非上場企業で持株会を導入するデメリット|株価評価・配当・支配権の落とし穴と回避策
非上場企業でも従業員持株会を導入する動きは広がっていますが、上場企業と同じ感覚で設計すると退職時の買取価格や株価評価でトラブルを抱えます。この記事では、導入する企業側の視点を中心に、換金性の低さ・株価評価・配当の継続負担・オーナー支配権の希薄化といった非上場特有のデメリットを整理します。あわせて、同族役員の加入で税務負担が跳ね上がる落とし穴、2025年1月施行の内閣府令改正で変わったインサイダー取引の適用除外要件、導入を見送るべき企業の条件まで具体的に解説します。従業員側のデメリットや「入るべきか」の判断材料にも触れます。
目次
- 1 まとめ:非上場の持株会は換金性・株価評価・配当の三点を設計できるかで導入可否が決まる
- 2 非上場企業の持株会が上場企業と異なる前提と民法上の組合という保有の仕組み
- 3 退職時の買取価格でもめる原因となる換金性の低さと株価評価の難しさ
- 4 業績悪化時でも無配にしづらい配当継続の負担とキャッシュフローへの影響
- 5 持株比率の上昇によるオーナー支配権の希薄化と議決権制限株式での設計
- 6 従業員側に生じる現金化の制約・一社集中リスクと企業が負う説明責任
- 7 上場を見据える企業が外せないインサイダー規制と2025年の適用除外要件改正
- 8 導入を見送るべき非上場企業の条件と賃上げを優先すべきケースの見極め
- 9 デメリットを抑えるための規約・細則・買取ルールの実務的な決め方
- 10 よくある質問
まとめ:非上場の持株会は換金性・株価評価・配当の三点を設計できるかで導入可否が決まる
非上場企業の持株会で起きるトラブルは、ほぼ「市場で売れない株式を給与から買わせる」という一点に行き着きます。退職時にいくらで買い取るのか、その株価を誰がどう算定するのか、そして業績が落ちても配当を出し続けられるのか。この三点を制度設計の段階で詰め切れるかどうかが、導入してよい企業とそうでない企業を分けます。
結論を先に示すと、安定したキャッシュフローと適正な株価算定の仕組みを持てる企業であれば、事業承継対策や従業員の定着に有効です。逆に、賃金水準が低い、利益や株価が不安定、買取資金を確保できない企業では、福利厚生としてのメッセージは弱く、むしろ将来の火種になります。以下、各デメリットの中身と、それを抑えるための具体的な設計を順に見ていきます。
非上場企業の持株会が上場企業と異なる前提と民法上の組合という保有の仕組み
デメリットを正しく理解するには、まず非上場の持株会が上場企業のそれと何が違うのかを押さえる必要があります。違いはほぼすべて「株式に市場価格がない」ことから派生します。
市場価格が存在しない非上場株式が前提となることで生じる構造的な制約
上場企業の株式は証券取引所で日々値が付き、売りたいときに売れます。非上場企業の株式にはこの市場が存在しません。価格を一義的に決められず、買い手も実質的に会社か持株会に限られます。換金性の低さ、株価算定の難しさ、退職時の買取トラブルといった非上場特有のデメリットは、すべてこの一点から生まれます。上場企業向けに書かれた持株会の解説をそのまま当てはめると、ここで判断を誤ります。
民法上の組合として運営し従業員が持分を間接的に保有する仕組み
従業員持株会は、官公庁への届出が不要なことから、多くの場合は民法上の組合として設立されます。株式は持株会の名義でまとめて保有され、従業員は拠出額に応じた持分を間接的に持つ形になります。分譲マンションの共有持分に近い構造です。理事長が組合員を代表して株式を管理するため、個々の従業員は株式を直接動かせません。この間接保有のため、後述する売却の手続きや退会時の持分清算が、個人で株を持つ場合より一手間多くなります。
従業員が直接株式を保有する方式との違いと採用が限られる理由
従業員に自社株を直接持たせる方式もありますが、非上場企業でこれを選ぶ例はごくわずかです。直接保有にすると、退職した元従業員やその相続人に株式が残り、株主名簿に第三者が増えて株式が分散します。買取交渉が難航し、経営権に影響することもあります。持株会方式は、退職と同時に会員資格を失わせて株式を会社側の管理下に戻せる点で、株式の分散を防ぐ仕組みとして機能します。
