スマホのマイナ保険証は、2025年9月19日から準備の整った医療機関・薬局で順次使えるようになりました。患者がスマホをかざすだけで済む一方、受付側は今ある顔認証付きカードリーダーだけでは読み取れない場合が多く、機器の追加か入れ替えが要ります。この記事では、厚生労働省が示す受付の手順を起点に、第1世代のカードリーダーへ汎用カードリーダーを外付けする構成と、単体でスマホを読める第2世代機へ更新する構成の違い、補助の上限額、レセコン側で確かめる点、読み取れない患者への代替手順を整理します。保守期限から逆算して、どちらを選ぶべきかも示しました。
まとめ:スマホのマイナ保険証に医療機関が対応するための機器と更新時期の結論
スマホのマイナ保険証に対応する方法は2通りです。今の顔認証付きカードリーダー(第1世代)の横に汎用カードリーダーを置く方法と、カードリーダー単体でスマホ用電子証明書を読み取れる第2世代機に入れ替える方法。キヤノンマーケティングジャパン製の一部機種は、外付けなしで読み取れます。
選び方は保守期限で決まります。第1世代機は購入から5年の保守が2026年3月末から順次切れており、期限が1年以内に来るなら第2世代機への更新でスマホ対応も同時に済ませるのが合理的です。期限までまだ余裕があり、スマホで来る患者を早く受け付けたいなら、汎用カードリーダーの外付けで先に対応します。どちらの場合も、窓口で読み取れなかったときの代替手順を先に決めておくことが前提になります。
スマホのマイナ保険証を医療機関の受付で読み取る流れと実物カードとの違い
受付の操作は、顔認証付きカードリーダーの画面から始まります。実物のカードを置く場合と比べて、本人確認の方法と、かざす機器が変わります。
顔認証付きカードリーダーで始めて汎用カードリーダーにかざす受付5段階
厚生労働省の「スマートフォンのマイナ保険証利用について」が示す受付の流れは次のとおりです。
- 顔認証付きカードリーダーの画面で「スマートフォンを利用」などのボタンを選ぶ
- スマホの種類(iPhoneかAndroid)を選ぶ
- 機種ごとの方法で本人認証をする
- カードリーダーの近くに置いたスマホ用の汎用カードリーダーに、少し離した状態で1〜2秒かざす
- 画面が切り替わったら、顔認証付きカードリーダーで医療情報の提供に同意するかを入力する
操作の起点と同意の入力は顔認証付きカードリーダーで、スマホを読む部分だけが別の機器に分かれています。キヤノンマーケティングジャパン製の一部機種では、汎用カードリーダーの代わりにリーダー本体の前面にかざします。受付台には、2台の機器を患者が迷わず行き来できる配置が要るということです。
iPhoneは生体認証、Androidは4桁の暗証番号という本人確認方法の違い
3段階目の本人認証は、選んだスマホの機種によって方法が異なる仕組みです。iPhoneは、Appleウォレットでマイナンバーカードを表示し、Face IDかTouch IDで認証します。Androidは、顔認証付きカードリーダーにスマホ用電子証明書の4桁の暗証番号を入力します。
窓口で問い合わせが集中しやすいのはAndroidの暗証番号です。スマホのロック解除の番号でも、実物のカードの暗証番号でもないため、患者が取り違えやすい番号です。iPhoneでは、ウォレットに交通系ICなど別のカードが表示されて読み取れない例が出ます。この2点は、受付スタッフ向けの案内メモに最初から書いておくと対応が早くなります。
スマホで資格確認できない患者の条件=15歳未満・1台1人・電子証明書の失効
厚生労働省のマイナ保険証に関するよくある質問によると、1台のスマホに追加できるのは1人分だけで、15歳未満は原則として使えません。実物のカードや電子証明書が失効・期限切れになると、スマホのマイナ保険証も使えなくなります。
小児科や家族単位で受診が多い医療機関では、親のスマホで子どもの資格を確認することはできません。スマホに対応しても、実物のカードや資格確認書を持参する患者は一定数残ります。スマホ対応は受付の手段を1つ増やす投資であって、実物のカードの読み取りを置き換えるものではないと捉えてください。
医療機関がスマホ対応でそろえる機器構成と資格確認端末・レセコン側の確認事項
対応の方法は、今のカードリーダーをどうするかで2つに分かれます。費用と工事の範囲が大きく違うため、先に構成を比べておきます。
第1世代の顔認証付きカードリーダーに汎用カードリーダーを外付けする構成
今使っている顔認証付きカードリーダーの多くは、スマホを読み取れません。このため2025年9月の開始時は、顔認証付きカードリーダーに対応した汎用カードリーダーを買い、資格確認端末(パソコン)にUSBでつなぐ方法が案内されました。接続用のUSBケーブルやUSBハブも補助の対象に含まれていました。
