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借入金返済の勘定科目と仕訳|ビジネスローンの元金・利息の分け方と個人事業主の返済財源

借入金返済の勘定科目と仕訳|ビジネスローンの元金・利息の分け方と個人事業主の返済財源

毎月の返済額をそのまま経費に入れる誤りは、国税庁が申告書の手引きにわざわざ注記を置いているほど典型的です。借入金の返済で必要経費になるのは利息部分だけで、元金部分は金額の大小にかかわらず経費になりません。この記事では、元金が経費にならない根拠、借入時と返済時の勘定科目と仕訳、ローンで設備を買ったときの未払金、日本政策金融公庫やビジネスローンなど借入先ごとの処理、そして「利益は出ているのに返済で資金が残らない」原因になる返済財源の計算までを、一次資料の記述に沿って整理します。

まとめ:借入金返済の勘定科目と経費判定の結論

毎月の返済額は必ず元金と利息に割り、別々の勘定科目で処理します。

支払の内訳 勘定科目 経費・損金 消費税
元金部分 借入金(長期・短期) ならない 対象外
利息部分 支払利息 なる 非課税
信用保証料 前払費用→支払保証料 期間按分でなる 非課税
事務手数料 支払手数料 なる 課税
ローンで買った資産の代金 未払金 ならない(減価償却で回収) 購入時に課税

元金返済は損益計算に現れず、貸借対照表の負債が減るだけの取引です。だから元金は、税金を払った後に残ったお金から返すことになります。個人事業主なら、そこからさらに生活費も出ていきます。年120万円の元金を返すには、税率を一律30パーセントと置くと税引前で約171万円の利益が必要です。

借入金の返済で経費になるのは利息だけという結論の根拠

元金返済が必要経費にならない条文上の理由

所得税法37条1項は、必要経費に算入する金額を「総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」と定めています。問われているのは費用が生じたかどうかです。

元金を返済しても費用は生じていません。現金が減り、同額の負債が減るだけで、財産全体の増減はゼロです。借りたときに収入として課税されなかったことの裏返しでもあります。借入時に収入とせず返済時に経費とするなら、二重に得をすることになります。

国税庁はこの点を申告書の手引きに明記しています。令和7年分「収支内訳書(不動産所得用)の書き方」の借入金利子欄には、「借入金の返済額のうち元本に相当する部分の金額は必要経費になりません。」という注記があります。事業所得用の手引きに同じ一文はありませんが、根拠は同じ所得税法37条なので扱いは変わりません。

支払利息が必要経費になる範囲と稼働前利息の取扱い

利息は資金を借りたことの対価として実際に生じる費用なので、必要経費になります。国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)は「業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。」としています。判断軸は借入先ではなく、借りた資金を何に使ったかです。

同じNo.2210は、賃貸用の土地等を取得するための負債の利子について、不動産所得が赤字になった場合はその利子に相当する部分を他の所得と損益通算できないとしています。賃貸物件の土地部分を借入で買っている場合だけ、この制限を確認します。

見落とされやすいのが、資産を取得するために借りた場合の稼働前の利息です。令和7年分「収支内訳書(一般用)の書き方」には、その資産を使用するまでの期間に対応する利子は「取得価額に含めても、そのまま必要経費にしても差し支えありません。」とあります。機械を4月に借入で発注し7月に稼働させたなら、その3か月分の利息は当年の支払利息にしても、取得価額に含めて減価償却で回収しても構いません。当年の利益が薄いなら後者を選ぶ判断が成り立ちます。ただし、開業前に取得した設備の利子のうち開業前の期間に対応する分は、この選択の対象外です(所得税基本通達37-27の注)。創業融資で開業前に設備を買う場合は、別の扱いになる点に注意します。

法人でも元金返済が損金にならない理由

法人も結論は同じです。法人税法22条3項は、損金に算入する金額を売上原価等の原価の額、販売費・一般管理費その他の費用の額、資本等取引以外の取引に係る損失の額の3つに限っています。元金返済は原価でも費用でも損失でもありません。違うのは記帳で、法人には事業主借・事業主貸がなく、代表者個人の資金を入れた場合は役員借入金で処理します。

