離れて暮らす親や、下宿している大学生の子に仕送りをしている人は、同居していなくても扶養控除を受けられます。条件の中心は「生計を一にしていること」と「家族のその年の合計所得が62万円以下であること」の2つです。国内に住む家族なら、仕送りの証明を税務署や勤務先へ出す義務はありません。
証明が実際に求められるのは、国外に住む家族を扶養控除に入れるときと、健康保険の扶養に入れるときです。協会けんぽでは、被扶養者が今も条件を満たすかを確かめる書類が令和8年10月下旬から11月中旬に勤務先へ届き、別居の家族については仕送りを示す通帳のコピーなどで確認します。この記事では令和8年分(2026年分)の数値を前提に、税金と健康保険のそれぞれで、仕送りの金額・頻度と残すべき記録を国税庁と日本年金機構の資料に沿って整理します。
まとめ:別居の家族への仕送りと扶養の要点
- 別居でも、生活費・学資金・療養費などを常に送金していれば「生計を一にする」と扱われ、扶養控除の対象になる(所得税基本通達2-47)。
- 令和8年分の所得要件は、家族の合計所得62万円以下。給与だけなら年収136万円以下、65歳以上で年金だけの親は年金172万円以下が目安。
- 国内の家族への仕送りに、税法上の最低金額はない。送金の記録を申告書に添付する必要もないが、振込の記録は法定申告期限から5年間を目安に残しておく。
- 国外の家族は、親族関係書類と送金関係書類が控除の要件。30歳以上70歳未満は、留学・障害者・年38万円以上の送金のいずれかに当てはまる人に限られる。
- 健康保険の扶養は、別居なら「家族の年間収入が仕送り額より少ないこと」が条件。認定の届出には送金者・受取人・金額が分かる通帳の写しなどを添付する。
- 手渡しの仕送りは、健康保険では申立てだけでは認められない。国外の家族への手渡しは送金関係書類にならず、ほかに送金関係書類がなければ扶養控除を受けられない。
別居の家族を扶養控除に入れるための条件(令和8年分)
扶養控除の対象は、6親等内の血族か3親等内の姻族で、本人と生計を一にし、その年の合計所得が62万円以下の16歳以上の人です。青色申告者の事業専従者としてその年に給与を受けた人や、白色申告者の事業専従者は外れます。配偶者は扶養控除ではなく配偶者控除で扱い、制度全体は扶養控除とは?税法上の扶養の条件・金額と配偶者控除との違いで解説しています。別居の家族で問題になるのは、ほぼ「生計を一にする」と所得の2点です。
生計同一の判定:継続的な送金と余暇の共同生活
国税庁のタックスアンサーNo.1180のQ&Aは、所得税基本通達2-47を引いて次のように説明しています。
勤務、修学、療養等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
別居の家族が対象になる道は2つあります。単身赴任や寮生活の子のように、休日や長期休暇には一緒に暮らすのが通常のケースと、仕送りを続けているケースです。帰省の回数だけで決まるわけではなく、別居の理由や生活の実態で判断されます。同居・別居ごとの細かな判定は「生計を一にしない」とは?同居でも別生計と認められる条件と証明にまとめています。
家族の所得要件:給与136万円・年金172万円が目安
令和8年分から、扶養親族の合計所得の上限は58万円から62万円に上がりました(令和8年12月1日施行・令和8年分から適用)。収入の種類ごとに直すと次のとおりです。
| 家族の収入 | 扶養控除を受けられる上限(令和8年分) | 計算 |
|---|---|---|
| 給与のみ | 年収136万円以下 | 136万円-給与所得控除74万円=62万円 |
| 公的年金のみ(65歳以上) | 年金172万円以下 | 172万円-公的年金等控除110万円=62万円 |
| 公的年金のみ(65歳未満) | 年金122万円以下 | 122万円-公的年金等控除60万円=62万円 |
| 遺族年金・障害年金 | 金額に関係なく判定に含めない | 非課税所得のため |
