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建設業の2024年問題とは?上限規制の適用から2年半の現在地と改正建設業法への対応

建設業の2024年問題とは?上限規制の適用から2年半の現在地と改正建設業法への対応

建設業の2024年問題とは、2024年4月1日に建設業へ時間外労働の上限規制が適用され、長時間労働で工期を守ってきたやり方が法律上できなくなったことで起きている人手・工期・コストの問題の総称です。上限は原則月45時間・年360時間で、特別条項を結んでも年720時間を超えられません。2025年12月12日には改正建設業法が全面施行され、受注者側にも著しく短い工期での契約や原価割れ契約が禁止されました。2024年問題は、労務管理の話から契約と見積りの話へ広がっています。この記事では、上限の4つの数字と災害時の例外、対象になる人と労働時間の数え方を厚生労働省の資料で整理し、勤怠・工程・見積りのどこからシステム化すべきかを受託開発会社の立場で示します。

まとめ:建設業の2024年問題で2026年11月時点に押さえる規制と対応の順番

押さえる規制は2つです。1つは労働基準法の上限規制で、特別条項を使っても年720時間、時間外と休日労働の合計で月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内、月45時間超は年6回までという4つの線を超えると罰則の対象になります。もう1つが2025年12月12日に全面施行された改正建設業法で、工期と労務費について受注者も契約の段階から説明できる状態を持つ必要が出てきました。

対応の順番は、勤怠の実績を日単位で正確に取ることが先です。労働時間の実績がなければ、工期が短すぎるかどうかも、見積りの労務費が妥当かどうかも根拠を示せません。施工管理アプリや工程管理の高度化はその後で足ります。従業員30人以下の会社なら既製の勤怠SaaSで始め、複数現場の工程・原価とつなぐ段階で個別開発を検討する、というのが当社の判断です。

建設業の2024年問題とは何か、2024年4月に適用された時間外労働の上限規制

5年の適用猶予が終わり原則月45時間・年360時間になった建設業の経緯

時間外労働の上限規制は、2019年4月(中小企業は2020年4月)に働き方改革関連法で一般の業種に導入されました。建設業は長時間労働の是正に時間がかかるとして5年間の適用猶予が置かれ、2024年3月31日でその猶予が終わりました。2024年問題という呼び名は、この猶予の期限から来ています。

猶予中は、36協定を結べば上限なく時間外労働をさせることができました。2024年4月以降は、厚生労働省のポータルサイトが示すとおり、時間外労働は原則として月45時間・年360時間(限度時間)までです。背景には担い手の減少があり、建設業の就業者数は1997年をピークに約30%減ったと建設業の概況にまとめられています。同じページは、公共工事で週休2日の取得が進む一方、民間工事では週休2日の確保が課題として残っていると書いています。

特別条項でも超えられない年720時間・月100時間未満・複数月平均80時間の上限

臨時的な特別の事情があれば、36協定に特別条項を定めて限度時間を超えられます。ただし次の4つは特別条項でも超えられません。休日労働を含むかどうかが項目ごとに違うため、勤怠の集計ロジックで取り違えやすい部分です。

上限 数える時間 集計の単位
年720時間以内 時間外労働のみ 36協定の対象期間1年
月100時間未満 時間外労働+休日労働 暦月ごと
2〜6か月平均80時間以内 時間外労働+休日労働 直近2・3・4・5・6か月のすべて
月45時間超は年6回まで 時間外労働のみ 36協定の対象期間1年

年720時間の中に休日労働は入りませんが、月100時間と複数月平均には入ります。休日出勤を「年間の残業には入らないから大丈夫」と扱うと、月単位の上限に違反する扱いです。条文と協定書の書き方は特別条項付き36協定の上限時間と様式第9号の2の記載例で、全業種共通の上限と勤怠システムのアラートの考え方は時間外労働の上限規制と業種別特例の解説で扱っています。

災害の復旧・復興事業で外れる2つの上限と労働基準法33条の許可による例外

建設業には、ほかの業種にない例外が2つあります。労働基準法139条1項により、災害時の復旧・復興の事業では「月100時間未満」と「2〜6か月平均80時間以内」が適用されません。年720時間と月45時間超は年6回までは残ります。この扱いを受けるには、専用の36協定(様式第9号の3の2または第9号の3の3)を結んで届け出る必要があります。

