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振替伝票とは?書き方と記入例、入金伝票・出金伝票との違いと会計ソフトで起票するときの確認点【2026年版】

振替伝票とは?書き方と記入例、入金伝票・出金伝票との違いと会計ソフトで起票するときの確認点【2026年版】

振替伝票は、現金の出入りを伴わない取引を、借方と貸方の両方に勘定科目と金額を書いて記録する伝票です。売掛金が銀行口座に振り込まれた、商品を掛けで売った、月末に減価償却費を計上した、といった取引がこれに当たります。この記事では、入金伝票・出金伝票との違いと3伝票制での役割、日付・伝票番号・摘要などの欄の書き方と5つの取引の記入例、相手科目が複数ある仕訳の書き方を整理しました。後半では、一部だけ現金が動く取引の2通りの起票、伝票から総勘定元帳への転記と保存期間、会計ソフトや業務システムで振替伝票を扱うときに伝票番号と承認の記録をどう残すかを扱います。

まとめ:振替伝票は現金以外の取引を1枚1仕訳で書く伝票、会計ソフトでは仕訳入力と同じ

3伝票制では、現金が増える取引を入金伝票、減る取引を出金伝票、それ以外のすべてを振替伝票に書きます。振替伝票は借方と貸方の両方に科目と金額を書くので、仕訳1本をそのまま1枚の票にしたものと考えて構いません。

実務で迷うのは、銀行振込やクレジットカードの取引をどの伝票に書くかです。現金を手で受け渡ししない取引は振替伝票、と覚えておけば判断を誤りません。会計ソフトの「振替伝票入力」は仕訳入力の画面そのもので、入力した内容がそのまま仕訳帳と総勘定元帳に反映されます。仕訳1本の考え方と訂正の基本は仕訳とは?書き方の5手順と1行の記載項目で扱っているので、本稿は伝票という票の形と使い方に絞ります。

振替伝票の意味と3伝票制での役割、入金伝票・出金伝票と使い分ける判断の基準

伝票は、取引を1件ずつ紙片やデータに書き、あとで帳簿へまとめるための票です。振替伝票はその中で最も汎用的な1種類です。

振替伝票とは現金の増減を伴わない取引の票、仕訳帳の代わりに綴る伝票会計との関係

仕訳帳は1冊の帳面に取引を発生順に書くため、同時に書けるのは1人です。伝票なら営業担当が売上の伝票を、総務担当が経費の伝票を、それぞれ同時に起票できます。部署ごとに起票した伝票を経理が集め、日付順に綴じて仕訳帳の代わりにする方法を伝票会計と呼びます。

法人税法施行規則の第54条は、青色申告法人に仕訳帳と総勘定元帳その他必要な帳簿を備えるよう求めていますが、伝票を使うかどうかは定めていません。伝票会計で綴った伝票が仕訳帳の役割を果たすには、全取引が漏れなく、発生順に並んでいることが前提です。帳簿としての仕訳帳の様式は仕訳帳の書き方と記入例で解説しています。

入金伝票・出金伝票・振替伝票の違いの表、書く科目の数と起票する取引の例

3つの伝票の違いは、現金を相手にした取引かどうかと、それによって書く科目が1つで済むか2つ要るかにあります。

伝票 起票する取引 書く科目 取引の例
入金伝票 現金が増える 貸方の科目だけ 売上代金を現金で受領
出金伝票 現金が減る 借方の科目だけ 文房具を現金で購入
振替伝票 現金が動かない 借方と貸方の両方 売掛金が口座に入金

入金伝票は借方が必ず現金なので、相手の科目だけを書けば仕訳が決まる仕組みです。出金伝票はその逆で、貸方の現金を省く形式です。振替伝票だけは省ける科目が無いため、借方と貸方の両方を書く形になっています。入金伝票と出金伝票の合計は、その日の現金出納帳の入出金と一致するので、現金の残高確認にも使えます。

1伝票制・3伝票制・5伝票制の違い、売上伝票と仕入伝票を足す会社の条件

伝票の使い方には3つの型があります。1伝票制はすべての取引を仕訳伝票1種類で書く方法で、様式は振替伝票と同じです。3伝票制は入金・出金・振替の3種類を使い分けます。5伝票制は3伝票制に売上伝票と仕入伝票を足したものです。

5伝票制では、売上と仕入はすべていったん掛け取引として売上伝票・仕入伝票に書き、現金で決済した分は別に入金伝票・出金伝票を起票します。掛け売上と掛け仕入の件数が多く、営業と購買の部署が自分で伝票を起こす会社に向く方法です。現金商売の小売店なら3伝票制で足ります。会計ソフトで入力する会社では、伝票の種類を分ける意味が薄れ、1伝票制と同じ振替伝票形式の入力画面だけで運用する例も珍しくありません。