元金と利息で分ける勘定科目の選び方と基本の仕訳

借入金・長期借入金・短期借入金の使い分け

元金部分の勘定科目は借入金(かりいれきん)です。貸借対照表では負債の部に載ります。決算日の翌日から1年以内に返済期限が来るものを短期借入金(流動負債)、1年を超えるものを長期借入金(固定負債)に分けます。長期借入金のうち翌期中に返す分を流動負債へ移すときは「1年内返済予定の長期借入金」として表示します。

ただし個人事業主の青色申告決算書の貸借対照表は、負債欄が「借入金」の1行です。短期と長期を分けなくても申告上の不利益はありません。取引が少ない事業なら借入金の1科目にまとめたほうが返済予定表との突合が楽です。分けるのは、複数の金融機関から借りていて流動比率を見せる必要がある場合です。どちらにしても、期ごとに方針を変えると前期末残高との突合ができなくなります。

借入時の仕訳と保証料が差し引かれたときの記帳

借入時は、入金額ではなく契約上の借入額で借入金を立てます。信用保証協会付きの融資では、保証料が融資額から差し引かれて入金されることがあるためです。300万円を借り、保証料72,000円(保証期間5年)を差し引かれて2,928,000円が入金された場合の仕訳は次のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
普通預金 2,928,000 長期借入金 3,000,000
前払費用 72,000

入金額の2,928,000円で借入金を立てると、返済予定表の残高と最初から72,000円ずれます。保証料は5年分の前払いなので、決算ごとに経過した期間の分を支払保証料へ振り替えます。決算日から1年を超えて対応する分は、長期前払費用として表示します(扱いの根拠は後述の信用保証料の章)。

元利均等返済を1回の仕訳で処理する手順

元利均等返済は毎月の返済額が一定で、内訳の元金と利息が毎月変わります。仕訳の前に、金融機関が交付する返済予定表(償還予定表)でその月の内訳を確認します。通帳の引落額から按分を推測すると、期末に借入金残高が予定表と合わなくなります。

借入500万円、年利2.0パーセント、5年(60回)の元利均等返済で、利息を1円未満切捨てで計算すると、毎月の返済額は87,639円、初回の利息は8,333円、元金充当額は79,306円です。

借方 金額 貸方 金額
長期借入金 79,306 普通預金 87,639
支払利息 8,333

2回目は残高4,920,694円に対して利息8,201円、元金79,438円と、利息が毎月減って元金が増えます。60回で返し切ると総返済額は5,258,292円、うち経費になる利息は258,292円です(最終回は端数調整で87,591円)。返済総額の約95パーセントは経費になりません。元金均等返済なら元金充当額が毎月一定で、利息だけが減っていきます。実際の予定表は利息を日割りで計算する金融機関もあり、その場合は月の日数によって上の月割計算から数百円ずれます(この例の初回なら、31日の月で約160円多く、28日の月で約660円少なくなります)。記帳は必ず予定表の数字に合わせます。借入が複数あって毎月の突合が負担なら、返済予定表を取り込んで仕訳を起こす仕組みを会計・経理システム開発で組む方法もあります。

ローンで車や設備を買ったときは借入金でなく未払金

銀行から現金を借りて代金を払うのではなく、販売店のオートローンや設備の分割払いで買った場合、残債は未払金(1年を超える分は長期未払金)で処理します。お金を借りたのではなく、代金の支払を後に延ばしているからです。資産は購入時に取得価額の全額で計上し、経費になるのは減価償却費と分割払いの利息部分です。

220万円の業務用車両を頭金なし・60回払いで買い、分割手数料が総額12万円だった場合、購入時は借方に車両運搬具2,200,000円と前払費用(または長期前払費用)120,000円、貸方に未払金2,320,000円を立てます。毎月の支払時は未払金を減らし、その月に対応する手数料を前払費用から支払利息へ振り替えます(契約で購入代価と利息等が明らかに区分されている場合。所得税基本通達37-28)。分割手数料を最初から全額費用にすると、購入年の利益が過小になります。リースで調達した場合は扱いが変わるため、リースとは?リース取引とリース資産の意味・仕組みと判定基準をわかりやすく解説で区分を確認してください。

利息・保証料・手数料の消費税区分

タックスアンサーNo.6201「非課税となる取引」(令和8年4月1日現在法令等)は、非課税の例に「預貯金や貸付金の利子、信用保証料」を挙げています。事務手数料は事務処理の対価なので課税です。元金の返済はそもそも対価を払う取引ではないので、消費税の対象外です。会計ソフトで支払利息に課税仕入れの税区分が付いたままになっていると、仕入税額控除を過大に計算することになるため、科目の初期設定を一度確認しておきます。

