SaaS(サース)とは、事業者がクラウド上で動かしているアプリケーションを、利用者がブラウザなどから使う形態のサービスです。「Software as a Service」の頭文字をとった呼び方で、自分のパソコンやサーバーにソフトを入れる必要がなく、ログインすればすぐ使えます。Google Workspace、Microsoft 365、Salesforce、Slack、Zoomなど、日常業務で使っているクラウド型サービスの多くがSaaSにあたります。
この記事では、読み方と意味を総務省の資料とNISTの定義で確認したうえで、PaaS・IaaSとの違い、代表的なサービスと実際に使われている業務、日本企業が導入している理由の実データ、そして契約前に確認しておく項目までを整理します。
まとめ:SaaSの要点
- 読み方は「サース」:総務省「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」(2024年4月)は読み方を表で示し、SaaS=サース、PaaS=パース、IaaS=イアースと明記しています。
- 意味:事業者のアプリケーションをそのまま使う形態。NISTの定義では、利用者はネットワーク・サーバー・OS・ストレージはもちろん、個々のアプリ機能さえ管理も制御もしません。変更できる場合があるのは、限定的なユーザー固有の設定に限られます。
- PaaS・IaaSとの違い:提供される「モノ」ではなく、利用者がどこまで管理できるかで分かれます。SaaSは管理範囲が最も狭く、IaaSが最も広い構造です。
- 普及状況:クラウドサービスを一部でも利用している企業は83.5%(総務省・令和7年通信利用動向調査、常用雇用者100人以上の企業が対象。集計対象2,486社)。全社的に利用する企業も60.0%に達しています。
- 導入理由の実態:同調査で最多の理由は「場所、機器を選ばずに利用できるから」50.7%。「既存システムよりもコストが安いから」は19.4%で、選択肢8項目のうち最下位です。
- 契約前の確認:解約時のデータ返却方法、解約の事前受付期限、稼働率の実績値と停止事故歴は、総務省の情報開示指針が事業者に開示を求めている「必須」項目です。提案時に出てこなければ聞くのが妥当です。
SaaS(サース)とは?読み方と定義
読み方は「サース」、公的資料も表で示している
SaaSは「サース」と読みます。総務省が2024年4月に公表した「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」は、クラウドサービスの種類を整理した表に「読み方」の列を設け、次のように記載しています。
| 種類 | 読み方 | ガイドブックの概要説明 |
|---|---|---|
| SaaS(Software as a Service) | サース | 業務に使われるアプリケーション(ソフトウェア)を提供するサービス。会計、名刺管理、Web会議など |
| PaaS(Platform as a Service) | パース | ソフトウェアの開発や実行に必要な環境を提供するサービス。開発支援ツールやデータベースなどのミドルウェアなど |
| IaaS(Infrastructure as a Service) | イアース | システムのインフラであるハードウェアを提供するサービス。CPU、ストレージ、ネットワークなど |
辞典類の見出しも同じです。コトバンクに収録されているデジタル大辞泉とIT用語がわかる辞典はいずれも読みを「サース」とし、日本大百科全書(ニッポニカ)は「さーす」としています。
実務では「サーズ」と読む人もいます。意味が変わるわけではありませんが、「サーズ」は感染症のSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じ音になるため、社外との会話では誤解を招くことがあります。SARSは、国立健康危機管理研究機構の感染症情報提供サイトでも「重症急性呼吸器症候群(SARS)」と表記される感染症で、ITのSaaSとは無関係です。迷う場面では「サース」を選んでおくと安全です。
NISTの定義:利用者が「管理しないもの」でSaaSが決まる
クラウドの分類でいまも基準として使われているのが、米国国立標準技術研究所(NIST)が2011年9月に公表した「The NIST Definition of Cloud Computing」(SP 800-145、2012年4月に正誤訂正)です。SaaSの定義は次のとおりです。
