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リースの消費税はいつ課税されるか|ファイナンス・リースの一括控除と分割控除、二重課税の誤解、リースバックまで

リースの消費税はいつ課税されるか|ファイナンス・リースの一括控除と分割控除、二重課税の誤解、リースバックまで

リース料の請求書には毎月消費税額が書かれているのに、経理では初年度に全額を控除する。請求書の支払と消費税の控除時期は、必ずしも一致しません。消費税法はリース取引を「資産の譲渡」「資産の貸付け」「金銭の貸付け」のいずれかに割り当て、どれに当たるかで課税される時期と対象額が変わるからです。この記事では、国税庁のタックスアンサーNo.6163、消費税法基本通達、質疑応答事例の逐語を根拠に、一括控除と分割控除の判定と仕訳、二重課税に見える2つの理由、リースバックの消費税、令和7年度改正で変わった通達、旧税率8%のまま続く契約までを整理します。

まとめ:リースの消費税で結論が決まる7点

  • 売買があったものとされるリース取引は、リース資産の引渡し日に資産の譲渡があったことになる(国税庁No.6163)。賃借人はその課税期間にリース料総額を課税仕入れとして一括控除するのが原則。
  • 所有権移転外リース取引で賃借人が会計上賃貸借処理をしている場合だけ、支払うべき日ごとの分割控除が認められる(消費税法基本通達11-3-2ただし書き)。途中で控除時期を変えて残額をまとめて控除することはできない。
  • 毎月の支払に消費税が重ねてかかることはない。一括控除したうえで毎月の支払も課税仕入れに計上すると、二重課税ではなく仕入税額の二重控除になる。リース料に織り込まれた固定資産税・保険料相当額も、リース料の一部として課税される。
  • 契約で利子相当額を区分表示すると、その部分は非課税になり課税仕入れから外れる。
  • 金融取引とされるリースバックは売買がなかったものとされ(譲渡代金の支払時に金銭の貸付け)、その後のリース料も元本部分は課税対象外、利息相当額は非課税。個人が自宅を売って住み続ける住宅リースバックは、売却も家賃も消費税がかからない。
  • 令和7年度改正で延払基準の特例は令和7年4月1日に廃止され、債務不履行による取戻し(11-3-2の2)と残価保証額(9-1-31)の通達が加わった。借手の一括控除・分割控除の判断は変わらない。
  • 平成26年4月1日から平成31年9月30日までに引渡しを受けたリース資産を分割控除している場合、令和元年10月1日以後の支払分も旧税率8%で控除する。

リース取引の消費税区分と3つの判定類型

消費税法基本通達5-1-9は「事業者が行うリース取引が、当該リース取引の目的となる資産の譲渡若しくは貸付け又は金銭の貸付けのいずれに該当するかは、原則として、所得税又は法人税の課税所得の計算における取扱いの例により判定する」と定めています。消費税の取引区分は、原則として法人税・所得税の取扱いに従って判定します。判定するのは取引の区分で、課税の時期まで法人税と一致するとは限りません(後述のフリーレントが一例です)。この通達は令和7年に改正されました(令7課消2-9)。

類型 代表例 課税関係 消費税が認識される時点
資産の譲渡 所有権移転・移転外ファイナンス・リース 課税 リース資産の引渡し日
資産の貸付け オペレーティング・リース、レンタル 課税(土地・住宅を除く) 支払を受けるべき日
金銭の貸付け 金融取引とされるセール・アンド・リースバック 元本は対象外・利息は非課税 譲渡代金の支払時に貸付け

売買があったものとされるリース取引

解約不能かつフルペイアウトという2要件を満たすリース取引は、法人税法第64条の2第1項および所得税法第67条の2第1項により、引渡しの時に売買があったものとされます。所有権移転外ファイナンス・リースもここに含まれます。基本通達5-1-9(1)の注は「資産の譲渡の対価の額は、当該リース取引に係る契約において定められたリース資産の賃貸借期間中に収受すべきリース料の額の合計額となる」としており、課税対象は月額リース料ではなくリース料総額です。