年金とパート収入の両方がある親は、給与所得と公的年金等の雑所得をそれぞれ計算し、該当する場合は所得金額調整控除を反映したうえで、合計所得が62万円以下かを確かめます。公的年金等控除の額は国税庁No.1600の速算表、給与所得控除の74万円は令和8・9年分の特例による金額で、詳しくは基礎控除と給与所得控除の違いにまとめています。70歳以上の親の判定は老人扶養控除の条件と金額で扱っています。
19歳以上23歳未満の子が、アルバイトで年収136万円を超えても197万円以下であれば、扶養控除に代わって特定親族特別控除(最高63万円)を受けられます。
判定の時期:12月31日の現況と、年の途中で亡くなった親
扶養親族かどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。所得はその年1年分の合計所得金額で見ます。仕送りを受けていた親が年の途中で亡くなった場合は、所得税法85条3項のただし書により、亡くなった時点の現況で判定します。亡くなるまで仕送りで生計を一にしていて所得要件も満たしていれば、その年分は扶養控除を受けられます。
入院と施設入所は扱いが分かれます。国税庁No.1180の注は、病気の治療のための入院で別居している場合は、期間が1年以上に及んでも同居として扱ってよいとしています。一方、老人ホーム等に入所した場合は、その施設が居所になるため同居とはいえません。同居していた70歳以上の親が老人ホームに移ると、控除額は同居老親等の58万円から老人扶養親族の48万円に変わります。施設に入っても、費用を負担して生計を一にしていれば扶養控除の対象であることは変わりません。
控除額と、仕送りで減る税金の目安
控除額は、家族の年齢と同居かどうかで決まります。仕送りの額が多くても少なくても、控除額は同じです。
| 区分 | 年齢(12月31日時点) | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満 | 38万円 | 33万円 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 | 45万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等以外) | 70歳以上 | 48万円 | 38万円 |
| 同居老親等(参考) | 70歳以上で常に同居の父母・祖父母 | 58万円 | 45万円 |
同居老親等の「同居」は、本人か配偶者のどちらかが親と普段同居していることを指します。本人が単身赴任中でも、配偶者が親と同居していれば同居老親等に当たることがあります。
実際に減る税額は、本人の所得税率で変わります。一般の扶養親族(所得税38万円・住民税33万円)を1人加え、控除額全体に同じ所得税率がかかる場合の単純計算は次のとおりです。住民税の調整控除や税額控除の影響は含みません。
| 本人の所得税率 | 所得税(復興特別所得税を含む) | 住民税(10%) | 年間の合計 |
|---|---|---|---|
| 5% | 約1.9万円 | 3.3万円 | 約5.2万円 |
| 10% | 約3.9万円 | 3.3万円 | 約7.2万円 |
| 20% | 約7.8万円 | 3.3万円 | 約11.1万円 |
仕送りそのものは経費にならないので、送る額を増やしても税金はこれ以上減りません。親の医療費や保険料を負担した場合は、後述する別の控除を受けられることがあります。
仕送りの金額と頻度の考え方
「月いくら送れば扶養に入れられるか」は多い質問ですが、所得税法にも通達にも金額の基準はありません。国税庁の国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(Q33)も、38万円送金書類が必要なケースを除いて「送金額の基準は特に定められていません」と答えています。金額が問われるのは、後で説明する健康保険の扶養のほうです。
仕送り額の目安:生活費・学費・療養費の負担実態
