分離課税は、株式や土地建物を売った利益などを給与・事業所得と合算せず、その所得だけに決まった税率をかけて税額を出す課税方式です。上場株式の売却益なら所得税15.315%と住民税5%で合計20.315%となり、所得が数億円規模になる場合の追加課税を除けば、年収がいくらでも税率は変わりません。
この記事では、令和8年分(2026年分)の所得税を前提に、分離課税の2つの方式、対象となる所得と税率の一覧、総合課税との違い、申告すると合計所得金額に入って基礎控除や扶養判定に響く仕組み、確定申告で使う書類までを順に整理します。
まとめ:分離課税の要点(令和8年分)
- 分離課税には、確定申告で納める申告分離課税と、支払時の源泉徴収で課税が完結する源泉分離課税の2方式がある
- 申告分離課税の対象は、株式等の譲渡、上場株式等の配当(選択制)、特定公社債等の利子、先物取引・国内FX、土地建物の譲渡、退職所得、山林所得
- 株式・先物・長期の土地建物は合計20.315%、所有5年以下の土地建物は39.63%。退職所得と山林所得は分離しつつ累進税率を使う
- 基礎控除などの所得控除は、総所得金額から引ききれない分を分離課税の所得からも差し引ける。総合課税の所得が少ない人は、申告すると源泉徴収された所得税が戻ることがある
- 分離課税の所得も、申告すれば合計所得金額に入る。基礎控除・配偶者控除・扶養の判定と、住民税・国民健康保険料に波及する
- 所得が数億円規模になると税負担率が下がる「1億円の壁」には、令和7年分から追加課税がある(令和8年分は基準所得金額3.3億円超が対象)
分離課税の仕組み:他の所得と合算しない計算方法
所得税は、給与・事業・不動産・雑所得などを合算して5%〜45%の累進税率をかける総合課税が原則です。分離課税はこの合算から特定の所得を切り離し、所得の種類ごとに定めた税率で別に計算します。給与が多い人ほど税率が上がる総合課税と違い、株式の売却益のような所得は、本人の所得水準にかかわらず同じ税率で課税されます。
総合課税の対象となる所得の範囲や計算手順は総合課税とは?対象の8所得と税額の計算手順、配当で選ぶ分岐点【令和8年分】で扱っています。
申告分離課税と源泉分離課税の違い
国税庁タックスアンサーNo.2240は、申告分離課税について、他の所得と分離して税額を計算し、確定申告により納税する制度と説明しています。違いは申告の有無だけではなく、損益通算や控除が使えるかどうかにも及びます。
| 項目 | 申告分離課税 | 源泉分離課税 |
|---|---|---|
| 納め方 | 確定申告で納める | 支払時の源泉徴収で完結 |
| 主な対象 | 株式・土地建物の譲渡、先物・FX | 預貯金の利子、定期積金の給付補てん金 |
| 損益通算・繰越 | 同じグループ内で可 | 不可 |
| 合計所得金額 | 申告すれば含む | 含まない |
預金利息が20.315%引かれたまま申告しなくてよいのは源泉分離課税だからです。理由と内訳は預金利息の税金はなぜ引かれる?20.315%の内訳と申告不要の理由で解説しています。
申告不要制度との関係:特定口座(源泉徴収あり)の扱い
上場株式の売却益は申告分離課税の対象ですが、特定口座(源泉徴収あり)で取引していれば証券会社が20.315%を源泉徴収するため、確定申告をしない選択ができます。上場株式等の配当も原則として申告不要を選べます。ただし、大口株主等が受け取る配当は原則として総合課税となり、申告分離課税を選べません。本記事の配当の3方式比較は、大口株主等に該当しない場合を対象とします。
申告不要を選んだ所得は合計所得金額に入らず、申告すれば入ります。損失を他口座の利益と相殺したい、配当で配当控除を受けたいといった理由で申告すると、後述する基礎控除・扶養・国民健康保険料の判定に影響します。
分離課税の対象所得と税率一覧
令和8年分の税率を所得税(復興特別所得税を含む)と住民税に分けて並べると次のとおりです。所得税欄の端数は、所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税を上乗せした結果です。
| 所得 | 方式 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 上場株式等の譲渡 | 申告分離 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 一般株式等(非上場)の譲渡 | 申告分離 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 上場株式等の配当 | 申告分離(選択) | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 特定公社債等の利子 | 申告分離 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 先物取引・国内FX | 申告分離 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 土地建物(所有5年超) | 申告分離 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 土地建物(所有5年以下) | 申告分離 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 居住用軽減特例(課税所得6,000万円以下部分) | 申告分離 | 10.21% | 4% | 14.21% |
