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プロジェクト別原価計算とは?集計手順・間接費の配賦・仕訳を設例で解説

プロジェクト別原価計算とは?集計手順・間接費の配賦・仕訳を設例で解説

プロジェクト別原価計算は、案件ごとにプロジェクトコードを振り、そのコードに労務費・外注費・経費と配賦した間接費を集めて、案件単位の原価と粗利を出す方法です。会計上の位置づけは原価計算基準の「個別原価計算」で、基準が「特定製造指図書」と呼ぶ集計単位をプロジェクトに置き換えて運用します。

この記事では、原価要素の区分から、費目別・部門別・プロジェクト別の3段階の計算、予定配賦率による間接費の配賦、仕掛品の仕訳、収益認識の原価比例法とのつながりまでを、3案件の設例で順に計算します。根拠となる会計基準の名称と項番号を示します。

まとめ:プロジェクト別原価計算の要点

  • 位置づけ:原価計算基準に「プロジェクト」「案件」という語は1回も出てきません。三一の個別原価計算で、特定製造指図書をプロジェクトコードに読み替えて使います。
  • 計算の順序:基準七が定めるとおり、費目別、部門別、プロジェクト別の順に集計します。直接費はプロジェクトに直課し、間接費は配賦します。
  • 間接費:基準三三(二)は予定配賦率による配賦を原則としています。月末の実績を按分する運用は原則から外れ、予定と実績の差は配賦差異として処理します。
  • 配賦基準:受注金額や売上で配ると、手間のかかる案件の赤字が見えなくなります。設例の実際間接費175万円を同じ条件で配ると、Bは実績工数基準では22.1875万円の赤字、受注金額基準では6.25万円の黒字になります。
  • 収益認識との接続:一定の期間にわたり収益を認識し、原価比例法を用いる場合は、進捗度を適切に反映する累計原価を計算の分子に用います。恣意的な原価の付け替えは、収益を歪める原因になります。

プロジェクト別原価計算の定義と個別原価計算との関係

原価計算基準(昭和37年 企業会計審議会)の本文を検索すると、「プロジェクト」「案件」「受注」はいずれも0件です。根拠になるのは三一で、「個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する」と定め、続けて「特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する」としています。システム開発・建設工事・コンサルティングのように、案件ごとに仕様が違う仕事は「種類を異にする製品」にあたり、指図書の番号をプロジェクトコードに置き換えれば、この条文がそのまま使えます。

基準二〇は製品別計算を単純総合・等級別総合・組別総合・個別の4形態に分けています。プロジェクト別原価計算は独立した5つ目の方式ではなく、このうち個別原価計算の運用名です。指図書への集計手続や仕損費の扱いをさらに詳しく知りたい場合は個別原価計算の受注生産の原価集計と仕訳で解説しています。

比較軸 プロジェクト別(個別) 総合原価計算
集計の単位 プロジェクトコード(指図書) 一定期間の生産量
原価が確定する時点 プロジェクト完了時(基準三一) 期末(月末)
未完成分の扱い 未費用化の原価を仕掛品に計上 完成品換算量で按分
向く業種 受託開発・建設・コンサル 規格品の量産
主な手間 工数入力と間接費の配賦 進捗度と換算量の把握

プロジェクトに集める原価要素と業種別の区分

原価計算基準の形態別分類と直接費・間接費

基準八(一)は原価要素を材料費・労務費・経費の3つに分け、八(三)で製品との関連により直接費と間接費に分けます。一〇の分類例では、直接費は直接材料費・直接労務費(直接賃金)・直接経費で、直接経費の例として挙がっているのは外注加工賃だけです。プロジェクト別原価計算に置き換えると、そのプロジェクトのためだけに発生し、証憑でコードを特定できる費用が直接費、複数のプロジェクトにまたがる費用が間接費です。

区分を決める単位は「人」ではなく「時間」です。同じエンジニアでも、案件の設計・開発に使った時間は直接労務費、開発部門の共通管理に使った時間は間接労務費、営業活動としての提案書作成に使った時間は販管費として区分します。会議も、特定案件の設計会議などであれば直接労務費に区分します。直接工数と間接工数の線引きは直接工数と間接工数の区分の判断基準で詳しく扱っています。

