内定が出たのに気分が沈み、入社日が近づくほど眠れなくなる。この状態は「内定ブルー」と呼ばれますが、医学的な診断名ではありません。そのため、つらさが医療に相談すべき段階かどうかは、厚生労働省が示す相談の目安に照らして決めることになります。この記事では、経験率の調査データと原因、不安の種類ごとの解消法を示したうえで、うつ病・適応障害との線引き、相談先の番号と受付時間、そして内定後にうつ病と診断されたときに内定がどう扱われるかを、厚生労働省の資料と法令の条文で整理します。転職者の内定ブルーと、辞退を迷うときの判断軸も扱います。
まとめ:内定ブルーの正体と、不安の確かめ方・相談の目安
- 内定ブルーは内定後の不安・迷い・落ち込みの通称で、診断基準は無い。経験率は調査により26.7%から65%まで開く
- 原因の中心は「本当にこの会社でよいのか」「入社してやっていけるか」という、決めた後に残る情報の空白。空白は、評価された理由・労働条件通知書の記載・配属の決まり方を確かめることで狭められる
- 厚生労働省「こころもメンテしよう」は、9項目のうち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続くなら専門家への相談を勧めている。「死にたい」「消えてしまいたい」と感じるときは期間を待たず、#いのちSOS(0120-061-338・24時間365日・無料)へ
- 内定後にうつ病と診断されても、それだけで内定取消しが有効になるわけではない。取消しが認められるのは、内定時に知り得なかった事実で、かつ客観的に合理的で社会通念上相当な場合に限られる(大日本印刷事件)
- 気分の落ち込みだけを理由にした辞退は勧めない。労働条件の相違や医師の判断など、事実があるときに辞退を検討する
内定ブルーとは:起こる時期と、経験した人の割合
内定ブルーが指す状態
内定ブルーとは、就職や転職の内定を得た後に、入社への不安・迷い・気分の落ち込みが続く状態を指す通称です。リクナビ就活準備ガイドは「志望企業に内定承諾をした後に『本当にこれで良かったのか?』と悩んでしまうこと」と説明しています。この記事では、新卒の内定承諾から入社までの期間に加え、転職者の退職交渉から初出社までの期間も扱います。「内定者ブルー」「就職ブルー」「入社前ブルー」も同じ状態を指す言い方です。
経験率は26.7%と65%:2つの調査で数字が違う理由
「内定ブルーになる割合」は公的統計が無く、民間の調査が2本よく引用されます。数字は2倍以上違いますが、どちらかが誤りというより、聞いた相手と時期が違います。
| 項目 | リクナビ | 就活の教科書 |
|---|---|---|
| 経験した割合 | 26.7% | 65% |
| 回答者数 | 300人 | 120人 |
| 対象 | 2024年3月卒業予定の内々定者 | 公式LINEの登録者 |
| 調査期間 | 2024年3月14日〜19日 | 2023年11月21日〜12月5日 |
リクナビ就活準備ガイドの調査は、専門学校生から大学院生までの内々定者300人に卒業直前に聞いたもので、「内定ブルーになった」は26.7%でした。理由として最もあてはまるものは「入社してからやっていけるかどうか自信を持てなかった」が52.5%、「本当にこの企業でいいのかわからなくなった」が43.8%です(理由はN=80)。
一方、就活メディア「就活の教科書」を運営するSynergy Careerの調査では65%が経験ありと答え、内訳は「今も継続中」28.1%、「今はなっていない」37.2%です。回答者は就活メディアの登録者で、時期も入社まで4か月余りの秋から冬です。
2つは対象者・時期・集め方が違う調査で、同じ人を追跡したものでもないため、差の原因は特定できません。言えるのは、低いほうの調査でも4人に1人が経験しており、少数派の悩みではないということです。
内定ブルーの原因:決めた後に残る情報の空白
学生調査に表れた「この会社でよいか」「やっていけるか」の不安
前掲のリクナビ調査で理由の上位2つが「やっていけるか」「この企業でいいのか」だったのと同じ傾向は、インディードリクルートパートナーズのリサーチセンターが2026年7月6日に公表した2027年卒学生 就職内定率調査(2026年6月1日時点)の自由記述にも出ています。進路を決めた学生から「本当に決めた会社に入社していいのか」「ほかにも募集している企業があるのではないか」「自分の実力でついていけるか不安」「配属がどこになるか分からない」という声が記録されました。同調査の6月1日時点の内定率は大学生(大学院生を除く)で77.2%です。
