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経常利益がマイナスとは?経常損失の原因を2つに分ける手順と融資・経審への影響【2026年版】

経常利益がマイナスとは?経常損失の原因を2つに分ける手順と融資・経審への影響【2026年版】

経常利益がマイナスになった状態は「経常損失」と呼び、決算書には経常損失として表示されます。原因は、本業がすでに赤字なのか、本業は黒字でも借入の利息などの営業外費用が利益を食っているのか、の2つに分かれます。この記事で示すのは、会社計算規則の表示ルールと、売上高1億円の設例を使って経常損失をどちらの原因がどれだけ生んだのかを数字で切り分ける具体的な手順です。銀行の融資審査や建設業の経営事項審査(経審)、公的な経営改善支援への影響、型ごとの立て直しの順番、予実管理で月次のうちに気づく仕組みも扱います。経常利益そのものの定義と計算式は経常利益の計算式と営業外損益の科目を解説した記事で詳しく説明しています。

まとめ:経常利益がマイナスになる2つの原因と、融資・経審への影響と立て直しの順番

経常利益がマイナスとは、営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いた結果が零を下回った状態です。会社計算規則第91条により、損益計算書には「経常損失」の名称で金額を載せます。

最初にやることは原因の切り分けです。経常損失を「営業損失」と「営業外費用から営業外収益を引いた純額」に分ければ、本業の立て直しが先か、借入条件の見直しが先かが決まります。単月だけの経常赤字は利息や賞与の計上月が偏っただけのことが多く、通期で赤字が続くかどうかを先に確かめてください。

影響が大きいのは融資と経審です。銀行は赤字が一過性か継続かの説明を求め、建設業では売上高経常利益率が経審のY評点に入るため、公共工事の入札で使う総合評定値が下がります。早く気づくには、予実管理で経常利益の予算差異を営業差異と営業外差異に分けて毎月出すのが近道です。

経常利益がマイナスの意味と、損益計算書での経常損失の表示と読み方

マイナスになったときの呼び名と載り方は、法令で決まっています。読み違えやすいのは、表示の符号と型の見分けです。

会社計算規則第91条が定める経常損失金額の表示と、決算書に載る位置

会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の第91条は、営業損益金額に営業外収益を加え、営業外費用を減じた額を経常利益金額として表示すると定めています。同条の第2項は、その額が零未満のときは零から減じた額を「経常損失金額」として表示するよう求める規定です。

つまり決算書には「経常利益 −450万円」ではなく、「経常損失 450万円」と正の数で載るのが原則です。会計ソフトの帳票や社内資料では「△450」「▲450」とマイナスを記号で示す書き方も多く、どちらも同じ状態を指します。

探す場所は、営業外費用の合計行のすぐ下です。中小企業の決算書では段階利益の名称が省かれている場合もあるため、行の名称が「経常損失」になっているか、金額に△が付いているかで判断してください。

営業利益と営業外損益の符号で分ける経常赤字の型と、型ごとの深刻度

経常利益がマイナスでも、原因によって深刻さはまったく違います。営業利益の符号と、営業外損益の純額の符号で次の3つの型に分けられます。

型 営業利益 営業外の純額 典型的な原因 深刻度
営業赤字型 マイナス プラスまたは小さなマイナス 粗利の不足・固定費の過大 高い(本業が回っていない)
金利負担型 プラス 大きなマイナス 借入過大による支払利息 中(返済計画しだい)
一時要因型 プラス 単年度だけマイナス 為替差損・有価証券の評価損 低い(翌期に戻る可能性)

営業赤字と営業外の赤字が同時に起きている会社は、営業赤字型として扱います。本業を直さない限り、利息を減らしても経常利益はプラスに戻らないからです。営業利益と経常利益の符号の組み合わせを4つの型で整理した表は、営業利益・経常利益・純利益の違いを5段階の利益で比べた記事に載せています。

経常赤字の原因を営業損失と純営業外費用に分ける手順、売上高1億円の設例

型の見当がついたら、金額で確かめます。必要なのは損益計算書の4つの数字だけです。

経常損失を営業損失と純営業外費用に分け、寄与度を計算する4つの手順

売上高1億円、営業損失200万円、営業外収益50万円、営業外費用300万円の会社を例にします。経常損益は −200+50−300=−450万円で、経常損失は450万円です。