利用者に提供される機能は、クラウド基盤上で動作する提供者のアプリケーションを使用することである。アプリケーションは、ウェブブラウザのようなシンクライアントインターフェース、またはプログラムインターフェースを通じて、さまざまなクライアント端末からアクセスできる。利用者は、ネットワーク、サーバー、オペレーティングシステム、ストレージ、さらには個々のアプリケーション機能さえも含む基盤となるクラウド基盤を管理も制御もしない。ただし、限定的なユーザー固有のアプリケーション設定については例外となりうる。(SP 800-145より、日本語は編集部訳)
定義の後半が実務では重要です。SaaSかどうかは「ブラウザで使えるか」ではなく、利用者に管理権限が渡されていないことで決まります。サーバーの構成もOSのバージョンも選べず、変更できるのは自社アカウントの設定項目だけ、という状態がSaaSです。逆に、OSやミドルウェアを自分で選んで構築できるなら、それはPaaSやIaaSの領域になります。
パッケージソフト・オンプレミスとの違い
従来型のパッケージソフトは、ライセンスを買い切って自社のPCやサーバーに導入し、バージョンアップのたびに入れ替える前提でした。SaaSでは、ソフトウェアは事業者側の環境で動き続け、更新も事業者が実施します。利用者は月額・年額の利用料を払い、契約している間だけ使える形になります。
この違いは、担当者の仕事の中身も変えます。サーバーの調達・OSのパッチ適用・バックアップ設計といった作業は事業者側に移る一方、アカウント管理、権限設定、他システムとの連携、そして解約時のデータ移行が利用者側の主な仕事になります。
SaaS・PaaS・IaaSの違いは「どこまで自分で管理するか」
SP 800-145は、3つのサービスモデルを「利用者が管理・制御できる範囲」で書き分けています。原文の記述をそのまま整理すると、違いは次の表のようになります。
| 観点 | SaaS(サース) | PaaS(パース) | IaaS(イアース) |
|---|---|---|---|
| 提供されるもの | 完成したアプリケーション | アプリを開発・実行する環境(言語、ライブラリ、サービス、ツール) | 処理、ストレージ、ネットワークなどの基礎的な計算資源 |
| 利用者が管理・制御できる範囲 | 原則として管理・制御しない。変更できる場合があるのは限定的なユーザー固有の設定のみ | 配置したアプリケーションと、実行環境の設定(可能な場合) | OS、ストレージ、配置したアプリ。ネットワーク要素(ホストファイアウォールなど)も限定的に管理できる場合がある |
| 利用者が管理しないもの | ネットワーク、サーバー、OS、ストレージ、個々のアプリ機能 | ネットワーク、サーバー、OS、ストレージ | 基盤となるクラウド基盤そのもの |
| 主な利用者 | 業務部門・全社員 | 開発者 | インフラ担当・開発者 |
| 例 | Microsoft 365、Salesforce、Slack | Google App Engine、Azure App Service | Amazon EC2、Google Compute Engine |
選び方の分岐は単純です。やりたい業務にそのまま使える製品があるならSaaS、自社独自のアプリを動かしたいがサーバー運用は避けたいならPaaS、OSやミドルウェアの構成を自分で決める必要があるならIaaSになります。PaaSの具体的なサービスの選び分けはPaaSの代表例|主要サービス一覧と選び方を提供事業者別に比較で、主要クラウド3社の比較はAWS・Google Cloud・Azureの特徴と使い分けを徹底比較で扱っています。
SaaSの仕組み:マルチテナントと5つの必須特性
SP 800-145は、クラウドを名乗るための必須特性を5つ挙げています。SaaSの使い勝手は、この5つが揃っていることから生まれます。
- オンデマンド・セルフサービス:利用者は、提供者の担当者とやり取りすることなく、必要に応じて自動的に機能を確保できる。
- 幅広いネットワークアクセス:標準的な仕組みでネットワーク越しに利用でき、スマートフォン、タブレット、ノートPC、ワークステーションなど多様な端末から使える。
- リソースの共用:提供者の資源はマルチテナントモデルで複数の利用者に割り当てられ、需要に応じて動的に再配置される。利用者は資源の正確な所在を通常は知らないが、国・州・データセンターといった粗い粒度であれば所在を指定できる場合がある。
- 迅速な弾力性:需要に合わせて機能を素早く拡大・縮小でき、利用者からは利用できる量が無制限に見えることが多い。
