無償ストックオプションとは?種類・税金・有償との違いを令和6年度改正対応で解説
無償ストックオプションは、従業員や役員が金銭を払い込まずに自社株を取得できる権利で、税制適格と税制非適格の2種類に分かれます。同じ新株予約権でも、付与時に対価を払い込む有償ストックオプションとは課税も会計も別物です。本記事で扱うのは、無償ストックオプションの仕組みと2つの種類、有償との違い、行使時と売却時にかかる税金、付与・行使・失効の会計処理、そして令和6年度税制改正で変わった権利行使価額の限度額や発行会社による株式管理スキームまで。制度設計の判断軸とあわせて整理しました。読み終えれば、自社がどの類型を選ぶべきかを判断する材料がそろいます。
目次
- 1 無償ストックオプションのまとめ|種類・税金・有償との違いの結論先出し
- 2 無償ストックオプションとは|払込が不要な新株予約権という仕組み
- 3 無償ストックオプションの2種類|税制適格と税制非適格を分ける境界
- 4 有償ストックオプションとの違い|払込の有無が決める課税と会計の分岐
- 5 無償ストックオプションの税金|課税1回の適格と2回の非適格の差
- 6 無償ストックオプションの会計処理|株式報酬費用と損金不算入の扱い
- 7 令和6年度税制改正で変わった無償ストックオプションの設計と発行手続
- 8 無償ストックオプションのメリットと採用を見送るべき企業の条件
- 9 無償ストックオプションに関するよくある質問
- 10 関連記事
無償ストックオプションのまとめ|種類・税金・有償との違いの結論先出し
無償ストックオプションとは、付与時に金銭の払込を求めない新株予約権です。「税制適格」と「税制非適格」の2つに分かれ、要件をすべて満たせば税制適格、1つでも欠ければ税制非適格になります。付与対象者の手取りで見れば、行使時に課税されず売却時の譲渡所得(税率20.315%)だけで完結する税制適格が有利です。税制非適格は行使時に給与所得として最大約55.945%の累進課税がかかり、売却時にも課税される二段構えです。
有償ストックオプションは、対象者が権利の公正価値を払い込んで取得する点で無償型と根本的に異なり、報酬ではなく投資として扱われます。創業者などの大口株主や社外協力者にも付与でき、税制適格の要件を満たさなくても給与課税を避けられるのが特徴です。
制度設計で最初に押さえたい論点は、令和6年度税制改正です。年間の権利行使価額の限度額は会社の区分に応じて最大3,600万円まで引き上げられ、証券会社への保管委託に代えて発行会社自身が株式を管理する方法も認められました。原則は税制適格を満たす設計を軸に据えること。株価上昇が見込みにくい成熟企業では、別の報酬手段も比較します。これが本記事の結論です。以降の章で、その根拠と手順を順に示します。
無償ストックオプションとは|払込が不要な新株予約権という仕組み
無償の意味|付与時に金銭の払込を求めない新株予約権という位置づけ
「無償」とは、付与を受ける従業員や役員が、権利を手にする時点で対価を払い込まなくてよいという意味です。ストックオプションは会社法上の新株予約権の一種で、無償型はこれを職務執行への報酬として無償で割り当てます。会社法第238条が定める新株予約権の発行手続にのっとって付与され、対象者が受け取るのは将来あらかじめ決めた価格で自社株を買える権利だけ。株式そのものを保有するわけではなく、権利を行使して初めて株主になります。現物株式を渡す制度との分かれ目が、ここにあります。
値上がり益が報酬になる仕組み|行使価額と株価の差額が利益になる流れ
無償ストックオプションの経済的な価値は、権利行使価額と将来の株価との差額から生まれます。たとえば行使価額が1株1,000円で、株価が3,000円まで上がった局面で権利を行使すれば、1株あたり2,000円の含み益です。株価が行使価額を下回っていれば、権利を行使する意味はなく、対象者は権利を放棄できます。払込負担なしで上振れだけを狙える設計のため、現金報酬を厚くしにくい成長企業のインセンティブとして広く用いられてきました。
付与から売却までの4段階|付与・ベスティング・権利行使・売却の進み方