もう1つが33条1項で、災害など避けられない事由で臨時の必要があるとき、労働基準監督署の許可を受ければ上限規制の枠外で時間外・休日労働をさせられます。対象は瓦礫撤去や緊急的な機能回復工事に限られます。機能回復がある程度済んだ段階で発注された工事は対象外です。災害対応の多い地場の土木会社は、通常工事と復旧工事で勤怠の区分を分けておかないと、どちらの上限で判定すべきか後から説明できなくなります。

6か月以下の拘禁刑の罰則と中小企業の月60時間超の割増賃金率50%

上限に違反すると、労働基準法119条により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。2025年6月の刑法改正で、懲役は拘禁刑に切り替わりました。

コスト面では、2023年4月から中小企業も月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%に上がっています。上限規制で時間外労働そのものを減らせない会社は、60時間を超えた部分の人件費が倍の割増で積み上がります。残業で工期を吸収するやり方は、罰則と人件費の両方から成り立たなくなりました。

2025年12月12日の改正建設業法の全面施行で契約と見積りに広がった2024年問題

受注者にも禁止された著しく短い工期での契約と原価割れ契約の影響

2024年6月に成立した第三次・担い手3法(建設業法・入契法・品確法の改正)は、段階を踏んで施行され、2025年12月12日に全面施行されました。2019年の改正では、注文者が著しく短い工期で契約することだけが禁止されていました。今回の改正で、受注者が自ら短い工期を申し出て契約することも禁止の対象になっています。原価割れ契約の禁止も受注者に広がりました。

現場への影響は、「受注するために工期を詰める」ことが受注者側の違反にもなる点です。上限規制で1人あたりの作業時間に天井ができたうえ、天井を前提にした工期で契約することが求められるようになり、労働時間の上限と契約の工期が同じ数字でつながりました。改正内容を見積・契約・原価システムの改修項目に落とした整理は建設業法の改正で何が変わったかにまとめています。

労務費の基準と著しく低い労務費による見積りの禁止で問われる工事費の内訳

改正法で、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告する仕組みができました。基準に照らして著しく低い労務費等による見積りや見積り依頼は禁止され、違反した発注者には国土交通大臣等が勧告・公表を行い、違反した建設業者には指導・監督が行われます。基準の本文と職種別の基準値は国土交通省の労務費に関する基準ポータルサイトで公開されており、運用方針は2026年6月29日に改正されています。

見積書に労務費を独立した行で出していない会社は、基準値と比べられる形で説明できません。一式計上の見積りを続けていると、下請として見積りを出す場面でも、元請として見積りを依頼する場面でも、妥当性を示す材料がない状態になります。

資材高騰のおそれ情報の通知と変更協議で工期と請負代金を見直す手続き

国土交通省の改正法の概要によれば、2024年12月13日に先行施行された規定で、資材高騰に伴う請負代金の変更方法が契約書の法定記載事項になりました。資材の高騰や入手困難が起きるおそれがある場合、受注者は契約締結までにその情報を注文者へ通知します。実際に起きたときは受注者が代金や工期の変更協議を申し出ることができ、注文者は誠実に応じるよう努める必要があります。

この手続きは2024年問題と直結します。資材の遅れで工程が詰まると、その分を残業で取り戻すことはもうできません。工期の変更協議を申し出るには、遅れの発生日と影響した作業を記録から示せることが前提になります。

上限規制の対象になる人とならない人、移動時間と待機時間の数え方

施工管理技術者と現場作業員は対象で雇用契約のない一人親方は対象外になる条件

上限規制は労働基準法上の労働者に適用されるため、現場の作業員だけでなく、施工管理の技術者や事務所で積算・書類作成をする社員も対象です。現場が終わってから事務所で日報や写真整理をする施工管理者は、作業員より時間外労働が長くなりやすい層です。現場の入退場記録だけで労働時間を見ていると、この層の残業が勤怠に出てきません。