| 預貯金の利子 | 源泉分離 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 退職所得・山林所得 | 申告分離 | 5.105〜45.945% | 10% | 累進 |
令和9年(2027年)分からは防衛特別所得税1%が創設され、復興特別所得税は2.1%から1.1%に下がります。上乗せの合計は2.1%のままなので、20.315%などの税率は変わりません。
譲渡所得の計算式:売った金額から取得費と費用を引く
税率をかける土台は、売った金額そのものではなく、買ったときの金額と売るための費用を引いた後の所得です。国税庁タックスアンサーNo.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)とNo.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)の式を並べると次のとおりです。
- 株式等:譲渡価額 −(取得費 + 委託手数料等)= 譲渡所得等の金額
- 土地建物:譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
土地建物の譲渡費用は、仲介手数料、売主が負担した印紙税、貸家を売るために払う立退料、売るために建物を取り壊した費用など、売るために直接かかった費用です(No.3255)。建物の取得費は購入代金から所有期間中の減価償却費相当額を引いて計算するため、買値より小さくなります。取得費が分からないときや実際の取得費が売った金額の5%を下回るときは、5%を取得費にできます(No.3258)。3,000万円で売った先祖伝来の土地なら、取得費は150万円です。マイホームを売ったときの3,000万円特別控除などは、この式の特別控除額に入ります。
土地建物の長期・短期区分:売却年1月1日時点の所有期間
土地建物の所有期間は、実際に持っていた期間ではなく、譲渡した年の1月1日時点で5年を超えているかで判定します。2021年5月に買った土地を2026年中に売ると、2026年1月1日時点では4年7か月なので短期譲渡所得です。2027年1月以降に売れば、2027年1月1日時点で5年7か月となり長期に変わります。
特別控除・所得控除などを適用した後の課税譲渡所得が1,000万円で、軽減税率の特例を使わない場合、短期は所得税・復興特別所得税306.3万円と住民税90万円で396.3万円、長期は所得税153.15万円と住民税50万円で203.15万円です。売却時期が1月をまたぐだけで193.15万円の差になります。売却で損失が出た場合の扱いは不動産売却で損失が出たときの確定申告|損益通算できる条件と2つの特例を参照してください。
FX・先物・暗号資産の区分
国内の金融商品取引業者を相手にした店頭FXと、取引所の先物・オプション取引は「先物取引に係る雑所得等」として20.315%の申告分離課税です。金融商品取引法の登録がない海外業者のFXは、この区分に入らず総合課税の雑所得になります。
暗号資産の売却益は、令和8年分では原則として総合課税の雑所得です(事業所得に該当する場合もあります)。令和8年度税制改正では、国内の登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡益を、株式と同じ税率(20.315%)の申告分離課税にする規定が設けられましたが、適用は暗号資産を金融商品取引法の対象にする改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後の譲渡からです。その改正法(金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律)は2026年7月15日に成立し、暗号資産の部分は公布から1年を超えない範囲で政令で定める日に施行されます(金融庁 国会提出法案等)。2026年10月22日時点で施行日は決まっておらず、施行が2026年中なら2027年1月1日以後、2027年中なら2028年1月1日以後の譲渡から分離課税になります。令和8年分の申告はどちらの場合も総合課税です。デイトレードの所得区分はデイトレードの税金と確定申告はいくらから?税率20.315%の計算例と申告しない場合のペナルティ【令和8年分】で詳しく扱っています。
退職所得・山林所得は累進税率を使う分離課税