退職時の買取価格でもめる原因となる換金性の低さと株価評価の難しさ
企業側の最大のデメリットは、退職時の買取をめぐる清算リスクです。市場がないために、価格も買い手も会社側が用意しなければなりません。
売却先が持株会か会社に限られ在職中は現金化できない換金性の低さ
非上場株式には市場がないため、従業員が持分を現金化できるのは原則として退職時に限られます。在職中に「お金が必要だから売る」ということは規約上できないのが通常です。買取先も再び持株会か会社に限られるため、会社側は買取資金を恒常的に確保しておく必要があります。業績が悪化した局面で複数の退職者が重なると、買取資金が足りない、あるいは会社法上の財源規制で自己株式として買い取れないという事態も起こり得ます。買い取れなければ、元従業員は売れない株式を持ち続けることになり、その不満が会社に向かいます。
市場価格がない株式の買取価格を決める配当還元方式と純資産価額方式
買取価格をいくらにするかは、非上場の持株会で最ももめるポイントです。市場価格がない以上、何らかの評価方式で算定するしかありません。実務では、少数株主が取得・売却する場合に使える配当還元方式と、原則的な評価である純資産価額方式(および類似業種比準方式)で、価格が大きく変わります。
| 評価方式 | 適用される主な場面 | 価格の水準 | 持株会での扱い |
|---|---|---|---|
| 配当還元方式 | 同族株主等に当たらない少数株主の取得・売却 | 低い(配当額ベース) | 一般の従業員会員の取得価格として用いられる |
| 純資産価額方式・類似業種比準方式 | 同族株主等が取得する場合の原則的評価 | 高い(純資産・利益ベース) | 同族役員などが会員に含まれると適用される恐れ |
一般の従業員であれば配当還元方式による低い価格で取得・買取ができるため、入会のハードルが下がります。問題は、誰が「同族株主等」に当たるかの判定が複雑で、買取価格を規約に明記していないと退会時に金額の食い違いが生じることです。価格の算定根拠を最初に決め、書面で残しておくことが前提になります。
同族役員の加入で配当還元方式が使えず取得価額が高騰する税務上の落とし穴
見落とされがちなのが、役員を持株会に加入させたときの税務リスクです。従業員持株会の会員資格は本来「従業員であること」で、取締役などの経営陣は対象外です。ここに同族役員が紛れ込むと、その会員に対しては配当還元方式が使えず、純資産価額方式による高額な価格で取得しなければならなくなる場合があります。取得価額と適正評価額の差は贈与とみなされ、思わぬ課税につながります。役員に持たせたいなら、従業員持株会とは別に役員持株会を組成するのが原則です。会員の範囲を曖昧にしたまま運用を始めると、後から税務上の負担が膨らみます。
業績悪化時でも無配にしづらい配当継続の負担とキャッシュフローへの影響
持株会は、従業員にとって配当が制度の魅力を実感できる数少ない要素です。そのため会社側は、業績が落ちても配当を出し続ける事実上の義務を負います。
無配への転換が従業員の不信を招き配当を出し続ける事実上の義務
上場株なら株価上昇というリターンを期待できますが、非上場株では値上がり益が見えにくく、配当が従業員の主なリターンになります。一度配当を出し始めると、無配や減配は「制度が機能していない」という不信に直結します。とくに退職時まで現金化できない非上場の持株会では、毎期の配当が会員にとって唯一の見返りです。業績悪化を理由に無配にすると、福利厚生として導入したはずの制度が、かえって従業員の不満を生む装置になります。
キャッシュフローに余裕がなくても配当原資を確保し続ける負担
配当を維持するには、利益が出ていても出ていなくても配当原資を捻出し続けなければなりません。手元資金に余裕がないなかで配当を払えば、その分だけ事業の再投資や運転資金が削られます。会員数が増えるほど配当総額の負担も増えるため、導入時の数十名と十年後の数百名では重みがまったく違います。導入の判断は、現在ではなく中長期の支払余力で考える必要があります。