雇用契約を結ばずに請け負う一人親方は、労働基準法の労働者に当たらないため上限規制の対象外です。ただし、作業の指示を細かく受け、時間も場所も拘束されているなど実態が労働者と変わらない場合は、契約の名目にかかわらず労働者と判断される可能性があります。上限規制を避けるために社員を一人親方へ切り替える対応は、この判断でかえって問題になります。技能者の就業履歴を現場単位で残す仕組みとしては建設キャリアアップシステムの義務化の現在地も確認しておくとよいでしょう。

会社指示の乗り合い移動と即応待機が労働時間になる例とならない例

建設業で集計が割れやすいのが移動時間と待機時間です。厚生労働省のポータルは次のように例を示しています。

区分 労働時間に当たる例 当たらない例
移動時間 使用者指定の移動手段/上司同乗で打合せ 直行直帰自由、乗合時刻・運転者は労働者が任意決定
待機時間 即時作業の義務/自由のない事業場内での待機命令 緊急対応が少なく、自宅待機中の外出等に制限なし

資材置き場に集合して会社の車で現場へ向かう運用なら、移動時間は労働時間として数える前提で工程を組むのが安全です。判断に迷う個別の事例は、厚生労働省の建設業の上限規制に関するQ&Aで確認できます。

2024年問題の対策を勤怠・工程・見積りのシステムに落とすときの優先順位

月締め後の集計では間に合わない複数月平均80時間の判定を日次で回す仕組み

4つの上限のうち、運用で最も外しやすいのが2〜6か月平均80時間です。当月が終わってから集計すると、判定した時点ではもう違反が確定しています。当月の途中で「あと何時間で平均80時間を超えるか」を出すには、次の手順で日次に計算します。

  1. 直近5か月分の確定した時間外+休日労働の時間数を、暦月ごとに保持する
  2. 当月の実績を日次で加算し、2か月平均から6か月平均までの5通りを毎日計算する
  3. 5通りのうち最も厳しい平均から、当月に残っている時間数を逆算する
  4. 残り時間が一定を下回った社員を、その日のうちに現場代理人と労務担当へ通知する

例えば前月が95時間なら、2か月平均80時間以内に収めるため当月は65時間までに抑える必要があります。月100時間未満の上限に届く前に、複数月平均の制限で止まる社員が出る計算です。直行直帰と複数現場の掛け持ちが多い会社で打刻をどう集めるかは、建設業の勤怠管理システムの選び方で比較しています。

週休2日を前提にした工程表と工期の根拠を発注者に示せる作業記録の持ち方

受注者にも著しく短い工期での契約が禁止された以上、工程表は「この工期なら上限内で施工できる」ことを説明する資料になります。必要になるのは、工種ごとの標準的な作業日数、天候で止まった日、資材の遅延で止まった日を、現場ごとに日付つきで残した記録です。

この記録があれば、雨で3日止まった現場について工期の変更協議を申し出るときも、日報から遅れの日数を示せます。紙の日報を月末にまとめて入力する運用では、協議を申し出る時点で根拠が揃いません。工程と勤怠を同じ現場コードで紐付けておくと、どの現場で誰の時間外労働が増えたかも同じ記録から追えます。

労務費の基準値と照らし合わせられる見積書の内訳と工事台帳の項目設計

見積りの側では、労務費を材料費や経費と分けて計上し、職種と数量の単位で基準値と比べられる形にしておくことが出発点です。受注後は、見積りの労務費と実際にかかった労務費を工事ごとに比べられれば、次の見積りの精度が上がります。

実績側の受け皿が工事台帳の記載項目と労務費の計算です。勤怠の実績時間を工事台帳の労務費へ自動で配賦できれば、見積り・実行予算・実績の3つを同じ単位で並べられます。ここまでつながると、労務費の基準を下回る見積りかどうかを受注前に判定できるようになります。

システム投資で2024年問題に対応する会社の判断と既製品で足りる場面

勤怠の実績把握を最優先にし施工管理アプリの導入を後回しにすべき理由

当社の判断ははっきりしています。2024年問題への対応でシステムに予算を割くなら、最初は勤怠の実績把握です。写真管理や図面共有の施工管理アプリを先に入れても、上限規制の違反を防ぐ仕組みにはなりません。現場の作業時間が短くなっても、事務所に戻ってからの書類作業や移動時間が勤怠に載っていなければ、違反の危険は見えないまま残ります。