資産の貸付けとして扱うリース取引

2要件を満たさない通常のリースは資産の貸付けで、各課税期間に対応するリース料が課税仕入れになります。レンタルも同じ資産の貸付けで、消費税の扱いに差はありません(会計上の違いはリースとレンタルの違い|比較表と2027年新リース会計基準で変わる点で整理しています)。ファイナンス・リースかどうかの判定基準はファイナンスリースとオペレーティングリースの違い|判定基準と仕訳・会計処理、新リース会計基準で変わる範囲を参照してください。

金銭の貸付けとされるリース取引は非課税

基本通達5-1-9(2)は「法法第64条の2第2項の規定により金銭の貸借があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産に係る譲渡代金の支払の時に金銭の貸付けがあったこととなる」としています。自社の資産を売却して同じ資産をリースで借り戻すセール・アンド・リースバックのうち、実質が資金調達と判定されるものです。判定と、その後のリース料の扱いは後述のリースバックの章で説明します。

ファイナンス・リースの課税仕入れの時期と対象額

国税庁No.6163は賃借人の処理について「リース取引による資産の譲受けが課税仕入れに該当する場合には、その課税仕入れを行った日はそのリース資産の引渡しを受けた日となります」と明記しています。基本通達11-3-2も同じ結論です。所有権移転かどうかは関係なく、移転外ファイナンス・リースでも一括控除が原則です。

以下の数値例は、原則課税を適用し、帳簿・適格請求書等の保存要件を満たし、当該仕入税額を全額控除できる場合を前提とします。税率10%、利子相当額の区分表示なし、5年契約で月額11万円(税込)、リース料総額660万円のコピー機を借りた場合、引渡しを受けた課税期間に600万円の課税仕入れと60万円の消費税額を認識します。2年目以降の支払では課税仕入れは生じません。

契約で区分表示した利子相当額の非課税扱い

No.6163の注1は「リース取引の契約においてリース料のうち利子に相当する部分とそれ以外の部分に区分表示されている場合には、利子に相当する部分は非課税となりますので、その部分は課税仕入れとはなりません」と定めています。根拠は消費税法第6条・別表第二第3号・消費税法施行令第10条第3項第15号です。質疑応答事例「リース契約書において利息相当額を区分して表示した場合の取扱い」によれば、賃貸人は利息相当額を期間の経過に応じて非課税売上げとし、賃借人は明示された利息相当額を非課税仕入れとして処理します。

上の例で、税抜リース料総額600万円のうち契約書に利息相当額40万円が明示されていれば、課税仕入れの対価は560万円、一括控除する消費税額は56万円です。明示がなければ600万円全体が課税仕入れの対象で、消費税額は60万円になります。利子相当額を非課税にできるかは、リース契約でその金額が区分表示されているかにより判定します。請求書の書式だけで判断せず、計上前に契約内容を確認してください。

一括控除と分割控除の仕訳例

会計上は賃貸借処理(毎月の支払リース料を費用計上)のまま、消費税だけ一括控除することもできます。この場合、引渡し時に消費税額の全額を仮払消費税として計上し、相手科目を未払金にしておき、毎月の支払で取り崩します。上の例(税抜月額10万円・消費税1万円・60回払い、利息の明示なし)で、税抜経理の一例を示します。

時点 一括控除(会計は賃貸借処理) 分割控除(会計は賃貸借処理)
引渡し時 仮払消費税等 600,000 / 未払金 600,000 仕訳なし
毎月の支払 支払リース料 100,000・未払金 10,000 / 普通預金 110,000 支払リース料 100,000・仮払消費税等 10,000 / 普通預金 110,000
仕入税額控除 引渡し日の課税期間に60万円 各課税期間に支払うべき分(年12万円)

勘定科目の名称は会社の設定によります。会計上も売買処理をする場合の仕訳とリース債務の区分はリース債務とは?リース負債との違い・仕訳・流動/固定区分を2027年新基準まで解説で扱っています。