奨励金(相場5〜10%)の継続支給が人件費に近い固定コストになる構造
持株会導入企業の9割超が奨励金を採用しており、相場は拠出額の5〜10%です。奨励金は従業員の購入額に上乗せされる会社負担で、配当とは別に毎月発生します。月の拠出総額が大きくなれば、奨励金はほぼ人件費に近い固定コストとして積み上がります。「福利厚生だから少額」と見積もると、運用開始後に想定を超えることがあります。奨励率を何%にするかは、公認会計士や税理士の意見も入れて、継続可能な水準で決めるべきです。
持株比率の上昇によるオーナー支配権の希薄化と議決権制限株式での設計
持株会に渡す株式は、オーナー自身の議決権を手放すことと同じです。比率を誤ると、安定株主のはずの持株会が経営の不安定要因になります。
持株会の比率が高まるほどオーナーの議決権と支配権が低下する仕組み
会社の支配権は持株比率で決まります。普通決議は過半数、定款変更などの特別決議は3分の2以上の賛成が必要です。持株会に普通株式を渡しすぎると、その分オーナーの議決権が薄まり、役員選任やM&Aといった重要な意思決定で、経営陣の意図しない方向に票が動く可能性が生まれます。とくに非上場の同族会社では、わずかな比率の変動が支配権の維持に直結します。持株会を「安定株主」と呼べるのは、比率を経営権に影響しない範囲に抑えている場合に限られます。
無議決権株式の活用と持株会へ付与する株式比率の上限設計
支配権を維持したまま持株会を運用するには、付与する株式を議決権のない種類株式(無議決権株式)にする方法があります。配当を受ける権利は残しつつ議決権を切り離せるため、従業員のリターンとオーナーの支配権を両立させやすくなります。あわせて、持株会に渡す比率の上限を制度設計の段階で決めておくことが重要です。「気づいたら持株会の比率が膨らんでいた」という事態を避けるため、上限は規約や細則で明文化しておきます。
従業員側に生じる現金化の制約・一社集中リスクと企業が負う説明責任
デメリットは企業側だけではありません。従業員側の不利益を導入企業が正しく説明できないと、それ自体が後のトラブルの種になります。
退職時まで現金化できず株主優待も受けられない従業員側の制約
従業員から見た非上場持株会の最大の制約は、退職時まで現金化しにくいことです。急な出費があっても在職中は引き出せず、流動性の低い資産を給与から積み立て続けることになります。さらに、株式は持株会名義のため、個人としての株主優待は受けられません。値上がり益も上場企業のようには見込めず、リターンは配当が中心です。これらを理解しないまま加入すると、「思っていた制度と違う」という不満につながります。
給与と保有資産が同じ会社に集中する一社依存のリスク
自社株への投資は、給与も資産も同じ会社に賭けることを意味します。会社の業績が悪化すれば、収入と資産が同時に目減りします。奨励金があるからと拠出額を増やしすぎると、この一社集中のリスクはさらに高まります。生活防衛資金がない従業員や、数年内の退職を考えている従業員にとっては、合理的な選択とは言えません。企業側は「入れば得」と一方的に勧めるのではなく、向かない人がいることも前提に説明する姿勢が求められます。
流動性・元本割れ・税務を書面で説明し記録に残す企業の責任
非上場の持株会をめぐる訴訟やトラブルの多くは、説明不足が原因です。「元本は回収できる」とだけ伝えるのは不十分で、会社が破綻した場合に元本を回収できないこと、退会時の買取価格に制約があること、議決権が制限されることまで、不利になりうる点を包み隠さず伝える必要があります。説明すべき項目を整理すると、次のとおりです。
- 市場がなく在職中は原則として現金化できないこと
- 会社の業績悪化や破綻時には元本割れや回収不能のリスクがあること
- 退会時の買取価格の算定方法と、価格が変動しうること
- 議決権の有無や株主優待の扱いなど、一般株主との権利の違い
- 配当金や売却益にかかる税金と確定申告の要否
とくに税務は会員が見落としやすい論点です。受け取った配当金や、退職時に株式を売却した際の譲渡所得は、状況により確定申告が必要になります。社内資料として持株会に加入した会社員が確定申告を求められる仕組みと税金の扱いを共有し、説明した内容と質疑の記録を残しておくと、後の「聞いていない」という主張を防げます。