労務費が中心になる受託開発・コンサルの計算

受託開発やコンサルティングでは、材料費がほとんど発生せず、原価の大半が労務費と外注費になります。直接労務費は基準三二(二)のとおり「実際の作業時間又は作業量」に賃率を掛けて計算します。日本公認会計士協会の監査基準報告書540実務ガイダンス第2号も、付録18項(2)②で「人件費に関し、職位に応じて適切な賃率等が設定されている場合、これに適切に見積もられた工数を乗じた計算」を挙げており、職位別の時間単価×見積工数は、適切な職位別賃率が設定されている場合の予算積上げ方法として示されています。賃率に法定福利費をどこまで含めるかは原価計算における人件費の扱い方と賃率の出し方、IT業に固有の論点はシステム開発業の原価管理にまとめています。

建設業の完成工事原価報告書の4区分

建設業では、完成工事原価報告書に用いる原価の表示区分が定められています。工事別の集計科目も、この表示区分と対応づけて設計します。建設業法施行規則の様式第十六号(e-Gov掲載の2026年7月1日施行版)にある完成工事原価報告書は、「Ⅰ 材料費」「Ⅱ 労務費(うち労務外注費)」「Ⅲ 外注費」「Ⅳ 経費(うち人件費)」の4区分です。現場監督などの従業員給料手当は「経費」の内訳の人件費に含めます。一方、直接雇用の作業員に対する賃金・給料・手当等は「労務費」であり、社員かどうかだけでは区分しません。工事ごとの実行予算の組み方は建設業の原価管理の工事原価4費目と実行予算で解説しています。

業種 原価の中心 未完成分の勘定 区分の根拠
受託開発・SI 労務費・外注費 仕掛品 原価計算基準・自社規程
建設業 外注費・材料費 未成工事支出金 建設業法施行規則 様式
コンサルティング 労務費 仕掛品 原価計算基準・自社規程
受注生産の製造業 材料費・労務費 仕掛品 原価計算基準

プロジェクト別原価計算の手順:費目別・部門別・プロジェクト別

基準七は「製造原価は、原則として、その実際発生額を、まず費目別に計算し、次いで原価部門別に計算し、最後に製品別に集計する」と定めています。プロジェクト別原価計算でもこの順序は変わりません。実務の準備作業を含めると次の4段階になります。

  1. コードと科目の設計:プロジェクトコードの採番ルール、原価科目(労務費・外注費・経費・配賦額)、勤怠や工数入力で選べる作業コードを決めます。社内作業用のコード(教育・提案・待機など)も用意しておかないと、間接作業が案件に紛れ込みます。
  2. 費目別計算:給与・外注請求・経費精算を費目ごとに集め、工数×賃率で労務費を計算します。外注費と直接経費は発注書や精算書のプロジェクトコードで直課します。
  3. 部門別計算:コードに紐づかない費用(管理職の給料、オフィス賃料、共通の開発環境など)を部門費として集め、補助部門の費用を製造部門へ配賦します。手続の詳細は部門別原価計算の手続3段階と補助部門費の配賦方法を参照してください。
  4. プロジェクト別集計:部門費を予定配賦率でプロジェクトへ配賦し、直課分と合わせて案件ごとの原価を確定します。完了・引渡し時に収益を認識する案件では、対応する原価を売上原価へ振り替え、それまでは仕掛品として集計します。一定の期間にわたり収益を認識する案件では、未完了でも当期の収益に対応する原価を費用計上します。

間接費の配賦:予定配賦率と配賦基準の選び方

基準三三(二)は「間接費は、原則として予定配賦率をもつて各指図書に配賦する」と定めています。予定配賦率は、一定期間の部門の間接費予定額を、同期間の予定配賦基準(予定作業時間など)で割って求めます(三三(三))。分母になる予定操業度は「技術的に達成可能な最大操業度ではなく、この期間における生産ならびに販売事情を考慮して定めた操業度」です(三三(五))。各プロジェクトへの配賦額は、予定配賦率に各プロジェクトの実際の配賦基準(実際の作業時間など)を掛けて計算します(三三(六)1)。

