ハロートレーニングは、公共職業訓練と求職者支援訓練をまとめた公的職業訓練の愛称です。受講料は原則無料で、ハローワークで求職の申込みをして、受講の必要があると認められれば利用できます。
受講中にいくら受け取れるかは、雇用保険を受給できるかどうかと、ハローワークから受ける「受講指示」「受講推薦」「支援指示」のどれに当たるかで決まります。この記事では、この3つの区分の違い、受講指示に必要な支給残日数、月10万円の職業訓練受講給付金の要件と初回の振込時期、そして2026年10月に厚生労働省が公表した令和7年度の就職率・応募倍率までを、出典と集計の定義つきで整理します。
まとめ:ハロートレーニングの要点
- 受講料は原則無料:テキスト代などは自己負担です。都道府県の1〜2年の科目には有料のものがあり、東京都の場合は授業料が年額118,800円です。
- お金は「受講あっせん」の区分で決まる:雇用保険の受給者が受講指示を受ければ、基本手当が訓練修了まで延長され、受講手当(日額500円・40日まで)と通所手当(月42,500円まで)が付きます。同じ訓練でも受講推薦だと手当も延長もありません。受給できない人は支援指示を受け、要件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)の対象です。
- 受講指示は残日数で決まる:所定給付日数90日・給付制限なしなら、訓練開始時に支給残日数が1日以上あればよい一方、240日なら91日以上が必要です(ハローワークの公表資料)。受給が進むほど対象から外れるので、受給手続きの直後に相談します。
- 給付金の初回振込は開始から2か月目以降:初回の支給申請は原則として受講開始後2か月目の指定来所日で、振込はその支給決定から1週間〜10日程度後です。
- 令和7年度の就職率:公共職業訓練の施設内訓練85.6%、委託訓練72.8%、求職者支援訓練は基礎コース59.5%・実践コース63.6%(いずれも暫定値)。求職者支援訓練は雇用保険が適用される就職だけを数えた値で、適用外も含めると実践コースは78.7%です。
- 応募倍率の高さと就職率は一致しない:求職者支援訓練の実践コースで、応募倍率1.18倍のデザイン分野は就職率60.6%、雇用保険が適用された就職者のうち、訓練内容に関連した仕事に就いた割合は55.7%でした。定員割れ(0.74倍)の介護福祉分野は就職率70.8%、関連就職率90.9%です。
ハロートレーニングとは(平成28年11月に決まった公的職業訓練の愛称)
厚生労働省のハロートレーニングのページは「ハロートレーニングとは、平成28年11月に決定した公的職業訓練の愛称です」と明記しています。新しい制度ができたわけではなく、それまで別々の名前で呼ばれていた公共職業訓練と求職者支援訓練に、共通の呼び名を付けたものです。
「職業訓練校」は通称です。公共職業訓練の施設内訓練は、都道府県の職業能力開発校(東京都では都立職業能力開発センター)と、高齢・障害・求職者雇用支援機構のポリテクセンターが実施します。委託訓練と求職者支援訓練は民間の専門・専修学校や大学、NPO法人などが担うため、通う先は公立の「学校」とは限りません。
利用者は年間12万人を超えます。令和7年度は公共職業訓練(離職者訓練)の受講者が87,312人、求職者支援訓練の受講者が37,952人でした(暫定値)。
公共職業訓練と求職者支援訓練の違い
2種類の入口を分けるのは、雇用保険(失業手当)を受給できるかどうかです。ただし入口は原則であって、雇用保険を受給できる人が求職者支援訓練を受けたり、受給できない人が公共職業訓練を受けたりすることもできます。
| 項目 | 公共職業訓練(離職者訓練) | 求職者支援訓練 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 主に雇用保険を受給している人 | 主に雇用保険を受給できない人 |
| 実施する機関 | 都道府県・ポリテクセンター/委託先の民間 | 厚生労働大臣が認定した民間機関 |
| コースの区分 | 施設内訓練/委託訓練 | 基礎コース/実践コース |
| 訓練期間 | 最長2年 | 2か月〜6か月 |
| 受講料 | 無料(1〜2年の一部科目は有料) | 無料 |
| 受講中のお金 | 基本手当+受講手当・通所手当 | 職業訓練受講給付金(要件あり) |