上場を見据える企業が外せないインサイダー規制と2025年の適用除外要件改正
インサイダー取引規制は上場会社等を対象とするため、非上場のうちは原則として直接の規制対象になりません。ただし、IPOを見据える企業は、上場準備の段階から要件を踏まえて持株会を設計しておく必要があります。
非上場のうちは原則対象外でも上場準備段階で問われる規制の前提
インサイダー取引規制は、上場会社等が発行する有価証券の売買を対象とした金融商品取引法上のルールです。市場で取引されない非上場株式は、原則としてこの規制の枠外にあります。一方で、上場準備に入る企業は持株会を上場前から設計するのが一般的です。上場した瞬間から規制が適用されるため、適用除外の要件を満たす形で運用を始めておかないと、上場後の拠出や買付けがインサイダー取引に問われかねません。「いずれ上場するなら、最初から上場企業の基準で組む」のが安全です。
定時定額拠出が適用除外となる2025年1月施行後の200万円未満という要件
持株会を通じた自社株の買付けは、一定の計画に従って毎月行う定時定額の買付けであれば、未公表の重要事実を知っていてもインサイダー取引規制の適用除外となります。この適用除外の基準額が、内閣府令の改正により2025年1月1日施行で「1回あたりの拠出額が100万円未満」から「200万円未満」へ引き上げられました。同じ改正で、拡大持株会の構成員に役員を加えられるようになるなど、要件の一部が緩和されています。古い解説記事の多くは旧基準の100万円のままなので、設計時は現行の200万円未満を前提に判断してください。
引き出した株式の売却や拠出増額・新規加入が除外されない注意点
適用除外はあくまで定時定額の「買付け」に限られます。持株会から引き出した株式を個人で売却する行為は、適用除外には含まれません。また、未公表の重要事実を知った状態で拠出額を増やす、あるいは新規に入会するといった行為は、定時定額の計画から外れるためインサイダー取引の対象になり得ます。実際に、重要事実を知りながら持株会への入会や拠出増額を行った会員が課徴金納付命令の対象とされた事例もあります。インサイダー取引違反には5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(法人には5億円以下の罰金)が科され得るため、上場後を見据えるなら売却と拠出変更のルールを社内で明確にしておくべきです。
導入を見送るべき非上場企業の条件と賃上げを優先すべきケースの見極め
ここまでのデメリットを踏まえると、すべての非上場企業に持株会が向くわけではありません。導入が逆効果になる条件を、はっきり示しておきます。
賃金水準が低い企業が福利厚生より先に賃上げを優先すべき理由
賃金が同業他社より低い企業が持株会を導入しても、福利厚生としてのメッセージはほとんど伝わりません。従業員にとっては、流動性が低く現金化しづらい資産に、ただでさえ少ない手取りを回すことになるからです。この場合に優先すべきは、まず賃金を引き上げることです。基本的な処遇が整っていない段階で持株会だけを導入しても、満足度の向上にはつながりません。十分な賃金水準を確保したうえで、プラスアルファの選択肢として持株会を検討する順序が妥当です。導入ありきで進めるべきではありません。
キャッシュフローや株価評価が不安定な企業が導入を見送る判断基準
導入を見送るべき条件は、おおむね次の三つです。第一に、業績や手元資金が安定せず、無配や減配の可能性が高い企業。配当を続けられないなら、制度の魅力そのものが成立しません。第二に、退職者の買取資金を恒常的に確保できない企業。買い取れない株式は必ずトラブルになります。第三に、株価評価の根拠を整備できない、あるいは同族関係の整理がついていない企業。価格でもめる前提が残ったまま始めるべきではありません。これらに当てはまるうちは、持株会の導入は時期尚早と判断するのが現実的です。
デメリットを抑えるための規約・細則・買取ルールの実務的な決め方
デメリットの多くは、制度設計の段階で先回りすれば抑えられます。導入を決めたなら、次の三点を最初に詰めておきます。
