個人情報漏えい件数の推移をグラフで解説|最新データと過去最多(約1.9万件)

「個人情報の漏えいは実際どれくらい起きているのか」をグラフと数字で確認したい方に向けて、個人情報保護委員会の年次報告をもとに件数の推移を整理しました。最新の令和7年度(2025年度)は、民間事業者からの漏えい等報告が17,139件。前年度から約1割減りましたが、過去最多だった令和6年度(19,056件)に次ぐ高い水準です。件数がこの規模まで膨らんだ原因、近年の大規模な事例、企業と個人が今すべき対策までをまとめます。

まとめ:個人情報漏えい件数の要点

  • 最新の令和7年度(2025年度)は、民間事業者からの漏えい等報告が17,139件。前年度比で約1割減ったが依然高水準。
  • 過去最多は令和6年度(2024年度)の19,056件で、記録はこの年度のまま。
  • 件数の最多原因は誤交付・誤送付・誤廃棄・紛失といったヒューマンエラー。委託先経由では不正アクセスが最多。
  • 2022年4月の報告義務化で、これまで表に出なかった小規模事案まで集計されるようになった点も件数増の一因。
  • 件数は「漏えい等事案の件数」であり、漏えいした人数ではない。1件で数百万人分が流出することもある。

個人情報漏えい件数の推移(最新グラフ・データ)

個人情報保護委員会の年次報告によると、民間事業者からの漏えい等報告の処理件数は年度ごとに次のように推移しています。報告が法律で義務化されたのは2022年4月(改正個人情報保護法の施行)で、令和4年度がその初年度にあたります。

年度 民間事業者からの報告件数 前年度比
令和4年度(2022年度) 7,685件 報告義務化の初年度
令和5年度(2023年度) 12,120件 約+58%
令和6年度(2024年度) 19,056件 +57%(過去最多)
令和7年度(2025年度) 17,139件 約-10%(最新)

件数は令和6年度にピークを迎え、令和7年度は減少に転じました。ただし単年度の増減は、大規模な不正アクセス事案が1件あるかどうかでも大きく振れるため、1年の上下だけで傾向を判断するのは早計です。義務化以降の3年間で見れば、7,685件から1万件台後半へと水準が切り上がっています。

下のグラフは、報告義務化前を含む2019年から2023年までの漏えい件数の推移を示したものです。義務化前は任意報告のため単純比較はできませんが、右肩上がりの傾向がはっきり読み取れます。

2019年から2023年までの個人情報漏えい件数の推移グラフ

注意したいのは、この件数が「漏えい等事案の件数」であって、漏えいした個人の人数ではない点です。1件の不正アクセスで数百万人分が流出することもあり、影響人数は件数をはるかに上回ります。件数と人数は別物として読み分ける必要があります。

個人情報漏えい件数が高水準で推移する主な原因

件数の増加は「サイバー攻撃が激化したから」だけでは説明できません。原因の内訳を見ると、実像はもう少し地味で、対策の優先順位も変わってきます。

最多の原因はヒューマンエラー(誤交付・誤送付・誤廃棄)

年次報告で件数の最も多い原因は、宛先を間違えたメール送信、書類の誤送付・誤交付、記録媒体の紛失といったヒューマンエラーです。事業者本体からの報告に限ると、その大半が誤交付・誤送付・誤廃棄で占められています。派手なハッキングよりも、日常業務の取り違えのほうが件数を押し上げているのが実態です。したがって、まず効くのは高価なセキュリティ製品よりも、送信前確認や宛先チェックといった運用ルールの徹底になります。

委託先経由では不正アクセスが最多

一方で、委託先を経由した漏えいでは不正アクセスが最多の原因です。自社の対策が万全でも、業務を委託したシステム開発会社やクラウド事業者が侵害されれば、そこから顧客情報が流出します。委託元には委託先を監督する責任があり、契約時のセキュリティ要件の明記と定期的な確認が欠かせません。件数増の裏には、こうしたサプライチェーン経由のリスク拡大があります。

報告義務化で「見える化」された件数(数字の読み方)

