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土地の圧縮記帳|買換え・収用・補助金の3制度と面積5倍の壁

土地の圧縮記帳|買換え・収用・補助金の3制度と面積5倍の壁

土地は減価償却しない資産なので、圧縮記帳とは縁がないと思われがちです。実際には租税特別措置法65条の7の買換え特例、措置法64条の収用等、法人税法42条の国庫補助金等という3つの制度で、土地の帳簿価額を減額して課税を繰り延べることができます。ただし土地には他の資産にない数量制限があり、積立金を取り崩す時期も減価償却資産とは違います。令和8年度税制改正で適用期限と圧縮割合も動きました。この記事では、その3制度の線引きと、令和8年9月時点で有効な数字を条文と別表の欄番号で確認します。

まとめ:土地の圧縮記帳で押さえる5点

  • 本記事で中心に扱うのは3制度です。特定資産の買換え(措法65条の7)、収用等に伴う代替資産の取得(措法64条)、国庫補助金等(法法42条)。加えて土地どうしの交換(法法50条)も圧縮記帳の一種です。単に含み益のある土地を売っただけでは使えません。
  • 買換え特例の圧縮限度額は「圧縮基礎取得価額×差益割合×80/100」です。課税を繰り延べられるのは譲渡益の全額ではなく、原則としてその80%にとどまります。
  • 適用期限は令和11年3月31日までです。国税庁タックスアンサーNo.5651(令和7年4月1日現在法令等)は令和8年3月31日と記載していますが、令和8年度改正で3年延長された条文が施行済みです。
  • 土地には面積の壁が2つあります。買換資産である土地等は譲渡した土地等の面積の5倍まで、長期所有資産の買換えでは取得する土地等が300平方メートル以上であることが必要です。
  • 土地圧縮積立金は減価償却では減りません。譲渡・除却等があれば、その事業年度に取り崩して益金に算入します(法人税基本通達10-1-2)。任意に取り崩して益金に算入する場合もあります。

土地に圧縮記帳が使える3つの制度と、使えない場面

圧縮記帳は減価償却資産のための制度だと説明されることがありますが、条文は資産を減価償却資産に限っていません。土地が対象になるかどうかは、制度ごとに条文の文言を見るのが確実です。土地が減価償却できない理由は法人税法施行令13条の柱書にありますが、圧縮記帳の可否はそれとは別の条文で決まります。

特定資産の買換え(措法65条の7)― 土地を売って土地を買う場合の本命

措置法65条の7は、法人が昭和45年4月1日から令和11年3月31日までの間に特定の資産(譲渡資産)を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度に特定の資産(買換資産)を取得して、取得の日から1年以内に事業の用に供したときに適用されます。譲渡資産・買換資産とも同条1項の表の4つの号で組み合わせが決まっており、土地等(土地または土地の上に存する権利)は第1号から第3号まですべての区分に登場します。

国内の長期保有土地を買い換える場合に検討するのが、第3号の長期所有資産の買換えです。所有期間が10年を超える国内の土地等・建物・構築物を売り、国内の土地等・建物・構築物を買う組み合わせを指します。所有期間は「取得をされた日の翌日からこれらの資産の譲渡をされた日の属する年の1月1日までの所有期間」と定義されているため、暦年の1月1日で判定する点に注意が必要です。決算期ではありません。

収用等(措法64条)と交換(法法50条)― 土地が代替資産・交換資産になる

土地収用法等に基づいて土地が収用され、対価補償金で代わりの資産を取得した場合は措置法64条の圧縮記帳です。国税庁タックスアンサーNo.5650は代替資産の範囲を「譲渡資産と同じ種類の資産、譲渡資産(2以上の資産で一の効用を有する一組の資産)と同じ効用を有する他の資産または事業の用に供する減価償却資産もしくは土地等」としており、土地等が明示されています。代替資産の取得期限は原則として収用等のあった日から2年以内です。

