粗利ミックスとは、粗利率の違う商品や部門の売上構成を組み合わせて、店や会社全体の粗利を設計する考え方です。測る道具は「売上構成比×粗利率」で求める相乗積で、部門ごとの相乗積を足すと全体の粗利率に一致します。この記事では、食品スーパー5部門の数値で相乗積を計算し、Excelの式、粗利構成比を使った部門の役割の見分け方を示す内容です。後半では、全体の粗利率が前年から動いた原因を構成比の変化と粗利率の変化に分ける計算、品揃えを変える前の試算と見送るべき場面、POSや販売管理のデータから相乗積を毎月自動で出す集計方法を扱います。
まとめ:粗利ミックスは相乗積で測り、構成比と粗利率の要因に分けて品揃えを判断
相乗積は「部門の売上構成比×部門の粗利率」で、言い換えると「部門の粗利額÷全体の売上高」です。全部門を足すと全体の粗利率になるため、どの部門が全体の粗利率を何ポイント支えているかが一目で分かります。
読むときは、相乗積を全体の粗利率で割った粗利構成比を売上構成比と並べます。売上の割に粗利を稼いでいる部門と、集客を担って粗利の取り分が小さい部門の役割の違いが、数字で明らかになるためです。全体の粗利率が前年から下がったときは、構成比の変化による分と、各部門の粗利率の変化による分に分解すると、品揃えの問題か売り方の問題かを切り分けられます。
構成比を動かす判断は、試算で粗利額が増え、かつ拡大する部門の廃棄や値下げが増えないことを確かめてからです。相乗積の表は、明細に部門コードと売上時点の原価が入っていれば、POSや販売管理のデータから毎月自動で作れます。
粗利ミックスの意味と相乗積の計算式、売上構成比×粗利率が全体の粗利率になる理由
最初に、粗利ミックスという言葉が指す範囲と、それを数字にする相乗積の計算方法を確認します。
粗利ミックスは粗利率の違う商品を組み合わせて全体の粗利額を設計する考え方
粗利は売上高から売上原価を引いた利益で、財務諸表等規則の第83条が損益計算書に「売上総利益」として表示するよう定める金額です。粗利ミックスは、この粗利を商品ごとの率の違いに分けて考えます。
店に並ぶ商品の粗利率はばらばらです。食品スーパーなら、特売の対象になりやすい加工食品は粗利率が低く、店内で調理する惣菜は高くなります。全体の粗利率は、これらの率を売上の大きさで重み付けした平均です。したがって個々の商品の値段や原価を変えなくても、どの商品をどれだけ売るかの構成を変えれば、全体の粗利率と粗利額は動きます。
粗利ミックスは、この「売る構成」を意図して組み立てることを指します。低粗利の商品で客を呼び、高粗利の商品を一緒に買ってもらう売場づくりは、その典型です。粗利という言葉の定義や売上総利益との関係は粗利の定義と売上総利益との関係、商品別の粗利が見えない原因を解説した記事で扱っているので、本稿は構成の測り方と読み方に絞ります。
食品スーパー5部門の相乗積の計算例と、合計25.65%が全体の粗利率に一致する仕組み
月商1億円の食品スーパーを例に、5部門の相乗積を計算します。数値は説明用の例です。
| 部門 | 売上高 | 売上構成比 | 粗利率 | 相乗積 | 粗利額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 青果 | 1,500万円 | 15% | 25% | 3.75% | 375万円 |
| 精肉 | 1,500万円 | 15% | 28% | 4.20% | 420万円 |
| 鮮魚 | 1,000万円 | 10% | 27% | 2.70% | 270万円 |
| 惣菜 | 1,000万円 | 10% | 40% | 4.00% | 400万円 |
| グロサリー(加工食品・日配) | 5,000万円 | 50% | 22% | 11.00% | 1,100万円 |
| 合計 | 1億円 | 100% | - | 25.65% | 2,565万円 |
相乗積の合計25.65%は、粗利額2,565万円を売上高1億円で割った全体の粗利率と一致します。青果の相乗積3.75%は「青果の粗利375万円が、店全体の売上1億円の3.75%に当たる」という意味で、計算式を変形すると「部門の粗利額÷全体の売上高」になるためです。