残価保証額の引渡し時の除外と確定時の課税

リース期間終了時にリース資産の処分価額が保証額に満たなければ、その差額を賃借人が支払う残価保証の契約があります。令和7年に追加された消費税法基本通達9-1-31は、リース期間の終了に伴う資産の返還は資産の譲渡等に該当しないとしたうえで、「残価保証額の定めに基づき賃貸人が賃借人から収受する金銭は、その収受すべき金額が確定した日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に加算する」と定めています。リース事業協会のリース取引の税務上の取扱いに関するQ&A【消費税編】Q5も、賃借人が保証する残価保証額は引渡し時の対価に含まれないと答えています。引渡し時に一括控除するのはリース料総額だけで、保証額まで含めて控除すると過大になります。

二重課税に見える2つの理由と仕入税額の二重控除

二重課税との混同を避けるため、毎月の消費税表示と、リース料に含まれる固定資産税・保険料相当額を分けて説明します。どちらも正しく処理していれば税が二重にかかることはありません。

毎月の請求書に載る消費税額と一括控除の関係

「引渡し時に消費税を全額控除したのに、毎月の請求書にも消費税が書かれている」という疑問は、課税の対象と支払のタイミングを同じものと見ていることから生じます。ファイナンス・リースで課税されるのは引渡し時の資産の譲渡1回だけで、毎月の請求書の消費税額は、その1回分としてすでに認識済みの税額の内訳です。

誤りが起きるのは、引渡し時に一括控除しておきながら、毎月の支払も課税仕入れとして計上してしまう場合です。これは二重課税ではなく仕入税額の二重控除で、控除が過大になります。会計システムで支払リース料の仕訳に課税仕入れの税区分が付いたままになっていると発生するので、一括控除を選んだら月々の支払は上の表のとおり対象外の区分にします。

リース料に含まれる固定資産税・保険料相当額

リース料の算定には、リース会社が負担する固定資産税(償却資産税)や動産総合保険料が織り込まれています。固定資産税は税金なのに、それを含むリース料に消費税がかかるのは「税に税をかける二重課税だ」という疑問です。

消費税法基本通達10-1-4は、事業者が受け取る金銭に「当該事業者が国又は地方公共団体に対して本来納付すべきものとされている印紙税、手数料等に相当する金額が含まれている場合であっても」、その金額を課税資産の譲渡等の金額から控除することはできないとしています。リース資産の固定資産税を納めるのは所有者であるリース会社なので、それを織り込んだリース料は全体がリース会社の受け取る対価です。保険料相当額も同じで、借手が保険契約者として別に払っているわけではありません。同じ通達の注は、借手側が本来納付すべき登録免許税や自動車重量税等を、それとして受け取ったことが明らかな場合は対価に含まれないとしているので、自動車リースの請求書で法定費用が別建てされているときは内訳を確認してください。償却資産税の申告義務者はリース資産の償却資産税は誰が申告するのか|貸主・借主の判定と20万円未満の除外を条文で整理で整理しています。

賃貸借処理による分割控除で押さえる4点

基本通達11-3-2のただし書きは「所有権移転外リース取引につき、賃借人が支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する課税期間の賃借料等として経理している場合において、当該リース料をその支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとしているときは、これを認める」としています。中小企業がリース料を賃借料として費用処理している実務を、消費税の側でも認める規定です。継続適用を条件とする文言はありませんが、分割控除を選んだ後は次の制約がかかり、契約途中で控除時期を任意に変えることはできません。

分割控除中の任意の控除時期変更の禁止

国税庁の質疑応答事例「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い」の参考1は、金額で不可の例を示しています。「賃貸借処理しているリース期間が3年の移転外リース取引(リース料総額990,000円)について、リース期間の初年度にその課税期間に支払うべきリース料(330,000円)について仕入税額控除を行い、2年目にその課税期間に支払うべきリース料と残額の合計額(660,000円)について仕入税額控除を行うといった処理は認められません」。契約が続き賃貸借処理をしている間は、各課税期間に支払うべきリース料を控除します。