振替伝票の書き方、日付・伝票番号・借方・貸方・摘要の欄と5つの取引の記入例

市販の振替伝票の用紙を例に、各欄に何を書くかと、よく起票する取引の書き方を見ていきます。

振替伝票の様式と各欄の記入方法、起票者印と承認印の欄を空けたまま回さない理由

市販の振替伝票は、おおむね次の欄で構成されています。

  • 日付:取引が起きた日。起票した日ではない
  • 伝票番号:起票の順に振る通し番号。月ごとに1から振り直す会社もある
  • 借方科目と借方金額:左側の欄
  • 貸方科目と貸方金額:右側の欄
  • 摘要:取引先と取引の内容。請求書番号などの証憑の番号も書く
  • 合計:借方と貸方それぞれの合計。必ず一致させる
  • 起票者印・承認印:誰が書き、誰が確認したかの記録

押印欄は飾りではありません。振替伝票は現金を伴わないぶん、架空の売上や費用の付け替えにも使えてしまいます。起票者と承認者を別の人にし、承認印のない伝票は帳簿に入れない、という決まりが不正と誤りの両方を止めます。伝票番号は、綴った伝票に抜けがないかを番号の連続で確かめるための欄です。

記入例5取引の表、銀行振込の入金・掛け売上・減価償却・未払計上・科目の訂正

4月に起きた5つの取引を振替伝票に書くと、次のようになります。金額は消費税を除いた本体価格です。

日付 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
4/5 普通預金 330,000 売掛金 330,000 大阪物産 3月分入金
4/10 売掛金 280,000 売上 280,000 大阪物産へ商品売上
4/30 減価償却費 25,000 減価償却累計額 25,000 複合機の4月分償却
4/30 水道光熱費 18,400 未払金 18,400 4月分電気代 5月引落
4/30 通信費 6,600 消耗品費 6,600 4/12計上の科目誤り訂正

1行目の銀行振込は、現金を手で受け取っていないので入金伝票ではなく振替伝票です。5行目は、4月12日に消耗品費で計上した電話代を通信費へ移し替える仕訳です。このように誤った科目の金額を正しい科目へ振り替える処理も、振替伝票で行います。どの科目を左右どちらに書くかは借方と貸方の増減ルールで確かめてください。

相手科目が2つ以上ある複合仕訳の書き方、1枚に複数行を書く方法と伝票を分ける方法

売上330,000円のうち、振込手数料660円を差し引かれて329,340円が口座に入金された、という取引を考えます。借方は普通預金と支払手数料の2つ、貸方は売掛金の1つです。

書き方は2通りあります。1つは、1枚の振替伝票に借方を2行、貸方を1行書く方法で、借方合計と貸方合計がどちらも330,000円になることを確かめます。もう1つは、「普通預金329,340/売掛金329,340」と「支払手数料660/売掛金660」の2枚に分ける方法です。1枚1科目にしておくと科目別に伝票を並べて集計しやすく、手書きの伝票会計ではこちらを選ぶ会社が多くなります。会計ソフトでは複数行の仕訳を1つの伝票番号で入力でき、どちらで入れても帳簿の数字は同じです。

現金が一部だけ動く取引の起票、取引を分ける方法と全額を掛けとみなす方法の比較

3伝票制で書き方に迷いやすいのが、代金の一部を現金で受け取り、残りを掛けにした取引です。商品100,000円を売り上げ、30,000円を現金で受け取って残り70,000円を掛けにした例で、2つの方法を比べます。

取引を分解する方法、入金伝票30,000円と振替伝票70,000円の2枚に分けて書く手順

1つ目は、取引を現金の部分と掛けの部分に分けて書く方法です。

  1. 現金で受け取った30,000円を、入金伝票に「売上 30,000」と書く
  2. 掛けにした70,000円を、振替伝票に「売掛金 70,000/売上 70,000」と書く
  3. 2枚の摘要に同じ取引先名と納品書番号を書き、1つの取引だと分かるようにする

実際の取引の形に最も近い書き方です。ただし売上が2枚の伝票に分かれるため、得意先別の売上を集計するときに2枚を足し合わせる手間がかかります。

全額を掛け取引とみなす方法、売掛金を経由する2枚の起票と会社ごとの選び方

2つ目は、いったん全額を掛けで売ったものとみなす方法です。振替伝票に「売掛金 100,000/売上 100,000」と書き、受け取った30,000円は入金伝票に「売掛金 30,000」と書いて、売掛金をすぐ回収したことにします。