注意したいのは、手元にある汎用カードリーダーを流用する場合です。機種やソフトウェアのバージョンによっては、スマホを正しく読み取れないことがあると案内されています。窓口のマイナンバーカード読み取り用に以前買った機器があっても、対応機種かどうかをメーカーの情報で確かめてから使ってください。
単体でスマホ用電子証明書を読める第2世代の顔認証付きカードリーダー
第2世代(次期)の顔認証付きカードリーダーは、カードリーダー単体でスマホ用電子証明書を読み取れるのが特徴です。2026年4月22日にキヤノンマーケティングジャパン、8月24日にパナソニック コネクトの機種が発売され、リコージャパンは10月の発売を予定しています(2026年8月時点の報道)。
パナソニック コネクトの新モデル(XC-STFR3J-MN)は、本体1台で実物とスマホの両方を読み取り、これまで別に置いていた資格確認端末を本体に内蔵しています。販売価格は税込379,500円です。受付台が狭く、カードリーダー・資格確認端末・汎用カードリーダーの3台を並べにくい診療所では、この一体型が選択肢になります。
| 比較の軸 | 第1世代+汎用カードリーダー | 第2世代の顔認証付きカードリーダー |
|---|---|---|
| 受付台の機器 | カードリーダー+汎用カードリーダー+資格確認端末 | カードリーダー+資格確認端末(内蔵型は1台) |
| 患者の操作 | 2台の機器を行き来する | 1台で完結する |
| 初期費用の目安 | 汎用カードリーダー1台分 | 本体の買い替え(内蔵型は税込379,500円の例) |
| 保守期限 | 第1世代機の期限は変わらない | 新たに保守期間が始まる |
費用だけを見れば外付けが圧倒的に安く済みます。ただし、外付けは第1世代機の保守期限を延ばしません。期限が近い機器に外付けしても、数か月後に本体の入れ替えでもう一度受付の配置を組み直すことになります。
レセコン・電子カルテ側の改修が要るかを見分ける3つの確認項目
厚生労働省の受付手順は、顔認証付きカードリーダーと汎用カードリーダーの操作で完結しており、レセコン側で新しい操作は出てきません。とはいえ、資格確認の結果をレセコンや電子カルテへどう取り込むかは製品ごとに作りが違うため、導入前にメーカーへ次の3点を確かめます。
- スマホで資格確認した患者の資格情報が、実物のカードの場合と同じ画面・同じ項目で取り込まれるか
- 第2世代機や資格確認端末内蔵型に入れ替えたとき、レセコンとの連携設定(接続先の端末やフォルダ)を変える必要があるか
- 受付の自動精算機や再来受付機など、資格確認端末とつながる他の機器に影響が出ないか
特に3点目は見落とされがちです。資格確認端末を内蔵型に替えると、これまで端末につないでいた周辺機器の接続先が変わります。レセコンの仕組みと資格情報の流れはレセコンとは?電子カルテとの違い・データ連携と選び方で整理しています。
訪問診療・訪問看護のマイナ資格確認アプリも2026年3月にスマホへ対応
院外で資格確認をする施設も対象が広がりました。厚生労働省保険局の2026年3月18日付の事務連絡によると、訪問診療や訪問看護を行う施設(居宅同意取得型)と施術所(資格確認限定型)が使うマイナ資格確認アプリに、スマホのマイナ保険証で資格確認する機能が加わりました。2026年3月23日10時以降のアップデートで、本人認証の方法としてiPhoneとAndroidを選べます。
こちらは汎用カードリーダーを買う必要がなく、アプリの更新で済みます。訪問のたびに患者のカードを預かって読み取る運用をしている事業所は、アプリが最新版になっているかを確かめてください。訪問看護の請求と記録の仕組みは訪問看護システムの請求・記録の要件と選定基準で扱っています。
汎用カードリーダーの外付けか第2世代機への更新かを決める補助と保守期限
どちらの構成を選ぶかは、補助の条件と、今の機器の保守期限の組み合わせで決まります。
汎用カードリーダーの補助は1台最大7,000円・2026年1月末で受付終了
スマホ対応の開始に合わせて用意された汎用カードリーダーの補助は、1台あたり最大7,000円の割引でした。対象は診療所が1台、病院が最大3台で、医療機関等向け総合ポータルサイトでクーポンコードを取得し、Amazonビジネスの専用ページで購入する方式です。この補助の期限は2026年1月末で、すでに終わっています。
いま汎用カードリーダーを外付けする場合は、補助なしの自己負担を前提に見積もることになります。それでも、本体ごと入れ替える第2世代機と比べれば費用の桁が違います。補助の終了を理由に、外付けの選択肢を外す必要はありません。
第2世代機の補助はカードリーダー本体の1/2・上限12万1千円
第2世代機への入れ替えには、2025年度補正予算による補助があります。厚生労働省は2026年8月10日付の事務連絡で、医療関係団体に周知を求めました。補助の内容は次のとおりです。