簡易課税・免税から原則課税への移行後の分割控除

同じ参考2は、初年度に簡易課税制度を適用して2年目以降に原則課税へ移行した場合と、初年度に免税事業者だった者が2年目以降に課税事業者となった場合について、「リース期間の2年目以降の課税期間については、その課税期間に支払うべきリース料について仕入税額控除することができます」としています。控除できるのは移行後の各課税期間に支払うべきリース料に対応する部分で、初年度分を遡って控除できるわけではありません。課税事業者になる時期の判定は消費税の課税事業者と免税事業者の判定基準|基準期間の課税売上高1,000万円の数え方で確認してください。

分割控除に用いる適格請求書の保存期間と起算日

分割控除していても、適格請求書が毎月交付されるとは限りません。国税庁のインボイス制度Q&A問99は「移転外リース取引における適格請求書については、リース資産の引渡し時に当該リース取引の全額に対する適格請求書が交付されるものと考えられます」としたうえで、その1枚を保存することで各課税期間の仕入税額控除の要件を満たすとしています。保存期間は「リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間」です。10年契約では、引渡しから17年を超える保存が必要になることがあります。

同じ問99の注は、令和5年10月1日前に行われた移転外リース取引を分割控除している場合、同日以後に計上する課税仕入れについては「区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることとなります」と定めています。インボイス制度の開始前に引渡しを受けたリースについて、リース会社に適格請求書を求める必要はありません。

中途解約したときの残存リース料と資産の返還

質疑応答事例「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が分割控除している場合の残存リース料の取扱い」によれば、分割控除中に解約した場合、残存リース料は解約日の属する課税期間の仕入税額控除の対象になります。解約以降は賃貸借処理が続かないので分割控除は認められませんが、残存リース料はもともとリース資産の譲受けの対価だからです。リース物件を返還して残存リース料が減額された場合は、賃借人が返還時に資産の譲渡を行ったものとして扱われ、借手に課税売上げが立ちます。物件の滅失等によって賃貸人に保険金が支払われ、残存リース料が減額される場合や、資産の陳腐化に伴い双方の合意で物件を廃棄して減額する場合は、その減額分を仕入れに係る対価の返還として扱います。一括控除済みの場合は、残存リース料の支払で改めて控除することはありません。

オペレーティング・リースの控除時期と前払リース料

売買扱いにならないリース取引は資産の貸付けなので、貸付けに対応する各課税期間で課税仕入れを認識します。貸手側の時期を定める消費税法基本通達9-1-20は、賃貸借契約に基づく使用料等の資産の譲渡等の時期を「当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日」としています。所有権移転外ファイナンス・リースの分割控除と支払のタイミングは同じに見えますが、オペレーティング・リースはもともとその課税期間の取引であり、分割控除は資産の譲渡を賃貸借処理に合わせて認めた例外です。

この違いは、決算期をまたぐ前払リース料で表面化します。オペレーティング・リースで1年分を前払いした場合、短期前払費用の取扱い(法人税基本通達2-2-14)の適用を受けているなら、基本通達11-3-8により「その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱う」ことになります。所有権移転外ファイナンス・リースの分割控除にこの取扱いはありません。

リースバックの金融取引・売買の判定と消費税

セール・アンド・リースバックは、売却とリースの2つの取引に分けて見ます。法人税法第64条の2第2項で金銭の貸借とされるかどうかで、売却時と毎月のリース料の両方の消費税が変わります。

金融取引とされるリースバックの判定

法人税法第64条の2第2項は、譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る)を条件に資産を売買した場合に、「当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるとき」は、売買はなかったものとし、金銭の貸付けがあったものとすると定めています。法人税基本通達12の5-2-1は、その資産を担保とする金融取引を目的とするものかどうかで判定するとし、該当しない例として、事務の効率化や通関事務の専門性などの相当な理由があって借手が代わりに資産を購入し、仮勘定で経理して購入価額のまま譲渡するもの、事業に使っている資産の管理事務の省力化等のために行うものを挙げています。前提として、リースバックのリースが解約不能・フルペイアウトのリース取引に当たらなければ、この規定は使われません。税務のこの判定とは別に、会計上は新リース会計基準の適用指針で売却と金融取引を分けます。会計の判定と仕訳はセールアンドリースバックの会計処理:新リース会計基準の判定4段階と仕訳例で扱っています。