比較の目安として、中小企業庁の中小企業実態基本調査(令和7年確報=令和6年度決算実績)の統計表から算出すると、小売業の法人企業の粗利率は29.5%でした。業態や商品構成で大きく違うため、この平均と比べるより、自社の部門別の相乗積を月ごとに並べて変化を見るほうが打ち手につながります。
ExcelのSUMPRODUCT関数で相乗積の合計と全体の粗利率を1つの式で求める方法
前の表をExcelで作るなら、A列に部門名、B列に売上構成比、C列に粗利率を入れ、D列の相乗積は=B2*C2で求めます。全体の粗利率は、SUMPRODUCT関数を使えば相乗積の列を作らずに=SUMPRODUCT(B2:B6,C2:C6)の1つの式で出せます。対応するセルどうしを掛けて合計する関数なので、構成比×粗利率の合計をそのまま計算できる仕組みです。
注意したいのは、粗利率の列を平均しないことです。5部門の粗利率を単純平均すると28.4%になり、実際の25.65%から3ポイント近くずれます。売上の大きいグロサリーの低い率が、単純平均では5分の1の重みしか持たないためです。率を平均してはいけない理由と加重平均の式は粗利額・粗利率の計算式とExcelでの集計の落とし穴を解説した記事で詳しく扱っています。
相乗積の表の読み方、売上構成比と粗利構成比のずれで部門の役割を見分ける手順
相乗積の表は、作っただけでは「グロサリーの数字が大きい」としか読めません。売上と粗利のそれぞれで、各部門がどれだけの割合を占めているかを並べて初めて、部門の役割が見えます。
相乗積を全体の粗利率で割った粗利構成比と売上構成比を並べる比較表
各部門の相乗積を全体の粗利率25.65%で割ると、店全体の粗利額のうち、その部門が稼いだ割合(粗利構成比)が出ます。売上構成比と並べた表が次です。
| 部門 | 売上構成比 | 粗利構成比 | 差(粗利−売上) | 読み方 |
|---|---|---|---|---|
| 青果 | 15% | 14.6% | −0.4pt | 店平均並み |
| 精肉 | 15% | 16.4% | +1.4pt | 売上以上に粗利を稼ぐ |
| 鮮魚 | 10% | 10.5% | +0.5pt | 店平均並み |
| 惣菜 | 10% | 15.6% | +5.6pt | 利益を稼ぐ部門 |
| グロサリー | 50% | 42.9% | −7.1pt | 集客を担う部門 |
惣菜は売上の1割で粗利の15.6%を稼ぎ、グロサリーは売上の半分を占めながら粗利の取り分は42.9%です。粗利構成比が売上構成比を上回る部門は、店の平均より粗利率が高い部門と同じ意味になります。差の大きさが、その部門が全体の粗利率を押し上げているか、押し下げているかの強さです。
集客を担う低粗利部門と利益を稼ぐ高粗利部門、相乗積がマイナスになる商品の扱い
表のグロサリーのように、売上構成比に対して粗利構成比が小さい部門を、すぐに縮小の対象にしてはいけません。調味料や牛乳のように来店のたびに買われる商品は、価格で店を選ばれる理由になっており、構成比を下げると客数そのものが減る場合があります。
実務では、部門を「集客部門」と「利益部門」に分けて、それぞれ別の物差しで評価します。集客部門は客数と買上点数、利益部門は粗利構成比と粗利率で見るのが基本です。粗利ミックスの狙いは、集客部門で来た客に利益部門の商品をどれだけ一緒に買ってもらえるかで、売場の配置や惣菜と生鮮の組み合わせ提案はそのための手段です。
原価割れで売る目玉商品(ロスリーダー)は、粗利率がマイナスなので相乗積もマイナスになります。マイナスの相乗積は、その商品が全体の粗利率を何ポイント下げているかを示す値です。チラシの目玉商品を部門に混ぜて集計すると部門の実力が見えにくくなるため、目玉商品だけは別の分類コードで切り出し、販促費として相乗積の大きさを毎回確かめると、販促の費用対効果を比べやすくなります。
全体の粗利率が動いた原因を構成比要因と粗利率要因に分ける、前年比の分解計算
全体の粗利率が前年より下がったとき、原因は2つしかありません。粗利率の低い部門の売上が増えたか、部門ごとの粗利率そのものが下がったかです。相乗積の考え方を使うと、この2つを数字で分けられます。