4つの声に共通するのは、まだ起きていないことについての情報が無いという点で、性格や覚悟の問題ではありません。情報の空白は確かめる手段があるので、次の章でその手段を不安の種類ごとに示します。
就活が終わった直後の虚無感と「燃え尽き症候群」
もうひとつ、系統の違う状態があります。内定が出た安堵の直後にやってくる、目標を失ったような虚無感です。不安ではなく「何も感じない」という訴えになります。半年から1年以上、生活のほぼ全てを一つの目標に配分してきた反動で、エントリー、面接、結果待ちのサイクルが止まると、時間の使い道と自己評価の基準が同時に消えます。結果待ちが長引いた人ほど消耗が大きく、その実態はサイレントお祈りの割合は?通知しない企業の実態といつまで待つかで扱っています。
この状態を「燃え尽き症候群」と呼ぶ記事は多いものの、国際的な定義からは外れます。WHOは2019年5月28日の声明で、バーンアウトを疾病として分類していない(原文は「not classified as a medical condition」)こと、そして「職業上の文脈における現象を特定して指すもので、生活の他の領域の経験を説明するために用いるべきではない」ことを明示しました。厚生労働省のこころの耳・用語解説も燃え尽き症候群を「それまで人一倍活発に仕事をしていた人が」活力を失ったときの症状と説明しており、就労が前提です。
呼び方は対処の順番に響きます。同じ用語解説は燃え尽き症候群について「精神医学的にはうつ病と診断されることもあります」と記しています。「燃え尽きただけだから休めば戻る」と数か月放置するより、後述の9項目に当てはめて判断するほうが確実です。虚無感が続くなら、自然に薄れると決めつけず相談してください。20代半ばから30代前半に同種の空白感が来ることもあり、それはクォーターライフクライシスとは?症状・診断の目安とうつ病との違い、原典の4フェーズで扱う現象です。
内定ブルーの解消法:不安の種類ごとに確かめる事実
「本当にこの会社でよいのか」への対処:評価された理由の確認
この迷いは、比較する情報だけが増え、内定先の情報が面接時点で止まっているときに強まります。内定承諾後も就活サイトの新着求人や他社の口コミが届き続けると、比較は常に「まだ見ぬ会社」が有利です。比較の情報が負担になっているなら、まず就活サイトの通知を止めてください。退会は、通知を止めても気になる場合の次の手段です。
そのうえで、内定先の情報を更新します。具体的には、人事担当者に「選考で何を評価して内定を出したのか」を聞いてください。自分を選んだ理由が分かると、「この会社でよいのか」という問いが「この会社は自分の何を必要としているのか」に置き換わり、答えのある問いになります。前掲の就活の教科書の調査でも、内定ブルーの解消のために会社に期待すること(複数回答)として「自分が評価された点を教えてもらう」が39.7%、「先輩社員との対話の機会を設ける」が32.2%挙がりました。年次の近い先輩社員との面談は、配属後の実務を知る手段にもなります。
「配属が分からない」への対処:労働条件通知書の変更の範囲
2024年4月1日から、労働基準法施行規則等の改正で、労働条件の明示事項に就業場所・業務の変更の範囲が加わりました。雇入れ直後の配属先だけでなく、将来の配置転換で動きうる範囲まで書面で示すことになっています。届いた労働条件通知書にこの欄が無い、または空欄なら、「不安なので教えてください」ではなく「明示事項の記載を確認したい」と問い合わせる正当な理由になります。
期待値は正確に持ってください。厚生労働省は記載例として「(変更の範囲)会社の定める営業所」「(変更の範囲)会社内での全ての業務」といった包括的な書き方も示しており、限定が無ければこの記載も適法です。配属先が特定できるとは限りません。得られるのは不確実性の幅で、「全国転勤があり得るのか、拠点が限られるのか」が分かるだけでも、漠然とした不安は具体的な問いに変わります。配属の決め方と時期は人事に直接聞いて構いません。
「眠れない・何も手につかない」への対処:睡眠の立て直しと相談への切り替え
