法63条により、工期1年以上・請負対価10億円以上などの長期大規模工事は工事進行基準が強制で、それ以外の工事は確定決算で経理した場合に選べる扱いです。会計の処理方法と税務の処理方法が工事ごとに異なることがあるため、システムでは工事単位で認識方法の区分と見積総原価の改訂履歴を持たせるのが筋です。期をまたぐ工事が年に数件で10億円以上の工事もない会社は、表計算で足ります。

工事進行基準とは何か、工事完成基準との違いと2021年4月に廃止された経緯

工事進行基準の定義と、工事完成基準と比べた売上計上タイミングの違い

工事進行基準は、決算日までの工事の進み具合(進捗度)を見積もり、請負金額のうち進んだ割合だけを当期の売上にする方法です。対になる工事完成基準は、工事が完成して引き渡した期に売上と原価をまとめて計上します。

差が出るのは、決算日をまたぐ工事です。たとえば2年がかりの工事を完成基準で処理すると、1年目は売上ゼロで、発生した原価は未成工事支出金として資産に積まれたまま残ります。2年目に請負金額の全額が一度に売上になるため、受注が多い年と完成が多い年がずれると、決算書の売上と利益が実態より大きく波打つ点が問題です。進行基準ならこの波が小さくなる代わりに、決算のたびに工事ごとの見積総原価を更新する手間が増えます。

企業会計基準第15号の廃止と、収益認識基準の一定期間充足への置き換え

工事進行基準を定めていた企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」は、2018年3月30日に企業会計基準委員会が公表した企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」の90項で廃止が決まりました。第29号は81項で、2021年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用するとしています。3月決算の会社なら2022年3月期からの処理です。

新しい基準には「工事進行基準」「工事完成基準」という言葉が出てきません。工事か物販かを問わず、契約の中の約束(履行義務)が一定の期間にわたって果たされるのか、ある一時点で果たされるのかを判定し、前者なら進捗度に応じて収益を認識します。業種を問わない5つのステップの全体像は、収益認識基準の5ステップと適用範囲・基幹システムの改修要件を整理した記事で扱っています。

一定期間にわたり充足される履行義務の3要件と、請負工事が該当する理由

収益認識に関する会計基準の38項は、次の3つのいずれかを満たせば一定の期間にわたり収益を認識すると定めています。

  1. 企業が義務を果たすにつれて、顧客が便益を受け取る(清掃や保守のような役務)
  2. 義務の履行で資産が生じたり価値が増えたりし、それにつれて顧客がその資産を支配する(顧客の土地に建てる建物)
  3. 別の用途に転用できない資産が生じ、かつ履行が済んだ部分について対価を受け取る強制力のある権利を持つ(特注の設備や受注制作のソフトウェア)

顧客の敷地で進む建設工事は2つ目に、自社工場で作る特注品やオーダーメイドのシステム開発は3つ目に当たることが多く、結果として旧基準で工事進行基準を使っていた工事の大半は、新基準でも進捗度による認識になります。3つ目は契約書で途中解約時の支払条項がどう書かれているかで判定が変わるため、契約の雛形ごとに確認しておく必要があります。

原価比例法による進捗度の計算方法と、3年工事の設例で見る各期の売上と仕訳

原価比例法の計算式と、進捗度に寄与しない原価を分母と分子から外す規定

原価比例法は、決算日までに発生した工事原価が見積総原価に占める割合を進捗度とみなす方法です。計算は次の3段で進めます。

進捗度=決算日までの発生原価累計÷見積総原価、当期の完成工事高=請負金額×進捗度-前期までに計上した完成工事高の累計、当期の完成工事原価=当期に発生した原価です。

収益認識基準の適用指針では、原価比例法は「コストに基づくインプット法」の一種として扱われます(企業会計基準適用指針第30号15項・20項)。同じ適用指針の22項は、発生した原価が進捗に寄与しない場合に見積りを修正するよう求めています。契約価格に織り込まれていない著しく非効率な作業で生じた手戻りの原価や、現場に搬入しただけでまだ据え付けていない高額設備の購入代金が典型です。これらを発生原価に含めたままにすると、進捗度が実態より高く出て、売上が前倒しになります。

請負1億円・3年工事の設例で計算する各期の完成工事高と利益の求め方

請負金額1億円、当初の見積総原価8,000万円の工事を例にします。2年目に資材価格の上昇で見積総原価を8,400万円へ改訂し、3年目の完成時に実績原価が8,500万円で確定したとします。

項目 1年目 2年目 3年目(完成)
見積総原価 8,000万円 8,400万円 8,500万円(実績)
発生原価累計 2,000万円 5,600万円 8,500万円
進捗度 25.0% 66.7% 100%
完成工事高の累計 2,500万円 66,666,667円 1億円
当期の完成工事高 2,500万円 41,666,667円 33,333,333円
当期の完成工事原価 2,000万円 3,600万円 2,900万円
当期の工事利益 500万円 5,666,667円 4,333,333円