月末に実際の間接費を実績工数で割って配る方法は、稼働の少ない月に動いた案件ほど原価が膨らみ、同じ作業でも着手した月で原価が変わります。予定配賦率を年度で固定するのは、この揺れを案件の採算から切り離すためです。

配賦基準について、基準三三(五)は操業度を「直接作業時間、機械運転時間、生産数量等間接費の発生と関連ある適当な物量基準」で表示するとしています。労務費が中心のプロジェクト型ビジネスでは、直接作業時間(工数)を既定の基準にすべきです。受注金額や売上高は物量基準ではなく、値引きや契約条件にも左右されるため、開発部門の間接費の発生を適切に表すとは限りません。本社の管理部門費のように販売費および一般管理費として扱う費用を管理会計上で案件に負担させる場合に限って使うのが妥当です。

配賦基準 向く間接費 注意点
直接作業時間(工数) 開発部門の共通費・管理職給与 工数入力の精度に依存
直接労務費 福利厚生費・教育費 単価の高い人の案件に偏る
機械・環境の使用時間 検証環境・クラウド共通費 使用量の計測が必要
受注金額・売上高 本社費(管理会計のみ) 原価が利益と連動し採算が歪む

設例:3プロジェクトの原価集計と配賦差異の仕訳

前提条件と当月のプロジェクト別原価

開発部門の年間間接費予定額を2,400万円、年間の予定直接作業時間を12,000時間とします。予定配賦率は2,400万円÷12,000時間=2,000円/時間です。賃率は4,500円/時間とし、当月はA・B・Cの3案件が動きました。3案件とも当月に着手し、月初の仕掛品残高はゼロとします。この設例では完了・引渡し時に収益を認識し、AとBは当月に完了・納品、Cは翌月に続くものとします。当月の部門間接費の実際発生額は175万円でした(数値はすべて説明用の仮定です)。

項目 A(完了) B(完了) C(継続) 合計
受注金額 6,000,000 1,500,000 2,500,000 10,000,000
直接作業時間 400h 250h 150h 800h
直接労務費(×4,500円) 1,800,000 1,125,000 675,000 3,600,000
外注費 1,200,000 0 300,000 1,500,000
直接経費 80,000 50,000 20,000 150,000
間接費配賦(×2,000円) 800,000 500,000 300,000 1,600,000
プロジェクト原価 3,880,000 1,675,000 1,295,000 6,850,000

Bは受注金額150万円に対して原価167.5万円で、17.5万円の赤字です。予定配賦額の合計160万円と実際発生額175万円の差15万円は、実際が予定を上回った不利差異(借方差異)です。

当月の仕訳と配賦差異の処理

取引 借方 貸方 金額
直接労務費の賦課 仕掛品 賃金 3,600,000
外注費の賦課 仕掛品 外注費 1,500,000
直接経費の賦課 仕掛品 経費 150,000
間接費の予定配賦 仕掛品 製造間接費 1,600,000
A・Bの完了・納品 売上原価 仕掛品 5,555,000
配賦差異の把握 製造間接費配賦差異 製造間接費 150,000

月末の仕掛品残高はCの1,295,000円です。この設例では配賦差異を月々繰り越し、年度末に当年度の売上原価へ賦課する運用とします。基準四七(一)1が定めるのは当年度の売上原価への賦課の原則であり、月々の繰越しを必須としているわけではありません。予定配賦率が不適当で比較的多額の差異が生じる場合、個別原価計算では当年度の売上原価と期末の棚卸資産に配賦します。配賦方法は「指図書別」または「科目別」のいずれかです(四七(一)3(1))。建設業ではCの残高を仕掛品ではなく未成工事支出金で表示します。

受注金額で配賦した場合に隠れる赤字

同じ月の実際間接費175万円を受注金額の比率(6:1.5:2.5)で配ると、Aに105万円、Bに26.25万円、Cに43.75万円が乗ります。Bの原価は直接費117.5万円+26.25万円=143.75万円になり、受注金額150万円に対して6.25万円の黒字に変わります。実績工数の比率で配った場合のBへの配賦額は54.6875万円なので、28.4375万円の間接費がAとCへ移った計算です。