睡眠が崩れると、同じ不安がより強く感じられます。厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023は、成人について「6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」ことを推奨しています。入社まで時間があるほど昼夜が逆転しやすいので、就寝時刻より決めやすい起床時刻を固定するところから始めてください。
不安を紛らわすために予定を就活中と同じ密度で詰め込むより、休息の時間を確保してください。次章の9項目に5つ以上当てはまる状態が2週間以上続くなら、生活改善で粘らず相談に切り替えてください。
うつ病・適応障害との違いと、相談・受診の目安
適応障害は「うつ病の診断には至らない」環境変化への不調
厚生労働省の「こころの耳」は、適応障害を「環境変化によるストレスが個人の順応力を越えた時に生じる情緒面および行動面の不調です。うつ病など他の精神疾患の診断がつくには至っていない状態です。」と説明しています。内定、退職、引っ越し、入社はいずれも環境変化にあたります。内定ブルーが通称であるのに対し、適応障害とうつ病は医療の対象で、診断するのは医師です。読者が自分で線を引く必要はなく、次の相談の目安に当てはめて相談に回すほうが確実です。
相談・受診を考える9項目
厚生労働省が若者向けに公開しているこころもメンテしようは、うつ病の特徴として9項目を挙げ、「次のうち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談することをお勧めします」としています。
- 悲しく憂うつな気分が一日中続く
- これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
- 食欲が減る、あるいは増す
- 眠れない、あるいは寝すぎる
- イライラする、怒りっぽくなる
- 疲れやすく、何もやる気になれない
- 自分に価値がないように思える
- 集中力がなくなる、物事が決断できない
- 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う
9番目に当てはまるなら、2週間を待つ必要はありません。その時点で次の窓口に連絡してください。同サイトはうつ病について「日本人の約15人に1人が一生のうちにかかる」とも記しており、内定者に起きても不思議のない頻度です。「内定が出たのに悩むのは贅沢だ」とためらう人がいますが、相談窓口は悩みの理由の重さを審査しません。
相談窓口の番号・受付時間と対象(危機のとき/一般の相談)
番号と受付時間は厚生労働省の電話相談ページと各運営団体の公式サイトの記載に基づきます。用途と対象が違うので分けて示します。
「死にたい」「消えたい」と感じているときは次の2つです。どちらもフリーダイヤルで通話料はかかりません。
- #いのちSOS 0120-061-338:24時間365日。運営する自殺対策支援センターライフリンクが「自殺予防の専用ダイヤル」と明示している窓口
- よりそいホットライン 0120-279-338:24時間対応。福島県からは0120-279-226、050で始まるIP電話からは050-3655-0279
一般的な相談は立場によって第一候補が変わります。在学中なら、まず大学の学生相談室や保健管理センターです。学外では次の窓口があります。
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556:発信地の都道府県・政令指定都市の公的な相談機関につながる。受付曜日・時間は自治体ごとに異なる。ナビダイヤルのため通話料は発信者負担で、厚生労働省は「電話会社の通話料割引サービスや、携帯電話の料金定額プランの無料通信は適用されません」と注意している。IP電話からは接続できない
- こころの耳電話相談 0120-565-455:平日17:00〜22:00(受付21:50まで)、土日10:00〜16:00(受付15:50まで)、祝日・年末年始を除く。対象は「働く方やそのご家族、企業の人事労務担当者の方」で、在学中の学生は対象外になりえる。転職者や、入社後に使う窓口
内定後にうつ病と診断されたとき:内定取消しの基準と伝え方
内定取消しが認められる2つの条件
