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事業再構築補助金の圧縮記帳と別表13(1)の書き方|要件・仕訳・記載例

事業再構築補助金で固定資産を取得したとき、補助金にかかる税金を将来へ繰り延べるのが圧縮記帳です。適用するには法人税申告書に別表十三(一)を添付する必要があり、ここの書き方でつまずく担当者が多くいます。この記事では、圧縮記帳の対象になる経費、直接減額方式と積立金方式の仕訳、別表十三(一)の記載項目と書き方、個人事業主の扱い、そして添付漏れによる適用否認のリスクまでを実務目線で解説します。

まとめ:事業再構築補助金の圧縮記帳と別表13の要点

事業再構築補助金は、令和3年8月に中小企業基盤整備機構が公表したとおり、国税庁が法人税法第42条・所得税法第42条の「国庫補助金等」に該当すると回答しており、圧縮記帳の対象になります。ただし圧縮できるのは補助金のうち固定資産の取得に充てた部分だけで、研修費や広告費など経費に充てた部分は対象外です。処理方法は直接減額方式と積立金方式の2つで、どちらも税効果は同じです。法人は確定申告書に別表十三(一)を添付して圧縮額の明細を示す必要があり、この添付を忘れると圧縮記帳そのものが否認されることがあります。個人事業主は圧縮記帳ではなく所得税法第42条の総収入金額不算入で同じ効果を得ます。なお圧縮記帳は免税ではなく課税の繰り延べで、適用は任意です。事業再構築補助金が国庫補助金等に当たる根拠の詳細は事業再構築補助金で圧縮記帳は認められるのかで扱っています。

圧縮記帳とは|補助金への課税を繰り延べる仕組み

圧縮記帳とは、補助金で固定資産を取得した場合に、補助金収入と同額の費用(固定資産圧縮損)などを計上して当期の利益と相殺し、課税を将来に繰り延べる税務処理です。補助金は受け取った年度の益金(収益)になり、そのままでは多額の法人税が課されます。圧縮記帳を使うと当期の課税所得を抑え、納税で補助金が目減りするのを防げます。注意したいのは、これが免税ではなく繰り延べだという点です。圧縮した分だけ後年の減価償却費が減るため、最終的な税額の合計はほぼ変わりません。圧縮記帳の仕組みそのものは圧縮記帳の基本的仕組みと目的でも整理しています。

圧縮記帳の対象になる経費・ならない経費

圧縮記帳できるのは、補助金のうち固定資産の取得または改良に充てた部分だけです。事業再構築補助金は建物費・機械装置等費・システム購入費など幅広い経費が対象ですが、税務上はそのうち資産計上されるものだけが圧縮の対象になります。

区分 具体例 圧縮記帳
固定資産(対象) 建物、機械装置、器具備品、ソフトウェア できる
経費(対象外) 技術導入費、専門家経費、研修費、広告宣伝費 できない

同じ補助金でも、購入したものが貸借対照表に残る資産か、損益計算書で費用になるかで扱いが分かれます。補助金の交付決定通知や精算書類で支出内訳を確認し、固定資産取得分だけを切り出して圧縮します。補助金を全額圧縮できると誤解すると、税務調査で否認され修正を求められます。

直接減額方式と積立金方式の仕訳

圧縮記帳の方法は2つあります。直接減額方式は固定資産の帳簿価額を補助金額だけ直接減らす方法、積立金方式は資産は減らさず補助金相当額を圧縮積立金として利益から控除する方法です。5,000万円の機械を2,000万円の補助金で取得し、同一年度に補助金を受け取った場合の仕訳例を示します。

方式 圧縮処理の仕訳 資産の帳簿価額
直接減額方式 借方 固定資産圧縮損 2,000万円|貸方 機械装置 2,000万円 3,000万円に減額
積立金方式 借方 繰越利益剰余金 2,000万円|貸方 圧縮積立金 2,000万円 5,000万円のまま

直接減額方式は処理が簡単でその期で完結しますが、資産が圧縮され貸借対照表上の資産・純資産が小さく見えます。積立金方式は資産をフル額で残せる一方、圧縮積立金を売却・除却時まで管理し、取り崩し時に益金算入する手間がかかります。中小企業では実務負担の軽い直接減額方式が多く使われます。減価償却は、直接減額方式なら圧縮後の3,000万円、積立金方式なら5,000万円を基礎に計算します。