- 計測可能なサービス:クラウドは計測機能によって資源の利用を自動的に制御・最適化する。ストレージ、処理、帯域、アクティブなユーザーアカウントといった単位で利用量が計測・監視・報告され、提供者と利用者の双方に透明性がもたらされる。
ここでの要点は3つ目のマルチテナントです。1つのシステムを多数の企業が共有し、データだけを論理的に分離する方式のため、事業者は更新を一度行うだけで全利用者に反映できます。SaaSで「気づいたら画面が変わっていた」ことが起きるのは、この構造の裏返しです。バージョンを固定したい、更新時期を自社で決めたいという要件がある場合は、シングルテナント型の提供やアップデート方針を事前に確認する必要があります(シングルテナントとマルチテナントの違い|比較表・選定基準とテナント分離の実装)。
5つ目の「計測可能なサービス」は課金の土台です。ユーザー数、ストレージ容量、API呼び出し回数などが計測され、料金体系に直結します。利用者が増える前提の導入では、契約単価だけでなく何が計測単位になっているかを確認しておくと、想定外の増額を避けられます。
代表的なSaaSと、実際に使われている業務
「SaaSの代表例」として挙げられるサービスは多数ありますが、どの業務でよく使われているかは総務省の統計で確認できます。令和7年版情報通信白書に掲載された用途別の利用率(クラウドサービスを利用している企業が対象、2024年)と、その用途に該当する代表的なSaaSを対応させると次のとおりです。
| 用途 | 利用率(2024年) | 該当する代表的なサービス |
|---|---|---|
| ファイル保管・データ共有 | 71.0% | Google Drive、Microsoft OneDrive、Box |
| 社内情報共有・ポータル | 57.6% | Microsoft SharePoint、Slack |
| 電子メール | 56.8% | Gmail(Google Workspace)、Exchange Online(Microsoft 365) |
| 給与、財務会計、人事 | 52.1% | クラウド会計・人事労務サービス |
| スケジュール共有 | 51.1% | Googleカレンダー、Microsoft Outlook |
| データバックアップ | 43.7% | クラウドバックアップサービス |
| 取引先との情報共有 | 24.5% | ファイル共有・ワークフローサービス |
| eラーニング | 22.7% | クラウド型の学習管理サービス |
| 営業支援 | 20.7% | Salesforce などのCRM/SFA |
右列のサービス名は白書の記載ではなく、用途に該当する代表例として編集部が対応付けたものです。
上位を占めるのは、ファイル共有・情報共有・メール・会計人事・スケジュールという、部署を問わず使われる汎用業務です。一方、営業支援は20.7%にとどまります。「SaaS=営業やマーケティングのツール」という印象を持たれがちですが、企業内で実際に土台になっているのは情報共有基盤のほうだと読めます。営業支援系の製品の選び分けはMAとCRM・SFAの違いとは?4軸で比較し課題別の選び方まで解説で整理しています。
日本企業がSaaSを選ぶ理由は「コスト削減」ではない
クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、総務省の令和7年通信利用動向調査(調査時点は2025年8月末。公務を除く産業の常用雇用者100人以上の企業が対象で、この設問の集計対象は2,486社)で83.5%。内訳は全社的な利用が60.0%、一部の事業所・部門での利用が23.5%です。全社的な利用は令和3年の42.7%から4年連続で増え、令和7年に60.0%へ達しました。
注目したいのは導入理由です。同調査でクラウドサービスを利用する理由(複数回答、クラウド利用企業2,131社の回答)は次の順でした。
| 利用する理由 | 令和7年 | 令和6年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 場所、機器を選ばずに利用できるから | 50.7% | 50.2% | +0.5pt |
| 安定運用、可用性が高くなるから | 45.1% | 40.4% | +4.7pt |
| 資産、保守体制を社内に持つ必要がないから | 42.8% | 42.6% | +0.2pt |
| 災害時のバックアップとして利用できるから | 38.7% | 40.2% | -1.5pt |