判断の軸は、その送金が家族の生活費・学費・療養費を実際に支えているかです。数千円を年に1回送る程度では、生活費の負担とは説明しにくくなります。国外居住親族Q&Aも、年間の送金額が少額なら送金の目的を確認するよう勤務先に求めています。家賃や食費など、実際にどの生活費を継続して負担しているかを説明できるようにします。仕送りがなければ生活できないことや、毎月送金すること自体が税法上の要件ではありません。
毎月の送金と、年に数回のまとめ送金
所得税基本通達2-47は、別居でも生活費などを継続して送金している場合を生計同一として扱います。毎月の定額振込なら送金の継続性を示しやすく、半年分をまとめて送る形も、生活費の前渡しと説明できれば否定されません。年末に一度だけ送る場合は、何の生活費・学費・療養費を負担したのか説明できる記録を残します。国外の家族については、複数年分をまとめて送っても、送金した年の分しか送金関係書類として認められません(Q&A Q36)。
兄弟・夫婦による共同扶養と控除を受ける人の選択
兄弟で均等に仕送りしていても、同じ親について扶養控除を受けられるのは1人だけです(No.1180 Q5、所得税法施行令219条)。他の条件が同じなら、所得税率が高い人が受けるほど減税額は大きくなります。ただし、いずれかが確定申告書を出した後は、修正申告や更正の請求で扶養親族の所属を付け替えることはできません(国税庁No.1181)。共働き夫婦がそれぞれの親に仕送りしている場合も同じで、1人の親を夫婦の両方が扶養親族にすることはできません。
仕送りの証明:国内の家族は提出不要、記録は残す
国内に住む家族への仕送りについて、確定申告書や年末調整の扶養控除等申告書に振込明細を添付する決まりはありません。No.1180 Q3は勤務先についても「法令上、源泉徴収義務者に対してこれを証明する書類等を提出することまで必要とされているわけではありません」としたうえで、振込票や書留の写しで送金の事実を確認することを勧めています。会社から通帳のコピーを求められるのは、この推奨に沿った確認です。
添付義務がなくても、勤務先や税務署から確認されたときには扶養の実態を説明できなければなりません。送り方ごとに残る記録は次のとおりです。
| 送金の方法 | 残る記録 | 説明のしやすさ |
|---|---|---|
| 銀行振込(本人名義から家族名義へ) | 通帳・振込明細・ネットバンキングの履歴 | 高い |
| 現金書留 | 書留の控え | 高い |
| 家賃・施設利用料などの直接支払い | 本人口座の引落記録・本人宛の領収書 | 中 |
| 手渡し | 本人が作るメモのみ | 低い |
振込の名義人は、控除を受ける本人にします。配偶者の口座から送っていると、どちらが負担したのか分からなくなります。
施設の利用料や家賃を直接払う場合は、本人の口座から引き落とすか、領収書の宛名を本人にしておくと、本人が負担した記録になります。親の預金から払った分は、本人が手続きを代行しただけで、本人の負担にはなりません。親の年金が少ないという事情も、それだけでは本人が生活費を負担した証拠にはなりません。
手渡しでも国内の家族なら直ちに否認されるわけではありませんが、第三者が確かめられる記録が残りません。手渡しが中心の人は、少なくとも一部を振込に切り替えるのが確実です。記録を残す期間は、税務署が所得税の更正をできる期間に合わせて、法定申告期限から5年が目安です(国税通則法70条)。令和8年分なら2032年3月まで保管します。
健康保険の扶養で求められる仕送りの証明
「仕送りはいくら必要か」「仕送りの証明に何を出すか」が実際に問われるのは、税金よりも健康保険の扶養です。ここでは協会けんぽに加入している会社員を例に、日本年金機構と協会けんぽの基準で整理します。実父母や子は別居でも対象になり得ますが、配偶者の父母など、同居が必要な続柄もあります。健康保険組合に加入している人は、組合ごとに書類や確認の時期が違うので組合の案内を確認してください。
別居の家族の収入要件:年間収入が仕送り額未満