事業主借・事業主貸を使う場面

個人事業主に固有の論点が、事業用口座を通さない返済です。個人名義の口座から事業用の借入金を返済したなら、事業のお金は減っていないため普通預金は動かせません。先ほどの例なら、借方に借入金79,306円と支払利息8,333円、貸方に事業主借87,639円と記帳します。

逆に、事業用口座から個人の住宅ローンや私的な借金を返済したなら、全額を事業主貸で処理し、元金も利息も経費に入れません。誤りが多いのは、私的な借入の返済を借入金で処理してしまうケースです。事業と無関係な借入金は事業の貸借対照表に載せる負債ではありません。経費になるかどうか迷う支払いの切り分けは、租税公課とは?経費になる税金一覧と勘定科目・消費税区分【個人事業主・法人】と同じく、事業との関連を先に決めてから科目を選ぶ順序で考えます。

借入先別に変わる借入金返済の仕訳

日本政策金融公庫からの借入を返済する場合

公庫の返済方法には元金均等返済と元利均等返済があり、公庫の返済シミュレーションもどちらかを選んで試算する形です。元金均等では毎月の元金充当額が一定で、利息だけが残高に応じて減るため、引落額が少しずつ下がります。仕訳は銀行融資と同じで、返済予定表の内訳どおりに借入金と支払利息へ割り振ります。

据置期間のある融資では、途中で仕訳の形が変わります。据置期間中は利息だけの支払いなので、その月の仕訳は支払利息と普通預金だけで、借入金は動きません。500万円・年2.0パーセントなら、据置中の毎月の仕訳は支払利息8,333円と普通預金8,333円です(月割計算)。据置が終わると元金が乗って引落額が増えます。これを手数料と誤認して雑費に入れないよう、返済予定表で確認します。政府系金融機関だから元金が経費になる、といった特別扱いはありません。借入先が公庫でも銀行でも信用金庫でも、判定は同じです。

信用保証協会の保証料と繰上完済時の返戻

保証料は利息ではなく、保証という役務の対価なので支払利息に入れません。保証期間が複数年にわたるため、支払時に前払費用とし、期間の経過に応じて支払保証料へ振り替えるのが原則です。支払時に全額を費用にできるのは、支払日から1年以内に役務の提供を受ける分を継続して必要経費に算入している場合に限られます(個人は所得税基本通達37-30の2、法人は法人税基本通達2-2-14)。保証期間5年の保証料を初年度に全額費用にする処理は、この特例の外です。

繰上完済したときは保証料が戻ることがあります。東京信用保証協会の返戻手続の案内は、最終約定期限前に完済した場合に「信用保証料の一部を返戻することがあります」とし、計算結果が1,000円以下のものは返戻の対象外としています(規定は協会ごとに異なります)。前払費用で資産に残していれば、返戻金は残高と相殺するだけで済みます。支払時に全額費用にしていると、返戻を受けた年に雑収入を計上することになり、損益が期をまたいでゆがみます。

ビジネスローン・カードローンの返済で分ける3つの支出

ビジネスローンの返済で使う勘定科目は、元金が借入金(1年以内に完済する契約なら短期借入金)、利息が支払利息、事務手数料・繰上返済手数料・ATM利用手数料が支払手数料です。引落額にこの3つが混ざることがあり、銀行融資のような返済予定表が届かない商品もあるため、会員ページの返済明細から月ごとの内訳を取得します。

分ける基準は、その支出が元本を使ったことの対価かどうかです。残高と利率に応じて増減する金額が支払利息、事務処理の対価として定額で課される金額が支払手数料です。手数料を支払利息にまとめても所得税の額は変わりませんが、前述のとおり消費税の区分が違います(利息は非課税、手数料は課税)。支払利息の額は借入残高と並べて実際の金利を見る材料にもなるため、手数料と混ぜないほうが金融機関に説明しやすくなります。

個人名義のカードローンで事業資金を賄った場合も、事業に使った分は借入金として計上し、利息は必要経費にできます。判断基準は名義ではなく資金の用途です。ただし生活費と事業資金が同じ枠から出ている状態では用途を証明できません。この形で借りるなら、事業資金を引き出した日と金額を記録し、事業用口座へ移してから使います。

