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食品工場の衛生管理は何から始めるか?一般衛生管理14項目と7S・記録運用の設計手順

食品工場の衛生管理は、5S活動の掲示から始めると空回りしやすい領域です。食品衛生法施行規則の別表第17は一般的な衛生管理の基準を14の号に分けており、作業手順書はまずこの14項目へ割り付けてから書き起こすほうが早い。この記事では、14項目のうち日々の帳票に落ちるのはどれか、5Sに洗浄と殺菌を足した食品衛生7Sをどこに置くか、ゾーニングと入退室動線をどう固定するか、毛髪・虫・金属という異物混入の経路別に何を先に手当てするかを順に整理します。点検記録が続く帳票の書式、複数工場での標準化の範囲、生産管理システムへ記録を寄せる判断も扱う。HACCPそのものの定義や成り立ちはHACCP(ハサップ)とは何か、食品安全システムの全体像と導入意義で扱っているため、本稿では一般衛生管理の側に絞ります。

まとめ:14項目の割り付けを先に済ませてから5S活動に入る食品工場の衛生管理

結論を先に置きます。最初にやることは、清掃当番表でも標語の掲示でもなく、別表第17の14項目を自社の作業手順書と帳票へ一対一で割り付ける作業です。割り付けが済むと、どこが空白かが1枚の対応表として見えます。5Sや食品衛生7Sは、その空白を埋める手段として後から選ぶ。順序を逆にすると、整理整頓は進んだのに条文が求める記録が1枚も残っていない状態になりがちです。

手段を選ぶ段階では、条文が頻度や期間まで指定した項目を優先します。数値が明記された数少ない例が第5号で、1年に2回以上の駆除作業と実施記録の1年間保存が書かれている。逆に第8号の検食は1回300食又は1日750食以上を調理提供する営業者が対象で、一般の製造工場は当たらないことが多い。適用される号を仕分けるだけで、帳票の枚数は減ります。

記録の運び方は、工場が1つのうちは紙とエクセルで足ります。電子化の分岐は2拠点目が立ち上がったときです。多工場展開では、標準化するのは帳票の様式と判定基準、標準化しないのは設備ごとの清掃手順、という線引きを先に決めておく。曖昧なまま本部が一律の手順書を配ると、現場は合わない手順を形だけ写す運用に流れます。

食品衛生法施行規則 別表第17が定める一般衛生管理14項目と工場作業の対応

一般衛生管理は、HACCPを機能させる土台にあたる基準です。危害要因分析で管理点を立てる前に、施設と設備と人の側で押さえる前提条件を並べたものだと考えてください。

14項目のうち日常運用に落ちる6項目と、記録が条文で指定された項目

別表第17は第1号から第14号まであります。日々の帳票に直結するのは、第2号の施設の衛生管理、第3号の設備等の衛生管理、第5号のねずみ及び昆虫対策、第6号の廃棄物及び排水の取扱い、第7号の食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理、第13号の教育訓練の6つに偏る。残りは体制や出荷後の対応に関する項目で、日次の点検表ではなく規程や台帳の側で持つほうが素直です。

項目 工場側の受け皿
第1号 食品衛生責任者等の選任 体制図と選任記録
第2号 施設の衛生管理 日次・週次の清掃点検表
第3号 設備等の衛生管理 機器別の洗浄殺菌記録
第4号 使用水等の管理 水質検査結果の保管台帳
第5号 ねずみ及び昆虫対策 防虫防そ点検と駆除記録
第6号 廃棄物及び排水の取扱い 廃棄物置場の点検表
第7号 従事者の衛生管理 入室前の健康・服装確認
第8号 検食の実施 規模により対象外
第13号 教育訓練 訓練計画と効果の検証記録

検食の実施が対象になる1回300食・1日750食という規模の線引き

第8号の検食は、同一の食品を1回300食又は1日750食以上調理し提供する営業者を対象としています。原材料は洗浄殺菌等を行わず購入した状態のものと、調理済の食品をそれぞれ適切な期間保存し、提供先・提供時刻・提供した数量を記録して残す。給食委託や弁当・惣菜の製造はこの規模に届く一方、原材料を加工して包装出荷する工場は対象外になることが多い。

同じ食数の線引きは大量調理施設衛生管理マニュアル(平成9年3月24日付け衛食第85号別添、最終改正は平成29年6月16日付け生食発0616第1号)でも使われ、同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上提供する調理施設が適用範囲です。自社が両方の対象か、片方だけか、どちらでもないかを先に判定しておくと、帳票の作り直しを避けられます。