まず法的な位置づけです。厚生労働省の確かめよう労働条件のQ&Aは、採用内定によって始期付解約権留保付労働契約が成立したと認められることが多く、内定取消しは解雇にあたるため労働契約法16条(解雇権の濫用)が適用されると説明しています。そのうえで、取消しが有効とされるのは原則として次の2つを満たす場合に限られるとしています(大日本印刷事件・最高裁昭和54年7月20日判決)。
- 取消しの理由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であること
- その事実を理由に取り消すことが、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できること
同じQ&Aは、考えられる取消事由の例に「健康状態の悪化」を挙げています。内定後の発症は1つ目の条件に当たりうるため、「病気になっても取消しは絶対にできない」とは言えません。ただし2つ目の条件があるので、診断名がついた事実だけで取消しが有効になるわけでもありません。争点になるのは、入社日から就労できるのか、入社時期をずらせば就労できるのかという就労可能性の見込みです。だからこそ、次に述べる主治医の見立てが判断材料の中心になります。
新卒の採用内定を取り消す企業は、あらかじめハローワークと学校の長に通知することになっています(職業安定法施行規則35条2項)。取消しを告げられたら、理由の説明を書面で求め、大学のキャリアセンターや新卒応援ハローワークに相談してください。転職者であれば、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが窓口です。
病名を伝える義務はあるか:企業が健康情報を集められる範囲
病歴は、個人情報保護法2条3項の要配慮個人情報に含まれます。同法20条2項により、企業は法令に基づく場合などの例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ずに要配慮個人情報を取得できません。職業安定法5条の5も、求人者が求職者の個人情報を集めるのは業務の目的の達成に必要な範囲内に限るとしています。採用選考の段階では、厚生労働省の公正な採用選考が「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施」を就職差別につながるおそれのある事項に挙げ、同サイトのQ&Aは、応募者に既往歴を確認する行為や健康状態の告知書を出させる行為もこの健康診断に含むとしています。
つまり、内定者が自分から病名を申告することを一般的に義務づける規定があるわけではなく、伝えるかどうかは本人が決められます。ただし、常時使用する労働者として雇い入れられるときは、原則として労働安全衛生規則43条の雇入時の健康診断があり、その1つ目の項目は「既往歴及び業務歴の調査」です。通院や服薬がこの場面で話題になることはあるので、聞かれたらどう答えるかを先に主治医と決めておくと慌てずに済みます。
伝える場合の手順:主治医の見立てと入社時期の相談
伝えるかどうかの判断軸は、入社後に配慮が必要かどうかです。通院のための時間、残業の制限、入社時期の延期など、会社の協力が要るなら、伝えなければ調整できません。逆に、主治医が就労に支障なしと見ている段階なら、伝えないまま治療を続ける選択もあります。
伝える順番は、主治医に「いつから、どの程度の働き方なら可能か」を聞き、必要なら意見書を用意してから人事に相談する形が安全です。「うつ病になりました」という報告だけだと、会社は就労可能性を判断できず、取消しか延期かを決める材料がありません。入社日・勤務時間・業務量について具体的な見通しを添えると、入社時期の繰り下げなど取消し以外の選択肢を検討してもらいやすくなります。
症状が長く続き、職業生活に相当の制限を受ける状態であれば、障害者雇用促進法2条1号の「障害者」にあたる可能性があります。その場合、事業主は採用にあたって本人の申出に応じて障害の特性に配慮した措置を講じ(36条の2)、雇用後も必要な措置を講じる義務を負います(36条の3)。どちらも過重な負担となる場合は例外で、措置は本人の意向を十分に尊重して決めることになっています(36条の4)。企業側の義務の全体像は障害者雇用とは:企業に課される7つの義務と根拠条文、人事データで備える管理項目で整理しています。
転職者の内定ブルー(転職ブルー)が新卒と違う点
転職者の比較対象は「現職」という実在の選択肢