収用等の圧縮記帳と択一の関係にあるのが措置法65条の2の5,000万円特別控除で、こちらは譲渡益の額と5,000万円のいずれか低い金額を損金算入します。5,000万円特別控除の適用要件を満たし、控除可能額が譲渡益を上回る場合は、代替資産を取得せずに譲渡益全額を控除できるため、圧縮記帳より先に検討します。代替資産の取得予定が固まっていない段階では、この選択を先に検討します。

法人税法50条1項1号は、双方の所有者がそれぞれ1年以上保有した固定資産である土地どうしを交換し、取得資産を譲渡直前と同一の用途に供することなどを要件としています。相手方が交換目的で取得した資産は対象外です。同号の括弧書きは土地に「建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権」を含めているため、底地と借地権の交換もこの規定で処理できます。ただし同条2項により、取得資産と譲渡資産の価額の差額が高いほうの価額の20%を超えると適用できません。

国庫補助金等(法法42条)― 条文が「固定資産」なので土地も入る

法人税法42条1項は「固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金」の交付を受け、返還を要しないことが事業年度終了の時までに確定した場合に、「その交付の目的に適合した固定資産」の帳簿価額を減額できると定めています。減価償却資産ではなく固定資産と書かれているため、補助金で取得した土地も対象です。圧縮限度額は交付を受けた国庫補助金等の額そのもので、買換え特例のような割合の掛け算はありません。

同条3項は確定申告書への明細の記載を適用要件としていますが、4項に「記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは」適用できるという宥恕規定が置かれています。買換え特例にも同じ構造があり、措法65条の7第5項が確定申告書等への記載と明細書の添付を要件とし、第6項がその不備を宥恕します。ただし第6項が救うのは申告書側の記載・添付だけです。第1項の括弧書きが求める事前の届出をしていない買換資産はそもそも第1項の対象にならないため、宥恕の余地がありません。確定申告時の別表添付とは別に、届出期限を管理する必要があります。補助金側の記載方法は別表十三(一)の記載例にまとめています。

使えない場面:棚卸資産、期をまたぐ売り切り、土地重課の対象

不動産業者が販売目的で保有する土地は棚卸資産なので、措法65条の7・64条とも対象外です。措法65条の7第1項は「その有する資産(棚卸資産を除く。)」と明記しています。

売却代金を手元に残したまま何も買わない場合も、当然ながら圧縮記帳はできません。不動産の売却益について圧縮記帳を検討する際は、まず代替資産・買換資産を取得する予定があるかを確認します。譲渡の期に買えないときの受け皿は後述する特別勘定ですが、これも取得の見込みがあることが条件です。

もう1つの除外が短期所有土地の重課です。措法65条の7第1項の括弧書きは、譲渡につき措法63条1項の適用がある土地等を譲渡資産から除いています。ただし措法63条8項により、この重課は平成10年1月1日から令和11年3月31日までの間にした短期所有土地の譲渡には適用が停止されています。62条の3(一般の土地譲渡益重課)も15項で同じ期間まで停止中です。国税庁タックスアンサーNo.5652はこの停止期限を令和8年3月31日と記載していますが、現行条文は令和11年3月31日です。

買換え特例の圧縮限度額と、令和8年度改正で動いた数字

圧縮限度額の算式と差益割合

措置法65条の7の圧縮限度額は次の式で計算します。

圧縮限度額 = 圧縮基礎取得価額 × 差益割合 × 圧縮割合

圧縮基礎取得価額 = 買換資産の取得価額 と 譲渡資産の譲渡対価の額 のいずれか少ない金額
差益割合 = (譲渡対価の額 - (譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額 + 譲渡費用の額)) ÷ 譲渡対価の額

国税庁タックスアンサーNo.5654が示す設例で確かめます。譲渡対価5億円、買換資産の取得価額3億円、譲渡資産の帳簿価額8,000万円、譲渡費用2,000万円の場合、圧縮基礎取得価額は3億円と5億円の少ないほうで3億円。差益割合は(5億円-(8,000万円+2,000万円))÷5億円=0.8。圧縮限度額は3億円×0.8×80/100=1億9,200万円です。