分離課税は「一律税率」と同じ意味ではありません。退職所得は原則として、退職所得控除後の残額を2分の1にして累進税率をかけます。ただし、勤続5年以下の特定役員退職手当等は全額、短期退職手当等は控除後残額のうち300万円を超える部分に、2分の1計算が適用されません。一方、山林所得は所得を5で割って税率を当てはめてから5倍する「5分5乗方式」で計算します。どちらも給与と合算しないので、退職金や山林の売却益が給与の税率を押し上げることはありません。
退職所得は、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば源泉徴収で課税が終わります。出していないと一律20.42%で源泉徴収されるため、確定申告で精算が必要です(退職所得の受給に関する申告書の書き方|A〜E欄の記入例と出さないと20.42%【令和8年様式】)。
総合課税との違い:税率・損益通算・選択の可否
分離課税と総合課税の差は税率だけではありません。損失を相殺できる範囲と、どちらの方式にするかを選べるかが実務上の分かれ目です。
| 項目 | 総合課税 | 分離課税 |
|---|---|---|
| 税率 | 所得税5%〜45%+住民税10% | 所得別の税率(退職・山林は累進) |
| 損益通算 | 不動産・事業・山林・譲渡の損失を他と通算 | 原則同一区分内(山林・居住用特例等は例外) |
| 損失の繰越 | 青色申告の純損失は3年 | 対象となる上場株式等・先物は3年(連続申告等) |
| 方式の選択 | 上場株式等の配当のみ選択可 | 株式・土地建物の譲渡は選べない |
株式の売却益を総合課税にすることはできません。租税特別措置法37条の10と37条の11は、株式等の譲渡による所得を、譲渡所得だけでなく事業所得・雑所得に当たる場合も含めて他の所得と区分して課税すると定めています。デイトレードを事業として行う人の売却益も申告分離課税です。例外は、ゴルフ場の利用権と一体になった株式(いわゆる株式形態のゴルフ会員権)で、株式等の範囲から外れて総合課税の譲渡所得になります。総合課税を選べるのは上場株式等の配当だけで、売却益とは扱いが別です。
株式・土地建物の譲渡損失の通算範囲と例外
上場株式等の譲渡損失は、上場株式等の配当や特定公社債等の利子とは通算できますが、給与所得や事業所得とは通算できません。非上場株式の譲渡損失と上場株式の譲渡益も、別グループなので相殺できません。土地建物の譲渡損失も原則として他の所得と通算できず、居住用財産の買換え・譲渡損失の特例に当たる場合に限って給与などと通算できます。
通算の順序と申告書第四表の書き方は損益通算とは?対象の4所得と順序・計算例、第四表の書き方をわかりやすく解説にまとめています。
上場株式等の配当の方式選択:課税総所得金額695万円未満の目安
上場株式等の配当は、申告不要・申告分離課税・総合課税の3つから選べる唯一の所得です。国内法人の普通配当など、所得税10%・住民税2.8%の配当控除が適用される配当では、配当を含めた課税総所得金額が695万円未満なら、通常は総合課税の税負担が軽くなります。ただし、外国法人の配当やREITの分配金などは配当控除の対象外です。695万円以上では所得税の限界税率が23%になりますが、配当が低い税率の区分にもまたがる場合、配当全体では総合課税が有利なことがあります。申告分離課税との比較は、配当を加えた場合の税額差で行います。
令和6年度分の住民税からは所得税と異なる課税方式を選べなくなったため、以前のように「所得税は総合課税、住民税は申告不要」と使い分ける方法は取れません。
分離課税のメリット・デメリット:所得水準による税負担の差
株式の譲渡益などに適用される比例税率は、総合課税の限界税率が高い人にとって相対的に低い税率です。ただし、退職所得・山林所得には累進税率が適用されます。課税総所得金額が4,000万円を超える人は、総合課税なら追加の所得に所得税45.945%と住民税10%で計55.945%がかかりますが、株式の売却益なら20.315%で済みます。
反対に、課税総所得金額が195万円未満の課税対象者では、総合課税の限界税率は所得税・復興特別所得税5.105%と標準的な住民税10%で計15.105%です。株式や土地建物の譲渡益は総合課税を選べないため、所得が少ない人ほど分離課税の20.315%が割高になります。配当だけは総合課税を選べるので、所得が低い年は配当控除(所得税10%・住民税2.8%)の分だけ負担を下げられます。
申告分離課税の所得も合計所得金額に入る:基礎控除・扶養・国保への波及
申告分離課税は税率の計算を切り離すだけで、申告した所得は合計所得金額に含まれます(源泉分離課税の所得と、申告不要を選んだ所得は含みません)。基礎控除・配偶者控除・扶養控除などの判定はこの合計所得金額で行うため、申告分離課税の所得を申告すると、総合課税側の控除が減ることがあります。
所得控除は分離課税の所得からも差し引ける:総所得金額から先に引く
「分離課税の所得には基礎控除や扶養控除が使えない」という説明を見かけますが、正確ではありません。所得税法87条2項は、所得控除をまず総所得金額から差し引き、引ききれない分を山林所得金額・退職所得金額から順に差し引くと定めています。租税特別措置法と同法施行令はこの順番に土地建物の譲渡所得や株式等の譲渡所得を加えており、株式等については37条の10・37条の11が、所得税法72条から87条までの所得控除を適用した後の金額に15%をかけると定めています。