転職の内定後にも同じ状態は起きますが、構造が違います。新卒の不安は未知への不安ですが、転職者は「今の職場を手放してよいのか」という既知との比較になります。現職の良さは日々体感として更新されるのに対し、内定先の情報は面接で聞いたまま止まっています。比較するときは、給与・仕事内容・勤務時間・勤務地について、確認済みの情報と面接で聞いただけの情報を分けて並べてください。
対処は気持ちの整理ではなく、内定先の情報を更新することです。オファー面談の追加依頼、配属予定部署の実務担当者との面談、労働条件通知書の就業場所・業務の変更の範囲の確認は、転職者も同じ根拠で求められます。
転職者が入社前に確認する仕事の進め方
前職の進め方との違いが気になるなら、配属予定部署に業務の進め方、使うツール、入社後の研修内容を入社前に確認してください。入社後に理想と現実の落差を感じる現象はリアリティショックとは?実証データと離職率で見る原因と対策で扱っています。すでに働いている転職者は、こころの耳電話相談の対象にも含まれます。
内定辞退を考えるときの判断軸
新規学卒者の3年以内離職率と事業所規模別の差
辞退を考える前に、実際の離職状況を見ておきます。厚生労働省が2025年10月24日に公表した新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)によると、就職後3年以内の離職率は大学卒で33.8%(前年度比1.1ポイント低下)、高校卒で37.9%でした。事業所規模による差が大きく出ています。
| 事業所規模 | 大学卒 | 高校卒 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 57.5% | 63.2% |
| 5〜29人 | 52.0% | 54.6% |
| 30〜99人 | 41.9% | 45.2% |
| 100〜499人 | 33.9% | 36.7% |
| 500〜999人 | 31.5% | 29.9% |
| 1,000人以上 | 27.0% | 26.3% |
大学卒では1,000人以上の27.0%に対し5人未満は57.5%と、2倍以上の開きがあります。3人に1人が3年以内に辞めているという事実は、辞退を正当化も否定もしません。ただ、入社してから判断するという選択肢が例外的なものではないことは示しています。
辞退の前に確認する3点
立場を明確にします。気分の落ち込みだけを理由にした内定辞退は勧めません。辞退で状況が良くなるかどうかは、不安の原因が労働条件・仕事内容・体調のどこにあるかで決まるからです。就活の教科書の調査では、内定ブルーの後に就活を再開した学生のうち61.1%が、最終的に最初に内定した会社への入社を決めていました。探し直しても、同じ会社に戻る人のほうが多いということです。
一方で、辞退を検討すべき客観的な条件はあります。次のいずれかに当てはまるなら、気分ではなく事実の問題として扱ってください。
- 労働条件通知書の内容が、選考中の説明と異なる(給与、就業場所・業務の変更の範囲、労働時間など)
- 内定承諾を過度に急かされた、他社の選考辞退を強要されたなど、意思決定の過程に問題があった
- 受診の結果、入社時期の調整や環境の変更が必要と判断された
2つ目の承諾の強要は「オワハラ」と呼ばれ、実態と相談先はオワハラとは?経験者8.3%の実態と違法性・断り方・相談先にまとめています。なお前掲の厚生労働省Q&Aは、内定辞退について「労働者の意思に反して労働契約の履行を義務づけることはできない」としています。辞退そのものはできますが、同じQ&Aは辞退が信義則に反するほど不誠実な場合の損害賠償にも触れています。迷いが続くなら入社直前まで引き延ばさず、早めに人事や大学のキャリアセンターに相談してください。
辞退した後に後悔が続くときの立て直し
すでに辞退して悔やんでいるなら、まず体調を優先してください。振り返るなら「次に何を確かめてから決めるか」を書き出す形にすると、同じ迷いを繰り返しにくくなります。辞退後の空白期間は、キャリア上の欠格事由ではありません。意図的に職を離れる期間の扱いはキャリアブレイクとは?期間の目安とお金の手続き、再就職への影響を一次情報で解説で、公的な職業訓練の制度と給付金の条件はハロートレーニング(職業訓練)とは?対象者・無料の仕組みと給付金・就職率を実データで解説で整理しました。新卒応援ハローワークは、東京新卒応援ハローワークの案内では卒業後おおむね3年以内の人まで利用でき、一度就職して退職した人も対象に含まれます。後悔の反芻で眠れない、何も手につかない状態が続くなら、進路ではなく9項目のサインの問題として相談してください。