日本年金機構の認定基準では、別居の家族を被扶養者にするには、年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害がある人は180万円未満、19歳以上23歳未満の配偶者以外の人は150万円未満)で、かつ被保険者からの仕送り額より少ないことが必要です。年間収入には公的年金や失業等給付、傷病手当金も含みます。例えば年金以外の収入がない65歳の親の年金が年150万円なら、年150万円を超える仕送りが求められます。
| 項目 | 所得税の扶養控除 | 健康保険の被扶養者 |
|---|---|---|
| 収入の基準 | 合計所得62万円以下(給与136万円以下) | 年間収入130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満) |
| 19歳以上23歳未満 | 特定扶養親族(63万円) | 年間収入150万円未満(配偶者を除く) |
| 遺族年金・障害年金 | 非課税なので含めない | 収入に含める |
| 仕送り額の条件 | 税法上の基準なし | 別居なら家族の収入が仕送り額未満 |
| 仕送りの証明 | 国内の家族は提出不要 | 別居なら認定時に通帳の写し等を添付 |
| 75歳以上の親 | 対象になる | 後期高齢者医療に移るので対象外 |
| 判定の時点 | その年の12月31日の現況 | 認定時点からの年間見込み収入 |
| 国外に住む家族 | 書類があれば可(30〜69歳は条件付き) | 原則として国内居住が必要 |
75歳以上の親は後期高齢者医療制度の対象となるため、健康保険の被扶養者にはなれません。遺族年金を受け取る親は、その年金を含めた年間収入と仕送り額で健康保険の扶養を判定します。年収ラインの全体像は年収の壁2026早見表で確認できます。
健康保険の扶養認定で添付する仕送りの証明書類
日本年金機構は、別居の家族を被扶養者にする届出に「送金者名、受取人名およびその金額が確認できる書類」の添付を求めています。振込なら通帳の名義と振込日・金額のページの写しや振込明細書、現金書留なら控えの写しです。扶養に入れる家族が16歳未満か、16歳以上の学生であれば、この書類は要りません。
仕送りを始める前に扶養に入れることはできません。厚生労働省の事務連絡(平成30年8月29日・認定事務の留意点)のQ16は、まだ仕送りをしていなければ添付書類が出せないので認定できず、初回の仕送りを書類で確かめた時点で認定できるとしています。認定時は今後1年の仕送り予定回数と金額を申し立てればよく、その後の確認で実績に基づく継続した仕送りが確かめられなければ、確かめられなくなった時点に遡って被扶養者から外されます。
手渡しの仕送りについては、同じ事務連絡のQ14が「申立てのみでは認めない」としたうえで、住民票で住所を、課税証明書などで年間収入を確かめ、実質的に生計を維持していると認められれば認定できるとしています。その裏付けの例に挙がっているのは、手渡しする現金を定期的に口座から引き出したことが分かる通帳の写しです。手渡しを続けるなら、毎回同じ口座から引き出して記録を残し、できれば振込に切り替えます。
親がパートで働いていて収入が給与だけの場合、令和8年4月1日以降の認定では、労働条件通知書などの労働契約の内容で年間収入を判定する取扱いも始まっています。
被扶養者資格の再確認:令和8年度は12月11日が提出期限
協会けんぽは健康保険法施行規則50条に基づいて、被扶養者が今も条件を満たすかを毎年確認しています。協会けんぽの案内による令和8年度の流れは次のとおりです。
| 項目 | 令和8年度の内容 |
|---|---|
| 被扶養者状況リストの到着 | 令和8年10月下旬〜11月中旬(事業主あて) |
| 提出期限 | 令和8年12月11日(金) |
| 対象 | 9月19日時点の被扶養者のうち、資格重複・同居が要件の続柄で別居・令和7年の課税収入超過の可能性がある人 |
| 別居の仕送りの確認書類 | 直近の仕送りの通帳か現金書留の控えのコピー |
| 確認する期間 | 直近1か月分で差し支えない |