個人事業主の返済財源の計算式と必要利益の逆算

返済財源は「所得−税金・社会保険料−生活費+減価償却費」

元金返済は経費にならず課税所得を減らさないので、税金は返済前の利益に対して計算され、元金はその後の残りから返します。日本政策金融公庫の創業計画書の記入例も、利益の欄に「所得税等の税金や借入金の返済元金はここから支払われます。」「個人営業の場合、事業主分の人件費はここに含まれます。」と注記しています。個人事業主には自分への給与という経費がないため、生活費も同じ利益から出ていきます。これを式にすると、1年間の返済財源は次のとおりです。

返済財源 = 所得金額(青色申告特別控除前)
     - 所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料
     - 生活費(事業主貸)
     + 減価償却費

減価償却費を足し戻すのは、経費として所得を減らしていても現金は出ていかないからです。青色申告決算書の所得金額から出発する場合は、青色申告特別控除の額も足し戻します。この控除も帳簿上の控除で、現金は出ていきません。個人事業税は租税公課として所得金額の計算で差し引き済みなので、ここでは引きません。

数値で確かめます。青色申告特別控除前の所得が600万円、減価償却費80万円、所得税・住民税と社会保険料の合計を150万円、生活費を300万円と置くと、返済財源は600万円−150万円−300万円+80万円=230万円です。年間の元金返済が120万円なら110万円の余裕があります。生活費が400万円なら余裕は10万円に縮み、売上が少し落ちただけで返済が回らなくなります。返済財源が年間の元金返済額を下回る状態が続くなら、返済期間を延ばす条件変更を金融機関に相談する段階です。法人で同じ見方をするときは、税引後当期純利益に減価償却費を足し戻した額を年間元金返済額と比べます。何年で借入を返し切れるかを測る債務償還年数の算式は償却前経常利益とは?計算式とEBITDAとの違い、融資審査の債務償還年数での使われ方【2026年版】で扱っています。

年間の元金返済額から逆算する必要な税引前利益

逆に、返済額から必要な利益を出すこともできます。年間の元金返済額が120万円、所得税・住民税・個人事業税を合わせた税率を簡便に一律30パーセントと置くと、元金返済だけを賄う税引前利益は120万円÷(1−0.3)で約171万円です。利益が120万円しかなければ、税金36万円を払った後に残るのは84万円で、36万円足りません(実際の税率は所得の水準で変わり、個人事業税は必要経費になるため厳密には段階的に計算しますが、ここでは一律の税率で示しています)。税率が40パーセントなら、同じ返済に200万円の利益が要ります。

この171万円は、減価償却費がない場合に元金返済だけを賄う水準です。減価償却費があればその分だけ必要な利益は下がり、個人事業主は上の式のとおり生活費と社会保険料がさらに乗ります。創業時に借りるなら、事業計画の段階でこの水準を月次の利益に落としておきます。計画書の数字を表計算で組む手順は事業計画書をエクセルで作る方法|公庫の様式に沿ったシート構成と売上・返済の計算式【2026年版】にまとめています。

減価償却費と元金返済のズレが資金を詰まらせる条件

500万円の設備を耐用年数10年・定額法で償却すると、減価償却費は年50万円です。同じ500万円を5年返済で借りれば、元金返済は年100万円です。差額の50万円は経費として控除されないまま資金だけが出ていく分で、毎年その分だけ返済財源を食います。返済期間が耐用年数より短いほど、このズレは大きくなります。

反対に、返済期間が耐用年数より長ければ償却が先行し、償却が終わった後の年は経費が消えて返済だけが残ります。返済期間を耐用年数に近づけるほど損益と資金の動きが揃うので、設備資金の返済期間はこの一致を目安に交渉します。

確定申告書類への記載と家事関連費の按分

収支内訳書・青色申告決算書での記載箇所

白色申告の収支内訳書(一般用)では、支払利息は経費欄の「利子割引料」に書きます。令和7年分「収支内訳書(一般用)の書き方」は、この欄を「事業(業務)用資金の借入金の利子や受取手形の割引料など」と説明しています。支払利息という名の欄はないため、会計ソフトの支払利息の残高をこの欄に集めます。

