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スマートシティ事例を分野別に整理|自治体の人口規模と財源で選ぶ再現の型

スマートシティ事例を分野別に整理|自治体の人口規模と財源で選ぶ再現の型

国土交通省が令和8年4月10日に選んだスマートシティ実装化支援事業の9地区は、支援額が450万円から4,050万円まで9倍の開きがあります。同じ「スマートシティ事例」でも、政令市が3D都市モデルで暑熱を測る取り組みと、人口4千人に満たない町がふるさと納税を財源に据える取り組みでは、再現に必要な条件がまったく違う。この記事では、国と自治体が公表している一次資料から、交通・防災・暑熱・見守り・健康の分野別に国内の実装事例を分解し、人口規模と財源から自分の自治体で再現できる型に落とします。補助が切れた後の運用費を誰が払っているかまで踏み込むので、事例名の一覧ではなく発注判断の材料として読めます。

まとめ:事例から再現条件を読み取る順序と財源の型

先に結論を書きます。事例を見るときに最初に確認すべきは分野でも技術でもなく、その事業にいくら付いて、補助が切れた後の運用費を誰が払う設計になっているかです。令和8年度の9地区は、行政内部の効率化分を運営費へ再投資する型(仙台市)、利用者から共益費を取る型(東広島市)、ふるさと納税を充てる型(すさみ町)、既存の広域データ連携基盤に相乗りして構築費を抑える型(堺市)に分かれます。

基盤の持ち方は人口規模で決まります。中核市以上は自前の都市OSを持つ選択肢がありますが、それ未満の自治体が単独で持つと運用費で詰まる。高松市が観音寺市・綾川町と負担金方式で分け合った形や、堺市が大阪広域データ連携基盤に乗った形が現実的な解になります。

順序も逆にしないでください。都市OSを先に調達し、載せるサービスを後から探す進め方は、国のガイドブックが「OSを作ってただ待っていれば集まるものではない」と明記している失敗の型です。解きたい課題とサービスを1つ決め、そのために必要なデータを集める順で進めます。

令和8年度に選ばれた9地区の支援額と事業内容から見る国内の現在地

国内のスマートシティ事例は、国の支援事業に採択された地区を追うと全体像がつかめます。制度の定義や都市OSの構造そのものはスマートシティの政府定義と都市OSの成熟レベルを整理した記事で扱っているため、ここでは直近の採択実績と金額に絞ります。

9地区の支援額2億2,000万円と戦略的3地区・都市サービス6地区の内訳

国土交通省は令和8年4月10日、令和8年度スマートシティ実装化支援事業で9地区の支援を決定したと発表しました。内訳は、国が定める政策テーマに合致する「戦略的スマートシティ実装タイプ」が3地区、実行計画に基づく先端的技術の都市サービスを対象とする「都市サービス実装タイプ」が6地区です。いずれも実証からまちへの実装までを一体で実施する事業と定義されています。

金額は同事業の別紙に地区別で示されています。

地区 支援額 主なテーマ
神奈川県横浜市 4,050万円 暑熱対策と回遊
宮城県仙台市 3,960万円 道路の維持管理
大阪府堺市 3,515万円 地域資源の発信
千葉県柏市 3,150万円 エネルギー管理
広島県東広島市 2,100万円 エリアマネジメント
埼玉県さいたま市 2,015万円 暑熱対策と回遊
東京都港区 1,800万円 鉄道データと回遊
和歌山県すさみ町 960万円 観光と防災
東京都江東区 450万円 公開空地の運用

合計は2億2,000万円。1地区あたりの平均は約2,440万円で、最大の横浜市と最小の江東区では9倍の差があります。仙台市・港区・江東区・すさみ町の4地区は令和7年度からの継続採択で、令和7年度までの支援地区は35自治体に達しました。単年度の実証費用としては数千万円規模が上限だと押さえておくと、事例の規模感を読み違えません。