2年目の当期売上は、改訂後の見積総原価で累計の進捗度を出し直し(5,600万円÷8,400万円)、そこから1年目の2,500万円を差し引いて求めています。1年目の数字を遡って直すのではなく、改訂の影響を当期と将来の期で吸収する計算です。3年間の利益を足すと1,500万円となり、請負金額1億円から実績原価8,500万円を引いた額と一致し、これがそのまま検算になります。

決算時の仕訳と、未成工事支出金・契約資産・契約負債の対応関係

期中に発生した材料費・労務費・外注費・経費は、工事ごとに未成工事支出金へ集めます。1年目の決算では、次の2本を起こします。

  • (借方)契約資産 2,500万円 (貸方)完成工事高 2,500万円
  • (借方)完成工事原価 2,000万円 (貸方)未成工事支出金 2,000万円

借方の契約資産は、売上は立ったものの請求権がまだ確定していない部分を表す科目で、収益認識基準で新しく区分されました。出来高請求で請求権が確定した部分は、完成工事未収入金などの債権へ振り替えます。逆に、着手金や中間金を進捗より先に受け取った部分は契約負債(建設業の勘定科目では未成工事受入金に相当)として持つ扱いです。未成工事支出金と未成工事受入金が期をまたいでどう残るか、建設業会計の勘定体系との対応は、完成工事高と未成工事支出金に対応する建設業会計システムの要件を解説した記事に詳しく書いています。

見積総原価の改訂・赤字工事・進捗度を見積もれない工事の例外処理

見積総原価を決算日ごとに見直す規定と、会計上の見積りの変更の処理

収益認識に関する会計基準43項は、進捗度を各決算日に見直し、見積りを変えた場合は「会計上の見積りの変更」として処理すると定めています。設例の2年目が、この見積りの変更に当たる例です。過年度の決算書は修正せず、改訂した期に累計ベースで計算し直した差額を計上します。

実務で問題になるのは、改訂の根拠が残っていないことです。追加工事の合意、資材単価の上昇、設計変更による工種の増減など、見積総原価を動かした理由と日付が工事ごとに記録されていないと、監査や税務調査で「なぜこの期に利益が減ったのか」を説明できません。見積総原価は1本の数字として上書きせず、改訂のたびに版を重ねて持つのが原則です。

工事損失引当金を計上する条件と、赤字見込みが判明した期の損失処理

見積総原価が請負金額を上回る見込みになった工事は、進捗に合わせて少しずつ損失を出すのではなく、見込んだ期に一括で損失を計上します。適用指針第30号の90項は、工事原価総額等が工事収益総額を超える可能性が高く、その額を合理的に見積もれる場合、見込まれる工事損失から計上済みの損益を差し引いた残額を損失として処理し、工事損失引当金を計上するとしています。

設例の工事で、2年目に見積総原価が1億1,000万円まで膨らんだとします。工事全体の損失見込みは1,000万円です。2年目末の累計損益をマイナス1,000万円にするため、1年目に計上した利益500万円を打ち消したうえで、2年目に1,500万円の損失を計上します。内訳は、進捗度50.9%(5,600万円÷1億1,000万円)で計算し直した累計損益マイナス約509万円に届くまでの当期分が約1,009万円、残りの約491万円が工事損失引当金の繰入額です。見積もりの精度が工事の損益にどう跳ね返るかは、赤字になる超過率の計算と受注損失引当金を契約形態別に整理した記事でも数値で示しています。

原価回収基準・初期段階の不認識・短工期の完成時一括という3つの例外

進捗度を合理的に見積もれない工事には、原則とは別の処理が用意されています。実務で使う頻度の高い順に並べると次のとおりです。

  • 短工期の完成時一括:取引開始日から完全に履行義務を果たすまでの期間がごく短い工事は、完成した時点でまとめて収益を認識できます(適用指針第30号95項)。数週間で終わる修繕や小口の内装工事が該当します。
  • 契約初期の不認識:契約の初期段階で進捗度を見積もれない場合、その段階では収益を認識せず、見積もれるようになった時点から認識できます(同99項)。
  • 原価回収基準:進捗度を見積もれないが、発生した費用は回収できる見込みがある場合、見積もれるようになるまで、発生した原価と同じ額を収益として計上します(会計基準45項)。利益はゼロで、売上と原価だけが立ちます。

旧基準では、成果の確実性が認められない工事は工事完成基準に回すしかありませんでした。どの工事にどの例外を当てたかを工事ごとに記録しておかないと、翌期に原則処理へ切り替えるタイミングを誤ります。