工数を多く使う低単価の案件ほど、売上基準では原価が軽く見えます。値引きして受けた案件や手戻りの多い案件が黒字に見え、同じ条件で受注を続ける判断につながります。プロジェクトの採算を見る目的なら、受注金額や売上で間接費を配るのはやめるべきです。

収益認識との関係:原価比例法・原価回収基準・工事損失引当金

原価比例法で集計原価が進捗度になる仕組み

2021年4月1日以後開始する事業年度から、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」が適用されています(第81項)。同基準第90項により企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」は廃止され、同基準の適用企業では、従来の「工事進行基準」「工事完成基準」に代わり、履行義務の充足に基づいて収益を認識します。なお、中小企業の会計に関する指針(第74項(3))には両基準の規定が残っています。第29号では、一定の期間にわたり充足される履行義務について、進捗度を見積り、それに基づいて収益を認識します(第41項)。進捗度は各決算日に見直します(第43項)。

進捗度の見積方法には、アウトプット法とインプット法があります(企業会計基準適用指針第30号第15項)。インプット法の指標には「発生したコスト」が含まれ(同第20項)、これが実務で原価比例法と呼ばれる方法です。ここでは前節と条件を変え、Cが第29号第38項の要件を満たす単一の履行義務で、原価比例法を適用するものとします。累計原価129.5万円の全額が進捗度を反映し、見積総原価を200万円とすると、進捗度は129.5万円÷200万円=64.75%、当月までの収益は250万円×64.75%=161.875万円になります。プロジェクト別に集計した原価が、そのまま収益の計算式の分子に入ります。

ただし、契約の価格に反映されていない著しく非効率な履行で発生したコストに対応する収益は認識しません(適用指針第22項(1))。手戻りで膨らんだ原価を分子に入れれば、その分だけ進捗度と収益が過大になります。

進捗度を見積れない場合と短期案件の代替的取扱い

進捗度を合理的に見積ることができる場合にのみ、一定の期間にわたり収益を認識します(第29号第44項)。見積れないが発生する費用は回収できると見込まれる場合は、見積れるようになるまで原価回収基準(発生した原価と同額の収益を計上する方法)で処理します(同第45項)。詳細な予算を作る前のような契約の初期段階では、収益を認識せず、進捗度を見積れるようになった時点から認識することもできます(適用指針第99項)。

また、取引開始日から履行義務を完全に充足する時点までの期間がごく短い工事契約は、一定の期間にわたる認識をせず、完全に充足した時点で収益を認識できます(同第95項)。受注制作のソフトウェアにも、工事契約に準じてこの取扱いを適用できます(同第96項)。なお、第29号第38項の要件をいずれも満たさない案件は、この代替的取扱いとは関係なく、第39項により一時点で収益を認識します。設例のA・Bのように完了時に仕掛品から売上原価へ振り替える処理は、この2つのどちらかに当てはまる場合に使えます。

赤字が見込まれる案件の工事損失引当金

見積総原価(販売直接経費がある場合はその見積額を含む)が受注額を超過する可能性が高く、その金額を合理的に見積ることができる場合は、超過見込額から既に計上した損益を控除した残額を、損失が見込まれた期の損失として処理し、工事損失引当金を計上します(適用指針第90項)。受注制作のソフトウェアにも準用されます(同第91項)。設例のBのように完了してから赤字が分かる運用では、この引当金を計上する時点を逃します。見積りの誤差が損益に変わる仕組みは見積もり精度が損益に与える影響と受注損失引当金で計算しています。

プロジェクト原価の集計が歪む典型パターンと統制

プロジェクト別原価計算では、計算式が正しくても、工数や費用を誤った案件に入力すると案件別の原価が歪みます。日本公認会計士協会の監査基準報告書540実務ガイダンス第2号は、建設業と受注制作のソフトウェア業の監査で注意すべきリスクとして次の2つを挙げています。