無償ストックオプションは、付与、ベスティング(権利確定)、権利行使、株式売却という4段階で進みます。付与は会社が新株予約権を割り当てる段階。ベスティングは「付与から2年勤務で半分が確定」のように、在籍や期間の条件を満たして権利が確定していく段階を指します。権利行使は確定した権利で自社株を取得する段階、売却はその株式を換金して利益を確定する段階です。どの段階で課税が起きるかは税制適格か非適格かで変わり、この違いが手取りを左右します。
無償ストックオプションの2種類|税制適格と税制非適格を分ける境界
税制適格ストックオプション|行使時非課税で売却時に一本化される優遇型
税制適格ストックオプションは、租税特別措置法第29条の2が定める要件をすべて満たした無償型です。最大の利点は、権利行使時の経済的利益への課税が株式売却時まで繰り延べられ、課税のタイミングが1回に絞られる点にあります。売却時には、売却価格と権利行使価額の差額が譲渡所得となり、20.315%の申告分離課税で完結します。行使した時点では現金課税が生じないため、株式を売る前に多額の納税を迫られる事態も起きません。流動性の低い未上場株を扱うスタートアップにとって、この繰延の効果が大きく効いてきます。
税制非適格ストックオプション|要件を欠き行使時に給与課税される類型
税制適格の要件を1つでも満たさない無償ストックオプションは、自動的に税制非適格です。この場合、権利行使時に「権利行使時の株価−権利行使価額」が給与所得として課税されます。さらに注意したいのが、譲渡制限を付さずに無償付与したケースです。対象者がすぐ売却して利益を得られるため、付与の時点で報酬が支払われたとみなされ、付与時に給与課税が生じることがあります。要件設計の甘さが、そのまま重い税負担に直結する類型です。
適格と非適格を分ける主要要件|対象者・行使価額・期間・限度額の境界
税制適格と認められるには、次の要件をすべて満たさなければなりません。1つでも欠ければ非適格となり、優遇は失われます。
- 付与対象者が自社・子会社の取締役、執行役、使用人、または一定の社外高度人材であること(大口株主とその特別関係者は対象外)
- 権利行使価額が、付与契約締結時の1株あたりの時価以上であること
- 権利行使が、付与決議の日後2年を経過した日から10年以内(設立5年未満の非上場会社は15年以内)に行われること
- 1年間に行使できる権利行使価額の合計が、法定の限度額を超えないこと
- 新株予約権そのものを他人へ譲渡しないと定められていること
- 取得した株式を証券会社等に保管委託する、または発行会社が管理する方法をとること
要件は付与時だけでなく、権利行使時(行使価額の年間合計額)や行使後(株式の保管・管理)にも充足が必要です。運用中に不本意に外れて給与課税された事例もあるため、契約書の文言は付与前に一項目ずつ照合しておきます。ストックオプションと他の株式報酬制度との違いは株式報酬制度とストックオプションの定義と制度上の根本的な違いで確認できます。
有償ストックオプションとの違い|払込の有無が決める課税と会計の分岐
対価の有無|無償は負担ゼロ・有償は公正価値を払い込む取得構造の差
無償と有償を分ける一点は、付与時に対象者が対価を払い込むかどうかです。無償型は負担ゼロで権利を受け取れます。有償型は、新株予約権そのものの公正価値をブラック・ショールズ・モデル等で算定し、対象者がその発行価額を自ら払い込んで取得する仕組み。オプション価値が1個あたり数百円から数千円と算定されれば、対象者はその金額を負担して権利を購入します。業績条件などを付して価値を引き下げる設計も可能ですが、その算定には数十万円から百万円超の費用が生じます。
課税と対象者の違い|投資扱いの有償と報酬扱いの無償が分かれる理由
有償ストックオプションは、対象者が時価で購入した有価証券とみなされ、報酬ではなく投資として扱われます。そのため権利行使時には課税されず、売却時の譲渡所得課税20.315%だけで済みます。税制適格の要件を満たさなくても給与課税を避けられる点が、無償の税制非適格との決定的な差です。付与できる相手の幅も広く、税制適格では付与できない創業者などの大口株主や、雇用関係のない社外協力者にも付与できます。半面、対象者に金銭負担を求めるため、心理的なハードルが導入の壁になることもあります。