施工管理アプリが効くのは、勤怠の実績から「どの作業に時間がかかっているか」が分かった後です。帰社後の写真整理が毎日2時間あると分かれば、現場で写真を仕分けできるアプリに投資する理由がはっきりします。順番を逆にすると、時間が減ったかどうかを測る基準がありません。

30人以下は既製の勤怠SaaSにとどめ個別開発に進む条件を満たす会社の線引き

次の条件に当てはまる会社は、個別開発を見送り、既製の勤怠SaaSの導入と設定で十分です。

  • 従業員が30人以下で、同時に動く現場が5か所前後に収まる
  • 見積りと原価を表計算ソフトで管理しており、工事台帳との自動連携をまだ求めていない
  • 災害復旧工事の受注がなく、36協定の区分を分けて集計する必要がない

逆に、複数現場を掛け持つ施工管理者の時間を現場別に按分したい、勤怠の実績を工事台帳の労務費へ流したい、災害復旧工事と通常工事で上限の判定を分けたい、という要件が1つでもあれば、既製品の設定だけでは届かないことが多くなります。この段階では、既に使っている勤怠SaaSと原価管理をAPIでつなぐ改修から始め、足りない判定ロジックだけを開発するのが費用の割に効果の大きい進め方です。当社では建設業向けシステム開発として、勤怠・工程・原価の連携をこの単位でお受けしています。

よくある質問

建設業の2024年問題について、検索で多く調べられている疑問に2026年11月時点の制度で答えます。

建設業の2024年問題はもう終わったのですか?

終わっていません。2024年4月1日に上限規制が適用されたのは始まりで、以後は毎月の勤怠で上限を守り続ける必要があります。2025年12月12日には改正建設業法が全面施行され、受注者側の工期ダンピングと原価割れ契約の禁止、労務費の基準が加わりました。規制は2024年以降に重なって増えており、対応すべき範囲はむしろ広がっています。

物流の2024年問題と建設業の2024年問題は何が違いますか?

どちらも同じ2024年4月の上限規制の適用がきっかけですが、上限の数字が違います。建設業は一般の業種と同じく特別条項でも年720時間で、災害の復旧・復興事業に限り月100時間未満と複数月平均80時間が外れます。自動車運転の業務は年960時間が上限で、月100時間未満などの規定は適用されません。物流側の詳細は物流の2024年問題と年960時間の上限規制で解説しています。

下請会社の作業員の残業時間を元請が管理する義務はありますか?

上限規制の義務を負うのは、その作業員を雇っている会社です。元請が下請の社員の労働時間を集計する法的な義務はありません。ただし、元請が著しく短い工期で下請と契約することは建設業法で禁止されており、下請の作業員が上限内で施工できる工期を設定する責任は元請にもあります。下請の就業履歴を現場単位で把握する手段として、建設キャリアアップシステムの入退場記録を使う元請もあります。

建設業で36協定を結ぶときはどの様式を使えばよいですか?

2024年4月以降、通常の工事では一般の業種と同じ様式第9号(限度時間内)か様式第9号の2(特別条項付き)を使います。災害時の復旧・復興の事業を含めて協定する場合は、様式第9号の3の2または第9号の3の3です。猶予期間中に使っていた建設業向けの経過措置の様式は使えないため、2024年3月以前の協定をそのまま更新していないかを確認してください。

建設業の2024年問題の対策に使える助成金はありますか?

厚生労働省の働き方改革推進支援助成金に、建設業を対象に含む業種別課題対応コースがあります。勤怠管理ソフトウェアの導入や外部専門家への委託費などが対象経費になり得ます。業種を問わない労働時間短縮・年休促進支援コースの令和8年度の交付申請期限は2026年11月30日で、どのコースでも交付決定の前に契約した費用は対象外です。対象経費の範囲や締切からの逆算は働き方改革推進支援助成金の上限額と勤怠システム費用の対象範囲で整理しています。

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