訓練期間は厚生労働省の求職者支援制度のページの記載(求職者支援訓練は2か月から6か月、公共職業訓練は最長2年)です。分野や科目、費用の扱いは都道府県ごとに違います。テキスト代のほか、作業服代や資格試験の受験料も自己負担になるのが一般的です。
受講中のお金を決める「受講指示・受講推薦・支援指示」
訓練の選考に合格しても、それだけでは受講できません。ハローワークから受講あっせんを受けて初めて受講が決まり、ハローワークプラザ札幌は「合格されてもあっせんを受けなければ訓練を受講することはできません」と案内しています。あっせんには3つの区分があり、厚生労働省の通知はそれぞれを「職業訓練受講指示要領」「職業訓練受講推薦要領」「求職者支援制度業務取扱要領」に基づくものとして扱っています(令和8年7月30日付け事務連絡)。
3つの区分の対象者と受け取れるお金
| 区分 | 主な対象 | 基本手当の延長 | 受講手当・通所手当 | 職業訓練受講給付金 |
|---|---|---|---|---|
| 受講指示 | 雇用保険の受給者で残日数の要件を満たす人 | あり(訓練修了まで) | あり | 対象外 |
| 受講推薦 | 公共職業訓練で受講指示・給付金の要件を満たさない人 | なし(所定給付日数分のみ) | なし | なし |
| 支援指示 | 雇用保険を受給できない人(受給が終わった人を含む) | - | なし | 要件を満たせば支給 |
表は、ハローワーク三沢と北海道のハローワークの案内、ハローワーク京都田辺の訓練説明会しおりの記述をまとめたものです。受講推薦について北海道の案内は「受講手当、通所手当、訓練延長給付は該当しません」「雇用保険受給者は、訓練期間中であっても認定日に来所が必要です」と書いています。無料で訓練は受けられても、お金の面では受講指示と大きな差がつきます。なお、雇用保険の受給者が受講指示の要件を満たさずに求職者支援訓練を受ける場合も支援指示になり、基本手当は所定給付日数分だけで延長されません(ハローワーク三沢・京都田辺の資料)。
受講指示の対象は公共職業訓練だけではありません。令和4年7月1日から求職者支援訓練も受講指示の対象に加わり、雇用保険の受給者が求職者支援訓練を受ける場合にも訓練延長給付や技能習得手当を受けられるようになりました(東京労働局のリーフレット)。その場合は職業訓練受講給付金を受け取れないことを、厚生労働省の「求職者支援制度・訓練受講のしおり」が明記しています。
受講指示を受けるには:訓練開始時の支給残日数
受講指示を受けられるかどうかは、訓練開始日の前日までの分を支給したあとに、基本手当の支給日数がどれだけ残っているかで決まります。必要な残日数は、北海道のハローワークと青森のハローワーク三沢が同じ表を公表しています。
| 所定給付日数 | 給付制限がある場合 | 給付制限がない場合 |
|---|---|---|
| 90日 | 31日以上 | 1日以上 |
| 120日 | 41日以上 | 1日以上 |
| 150日 | 51日以上 | 31日以上 |
| 180日 | 61日以上 | 61日以上 |
| 210日 | 71日以上 | 71日以上 |
| 240日 | 91日以上 | 91日以上 |
| 270日 | 121日以上 | 121日以上 |
| 300日 | 151日以上 | 151日以上 |
| 330日 | 181日以上 | 181日以上 |
| 360日 | 211日以上 | 211日以上 |
出典は北海道のハローワークの「訓練延長給付の対象となるために必要な支給残日数」(2024年6月作成)です。自己都合退職の給付制限は令和7年4月から原則1か月に短くなっており、この表はそれ以前に作られた資料なので、自分の場合の日数は管轄のハローワークで確かめてください。
読み方の要点は、所定給付日数が長い人ほど「早めに動かないと間に合わない」ことです。所定給付日数90日で給付制限がない人は残り1日以上が日数要件ですが、給付制限がある人は31日以上が必要です。一方、240日の人は支給済みの日数が149日を超える前に訓練を始める必要があります。ハローワーク三沢の案内も「受講指示は訓練開始時点での残日数で判断されるため、受講を検討しているかたは、早期からのご相談を!」としています。施設内訓練は入校の数か月前に募集が締め切られるので、受給資格の決定を受けたその日に訓練の相談まで済ませるのが確実です。