この方法では、売上は常に振替伝票1枚に満額で出ます。得意先別の売上高と売掛金の動きを、伝票を並べるだけで追えるのが利点です。選び方ははっきりしています。売上を得意先別に管理している会社や、5伝票制で売上伝票を使っている会社は、全額を掛けとみなす方法に揃えてください。現金売上が中心で掛けがまれな店舗なら、取引を分ける方法で足ります。同じ会社の中で2つの方法を混ぜると、売上の集計で二重計上や漏れが起きるので、どちらかに決めて規程に書いておきます。

振替伝票から総勘定元帳への転記、仕訳日計表での集計と伝票の保存期間の決まり

伝票会計では、起票した伝票を1枚ずつ元帳へ書き写すのではなく、日ごとや週ごとに集計してから転記します。

仕訳日計表で伝票を1日分集計し、総勘定元帳へ科目ごとの合計で転記する手順

手書きの伝票会計では、次の順で元帳を作ります。

  1. その日の入金・出金・振替伝票を集め、伝票番号に抜けがないか確かめる
  2. 勘定科目ごとに借方の合計と貸方の合計を出し、仕訳日計表に書く
  3. 仕訳日計表の借方総額と貸方総額が一致することを確かめる
  4. 科目ごとの合計額を総勘定元帳へ1行で転記する
  5. 得意先別・仕入先別の補助元帳へは、伝票から1枚ずつ転記する

合計で転記するため、1日に伝票が100枚あっても元帳に必要な行は科目の数だけです。総勘定元帳の転記の手順そのものは別の記事で扱っています。会計ソフトではこの集計と転記が入力と同時に終わるため、仕訳日計表は点検用の帳票として出力するだけになります。

振替伝票の保存期間と保存方法、施行規則59条が定める帳簿書類と7年・10年の起算日

法人税法施行規則の第59条は、青色申告法人に対し、帳簿と、資産・負債・資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿を、起算日から7年間保存するよう定めています。起算日は、事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日です。伝票会計で伝票を綴って仕訳帳の代わりにしている会社では、その伝票の綴りが帳簿に当たると考えて、帳簿と同じ期間を保存してください。

国税庁のNo.5930 帳簿書類等の保存期間では、青色欠損金が生じた事業年度の帳簿書類は10年の保存が必要とされています。会計ソフトで作った伝票をデータのまま保存する方法は、国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで「電子帳簿等保存」の区分として案内されています。紙で起票した伝票を画像で残す場合は「スキャナ保存」の区分になり、要件が別です。紙の伝票を捨てる前に、自社がどちらの区分で保存しているかを確かめてください。

会計ソフトで振替伝票を入力する画面と、紙の伝票と承認印をやめる会社の判断

会計ソフトを入れている会社でも、紙の振替伝票に印鑑を押して回し、承認後に経理がソフトへ入れ直している例は少なくありません。

会計ソフトの振替伝票入力画面、1回の入力で仕訳帳と総勘定元帳が同時にできる仕組み

多くの会計ソフトは、入力画面として「振替伝票入力」「仕訳入力」「出金伝票入力」などを用意しています。どの画面から入れても、保存されるのは借方科目・貸方科目・金額・摘要を持った仕訳データです。仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳・試算表は、そのデータを並べ替えて出力しているにすぎません。

このため会計ソフトでは、手書きで必要だった仕訳日計表の作成と元帳への転記は不要です。紙の伝票を残す意味は、入力前に起票者と承認者の記録を残すことだけになります。ソフトの画面に入力者と入力日時の履歴が残るなら、その記録は紙でなくても取れます。

紙の伝票と承認印を残す会社と、ワークフローで電子承認へ移す会社を分ける条件

紙の伝票を続けてよいのは、起票が月に数十枚程度で、起票者・承認者・入力者が同じ事務所に座っている会社です。回覧の手間が小さく、紙をやめるための仕組みを作る費用のほうが高くつきます。

移すべきなのは、拠点や在宅勤務の担当者が起票していて、承認印をもらうために伝票を郵送したり、出社日を待ったりしている会社です。この場合は、伝票の申請と承認をワークフローの仕組みに載せ、承認済みのデータだけを会計ソフトへ取り込む形にします。承認の記録がデータとして残るので、誰がいつ承認したかを後から検索でき、紙の押印より追跡が容易です。