  1. 営業損益を取り出す(設例では −200万円)
  2. 営業外収益から営業外費用を引いた純額を出す(50−300=−250万円)
  3. マイナスになっている項目だけを合計する(200+250=450万円)
  4. 各項目を合計で割って寄与度にする(本業44%、営業外56%)

この会社は、本業の赤字よりも営業外の負担の方が経常損失を多く生んでいます。営業外費用300万円の内訳が支払利息なら、借入条件の見直しの効果が大きいと読めます。逆に営業利益が −400万円で営業外の純額が −50万円なら、寄与度は本業89%となり、利息を減らしても経常赤字はほとんど縮みません。

営業外費用が膨らむ典型、支払利息・為替差損・評価損・雑損失の見分け方

営業外の純額が大きなマイナスのときは、科目を見て「毎年続くもの」と「その年だけのもの」に分けます。続くかどうかで、打ち手の急ぎ具合が変わります。

  • 支払利息:借入残高と金利で決まり、返済か借換えをしない限り毎年続く
  • 為替差損:外貨建ての債権債務を期末の為替相場で換算した結果で、相場が戻れば翌期に為替差益として戻る
  • 有価証券評価損・売却損:保有株式などの値下がりで、売却しない限り金額は確定しない
  • 雑損失:少額の科目をまとめた受け皿で、金額が大きいときは中身を必ず確かめる

実務でまず見るのは支払利息です。売上高に対する支払利息の割合が年々上がっていれば、金利負担型が進んでいる合図になります。為替差損と評価損だけで経常損失になった年は、本業の数字が健全なら一時要因型と判断してよい場面です。

単月だけマイナスになる月次の経常赤字と、通期で赤字が続く状態の区別

月次の試算表では、通期は黒字なのに特定の月だけ経常利益がマイナスになることがよくあります。原因の多くは、費用の計上月の偏りです。

典型は3つあります。賞与を支給月にまとめて費用にしている場合、支払利息を引落し月にだけ計上している場合、そして売上の季節変動が大きい業種で閑散月に固定費だけが残る場合です。賞与引当金や未払利息を毎月按分して計上すれば、単月の赤字の大半は消えます。

判断の基準は、直近12か月の合計です。単月がマイナスでも12か月合計がプラスなら通期の経常赤字ではありません。12か月合計が2四半期続けてマイナスに沈んだ時点で、通期の経常赤字を前提に手を打つ段階に入ったと考えてください。

経常利益のマイナスが融資審査・経審・公的支援に与える影響と対応

経常損失は社内の問題にとどまりません。決算書を提出する相手が多い会社ほど、影響の出る先も増えます。

融資審査で問われる一過性か継続かの説明と、債務超過と重なったときの判断

経常利益は、借入の返済原資を測るときの出発点になる利益です。銀行に決算書を出すと、経常損失の原因が一時的なものか、来期以降も続くものかを説明するよう求められます。前述の寄与度の分解と、単月か通期かの区別は、そのまま説明資料の骨格になります。

注意したいのは、経常赤字が続いて純資産がマイナスになったときです。債務超過と重なると、新規の融資判断は一段と厳しくなります。その段階での銀行の見方や信用保証協会・資本性ローンの使い方は、債務超過でも融資は受けられるかを解説した記事で整理しています。

金融機関の支援を受けながら立て直す場合は、中小企業庁の経営改善計画策定支援(405事業)が使えます。認定経営革新等支援機関に払う計画策定費用の2/3(通常枠の上限200万円)を中小企業活性化協議会が負担する制度で、手引きは2026年5月1日に改訂されています。

建設業の経審で売上高経常利益率がY評点に入り、総合評定値の2割に響く経路

公共工事を元請で受注する建設業者は、建設業法(昭和24年法律第100号)の第27条の23により経営事項審査を受けなければなりません。審査は経営状況や経営規模、技術的能力を数値で評価する仕組みです。