無償・有償・税制適格の比較一覧|対価と課税タイミングの早見整理
3つの類型を、対価・課税・対象者の軸で並べると違いが明確になります。
| 区分 | 付与時の払込 | 行使時の課税 | 売却時の課税 | 主な対象者 |
|---|---|---|---|---|
| 無償・税制適格 | なし | 課税なし(繰延) | 譲渡所得 20.315% | 役員・従業員・社外高度人材 |
| 無償・税制非適格 | なし | 給与所得 最大約55.945% | 譲渡所得 20.315% | 役員・従業員 等 |
| 有償 | あり(公正価値) | 課税なし | 譲渡所得 20.315% | 役員・従業員・大口株主・社外協力者 |
同じ値上がり益でも、行使時に高い累進課税を受けるのは無償・税制非適格だけです。手取りを最優先するなら、まず無償・税制適格の要件を満たせるかどうかから検討します。
無償ストックオプションの税金|課税1回の適格と2回の非適格の差
税制適格の課税タイミング|行使時非課税と売却時20.315%の一本化
税制適格ストックオプションでは、権利行使時の経済的利益への課税が売却時まで繰り延べられます。課税が起きるのは株式を売却した1回だけで、売却価格と権利行使価額(払込金額)の差額が譲渡所得です。税率は所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%の申告分離課税。給与のように他の所得と合算されないため、利益が大きいほど累進課税との差が手取りに表れます。
税制非適格の課税|行使時の給与所得と売却時の譲渡所得という2回課税
税制非適格ストックオプションは、課税が2回に分かれます。1回目は権利行使時で、権利行使時の株価から権利行使価額を引いた金額が給与所得として総合課税されます。累進税率が適用され、所得税と住民税を合わせて最大で約55.945%です。退職に基因して権利行使できるようになる場合は、退職所得として扱われることもあります。2回目は株式売却時で、売却価格と権利行使時の株価との差額が譲渡所得となり、20.315%の分離課税です。税制適格との差は、この行使時の給与課税の有無に集約されます。
納税資金の落とし穴|株式売却前の行使時点で課税される非適格の負担
税制非適格で実務上もっとも重いのが、株式を売って現金を得る前の行使時点で給与課税が発生する点です。未上場株のように売却機会が限られる場合、対象者は手元に現金がないまま納税資金を別途用意しなければなりません。この負担は見落とされがちです。会計検査院は2025年(令和7年)10月、税制非適格ストックオプションの行使による経済的利益が適正に申告されていない蓋然性が高いとして、財務省に申告審理を改善させる処置を公表しました。行使益の申告漏れは当局も注視しており、対象者への事前説明を省けません。
無償ストックオプションの会計処理|株式報酬費用と損金不算入の扱い
公正価値と本源的価値|上場はBS法評価・未上場は本源的価値の特例
無償ストックオプションは無償で付与しても経済的価値を持つため、会計上は費用計上の対象です。上場企業は、ブラック・ショールズ・モデル等で公正価値(評価単価)を算定し、株数を掛けた総額を権利確定期間にわたって按分します。未上場企業は公正価値の算定が難しく、本源的価値(自社株式の評価額−権利行使価額)だけで処理する特例が認められています。本源的価値で計算する場合、権利行使価額が株式評価額以上なら差額はゼロとなり、費用計上は発生しません。
付与・行使・失効の仕訳|株式報酬費用と新株予約権を計上する3場面
会計処理が必要になるのは、付与・権利行使・失効の3場面です。それぞれの基本的な仕訳は次のとおりです。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 付与時(按分計上) | 株式報酬費用 | 新株予約権 |
| 権利行使時 | 当座預金/新株予約権 | 資本金 等 |
| 失効時 | 新株予約権 | 新株予約権戻入益 |