振替伝票を業務システムから自動で起こす設計、伝票番号と承認記録の持たせ方

販売管理・購買・給与などのシステムから振替伝票を自動で起こしている会社では、伝票番号と承認の扱いを最初に決めておかないと、月末の照合で困ります。

伝票番号の採番と取消の扱い、欠番を作らずに赤黒の2枚で訂正を残すデータ設計

紙の伝票では、書き損じた伝票も捨てずに「取消」と書いて番号順に綴じます。番号が連続していれば抜き取られた伝票が無いと証明できるからです。システムで伝票を起こすときも同じ考え方を取り、次の3点を守ります。

  • 伝票番号は保存した時点で確定させ、取り消しても番号を再利用しない
  • 承認済みの伝票は上書きせず、元の伝票と左右を入れ替えた赤伝票と、正しい内容の黒伝票の2枚を新しい番号で起こす
  • 赤伝票と黒伝票には、訂正元の伝票番号を参照する項目を持たせる

上書きを許すと、承認した時点の内容が残りません。締めた月の売上を後から直す赤黒処理の実装は締め処理と赤黒処理をコードで実装する記事で詳しく扱っています。

会計システムの開発を検討する会社と、会計ソフトの振替伝票入力で足りる会社の条件

手入力の振替伝票が月に数百枚までで、販売管理などの他システムからの取り込みがCSV1本で済んでいる会社は、既製の会計ソフトの伝票入力と承認機能で足ります。伝票のために新しくシステムを作る理由はありません。

開発を検討すべきなのは、複数の業務システムから伝票が生まれ、伝票番号の体系がシステムごとにばらばらな会社です。どの伝票がどのシステムのどの取引から来たのか追えず、毎月の差額調査に担当者が数日を取られているなら、会計ソフトを替えても解決しません。元の取引から伝票番号・入力元・承認記録つきの仕訳を自動で起こし、会計側へ渡す連携の層を作るほうが締めは早くなります。業務システムと会計をつなぐ伝票連携の設計や会計システムの刷新は、一創の会計・経理システム開発でご相談いただけます。

よくある質問

振替伝票について、経理を担当し始めた方から出やすい質問をまとめました。

振替伝票と仕訳伝票の違いは何ですか?

様式はほぼ同じで、使う場面が違います。仕訳伝票は1伝票制ですべての取引を書く伝票で、現金取引も含めて借方と貸方の両方を書きます。振替伝票は3伝票制や5伝票制の中で、入金伝票・出金伝票で書けない現金以外の取引を受け持つ伝票です。1伝票制の会社では、仕訳伝票の代わりに市販の振替伝票の用紙を使うこともあります。会計ソフトでは両者は同じ仕訳入力画面で扱われ、区別はほとんど意識しません。

銀行振込で受け取った売掛金は入金伝票と振替伝票のどちらで書きますか?

振替伝票で書くのが原則です。入金伝票は借方が現金に決まっている伝票なので、普通預金や当座預金が増える取引は書けません。振替伝票に「普通預金/売掛金」と書きます。ただし、預金の出入りが多い会社の中には、社内の決まりとして預金の入出金も入金伝票・出金伝票で扱い、科目欄に預金の種類を書く運用をとる例もあります。どちらにするかは社内で1つに決め、担当者によって書き方が変わらないようにしてください。

振替伝票はエクセルや手書きで作ってもよいですか?

どちらでも構いません。法令は伝票の様式を指定していないため、市販の用紙に手書きしても、エクセルで作った様式に入力して印刷しても有効です。エクセルで作る場合は、伝票番号を手で振ると重複や欠番が起きやすいので、番号を台帳で管理するか、関数で自動採番にしておきます。借方合計と貸方合計が一致しないと印刷できないようにする工夫も有効です。最終的に会計ソフトへ入力し直しているなら、会計ソフトの伝票入力画面で直接起票するほうが手間は減ります。

振替伝票の摘要には何を書けばよいですか?

取引先の名前と取引の内容を書きます。「大阪物産 3月分入金」「複合機の4月分償却」のように、後から伝票だけを見て何の取引か分かる程度が目安です。請求書や契約書がある取引は、その番号も摘要に添えておくと、税務調査や監査で根拠書類を探すときに時間がかかりません。根拠書類の種類と保存のしかたは証憑の種類と保存方法で整理しています。

振替伝票を書き間違えたときはどう訂正しますか?

まだ帳簿に転記していない手書きの伝票なら、誤った箇所に二重線を引いて正しい内容を書き、訂正印を押します。修正液で消したり、伝票を破棄して書き直したりはしません。すでに転記した後や、承認を終えた後に誤りが分かった場合は、元の伝票と借方・貸方を入れ替えた取消の伝票と、正しい内容の伝票の2枚を新しく起票します。どちらの伝票の摘要にも、訂正元の伝票番号と訂正の理由を書いておいてください。

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