金融取引型のリース料は元本が課税対象外・利息相当額が非課税

金銭の貸借とされると、売却代金は借入金になり、売却時に課税売上げは立ちません。法人税基本通達12の5-2-2は、リース料総額のうち借入金に相当する金額を元本返済額として扱い、元本と利息の区分は通常の金融取引に準じて合理的に行う(元本が均等に含まれているものとして処理してもよい)としています。リース事業協会のQ&A【消費税編】Q1は、このリース料について「借入金の元本返済額は消費税の課税対象とはならず、利息相当額となる元本返済額以外の金額においては、『貸付金の利子を対価とする役務の提供』として非課税」と答えています。金融取引型のリースバックでは、毎月のリース料に課税仕入れはありません。請求書に消費税額が載っていたら、リース会社と判定の前提を確認してください。

売買とされるリースバックでは、売却は通常の資産の譲渡として課税され、借り戻しはリースの内容に応じてファイナンス・リース(引渡し時に一括控除)かオペレーティング・リース(各期の課税仕入れ)になります。

住宅・事業用不動産のリースバック

個人が自宅を不動産会社に売却し、賃料を払って住み続ける住宅リースバックは、売却にも家賃にも消費税がかかりません。消費税は事業者が事業として行う資産の譲渡等に課される税で、個人の自宅の売却は事業としての譲渡ではないからです。個人事業者でも、事業資金を得るための家事用資産の譲渡は付随行為に含まれないと消費税法基本通達5-1-8が明記しています。売却後の家賃は住宅の貸付けとして非課税です(国税庁No.6201)。

法人の事務所ビルや店舗のリースバックも、まず金融取引に該当するかを判定します。売買が成立し、借戻しが通常の賃貸借になる場合は、建物部分が課税、土地部分が非課税の譲渡になり、基本通達10-1-5に従って対価を建物と土地に合理的に区分します。借り戻し後の賃料は住宅以外の貸付けなので課税仕入れです。

令和7年度税制改正で廃止された特例と、新設された通達

リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例の廃止

No.6163の注は「令和7年度税制改正により、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例は、令和7年4月1日から廃止されました」としています。貸手であるリース会社が延払基準で経理し、支払期日が到来していない賦払金を課税売上げから除く旧消費税法第16条第1項の特例です。令和7年4月1日前に旧リース譲渡を行っていた事業者は、経過措置により法人は令和12年3月31日以前に開始する事業年度まで、個人事業者は令和12年12月31日以前に開始する課税期間まで延払基準を続けられます。

これは貸手の話です。質疑応答事例16/23には「賃貸人における処理にかかわらず、賃借人において会計上賃貸借処理が可能な場合には、引き続き分割控除して差し支えありません」という一文が追記されており、借手が分割控除をやめる必要はありません。

債務不履行による資産取戻しの課税仕入れと代物弁済

同じ令和7年の改正(令7課消2-9)で、基本通達11-3-2の2が追加されました。「事業者がリース取引によるリース資産の引渡しをした後において、相手方の代金の支払遅延等の理由により契約を解除し、リース期間の中途において当該リース資産を取り戻した場合には、その取戻しは、その取戻しをした時における当該リース資産の価額を支払対価とする課税仕入れを行ったことになる」。注により「当該相手方は、当該資産につき代物弁済による資産の譲渡を行ったことになる」とされます。支払が滞って資産を引き揚げられた借手側にも課税売上げが発生します。

旧税率8%が適用されるリース契約の条件

分割控除している所有権移転外ファイナンス・リース

国税庁の経過措置Q&A問25は「26年施行日から31年施行日の前日までに引渡しを受けたリース資産に係る分割控除については、31年旧消費税法が適用され、31年施行日以後の支払に係る分割控除は、旧税率(8%)に基づき行うこととなります」と答えています。所有権移転外ファイナンス・リースはリース資産の譲渡として扱われ、譲渡があった時の税率が適用されるためです。26年施行日は平成26年4月1日、31年施行日は令和元年10月1日を指します。契約期間が10年に及ぶ設備では、いまも8%で処理している分割控除が残ります。