この設例で見落としやすいのは、譲渡益が4億円あるのに繰り延べられるのが1億9,200万円だという点です。買換資産の取得価額が譲渡対価より小さいと圧縮基礎取得価額がそこで頭打ちになり、さらに80%が掛かります。この設例の圧縮割合80%では、譲渡対価をすべて買換資産に投じても、譲渡益の2割はこの特例による繰延べの対象になりません。

圧縮割合の原則80%と令和8年度改正による対象・割合の変更

圧縮割合は原則80/100ですが、地域の組み合わせで変わります。令和8年版の「別表十三(五)の記載の仕方」8は、「圧縮限度額29」「特別勘定の金額の計算の基礎となった買換資産の取得に充てようとする金額35」「繰入限度額41」の各欄の分子の空欄に記載する数を、次のように定めています。

区分 圧縮割合
下記以外の場合 80
譲渡・取得とも令和8年4月1日以後の第2号の買換えで、買換資産が同号下欄ハの区域内 60
長期所有資産(第3号)で、集中地域以外から集中地域(特定集中地域を除く)内の資産へ 75
長期所有資産(第3号)で、集中地域以外から特定集中地域内の資産へ 70
長期所有資産(第3号)で、集中地域以外から特定集中地域内の本店資産へ(譲渡側も本店資産) 60
長期所有資産(第3号)で、特定集中地域内の本店資産から集中地域以外の本店資産へ 90

特定集中地域は措法65条の7第14項3号の地域で、国税庁タックスアンサーNo.5651は同じ規定を「東京都の特別区の存する区域」と説明しています。地方から東京23区へ本社ごと移れば繰延べは60%に絞られ、逆に23区から集中地域外へ本社を移せば90%まで広がる、という設計です。

令和8年度改正では、防衛施設周辺の第二種区域に係る買換えが対象から除外され、市街地再開発事業による一定の買換えの圧縮割合が80%から60%へ引き下げられました。改正前は第1号(航空機騒音障害区域)のハに掲げる防衛施設周辺の第二種区域から買い換える場合が70%でしたが、現行条文では第1号からハが削除され、代わりに第2号(既成市街地等)から同号下欄ハの区域内の資産への買換えが60%になりました。第2号下欄ハは「既成市街地等であつて、イ及びロに掲げる区域以外の区域」、つまり同号下欄イ・ロの要件を満たさない既成市街地等です。都市再開発方針の策定が努力義務とされる大都市では、防災再開発促進地区・特定都市再生緊急整備地域・都市機能誘導区域について、同方針の二号地区に該当することも必要です。この60%区分に該当すると、従来の80%と比べて繰延べ割合が20パーセントポイント下がります。

土地の買換え特例の適用期限:令和11年3月31日

措法65条の7第1項の期間は「昭和四十五年四月一日から令和十一年三月三十一日」です。同項の表の第4号のうち建設業その他政令で定める事業の用に供される船舶だけが令和10年3月31日で、土地の買換えは令和11年3月31日まで使えます。国税庁タックスアンサーNo.5651・No.5652はいずれも令和7年4月1日現在の法令等に基づくため令和8年3月31日のままですが、令和8年度改正の条文はすでに施行されています。期限切れを理由に譲渡を前倒しする必要はありません。

土地だけに課される2つの数量制限

この2つは減価償却資産の買換えには存在せず、土地を買い換えるときだけ効きます。数量制限を申告直前に確認すると、予定していた圧縮額を減らす必要が生じるため、取得する土地を選ぶ段階で確認します。

買換土地等の面積上限:原則として譲渡土地等の5倍

措法65条の7第2項は、買換資産のうち土地等の面積が「政令で定めるところにより計算した面積」を超えるとき、その超える部分は買換資産に該当しないとしています。措置法施行令39条の7第8項は、その面積を「譲渡をした資産である土地等に係る面積に五を乗じて計算した面積」と定めています。