雇用保険を受給できる人のお金:訓練延長給付と技能習得手当
訓練延長給付の支給期間と修了後の条件
受講指示を受けて訓練を受けると、訓練の途中で所定給付日数が尽きても、訓練が終わる日まで基本手当が支給されます。根拠は雇用保険法第24条の訓練延長給付です。ハローワーク三沢は次の例で説明しています。
- 所定給付日数90日、5月1日から支給開始
- 6月1日から8月31日までの訓練を受講指示で受講
- 所定給付日数分は7月29日で終わるが、訓練延長給付により8月31日まで基本手当が続く
対象になる訓練の期間は2年まで、訓練を受けるための待期は訓練開始日の前日までの引き続く90日間です(雇用保険法施行令第4条)。
訓練が終わったあとの上乗せは、期待しすぎないほうがよい部分です。法第24条第2項は、訓練を受け終わる日の支給残日数が政令で定める日数(30日・施行令第5条第1項)に満たない人について、「政令で定める日数から支給残日数を差し引いた日数」を限度に支給できると定めています。残日数が20日なら上乗せは最大10日です。しかも、就職の見込みがなく特に再就職の援助が必要と認められた人に限られます。
受講手当・通所手当・寄宿手当の金額
受講指示による訓練を受ける間は、基本手当とは別に技能習得手当などが支給されます(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)。
| 手当 | 金額 | 支給される日・場合 |
|---|---|---|
| 受講手当 | 日額500円(上限20,000円=40日分) | 基本手当の支給対象日のうち訓練を受けた日 |
| 通所手当 | 月額最高42,500円 | 交通機関・自動車等で訓練施設へ通う場合 |
| 寄宿手当 | 月額10,700円 | 扶養している同居の親族と別居して寄宿する場合 |
受講手当は対象となる受講日ごとに500円で、40日分・20,000円が上限です。3か月の訓練で受講日が60日あっても受講手当は20,000円で頭打ちになり、対象日が40日未満なら総額も20,000円未満です。
受講指示後の失業認定と月1回の受講証明書提出
通常の失業認定は4週間に1回の認定日に来所して受けますが、受講指示を受けたあとは、訓練実施機関の長が証明した「公共職業訓練等受講証明書(様式第15号)」を提出して、1か月に1回認定を受ける方式に変わります(東京労働局のリーフレット)。求職者支援訓練を受講指示で受ける人向けのこのリーフレットでは、受講届・通所届と受講証明書を、持参のほか特定記録郵便などでの郵送や代理人によって出せるとしています。
訓練期間中は、失業認定に必要な求職活動の実績が求められない場合があります(ハローワーク旭川)。一方、受講推薦で訓練を受ける人は通常の認定日に来所する必要があり、ここも受講指示との違いです。
自己都合退職の給付制限との関係(令和7年4月からの変更)
正当な理由のない自己都合退職では、待期満了後に基本手当が出ない給付制限がかかります。退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、3月31日以前なら原則2か月で、退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合と、重責解雇の場合は3か月です(厚生労働省)。
この給付制限は、ハローワークの指示した公共職業訓練等を受ける期間と受け終わった後には適用されません(雇用保険法第33条第1項第1号)。給付制限期間中に受講指示で訓練を始めると、制限は訓練開始の前日までに短縮されます。さらに令和7年4月以降は、リ・スキリングのために教育訓練等を受けた場合も給付制限が解除されるようになりました(同項第2号・第3号)。
雇用保険を受給できない人のお金:職業訓練受講給付金
検索では「職業訓練給付金」と呼ばれることが多い制度ですが、正式な名称は職業訓練受講給付金です。自分で講座の費用を払って一部を受け取る「教育訓練給付金」とは別の制度なので、窓口ではこの名前で相談すると話が早く進みます。教育訓練給付金の給付率や上限はリカレント教育とは?文科省の定義とリスキリングとの違い、2026年の給付金で扱っています。
| 給付の種類 | 金額 |
|---|---|
| 職業訓練受講手当 | 月10万円 |