経営状況の評点Yは8つの指標で計算され、その中に売上高経常利益率と純支払利息比率が入っています。愛知県の経営事項審査制度の案内が示す総合評定値の算式は「P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」で、Yの重みは2割です。経常損失になると売上高経常利益率がマイナスになり、利息が重ければ純支払利息比率も悪化するため、1つの原因が2つの指標を同時に押し下げます。

経審は決算ごとに受け直すため、1期の経常赤字は次の決算まで入札の点数に残ります。建設業で経常赤字が見えてきたら、決算前に借入の一部返済や遊休資産の整理で利息負担を減らせないかを検討する価値があります。

法人企業統計で見る規模別の経常利益率、資本金1,000万円未満は3.1%という余裕

財務省の法人企業統計調査(令和7年度)では、全産業の売上高経常利益率は7.3%、営業利益率は5.4%でした。資本金1,000万円未満の会社に限ると、経常利益率は3.1%、営業利益率は2.3%まで下がります。

売上高1億円の小規模企業に当てはめると、平均的な経常利益は310万円です。設例の支払利息300万円がそのまま上乗せされれば、平均的な会社でも経常利益はほぼ零になります。規模が小さい会社ほど、金利や為替の小さな変化で経常利益の符号が反転しやすいということです。

経常赤字から立て直す順番、営業赤字型と金利負担型で打ち手を分ける判断

型によって、最初に手を付ける場所は変わります。順番を間違えると、効果の小さい施策に時間を使います。

営業赤字型は粗利率と固定費を分解し、値上げと固定費削減の順番を決める

営業赤字型は、本業の赤字を直すのが先です。営業損失は「売上総利益−販管費」の結果なので、粗利率が下がったのか、固定費が増えたのかを3期分並べて比べます。

粗利率が下がっているなら、先に価格と原価を見直します。仕入価格や外注費の上昇を販売価格に転嫁できていないケースが典型です。粗利率が横ばいで販管費だけが増えているなら、人件費や家賃、システム利用料の中で売上に連動しない固定費を洗い出します。販管費の区分を誤ると営業利益そのものがぶれるため、営業利益の求め方と販管費の区分ミスを解説した記事で区分の基準を確かめてから比べてください。

金利負担型は借入条件の見直しと、経営改善計画を作って交渉する選択肢

金利負担型は、本業が黒字なので、営業外費用を減らせば経常利益が戻ります。打ち手は、余剰資金での繰上返済、金利の低い借入への借換え、返済期間の見直しの3方向です。

返済条件の変更を銀行に頼む場合は、数字の裏付けがある計画が必要になります。前述の405事業では、計画策定後の伴走支援(モニタリング)の費用も2/3(上限100万円)が補助対象です。経営者保証の解除を目指す計画なら、金融機関交渉費用も2/3(上限10万円)の対象に入ります。借入の総額が年商を超えているなど自社だけで計画を作るのが難しいときは、認定支援機関と組んで計画を作るのが現実的です。

一時要因の経常赤字では事業の縮小や人員削減に踏み込まないという判断

為替差損や有価証券の評価損だけで経常損失になった年は、事業の縮小や人員削減に踏み込みません。営業利益がプラスで、営業外の損失が翌期に戻る性格のものなら、構造改革は過剰な反応です。

この場合にやることは2つに絞れます。1つは銀行への説明資料で、評価損や為替差損の金額と、除いた場合の経常利益を示すことです。もう1つは、外貨建て取引が多いなら為替予約などで変動幅を抑える方針を決めることです。逆に、同じ一時要因が2期以上続くなら、それはもう一時要因ではなく金利負担型か営業赤字型として扱い直してください。

予実管理で経常利益のマイナスを早く検知する仕組みと会計システムの設計

経常赤字に決算で気づくと、打てる手は残っていません。月次で兆候をつかむには、予算と実績の差を原因別に出す仕組みが要ります。

経常利益の予算差異を営業差異と営業外差異に分け、月次レポートで出す方法

経常利益の予算と実績の差は、営業利益の差異と、営業外損益の差異に分けて出します。前述の寄与度の分解を、予算に対しても毎月行うイメージです。営業差異がマイナスなら売上か原価か販管費のどれがずれたのかを下の階層へ掘り、営業外差異がマイナスなら支払利息と為替差損益を個別に確かめます。