HACCPに沿った衛生管理と一般衛生管理を別の帳票で回す理由

別表第17と別表第18は施行規則の第66条の2で第1項と第2項に分かれており、前者が一般衛生管理、後者がHACCPに沿った衛生管理です。この分離を帳票の側でも保ってください。一般衛生管理の点検表に重要管理点のモニタリング値を混ぜると、逸脱時の処置の重さが違う記録が同じ紙の上に並び、現場が判断に迷います。

危害要因分析の段階でも同じ分離が効きます。一般衛生管理で抑え込める危害要因はHACCPプランに持ち込まない、という原則があるためです。詰め方はHACCPの7原則12手順の実装手順と成果物の作り方で扱っています。制度としていつから何が義務になったのか、記録を何年残すのかという論点はHACCP義務化の施行時期と対象範囲、記録保存の実務要件を参照してください。

5Sに洗浄と殺菌を加えた食品衛生7Sで清潔の到達点を微生物レベルに置く

5Sをそのまま持ち込むと、見た目はきれいなのに拭き取り検査の菌数が下がらない結果になります。目的の置き方が製造業一般と違うためです。

工業5Sと食品衛生7Sの違いを2006年の提唱経緯と目的の差から整理

食品衛生7Sは、NPO法人食品安全ネットワークが2006年に提唱した枠組みです。工業の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に洗浄と殺菌を加え、清潔の到達点を目視ではなく微生物レベルに置き換えたところが差分にあたる。工業5Sが狙うのは主に作業効率で、7Sが狙うのは汚染の防止です。

この違いは評価指標に直結します。5Sのままなら評価は「片づいているか」の目視判定、7Sなら拭き取り検査やATP測定の数値になる。7Sを名乗るなら、清潔の合否を数値で判定する仕組みまで用意してください。用語だけ変えて評価が目視のままなら、それは5Sの延長にすぎません。

整理と整頓を先に終わらせないと清掃の手順書が書けない順序の理由

整理は不要なものを撤去する工程、整頓は置き場所と置き方を決める工程です。この2つが終わらないまま清掃手順書を書くと、可動棚や仮置きのパレットが毎回違う位置にあるため、清掃箇所の一覧が確定しません。手順書には「床全面」としか書けず、点検表も「実施した」のチェック欄だけになる。順序を守れば設備に固有の番号を振れるので、点検表の行を設備単位で立てられます。

洗浄と殺菌をSSOPへ落とすときに決める薬剤濃度と接触時間の記載

洗浄と殺菌は、標準作業手順書(SOP)および衛生標準作業手順書(SSOP)に落として実行し、検証と改定を繰り返す建て付けです。SSOPに書く最小限は、対象設備、薬剤の種類、希釈濃度、接触時間、すすぎの有無、実施頻度、実施者、検証方法の8点。このうち濃度と接触時間が抜けた手順書が、現場では一番多い。

この2つが無いと、薬剤メーカーが保証する殺菌効果の条件を満たしたかどうかを誰も検証できません。書いてあれば、菌数が下がらなかったときに濃度が薄かったのか、時間が短かったのか、洗浄不足だったのかを切り分けられます。手順書は現場を縛るためでなく、失敗の原因を特定できる状態を作るために書くものです。

ゾーニングと入退室手順で人と物の交差汚染を断つ工場動線の決め方

清掃と洗浄で汚染を減らしても、動線が交差していれば持ち込みで元に戻ります。区画と動線は設備投資が絡むため、手順書より先に図面の上で決める領域です。

清浄区・準清浄区・汚染作業区の三区分と区画ごとの入室要件の設定

ゾーニングは、加熱後や充填包装のように汚染を持ち込みたくない清浄区、加熱前の処理を行う準清浄区、原材料の受入や廃棄物置場のような汚染作業区に分けるのが基本形です。区分を増やすほど厳密になりますが、入室要件が増えて現場が守れなくなる。まず三区分で線を引き、守れているかを確認してから細分化してください。

区画ごとに変えるのは、着衣、履物、手洗いの回数、持ち込み可能な資材、入室記録の有無の5点です。清浄区だけ入室記録を残す運用にすると、枚数を抑えながら追跡性を確保できます。