| 通所手当 | 定期乗車券などの額(月上限42,500円) |
| 寄宿手当 | 月10,700円 |
職業訓練受講給付金の8つの支給要件
まず、ハローワークに求職の申込みをしていて、雇用保険の被保険者でも受給資格者でもなく、労働の意思と能力があり、ハローワークが職業訓練などの支援が必要と認めた人が対象です。そのうえで、次の8つをすべて満たす必要があります(厚生労働省の求職者支援制度のページ)。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日すべてに出席する(やむを得ない理由で欠席し証明できる場合でも8割以上。所定の育児・介護要件に該当する人と基礎コースの受講者には、やむを得ない理由以外の欠席でも8割以上出席すれば、欠席日数等に応じて減額して支給する例外があります)
- 世帯の中で同時に職業訓練受講手当(月10万円)を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により特定の給付金の支給を受けていない
- 過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けていない
判定で迷いやすい語の定義は、「求職者支援制度・訓練受講のしおり」に書かれています。
- 収入は税引前の額で、給与のほか事業収入、年金、仕送りなども含みます。養育費は、客観的書類で子の養育目的の支給と確認できる場合には算定対象から除かれます。手取りではありません。
- 世帯は本人と、同居または生計を一つにする別居の配偶者・子・父母です。
- 6年ルールは、やむを得ない理由で訓練を途中退校した場合には「支給を受けた」とみなしません。
収入要件を満たさなくても、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で他の要件を満たせば、通所手当だけは受け取れます。給付金を受けても生活費が足りない場合は、求職者支援資金融資(単身者は月5万円、扶養家族がいる人は月10万円に受講予定の訓練月数を掛けた額。年利2%、うち信用保証料0.5%)を申し込めます。ただし、労働金庫の審査があり、必ず借りられるわけではありません。
手続きの順序と初回の振込時期
給付金の手続きは2段階です。まず事前審査で、出席以外の要件(世帯・収入・資産)を確認します。事前審査は支給申請の前か同時に行う必要があり、最も早くて訓練の受講申込みと同時です。提出書類は受講申込・事前審査書、職業訓練受講給付金要件申告書、通所届などで、マイナンバーと本人確認の書類、事前審査申請日の前月の収入を証明する書類も求められます。
次の支給申請は、1か月ごとの支給単位期間が終わるたびに、指定来所日に職業相談を受けたあと行います。しおりによると、初回の支給申請日は原則として受講開始後2か月目の指定来所日で、振込は支給決定から1週間から10日程度後です。訓練を始めてから最初の10万円が入るまで1か月以上空く計算になるので、その間の生活費は手元に用意しておく必要があります。
ほかの給付や融資の受給だけを理由に職業訓練受講給付金が停止・減額されることはありませんが、その結果、収入・資産要件を満たさなくなる場合は支給対象外です。ただし、生活保護や住居確保給付金など相手側の制度で支給が止まる可能性があるため、受けている人は窓口で相談してください。離職直後は健康保険の切り替えも同時に進むので、手続きの期限は国民健康保険の加入・切り替え手続き|14日を過ぎたら・転職で数日空くときの保険料で確かめておくと安心です。
就職率と応募倍率の実データ(令和7年度)
以下の数値は、2026年10月に公開された厚生労働省「ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施状況(詳細版)」(令和8年度第1回中央職業能力開発促進協議会の資料3-3)によります。令和7年度の実績は暫定値で、今後変わる可能性があります。
公共職業訓練の就職率:施設内85.6%・委託72.8%
| 訓練の種類 | 定員 | 受講者数 | 定員充足率 | 就職率 | 令和6年度の就職率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 施設内訓練 | 31,929人 | 28,700人 | 72.9% | 85.6% | 86.0% |
