HACCP義務化はいつから?2021年6月完全施行後の対象範囲と記録保存の実務要件
HACCPの義務化がいつからなのかを調べると、2018年、2020年、2021年という3つの年が並んで出てきます。どれも誤りではなく、公布・施行・経過措置の終了という別々の節目を指しているだけです。ただ、いま自社が知りたいのは年号そのものではなく、すでに義務が発生している状態で何をどこまでやれば足りるのかでしょう。この記事では、日付を条文上の節目で確定させたうえで、自社がどちらの基準に入るか、罰則がどう働くか、そして最も情報が薄い「記録をどれだけ保存すべきか」を食品衛生法と施行規則の条文から整理します。HACCPという手法そのものの意味や7原則12手順はHACCP(ハサップ)とは何か、食品安全システムの基本概念の解説にまとめてあります。
まとめ:義務化はすでに完了、いま問われるのは記録が要件を満たすか
先に結論を書きます。HACCPに沿った衛生管理は2021年6月1日に完全施行されており、経過措置は2021年5月31日で終わりました。「いつから対応すればよいか」という問いは、2026年8月時点ではすでに過去の問いです。これから開業する事業者にとっての「いつから」は、営業許可の申請時点あるいは営業開始日そのものになります。
次に自社の区分です。分かれ目は食品の取扱いに従事する者の数が50人未満かどうかで、これを下回る事業場を持つ営業者と、飲食店営業や小売販売など施行規則第66条の4が挙げる類型に当てはまる営業者は、業界団体が作り厚生労働省が内容を確認した手引書に沿えば適合として扱われます。50人以上の製造加工事業者は、危害要因分析から検証まで自社で組み立てる必要があります。
罰則については、HACCPを実施していないこと自体を処罰する条文は置かれていません。効いてくるのは食品衛生法第60条第1項の行政処分、すなわち営業許可の取消しや営業の禁止・停止です。そして実務で最も詰まりやすいのが記録の保存期間で、施行規則は年限を書かず「合理的に設定すること」とだけ定めています。この一文の読み方と、紙のままでよい条件・システムに移すべき条件を、この記事の後半で判断できる形にします。
HACCP義務化の日付を公布から完全施行まで4つの節目で確定する
年号が混乱するのは、法改正が段階を踏んで進んだからです。公布・施行・経過措置の終了・所管の移動という4つの節目を分けて押さえると、どの数字が何を指すのかが一度で整理できます。
2018年6月13日の公布から2020年6月1日の施行までが助走にあたる
出発点は食品衛生法等の一部を改正する法律、平成30年法律第46号です。2018年6月13日に公布され、HACCPに沿った衛生管理を原則としてすべての食品等事業者に求める枠組みがここで決まりました。ただし公布は「決まった」という段階にすぎず、事業者に義務が生じるのは施行日からになります。
この間に、基準の中身を定める政令と省令が整備されました。令和元年10月から12月にかけて政令3件と省令が順次公布され、食品衛生法施行規則に第66条の2が新設されます。同条第1項が一般的な衛生管理の基準を別表第17に、第2項がHACCPに沿った衛生管理の基準を別表第18に置く構造です。施行日は2020年6月1日でした。
経過措置が切れた2021年6月1日が完全施行と呼ばれている日付
2020年6月1日の施行と同時に、1年間の経過措置期間が設けられました。期限は2021年5月31日です。この1年のあいだに衛生管理計画を作り、現場に周知し、記録を回し始めればよいという猶予でした。翌6月1日から猶予は消え、厚生労働省も「2021年06月01日 HACCPに沿った衛生管理が完全施行されました」と告知しています。
したがって「HACCP義務化はいつから」への正確な答えは、制度が始まったのは2020年6月1日、猶予なしで求められるようになったのは2021年6月1日、となります。世の中で完全義務化と呼ばれているのは後者です。
2024年4月1日の所管移動は見落とされやすい制度運用上の変化
日付の話でもう1つ加えておきたいのが、2024年4月1日に食品衛生基準行政が厚生労働省から消費者庁へ移管された点です。規格基準の策定にあたる部分が消費者庁に移り、立入検査や取締りといった食品衛生監視行政は厚生労働省に残りました。