別表十三(一)の書き方と記載例

法人が圧縮記帳を適用するときは、確定申告書に別表十三(一)を添付します。正式名称は「国庫補助金等、工事負担金及び賦課金で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」です。様式はⅠ部からⅢ部に分かれ、Ⅰ部が国庫補助金等による圧縮、Ⅱ部が圧縮積立金、Ⅲ部が工事負担金等です。事業再構築補助金はⅠ部が中心になります。

記載する主な項目は、圧縮した固定資産の名称、取得年月日、取得価額、交付を受けた補助金等の額、圧縮限度額、そして実際に損金経理した圧縮額(積立金方式なら積立金として経理した額)です。直接減額方式はⅠ部に圧縮損失額を記入して完結します。積立金方式はⅠ部に加えて積立金の当期繰入額・期末残高を記載し、翌期以降は別表十三(二)に繰り越して積立金の取り崩しまで管理します。複数の資産があるときは資産ごとに区分して記入します。

最も多い事故が別表の添付漏れです。圧縮記帳は明細書の提出が適用の前提と解されており、帳簿上は圧縮していても別表十三(一)を付け忘れると適用が否認され、補助金が課税所得に加算されます。電子申告では別表の添付ファイル送信漏れも起きやすいため、送信前にチェックしましょう。なお別表の様式や欄番号は年度の税制改正で変わるため、記入の際は国税庁が公表する最新様式と記載要領で確認してください。

個人事業主の場合(総収入金額不算入)

圧縮記帳は法人向けの制度です。個人事業主が事業再構築補助金で固定資産を取得した場合は、所得税法第42条の「国庫補助金等の総収入金額不算入」で対応します。補助金収入を総収入金額に算入せず、その分だけ資産の取得価額を減らして減価償却するため、結果は法人の直接減額方式とほぼ同じです。適用には確定申告書に「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付し、補助金額・対象資産・控除後の取得価額を記載します。

よくある誤解と注意点

第一に、圧縮記帳は税金が免除される制度ではありません。課税を後年へ繰り延べるだけで、減価償却費の減少や積立金の取り崩しを通じて最終的には課税されます。第二に、補助金を全額圧縮できるわけではなく、固定資産取得分だけが対象です。第三に、圧縮記帳の適用は任意で、今期が赤字で税負担がない場合などは適用しない判断もあり得ます。実務で見落としやすいのが地方税との関係で、償却資産税(固定資産税)は圧縮前の取得価額で評価されるため、帳簿上圧縮していても償却資産申告は元の取得価額で行います。経営強化税制などの特別償却・税額控除を併用する場合も、圧縮後の取得価額を基礎に計算します。補助金交付が翌期にずれ込むケースの扱いは先行取得した場合でも圧縮記帳は可能なのか、工事負担金の圧縮は工事負担金は圧縮記帳できるかで扱っています。

よくある質問(FAQ)

別表13は何部に何を書きますか?

別表十三(一)はⅠ部が国庫補助金等による圧縮、Ⅱ部が圧縮積立金、Ⅲ部が工事負担金等です。事業再構築補助金はⅠ部に、資産名称・取得価額・補助金額・圧縮限度額・圧縮額を記入します。積立金方式の場合はⅡ部に積立金の繰入額・残高も記載します。

直接減額方式と積立金方式で別表の書き方はどう違いますか?

直接減額方式はⅠ部に圧縮損失額を記入してその期で完結します。積立金方式はⅠ部に加えて積立金の当期繰入額・期末残高を記載し、翌期以降は別表十三(二)で積立金を繰り越して取り崩しまで管理します。

別表13を添付し忘れたらどうなりますか?

圧縮記帳の適用が否認され、補助金が課税所得に加算される可能性があります。気づいたら更正の請求や修正申告で早急に訂正します。電子申告では別表の添付ファイル送信漏れに特に注意してください。

個人事業主も別表13を使いますか?

使いません。個人事業主は所得税法第42条の総収入金額不算入で対応し、確定申告書に「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付します。

補助金の入金が翌期になっても圧縮記帳できますか?

できます。令和4年度の税制改正で、固定資産を先行取得し補助金を翌期に受け取るケースでも圧縮記帳を適用できることが明確化されました。前期末に補助金額が確定し返還不要なら未収計上して前期で、未確定なら受領した翌期で処理します。

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