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ストックオプションの平均付与率は何%か|最新調査の発行率と個人の付与割合

ストックオプションの平均付与率は、発行済株式総数に対するSO総数の割合で見ると上場時点で8〜10%前後、スタートアップが株主間契約で設ける発行枠は10〜15%が一般的です。一方で従業員一人あたりの付与割合は上位者でも平均0.3%前後にとどまり、「会社全体の率」と「個人の率」では桁が一つ変わります。本記事では、Coral Capitalやプルータス・コンサルティング、O f Allなど上場企業調査の実数をもとに、発行率の水準と年次推移、役職別の配分目安、希薄化から逆算する適切な付与率の決め方、令和6年度税制改正の影響までを整理します。導入を検討する経営者と、付与を打診された入社検討者の双方が、自分の立場で読むべき数値が分かる構成です。

目次

ストックオプション平均付与率の結論と設計時に外せない判断基準

結論はシンプルです。会社全体の発行率(潜在株比率)は上場時点で8〜10%前後、未上場スタートアップが株主間契約で確保する発行枠は10〜15%が相場です。これに対し、従業員個人の付与割合は保有上位10名でも平均0.34%・中央値0.185%と、会社全体の率より2桁小さくなります。「平均付与率は?」という問いは、この2つのどちらを指すかで答えが変わります。

設計で外せない判断基準は、平均への横並びではなく、希薄化の許容度と将来の資金調達計画から逆算することです。VCが入るスタートアップでは株主間契約の上限が事実上のガードレールになり、令和6年度税制改正で行使限度額が最大3,600万円まで引き上げられたことで、レイター期の付与設計の自由度も変わりました。具体的な数値の根拠と決め方は、以下の各章で順に示します。

会社全体の発行率と個人の付与割合で異なる平均付与率の2つの意味

「平均付与率」という言葉は、二つのまったく異なる数値を指して使われています。検索した人がどちらを求めているかで、見るべき調査も変わります。まずこの区別を押さえてください。

発行済株式総数に対するSO総数の割合で示す会社全体の発行率の定義

会社全体の発行率は、発行済株式総数(または潜在株を含む顕在株数)に対して、発行したストックオプション総数が占める割合です。潜在株比率、SO率とも呼ばれます。たとえば顕在株数1,000万株のうちSOが100万株分なら発行率は10%です。経営者が「自社は何%までSOを出すか」を考えるときの指標がこれにあたります。Coral Capitalの調査でも、SO株数を顕在株数で割った値を「SO率」と定義しています。資本政策やIPO審査、既存株主の希薄化を論じる場面では、ほぼこの会社全体の発行率を指します。

現物拠出の持株会と異なり権利で持つ個人の付与割合の意味と従業員視点

個人の付与割合は、一人の役職員が持つSOが発行済株式総数に占める割合です。従業員が「自分のSOは将来いくらになるか」を試算するときの数値で、会社全体の率を従業員数で割り、職位ごとの傾斜をかけた結果になります。同じ株式インセンティブでも、毎月の給与天引きで現物株を積み立てる従業員持株会とは仕組みが異なり、SOは「将来決まった価格で買える権利」を無償または有償で受け取る点が特徴です。持株会では配当や売却で持株会に加入する会社員の確定申告が論点になりますが、税制適格SOは行使時に課税されず売却時まで繰り延べられます。従業員視点では、付与割合に加えて行使条件と課税タイミングをセットで確認する必要があります。

経営者と入社検討者で参照先が変わる2つの数値の使い分け基準

経営者が制度設計のために参照すべきは会社全体の発行率(8〜10%、上限10〜15%)です。入社検討者やすでに付与された従業員が自分の取り分を見積もるなら、個人の付与割合(上位者で0.3%前後)を参照します。この二つを取り違えると、「平均は10%らしいから自分も10%近くもらえる」といった誤解が生まれます。会社全体の10%を、対象となる数十人から100人超で分け合うのが実態です。問いの主語が「会社」か「個人」かを最初に確定させることが、数値を読み違えない出発点になります。