予算と実績を月次で比べる基本の進め方は予実管理の進め方4ステップを解説した記事で、差異を画面でどう見せるかは予実管理ダッシュボードの見るべきKPIを解説した記事で扱っています。経常利益の段階では、直近12か月合計の推移と、営業外差異の内訳の2つを常に表示しておけば、単月の赤字か通期の赤字かをその場で判断できます。

借入明細と利息の自動計上で、決算月に経常赤字が判明する事態を防ぐ設計

月次の経常利益が実態とずれる最大の原因は、支払利息の計上漏れと計上月の偏りです。借入の明細を表計算ソフトで管理し、会計には引落しのたびに手で仕訳を入れる運用では、利息が月ごとに按分されず、決算月にまとめて費用が出てきます。

借入の本数が数本なら、会計ソフトの定期仕訳で未払利息を毎月計上すれば足ります。借入が10本を超え、変動金利や返済条件の変更が混ざる会社では、借入明細を会計と連携し、利息の発生額を月次で自動仕訳する仕組みを作る方が確実です。予実管理の画面と借入明細、会計の仕訳を1つにつなぐ設計は、会計・経理システム開発で個別に相談を受けています。

よくある質問

経常利益がマイナスになったときによく寄せられる疑問に、条文と統計を根拠に答えます。

経常利益がマイナスになると、会社はすぐに倒産しますか?

すぐには倒産しません。会社が倒産するのは支払いのための現金が尽きたときで、経常損失は利益の計算上のマイナスにすぎないからです。減価償却費のように現金が出ていかない費用が多ければ、経常損失でも手元資金は減らないこともあります。ただし経常赤字が続けば借入の返済原資が細るため、いずれ資金が不足するということです。資金が尽きるまでの日数を出し、打ち手の優先順位を決める方法は資金繰りが苦しいときの対処法を解説した記事で扱っています。

経常利益がマイナスでも、法人税などの税金はかかりますか?

法人税は会計上の利益ではなく、税務上の所得に課されます。経常損失の年でも、特別利益が大きい場合や、交際費など税務上は費用にならない支出が多い場合は、所得がプラスになって法人税がかかることがあります。また法人住民税の均等割は、所得の有無にかかわらず課される税金です。所得がマイナスになった年の欠損金は、要件を満たせば翌期以降の所得と相殺できるため、顧問税理士と金額を確かめておいてください。

営業利益が黒字で経常利益がマイナスなのは、どういう状態ですか?

本業では稼げているのに、借入の利息や為替差損、有価証券の評価損などの営業外費用がそれを上回っている状態です。記事中の型でいえば金利負担型か一時要因型にあたります。支払利息が主因なら、借入残高と金利を見直せば経常利益は戻ります。為替差損や評価損が主因で、その年だけの損失なら、事業の縮小に踏み込む必要はありません。どちらに当たるかは、営業外費用の科目別の金額を前期と比べると判断できます。

経常利益がマイナスのとき、経常利益率はどう計算しますか?

計算式はプラスのときと同じで、経常利益を売上高で割って100を掛けます。経常損失450万円、売上高1億円なら、売上高経常利益率は −4.5%です。マイナスの率をそのまま記録しておけば、改善の幅を期ごとに比べられます。業種別・規模別の目安と比べる場合や、予実管理のKPIとして毎月追う場合の出し方は、経常利益率の計算式と業種別の目安を解説した記事を参考にしてください。

経常損失と当期純損失は、何が違うのですか?

経常損失は営業外の損益までを含めた段階のマイナスで、当期純損失はそこに特別利益と特別損失を加減し、法人税等を差し引いた最終段階のマイナスです。経常損失でも固定資産の売却益などの特別利益が大きければ当期純利益はプラスになり、逆に経常利益がプラスでも減損損失や災害損失で当期純損失になることがあります。毎期の稼ぐ力を見るなら経常損益、純資産が増えたか減ったかを見るなら当期純損益と使い分けてください。

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