| 委託訓練 | 70,514人 | 58,612人 | 68.7% | 72.8% | 72.8% |
| 合計 | 102,443人 | 87,312人 | 70.0% | - | - |
就職率は、当該年度に訓練を修了した人の3か月後の就職状況です。表の受講者数には前年度からの繰越者を含みますが、定員充足率は当該年度に開始したコースのみの集計なので、表の受講者数を定員で割った値とは一致しません。定員充足率は7割前後で、令和3年度の76.7%から下がり続けています。施設内訓練の分野別では金属関連88.3%、建設関連86.3%、電気関連85.0%と、ものづくり系が高い水準です。
求職者支援訓練の就職率:基礎59.5%・実践63.6%
| コース | 応募倍率 | 受講者数 | 就職率 | 従前の就職率 | 関連就職率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基礎コース | 0.84倍 | 5,757人 | 59.5% | 75.7% | 75.6% |
| 実践コース | 1.03倍 | 32,195人 | 63.6% | 78.7% | 70.0% |
| 合計 | 1.00倍 | 37,952人 | - | - | - |
応募倍率と受講者数は令和7年度中に開始したコース、就職率は令和7年12月末までに終了したコースの集計です。
公共職業訓練の就職率と横に並べて比べることはできません。求職者支援訓練の就職率は、訓練修了3か月後に雇用保険が適用される就職をした人だけを数え、修了者等数で割った値です。さらに訓練終了日に65歳以上の人を分母・分子から外しています。雇用保険が適用されない短時間のパートなどの就職も含めた「従前の就職率」は、実践コースで78.7%、基礎コースで75.7%になります。同じ訓練の成果が、数え方だけで15ポイント以上動きます。
分野別の応募倍率・就職率・中退率(求職者支援訓練の実践コース)
| 分野 | 応募倍率 | 受講者数 | 就職率 | 関連就職率 | 中退率 |
|---|---|---|---|---|---|
| IT | 0.94倍 | 4,372人 | 61.4% | 71.1% | 11.6% |
| 営業・販売・事務 | 1.04倍 | 11,116人 | 63.0% | 75.4% | 5.7% |
| 医療事務 | 0.88倍 | 1,621人 | 69.0% | 78.5% | 5.3% |
| 介護福祉 | 0.74倍 | 2,675人 | 70.8% | 90.9% | 4.8% |
| デザイン | 1.18倍 | 8,539人 | 60.6% | 55.7% | 8.8% |
| 理容・美容 | 1.13倍 | 2,220人 | 70.2% | 60.4% | 12.6% |
応募倍率・受講者数は令和7年度中に開始したコース、就職率・関連就職率は12月末までに終了したコースの集計です。関連就職率は、雇用保険が適用された就職のうち訓練内容に関連した仕事に就いた割合です。中退率は、12月末までに終了したコースの受講者に占める「就職以外の理由で中退した人」の割合を、厚生労働省の実数から計算しました(例:デザインは7,093人中625人)。
この表で一番大事なのは、応募が集まる分野ほど結果が良いわけではない点です。デザイン分野は倍率1.18倍と人気ですが、就職率は60.6%と主要分野で最も低く、就職した人のうち訓練内容に関連した仕事に就いたのは55.7%にとどまります。定員割れの介護福祉分野は、就職率70.8%、関連就職率90.9%です。令和6年度もデザイン1.39倍・57.8%、介護・医療・福祉0.74倍・71.1%で、2年続けて同じ傾向が出ています。
デザインやITの訓練を選ぶこと自体は否定しません。ただし関連就職率は、デザイン分野で就職した人の4割以上が訓練内容と関係のない仕事に就いたことを示しています。統計は受講前の経験を区別していないため「未経験者が何割デザイナーになれたか」までは読み取れませんが、職種を変えることが目的なら、募集要項や説明会で、そのコースの修了生のうち関連職に就いた人数を必ず確かめてください。
対象者と条件:年齢・在職中・実際の受講者像