差が出るのは、給与や年金など総合課税の所得が少なく、株の売却益が中心の人です。所得が特定口座(源泉徴収あり)の上場株式の譲渡益50万円だけなら、所得税と復興特別所得税で76,575円が源泉徴収されています。確定申告すれば合計所得金額50万円で基礎控除104万円を受けられ、譲渡益から差し引くと課税される所得は0円になるため、76,575円が還付される計算です。住民税も申告した扱いになり、住民税の基礎控除43万円で所得割が計算し直されます。反対に給与所得が十分ある会社員は、所得控除を給与側で使い切っているので、申告しても株の税額は変わりません。
還付を受ける申告をすると、その年の合計所得金額に譲渡益が入ります。配偶者や親の扶養に入っている人は、次に説明する扶養判定と国民健康保険料への影響を先に確かめてください。口座の種類ごとの申告要否は個人投資家の確定申告が必要な人・不要な人|口座・商品別の判定と申告方式【令和8年分】で一覧にしています。
基礎控除と配偶者・扶養判定への影響
令和8年分の居住者の基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下なら62万円です。それを超えると段階的に減り、2,500万円超では0円になります。給与所得400万円の会社員が、過年度から繰り越した上場株式の譲渡損失100万円を今年の譲渡所得100万円から控除するために申告すると、合計所得金額は繰越控除前の金額で判定するため500万円になり、基礎控除が37万円減ります。株式の税額は繰越損失で0円になっても、給与側の所得税は増える計算です。
配偶者や子の株式の利益も同じです。配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が62万円以下であることが条件です。特定口座(源泉徴収あり)で得た利益を配偶者が申告して62万円を超えると、配偶者控除から配偶者特別控除(配偶者の合計所得金額133万円以下まで)に切り替わります。本人の合計所得金額が900万円以下なら、配偶者の合計所得金額95万円までは控除額38万円のままで、95万円を超えると段階的に減り、133万円を超えると0円になります(国税庁 No.1195)。70歳以上の配偶者は配偶者控除が48万円なので、62万円を超えた時点で控除額が10万円減ります。扶養控除の62万円以下の要件も同じ仕組みで判定します。申告不要のままなら合計所得金額には入りません。
土地建物の譲渡所得は、3,000万円特別控除などを引く前の金額で合計所得金額に入ります。マイホームを売って税額が0円でも、配偶者や親の扶養から外れることがあります。
住民税と国民健康保険料への影響
令和6年度分以後の住民税は、上場株式等の配当・譲渡所得について所得税と同じ課税方式で課税されます。所得税で申告した分離課税の所得は住民税の申告もしたものとして扱われ、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料の算定にも反映されます。
国民健康保険料の所得割は、原則として前年の算定対象所得から基礎控除額を引いた額が基礎です。基礎控除額は合計所得金額2,400万円以下なら43万円ですが、それを超えると段階的に減り、2,500万円超では0円です。自営業者や年金生活者が還付目当てで配当や譲渡所得を申告すると、戻る所得税より保険料の増加が大きくなることがあります。申告する前に、還付額と保険料の増加額を自治体の料率で比べてください。
所得が数億円で税負担率が下がる「1億円の壁」と追加課税
給与や事業所得は累進税率で課税される一方、株式の売却益や配当は15%(所得税)の分離課税です。所得が極めて大きい人ほど所得の大半を金融所得が占めるため、所得税の負担率が所得1億円前後をピークに下がる現象は「1億円の壁」と呼ばれてきました。
これに対し、租税特別措置法41条の19により令和7年分から追加課税が始まっています。令和8年分は、基準所得金額から3億3,000万円を引いた額の22.5%が、通常の所得税額(基準所得税額)を上回る場合に、その差額を追加で納めます。令和8年度税制改正で、令和9年分以後は控除額が1億6,500万円、税率が30%に改められました(財務省「令和8年度税制改正の大綱」、改正後の条文はe-Gov法令検索の租税特別措置法41条の19で確認できます)。
| 年分 | 控除額 | 税率 | 株式譲渡益だけの場合の発生点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年分・令和8年分 | 3億3,000万円 | 22.5% | 約9.9億円超 |
| 令和9年分以後 | 1億6,500万円 | 30% | 約3.3億円超 |