上場企業の潜在株比率8〜10%とスタートアップ上限15%の実態と推移

会社全体の発行率は、複数の独立した調査でほぼ同じレンジに収れんしています。ここでは上場時点の実数と、近年の低下傾向、未上場フェーズの上限の三点を実データで確認します。

複数調査で9〜10%に収れんする上場時の発行率の水準と算出方法

Coral Capitalが2021年12月に上場した32社を調べた結果、SOを発行していた30社の平均SO率は9.3%でした。プルータス・コンサルティングが2021年の新規上場企業を対象にした調査では、潜在株比率の平均値が9.7%で、これは当時の過去5年間で最大の水準です。最大値はシンプレクス・ホールディングスの27%でした。いずれも算出方法は共通で、IPO申請時の有価証券報告書(Ⅰの部)に残存するSO株数を顕在株数で割って求めています。複数の調査主体が異なる年・異なる集計で9〜10%に着地している点は、この水準が偶然ではないことを示します。

2025年IPO52社で平均8.32%まで低下した潜在株比率の年次推移

直近では発行率がやや低下しています。O f Allの調査によると、2025年に東京証券取引所へIPOした59社のうちSOを発行していた52社の潜在株比率の平均値は8.32%でした。同調査ではグロース市場へIPOした企業の92.5%がIPO前にSOを発行しており、発行そのものは標準的な慣行です。発行率が10%近くから8%台へ動いた背景には、希薄化を嫌う投資家の目線や、限られた発行枠を効率的に配分する設計思想があると考えられます。

調査主体(対象) 平均発行率(潜在株比率)
Coral Capital(2021年12月上場・SO発行30社) 9.3%
プルータス(2021年新規上場) 9.7%(最大27%)
O f All(2025年IPO・東証SO発行52社) 8.32%

年次で並べると、おおむね8〜10%のレンジ内で、近年は下限寄りに動いていると読めます。

株主間契約で10〜15%が上限となるスタートアップ発行枠の相場

未上場のスタートアップでは、VCなどの投資家との株主間契約で、SOの発行上限があらかじめ定められるのが通例です。Coral Capitalの調査者も、一般的な上限は10〜15%との見立てを示しています。10%を発行枠として確保しておき、採用の進捗に応じて段階的に付与していく設計が多く取られます。上場時の発行率8〜10%は、この発行枠を実際に使い切った結果に近い水準です。発行枠が小さすぎるとインセンティブ設計や採用の競争力が落ち、大きすぎると希薄化で既存株主・投資家の理解が得にくくなります。10〜15%という相場は、その綱引きの落としどころと理解すると実務に使えます。

取締役と従業員で差が出る役職別の付与割合と対象人数の目安

会社全体の8〜10%を、誰にどれだけ配るか。ここからは個人レベルの実数を、保有上位者の割合・分布・対象人数の三つの角度で示します。

上位10名で平均0.34%・中央値0.185%となる従業員個人の配分水準

FASTGROWのデータをもとにSOICOがまとめた集計では、過去にIPOした22社について、創業メンバーを除く保有上位10名のSO保有比率は平均0.34%・中央値0.185%でした。上位者でこの水準ですから、一般的な中途入社者の付与割合はこれを下回ります。会社全体で10%を出していても、個人に割り当てられるのは小数点以下のオーダーになるのが普通です。「億万長者になれるか」という問いに対し、確率的には容易でないと結論づけられる根拠が、この個人割合の小ささにあります。

0.2〜0.39%が最多の持分割合分布と1億円到達が10.6%にとどまる実態

O f Allが2024年にIPOした51社の従業員上位10名(延べ510名)を分析したところ、持分割合の分布は次のとおりでした。0.4%未満が全体の73.2%を占め、大半の従業員は1%に遠く及びません。一方で1%以上を持つ人も9.2%存在し、企業や入社時期によって差が大きいことも分かります。公開価格ベースの保有株式価値が1億円以上に達したのは510名中54名、10.6%にとどまりました。