更衣と手洗いとローラー掛けの順序を1本の動線に固定する入室設計

入室手順は、順序が守られて初めて意味を持ちます。ローラー掛けの後に更衣室のロッカーへ戻れる構造だと、粘着ローラーで取った毛髪や繊維が再付着する経路が残る。物理的に戻れない一方通行の動線にしてしまうのが確実です。

  1. 外靴を脱ぎ、区画境界で専用履物に履き替える
  2. 私服を脱ぎ、清浄区用の作業着とインナーキャップを着用する
  3. 帽子とマスクを装着し、毛髪のはみ出しを鏡で確認する
  4. 粘着ローラーを前面・背面・肩・袖口の順に掛ける
  5. 手洗いと乾燥、アルコール消毒を行う
  6. エアシャワーを通過して清浄区へ入る

固定したら、掲示は文章ではなく写真付きの1枚にします。ステップ2と3を入れ替える現場が出るなら、原因はたいてい更衣室の物理配置です。掲示ではなくレイアウトを直してください。

物の動線も同じ考え方です。原材料と廃棄物の搬送経路が交差し、建屋の改造で解消できないなら、廃棄物の搬出を製造終了後、原材料の受入を製造開始前に固定して時間で分ける。この前提は手順書に明記し、「稼働時間を延長する場合は搬出入計画を再設定する」の1行を添えてください。増産で稼働時間が延びた瞬間に前提が崩れます。

毛髪・虫・金属という異物混入の経路別に分ける予防措置と検出工程

異物混入の対策は、検出装置の導入から入ると費用のわりに効果が出にくい。混入経路ごとに、発生源を減らす措置と侵入を防ぐ措置と取り除く措置を分けて考えます。

発生源対策と侵入防止と除去の三段で毛髪混入を止める費用の順序

毛髪は、発生源が人である以上ゼロにはできません。効果と費用の比で並べると、着帽方法の統一とインナーキャップの徹底が最も安く効き、次に入室手順の一方通行化、そのあとにエアシャワーの増設が来ます。クレームが出た工場で最初に確認すべきは、検査工程ではなく更衣室です。

作業着の洗濯の管理も効きます。自宅洗濯を許容していると繊維の脱落や持ち込みを管理できないため、持ち込み由来の異物が続くなら洗濯の外部委託は検討に値します。

年2回以上の駆除と記録1年間保存という条文要件とIPMの選択肢

別表第17の第5号は、施設とその周囲の維持管理でねずみと昆虫の繁殖場所を排除したうえで、1年に2回以上の駆除作業を実施し、その記録を1年間保存することを定めています。殺そ剤や殺虫剤を使う場合は食品等を汚染しないよう取扱いに注意する、という条件も同じ号に置かれている。

ただし逃げ道があります。発生場所・生息場所・侵入経路・被害の状況を定期に統一的に調査し、その結果に基づいて必要な措置を講じる方法であれば、施設の状況に応じた方法と頻度で実施してよい。これが総合的有害生物管理(IPM)の考え方です。年2回の一斉散布を惰性で続けるより、毎月のトラップ調査と捕獲数の推移で判断するほうが薬剤費も効果も改善する工場は多い。移行するなら、調査の定期性と統一性を記録で示せる形にしてからにしてください。

金属検出機とX線検査機を入れる前に決めておく感度と排除の基準

金属検出機やX線検査機は、混入を防ぐ装置ではなく、混入した製品を出荷させない装置です。導入前に決めるのは、検出感度の寸法、テストピースによる作動確認の頻度、検出品の隔離とどこまで遡って再検査するかの3点になります。

感度を上げすぎると、正常品の排除が増えて現場が装置を止めます。止めた記録は残らないため、実態が見えなくなる。感度は歩留まりと安全性の折り合いで決め、根拠を文書に残すほうが安全側です。作動確認は始業時と終業時の2回を最低ラインとし、製品切替時も加えます。

清掃点検記録が続く帳票設計と、逸脱が出た日に残す処置記録の書式

記録は作ることより続けるほうが難しい。続かない帳票には共通の特徴があります。

点検表の項目数を絞り込む判断と、判定基準を数値で書き切る書式

日次点検表の項目が30を超えると、現場は始業前にまとめてチェックを入れます。判定に時間がかかる項目は週次・月次へ落とし、日次には「見れば5秒で判定できる項目」だけを残してください。目安は日次15項目以内です。