4府省5事業で29事業が選ばれた令和7年度との支援の枠組みの違い

実装化支援事業は、スマートシティ関連の国の支援メニューの一部にすぎません。内閣府が公表した令和7年度のスマートシティ関連事業の選定結果(令和7年4月11日公表)では、4府省が連携して5つの事業で計29事業を選んでいます。未来技術社会実装事業が3事業、総務省の地域社会DX推進パッケージ事業が2事業、国土交通省のスマートシティ実装化支援事業が8事業、経済産業省の地域新MaaS創出推進事業が5事業、国土交通省の日本版MaaS推進・支援事業が11事業という配分でした。

この構造を知らずに「スマートシティの補助金」を探すと、所管の違う窓口をたどることになります。移動サービス中心ならMaaS系の2事業、通信基盤や庁内データの整備なら総務省の事業、都市空間へのサービス実装なら国土交通省の事業、というのが窓口の目安です。公募は例年2月ごろに4府省が合同で行い、選定結果は翌年度の4月に公表される流れになっています。

交通・防災・暑熱・見守りの分野別に見る実装事例と判断に使うデータ

ここからは分野別に事例を分解します。技術名ではなく「どのデータを、どの部署が、何の判断に使っているか」で読むと、自分の自治体に置き換えやすくなります。

道路台帳と走行映像のAI検知を都市OSで重ねる仙台市の維持管理

仙台市は令和8年度に戦略的タイプで3,960万円の支援を受け、道路の維持管理を対象にしています。ハザードマップ・道路台帳・都市基盤データという静的な情報と、住民通報や走行映像から検知した道路損傷データという動的な情報を都市OS上で統合し、地理空間上で重ね合わせる構成です。さらに仙台市の専門知識を学習させた生成AIが、損傷の状況や周辺条件から補修の緊急度と根拠を示し、職員の優先度付けを補助します。

着目したいのは対象業務の選び方です。市民向けアプリではなく、技術職員の不足という庁内の制約から出発している。市の資料では、道路巡回の不足、属人化した判断、データの分散が課題として挙げられています。住民サービスの前に内部業務で効果を出す設計は、効果検証がしやすく、次年度の予算要求でも説明が通りやすい型です。

3D都市モデルと赤外線カメラで暑熱を測る横浜市の回遊ルート案内

令和8年度で最大の4,050万円が付いたのは横浜市みなとみらい21地区でした。猛暑による屋外移動の快適性低下、イベント時の特定ルートへの人流集中、動線や視認性の不足による回遊阻害の3点を課題に挙げ、3D都市モデルと赤外線カメラで暑熱環境を計測し、来街者へ歩きやすいルートを案内します。さいたま市も同じ暑熱を対象に、大宮氷川参道周辺で2,015万円の支援を受けています。人口約135万人の政令市が、駅と神社を結ぶ徒歩圏という限られた区域に絞った点が実務的です。

3D都市モデルを扱う事例は、すさみ町のドローン航路設計やデジタル避難訓練にも及びます。都市の現況を仮想空間に写して分析する仕組みそのものはデジタルツインの意味と導入判断を扱った記事で解説しているので、モデルの精度や更新頻度を検討する段階ではそちらを参照してください。ここでは「暑熱という体感の課題を、計測できる数値に翻訳した」点が事例の要点になります。

除雪車約270台の位置を20秒おきに更新する会津若松市の交通情報

国のガイドブックが都市OS上で実装済みと整理している事例のうち、住民の生活実感に近いのが会津若松市の除雪車位置情報サービスです。当日稼働している除雪車約270台の走行状況を地図上に表示し、現在位置を20秒おきに更新します。「自宅の前はいつ除雪されるのか」という問い合わせが集中する冬季に、電話対応そのものを減らす設計です。

同市は子どもが通う学校の情報を保護者へ通知する仕組みや、母子健康手帳を電子化して発育曲線や予防接種の状況を表示する仕組みも都市OS上に載せています。1つの基盤に生活分野のサービスを積み増していく形で、サービスごとに別々のシステムを建てていない点が、後の運用費に効いてきます。

見守りタグ検知アプリを他市へ開放した加古川市の自治体間の広域連携の型

兵庫県加古川市は、BLEタグを使った見守りサービスのアプリをオープン化し、他の自治体が共同で使えるようにしました。既存の自治体アプリにも見守り機能を後から組み込みやすい仕組みを用意しており、市域を越えた見守りにつながっています。国の資料には「都市OSとは連携していない」と注記があり、基盤を持たなくても広域連携が成立することを示す例です。