事業者の義務の中身が変わったわけではありません。ただ、手引書や解説資料の掲載元が変わっていく可能性があるため、社内の手順書に参照先URLを直書きしている場合は一度点検しておくとよいでしょう。日々の指導や監視で接する窓口は従来どおり保健所です。
これから開業する事業者にとっての「いつから」は営業を始める日
すでに営業している事業者にとって義務化の日付は過去の話ですが、これから食品を扱う事業を始める場合は事情が違います。開業のどの時点で何を用意しておくべきかを押さえておかないと、許可の手続きそのものが止まります。
営業許可や営業届出の手続きでは衛生管理計画の準備状況が問われる
2021年6月1日以降に新しく営業を始める場合、猶予はありません。施行規則第66条の2第3項第1号は、営業者に衛生管理計画を作成して食品を取り扱う者へ周知徹底することを求めています。営業許可の申請や営業届出の際に、保健所から計画の準備状況を確認されるのが通例で、書式を渡されることもあります。
実務としては、業種に対応する手引書を先に入手し、そこに付いている様式に沿って計画を書き起こすのが早道です。小規模な一般飲食店であれば、公益社団法人日本食品衛生協会が作成し2024年1月に改訂した手引書が使えます。開業日の直前に着手すると記録の運用まで手が回らないため、内装工事と並行して進めるのが現実的な段取りになります。
許可更新のタイミングでは計画の有無より日々の運用実態が見られる
営業許可には有効期間があり、更新の際にも衛生管理の状況が確認されます。ここで見られるのは計画書が存在するかどうかではなく、計画どおりに記録が残っているかどうかです。計画書だけ整えて記録が白紙という状態は、更新時の指導で最も指摘されやすい形になります。
逆に言えば、日々の記録が期間を通じて残っていれば、書式が手引書の様式そのままでも問題になりません。凝った帳票を作るより、続けられる粒度で記録を回すほうが更新時の説明は通ります。
自社がどちらの基準に入るか、従事者50人未満と8つの営業類型
HACCPに沿った衛生管理は、内容の異なる2つの型に分かれます。危害要因分析から検証手順まで自社で組み立てる「HACCPに基づく衛生管理」と、手引書に沿って簡略化してよい「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」です。どちらに入るかで作業量が大きく変わるため、線引きの根拠を条文で確認しておきます。
食品の取扱いに従事する者が50人未満という具体的な数え方の実務
簡略化が認められる根拠は、食品衛生法施行令第34条の2と施行規則第66条の4です。このうち最もよく参照されるのが、食品の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場を有する営業者という区分になります。
数え方には2つの注意点があります。1つは、事務職員など食品の取扱いに直接従事しない人は数に入れないこと。もう1つは、前年度の各月の1日当たりの人数の平均で算出することです。繁忙期に一時的に50人を超える日があっても、稼働月の平均が50人未満であればこの区分に該当します。全社の従業員数ではなく事業場単位で数える点も見落とされがちで、複数工場を持つ企業では工場ごとに判定が分かれます。
人数以外の理由で簡略化が認められる営業類型を一覧表で整理する
従事者数だけが基準ではありません。施行令第34条の2と施行規則第66条の4は、業態そのものに着目した類型も置いています。次の表が該当する営業です。
| 類型 | 該当する営業の例 |
|---|---|
| 併設店舗での小売販売 | 菓子・豆腐・食肉の製造販売店 |
| 飲食店営業 | レストラン、居酒屋、給食施設 |
| 喫茶店営業 | 喫茶店、カフェ |
| パン製造 | 消費期限が概ね5日程度のパン |
| そうざい製造業 | 惣菜の製造 |
| 包装食品の貯蔵運搬販売 | 包装食品のみを扱う卸・小売 |
| 分割して包装し販売 | 八百屋、米穀店、乾物店 |
| 従事者50人未満の事業場 | 中小規模の食品製造・加工業 |