判定基準は数値か写真で書きます。「清潔であること」ではなく「排水口に残渣が無いこと」のように、二値で判定できる文にする。曖昧な項目は点検者で結果が変わり、記録として使えません。

逸脱を記録しても叱責しない運用へ変える是正処置欄の5列の設計方法

逸脱を書くと怒られる職場では、点検表から逸脱が消えます。消えた逸脱は改善につながらず、監査で他の証跡と矛盾すれば記録全体の信頼性を失う。是正処置欄は「誰が悪いか」でなく「何をしたか」を書く欄にしてください。

用意する列は、逸脱の内容、影響を受けた製品の範囲、実施した処置、変えた手順、確認者の5つ。このうち「影響を受けた製品の範囲」を必ず書かせるのが肝で、書く習慣があるとロット単位の追跡がその場で行われます。追跡記録の設計はトレーサビリティの意味と2種類の追跡、法制度とシステム化の判断で扱っています。

紙とエクセルのままで足りる条件と、電子化に踏み切る判断ライン

紙とエクセルで足りると言い切れるのは、次の3条件がそろう場合です。工場が1拠点であること、日次帳票の枚数が10枚以内であること、取引先監査での記録提出が年1回以下であること。この範囲なら、電子化の費用に見合う効果は出にくい。

踏み切る判断は、次のいずれかに当たったときです。2拠点目が立ち上がって様式がばらついた、監査や自主回収で過去記録の検索に半日以上かかった、温度記録の転記ミスが年に数回出ている。製品としてのHACCP対応システムの機能要件や費用感はHACCPシステムの機能要件と選び方、受託開発の判断にまとめています。

複数工場へ展開するときに標準化する範囲と、現場に残す裁量の線引き

2拠点目からが本番です。本部が一律の手順書を配ると、現場は合わない手順を形だけ写します。標準化する対象としない対象を先に分けてください。

標準化するのは帳票と判定基準、標準化しないのは設備固有の手順

全社統一にすべきは、帳票の様式、判定基準の書き方、逸脱時のエスカレーション先、教育訓練の到達目標の4つです。設備ごとの分解手順、薬剤の希釈濃度と接触時間、清掃の実施時間帯は、機種と稼働条件が違う以上、工場ごとに決めさせるほうが精度が上がります。

言い切ると「同じ様式の帳票に、工場ごとに違う手順の結果を書く」になります。様式が同じなら本部は横並びで比較でき、手順が現場ごとなら実行可能性が保てる。逆に手順まで統一して様式を各工場任せにすると、比較もできず実行もされません。

2025年6月完全施行のポジティブリスト制度で変わった受入時の確認

食品に直接接触する合成樹脂製の器具・容器包装は、リスト収載の物質のみ使用できるポジティブリスト制度の対象です。2020年6月1日の施行後、2025年5月31日までが経過措置期間とされ、2025年6月1日から完全施行されました。所管は消費者庁で、食品衛生基準行政は2024年4月1日に厚生労働省から移管されています。

実務で変わったのは、包材やコンベアベルト、手袋などの受入時に、供給者から適合性の確認情報を入手して保管する作業が加わった点です。多工場展開ではここが崩れやすい。調達が工場ごとだと、同じ品目で確認書のある工場と無い工場が生まれます。適合確認の情報は本部の資材マスタで一元管理し、各工場は受入時に品目コードで照合するだけにするのが現実的です。

工場ごとの衛生レベル差を横並びで比較するための月次指標5つの決め方

拠点が増えたら指標で比較します。使えるのは、日次点検表の記入率、逸脱の発生件数と是正完了までの日数、拭き取り検査の合格率、防そ防虫トラップの捕獲数、教育訓練の受講率の5つです。件数そのものより、逸脱が極端に少ない工場を疑ってください。書いていないだけの可能性が高い。

月次で並べると、工場間の差が設備由来か運用由来かが見えます。捕獲数だけ高い工場は建屋の構造問題、記入率だけ低い工場は帳票が現場に合っていない、という切り分けができる。指標は5つ程度に絞り、増やさないでください。

生産管理・品質管理システムと衛生記録を1つの器に寄せる統合の判断

衛生記録だけを独立したシステムに載せると、ロット情報の手転記が残ります。既存の基幹システムとの境界を決めてから製品を選んでください。

ロット情報を生産管理側に置き、衛生記録から参照する構成の理由

製造ロット、原材料の入荷ロット、工程実績、設備の稼働記録は生産管理システム側に持たせ、衛生記録からはロット番号で参照する構成が扱いやすい。更新の頻度と責任者が違うためです。ロットは生産管理部門、衛生記録は品質保証部門が持つ。同じデータを両方で抱えると、必ずどちらかが古くなります。