健康分野では福岡県飯塚市が、健康イベントの参加者に歩数計測アプリを入れてもらい、スマートフォンのGPSから得た移動履歴を公共施設の配置検討へ回す取り組みを進めています(国の調査時点では今後対応予定)。高松市の防災IoTは、河川や護岸に独自に設置した水位センサーと香川県のWebサイトから取得した水位データを地図上に集約し、災害時には避難所の開設状況まで表示します。いずれもスマートシティガイドブックの都市OS導入パートに、横展開が可能なアプリケーションとして記載されています。

自治体の人口規模と財源で分かれる基盤の持ち方と共同利用の判断軸

ここからが事例の読み替えです。同じサービスでも、自治体の規模と財源によって取れる型が変わります。

交付金TYPE1の国費1億円とTYPE Vの4億円で変わる事業の組み方

デジタル実装の主要な財源は、新しい地方経済・生活環境創生交付金のデジタル実装型です。令和7年9月時点の資料では、区分ごとに規模と補助率が明確に分かれています。

区分 規模 補助率 性格
TYPE1 国費1億円 1/2 優良モデルの横展開
TYPE V 国費4億円 2/3 新技術の共同利用
TYPE S 事業費3億円 3/4 制度改革と一体

TYPE1は他地域で確立したモデルを取り入れる横展開型で、ゼロから作る前提ではありません。TYPE Vはブロックチェーンやデータ連携基盤などを複数の自治体で共同利用する取り組みを高い補助率で支援します。単独で基盤を建てるより、近隣と組んでTYPE Vを狙うほうが、国費の上限も補助率も有利になる設計です。共通要件にコンソーシアムの形成など推進体制の確立が入っている点も、単独申請では通りにくいことを示しています。

中核市の基盤を周辺2市町で使う高松市の運用維持費を分担する負担金方式の条件

共同利用の具体例が高松市です。平成29年度の総務省補助事業で構築した都市OSを、観音寺市・綾川町と3市町で使い、道路通行情報・気象情報・河川水位・潮位といった防災データを一元化しています。運用維持費は負担金方式で分担し、2市町は低廉な費用で利用できる形になりました。海岸・河川・道路で接している自治体同士なら、広域災害への対応とコストの両面で成立します。

堺市の令和8年度事業は、もう一段進んだ型です。自前で基盤を建てず、大阪広域データ連携基盤(ORDEN)を実証の段階から使い、サービス創出・人的リソース・コストの各面を抑える方針を明示しています。都道府県や広域組織が基盤を用意しているなら、市町村が同じものを建てる理由はありません。基盤を持つかどうかは、人口規模より「近隣に乗れる基盤があるか」で決めるのが実務的な判断軸です。

実証で終わる事例と定着する事例を分ける補助終了後の運用費の出どころ

事例記事の多くは採択と実証までしか追いません。分かれ目はその後にあります。

効率化分の再投資・共益費・ふるさと納税という運用費の3つの型

国の交付金は、事業の立ち上げに必要な経費を単年度に限り支援する制度です。2年目以降の運用費は自治体が自前で用意しなければなりません。ガイドブックも、都市OSにはランニングコストがかかるため構築の計画段階から財源確保と費用負担の方法を想定しておく必要があると明記しています。令和8年度の9地区は、この問いにそれぞれ違う答えを出しました。

  • 効率化分の再投資型(仙台市)… 短期は行政内部で維持費を捻出し、長期は計画業務の高度化で生まれた効率化の効果分を運営費に回す
  • 共益費型(東広島市)… 区域の開発と都市生活サービスの統合管理に伴い、主に共益費として利用者から費用を確保する
  • ふるさと納税型(すさみ町)… 町の主たる財源としてふるさと納税を想定し、観光と防災のサービスを維持する
  • 相乗り型(堺市)… 広域のデータ連携基盤を使い、そもそも自前の運用費を発生させない