企業側の内定者フォロー設計
交流イベントと個別の情報提供を組み合わせた内定者フォロー
採用担当者から見ると、内定ブルーは辞退率と初期離職率に直結します。就活の教科書の調査で学生が会社に期待したことは、「懇親会やイベントの実施」41.3%と「自分が評価された点を教えてもらう」39.7%がほぼ並びました。学生が挙げた不安は「この会社でよいか」「配属が分からない」「ついていけるか」という個別の問いなので、交流イベントに加えて個別に答える場が要ります。評価した点の個別フィードバック、配属決定のプロセスと時期の共有、変更の範囲を含む労働条件通知書の早期交付、配属予定部署の実務担当者との面談を、懇親会と並行して用意してください。入社前から3か月までの工程の組み方はオンボーディングとは?意味と入社前〜3か月の工程、システム化する範囲の判断で扱っています。
不調を訴えた内定者への相談先の案内と就労見通しの確認
面談で内定者が睡眠や食欲の不調を訴えたとき、人事が励ましや助言で対応するのは適切ではありません。9項目に当てはまる訴えが出たら、在学中なら大学の学生相談室と自治体窓口(0570-064-556)を案内する運用を決めておいてください。
メンタル不調を理由に取消しを検討する場合も、前述の2条件があるため診断名だけでは足りません。本人の同意を得て主治医の見立てを確認し、入社時期の繰り下げなど取消し以外の手段を検討した記録を残してください。病歴は要配慮個人情報なので、共有範囲も限定します。
よくある質問
内定ブルーになる割合はどのくらいですか?
公的統計はなく、民間調査では26.7%(リクナビ・2024年3月卒業予定の内々定者300人)から65%(就活の教科書・公式LINE登録者120人・2023年11〜12月)まで開きがあります。対象者・時期・調査方法が違うため、数字をそのまま比べて差の原因を決めることはできませんが、低いほうでも4人に1人です。
内定ブルーの症状にはどのようなものがありますか?
入社を考えると気分が沈む、出社を想像すると怖くなる、寝つけない・朝起きられない、食欲が落ちる、これまで楽しめたことに関心が戻らない、辞退を繰り返し考えてしまう、といった訴えが典型です。厚生労働省「こころもメンテしよう」は、9項目のうち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続く場合に専門家への相談を勧めています。これは重さを自分で判定する基準ではなく相談の目安なので、項目数が少なくても生活に支障があれば相談し、「死にたい」と感じるときは期間を待たずに相談してください。
内定後にうつ病が分かったら、内定は取り消されますか?
診断されたことだけで取消しが有効になるわけではありません。内定取消しは解雇にあたり、内定当時知り得なかった事実で、かつ客観的に合理的で社会通念上相当な場合に限って認められます(大日本印刷事件・最高裁昭和54年7月20日判決)。争点は入社日から、または入社時期をずらせば働けるかという見込みなので、主治医の見立てを用意して人事に相談するのが先です。
内定ブルーで辞退して後悔したらどうしたらいいですか?
まず体調を優先し、振り返るなら次の進路で何を確かめてから決めるかに絞ってください。新卒応援ハローワークは卒業後おおむね3年以内の人も対象としており、公的な職業訓練という受け皿もあります。後悔が頭から離れず眠れない状態が続くなら、進路の問題ではなく体調の問題として、学生相談室や0570-064-556に相談してください。
内定ブルーで眠れないときはどうすればよいですか?
まず起床時刻を固定し、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が成人に勧める6時間以上の睡眠を確保できているかを見てください。改善を待ってよいのは、日常生活が回っている場合に限ります。生活が回らない、あるいは「死にたい」「消えたい」と感じるときは、期間にかかわらず #いのちSOS(0120-061-338・24時間365日・無料)に連絡してください。