制度全体として訓練の受講や給付金に一律の年齢上限はありません。ただし、個別の訓練コースには年齢条件があり、東京都の一部科目では原則35歳以下などの対象が定められています。ただし年齢が上がるほど就職率は下がります。令和7年度の公共職業訓練(離職者訓練)の年齢別の就職率は、40〜44歳の80.4%が最も高く、55〜59歳72.5%、60〜64歳70.3%、65歳以上66.6%でした。65歳を過ぎても3人に2人が就職している、と読むこともできます。
受講者の年齢も若い人に偏っていません。令和7年度に公共職業訓練に入校した71,707人のうち、最も多いのは50〜54歳の9,711人(13.5%)で、60〜64歳も6,963人(9.7%)います。求職者支援訓練は女性が7割を超え、年齢では25〜29歳が最多です(年齢階層別の集計による)。
在職中でも、相談と申込みはできます。給付金を受けながら訓練を受ける在職者の例として、厚生労働省は「一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方など」を挙げています。一方、北海道のハローワークの案内では、訓練開始日に週20時間以上働いている人は受講できないとされており、原則として週20時間以上の仕事に就くことを目指す人が対象です。子育て中の人向けには託児サービス付きのコースがあり、子連れで相談できる窓口はマザーズハローワークとは?対象者・全国23か所の場所と子連れ・妊娠中の利用【2026年】でまとめています。
申し込みから受講開始までの流れとコースの探し方
相談から受講開始までの6段階
- ハローワークで求職申込みと訓練相談:訓練が就職に必要かどうかがここで判断されます。ハローワーク京都田辺の資料は、資格取得だけが目的の人、希望職種に関係のない趣味の領域を深めたい人などを「申込不可の一例」として挙げています。
- コースを選んで応募:全国の訓練コースはハローワークインターネットサービスで都道府県・分野・募集期間ごとに検索できます。求職者支援訓練は、ハローワークに出したあと訓練施設にも申込書を出す必要があります。
- 給付金を希望する人は事前審査:受講申込みと同時に出せます。
- 選考:筆記試験や面接です。応募が少ないとコースが中止になることもあり、求職者支援訓練の令和7年度の中止率は7.6%でした。
- 受講あっせんを受けて受講開始:受講指示・受講推薦・支援指示のいずれかを受けます。
- 訓練中と修了後の職業相談:求職者支援訓練は、訓練開始から修了後最大3か月まで、原則月1回の指定来所日にハローワークで相談します。
締切は早めです。東京都の2026年4月入校生募集では、募集期間が1月7日〜30日、選考が2月10日〜13日、合格発表が2月24日、入校が4月6日でした(TOKYOはたらくネットの募集案内)。入校の2か月以上前に応募を締め切る計算で、受講指示の残日数とあわせて逆算が必要です。同じ案内では、ほかの公共職業訓練や求職者支援訓練との併願はできず、原則として過去1年以内に公共職業訓練や求職者支援訓練の実践コースを受けた人は対象外とされています。
東京など地域ごとのコースと倍率の調べ方
都道府県が実施する施設内訓練は、都道府県のサイトに科目と倍率が出ています。東京都の都立職業能力開発センターでは、上の募集案内に科目ごとの前年の応募倍率(令和7年4月生の一般募集時)が載っており、多くは1倍を下回ります。高かったのはアパレルパタンナー(城東センター)1.7倍、製くつ(台東分校)1.6倍で、電気工事(城南センター)は0.1倍でした。アパレルパタンナーと製くつは授業料のかかる1年制の科目で、授業料は年額118,800円、入校選考料は1,700円です。
求職者支援訓練は都道府県別の実績も公表されています。令和7年度の受講者数は東京都4,815人、大阪府4,210人、北海道2,265人、福岡県2,210人、神奈川県1,849人、愛知県1,425人で、実践コースの就職率は東京63.6%、大阪67.8%、福岡70.7%、神奈川65.5%でした。大阪・神奈川・福岡・愛知など他の地域も、都道府県の職業能力開発校のページと、ハローワークインターネットサービスの訓練検索で募集中のコースを確認できます。希望のコースが地元に無いときは、ハローワーク京都田辺の資料にあるように、隣の府県の訓練を受けられる場合もあります。
「職業訓練はやめとけ」と言われる理由と受講前の判断条件
否定的な意見には、制度上の根拠があるものとないものが混ざっています。公表データで確かめられるものだけを挙げます。