製造加工した食品の全部または大部分を、併設または隣接した店舗で小売販売する形態が最初の類型です。町の菓子店や豆腐店がここに入ります。表の8類型のいずれかに当てはまれば、手引書ベースの簡略化された運用で足ります。
手引書に沿えば適合とみなされる仕組みと、そこで残る自社の判断
簡略化の実体は、業界団体が作成し厚生労働省が内容を確認した手引書に則って衛生管理を実施すれば、HACCPに沿った衛生管理に適合するものとして取り扱う、という運用です。危害要因分析を自前で行う代わりに、業界共通の分析結果を引き受ける形になります。
ただし手引書はそのまま使える完成品ではありません。取り扱う品目や工程が手引書の想定と違う場合、その差分を自社で埋める必要があるためです。手引書に載っていない加熱工程や、独自の保管方法があるなら、そこだけは自分で危害を考えて管理方法を決めることになります。この判断を省くと、形式上は手引書に沿っていても実態と合わない計画ができあがります。
HACCPの罰則は直罰ではない、行政指導から営業停止に至る道筋
罰則の有無は検索でもよく問われる論点ですが、答えは「HACCP未実施そのものを処罰する条文は無い、ただし行政処分の対象にはなる」という二段構えになります。ここを誤解すると、対応しなくても実害が無いという判断につながりかねません。
未実施そのものを処罰する直接の条文は食品衛生法に置かれていない
公衆衛生上必要な措置の根拠は食品衛生法第51条第1項で、これを受けた省令が別表第17と別表第18を定めています。同条第2項は営業者にこの基準の遵守を求めていますが、違反に対する罰金や懲役を直接定めた規定は置かれていません。この点は制度設計としてそうなっており、2026年8月時点で変わっていません。
ここから「罰則が無いので後回しでよい」と読むのは誤りです。処罰の条文が無いことと、放置してよいことは別の話になります。
実際に効いてくるのは第60条第1項の行政処分と条例による上乗せ
実際に効くのは食品衛生法第60条第1項です。同項は、許可の取消し、または営業の全部もしくは一部の禁止、期間を定めた営業の停止を命じることができると定めています。営業停止は売上が直接止まる処分であり、罰金より重い打撃になる場面も少なくありません。
流れとしては、立入検査で衛生管理計画や記録の不備が見つかると、まず口頭または文書での指導が入ります。改善が見られない場合や、食中毒など具体的な被害が発生した場合に、行政処分へ進むという段階を踏むのが一般的です。加えて第51条第3項は、都道府県知事等が国の基準に反しない限り条例で規定を置けるとしており、自治体によっては条例側で追加の規定が設けられています。自社の所在地の条例は一度確認しておく価値があります。
行政より先に事業へ効くのは実務上の取引先監査と回収時の説明責任
現場感覚として、行政処分より先に事業へ響くのは取引先からの要求です。量販店や外食チェーンへ納入する場合、取引開始の条件として衛生管理計画と記録の提示を求められるのが通例で、記録が揃わないと商談が進みません。
もう1つが回収時の説明責任です。異物混入や規格外品が見つかったとき、どのロットまで遡るかを決める材料は記録しかありません。記録が無ければ回収範囲を絞り込めず、疑わしいものをすべて引き上げる判断が必要です。この考え方はトレーサビリティの意味と2種類の追跡、システム化の判断で整理しています。義務化への対応を法令遵守だけの話として捉えると、ここへの備えが抜けます。
衛生管理の記録を何年保存するのか、合理的な期間という条文の読み方
ここからがこの記事の本題です。義務化の解説記事は数多くありますが、記録を何年残すべきかを条文まで戻って書いたものは多くありません。理由は単純で、法令が年限を書いていないからです。
年限を書かず合理的に設定せよとだけ定めた第66条の2第3項第3号
施行規則第66条の2第3項第3号は、次のように定めています。「衛生管理の実施状況を記録し、保存すること。なお、記録の保存期間は、取り扱う食品又は添加物が使用され、又は消費されるまでの期間を踏まえ、合理的に設定すること。」