資産の貸付けの経過措置が適用されるオペレーティング・リース

オペレーティング・リースは、平成25年10月1日から平成31年3月31日までに締結した契約に基づき令和元年10月1日前から引き続き貸付けを行っている場合で、契約内容が要件に該当するときに旧税率8%が適用されます。要件は経過措置Q&A問28にあり、①貸付期間と期間中の対価の額が定められていることを前提に、②対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと、または③いつでも解約の申入れができる旨の定めがなく、かつ資産の取得費用と付随費用の合計額のうちに契約期間中の対価の額の合計額が占める割合が90%以上であるように定められていることです。メンテナンス料込みのコピー機リースについて問26は、メンテナンスを賃貸人の責任で行いリース料に織り込んでいる場合は月額料金の全額に経過措置が適用され、顧客の選択で別契約として付加するメンテナンス料には適用されないと区別しています。

非課税になるリースと、契約の終了・変更に伴う消費税

土地・住宅の貸付けは非課税

国税庁No.6201によれば、土地の譲渡および貸付けは非課税ですが、「1か月未満の土地の貸付けおよび駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません」。住宅の貸付けは、契約で居住用と明らかにされているもののほか、貸付け等の状況から居住用であることが明らかなものを含み、1か月未満の貸付けと旅館業に係る施設の貸付けは除かれます。通常の機械・車両・情報機器のリースは課税です。

再リースの課税判定と名目的な再リース料の影響

リース期間満了後の再リースは、当初契約とは別個の取引として課税関係を判定します。注意したいのは、No.5704が所有権移転外リース取引から除かれるものとして「リース期間の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることがリース契約において定められているもの」を挙げている点です。契約書に明示がなくても事実上予定されていると認められるものを含み、該当すると当初のリース取引自体が所有権移転リースになります。

中途解約の規定損害金の消費税判定

基本通達5-2-5は「損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しない」としたうえで、実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは対価に該当すると定めています。平成20年3月31日以前に契約した所有権移転外ファイナンス・リース(当時は資産の貸付け)の質疑応答事例は、契約違反や物件の滅失・毀損による損害金は「課税の対象とはなりません」とし、借換えなどの合意解約で徴収する損害金は賃貸料として課税するとしています。現在のファイナンス・リースは引渡し時に譲渡が済んでいるので、解約時に問題になるのは上で見た残存リース料の控除時期です。

新リース会計基準と消費税の課税時期

企業会計基準第34号を適用する企業では、借手は2027年4月1日以後開始する事業年度から原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上します(2025年4月1日以後開始する事業年度からの早期適用可)。会計上オペレーティング・リースがオンバランスされても、消費税の課税時期は動きません。判定の起点は基本通達5-1-9のとおり法人税・所得税の取扱いで、会計基準ではないからです。基準の適用範囲は新リース会計基準とは?2027年4月適用の変更点とIFRS第16号との違い・経過措置を条文で解説を参照してください。

使用権資産の計上と帳簿要件

国税庁の質疑応答事例「所有権移転外ファイナンス・リース取引における帳簿要件について」によれば、使用権資産はリース負債(利息相当額を控除した現在価値)に付随費用等を加減した額で計上されるため、会計帳簿にはリース料総額が載りません。しかし消費税法上は「賃借人が賃貸人からリース資産の引渡しを受けた日に、当該資産の売買があったものとして、リース料総額をリース資産の譲受けの支払対価の額として仕入れに係る消費税額の控除をする必要があります」。この帳簿要件は、摘要欄にリース料総額を記載するか、使用権資産の計上価額から支払対価の額を算出する資料を作成して保存することで満たせるとされています。