個人の持分割合 該当者の割合(510名中)
1%以上 9.2%
0.4〜0.99% 約17.6%
0.2〜0.39% 27.3%
0.1〜0.19% 23.9%
0.1%未満 22.0%

分布の山は0.2〜0.39%にあり、これが「上位者でも1人あたり0.3%前後」という相場感の実体です。

取締役平均5.1人と従業員102.6人の対象人数差から考える配分設計

個人割合が小さくなる理由は、対象人数の多さにあります。プルータスの集計では、IPO時点で残存するSOの付与対象者は、執行役員・従業員・使用人が平均102.6人(中央値48.0人)と最も多く、取締役は平均5.1人(中央値5.0人)でした。発行枠の10%を、取締役5人と従業員100人前後で分け合う構図です。取締役クラスには一人あたり相対的に厚く、従業員には薄く広く配るのが一般的な傾斜になります。配分設計では、まず役員・幹部に何%を充てるかを決め、残りを従業員数で割り戻して水準を点検する順序が現実的です。

希薄化と株主間契約上限から決める適切な付与率の設計と過大発行の失敗

ここからは判断の章です。平均値は出発点にはなりますが、終着点にはなりません。自社の付与率は、平均ではなく希薄化の許容度から逆算して決めます。

既存株主の希薄化と株価安定性から逆算する発行枠上限の判断基準

適切な発行枠は、次の順序で詰めると過不足が見えます。

  1. IPOまでに採用したい主要ポジションと、それぞれに充てたいSO価値の目安を積み上げる
  2. 積み上げた合計が、想定する上場時時価総額に対して何%の希薄化になるかを試算する
  3. VCとの株主間契約で定めた発行上限(多くは10〜15%)と突き合わせ、超えないかを確認する
  4. 将来の追加調達やセカンダリーでさらに希薄化が進む余地を残し、枠を一括では使い切らない

判断軸は二つに絞れます。既存株主・投資家が許容できる希薄化の範囲と、上場後の株価安定性です。発行率が高いほど権利行使後の株式増加が大きく、1株あたり価値の希薄化が進みます。だからこそ、平均が10%でも、自社の調達計画次第では8%で止める判断も、12%まで出す判断も、どちらも正解になり得ます。

付与決議を柔軟化するストックオプション・プール制度の概要と使い所

近年は、SO・プール制度という設計も実務で検討されています。これは、付与枠(プール)をあらかじめ確保しておき、その範囲内で機動的に付与決議を行えるようにする考え方です。採用のたびに株主総会を開かずに済むため、成長スピードの速いスタートアップで人材獲得の即応性が上がります。使い所は、採用計画が流動的でSOの個別決議が追いつかないフェーズです。ただし枠を大きく取りすぎると、未使用のまま希薄化懸念だけが残るため、プールの規模は採用計画と連動させて設定します。

平均への横並び発行と過大発行で起きる失敗パターンと抑えるべき局面

避けるべき失敗をはっきり述べます。「平均が10%だから自社も10%」という横並び発行はすべきではありません。採用計画も時価総額の見通しも違う他社の平均を、自社の発行根拠にする理由がないからです。とくに過大発行は実害が出ます。発行率を相場上限の15%を超えて設定すると、IPO審査で希薄化の合理性を問われ、上場後も需給の重しになりやすくなります。発行回数を分けすぎるのも失敗の典型で、回号ごとに権利行使価額の設定を誤れば税制非適格となり、行使時に給与課税が発生します。抑えるべき局面は、株価が今後大きく上がる前の早い段階で、必要数を見極めて1回にまとめて出すことです。逆に、上場直前に慌てて大量発行するのは、行使価額が高止まりしてインセンティブとして機能しにくいため避けます。

令和6年度税制改正が付与設計に及ぼす行使限度額と適格要件の変更点

付与率そのものに加え、税制適格SOの要件は令和5年度・令和6年度の改正で大きく動きました。施行日は令和6年4月1日です。設計時に押さえるべき変更点を整理します。

設立年数で1,200万・2,400万・3,600万円に分かれる行使限度額の引上げ

従来は一律で年間1,200万円だった税制適格SOの権利行使価額の限度額が、会社区分に応じて引き上げられました。経済産業省の資料に基づく区分は次のとおりです。

会社区分 年間の権利行使価額の限度額
設立5年未満の株式会社 2,400万円
設立5〜20年未満で、非上場または上場後5年未満 3,600万円
上記以外(設立20年以上など) 1,200万円(据置)