税務上の工事進行基準、法人税法63条の長期大規模工事と任意適用の範囲

着手から引渡しまで1年以上・請負対価10億円以上で強制される長期大規模工事

会計基準から消えた「工事進行基準」は、法人税法には今も条文として残っています。現行の法人税法では63条がこの規定で、64条は削除済みです(2026年10月時点のe-Govで確認)。旧条番号の64条のまま書かれた解説も残っているため、条文を引くときは番号に注意してください。

63条1項は、次の要件をすべて満たす「長期大規模工事」について、工事進行基準で計算した収益と費用を各期の益金・損金に算入すると定めています。会社の選択ではなく強制です。

  1. 着手の日から、契約で定めた目的物の引渡し期日までが1年以上
  2. 請負の対価の額が10億円以上(法人税法施行令129条1項)
  3. 対価の2分の1以上が、引渡し期日から1年を経過した日より後に支払われる定めになっていない(同2項)

同じ施行令129条の6項には、期末時点で着手から6か月を経過していないか、進行割合が20%に満たない長期大規模工事は、その期の収益と費用を「ないもの」とできる特例があります。着工直後の期に無理に見積もらなくてよい仕組みで、会計の「契約初期の不認識」と発想が似ています。

長期大規模工事以外の工事で工事進行基準を選べる条件と途中でやめた場合

10億円に届かない工事や工期1年未満の工事は、63条2項の対象です。着工した事業年度中に引渡しが終わらない工事に限り、着工年度から引渡し前年度までの各期の確定した決算で工事進行基準の方法により経理していれば、その額が益金・損金として認められます。経理していなければ、引渡しの期にまとめて計上する扱いになります。

注意したいのは、2項ただし書きです。途中のいずれかの期で工事進行基準による経理をやめると、その翌期以後は同じ工事に2項を使えなくなります。決算が忙しい期だけ完成基準に戻す、という運用はできません。進行割合の計算は施行令129条3項で、見積工事原価のうち既に要した原材料費・労務費その他の経費の割合など、合理的と認められる割合によるとされており、会計の原価比例法と同じ考え方で計算できます。

消費税の計上時期と、ソフトウェア受託開発にも同じ規定が及ぶ点

消費税の課税時期は、原則として資産の譲渡等の時、つまり引渡しの時です。ただし国税庁のタックスアンサーNo.6161「工事進行基準を用いているとき」のとおり、法人税で工事進行基準により経理して収益を計上している工事は、消費税もその基準で申告できます。法人税と消費税で計上時期を揃えるかどうかは、工事ごとに選べる扱いです。

見落とされやすいのが対象範囲です。法人税法63条は「工事」に製造とソフトウェアの開発を含むと明記しており、会計でも適用指針第30号96項が、受注制作のソフトウェアに工事契約と同じ短工期の取扱いを認めています。建設会社だけでなく、システムを受託開発する会社や特注機械のメーカーも同じ計算の当事者です。

工事進行基準の計算を工事台帳と原価管理システムへ組み込む改修点

工事ごとに会計と税務の収益認識の方法区分を持たせる工事マスタの項目設計

最初に手を入れるのは工事マスタです。会計上の認識方法(一定期間・短工期の完成時一括・原価回収基準・契約初期の不認識)と、税務上の区分(63条1項の長期大規模工事・2項で進行基準を選んだ工事・引渡し時計上)を、別々の項目として持たせます。1つの項目で兼ねると、会計は原価回収基準なのに税務は長期大規模工事として工事進行基準が強制される、といった組み合わせを表現できません。

あわせて、長期大規模工事の判定に使う着手日・契約上の引渡し期日・請負金額・支払条件(引渡し後1年超の支払割合)も工事マスタに入れておきます。請負金額は追加工事で増えることがあり、契約変更で10億円を超えた時点で区分が変わる工事を拾えるようにしておく必要があります。現場で付けている工事台帳の項目と重なる部分が多いため、工事台帳の記載項目と書き方・作成義務の根拠を解説した記事の項目と突き合わせて、二重入力にならない持ち方を決めてください。

見積総原価の改訂履歴と累計差額方式の計上を自動化する原価データ

原価比例法の計算そのものは割り算と引き算です。難しいのは、計算に使う見積総原価がいつ時点のどの版かを、決算のたびに確定させることにあります。見積総原価を版管理し、決算日ごとに「この版で締めた」という確定版を記録しておけば、当期売上は累計進捗額から前期までの計上累計を引くだけで自動計算できます。

発生原価の側では、進捗に寄与しない原価(未据付の設備代金、手戻りの原価)を発生原価の集計から外すための区分コードが要ります。この区分がないと、経理担当が決算前に表計算で除外額を手入力することになり、毎期同じ作業の繰り返しです。工事台帳・実行予算・会計の3つをつないで進捗度計算まで自動化する開発は、建設業向けシステム開発として工事台帳やCCUSとの連携を含めて請け負っています。