粗利率25.65%から25.33%への0.32ポイント低下を2つの要因に分ける計算表
前の章の店で、翌年の全体の粗利率が25.33%に下がったとします。分解に使う式は次の2つで、2つを足すと全体の変化に一致します。
- 構成比要因=(今年の売上構成比−前年の売上構成比)×前年の粗利率
- 粗利率要因=今年の売上構成比×(今年の粗利率−前年の粗利率)
- 全体の粗利率の変化=構成比要因の合計+粗利率要因の合計
| 部門 | 構成比(前年→今年) | 粗利率(前年→今年) | 構成比要因 | 粗利率要因 |
|---|---|---|---|---|
| 青果 | 15%→15% | 25%→24% | 0.00pt | −0.15pt |
| 精肉 | 15%→13% | 28%→28% | −0.56pt | 0.00pt |
| 鮮魚 | 10%→9% | 27%→27% | −0.27pt | 0.00pt |
| 惣菜 | 10%→12% | 40%→37% | +0.80pt | −0.36pt |
| グロサリー | 50%→51% | 22%→22% | +0.22pt | 0.00pt |
| 合計 | - | 25.65%→25.33% | +0.19pt | −0.51pt |
構成比要因が+0.19ポイント、粗利率要因が−0.51ポイントで、合計すると−0.32ポイントの低下です。構成比の動きはむしろ全体の粗利率を押し上げており、下げた原因は部門の粗利率の低下だと分かります。
構成比は改善したのに惣菜の粗利率が3ポイント落ちた例から読む、次に打つ手
分解表で最も大きいのは、惣菜の構成比要因+0.80ポイントと粗利率要因−0.36ポイントの組み合わせです。惣菜の売上を伸ばして構成比を2ポイント上げた一方で、惣菜の粗利率が40%から37%に落ちています。
この形は、売上を伸ばすために作る量を増やし、売れ残りの値引や廃棄が増えたときによく現れます。全体の粗利率だけを見ていると「惣菜を伸ばしたのに粗利率が下がった、惣菜強化は失敗だ」と読み違えますが、品揃えの方向は合っており、直すべきは製造量と値引の運用です。次に見るのは、惣菜の時間帯別の売上と値引額、廃棄額で、夕方以降の値引率が上がっていれば製造計画を見直します。
反対に、構成比要因が大きくマイナスなら品揃えや売場の問題です。精肉と鮮魚の構成比が下がった今回の例では、来店客の買い回りが落ちていないか、売場の面積や品数を減らしていないかを確かめます。分解の結果によって、商品部が動くのか店舗の運用を直すのかが変わる点に、この計算の価値があります。
粗利ミックスで品揃えを変える判断、構成比を5ポイント動かす試算と見送る場面
相乗積の表で利益部門が見えたら、次はその部門の構成比を上げたときに粗利額がどれだけ増えるかを試算します。試算は簡単ですが、前提が崩れると効果は大きく縮みます。
グロサリーから惣菜へ構成比を5ポイント移すと粗利率が0.90ポイント上がる試算
売上高1億円のまま、グロサリーの構成比を50%から45%に下げ、惣菜を10%から15%に上げた場合を計算します。グロサリーの相乗積は11.00%から9.90%に、惣菜は4.00%から6.00%に変わり、全体の粗利率は25.65%から26.55%へ0.90ポイント上がります。粗利額では月2,565万円が2,655万円になり、月90万円、年1,080万円の増加です。
単価も原価も変えずに、売れる構成を変えただけでこれだけ動く、というのが粗利ミックスの効き目です。値上げや仕入値の交渉と並べたときの効き方の比較は、値上げ・原価低減・商品ミックス・値引統制の4手段を数字で比べた記事で扱っています。
高粗利部門を広げて廃棄が増え、効果が3分の1に縮む失敗と見送る業態
前の試算は、惣菜の粗利率が40%のまま保たれる前提です。惣菜の売上を5割増やすために製造量を増やし、売れ残りの廃棄と値引で惣菜の粗利率が36%に落ちたとすると、惣菜の相乗積は6.00%ではなく5.40%です。全体の粗利率は25.95%で、上昇幅は0.90ポイントから0.30ポイントへ3分の1に縮みます。月の粗利額の増加も90万円から30万円になり、増やした製造の人件費で消える水準です。
