標準時間を決めたのに計画が現実と合わない、という相談の多くは、設定手法の選び方ではなく決めたあとの扱いに原因があります。JIS Z 8141:2022は標準時間を「適性をもち習熟した作業者が、所定の作業条件の下で、必要な余裕をもち、正常な作業ペースによって仕事を遂行するために必要とされる時間」と定義しています(5502)。この一語ずつが、実測値をそのまま使えない理由を示しています。本記事では、正味時間と余裕時間への分解、四つの設定手法の選び分け、レイティング係数の当て方、余裕率の分母の置き方、達成率で改訂の要否を判断する運用、工程マスタへ適用開始日つきで持たせる設計までを判断基準の形で整理します。
まとめ:標準時間は設定手法より改訂の仕組みで精度が決まる
手法の優劣を比べる前に、改訂の契機と権限を決めてください。時間研究で精密に測っても、工程が変わったときに更新されなければ半年で使えない数字になります。逆に実績の中央値という粗い値でも、毎月更新されていれば計画は回ります。
手法の選択は、品目数・繰り返し性・設計変更の頻度という三つの条件で機械的に決まります。繰り返し生産で品目数が数十なら時間研究、作業前に見積もりが要るならPTS法、類似品が多いなら標準時間資料法、実績が三か月以上たまっているなら実績資料法。決めた値は上書きせず、適用開始日つきの履歴として工程マスタに持たせてください。上書きすると、過去の負荷計算と原価計算がどの値で走ったのか再現できなくなります。一品一様で月内に設計が変わる現場なら、整備そのものを見送り実績中央値で回す判断が正解です。
標準時間の定義と構成|JIS Z 8141が示す正味時間と余裕時間の切り分け
標準時間という言葉は現場ごとに指す範囲が違います。規格の定義に戻り、何を含み何を含まないかを固定します。
標準時間の定義|適性と習熟を前提に置く正常な作業ペースの意味
JIS Z 8141:2022の5502は、標準時間を「その仕事に適性をもち、習熟した作業者が、所定の作業条件の下で、必要な余裕をもち、正常な作業ペースによって仕事を遂行するために必要とされる時間」と定義します。ここには四つの前提が埋め込まれています。適性、習熟、定まった作業条件、正常なペース。
この四つが崩れた場面で測った時間は、標準時間になりません。入って三か月の作業者を測れば習熟の前提が外れ、治具の位置が日によって違えば作業条件の前提が外れる。標準時間の設定より先に作業方法を固定する必要があるのは、この定義の順序によります。規格でも作業研究(5102)は「実現し得る最善の作業方法である標準作業の決定」と「標準時間を求めること」の両方を含む体系として置かれています。方法が定まらないうちに時間だけを測る作業は、順序が逆になっている状態です。
正味時間と余裕時間の境目|主体作業・準備段取作業と余裕の分け方
標準時間は、正味時間と余裕時間の合計です。正味時間(5503)は「主体作業、及び準備段取作業を遂行するために直接必要な時間」で、余裕時間(5504)は「作業を遂行するために必要と認められる遅れの時間」。前者は作業そのもの、後者は避けられない中断と読むと切り分けが速くなります。
境目で迷いやすいのが段取り替えです。品種切り替えのための準備と試し加工は準備段取作業(5106)にあたり、正味時間の側。一方、工具が見つからず探した五分は余裕(5108)です。段取り時間を余裕へ押し込むと、段取り替えの多いラインで標準時間が実態から離れていきます。切り分けの基準は「品目や数量に比例して発生するか」に置くと安定するでしょう。比例するなら正味時間、不規則に発生するなら余裕です。
実績時間との違い|平均を取っただけでは標準時間にならない三つの理由
日報に残る実績時間を平均すれば標準時間になる、という近道は使えません。理由は三つあります。第一に、実績には作業者ごとの速さの差がそのまま入る。第二に異常値が混ざり、設備が止まった日や材料待ちの日を平均に含めれば標準時間は水増しされます。第三に、余裕がどれだけ含まれているのか判別できません。