実務で先に検討すべきは相乗り型と効率化分の再投資型です。共益費型は開発区域とエリアマネジメント組織が既にある地区でしか成立せず、柏の葉のように都市再生推進法人が運営を担う体制が前提になります。ふるさと納税型は寄付額の変動を直接受けるため、単独で運用費の全額を支える設計にはしないでください。なお庁内の内部事務の情報化は所管課も予算費目も別建てになるのが通例で、その全体像は自治体DX推進計画の重点項目を整理した記事で確認できます。

都市OSを先に買うと失敗する条件とサービス先行で進める調達判断

ここは言い切ります。載せるサービスが1つも決まっていない段階で都市OSを調達するのは見送るべきです。国のガイドブックは、都市OSは土台にすぎず「OSを作ってただ待っていれば集まるものではない」「OSは用意したので後はご自由に、というスタンスでは、何も集まりません」と明記しています。運営者がデータを探しに行き、サービスを作る事業者を巻き込む動きまで含めて初めて機能する仕組みです。

見送る条件は3つあります。第一に、解きたい課題が特定の1部署に閉じていて分野間連携の相手がいない場合。第二に、近隣自治体や都道府県が使える基盤を既に持っている場合。第三に、2年目以降の運用費の出どころが庁内で合意されていない場合です。いずれかに当てはまるなら、まず単独サービスとして作り、データが増えて他分野から使いたいという要望が出た段階で基盤へ移します。仙台市が道路維持管理という具体業務から入り、堺市が既存の広域基盤に乗ったのは、この順序に沿った判断です。

海外事例との比較で見える日本の自治体が採る事業の進め方と体制の違い

海外の先進都市は参考になりますが、前提が違うため、そのまま持ち込むと体制の設計を誤ります。

水平分離の欧州モデルとリビング・ラボが担う住民参加の位置づけ

欧州では都市OSの運営者とサービスを提供する事業者が別主体という水平分離の体制が一般的で、運営者は事業者がどんなデータを必要としているか把握しづらいという課題を抱えます。その解決策として置かれているのがリビング・ラボです。実際の街を舞台に、住民も参加しながら継続的に実証を行う場で、コペンハーゲンのStreet Lab、アムステルダムのAmsterdam Smart Citizens Labが代表例として国の資料に挙げられています。

効果は住民の当事者意識の醸成にとどまりません。上流から住民が関わることで、必要なデータや技術を逆算して特定できる点が実質的な利点です。日本で実証事業を組む際も、公募でアイデアを民間に一任する形と、住民へアイデアを募る形のどちらか一方だけでは、事業性か利用者目線のいずれかが欠ける構図になります。

日本の自治体が海外の事例から持ち帰れる要素と再現できない前提

持ち帰れるのは体制の作り方と住民参加の置き方です。再現できないのは財源と区域の権限にあたる部分になります。日本の支援事業は1地区あたり数千万円の単年度支援が中心で、都市単位の大規模投資を前提にした海外の計画とは桁が違う。区域の指定や規制の緩和を伴う取り組みは、国家戦略特区など別の制度枠組みが必要です。

海外事例を扱うなら、投資規模を比較するのではなく「誰が運営主体で、誰が費用を負担し、住民がどの段階で関わったか」の3点に絞って読むほうが実務の役に立ちます。日本側の受け皿としては、内閣府・総務省・経済産業省・国土交通省が連携するスマートシティ官民連携プラットフォームがあり、会員・オブザーバーは1,000団体を超えました(2026年3月18日時点の掲載)。同種の課題に取り組む自治体と事業者を探す場として先に当たるべきはこちらです。

自治体がスマートシティを発注するときの調達単位と工程の組み方

最後に、事例を自分の事業として組み立てるときの発注側の段取りを整理します。

自治体が計画づくりから実証・実装までを分けて発注する工程の区切り方

支援事業の採択地区は、単年度の実証と翌年度以降の本格実装を分けて計画しています。仙台市の資料では、令和8年度に実証、令和9年度に再実証と実装準備、令和10年度に本格実装と近隣自治体への展開、というスケジュールが示されています。発注もこの区切りに合わせるのが基本です。