| 対象機器 | 補助率 | 上限額(税込) |
|---|---|---|
| 顔認証付きカードリーダー | 販売価格の1/2 | 12万1,000円 |
| 資格確認端末(端末のみの購入は対象外) | 販売価格の1/3 | 5万円 |
| 資格確認端末一体型カードリーダー | リーダー部分1/2+端末部分1/3 | 14万6,000円 |
| 外付けテンキー | 販売価格の1/2 | 1万1,000円 |
税込379,500円の一体型を買う場合、補助は上限の14万6,000円で頭打ちになり、残りの約23万円が自己負担です。申請には購入時の領収書が要ります。要件と申請期限は医療機関等向け総合ポータルサイトで確認してください。
保守期限が1年以内なら第2世代機、余裕があるなら外付けで先行する判断
判断の基準は、今の顔認証付きカードリーダーの保守期限です。第1世代機は購入から5年の保守が基本で、2026年3月末から順次期限を迎えています。期限を過ぎると、故障したときに速やかな修理や交換を受けられないおそれがあります。
期限が1年以内に来るなら、汎用カードリーダーは買わず、第2世代機への更新でスマホ対応を済ませます。外付けしても、すぐに本体ごと入れ替えることになるからです。期限まで2年以上あり、スマホで来院する患者を早く受け付けたい場合は、汎用カードリーダーを外付けして先に対応し、本体の更新は期限に合わせて計画します。
スマホ対応だけを理由に、保守が十分残っている第1世代機を前倒しで捨てる判断は採りません。補助を差し引いても一体型で20万円を超える自己負担になり、スマホの患者を受け付ける効果に見合わないからです。
スマホ対応の受付で起きる読み取りトラブルと窓口で決めておく代替手順
機器をそろえても、読み取れない患者は必ず出ます。窓口で止まらないように、代替の手順と掲示を先に決めておきます。
読み取れないときはマイナポータル画面か資格情報のお知らせで受け付ける
厚生労働省のよくある質問は、資格確認がうまくいかない場合、マイナポータルの画面(ダウンロードしたPDFでも可)か資格情報のお知らせを提示すれば、従来どおりの自己負担で保険診療を受けられるとしています。どちらもない場合、再診なら医療機関が把握している情報で職員が口頭で確認し、初診なら被保険者資格申立書に記入してもらいます。
スマホの読み取りでつまずいた患者は、その場でスマホを操作できる状態にあります。読み取りを何度も試させるより、マイナポータルの画面を開いてもらうほうが早く終わる場面が多いでしょう。何回失敗したら代替手順に切り替えるかを、受付のルールとして決めておくと待ち時間が延びません。
対応施設リストへの掲載は読み取り実績が条件、受付のステッカー掲示も
患者は来院前にスマートフォンのマイナ保険証対応医療機関・薬局の検索ページで受診先を探します。このリストに載るのは、スマホの読み取り実績が確認された施設です。機器を入れただけでは掲載されず、実際に読み取りが行われてから反映されます。
掲載を望まない場合は、オンライン資格確認等コールセンター(0800-080-4583)への連絡が必要です。院内では、スマホをかざす場所を示すステッカーを受付に貼ると、患者が汎用カードリーダーを探して迷うことが減ります。マイナ保険証の利用実績は診療報酬の加算の要件にも関わるため、診療報酬改定2026の施行日とレセコン改修の段取りもあわせて確認しておくと、受付の整備を加算の届出と同じ計画に載せられます。
受付システムの改修や機器連携を外部に依頼すべき医療機関の条件
受付が顔認証付きカードリーダー1台とレセコンだけの診療所なら、スマホ対応はカードリーダーのメーカーとレセコンのメーカーに頼めば終わります。独自の開発は要りません。
外部の開発会社に相談したほうがよいのは、資格確認端末の先に自院の仕組みがつながっている場合です。たとえば、受付の自動精算機や再来受付機を独自に組み込んでいる病院、予約システムと受付の状態を連動させているクリニック、複数の診療科や分院で受付の仕組みを共通化している法人。第2世代機や端末内蔵型への入れ替えで資格確認端末の位置が変わると、こうした連携が止まることがあります。電子処方箋の導入でも同じ資格確認端末を使うため、電子処方箋の仕組みと導入手順・電子カルテ改修の判断の計画と同じ時期にまとめて見直すのが効率的です。
一創の医療機関向けシステム開発では、レセコン・電子カルテと受付の周辺機器、予約システムとのつなぎ込みを、既存の製品を生かしたまま設計・改修しています。カードリーダーの入れ替えに合わせて連携の見直しが要るかどうかの確認から相談できます。
よくある質問
スマホのマイナ保険証への対応について、医療機関の事務長・受付担当・情報システム担当からよく挙がる質問を5つ取り上げます。
スマホのマイナ保険証に医療機関は必ず対応しなければいけませんか?