別居の家族について協会けんぽが確かめるのは、家族の生活が主に被保険者の仕送りで成り立っているかです。仕送りをしていない、または家族本人の収入より仕送りが少ない場合は、被扶養者と認められません。確認は事業主が行い、確認後の書類を協会けんぽへ出す必要はありません。通帳のコピーは、仕送りと関係のない取引を黒く塗りつぶして渡せます。
令和7年度は、この再確認で全国で約18.8万人が被扶養者から外れました。振込の記録が毎月残っていれば、会社から求められても直近1か月分の通帳のコピーで足ります。
国外に住む家族への仕送りと送金関係書類
国外に住む家族(非居住者である親族)を扶養控除の対象にするときは、仕送りの証明が法律上の要件になります。確定申告では申告書に添付するか提示し、年末調整では勤務先へ提出または提示します。ただし、源泉徴収や年末調整の際に勤務先などへ提出・提示した書類は、確定申告で改めて添付・提示する必要はありません。
30歳以上70歳未満の国外居住親族の適用条件
令和5年分以後、国外に住む30歳以上70歳未満の親族は、次のいずれかに当てはまる場合だけ扶養控除の対象になります。
| 国外居住親族の区分 | 必要な書類 |
|---|---|
| 16歳以上30歳未満、70歳以上 | 親族関係書類+送金関係書類 |
| 30歳以上70歳未満で留学している人 | 親族関係書類+送金関係書類+留学ビザ等書類 |
| 30歳以上70歳未満で障害者 | 親族関係書類+送金関係書類 |
| 30歳以上70歳未満で年38万円以上の送金を受けている人 | 親族関係書類+38万円送金書類 |
留学している30歳以上70歳未満の子には、年38万円以上の支払要件はかかりません。38万円の基準は、留学にも障害者にも当たらない30歳以上70歳未満の親族(海外に住む親など)に適用されます。38万円は1人ずつの年間合計で判定し、親2人分をまとめて父に送った場合は、父の分の送金にしかなりません(Q&A Q34)。
送金関係書類として認められる書類
- 金融機関の書類(送金明細・通帳の写しなど)。金融機関には資金決済法2条3項の資金移動業者が含まれるので、登録業者を使った国際送金の利用明細も対象になる。
- 家族カードの利用明細。本人が契約し、国外の家族が使うカードの代金を本人が払っていることが分かるもの。
- 電子決済手段等取引業者の書類(令和6年分以後の確定申告から)。
外国語の書類には翻訳文が必要です。知人に現金を託して渡した場合は、手渡しした旨の申立書を出しても送金関係書類には当たりません。ほかに送金関係書類がなければ、その親族について扶養控除は受けられません(Q&A Q39)。
年末調整・確定申告での書き方
会社員は、扶養控除等申告書に別居の家族を記入し、住所欄に家族の住所を書けば年末調整で控除を受けられます。申告書の「生計を一にする事実」欄は国外に住む親族について書く欄で、国内の別居の家族については記入を求められていません。
確定申告をする人は、第二表の「配偶者や親族に関する事項」に家族の氏名・マイナンバー・続柄・生年月日を書きます。あわせて「配偶者や親族に関する事項」の「別居」に丸を付け、「住民税・事業税に関する事項」の「別居の者の氏名・住所」欄に家族の氏名と住所を書きます。この欄は所得税額には影響しませんが、市区町村が住民税の扶養控除を判定するのに使うため、空欄だと住民税で控除が反映されないことがあります。確定申告書等作成コーナーでは、扶養控除の入力画面で同居・別居の区分と住所を入れるとこの欄が埋まります。
年末調整で家族を書き忘れ、確定申告もしていない場合は、原則として翌年1月1日から5年間、還付申告ができます。既に確定申告をしている場合は更正の請求で直します。手続きは税金の還付とは?払いすぎた所得税・住民税が戻る手続にまとめています。
仕送りに関係するほかの税金と控除
仕送りの贈与税:生活費・教育費の非課税範囲
親子や兄弟姉妹などの扶養義務者から受け取り、通常必要な生活費・教育費に必要な都度直接充てる仕送りは、贈与税がかかりません(国税庁No.4405、相続税法21条の3第1項2号)。受け取った家族の所得にもなりません。生活費に使わず預貯金として蓄積したり、株式の購入に回したりした分は非課税の対象外です。暦年贈与などの仕組みは相続税と贈与税はどちらが高い?で扱っています。