変更の余地がある項目を規約ではなく細則に置く設計の考え方
一度作った規約の改正は、会員の合意などの手続きが必要で簡単ではありません。そこで、将来的に変更する可能性がある項目は、規約本体ではなく運営細則に置くのが実務上の定石です。たとえば、一人あたりの株式保有数の上限、奨励金の比率、拠出額の単位などは、事業の状況に応じて見直すことが想定されます。これらを細則に分けておけば、規約改正という重い手続きを踏まずに調整できます。何を規約に固定し、何を細則で動かすかの線引きを、最初に決めておきます。
退職時の自動退会と買取価格の算定方法を事前に明記するルール作り
非上場の持株会で最ももめる退会時の清算は、ルールの明記で大半を防げます。会員資格を「従業員であること」と定め、退職と同時に自動退会となる仕組みにしておけば、元従業員と個別に買取交渉をする手間がなくなり、株式の分散も防げます。あわせて、退会時の持分の買取価格をどの評価方式で算定するか、いつ支払うかを、数値の根拠まで含めて事前に定めておきます。価格の決め方を曖昧にしたまま運用を始めると、退会者ごとに交渉が発生し、トラブルの温床になります。
事務委託や専門家の関与で運営負担と法務リスクを抑える体制づくり
持株会の運営は、株式の買付け管理、配当の計算と分配、入退会の処理など、継続的な事務を伴います。実務負担や管理の正確さを考えて、信託銀行や証券会社などの外部機関に事務を委託する企業が多いのが実情です。あわせて、規約・細則の作成や株価評価、同族株主の判定といった論点は、弁護士・税理士・公認会計士の関与のもとで固めるのが安全です。導入時の初期設計を専門家とともに作り込んでおくことが、運用後の法務リスクと税務リスクを最も確実に下げる手立てになります。
よくある質問
非上場企業の持株会について、検索されることの多い疑問に答えます。
非上場企業の持株会は退職するとどうなりますか?
退職時に従業員としての会員資格を失い、自動的に退会となるのが一般的です。保有していた持分は、規約で定めた評価方式に基づく価格で持株会または会社が買い取ります。上場企業のように個人の証券口座へ株式を移して市場で売る、という選択肢は基本的にありません。買取価格や支払時期は規約・細則の定めによるため、加入時に確認しておくことが重要です。
非上場企業の従業員持株会の株価はどのように決まりますか?
市場価格がないため、評価方式で算定します。同族株主等に当たらない一般の従業員が取得・売却する場合は、配当額をもとにした配当還元方式による低めの価格が使えるのが通常です。一方、同族役員などが取得する場合は、純資産価額方式や類似業種比準方式による原則的評価となり、価格が高くなります。価格の算定根拠は規約に明記しておくべきです。
従業員持株会とストックオプションは何が違いますか?
従業員持株会は、従業員が給与天引きなどで継続的に自社株を「購入」し、配当を受け取る福利厚生の仕組みです。ストックオプションは、あらかじめ定めた価格で株式を取得できる「権利」を付与するもので、購入資金は当初不要です。持株会は幅広い従業員の資産形成と安定株主づくりを目的とし、ストックオプションは役員や中核人材へのインセンティブとして使われることが多い、という違いがあります。
非上場企業の持株会でも奨励金は必要ですか?
法律上の義務ではありませんが、導入企業の9割超が奨励金を採用しており、相場は拠出額の5〜10%です。現金化しにくい非上場株式に従業員の関心を向けるには、奨励金が事実上の前提になりやすいのが実情です。ただし奨励金は毎月発生する会社負担のため、継続可能な比率を見極めて設定する必要があります。
従業員持株会の導入は本当に事業承継対策になりますか?
条件が整えば有効です。オーナーが保有する自社株の一部を、経営権に影響しない範囲で持株会に譲渡すれば、将来相続財産となる株式数を減らせます。一般の従業員が取得する場合は配当還元方式による低い価格で譲渡できるため、評価額の圧縮にもつながります。ただし、付与比率を誤れば支配権を損ない、同族関係の整理を怠れば税務リスクが生じます。事業承継対策として使うなら、専門家を交えた設計が前提です。