令和8年版「別表十三(五)の記載の仕方」6は、この超過部分を「同上のうち買換えの特例の対象とならない面積21」の欄に記載するよう求め、あわせて特定の農業用の土地については10倍と示しています。倍率が5倍でない例外はここだけです。明細は別紙に、前期までに取得した買換資産である土地等の面積(イ)、当期に取得した土地等の面積(ロ)、譲渡した土地等の面積(ハ)、その5倍または10倍相当の面積(ニ)を書き、(イ)+(ロ)-(ニ)で対象外面積を出します。前期取得分を合算する式なので、複数期にまたがって買い増した場合は期をまたいで累計する必要があります。

都心の狭い土地を売って郊外の広い土地を買う場合、この5倍は簡単に超えます。500平方メートルを売って3,000平方メートルを買えば、2,500平方メートル分までしか買換資産にならず、超過分に対応する取得価額は圧縮の対象外です。

長期所有資産の買換えで取得する土地の面積・用途要件

措法65条の7第1項の表の第3号下欄は、買換資産である土地等を「事務所、事業所その他の政令で定める施設(特定施設)の敷地の用に供されるもの(当該特定施設に係る事業の遂行上必要な駐車場の用に供されるものを含む。)又は駐車場の用に供されるもの(建物又は構築物の敷地の用に供されていないことについて政令で定めるやむを得ない事情があるものに限る。)で、その面積が三百平方メートル以上のものに限る」と定めています。

更地のまま持つだけの土地は対象外です。特定施設に係る事業の遂行上必要な駐車場は対象に含まれます。それ以外の駐車場用地は、建物・構築物の敷地に供していないことについて、所定のやむを得ない事情が必要です。国税庁タックスアンサーNo.5652は、その事情を都市計画法29条1項・2項の許可手続、建築基準法6条1項の確認手続、文化財保護法93条2項の発掘調査、建築物の建築に関する条例に基づく手続(国土交通大臣の証明があるもの)の4つに限定しています。手続中であることを所定の書類で明らかにする必要があります。

なお令和8年度改正では、この第3号の買換資産のうち建物が「特定施設の用に供されるものに限る」、構築物が「特定施設に係る事業の遂行上必要なものに限る」と絞られました。従来は土地等にだけ課されていた特定施設要件が、建物・構築物にも及んだことになります。

土地圧縮積立金の会計処理と取崩し時期

直接減額方式と積立金方式

措法65条の7第1項も法法42条1項も、経理方法として「損金経理により帳簿価額を減額する方法」と「確定した決算において積立金として積み立てる方法(決算の確定の日までに剰余金の処分により積み立てる方法を含む)」の両方を認めています。前者が直接減額方式、後者が積立金方式です。

直接減額方式は土地の帳簿価額そのものが下がるため、貸借対照表の土地が実際の取得価額より小さく表示されます。昭和51年5月15日付直法2-19(日本公認会計士協会からの照会に対する回答)は、この方式では圧縮損を特別損益に計上し、貸借対照表では圧縮損相当額を取得価額から控除する形式または控除後の残高のみを記載する方法によるとしています。

積立金方式は土地の帳簿価額を動かさず、剰余金の処分で土地圧縮積立金を積み立てて別表四で減算します。会計上の資産価額が実態を保つので、金融機関への説明や固定資産台帳の管理は積立金方式のほうが素直です。半面、別表四と別表五(一)で積立金を追い続ける手間が毎期発生します。

土地圧縮積立金の譲渡・除却時の取崩しと任意取崩し

減価償却資産の圧縮積立金は、毎期の減価償却に対応して取り崩し、その分を益金に算入していきます。土地は減価償却しないので、この取崩しが一切発生しません。積立金は帳簿に載ったまま、何期も動かないことになります。