青色申告決算書でも損益計算書の「利子割引料」欄に集計し、貸借対照表の借入金欄に期末残高を書きます。この残高は返済予定表の期末残高と一致していなければなりません。合わない場合は、元金と利息の按分を誤っているか、引落額を全額支払利息にしている可能性が高いので、差額から遡って直します。申告全体の流れは個人事業主の確定申告のやり方|令和8年分の期限と基礎控除104万円で確認できます。

家事関連費として按分が認められる条件

自宅兼事務所や、仕事と私用を兼ねる車のローンでは、利息を全額経費にはできません。所得税法45条1項1号は家事上の経費とこれに関連する経費を必要経費に算入しないと定め、その例外を所得税法施行令96条が2つ挙げています。1つは家事関連費のうち主たる部分が業務の遂行上必要で、かつ「その必要である部分を明らかに区分することができる場合」の当該部分です。もう1つは青色申告者向けで、「取引の記録等に基づいて」業務の遂行上直接必要だったことが明らかにされる部分です。

条文が求めるのは区分を明らかにできることで、按分率そのものではありません。自宅兼事務所なら事業専用スペースの床面積比、車なら走行距離の記録が根拠になります。走行距離を記録しないまま5割を計上するのは、率の妥当性以前に区分の根拠を示せていない状態です。車を手放したときの処理は車を売却したときの確定申告|個人事業主の譲渡所得の計算と内訳書の書き方・仕訳【令和8年分】で整理しています。

自宅兼事務所の住宅ローンで控除と経費計上が交差する境界

自宅兼事務所の住宅ローンは、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)と事業経費の両方に関わります。タックスアンサーNo.1211-1(令和8年4月1日現在法令等)は、床面積の要件(50平方メートル以上かつ2分の1以上を専ら居住用)について、店舗や事務所と併用の住宅は「店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します」としています。所得や居住年の要件と控除額は住宅ローン控除の仕組みと適用要件|令和8年入居の借入限度額と控除額シミュレーションに譲り、ここでは事業経費との交差だけを扱います。

控除の対象は原則として居住用部分に対応するローンだけですが、租税特別措置法関係通達41-29に緩和規定があります。居住用部分の床面積が家屋全体の「おおむね90パーセント以上」なら、家屋の全部を居住用として控除を計算できます。その代わり、事業側で経費にできる利息はわずかです。事業に使う部分が床面積の30パーセントなら利息の30パーセントを必要経費にできますが、控除額は居住用の70パーセント部分に縮みます。事業割合は有利不利で選ぶものではなく使用実態で決まるため、試算は間取りや事業スペースの広さを決める段階で行います。控除期間が終わった後も、使用実態が変わらない限り事業割合は変わりません。

よくある質問

事業の借金の返済は確定申告で経費にできますか?

利息部分だけが経費になり、元金部分はなりません。返済額を全額経費に入れていた場合は所得が過少になるため、修正申告が必要です。国税通則法65条6項により、調査通知がある前に自主的に修正申告すれば過少申告加算税は課されません。ただし延滞税はかかります。

借金の返済で税金の控除は受けられますか?

受けられません。タックスアンサーNo.1100(令和8年4月1日現在法令等)が挙げる16種類の所得控除に、借入金の返済を対象とするものはありません。会社員の消費者金融やカードローンの返済も同じです。借入金に関係する制度は、住宅を取得したときのローン残高を基に所得税額から差し引く住宅ローン控除です。事業用の借入なら、控除ではなく利息を必要経費にする形で所得が減ります。

ビジネスローンの返済はどの勘定科目で処理しますか?

元金は借入金、利息は支払利息、事務手数料は支払手数料の3科目に分けます。全額を支払利息に入れると、期末の借入金残高が合わなくなります。

日本政策金融公庫の返済で利息はどこを見ればわかりますか?

融資実行時に交付される返済予定表(償還予定表)に、回ごとの元金充当額と利息額が載っています。元金均等返済では毎月の引落額が変わるため、通帳の金額から推測せず、予定表の該当回を見ます。据置期間中は利息だけの支払いです。

配偶者名義のローンで借りた事業資金は経費にできますか?

生計を一にする配偶者から借りた形になるため、配偶者へ払う利息は必要経費になりません。所得税法56条が、生計を一にする親族が事業から受ける対価を必要経費に算入しないと定めているためです。ただし同条は、その親族が対価に関して負担した経費を事業主の必要経費に算入するとしているので、配偶者が金融機関へ払う利息はこちらで拾えます。混乱を避けるなら、契約者を事業主本人にするのが確実です。

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