| サービスの信頼性が高いから(情報漏えいなど対策) | 35.0% | 32.3% | +2.7pt |
| システムの容量の変更などに迅速に対応できるから | 32.6% | 30.9% | +1.7pt |
| システムの拡張性が高いから(スケーラビリティ) | 28.9% | 22.1% | +6.8pt |
| 既存システムよりもコストが安いから | 19.4% | 19.1% | +0.3pt |
SaaSの解説では「コスト削減が最大のメリット」と語られがちですが、実際に企業が挙げる理由として「既存システムよりもコストが安いから」は19.4%で8項目中の最下位です。前年からの増加幅が最も大きかったのは「システムの拡張性が高いから」の+6.8ポイントでした。
この並びは、導入の稟議書を書くときの材料になります。金額の比較だけを根拠にすると、既存システムの償却が進んでいる場合には数字で見劣りすることがあります。実際に選ばれている理由――どこからでも使えること、可用性、資産と保守体制を社内に抱えなくてよいこと、そして拡張の速さ――を前面に出すほうが、他社の判断とも整合します。
SaaSの種類|Horizontal SaaSとVertical SaaSの違い
SaaSの種類は、2つの軸で語られます。1つは業務カテゴリによる分け方で、会計・人事労務・グループウェア・Web会議・CRM/SFA・ERP・名刺管理といった括りです。もう1つが、対象範囲による次の分け方になります。
- Horizontal SaaS(水平型):業種を問わず共通する業務を対象にした汎用サービス。会計、人事労務、グループウェア、Web会議、CRMなどが該当します。前掲の用途別利用率で上位を占めるのはこの型です。導入企業が多いぶん情報が集まりやすく、価格も比較しやすい反面、自社固有の業務には合わせ込みが必要になります。
- Vertical SaaS(垂直型):医療、建設、飲食、物流、金融など特定業界の業務に特化したサービス。電子カルテ、施工管理、店舗管理などが該当します。業界の商習慣や法令対応が最初から作り込まれているため導入後の作業は減りますが、対象企業数が限られるため選択肢は少なく、乗り換え先も限られます。
逆に、SaaSが向かないのは次のような条件が外せない場合です。業務フローが他社と大きく異なり標準機能に合わせられない、更新の時期を自社で決める必要がある、法令や契約でデータの保存場所や保持期間を厳密に指定しなければならない、といったケースでは、PaaS・IaaS上の個別構築やオンプレミスのほうが要件を満たしやすくなります。
実務では二者択一ではなく、基幹業務をVertical SaaSやSaaS型ERPで固め、共通業務をHorizontal SaaSで揃える組み合わせが一般的です(SaaS型ERPとは何か?基本概要・仕組み、導入メリットを徹底解説)。
SaaS導入前に確認する項目|責任分担と総務省の必須開示項目
責任は事業者と利用者で分担される
総務省の「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」(2024年4月)は、クラウドのセキュリティについて、提供者と利用者が責任を分担する責任共有モデルの考え方を前提に置き、責任分担の範囲はSaaS・PaaS・IaaSの種類によって異なると説明しています。同ガイドブックが重ねて注意を促しているのが次の3点です。
- 利用規約の免責条項:提供者が責任を負えない範囲について免責条項や責任制限条項が置かれていることが多く、これらは信義則に反する場合などを除いて有効なため、契約時に読んでおく必要がある。
- SI事業者が入る場合:開発をSI事業者に委託すると責任分界は複雑になる。実際にSI事業者の設定ミスによる事故も起きており、SI事業者が行った設定であっても最終的な責任は利用者が負う。
- サービス間の連携:API連携で複数のSaaSをつなぐ場合は、事業者間の契約に基づく責任分担を確認することが重要になる。
SaaSは「使うだけ」に見えますが、アカウント権限、公開範囲、外部共有の可否といった設定は利用者の責任範囲に残ります。同ガイドブックは、米NSAとCISAが2023年10月に公表した設定ミスの上位10項目(ソフトウェアの初期設定のまま運用、ユーザーと管理者の権限区分の不備、多要素認証の設定ミスなど)を参考資料として紹介しています。
提案時に確認したい開示項目