付与時は、評価額をもとに株式報酬費用を計上し、純資産の部に新株予約権を積みます。実務では、権利行使期間に合わせて費用を複数年へ分割して計上するのが一般的です。失効した分は、計上済みの新株予約権を取り崩し、新株予約権戻入益として収益に戻します。
会計上の2つの注意点|損金不算入と1円SOで生じる費用計上のズレ
会計で見落としやすい論点が2つあります。1つは、会計上の費用計上と法人税法上の損金算入が別物だという点です。税制適格ストックオプションは付与対象者側で給与課税が生じないため、その分は法人側でも損金に算入できません。会計で株式報酬費用を計上しても、法人税の節税にはつながらない場合があります。もう1つは、令和5年の通達改正で認められたセーフハーバー(純資産価額方式による1円に近い行使価額)を使う場合です。会計上の時価が行使価額を上回ると、その差額が株式報酬費用として計上される可能性があり、税務と会計の取り扱いがずれます。発行前に会計士・監査法人へ確認しておくのが安全です。
令和6年度税制改正で変わった無償ストックオプションの設計と発行手続
年間権利行使価額の限度額引上げ|2,400万円・3,600万円への拡大
令和6年度税制改正では、長らく一律1,200万円だった税制適格の年間権利行使価額の限度額が、会社の区分に応じて最大3倍まで引き上げられました。改正は2024年4月1日に施行され、令和6年分以後の所得税に適用されます。区分ごとの上限は次のとおりです。
| 会社区分 | 年間の権利行使価額の限度額 |
|---|---|
| 設立5年未満の株式会社 | 2,400万円 |
| 設立5年以上20年未満で、非上場または上場後5年未満 | 3,600万円 |
| 設立20年以上 等(上記以外) | 1,200万円(据置) |
限度額が広がったことで、株価が大きく成長したレイター期でも、適格扱いのまま厚く付与しやすくなりました。注意したいのは区分の判定です。自社がどの区分かを取り違えると、上限を超えた部分が非適格になります。付与決議の前に区分を確定させておきます。
適格化を後押しする2つの緩和|株式管理スキームと社外人材の拡充
限度額以外にも、適格化のハードルを下げる緩和が2つ入りました。1つは、譲渡制限株式について、証券会社等への保管委託に代えて発行会社自身による株式管理を認めた点です。これにより、保管委託先を確保しにくかった未上場段階でも適格にでき、M&Aによるイグジット時にも、M&A前に権利行使して株式を売却することが適格のまま可能になりました。もう1つは、社外高度人材の範囲拡充です。国家資格・博士の実務経験要件は撤廃され、上場会社の役員経験は3年から1年に短縮、非上場会社の役員経験者や大学の教授・准教授も対象に加わりました。なお、既発行分を改正後の要件へ変更できる経過措置は2024年12月31日で終了しています。今後は新規発行を改正後の要件で設計するのが基本線です。
発行手続の要点|株主総会決議と契約設計で押さえる会社法上の論点
無償ストックオプションの発行は、会社法第238条に基づき、原則として株主総会の特別決議で募集事項を定めます。役員に付与する場合でも、定款や株主総会で報酬としての付与上限が定められていれば、会社法第361条により決議を省略できる場合があります。決議のあとは、付与対象者ごとに行使価額・権利行使期間・ベスティングを定めた割当契約を結ぶ流れです。これらの条件は税制適格性とインセンティブ効果の双方を左右するため、要件を満たしつつ自社の人材戦略に合わせて詰めます。発行枠の考え方や類型ごとの選び方は、ストックオプション制度の発行設計と導入目的の整理もあわせて読むと判断しやすくなります。
無償ストックオプションのメリットと採用を見送るべき企業の条件
主なメリット|資金負担なしの人材確保と在籍条件による定着効果
無償ストックオプションの核心的な利点は、会社が現金を流出させずにインセンティブを設計できる点です。資金に余裕のないスタートアップでも、株価上昇という将来の利益を報酬として示せます。ベスティングで在籍期間の条件を付ければ、権利が確定するまで在籍を促す定着効果も生まれる仕組み。従業員に株式を持たせる手段としては従業員持株会という選択肢もありますが、持株会は給与天引きで本人が資金を拠出する点が異なります。両制度の税務の違いは持株会加入者の確定申告と課税の仕組みで整理しています。