生産管理システムの守備範囲とERP・MESとの役割分担は生産管理システムの機能とERP・MESとの違い、選び方で整理しています。既に生産管理システムが入っている工場なら、衛生記録側は参照に徹する設計にするだけで転記作業が消えます。

検査記録と衛生記録が重複する箇所を1本化するときの入力の設計

製品検査の記録と衛生管理の記録は、温度や外観の項目で重なります。重複を放置すると同じ値を2回入力することになり、食い違ったときにどちらが正か判断できません。原則は、測定した現場で1回だけ入力し、他方は参照することです。

品質保証の側で検査記録・不適合管理をどう設計するかは品質管理システムの機能・種類と選び方の整理にまとめています。衛生記録と検査記録のどちらを主にするかは、監査の頻度が高いほうを主に置くと運用が安定します。

受託開発に踏み切ってよい条件と、見送るべき規模の具体的な線引き

結論から書きます。受託開発を選んでよいのは、既存の生産管理システムとロット単位で連携する必要があり、かつ製造ラインの温度計や殺菌機から自動でデータを取り込みたい場合です。温度そのものの基準値と記録の様式については、HACCPの温度管理の基準値と記録頻度、IoT自動記録への移行判断を参照してください。この2つが重なるとパッケージでは収まらず、連携部分の作り込みが避けられません。多品種少量で製品ごとに点検項目が変わる工場も開発側に寄ります。

逆に見送るべきなのは、1拠点で帳票が10枚以内、ロット連携の要求が無く、記録が紙で回っている場合です。この規模では投資額に対して削減できる工数が釣り合いません。まず帳票の整理と判定基準の明文化を済ませ、それでも回らない箇所だけを対象にすべきです。要件が固まった段階なら、ロット・工程実績と衛生記録を同じ器で扱う設計を含めて生産管理システムの受託開発で対応できます。

よくある質問

食品工場の衛生管理について、現場から挙がることの多い質問を5つ取り上げます。

食品工場の衛生管理は何から始めればよいですか?

別表第17の14項目と、自社の作業手順書・帳票との対応表を作るところから始めてください。14の号を左列に並べ、右列に手順書名と帳票名を書き込むだけの表で構いません。空欄の号が着手すべき箇所で、埋まっていても判定基準が数値で書かれていなければ空欄と同じ扱いにします。

食品工場で5Sと食品衛生7Sはどちらを採用すべきですか?

食品を扱う区画では食品衛生7Sを採用してください。7Sは2006年にNPO法人食品安全ネットワークが提唱したもので、工業の5Sに洗浄と殺菌を加え、清潔の到達点を微生物レベルに置いた点が違います。ただし名称を変えるだけでは意味がなく、合否を数値で判定する仕組みまで用意して初めて機能する。事務所や倉庫は5Sのままで構いません。

一般衛生管理とHACCPはどう違うのですか?

食品衛生法施行規則の第66条の2で、第1項の別表第17が一般衛生管理、第2項の別表第18がHACCPに沿った衛生管理として分かれています。前者は施設・設備・人・水・そ族昆虫といった前提条件を整える基準、後者は製品と工程ごとに危害要因を分析して管理点を決める手法です。一般衛生管理が土台で、そこで抑え込める危害要因はプランに持ち込まないのが原則になります。

ねずみや昆虫の駆除は年に何回すればよいですか?

別表第17の第5号は1年に2回以上の駆除作業と、その実施記録の1年間保存を定めています。ただし、発生場所・生息場所・侵入経路・被害の状況を定期に統一的に調査し、結果に基づいて必要な措置を講じる方法であれば、施設の状況に応じた頻度で実施できます。これが総合的有害生物管理(IPM)です。

衛生管理の記録は紙のままでも問題ありませんか?

1拠点で日次帳票が10枚以内、取引先監査での記録提出が年1回以下なら、紙とエクセルで足ります。法令が電子化を義務づけているわけではありません。判断が変わるのは、2拠点目で様式がばらついたとき、過去記録の検索に半日以上かかったとき、転記ミスが年に数回出ているときです。

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