総務省は「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示指針(ASP・SaaS編)第3版」(2022年10月)で、SaaS事業者が開示すべき情報を101項目にわたって定め、各項目に「必須」「選択」の別を付しています。全部を読み込む必要はありませんが、必須とされている項目のうち、提案書に書かれないまま契約に進みやすいものは次のあたりです。
- 契約の終了等(項目44):契約終了時の利用者データ返却責任の有無と、返還方法・ファイル形式・費用。削除や廃棄の方法、廃棄証明書の提供可否まで含みます。乗り換え時の作業量を左右します。
- 解約時違約金(項目46)・解約事前受付期限(項目47):違約金の有無と金額、解約を何か月前までに申し出る必要があるか。
- サービス稼働設定値(項目48):稼働率の目標値だけでなく実績値、およびサービス停止の事故歴。
- サービスの変更・終了(項目42・43):変更や終了の事前告知時期と告知方法、終了後の代替措置。
- SLA(項目57):SLAが契約書に添付されるか否か。
- カスタマイズ範囲(項目39)・移行支援(項目40):どこまで作り込めるか、既存システムからの移行支援があるか。
これらは、ベンダーロックインやサービス終了といったSaaS固有のリスクに直結する項目です。「安い・早い・使いやすい」の比較で決めたあとに問題化しやすいため、選定の初期に聞いておくほうが手戻りは小さくなります。
よくある質問
SaaSとは一言でどういう意味ですか?
事業者がクラウド上で動かしているアプリケーションを、利用者がブラウザなどから使う形態のサービスです。「Software as a Service」の略で、ソフトを買ってインストールするのではなく、契約している間だけ利用します。NISTの定義では、利用者はネットワーク・サーバー・OS・ストレージ・個々のアプリ機能を管理も制御もせず、変更できる場合があるのは限定的なユーザー固有の設定に限られます。
SaaSの読み方は「サース」と「サーズ」のどちらですか?
「サース」です。総務省「クラウドの設定ミス対策ガイドブック」(2024年4月)は読み方を表で示し、SaaS=サース、PaaS=パース、IaaS=イアースと記載しています。デジタル大辞泉やIT用語がわかる辞典の見出しも「サース」です。「サーズ」と読む人もおり意味は同じですが、感染症のSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じ音になるため、社外との会話では「サース」が無難です。
SaaSとPaaS・IaaSは何が違いますか?
利用者が管理・制御できる範囲が違います。SaaSは限定的なユーザー設定のみ、PaaSは自分で配置したアプリケーションと実行環境の設定、IaaSはOS・ストレージ・配置したアプリを管理でき、ホストファイアウォールなどのネットワーク要素も限定的に制御できる場合があります。提供されるものも、完成したアプリケーション(SaaS)、開発・実行環境(PaaS)、処理やストレージなどの計算資源(IaaS)と段階的に下位へ移ります。
SaaSの代表例にはどんなサービスがありますか?
Google Workspace、Microsoft 365、Salesforce、Slack、Zoom、Adobe Creative Cloudなどが代表例です。用途別に見ると、企業で最も利用率が高いのはファイル保管・データ共有(71.0%)で、社内情報共有・ポータル(57.6%)、電子メール(56.8%)、給与・財務会計・人事(52.1%)が続きます(令和7年版情報通信白書、2024年の数値)。
SaaSの導入で最も多い理由はコスト削減ですか?
いいえ。総務省の令和7年通信利用動向調査では、クラウドサービスを利用する理由の1位は「場所、機器を選ばずに利用できるから」50.7%で、「既存システムよりもコストが安いから」は19.4%と8項目中で最も低い回答でした。前年からの伸びが最大だったのは「システムの拡張性が高いから」(22.1%→28.9%)です。
SaaSを契約する前に何を確認すべきですか?
解約時のデータ返却方法とファイル形式、解約の事前受付期限と違約金、稼働率の実績値と停止事故歴、サービス変更・終了時の事前告知と代替措置、SLAが契約書に添付されるかどうかです。いずれも総務省「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示指針(第3版)」が事業者に開示を求めている必須項目にあたります。あわせて、アカウント権限や公開範囲などの設定は利用者の責任範囲に残る点も確認しておきます。