  1. 計画づくり … 課題の特定、KPIの設定、データの所在調査。ここを実装ベンダーへ一括で任せると、技術ありきの提案に引きずられる
  2. 実証 … 対象区域と期間を限定し、効果検証の方法まで契約に含める
  3. 実装 … 実証で残った課題の修正と運用設計。運用保守の年額をこの段階で確定させる

特に1段階目の切り出しは効果が大きい。実証と実装を担う事業者が決まる前に、課題とKPIを自治体側で固めておくと、提案の比較軸が揃います。自治体固有の業務フローに合わせたシステムの設計と調達仕様の整理は、公共システム開発として外部の開発会社に相談できる領域です。

横展開できるアプリの提供条件の確認と自前開発に踏み切る境目の見極め方

都市OSを導入する利点の1つは、他の自治体が作ったアプリケーションを持ち込みやすいことです。国の調査では、会津若松市の除雪車位置情報や母子健康情報のサービス、札幌の観光・交通情報の一元提供など、他自治体への横展開が可能と回答されたアプリケーションが分野別に整理されています。加古川市の見守りアプリのように、開発した自治体側がオープン化している例もあります。

自前開発に踏み切る境目は、業務フローが他自治体と違う部分が全体の何割かで判断します。既存アプリを無改造または軽微な改修で使えるなら、まずそちらを選ぶ。条例や独自の事務手続きに関わる箇所が中心で、改修量が新規開発と変わらない水準に達する場合だけ、自前開発の検討に入ります。ベンダーやサービス事業者の提供条件を先に確認し、改修の可否とライセンスの扱いを詰めてから比較してください。

よくある質問

スマートシティの事例を調べる担当者から実際に寄せられる質問に答えます。

スマートシティに取り組む自治体の一覧はどこで確認できますか?

国土交通省のスマートシティ実装化支援事業の報道発表資料に、年度ごとの支援地区が一覧で掲載されています。令和8年4月10日公表の別紙は、令和8年度の9地区に加えて令和7年度までの支援地区35自治体を地図と名称で整理した資料です。内閣府の選定結果のページでは、4府省5事業を横断した採択事業の一覧を確認できます。いずれも公募と選定のサイクルに沿って毎年度更新されるため、年度を確認してから引用してください。

小規模な自治体でもスマートシティに取り組めますか?

取り組めます。令和8年度の支援地区には人口4千人に満たない和歌山県すさみ町が入っており、支援額960万円で観光と防災の高度化に取り組んでいます。小規模自治体で成立させる条件は、対象を1分野に絞ることと、基盤を自前で持たないことです。高松市と周辺2市町のように既存の基盤を共同利用する形や、堺市のように広域のデータ連携基盤へ相乗りする形なら、構築費と運用費の負担を大きく下げられます。

スマートシティの事業費はどのくらいかかりますか?

国の実装化支援事業で見ると、令和8年度の9地区は450万円から4,050万円の範囲で、平均は約2,440万円です。これは単年度の実証にかかる費用の目安であり、本格実装後の運用費は別に必要になります。交付金のデジタル実装型を使う場合は、TYPE1が国費1億円・補助率1/2、TYPE Vが国費4億円・補助率2/3という規模感です。いずれも立ち上げ経費を単年度で支援する制度のため、2年目以降の運用費を自前で確保する計画が前提になります。

スマートシティの取り組みが途中で止まるのはなぜですか?

運用費の出どころが決まっていないまま実証に入るケースが目立ちます。国のガイドブックも、都市OSにはランニングコストがかかるため計画段階から財源確保と費用負担の方法を想定しておく必要があると指摘しています。もう1つの要因は、基盤を先に作ってサービスを後から探す進め方です。土台だけ用意してもデータもサービスも自然には集まらないため、運営者がデータを探し、開発する事業者を巻き込む体制を同時に用意しておく必要があります。

都市OSを導入しないと事例のような取り組みはできませんか?

分野が1つに閉じているなら不要です。加古川市の見守りタグ検知アプリは都市OSと連携していない形で広域連携まで実現しており、国の資料にもその旨の注記があります。都市OSが効いてくるのは、交通のデータを観光や防災でも使うといった分野間の連携が必要になった段階です。当面は単独サービスとして構築し、他分野からデータを使いたいという要望が出た時点で基盤への移行を検討する順序で問題ありません。

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