ただし、実績が使えないという意味ではありません。異常値を除き、作業者の速さを補正すれば、実績は有力な材料になります。標準時間を持たない状態で工程管理を始めるなら、予定時間を実測の平均に置いて走らせるほうが立ち上がりは速い。予定時間を標準時間と実測平均のどちらで持つかという判断は、工程管理の見える化で予定と実績をそろえる設計の側で整理しています。本記事は一段進んで、標準時間そのものを設定する場合の手順を扱います。
標準時間を設定する四つの手法|時間研究・PTS法・資料法の適用条件の違い
設定手法は大きく四つです。どれが優れているかではなく、どの条件で成立するかで選びます。
四手法の比較|精度・整備工数・着手前に設定できるかで並べた対照表
四手法を、実務で選択を分ける三つの軸で並べます。とくに「作業を始める前に設定できるか」は、新製品の見積もりを出す現場で選択を絞り込む条件です。
| 手法 | 測り方 | 整備の重さ | 着手前の設定 | 向く条件 |
|---|---|---|---|---|
| 時間研究(5204) | 要素作業に分けて実測 | 重い | できない | 繰り返し生産・品目数が少ない |
| PTS法(5205) | 基本動作の時間値を合成 | 初期は重い | できる | 短サイクルの人手作業 |
| 標準時間資料法(5506) | 過去データを式や表に整理 | 中 | できる | 類似品が多い多品種 |
| 実績資料法 | 実績を集計して代表値を出す | 軽い | できない | 実績が三か月以上ある |
PTS法(5205)は「人間の作業を基本動作に分解し、あらかじめ決められた基本時間値から作業時間を見積もる方法」と定義され、代表的な体系にMTM法とWF法があります。ストップウォッチを使わないため観測者による差が出ず、作業前に見積もれます。反面、基本動作への分解には訓練が要り、機械の加工時間が支配的な工程には向きません。標準時間資料法(5506)は過去の作業時間データを数式や図表に整理して設定する方法で、寸法や個数を変数にした式を一度作れば、類似品の値を計算で出せます。
手法の選び分け|品目数と繰り返し性と設計変更の頻度で決める判断軸
選択は次の順で決めます。第一に、その作業が繰り返されるかどうか。年に一度しか作らない製品を実測しても、次に使う前に条件が変わります。第二に品目数で、数十なら実測が現実的、数百を超えると全数の実測は初期整備だけで数か月を要します。第三に設計変更の頻度。変更のたびに測り直す前提なら、変数を持つ標準時間資料法へ寄せたほうが維持できます。
実務での落としどころは、単一の手法で全品目を覆わない形です。全体工数の大半を占める上位2割だけを時間研究で押さえ、残りは類似品の資料法か実績の代表値で埋めます。新規受注の見積もりだけPTS法という併用も成り立つ。どの品目がどの手法の値かをマスタ側に記録しておくと、後の改訂で効いてきます。
実測を選ぶべきでない工程も条件で言い切れます。段取り替えが作業時間の半分以上を占める工程は、内容が品種の組み合わせで変わるため単一の標準時間にできません。組み合わせごとの段取り時間表を別に持ち、加工時間と分けます。機械の加工時間が支配的な工程も対象外で、設備の能力値がそのまま標準時間になります。
時間研究で実測する手順|観測回数の決め方とレイティングによる補正の工程
四手法のうち現場で最も多く選ばれるのが時間研究です。手順は単純ですが、飛ばされやすい工程が一つあります。
観測から代表値を出すまでの手順|要素作業への分割と外れ値の扱い
時間研究(5204)は「作業を要素作業又は単位作業に分割し、その分割した作業を遂行するのに要する時間を測定する手法」です。進め方は五段階に分かれます。
- 作業方法を固定し、標準作業として文書化する
- 単位作業(5109)から要素作業(5110)へ分割し、区切りの目印を決める
- 要素ごとに複数回観測し、観測時間を記録する
- 異常値を除いて代表値を決める
- レイティング係数を掛けて正味時間へ直す
区切りの目印は、音や動作の終わりなど誰が見ても同じ瞬間に取れるものを選びます。「部品を掴んだとき」では観測者ごとにずれる。観測回数は、要素作業のばらつきが小さければ十回前後、大きい工程では二十回以上必要になることもあるでしょう。代表値は平均より中央値のほうが外れ値に強く、材料待ちや呼び出しで中断した回は理由を記録して計算から外します。除外が三割を超えるなら、それは異常値ではなく作業条件が定まっていない兆候です。