取り崩す時期を定めているのが法人税基本通達10-1-2です。「圧縮記帳による圧縮額を積立金として経理している資産につき除却、廃棄、滅失又は譲渡があった場合には、当該積立金の額(当該資産の一部につき除却等があった場合には、その除却等があった部分に係る金額)を取り崩してその除却等のあった日の属する事業年度の益金の額に算入する」と定めており、土地では減価償却に伴う取崩しはありませんが、譲渡等に伴う取崩しのほか、任意に取り崩して益金に算入する場合もあります。同通達の注書きは、この譲渡に適格分社型分割・適格現物出資・適格現物分配による移転は含まれないとしています。

土地の一部だけを売ったときは、その部分に対応する積立金だけを取り崩します。分譲や分筆を繰り返す土地では、どの筆にいくらの積立金が乗っているかを台帳側で管理しておかないと、後年の取崩額を再現できなくなります。

土地1億円・圧縮額3,000万円の仕訳例

以下は税効果会計を適用しない場合の例です。取得価額1億円の土地を、譲渡益に対応する圧縮限度額3,000万円の範囲内で圧縮する場合の仕訳です。

【直接減額方式】
(借) 土地圧縮損 30,000,000 / (貸) 土地 30,000,000
 → 土地の帳簿価額は 70,000,000 になる

【積立金方式】剰余金の処分で積立
(借) 繰越利益剰余金 30,000,000 / (貸) 土地圧縮積立金 30,000,000
 → 土地の帳簿価額は 100,000,000 のまま。別表四で 30,000,000 を減算・留保

【積立金方式】その土地を譲渡した事業年度
(借) 土地圧縮積立金 30,000,000 / (貸) 繰越利益剰余金 30,000,000
 → 別表四で 30,000,000 を加算・留保(法人税基本通達10-1-2)

手続きは届出書・別表・特別勘定の3点

令和6年4月1日以後の買換えに係る届出期限

措法65条の7第1項は、圧縮記帳の対象を「政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にこの項の規定の適用を受ける旨の届出をした場合における当該買換資産に限る」としています。届出書を出していない買換資産には、そもそも特例が適用されません。

提出期限は措置法施行令39条の7第2項が定めており、譲渡資産を譲渡した日(譲渡前に買換資産を取得した先行取得の場合はその取得の日)を含む3月期間の末日の翌日から2月以内です。3月期間とは事業年度を開始の日以後3か月ごとに区分した各期間を指します。国税庁タックスアンサーNo.5651によれば、この要件は令和6年4月1日以後に譲渡資産を譲渡し、同日以後に買換資産を取得する場合から適用されます。

3月ごとの区切りで走る期限なので、決算作業の中では拾えません。土地の売買契約を結んだ時点でカレンダーに落とす必要があります。措法65条の7第3項の先行取得の届出は別の期限で、措置法施行令39条の7第10項により取得をした日を含む事業年度終了の日の翌日から2月以内です。先行取得の圧縮記帳では期をまたぐ場合の圧縮限度額とあわせて整理しています。

別表十三(五)と別表十三(四)の使い分け

買換え特例は「特定の資産の買換えにより取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書」(別表十三(五))、収用等は「収用換地等に伴い取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書」(別表十三(四))、国庫補助金等は別表十三(一)です。制度が違えば別表も違うので、複数の圧縮記帳を同じ期に行う場合はそれぞれ添付します。

別表十三(五)は、措法65条の7第1項の表の号の区分と差益割合の計算区分(適用区分)が異なるごとに用紙を改めて記載します。1期に複数の号に該当する買換えをした場合、1枚にまとめて書くことはできません。該当する号は欄外の「( 号該当)」に記載します。

譲渡の期に買えないときの特別勘定

譲渡資産を譲渡した事業年度中に買換資産を取得できない場合は、所定の要件を満たせば措法65条の8の特別勘定を設定できます。譲渡対価のうち買換資産の取得に充てようとする額に差益割合を乗じ、さらに圧縮割合を掛けた金額以下を特別勘定として経理すると、その繰入額が損金に算入されます。取得期限は譲渡をした日を含む事業年度の翌事業年度の開始の日以後1年を経過する日までです。