採用を見送るべき企業|株価上昇が見込みにくい成熟企業での機能不全
無償ストックオプションは万能ではありません。株価の上昇が当面見込みにくい成熟企業が大量に付与しても、行使される見込みが薄く、会計上の株式報酬費用だけが残ります。値上がり益を前提とする設計が、自社の成長フェーズと噛み合っていないケースです。譲渡制限を付さずに無償付与すれば付与時に給与課税が生じ、株価が伸びない局面ではメリットだけが消えて課税リスクが残ります。こうした企業では、現金報酬の上積みや、株式を使わないファントムストックのような業績連動報酬を比較したほうが合理的です。流行や横並びで導入を決めず、株価見通しと資金状況を起点に判断します。
信託型に頼らない判断|令和5年見解と令和7年改正で利点が消えた経緯
付与時期や対象者を後から決められる柔軟さから、2010年代後半に多くのスタートアップが信託型ストックオプションを導入しました。譲渡課税だけで済むという理解が広まっていたためです。ところが2023年(令和5年)5月、国税庁はQ&Aで、信託型の行使益は給与所得として課税されるとの見解を示しました。これにより課税繰延のメリットは失われ、導入済み企業は源泉所得税の納税義務を負う事態になりました。さらに令和7年度税制改正(2025年4月1日施行)で、信託を使ったスキームの課税時期が受益者の指定時点を基準とすることが明文化され、同種の節税余地はほぼ閉じられています。今から無償型を設計するなら、信託型に頼らず、税制適格の要件を正面から満たす設計が堅実です。
無償ストックオプションに関するよくある質問
無償ストックオプションを検討する際に問い合わせの多い論点を、5つにまとめて回答します。
無償ストックオプションと有償ストックオプションの違いは何ですか?
違いは、付与時に対象者が対価を払い込むかどうかです。無償型は払込なしで受け取る報酬で、税制非適格に当たれば行使時に給与課税されます。有償型は新株予約権の公正価値を自ら払い込んで取得する投資で、行使時には課税されず売却時の譲渡所得20.315%だけで済みます。創業者などの大口株主や社外協力者にも付与できる点も、有償型ならではの特徴です。
無償ストックオプションの付与は課税対象になりますか?
原則として、付与した時点では課税されません。課税が起きるのは、税制適格なら株式の売却時、税制非適格なら権利行使時と売却時です。ただし例外があり、譲渡制限を付さずに無償付与した場合は、付与時点で報酬が支払われたとみなされ、付与時に給与課税が生じることがあります。付与時の課税を避けるには、譲渡制限を含む契約設計を整えることが前提です。
税制適格と税制非適格ではどちらが有利ですか?
付与を受ける側の手取りで見れば、通常は税制適格が有利です。行使時に課税されず、売却時の譲渡所得20.315%だけで完結します。税制非適格は行使時に最大約55.945%の給与課税がかかり、売却時にも課税される二段構えです。ただし、税制適格は大口株主や社外協力者には使えないため、創業者などへ付与したい場合は有償型も含めて比較します。
無償ストックオプションでも会計処理は必要ですか?
必要です。無償でも経済的価値があるため、付与時に株式報酬費用を計上し、純資産の部へ新株予約権を積みます。評価方法は上場と未上場で分かれ、上場は公正価値、未上場は本源的価値の特例です。未上場で行使価額が株式評価額以上なら、本源的価値はゼロで費用計上が出ないこともあります。権利行使時や失効時にも仕訳が必要です。
上場から5年経つと権利行使価額の限度額は1,200万円に下がりますか?
下がりません。これはよくある誤解です。限度額の区分は「付与決議日」時点の設立年数や上場後の経過年数で判定します。付与決議日に上場後5年未満であれば3,600万円の枠が適用され、その後に上場から5年が経過しても、付与済みのストックオプションの限度額が遡って1,200万円に減額されることはありません。判定の基準日を取り違えないことが、設計上の注意点です。
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