レイティング係数の当て方|観測した人の速さを基準の速さへそろえる補正
飛ばされやすいのがこの工程です。レイティング(5508)は「時間観測時の作業速度を基準とする作業速度と比較・評価し、レイティング係数によって観測時間の代表値を正味時間に修正する一連の手続」と定義されます。式は単純で、正味時間=観測時間×レイティング係数、レイティング係数=基準とする作業ペース÷観測作業ペースです。
基準より速い人を観測した場合、係数は1を超えます。観測時間8分の作業をベテランが基準の1.25倍の速さで行っていたなら、正味時間は8×1.25で10分。この補正を飛ばすと、出来上がるのは標準時間ではなく「その人の時間」です。新人が同じ作業を12分でこなしても達成率が低いと判定され、計画は常に遅れる前提で組まれてしまう。評定には熟練が要り、評定者による差も出ます。基準の作業を映像で残し、複数人で評定して差を確認すると揃えられます。
余裕率の置き方|余裕の分類と正味時間への掛け方で変わる標準時間の値
正味時間が出たら余裕を加えます。ここでの決め方が、現場の納得感を左右します。
余裕の分類と率の目安|作業・職場・用達・疲労で性質が違う遅れ
余裕(5108)は「不規則的・偶発的に発生する必要な行動で、作業を遂行する上での避けられない遅れ」と定義されます。実務では性質ごとに四つに分けて積み上げます。
- 作業余裕:工具の調整や切粉の除去など不規則な中断
- 職場余裕:朝礼、材料の受け渡し待ちなど職場運営に伴う中断
- 用達余裕:水分補給や手洗いなど生理的な中断
- 疲労余裕:作業強度に応じた回復のための時間
一般に示される目安は、作業余裕・職場余裕・用達余裕がそれぞれ数パーセント、疲労余裕は作業強度によって幅が大きく一割から三割程度とされます。ただし現場の条件で変わる数値のため、稼働分析(5209)で実際の中断時間の構成比を測ってから置くほうが説明できます。とくに動くのが疲労余裕で、重量物の有無と作業姿勢によって幅が出る。座り作業と重量物の持ち上げに同じ率を当てれば、片方は緩く、もう片方は厳しくなります。
余裕率の分母をどちらに置くか|正味時間基準と標準時間基準で生じる差
同じ「余裕率20パーセント」でも、分母の置き方で結果が変わります。正味時間を分母に置くなら標準時間=正味時間×(1+余裕率)で、正味時間10分は12.0分。標準時間を分母に置くなら標準時間=正味時間÷(1-余裕率)となり、同じ10分が12.5分です。差は0.5分、比率にして約4パーセント。一件では小さく見えますが、月産一万個の工程なら5,000分、およそ83時間の差になります。
どちらが正しいという話ではありません。社内で定義を一つに固定し、マスタの項目名にも明記します。過去の標準時間と新しい標準時間で分母の定義が違うと、工程間で達成率が比較できなくなります。引き継いだ担当者が最初に確認すべきなのは、余裕率の値ではなく分母の定義のほうです。
標準時間の精度検証と改訂|達成率の分布で更新の要否を判断する運用の型
設定した標準時間は、放っておくと現実から離れます。離れ方には型があり、型が分かれば改訂の対象を絞れます。
達成率の測り方|実績を標準で割った比率の分布から読み取る三つの型
検証の指標は達成率です。実績時間を標準時間で割った比率を、品目と工程ごとに一定期間ぶん集めます。平均値だけを見ると、速い工程と遅い工程が打ち消し合って何も分かりません。見るのは分布の形です。
読み取れる型は三つあります。分布の山が1.0から大きくずれて片側に寄っているなら、標準時間そのものの水準がずれています。山の位置は1.0付近なのに裾が広いなら、作業方法が固定されていないか作業者間の差が残っている状態です。山が二つに割れているなら、同じ品目コードで実際には別の作業が行われている可能性が高く、段取りの有無や治具の違いが原因です。この場合はマスタの分割が先で、標準時間の修正は後。実績の収集が遅れている現場では、そもそも分布が信用できません。実績をどこで取るかの設計は工程管理と進捗管理の役割分担の側で整理しています。