義務ではありません。厚生労働省は2025年9月19日から、機器の準備が整った医療機関・薬局から順次使えるようにするとしており、対応するかどうかは医療機関が判断する仕組みです。未対応の施設では、患者に必要なのは実物のマイナンバーカードか資格確認書の持参です。ただし、第1世代の顔認証付きカードリーダーは2026年3月末から順次保守期限を迎えており、更新先の第2世代機はカードリーダー単体でスマホを読み取れます。機器を更新すれば、結果としてスマホにも対応する流れになります。
今ある顔認証付きカードリーダーでスマホは読み取れますか?
第1世代機の多くは読み取れず、顔認証付きカードリーダーに対応した汎用カードリーダーを資格確認端末にUSBでつなぐ構成が必要です。例外はキヤノンマーケティングジャパン製の一部機種で、リーダー本体の前面にかざして読み取れます。2026年4月以降に発売された第2世代機は、カードリーダー単体でスマホ用電子証明書を読み取れます。自院の機種がどれにあたるかは、メーカーの案内で確認してください。
iPhoneのマイナ保険証も医療機関の受付で使えますか?
iPhoneも受付で利用可能です。厚生労働省の受付手順では、顔認証付きカードリーダーでiPhoneを選び、Appleウォレットでマイナンバーカードを表示してFace IDかTouch IDで認証したあと、汎用カードリーダーにかざします。Androidとの違いは、カードリーダーにスマホ用電子証明書の4桁の暗証番号を入力する点です。医療機関側でiPhone用とAndroid用の機器を分ける必要はなく、同じ汎用カードリーダーか第2世代機で読み取れます。
汎用カードリーダーの補助金は今も使えますか?
使えません。スマホ対応の開始に合わせた汎用カードリーダーの補助(1台最大7,000円、診療所1台・病院最大3台)は、2026年1月末で終わりました。現在使えるのは、第2世代の顔認証付きカードリーダーへの入れ替えに対する補助で、カードリーダー本体は販売価格の1/2(上限12万1千円)、資格確認端末は1/3(上限5万円)です。申請には購入時の領収書が要り、要件は医療機関等向け総合ポータルサイトで確認できます。
患者のスマホが読み取れないときはどうすればよいですか?
マイナポータルの画面(ダウンロードしたPDFでも可)か資格情報のお知らせを見せてもらえば、従来どおりの自己負担での受け付けが可能です。どちらもない場合は、再診なら医療機関が把握している情報で口頭確認し、初診なら被保険者資格申立書に記入してもらいます。Androidの暗証番号の取り違えや、iPhoneのウォレットで別のカードが表示されることが原因の場合もあるため、受付で最初に確認する点としてスタッフに共有しておくと対応が早くなります。
関連記事
- 医療DXとは?定義・3本柱・2026年度改定から進め方と受託開発の判断まで解説:マイナ保険証を含む医療DXの全体像と進め方です
- レセコンの費用相場|初期費用・月額・5年総額の内訳と補助金の使い方【2026年版】:カードリーダー更新と同じ時期に見直すレセコンの費用です
- 電子カルテとは?種類・機能一覧と比較軸・標準仕様対応の判断を解説【2026年】:資格情報を取り込む電子カルテ側の機能と選び方です
- レセコンメーカーの選び方|3系統の違いとシェアの読み方・乗り換え判断【2026年版】:スマホ対応の確認先になるレセコンメーカーの違いです
- 電子的診療情報連携体制整備加算とは?施設基準11項目と届出・電子カルテ側の準備【2026年】:オンライン資格確認の体制とつながる加算の施設基準です