年限の数字はどこにも出てきません。基準になるのは自社の食品が消費され終わるまでの期間です。消費期限が3日の弁当と、賞味期限が2年の缶詰では、記録を持つべき長さが違って当然だという発想になっています。読み替えると、保存期間は自社で決めて、その根拠を説明できるようにしておけ、ということです。
実務上の目安を置くなら、消費期限または賞味期限に、出荷後に不具合が判明するまでの猶予を足した長さが下限になります。期限が短い食品でも、行政の立入検査や取引先監査が年1回であることを踏まえると、1年を下回る設定は説明が苦しくなります。逆に、期限が2年の加工品なら記録も2年以上持つ設計が筋です。
一般衛生管理の側には年限が明記された記録がいくつも存在する理由
HACCP側の記録に年限が無い一方で、別表第17の一般的な衛生管理には年限が書かれた記録が混ざっています。これらは「合理的に設定」の対象ではなく、数字が決まっている義務です。
| 記録の種類 | 頻度と保存期間 |
|---|---|
| 飲用に適する水の水質検査 | 年1回以上、成績書1年間以上 |
| ねずみ及び昆虫の駆除記録 | 年2回以上、実施記録1年間 |
| 放射線照射業の吸収線量 | 営業日ごと1回以上、2年間 |
| 大量調理施設の原材料記録 | 1年間保管 |
最後の行は法令ではなく大量調理施設衛生管理マニュアルによるもので、同一メニューを1回300食以上または1日750食以上提供する調理施設が対象です。品名、仕入元、生産者、ロットが確認できる情報、仕入れ年月日を記録して1年間保管します。給食施設や仕出し弁当を扱う事業者は、HACCP側の記録とあわせてこちらの年限も満たす必要があります。
整理すると、保存期間の設計は「年限が決まっている記録は数字どおり、決まっていない記録は自社の期限を根拠に自分で決める」という二本立てになります。実務では、社内規程で一律の年数を決めてしまい、年限が明記された記録がそれを下回らないかだけ確認する進め方が扱いやすいでしょう。
記録の作成を必要に応じてと読み替えてよい営業者の範囲と判断基準
もう1つ、見落とされがちな緩和規定があります。施行規則第66条の2第4項は、一定の営業者について、計画作成を「必要に応じて作成し」、記録保存を「必要に応じて記録し、保存すること」と読み替えると定めています。
対象は、食品または添加物の輸入をする営業者、貯蔵のみまたは運搬のみをする営業者(食品の冷凍冷蔵業を除く)、常温保存で品質劣化のおそれがない容器包装食品を販売する営業者、器具または容器包装の輸入をする営業者などです。倉庫業や常温の包装食品だけを扱う小売は、記録を毎日つけることが前提ではないという読み方になります。自社がこの読み替えに当たるかどうかは、保健所に確認しておくと以降の設計が軽くなります。
紙の記録が限界を迎える条件と、システム化に踏み切る判断ライン
ここまでの要件を踏まえて、記録を紙で回し続けるか電子化するかを判断します。制度は媒体を指定していないため、紙でも電子でも要件は満たせます。判断材料は法令ではなく、自社の運用が破綻する条件がそろっているかどうかです。
紙のままで足りる条件を先に確定させてから投資を考える判断基準
先に、紙で問題ない場合を言い切っておきます。単一店舗または単一工場で、記録をつける人が同じ場所にいて、保存期間が1年程度で済み、取引先から電子データでの提出を求められていない。この4つがそろっているなら、システムを入れる理由はありません。手引書に付属する様式を印刷してファイルに綴じる運用で、監査にも更新にも通ります。
費用をかけずに一歩だけ進めたい場合、厚生労働省が2026年6月5日に公開した無償の「HACCP衛生管理記録アプリ」という選択肢もあります。飲食店向けの手引書に沿った記録をスマートフォンやタブレットで行えるもので、紙の運用を置き換える最初の一手として費用面の障壁がありません。
システム化を採用してよいのは次の3条件のいずれかに当たる場合
投資を正当化できる条件を3つに絞ります。第一に、拠点が複数あり本部で記録の有無を横断して見たい場合。店舗や工場ごとに紙が溜まる構造では、未記録に気づくのが監査の直前になります。第二に、保存期間が2年を超える設計になる場合。賞味期限の長い加工品を扱うと紙の保管量が積み上がり、遡って探す作業が現実的でなくなります。