会計と税務で計上額がずれる工事を抽出する申告調整用の差額明細

会計と税務の処理が一致しない工事は、申告書の別表で工事ごとに調整が要ります。たとえば会計では原価回収基準で利益ゼロとした10億円以上の工事は、税務では63条1項の工事進行基準で利益を計上するため、その差額は申告時の加算対象です。会計で短工期の完成時一括を選んだ工事が、契約変更で工期が延びて期をまたいだ場合も、扱いを見直す対象になります。

システムでは、会計の計上額と税務の計上額を工事ごとに並べ、差額が出た工事だけを一覧にする明細を出せるようにしておくと、税理士との決算打ち合わせがこの一覧1枚で済みます。

工事進行基準のシステム化に踏み切る会社と、表計算で足りる会社の境界

改修を見送ってよい条件、完成時一括で処理できる中小建設業の工事構成

次の3つがそろう会社は、工事進行基準のためにシステムを作り込む必要はありません。

  • 収益認識基準の強制適用対象ではなく(上場企業や会社法上の大会社ではない)、会計は引渡し時の計上を続けている
  • 請負金額10億円以上で工期1年以上の工事を受けていない
  • 決算日をまたぐ工事が年に数件で、税務でも引渡し時の計上を選んでいる

この条件なら、工事別の原価集計と未成工事支出金の管理ができていれば決算は締まります。期をまたぐ工事について進捗度を参考値として出したい場合も、表計算で工事ごとに発生原価累計と見積総原価を並べれば十分です。進捗度計算の機能に費用をかけるより、工事別の原価が月次で揃う状態を先に作るほうが効果は大きいと考えます。

システム化が必要になる兆候、決算のたびに見積総原価の更新が遅れる状態

逆に、次のような状態が出ているなら、表計算での運用は限界に来ています。決算のたびに現場へ見積総原価の更新を依頼し、回答が揃うまで締めが止まる。どの版の見積総原価で前期を締めたのか、担当者の手元のファイルを探さないと分からない。会計と税務で処理が違う工事を、税理士との打ち合わせで初めて洗い出している。

この段階では、工事マスタの認識区分、見積総原価の版管理、発生原価の除外区分、会計と税務の差額明細の4点をまとめて整えるのが近道です。パッケージか個別開発かは、標準機能でこの4点がどこまで賄えるかで決まり、その見方は工事進行基準(収益認識)への対応を軸に建設業向けERPの選び方を解説した記事で比較しています。

よくある質問

工事進行基準について、経理担当者や経営者からよく寄せられる質問に答えます。

工事進行基準は廃止されたのに、今も使われているのはなぜですか?

廃止されたのは企業会計基準第15号で、計算の考え方は収益認識基準の「一定の期間にわたり充足される履行義務」に引き継がれました。法人税法63条には「工事進行基準」の名称のまま規定が残っており、長期大規模工事では強制です。会計の呼び名が変わっただけで、実務の言葉としては今も使われています。

中小企業も工事進行基準を使わなければなりませんか?

収益認識基準の強制適用は上場企業や会社法上の大会社などで、それ以外の中小企業は引渡し時に計上する処理を続けられます。税務で工事進行基準が強制されるのは、請負対価10億円以上・工期1年以上などの長期大規模工事だけです。それ以外の工事は、確定決算で経理した場合に限って選べます。

原価比例法以外に、進捗度を測る方法はありますか?

収益認識基準の適用指針は、進捗度の測り方をアウトプット法とインプット法に分けています。アウトプット法は完成した出来高や達成したマイルストーンなど顧客にとっての価値で測る方法で、インプット法は発生したコスト・労働時間・経過期間などの投入量で測る方法です。原価比例法はインプット法のうちコストに基づく方法にあたります。類似の工事には同じ方法を一貫して使う必要があります。

工事進行基準と出来高請求は何が違いますか?

工事進行基準(進捗度による収益認識)は売上をいつ計上するかという会計の話で、出来高請求は顧客にいつ請求するかという契約の話です。両者の金額は一致しません。進捗度で計上した売上が請求額を上回る部分は契約資産、請求済みや前受けの額が売上を上回る部分は契約負債として区分します。

システム開発の受託でも工事進行基準と同じ計算をしますか?

受託開発でも、進捗度に応じて収益を認識する計算は同じです。収益認識基準の3要件のうち「別の用途に転用できない資産が生じ、履行済み部分の対価を受け取る権利がある」に当たる受注制作のソフトウェアは、工数や原価の割合で進捗度を測って収益を認識します。法人税法63条も「工事」にソフトウェアの開発を含むと明記しているため、請負対価10億円以上・期間1年以上の開発案件は税務上の長期大規模工事になります。

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