発生点は、所得のすべてが上場株式の譲渡益で所得控除を考えない場合の概算です。以下の税額例は所得税本体のみで、復興特別所得税および令和9年分以後の防衛特別所得税は含めていません。たとえば譲渡益10億円なら、通常の所得税は15%の1億5,000万円、令和8年分の計算額は(10億円−3億3,000万円)×22.5%=1億5,075万円で、差額75万円が追加になります。同じ10億円でも令和9年分以後は(10億円−1億6,500万円)×30%=2億5,050万円となり、追加額は1億50万円に増えます。
基準所得金額には、申告不要を選んだ上場株式等の配当や譲渡所得も含めて計算すると条文に定められています。NISAの非課税所得と源泉分離課税の所得は含みません。
分離課税の確定申告:第三表と所得別の計算明細書
申告分離課税の所得がある人は、確定申告書第一表・第二表に加えて第三表(分離課税用)を提出し、所得の種類ごとの計算明細書を添付します。令和8年分の申告期限は2027年3月15日(月)です。
| 所得 | 添付する計算書 |
|---|---|
| 株式等の譲渡 | 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書 |
| 株式の損失繰越 | 付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用) |
| 土地建物の譲渡 | 譲渡所得の内訳書(土地・建物用) |
| 先物取引・国内FX | 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書 |
特定口座だけの取引なら、特定口座年間取引報告書の金額を第三表(損失を繰り越すときは付表)へ記入します。計算明細書を作るのは、一般口座や非上場株式の売却がある場合で、取得費を購入時の取引報告書や通帳から自分で集計します。
確定申告が必要な人・不要な人
- 申告が必要:一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で株式の売却益がある人、土地建物を売って利益が出た人、国内FX・先物で利益が出た人
- 申告が必要:繰越控除の対象となる上場株式等・先物の損失を翌年以降に繰り越したい人(損失が出た年から連続して申告)
- 申告不要を選べる:特定口座(源泉徴収あり)の売却益と対象となる上場株式等の配当。源泉分離課税の預貯金利子は申告できない
- 原則不要:「退職所得の受給に関する申告書」を出して退職金を受け取った人
給与収入2,000万円以下で、1か所から源泉徴収対象の給与を受ける人などについて、給与・退職所得以外の所得が合計20万円以下なら原則として所得税の確定申告が不要になる規定があります。ただし、医療費控除などで確定申告する場合は、その20万円以下の所得も申告します。この申告不要制度は所得税の扱いで、住民税は別に市区町村への申告が必要です。株式の譲渡益が20万円以下でも、一般口座の取引なら住民税の申告を忘れないでください。
よくある質問
分離課税は確定申告不要ですか?
方式によります。預貯金の利子のような源泉分離課税は申告できず、源泉徴収で終わります。申告分離課税は原則として確定申告が必要ですが、特定口座(源泉徴収あり)の売却益と上場株式等の配当は申告不要を選べます。土地建物の譲渡益や一般口座の株式売却益は原則として申告が必要ですが、給与所得者の20万円以下の申告不要などの要件に該当する場合は例外があります。
分離課税は住民税に影響しますか?
影響します。申告分離課税の住民税率は、株式等の譲渡益などは5%、土地建物の短期譲渡所得は原則9%、退職所得・山林所得は原則10%で、居住用財産の軽減税率などの例外もあります。また、申告した所得は住民税の合計所得金額にも入ります。令和6年度分からは所得税と住民税で課税方式を分けられなくなったため、所得税で申告すると国民健康保険料などの算定にも反映されます。
株で1000万円儲かったら税金はいくらですか?
上場株式の譲渡益1,000万円なら、所得税153万1,500円(15%と復興特別所得税)と住民税50万円で、合計203万1,500円です。給与がいくらあっても税率は20.315%で変わりません(所得が数億円規模になる場合の追加課税を除く)。同じ年に別の口座で損失があれば、確定申告で相殺して税額を減らせます。
総合課税と分離課税のどちらがいいですか?
選べるのは上場株式等の配当だけです。配当控除の対象となる国内法人の普通配当などは、配当を含めた課税総所得金額が695万円未満なら通常は総合課税が有利です。695万円以上でも一律には決まらず、配当額、配当控除の対象・率、上場株式の譲渡損失との通算を含めて税額を比較します。ただし総合課税や申告分離課税で申告すると合計所得金額が増え、国民健康保険料や扶養判定に影響する点も合わせて比べてください。
FXは総合課税ですか?分離課税ですか?
国内の登録業者を通じた店頭FXと取引所FXは、先物取引に係る雑所得等として20.315%の申告分離課税です。損失は3年間繰り越せます。金融商品取引業の登録がない海外業者のFXは総合課税の雑所得となり、累進税率がかかるうえ損失の繰越もできません。