高粗利の部門は、売れ残りが粗利率に直結する生鮮や惣菜、回転の遅い雑貨であることが多く、構成比を上げるほどロスも増えます。在庫の回転まで含めた判断には、粗利率と商品回転率を掛けた交差比率も並べてください。在庫の回転を明細から追う仕組みは在庫管理システムの入出庫管理と引当の仕組みを解説した記事で整理しています。
粗利ミックスで品揃えを動かすこと自体を見送るべき業態もあります。処方箋の調剤や取引先から品番を指定される卸のように、売る商品を店側が選べない商売では、構成比は顧客が決めるため、相乗積は結果の確認にしか使えません。商品数が少なく部門間の粗利率の差が5ポイント未満の店も、構成比を動かしても全体の粗利率はほとんど変わらないため、値引の統制や仕入値の交渉を優先してください。
POS・販売管理データから相乗積を自動集計する、明細の条件と集計SQLの例
相乗積の表を毎月手で作ると、部門の集計と原価の突き合わせだけで数日かかります。明細の持ち方を整えれば、POSや販売管理のデータから自動で出せます。
部門コードと売上時点の原価単価が明細にないと相乗積が出せない理由
相乗積の計算に必要なのは、部門ごとの売上高と粗利額です。そのためには売上明細の1行ごとに、どの部門の商品かを示す部門コードと、その行の売上原価が入っている必要があります。
多くのPOSは部門別の売上高までは出せますが、原価を持っていない機種もあります。その場合、仕入データから部門別の原価率を推定して掛けることになり、値下げや廃棄の影響が粗利率に反映されません。前の章の惣菜の例のように、ロスによる粗利率の低下を捉えるには、売上明細に値引後の売価と、売上時点の原価単価を値で書き込む設計が前提です。POSの機能の範囲と販売管理との連携の仕方はPOSシステムの仕組みと種類、自社開発の判断を解説した記事を参照してください。
もう1つの条件は、部門コードの粒度が年をまたいで変わらないことです。売場の改装で部門を組み替えたときは、旧部門と新部門の対応表を残しておかないと、前年比の要因分解ができなくなります。
部門別の相乗積を月次で出す集計SQLと、相乗積=部門粗利額÷全体売上高の関係
売上明細のテーブル sales_lines に、売上日、部門コード、値引後の売上金額、売上原価の金額が入っているとします。PostgreSQLで2026年9月分の部門別の売上構成比、粗利率、相乗積を出すSQLの例です。
SELECT
dept_code,
SUM(sales_amount) AS sales,
SUM(sales_amount - cost_amount) AS gross_profit,
ROUND(100.0 * SUM(sales_amount) / SUM(SUM(sales_amount)) OVER (), 2) AS sales_share_pct,
ROUND(100.0 * SUM(sales_amount - cost_amount) / SUM(sales_amount), 2) AS gp_rate_pct,
ROUND(100.0 * SUM(sales_amount - cost_amount) / SUM(SUM(sales_amount)) OVER (), 2) AS sojoseki_pct
FROM sales_lines
WHERE sales_date >= DATE '2026-09-01'
AND sales_date < DATE '2026-10-01'
GROUP BY dept_code
ORDER BY sojoseki_pct DESC;
相乗積の列は、構成比と粗利率を掛けずに「部門の粗利額÷全体の売上高」で直接求めています。掛け算で出すと、丸めた構成比と粗利率の誤差が積み重なり、合計が全体の粗利率と小数点以下でずれるためです。SUM(SUM(sales_amount)) OVER () は、部門ごとに集計した売上をさらに全部門で合計するウィンドウ関数の書き方です。返品を負の金額の明細として持っていれば、そのまま差し引かれます。POSとECの売上を1つの明細にまとめて部門別に集計する設計は、小売業の販売管理システムでPOS・EC連携と多店舗在庫を扱う判断軸を解説した記事で整理しています。