親の医療費・国民健康保険料の負担と所得控除
国税庁の質疑応答「同居していない母親の医療費を子供が負担した場合」は、生計を一にする母親の医療費を子が実際に払ったときは、子の医療費控除の対象になるとしています。医療費控除には扶養控除のような所得要件がないので、親の年金が多くて扶養控除の対象外でも、生計を一にしていれば使えます。対象になる医療費の範囲は医療費控除とはを参照してください。
生計を一にする親の国民健康保険料や介護保険料を、子が自分の口座から実際に払った場合も、子の社会保険料控除に加えられます。年金から天引きされている保険料は親自身が払ったものとして扱われ、子の控除にはできません。国保料の書き方は国民健康保険料は社会保険料控除で全額控除で解説しています。
仕送りの実態がない扶養が見つかる経路
生計を一にしていない親を扶養控除に入れる、兄弟の両方が同じ親を入れる、といった誤りは後から見つかります。総務省の令和5年度個人住民税検討会報告書(令和6年3月)は、市区町村が調べた扶養是正の情報が所得税の更正にも使われていると述べています。同じ報告書は、兄がA市・母がB市・妹がC市に住む場合について、報告書作成当時の情報連携では二重扶養に気付けないという課題も挙げ、自治体間で扶養者を照会できる仕組みを対応案として示しています。健康保険の側では、前の章の被扶養者資格の再確認が毎年行われます。
扶養控除が否認されると、不足した所得税と住民税を納め直します。年末調整で受けていた場合は勤務先での再計算などで精算し、確定申告をしている場合は修正申告をします。税務署の調査を受けてから修正した場合は、過少申告加算税(原則10%)と延滞税もかかります。
よくある質問
別居の親を扶養に入れるには仕送りはいくら必要ですか?
国内に住む親なら、所得税の扶養控除に仕送り額の基準はありません。生活費として継続的に送っていれば、金額の多少で可否は決まりません。国外に住む30歳以上70歳未満の親は、留学・障害者に当たらなければ年38万円以上の送金が必要です。健康保険の扶養に入れる場合は、親の年間収入より多い仕送りが必要です。
仕送りなしで別居の親を扶養に入れたらバレますか?
市区町村は住民税の課税資料で扶養の重複などを調べ、その結果は税務署の所得税の更正にも使われています。健康保険の扶養に入れている場合は、協会けんぽの年1回の再確認の対象になると、別居の家族への仕送りを通帳のコピーなどで確かめられます。仕送りも生活費の直接負担もなく、余暇に一緒に暮らすことも常例でない親は、扶養控除の対象になりません。
仕送り証明書はどこでもらえますか?
税金の扶養控除にも、日本年金機構の届出にも、「仕送り証明書」という決まった様式はありません。仕送りの証明には、通帳の写しや振込明細書、現金書留の控えといった送金の記録そのものを使います。健康保険組合によっては独自の申立書を用意していることがあるので、加入先の案内を確認してください。
仕送りを手渡ししている場合、証明はどうすればいいですか?
国内の家族の扶養控除なら証明書の提出は不要ですが、手渡しは記録が残りません。日付と金額のメモを残し、できれば家族の口座への振込に切り替えます。健康保険の扶養では申立てだけでは認められず、手渡しする現金を定期的に口座から引き出した通帳の写しなどで生計維持を示します。国外の家族への手渡しの申立書は送金関係書類にはなりません。別途要件を満たす送金関係書類がなければ、扶養控除は受けられません。
別居している大学生の子どもは扶養控除の対象になりますか?
学費や生活費を送っていれば対象になります。12月31日時点で19歳以上23歳未満なら特定扶養親族で、控除額は所得税63万円・住民税45万円です。子のアルバイト年収が136万円を超えても、197万円以下なら特定親族特別控除を受けられます。健康保険の扶養に入れるときは、16歳以上の学生なので仕送りの記録の添付は要りません。