限度額が上がったことで、レイター期に高い行使価額のSOを付与しても早期に行使しやすくなりました。付与率を控えめにしても一人あたりのインセンティブ価値を確保できる余地が広がった、と読めます。なお令和6年3月31日以前の契約に新要件を適用する経過措置は、令和6年12月31日で終了しています。

自社管理を認めた保管委託要件の緩和と社外高度人材への対象拡大

適格要件の一つだった株式の保管委託要件も緩和されました。改正前は権利行使で取得した株式を証券会社等に保管委託する必要がありましたが、譲渡制限株式であれば発行会社自身による株式管理(区分管理帳簿の作成)も選択できるようになりました。これにより、上場前のM&AによるEXIT時にも適格性を保ったまま行使・売却しやすくなっています。付与対象者の範囲も拡大し、社外高度人材の要件として上場会社の役員経験年数が3年から1年に短縮され、国家資格や博士の学位を持つ者は実務経験要件が撤廃されました。外部の専門エンジニアやアドバイザーへ税制適格でSOを付与する選択肢が広がっています。

給与課税となった信託型SOを避け税制適格SOを軸にする課税設計

設計の前提として、信託型SOの扱いが変わった点に注意が必要です。国税庁は2023年5月に、信託型SOについて権利行使時に給与として課税されるとの見解を示しました。これにより、従来想定されていた税メリットは実質的に失われています。受け手の税負担を抑えるなら、軸とすべきは税制適格SOです。税制適格SOは権利行使時には課税されず、株式売却時に売却益が譲渡所得として申告分離課税(税率20.315%)の対象となります。付与率の設計と並行して、どの類型を採用するかを資本政策全体の中で決めることが、後の税務トラブルを防ぎます。

ストックオプションの平均付与率に関するよくある質問

検索で多く見られる疑問に、調査の実数をもとに簡潔に回答します。

ストックオプションの平均付与率は何%ですか?

会社全体の発行率(発行済株式総数に対するSO総数の割合)で見ると、上場時点で8〜10%前後です。Coral Capitalの調査で9.3%、プルータスで9.7%、2025年IPO企業を対象としたO f Allの調査で8.32%という結果が出ています。未上場スタートアップが株主間契約で確保する発行枠は10〜15%が相場です。

1人あたりのストックオプションの付与割合はどのくらいですか?

従業員の保有上位10名でも平均0.34%・中央値0.185%です。0.4%未満が全体の73.2%を占め、大半は1%に届きません。会社全体の発行率(8〜10%)を、取締役数人と従業員100人前後で分け合うため、個人の割合は小数点以下のオーダーになります。

ストックオプションの発行割合に上限はありますか?

法令上の明確な上限はありませんが、実務上はVCとの株主間契約で10〜15%程度の発行上限が定められるのが通例です。上限を超える過大発行は、IPO審査での希薄化の合理性や上場後の株価安定性に響くため、相場の範囲内で設計するのが一般的です。

上場するとストックオプションは何倍になりますか?

一律に何倍とは決まりません。権利行使価額と上場後の株価の差がリターンになるため、行使価額が低い初期に付与されたSOほど倍率は大きくなります。O f Allの調査では1億円以上の保有価値に達した従業員は510名中10.6%で、早期にジョインし行使価額が低いケースほど大きなリターンになりやすい関係です。

信託型ストックオプションは今でも有利ですか?

従来想定されていた税メリットは失われています。国税庁が2023年5月に、信託型SOは権利行使時に給与として課税されるとの見解を示したためです。受け手の税負担を抑える観点では、権利行使時非課税・売却時に譲渡所得課税(20.315%)となる税制適格SOを軸に設計するのが現実的です。

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