改訂の契機と周期|工程変更・設備更新・年次見直しで動かす更新規則
改訂の引き金は三つ決めておきます。第一に工程変更。作業手順書が改訂されたら、対象品目の標準時間も同時に見直す規則にします。第二に設備更新で、加工時間が変わるため稟議に再設定を工程として含める。第三に定期の見直しで、年次または半期に一度、達成率が範囲を外れた品目だけを対象にします。全品目を毎年測り直す必要はありません。
権限も併せて決めます。設定と改訂は計画側と現場側の双方の判断材料になるため、どちらか一方に置くと片側の都合で動く。申請は現場から、承認は生産技術という流れが実務では回りやすい形です。履歴には、いつ・誰が・どの手法で・なぜ変えたかを残します。この記録がないと、次の改訂で同じ議論を最初からやり直すことになります。
標準時間をシステムへ持たせる設計|マスタの粒度と適用開始日の履歴管理
ここからはIE手法の解説では扱われない領域です。決めた標準時間をどの粒度で持たせるか。設計を誤ると、改訂のたびに過去のデータが壊れます。
持たせる粒度の判断|品目・工程・設備・作業者をどこまで分けるか
キーの候補は、品目・工程・設備・作業者の四つです。最小構成は品目×工程の二軸で、これで負荷計算と原価計算の大半は成立します。設備を軸に加えるのは、同じ工程に能力の違う設備が並び、どちらに流すかで所要時間が変わる場合です。三軸にすると行数が設備台数ぶん増えるため、能力差が一割程度なら二軸のままで構いません。
作業者を軸に加えるのは勧めません。標準時間の定義(5502)が「習熟した作業者」を前提に置いている以上、作業者別の値は実績の分析対象です。差は達成率の側で見るのが筋で、マスタに持たせると改訂の手間が人数倍に膨らみます。人と案件の単位で時間を管理したいなら守備範囲が違い、その仕組みは工数管理システムの機能と選び方の側の話題になります。
上書き更新が過去を壊す|適用開始日を持つ履歴型でマスタを設計する
最も多い設計の誤りが、標準時間を1レコード1値で持ち、改訂のたびに上書きする形です。これでは、先月の負荷計算と昨年度の標準原価がどの値で走ったのかを再現できません。原価差異の分析をしたときに、差異が現場の変動によるものか標準時間の改訂によるものか切り分けられなくなります。
対処は、標準時間を適用開始日つきの履歴として持つ設計です。品目×工程のキーに、適用開始日・標準時間・設定手法・余裕率・改訂理由を一行として積み上げ、参照時は基準日で該当行を選びます。既製パッケージでも履歴を持てる製品はありますが、設定手法や改訂理由まで保持できるかは差があります。導入前に確認したい点は三つ。標準時間に適用開始日を持てるか、過去日を基準に負荷と原価を再計算できるか、改訂の履歴を画面から追えるかです。満たせない場合は、標準原価を扱う仕組みの側で履歴を持つ設計になります。判断の材料としては、原価管理システム開発で扱う標準原価の設計と、既製か自社構築かの選定軸をまとめた工程管理システムの機能と選び方を併せて見ると整理しやすくなります。
負荷計算と原価計算と納期回答への接続|標準時間が効く三つの経路
標準時間を整備する目的は、三つの計算の入力になることです。第一に負荷計算。受注数量に標準時間を掛けて期間軸へ積み上げ、保有能力と重ねる。この山積みと山崩しの手順は工程管理の手法を計画の階層で選ぶ考え方で扱っています。第二に原価計算で、標準時間に賃率を掛けて標準労務費を出し、実績との差を原価差異として分析します。差異の分解と配賦は原価管理システムの機能と原価計算との違いの側です。第三に納期回答で、工程の空き能力を確認する計算に標準時間が入ります。
どれを先に立ち上げるかで、必要な精度が変わります。負荷計算だけなら粗い値でも山の形は見える。原価計算に使うなら賃率を掛けた金額が説明できる水準まで詰め、納期回答ならボトルネック工程の値だけ精度を上げれば足ります。全工程を同じ精度で整備しようとして力尽きる現場が多いため、用途から逆算して優先順位を付けてください。納期回答の設計は工程管理で納期を守る仕組みで詳しく扱っています。
標準時間の整備を見送ってよい現場|実績の中央値で回すという判断の線引き
最後に、整備しないという判断の条件を示します。標準時間は目的ではなく手段で、重すぎるなら別の手段を採ります。