収用等の場合は措法64条の2の特別勘定で、取得期限は収用等のあった日以後2年を経過する日までです。制度によって期限の起算点も長さも違います。

会計処理については前掲の直法2-19が、圧縮対象資産を翌事業年度以後に取得する見込みのときは「未決算特別勘定等適当な経過科目で処理し、これを国庫補助金等の受入れ等のあった事業年度に係る貸借対照表の負債の部に表示する」としています。純資産の部ではなく負債の部です。

個人の買換え特例・総収入金額不算入と法人の圧縮記帳の違い

圧縮記帳は法人税法と措置法の法人税編の制度で、所得税に同じ名前の制度はありません。個人が事業用の土地を買い換えた場合に使うのは措置法37条の特定の事業用資産の買換え特例で、効果の出し方が違います。

法人の圧縮記帳が圧縮損を計上して帳簿価額を下げるのに対し、個人の買換え特例は措置法37条の3により、買換資産の取得価額に譲渡資産の取得費を引き継ぎます。国税庁タックスアンサーNo.3426は「買換資産の取得価額は、買換資産を実際に購入した価額などではなく、売却した事業用資産(譲渡資産)の取得費を引き継ぐ」と説明しています。将来その土地を売ったときの譲渡所得の計算に、引き継いだ低い取得費が効いてくる仕組みです。

国庫補助金については、所得税法42条が「その固定資産の取得や改良に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない」としたうえで、その固定資産の取得費から総収入金額不算入額を控除します(国税庁タックスアンサーNo.2202)。損金経理ではなく総収入金額不算入という組み立てなので、帳簿上の圧縮損は出てきません。個人事業主向けの解説記事が「圧縮記帳」という語を使っている場合は、この所得税法42条か措置法37条のどちらを指しているのかを確かめてから読む必要があります。

よくある質問

土地を売って利益が出ただけで圧縮記帳できますか?

できません。措法65条の7も64条も、代わりの資産を取得することが適用の前提です。買換資産・代替資産を取得しない場合、これらの圧縮記帳は適用できません。収用等に該当するときは、別途、措法65条の2の5,000万円特別控除の適用要件を確認します。

土地圧縮積立金はいつ取り崩しますか?

その土地を譲渡・除却・廃棄・滅失した場合は、その事業年度に取り崩します(法人税基本通達10-1-2)。また、任意に取り崩して益金に算入する場合もあります。土地は減価償却しないため、減価償却資産のように毎期取り崩していく処理は発生しません。取崩額はその事業年度の益金に算入します。

圧縮記帳を使わないという選択はできますか?

できます。措法65条の7も法法42条も、帳簿価額を減額するか積立金を積み立てたときに限り損金算入すると定めた任意適用の制度です。繰越欠損金があって当期の課税所得が出ない場合や、将来の税率上昇が見込まれる場合は、あえて適用しないほうが有利になることもあります。ただし、必要な手続は制度ごとに異なります。買換え特例では所定の期限までの届出が必要で、別表等は確定申告書等に添付します。

買換資産を翌期に取得する予定です。当期はどうなりますか?

措法65条の8の特別勘定を設定すれば、当期の譲渡益と相殺できます。取得期限は譲渡をした日を含む事業年度の翌事業年度の開始の日以後1年を経過する日までで、別表十三(五)に加えて「特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の取得予定資産の明細書」の添付が必要です。

500平方メートルの土地を売って3,000平方メートルの土地を買えますか?

取得自体は自由ですが、買換資産として扱われるのは譲渡した土地等の面積の5倍にあたる2,500平方メートルまでです(措置法施行令39条の7第8項)。超える500平方メートル分に対応する取得価額は圧縮の対象外となり、別表十三(五)の「買換えの特例の対象とならない面積21」の欄に記載します。特定の農業用の土地だけは10倍です。

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