  • 作業日報の恣意的な作成:作業日報を各人が記載・入力して人件費を計上する場合、「実態とは異なる作業日報が恣意的に作成される可能性がある」(第70項)。予算を超えた案件の工数を、余裕のある案件のコードで入力するのが典型です。
  • コストの付け替え:識別された履行義務の間でコストの振替が適時・適切に行われないと「発生したコストの集計が歪められる」(第71項)。原価比例法では、見積総原価と取引価格が変わらない場合、付替額を見積総原価で割った割合に取引価格を掛けた額だけ、付替先の累計収益が過大になります。設例のCなら、10万円の付け替えで収益は12.5万円過大です。

同ガイダンスの付録は、対策として確認すべき業務プロセスを示しています。作業日報については、作成規定・実態に合っているかのモニタリング・変更手続・承認の4点(付録22項)、原価の振替については、振替理由と手続・適時の把握・外注請求書がどの案件のどの作業かを事後に検証できること(付録23項)です。上場企業でなくても、この4点と振替ルールを社内規程に定め、承認記録の保存、実態との照合、差異の調査まで実施することが、プロジェクト別の粗利の信頼性を高めます。工数入力そのものが定着しない場合の立て直しはシステム開発の工数管理が破綻する原因と立て直し方で扱っています。

エクセル運用と原価管理システムの切り替え判断

案件数が少なく、配賦を年1回の予定配賦率で回すだけなら、エクセルでもプロジェクト別原価計算は成立します。表の設計はエクセルで原価計算する方法と崩れない表の設計が参考になります。一方、次の状態になったら、工数・経費・会計をつなぐシステムへの移行を検討する時期です。

  • 勤怠・工数の入力と会計の仕訳が別々のファイルにあり、月次の突合に毎月手作業が発生している
  • 一定期間にわたり収益を認識する契約があり、決算日ごとに見積総原価と進捗度を見直す必要がある(第29号第43項)
  • 案件間の原価振替の理由と承認を記録として残す必要があり、上書きされるセルでは履歴が追えない

導入の進め方は原価管理システム導入の流れ、製品の機能と選び方は原価管理システムとは?機能と選び方にまとめています。

よくある質問

プロジェクト別原価計算と個別原価計算の違いは?

計算方法としては同じものです。原価計算基準の正式な呼び方は個別原価計算(三一)で、指図書ごとに直接費と間接費を集計します。この指図書をプロジェクトコードに置き換えて運用するものを、受託開発や建設などの現場でプロジェクト別原価計算と呼んでいます。

プロジェクトの原価に営業や管理部門の人件費は含めますか?

製造原価としての集計には含めません。原価計算基準は原価要素を製造原価要素と販売費および一般管理費の要素に分けており(八)、営業・経理・総務の人件費は後者です。ただし管理会計で案件の最終的な利益まで見たい場合は、製造原価とは別の段として本社費を配賦し、「プロジェクト原価」と「本社費配賦後の利益」を分けて表示します。

間接費の配賦基準は工数と売上のどちらがよいですか?

労務中心の案件に共通する開発部門費は、工数(直接作業時間)を基本に配賦します。ただし、共通クラウド費など使用量との対応が強い費用は、その使用量を基準にします。原価計算基準三三(五)は操業度を間接費の発生と関連のある物量基準で表すとしており、売上は物量基準ではありません。設例のとおり、売上や受注金額で配ると工数のかかる低単価の案件の赤字が隠れます。

完了していないプロジェクトの原価はどう処理しますか?

完了時に収益を認識する案件は、集計した原価を仕掛品(建設業では未成工事支出金)として期末の貸借対照表に残し、完了・引渡しの期に売上原価へ振り替えます。一定の期間にわたり収益を認識する案件は、原価比例法などで進捗度を出し、その期の収益と原価を計上します(企業会計基準第29号第41項)。

工事進行基準はまだ使えますか?

企業会計基準第29号を適用する企業と、中小企業の会計に関する指針に拠る企業では扱いが異なります。中小会計指針の第74項(3)には工事進行基準と工事完成基準が残っています。一方、企業会計基準第29号の適用企業では、2021年4月1日以後開始する事業年度から同基準が原則適用となり、工事進行基準を定めていた企業会計基準第15号は廃止されました(第29号第90項)。考え方は「一定の期間にわたり充足される履行義務」として引き継がれ、進捗度の見積方法の一つとして原価比例法(コストに基づくインプット法)が使われています。

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