Excel集計で足りる規模と、販売管理システムで自動化を検討する3つの条件
部門が10以下、店舗が1つで、POSから部門別の売上と原価をCSVで出せるなら、Excelで十分です。毎月CSVを貼り付け、SUMPRODUCTで全体の粗利率を出し、前年の同じ月と並べて要因分解の表を作れば、粗利ミックスの管理は回ります。
自動化を検討するのは、次の3つのいずれかに当てはまる場合です。1つ目は、POS・EC・外商など複数の販路の売上を手で合算している場合で、販路ごとに部門コードが違うと合算のたびに読み替えが発生します。2つ目は、明細に原価が無く、部門別の粗利率を推定値で出している場合です。3つ目は、店舗が複数あり、店舗別×部門別の相乗積を週次で見たい場合で、表計算では集計の手間が店舗数に比例して増えます。
この段階では、売上明細に部門コードと売上時点の原価を持たせ、相乗積と要因分解を毎月自動で出す仕組みを作る段階です。既存のPOSや会計ソフトのデータを残したまま明細の項目から設計し直したいなら、販売管理システム開発のように集計の要件定義から相談できる開発会社を選ぶと、店舗別・部門別の相乗積を集計作業なしで確認できます。集計結果をグラフで見る段階では、BIツールのダッシュボードでできることと選定軸を解説した記事も判断材料になります。
よくある質問
粗利ミックスと相乗積について、よく挙がる質問に答えます。
粗利ミックスと相乗積の違いは何ですか?
粗利ミックスは、粗利率の違う商品の売上構成を組み合わせて全体の粗利を設計する考え方や手法の名前です。相乗積は、その構成を数字で測るための指標で、部門ごとの「売上構成比×粗利率」で求めます。粗利ミックスを計画するときも、結果を確かめるときも、使うのは相乗積の表です。相乗積の合計は全体の粗利率に一致するので、どの部門の構成を変えると全体の率が何ポイント動くかを、表の上で試算できます。
値入ミックスと粗利ミックスは何が違いますか?
違いは使う率の時点です。値入ミックスは、仕入の時点で決める値入率(売価に対する見込みの利益の割合)で構成を組む計画段階の考え方です。粗利ミックスは、値下げや廃棄を反映した後の実際の粗利率で構成を測ります。計画は値入率で立て、結果は粗利率で確かめる、という使い分けが基本です。値入率と粗利率の差が大きい部門は、ロスが多い部門だと読めます。値入率と粗利率の違いは粗利計算の方法と値入率との違いを解説した記事で扱っています。
相乗積の合計が全体の粗利率と一致しないのはなぜですか?
多くの場合、集計の範囲がずれています。部門別の集計に含めていない売上(目玉商品の別コード、外商、テナント収入など)があると、全体の売上高と部門の売上高の合計が一致しません。部門別の原価を推定の原価率で出していて、決算の売上原価には棚卸の減耗や廃棄が入っている場合も、ずれが出ます。構成比と粗利率を四捨五入してから掛けた場合も、小数点以下で合わなくなる原因です。部門の粗利額を全体の売上高で割る方法で計算すると、丸めの誤差は避けられます。
小売業の粗利率の平均はどのくらいですか?
中小企業実態基本調査(令和7年確報=令和6年度決算実績)の統計表から算出すると、小売業の法人企業の粗利率は29.5%です。ただし、食品スーパー、ドラッグストア、衣料品店では商品構成がまったく違い、平均値の意味は薄くなります。比べるなら、同じ業態の他社よりも、自社の部門別の相乗積を前年の同じ月と並べるほうが、どの部門で何が起きたかが分かります。
飲食店でも粗利ミックスの考え方は使えますか?
使えます。飲食店ではメニューごとの原価率がばらばらで、原価率の高い看板メニューで客を呼び、原価率の低いドリンクやサイドメニューで粗利を確保する組み立てが、そのまま粗利ミックスです。メニュー別の売上構成比と粗利率から相乗積を出せば、どのメニューが店全体の粗利率を支えているかが分かります。セットメニューは単品に分けて原価を割り当てないと、メニュー別の粗利率が出せない点に注意してください。
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