サブリース・転リースの受取額と支払額の総額処理

企業会計基準適用指針第33号第92項は、中間的な貸手がサブリースの借手からリース料を受けない限りヘッドリースの支払義務を負わないなどの要件をすべて満たすサブリースについて、使用権資産とリース負債を計上せず、受け取るリース料と支払うリース料の差額を損益に計上できるとしています。第93項の要件を満たす転リース取引でも、損益計算書では差額を手数料収入として計上できます。ただし、貸借対照表にはリース債権又はリース投資資産とリース負債の双方を計上します。消費税は会計の純額表示に従いません。リース事業協会Q&A【消費税編】Q9は、転リースで差額を手数料収入として処理しても、消費税法上は受け取るリース料総額を資産の譲渡等の対価に、支払うリース料総額を課税仕入れに、それぞれ加算して申告すると答えています。住宅として転貸することが契約で明らかな建物の賃貸借は、元の賃貸借も転貸も住宅の貸付けとして非課税です(基本通達6-13-7)。

フリーレント期間の課税仕入れ

令和7年に追加された法人税基本通達12の5-3-2は、賃料の支払がない又は少額な期間(無償等賃借期間)を定めた賃貸借について、課税上弊害があるもの以外は、支払総額を賃借期間に配分した各事業年度の金額のうち、その事業年度終了の日までに損金経理した金額を損金に算入するとしています。弊害がある例として、無償等賃借期間がないとした場合の支払額との差額が支払額のおおむね2割を超える場合などを挙げています。消費税にはこれに当たる通達がなく、資産の貸付けの時期は基本通達9-1-20の「支払を受けるべき日」です。法人税で賃料を平準化していても、フリーレント期間には課税仕入れが生じず、賃料を支払うべき日の課税期間に控除します。法人税側の通達と申告調整の設例は新リース会計基準と国税庁の対応:法人税法第53条・改正通達と申告調整の設例で解説しています。

よくある質問

リース料に消費税はかかりますか?

機械や車両などのリース料には原則としてかかりますが、土地や住宅の貸付けなどには非課税となるものがあります。ただし課税されるタイミングは取引の種類で違います。売買があったものとされるリース取引は引渡し日にリース料総額が課税の対象となり、資産の貸付けに当たるリース取引では各課税期間に支払を受けるべき分が対象です。契約で利子相当額を区分表示している場合、その部分は非課税です。金融取引とされるリースバックのリース料には課税仕入れがありません。

リースの消費税8%はいつまで続きますか?

平成26年4月1日から平成31年9月30日までに引渡しを受けたリース資産を賃貸借処理で分割控除している場合、契約が終わるまで8%で控除します(経過措置Q&A問25)。オペレーティング・リースは平成25年10月1日から平成31年3月31日までに締結し、令和元年10月1日前から貸付けを開始した要件を満たす契約について、その契約の貸付期間中は8%です。契約更新後も自動的に8%が続くわけではありません。

リース料に消費税が二重課税されることはありますか?

正しく処理していれば起きません。ファイナンス・リースで課税されるのは引渡し時の資産の譲渡1回だけで、毎月の請求書の消費税額はその内訳です。引渡し時に一括控除したうえで月々の支払も課税仕入れに計上すると、二重控除になり修正が必要です。リース料に織り込まれた固定資産税・保険料相当額は、リース会社が受け取る対価の一部として課税されます(基本通達10-1-4)。

リースの違約金は消費税の対象ですか?

名目ではなく実質で判断します。基本通達5-2-5は、資産に加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金は対価に該当しないとしつつ、実質が対価と認められるものは該当するとしています。ファイナンス・リースの残存リース料は、一括控除済みなら再度控除しません。分割控除している場合は、解約日の属する課税期間で残存リース料を控除します。

リースバックの売却に消費税はかかりますか?

金融取引と判定されるかで変わります。法人税法第64条の2第2項で金銭の貸借とされる場合は、売却はなかったものとされ、譲渡代金の支払時に金銭の貸付けがあったことになるので課税されません。売買として扱われる場合は、建物や設備の譲渡として課税されます(土地は非課税)。個人が自宅を売却する住宅リースバックは、事業としての譲渡ではないので消費税はかかりません。

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