見送る三条件|一品一様・月内の設計変更・改訂が追いつかない品目数
次の三つのいずれかに当てはまるなら、標準時間の全面整備は見送ってください。第一に、受注のたびに仕様が変わる一品一様の生産。同じ作業が繰り返されないため、設定した値の使い道がありません。第二に、月内に設計変更が入る製品が主力の場合で、改訂が追いつかずマスタの値と現物が常にずれる。第三に、品目数が数千を超えていて改訂の担当がいない場合。初期整備を外部の支援で終えても、維持できなければ二年で形骸化します。
見送る場合でも、工程マスタと実績の収集は先に整えます。実績が集まれば、後から標準時間へ移行する道が残るためです。実績がないまま標準時間だけを整備すると、その値が妥当かどうかを検証する材料が手元にありません。順序は実績の収集が先、設定が後になります。
中央値で代替する運用|直近三か月の移動と外れ値の除外で当面をしのぐ
代替として使うのは、直近三か月の実績の中央値です。平均ではなく中央値を採るのは、設備停止や材料待ちを含む回が混ざっても値が引きずられにくいため。月次で直近三か月ぶんの実績を集計し、品目×工程ごとに中央値を取り、翌月の予定時間として使います。件数が五件に満たない品目は、類似品の値を流用します。
この方式の限界も明確です。実績には作業者の速さの差と余裕が区別されないまま含まれるため、原価差異の分析には使えません。改善で作業時間が縮んでも、三か月後には中央値が下がって差が見えなくなる。改善の効果を測る目盛りにはならないということです。改善活動を評価軸に入れる段階が、標準時間へ移行する時期になります。
よくある質問
標準時間の設定と運用について、現場と情報システム部門の双方から多く寄せられる質問に答えます。
標準時間はどうやって決めるのですか?
正味時間と余裕時間に分けて決めます。正味時間は、時間研究で実測してレイティング係数で補正する、PTS法で基本動作の時間値を合成する、標準時間資料法で過去データの式から算出する、実績を集計する、のいずれかで求めます。そこに余裕時間を加えたものが標準時間です。手法の選択は品目数・繰り返し性・設計変更の頻度で決まり、品目数が数十なら実測、多品種なら資料法が現実的でしょう。
標準時間と標準工数は何が違うのですか?
標準時間は一単位の作業に必要な時間で、標準工数はそれに数量と人数を掛けた総量を指すのが一般的な使い分けです。標準時間が0.5時間の工程で100個を1人で流すなら、標準工数は50人時。どちらの単位で値を保持しているかを明記しておかないと、負荷計算で数量を二重に掛ける誤りが起きます。工程マスタの項目名に単位を含めておけば防げます。
余裕率は何パーセントに設定すればよいですか?
一般に示される目安は、作業余裕・職場余裕・用達余裕がそれぞれ数パーセント、疲労余裕が作業強度に応じて一割から三割程度です。ただし目安をそのまま当てず、稼働分析で実際の中断時間の構成比を測って自社の値として置いてください。あわせて、余裕率の分母を正味時間と標準時間のどちらに置くかを社内で一つに固定します。同じ率でも算出される標準時間が数パーセント変わります。
標準時間はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
周期だけで決めず、契機と組み合わせてください。工程変更と設備更新は発生の都度、それ以外は年次または半期に一度、達成率が範囲を外れた品目に絞る形なら維持できます。実績時間を標準時間で割った達成率の分布を月次で見ておくと、どの品目が外れているか先に分かります。
標準時間がない状態で工程管理システムを導入できますか?
導入できます。むしろ実績の収集から始めるほうが立ち上がりは速い。標準時間が一件もない状態で計画を精緻に作っても、根拠のない数字を積み上げることになるためです。最初の数か月は予定時間を置かず実績のみを収集し、集まった実績から予定時間を作る進め方になります。ただし工程マスタと品目マスタは最初に必要で、後回しにすると実績の集計単位が定まりません。
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