第三に、計画書や手順書を改訂する頻度が高い場合です。危害要因分析表や重要管理点の決定根拠は、原材料や設備を変えるたびに書き換わります。いつ誰が何を根拠に変更したかを残せないと、監査で過去の記録がどの版の計画に基づくのかを説明できません。この版管理の要求が出た時点が、文書管理システムの受託開発を検討する境目になります。記録用のアプリは日々のチェックを電子化しますが、計画書側の版管理までは守備範囲としていない製品が多く、ここは分けて考える必要があります。その計画書を手順1から手順12のどの段階で作るのかは、HACCPの7原則12手順で作る文書6種と記録3種の整理で手順ごとに示しています。
記録を電子データで保存する場合の考え方は、税務分野で先行しています。保存の要件や検索性の担保をどう設計するかは電子取引データ保存の要件と対応方法の実務解説が参考になります。分野は違っても、保存期間・検索性・改ざん防止という論点の立て方は共通です。
システム化を見送ってよい場面と、製品選定に進む前に決めておくべきこと
逆に見送るべき場面も明確です。義務化への対応が済んでいないという理由だけで製品を探し始めるケースは、進め方として順序が逆です。衛生管理計画がまだ無い段階でシステムを入れても、何を記録するかが決まっていないため空の器を買うことになります。まず手引書に沿って計画を作り、3か月ほど紙で回して記録項目を固めてから製品を見るほうが、選定の精度が上がります。
もう1つ、記録の電子化そのものが目的化している場合も見送りが賢明です。監査で問われるのは記録の媒体ではなく中身の整合性で、紙をそのままPDFにしただけでは検索性も改ざん耐性も変わりません。製品ごとの機能要件や費用、パッケージと受託開発の分かれ目はHACCPシステムの機能要件と選び方、受託開発の判断に整理してあるので、条件がそろってから読み進めてください。
よくある質問
HACCPの義務化はいつからですか?
制度が施行されたのは2020年6月1日、1年間の経過措置が終わって猶予なしとなったのが2021年6月1日です。世の中で完全義務化と呼ばれるのは後者を指します。根拠となる食品衛生法等の一部を改正する法律は2018年6月13日に公布されており、検索で3つの年号が並ぶのはこのためです。
HACCPをやらないと罰則はありますか?
HACCPを実施していないこと自体を処罰する条文は食品衛生法に置かれていません。ただし食品衛生法第60条第1項により、許可の取消しや営業の禁止・停止といった行政処分の対象にはなります。実務上は立入検査での指導が先に入り、改善が見られない場合に処分へ進む流れです。加えて第51条第3項により、自治体が条例で追加の規定を置いている場合があります。
記録は何年間保存すればよいですか?
施行規則第66条の2第3項第3号は年限を定めておらず、取り扱う食品が使用または消費されるまでの期間を踏まえて合理的に設定するよう求めています。自社の消費期限または賞味期限に、出荷後に不具合が判明するまでの猶予を足した長さが下限の目安です。ただし水質検査成績書は1年間以上、ねずみ及び昆虫の駆除記録は1年間など、別表第17に年限が明記された記録は数字どおりに保存します。
従業員が50人以上いる場合はどうなりますか?
食品の取扱いに従事する者が50人以上の事業場を持つ製造加工事業者は、手引書による簡略化の対象から外れ、危害要因の分析から重要管理点の決定、管理基準の設定、モニタリング、改善措置、検証、記録の作成までを自社で組み立てます。人数は事業場ごとに数え、事務職員は含めず、前年度の各月1日当たりの平均で判定します。全社で50人を超えていても、工場ごとに50人未満であればその事業場は簡略化の対象です。
飲食店1店舗でもHACCPの対象になりますか?
飲食店1店舗もHACCPの対象です。飲食店営業は施行規則第66条の4が挙げる類型に含まれるため、業界団体が作成し厚生労働省が内容を確認した手引書に沿った簡略化された運用で足ります。小規模な一般飲食店向けには、公益社団法人日本食品衛生協会が2024年1月に改訂した手引書があり、付属の様式で衛生管理計画と日々の記録を作れます。
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