- 出席の縛りが強い:給付金は訓練実施日すべての出席が原則で、やむを得ない理由があっても8割を切れば出ません。やむを得ない理由による遅刻・早退等では、全時間出席した時限が1日の半分以上なら「1/2日出席」、半分未満なら1日欠席と数えます。出席日数の端数は支給単位期間ごとに切り捨てます。
- 収入・資産の要件が世帯単位:本人月8万円以下に加えて世帯月30万円以下、金融資産300万円以下です。親や配偶者と同居していると、それだけで外れることがあります。
- 受給が進むと受講指示を受けられない:所定給付日数が長い人ほど、残日数の要件が厳しくなります。
- 途中でやめる人がいる:求職者支援訓練の実践コースでは、受講者24,428人のうち1,934人(7.9%)が就職以外の理由で中退しています。IT 11.6%、理容・美容12.6%と、分野で差があります。
- 再受給には原則6年の間隔が必要:前回受給した最初の支給単位期間の初日から数えます。ただし、やむを得ない理由による途中退校には例外があります。
それでも、公共職業訓練の施設内訓練は就職率85.6%、委託訓練も72.8%です。制度全体を「やめとけ」で片づけるより、雇用保険が残っているうちに受講指示を取れるか、世帯の収入で給付金の対象になるか、関連就職率の高い分野を選ぶか、の3点で判断が分かれます。とくに、受講推薦で基本手当の支給が訓練途中に終わる人や、職業訓練受講給付金を受けられず他の収入もない人は、生活費の見通しが立つかを先に確かめてください。
よくある質問(ハロートレーニング)
ハロートレーニングの受講料は本当に無料ですか?
受講料は原則無料です。ただしテキスト代や作業服代、資格試験の受験料などは自己負担です。都道府県が実施する1〜2年の科目には有料のものがあり、東京都の場合は授業料が年額118,800円、入校選考料が1,700円です。
受講指示と受講推薦の違いは何ですか?
受講指示は、訓練開始時に必要な支給残日数がある雇用保険の受給者が受けるもので、基本手当の延長と受講手当・通所手当が付きます。受講推薦は、公共職業訓練を受ける人のうち、受講指示と職業訓練受講給付金のどちらの要件も満たさない人が受けるもので、訓練は無料ですが手当も延長もありません。
失業保険をもらいながら職業訓練を受けられますか?
受けられます。受講指示を受ければ、所定給付日数が途中で終わっても訓練が終わる日まで基本手当が支給され、受講手当(上限20,000円)と通所手当(月上限42,500円)が加わります。
職業訓練受講給付金の月10万円は誰でももらえますか?
もらえません。本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下など、8つの要件をすべて満たす必要があります。収入は手取りではなく税引前の額で数えます。要件を満たさなくても、無料の訓練そのものは受けられます。
職業訓練受講給付金はいつ振り込まれますか?
初回の支給申請は原則として受講開始後2か月目の指定来所日で、振込は支給決定から1週間から10日程度後です。以後は1か月ごとの支給単位期間が終わるたびに、指定来所日に申請します。
年齢制限はありますか?60歳以上でも受けられますか?
制度全体に一律の年齢上限はなく、60歳以上でも受講できます。ただし、コースごとの年齢条件は募集要項で確認してください。令和7年度の公共職業訓練では60〜64歳の入校者が6,963人おり、65歳以上の就職率も66.6%でした。
訓練の終了後にも60日分の手当が出ますか?
出ません。訓練終了後の上乗せは、30日から訓練終了日の支給残日数を差し引いた日数が限度で、再就職の援助が特に必要と認められた人に限られます(雇用保険法第24条第2項、施行令第5条第1項)。「60日」は別制度の個別延長給付の限度日数です(同法第24条の2)。
訓練を受ければ資格が取れますか?
コースによります。求職者支援訓練には介護職員初任者研修科や医療・調剤事務科などがあり、東京都の電気工事科のように修了すると第二種電気工事士の資格が得られる施設内訓練もあります。ただし、資格を取ることだけを目的にした申込みは、受講の必要性が認められない例として挙げられています。
令和7年度の実績は暫定値です。金額や要件は改正されることがあり、受講指示の運用は地域で異なる部分もあるため、申込み前に管轄のハローワークで確認してください。