2022年4月の改正個人情報保護法で、一定の漏えい等が起きた際の委員会への報告と本人への通知が義務づけられました。それ以前は任意報告だったため、実際には起きていた小規模な事案が統計に載っていませんでした。近年の高水準は、攻撃の増加に加えて「これまで報告されていなかった事案まで数えるようになった」制度要因も大きい、という読み方が必要です。件数の絶対水準に驚くよりも、原因別の内訳から自社に効く対策を選ぶほうが実践的です。

件数を押し上げた近年の大規模な漏えい事例

件数の統計を具体的なイメージに落とすため、実際に報告された近年の事案を挙げます。いずれも不正アクセスを起点に、影響が数万〜数百万人規模に及んだケースです。

これらはいずれも「件数」としては数件でも、影響を受けた人数の合計は年間の件数統計とは別の重みを持ちます。件数の推移とあわせて、1件あたりの影響規模も見ておくべきです。

個人情報漏えいを防ぐための対策

原因の内訳から導かれる対策は、企業と個人で優先順位が異なります。網羅的に並べるより、件数の実態に効く順に整理します。

企業が取るべき対策

件数の最多原因がヒューマンエラーである以上、最優先は運用面の仕組み化です。メール送信時の宛先・添付確認、書類やUSBの持ち出しルール、退職者のアクセス権即時停止といった基本動作を、個人の注意力ではなく仕組みで担保します。宛先の外部ドメイン警告や送信保留の機能を使えば、誤送信の多くは送る前に止められます。

そのうえで、委託先のセキュリティ要件を契約に明記し、アクセス権限を業務上必要な範囲に絞り、重要データは暗号化します。制度面では、漏えい時の報告・通知義務を前提に、あらかじめ対応手順を決めておくことが被害拡大の防止に直結します。個人情報の扱いの基礎は個人情報保護法とはで確認できます。

個人が実践する対策

利用者側でできることは限られますが、被害の入口を塞ぐ効果はあります。サービスごとに異なるパスワードを使い、二要素認証を有効にしておけば、どこかで情報が流出しても連鎖的なアカウント乗っ取りを防げます。心当たりのない本人確認メールやリンクは開かず、ブックマークした正規URLや公式アプリからアクセスすれば、偽サイトでの入力を避けられます。利用中のサービスから漏えいの通知が届いた場合は、案内に沿ってパスワード変更やカード再発行など指定された対応を早めに行います。

万一漏えいが起きたときの対応(報告義務)

漏えいが発生した事業者には、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が法律で義務づけられています。要配慮個人情報や不正アクセスによる漏えいなど一定の類型では、速報と確報の二段階で報告する必要があります。実務では、発生箇所の特定とアクセス遮断、影響範囲の調査、対象者への通知、再発防止策の策定を並行して進めます。日頃から連絡体制と報告様式を準備しておくと、義務化された期限内の対応が現実的になります。

よくある質問

個人情報漏えい件数は最新で何件ですか?

個人情報保護委員会の令和7年度年次報告(2026年7月公表)によると、民間事業者からの漏えい等報告は17,139件です。行政機関等の2,278件を含めると官民あわせて19,417件で、前年度から7.6%減りました。ただし過去最多は令和6年度(民間19,056件)で、記録はこの年度のままです。

個人情報漏えいが増えている原因は何ですか?

件数の最多原因は、誤送付・誤交付・紛失などのヒューマンエラーです。加えて、委託先経由の不正アクセスの増加と、2022年4月の報告義務化でこれまで表に出なかった事案まで集計されるようになったことが重なっています。

個人情報漏えいとは何を指しますか?

保有する個人データが外部に流出したり、第三者に不正に閲覧・取得されたりすることを指します。メール誤送信のような小規模な事案から、不正アクセスによる大量流出まで幅広く含まれ、一定の類型は委員会への報告対象になります。

件数と漏えいした人数は同じですか?

異なります。統計上の件数は「事案の件数」であり、漏えいした個人の人数ではありません。1件で数百万人分が流出することもあるため、影響人数は件数を大きく上回ります。

漏えいが起きたら報告義務はありますか?

あります。改正個人情報保護法により、一定の漏えい等が発生した場合は個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務づけられています。不正アクセスによる漏えいなどは速報・確報の二段階で報告します。

関連記事

資料請求

RELATED POSTS 関連記事